BLOC PARTY『A WEEKEND IN THE CITY』(2007)
2007年2月5日にリリースされたBLOC PARTYの2ndアルバム。日本盤は同年1月24日に先行発売。
全英3位まで上昇し、その年の『NME』誌年間アルバムランキング1位を獲得したデビューアルバム『SILENT ALARM』(2005年)から約2年ぶりの新作。1stアルバムは初期衝動性がそのまま形になったかのような焦燥感の強いポストパンクサウンドで好評を博しましたが、一部からは「ライブでは下手くそ」「一過性の流行りもの」などと揶揄されましたが、続くこの2作目では短期間で急成長したバンドの姿が最良の形で表現され、過去の下馬評を跳ね除け全英2位/全米12位というヒットにつなげます。
「Banquet」や「Helicopter」のようにストレートで疾走感の強いスタイルを極力抑え、手数の多いリズムパターンでダンサブルな要素を軸にすることで、ギターのフレージングなど細かな表現力が求められるようになった楽曲群は、このバンドの新たな可能性を導き出すことに成功。「Song For Clay (Disappear Here)」や「Hunting For Witches」、あるいは「I Still Remember」などといったナンバーではその要素がより強まることでデビュー作を敬遠していたリスナーにも広くアピールすることができました。
また、変幻自在なアレンジで惹きつける「Uniform」や、エレクトロ要素を全面に打ち出した「Flux」(当初はアルバム未収録でしたが、2007年11月のシングル発売を機にアルバムに追加収録)、浮遊感の強いスローナンバー「Srxt」など変化球も多数用意されており、聴き手をまったく飽きさせることのない表現の幅を見せつけてくれます。ぶっちゃけ、『SILENT ALARM』時代にライブを観て「単調だなあ」と感じた筆者のようなリスナーは、この色彩豊かな2作目を初めて聴いたときに「え、君らもうポストRADIOHEADの座に君臨しちゃうわけ?」とひっくり返ったこともよく覚えています。ちょっと進化のスピードが早すぎだよ。
アルバム同様、本作からは「The Prayer」(全英4位)、「I Still Remember」(同20位)、「Hunting For Witches」(同22位)、「Flux」(同8位)というヒットシングルも多数誕生。この好調ぶりは、早くも届けられることになる次作『INTIMACY』(2008年)でさらにピークを迎えることになります。
▼BLOC PARTY『A WEEKEND IN THE CITY』
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