カテゴリー「Megadeth」の28件の記事

2019年4月15日 (月)

MEGADETH『WARHEADS ON FOREHEADS』(2019)

2018年に結成35周年を迎えたMEGADETHが、そのアニバーサリーイヤーの締めくくりに35曲入りベストアルバム『WARHEADS ON FOREHEADS』を2019年3月にリリースしました。

CD3枚組、アナログ4枚組という大ボリュームのこの作品。CDの収録容量的にはまだまだ入れられるはずなのですが、いかんせん「35」という数字にこだわったためにこういう結果に。しかも、選曲はデイヴ・ムステイン(Vo, G)自身が担当。デビューアルバム『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』(1985年)から現時点での最新アルバム『DYSTOPIA』(2016年)までの15枚のオリジナルアルバムに、映画『ラスト・アクション・ヒーロー』のサントラ収録曲「Angry Again」を加えた、レーベルの垣根を超えたベストセレクションとなっています。

MEGADETHはこれまでにもベストアルバムやボックスセットを複数発表しています。CD複数枚で構成されたボックスものでいうと、2007年にCD4枚+DVDで構成されたEMI時代の集大成『WARCHEST』が発売されております。こちらはデモ音源やライブテイクなど未発表音源も多数含まれており、すでにオリジナルアルバムをすべて持っている人にもうれしい内容でした。

しかし、今回の『WARHEADS ON FOREHEADS』はすべて既発音源。しかも、ムステインの独断でセレクトされていることもあり、「あれっ、あの曲がない!」とか「なんで代表曲のあれがないの?」とか「あのアルバムからはこれだけ?」とか、とにかく疑問も少なくありません。

例えば、2ndアルバム『PEACE SELLS... BUT WHO'S BUYING?』(1986年)からは4曲選ばれているものの、誰もが認める代表曲「Peace Sells」が含まれていなかったり、3rdアルバム『SO FAR, SO GOOD... SO WHAT!』(1988年)を代表するカバー曲「Anarchy In The U.K.」(SEX PISTOLS)が選ばれていなかったり(まあカバーですしね)。かと思うと、4thアルバム『RUST IN PEACE』(1990年)からは全作品中6曲(アルバム本編が9曲なので3分の2収録されていることに)、8thアルバム『RISK』(1999年)以降は1曲ずつという残念さをにじませながらも、最後の最後に『DYSTOPIA』から4曲も選んでしまうという。バランスを考えてというよりも、今のムステインの各アルバムに対する評価が透けて見える構成ですね。

とはいえ、『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』の楽曲は『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!: THE FINAL KILL』(2018年)からの最新リミックス&リマスター音源ですので、2ndアルバム以降の楽曲と並んでもクオリティ的に劣ることはありません。そういった意味では、特にDISC 1の楽曲群は聴いていて気持ちいいものがあるんじゃないでしょうか。なんだかんだで曲の流れも良いですし。

そしてDISC 3の後半に進むに連れてムステインの声(キー)が……残念ですけどね。

これからMEGADETHを聴こう!なんていう奇特な方が今どれだけいるのかわかりませんが、オールタイムベストという点において、なおかつトータル3時間に満たない適度なボリュームという点においても初心者に進めやすい作品かもしれません。特にDISC 1、DISC 2を聴けばMEGADETHの何たるかが理解できると思いますしね。

 


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2019年3月10日 (日)

ALTITUDES & ATTITUDE『GET IT OUT』(2019)

MEGADETHのデヴィッド・エルフソンとANTHRAXのフランク・ベロというベーシスト2名が中心となり結成されたプロジェクト、ALTITUDES & ATTITUDE。彼らが2014年に発表したデビューEP『ALTITUDES & ATTITUDE』以来となるフルアルバムを、2019年1月に発表しました。

このプロジェクトはトリオ編成で、フランクがボーカル&ギター、エルフソンがベース、フェフ・フリーデル(DEVO、A PERFECT CIRCLEなど)がドラムというのが基本スタイルのようです(曲によってフランクがベース、エルフソンがギターを弾くことも)。アルバムはジェイ・ラストン(ANTHRAX、STONE SOURSTEEL PANTHERなど)がプロデュースを担当し、エース・フレーリー(ex. KISS)やガスG.(FIREWIND)、ニタ・ストラウス(ex. THE IRON MAIDENS)、クリスチャン・マルトゥッチ(STONE SOUR)などがゲスト参加しているとのこと。

フランクのボーカルは時に自身のバンド・ANTHRAXのジョーイ・ベラドナのような節回しをするときがあるものの(オープニングトラック「Get It Out」がまさにそれ)、声質そのものは意外とマイルド。がなるというよりはメロディを丁寧に歌いながら、ときどき激しさを見せるデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)的なカラーがあると思いました。嫌味のない、親しみやすさのある声ですよね。

音楽性自体は、MEGADETHとANTHRAXということでスラッシュメタル的なものをイメージしてしまいがちですが、もっとポップでオルタナティヴロックのようなスタイルと言えばいいのかな。「Leviathan」のようなインストにこそ両バンドのテクニカルなスタイルを重ねることができますが、それ以外の歌モノではパンクともメタルとも違う、ハードロック寄りのオルタナギターロックみたいな世界が展開されています。これもまた嫌味のないスタイルで、万人受けしそうな印象が。

アルバム日本盤にはデビューEP収録曲(「Booze And Cigarettes」「Tell The World」「Here Again」)がリミックスされて収録されていますが、この時点ですでに現在のスタイルは確立されていたんですね。なるほど、こういうことがやりたかったんだ、と。

例えばKISSのようなポップでキャッチーで適度にハードながらも、THE POLICEあたりの70年代末ニューウェイヴ的な色合いもある。結果、FOO FIGHTERSのようなバンドに一番近いという……これが正しい表現かどうかわかりませんが、僕は嫌いじゃないです。

ただ、メタルファンからしたらこの2人が揃っているのにこのスタイルでいいのか、正解なのかという声が上がってきそうですが、当人たちが今これをやりたいというんですから、いいじゃないですか。そのぶん、メインバンドのほうでは相変わらずアグレッシヴなことをやってくれているんですから。

にしても、MEGADETHのこともANTHRAXのことも知らないリスナーがこのアルバムを聴いたとき、果たしてどんなリアクションをするんでしょうね。むしろそっちのほうが気になります。



▼ALTITUDES & ATTITUDE『GET IT OUT』
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2019年3月 3日 (日)

ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』(2019)

2019年1月に発表された、ARCH ENEMYのカバーアルバム。バンド初期からシングルのカップリングやアルバムのボーナストラックとして収録されてきた歴代のカバー曲を1枚にパッケージした作品で、その内訳も初期3作のヨハン・リーヴァ時代、ブレイクのきかっけを作ったアンジェラ・ゴソウ時代、現在のアリッサ・ホワイト=グラズ時代と3世代にわたる、ある種のオールタイム“裏”ベストアルバムとなっています。

取り上げられているカバーはIRON MAIDENJUDAS PRIESTEUROPEMEGADETH、MANOWAR、QUEENSRYCHEPRETTY MAIDSSCORPIONSKISSなど彼らのルーツにあるHR/HMバンドからG.B.H.、DISCHARGEといったハードコアバンド、SKITSLICKERS、ANTI-CIMEX、MODERAT LIKVIDATIONという地元スウェーデンのハードコア/クラストコアバンド、マイケル・アモット(G)がかつて在籍したCARCASS、そしてTEARS FOR FEARSやマイク・オールドフィールドといったポップ寄りまで、バラエティに富んだもの。JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、EUROPE、SKITSLICKERSはボーカリスト違いで複数選ばれているものもあります。

全24曲中、M-1「Shout」からM-11「City Baby Attacked By Rats」までがアリッサ時代、M-12「Warning」からM-20「Symphony Of Destruction」までがアンジェラ時代、ラスト4曲がヨハン時代としっかりブロック分けされているので、そこまで違和感を感じることはないかと。特にアリッサ時代はM-5「Nitrad」から「City Baby Attacked By Rats」までのパンク/ハードコアのカバーが続く流れで統一感を作るなど、構成も考えられていますしね。

ARCH ENEMYの活動を追っているリスナーには、すべて既出で所持している音源ばかりでしょう。しかし、こういった“ファン”アルバムは出すことに意味があるので、そこに文句をつけるのは野暮というもの。そんな中、M-1「Shout」は昨年発売されたアナログボックスセット『1996-2017』やアナログ7インチ盤「Reason To Believe」に収録されていたものですが、CD化はこれが初めて。原曲をよりヘヴィにしたアレンジはどことなくツェッペリン「Immigrant Song」に似ていて、DISTURBEDのカバーバージョンとは違った味わい深さがあります。

そのほかのカバーに関しては原曲まんまのものから凝ったアレンジのものまでさまざまですが、基本的には原曲に対する愛情が強いものが多い印象です。個人的にはPRETTY MAIDS「Back To Back」、EUROPE「Wings Of Tomorrow」、CARCASS「Incarnated Solvent Abuse」、IRON MAIDEN「Aces High」がお気に入りです。

ちなみに、CDブックレットにはマイケル・アモットによる各曲の解説入り。残念ながら日本盤はおろか、配信&ストリーミングもなしの本作ですが、特にストリーミングに関しては過去作もゼロなので、これを機に動いてほしいものです。



▼ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』
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2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。



▼MARK MORTON『ANESTHETIC』
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2018年6月18日 (月)

MEGADETH『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!: THE FINAL KILL』(2018)

MEGADETHが1985年6月にリリースしたデビューアルバム『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』を新たにリミックス&リマスターを施し、未発表のライブ音源などを追加し、ジャケットも新たに作り直した、まさに“THE FINAL KILL”というサブタイトルにふさわしいデラックスエディション。

『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』はその音の悪さ、ジャケットのチープさ(レーベルから与えられた予算を、デイヴ・ムステインがドラッグに使ってしまったため、制作にかけるお金がなくなったことが原因だとか)から、2002年には新たにリミックス&リマスターを施しジャケットを一新したバージョンが発売されています(現在配信などで聴けるのがこちらのバージョン)。確かにあのチープさが払拭され、2本のギターやドラムなどがすべてセンター寄りにミックスされていたオリジナル盤を“モノラル的”と呼ぶなら、こちらはしっかり左右にパンされた“ステレオ的”に生まれ変わっています。

ですが、このアルバム。何度かの再発のたび中身に手を入れられた曰く付きの1枚でして。1985年版(8曲入り)に入っていたナンシー・シナトラのカバー「These Boots」(オリジナルタイトルは「These Boots Are Made For Walkin'」)が、作者から「歌詞がお下品極まりない!」とクレームが入り、1995年再発版にてカット(7曲入り)。2002年版で晴れて「These Boots」が復活するのですが、歌詞に規制が入り、ところどころに“ピー”音が加えられるというひどい展開に(同曲は1985年版では4曲目に収録されていましたが、2002年版から8曲目に変更)。なお、同作から「Last Rites / Love To Deth」「The Skull Beneath The Skin」「Mechanix」のデモが追加され、全11曲入りとなります。

さて。そこから16年経ち、バンドも結成35周年を迎えた2018年に“最終バージョン”として発表された『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!: THE FINAL KILL』。音のキレがより研ぎ澄まされ、ドラムサウンド(特にバスドラ)により重みが加わったことで、「1985年のインディーズ作品のサウンド」からかなりかけ離れた、非常に“イマドキ”な音にバージョンアップしています。また、今回のリミックスではオリジナル版には入ってなかった音も追加され、よりゴージャスに変化。ぶっちゃけ、かなりカッコいいです。本当に細かな違いですが、2002年版よりもスッと入っていける仕上がり。2004年にCapitol Records時代のオリジナルアルバムがムステイン主導でリミックス&リマスタリングされましたが、まさにあの一環で補正された1枚と言えるでしょう。

しかも、問題の「These Boots」も今回から“ピー”音が外されている。それどころか、新たにムステインのボーカルが再録されているんですよ。これにはびっくりしました。ただ……現在のキーに合わせてなのか、曲自体のキー(チューニング)が落とされているのがちょっと……違和感残りまくり。今のムステインに往年のキーを求めるのは酷でしょうけど、そこだけはちゃんと原曲キーでやってほしかったな。あと、曲順も1985年版に戻してほしかった。ま、オッサンのたわごとですけどね。

あと、今回のデラックス版には新たに『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』収録曲全曲(「These Boots」除く)の未発表ライブ音源が追加収録されています。「ムステインが自宅の屋根裏から発掘したVHSテープより、初出となる86〜90年の貴重なライヴ音源」(プレスリリースより)とのことで、もちろん時期によってバンド編成が異なるものが並列しています。といっても、「The Skull Beneath The Skin」1曲だけ、マーティ・フリードマン(G)&ニック・メンザ(Dr)在籍時ってだけですけどね。これらの音の悪さについては……まあオマケですね。最近のMETALLICAのリイシューと同じ感覚で楽しめたらと。

にしても、改めてこのアルバムってこんなにカッコいい曲だったんだ(いや、もちろん今までもカッコいいと思ってたけど、オリジナル版を聴いて感じていたブルータルな“カッコいい”とは違う、整合感がしっかりあって攻撃的な“カッコいい”なんですよね、今回のって)ってことを再認識するきっかけをくれたこのリイシュー版。最高ですね。「Last Rites / Love To Deth」「The Skull Beneath The Skin」「Rattlehead」「Mechanix」あたりはここ最近のMEGADETHしか知らない若いリスナーにこそ聴いてほしいし、全体を通して今の彼らが失ってしまった(もはや取り戻せない)ギリギリ感、ヒリヒリ感を追体験してもらいたいものです。



▼MEGADETH『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!: THE FINAL KILL』
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2018年3月23日 (金)

MEGADETH『RUDE AWAKENING』(2002)

2002年3月に発表された、MEGADETHのキャリア初ライブアルバム。当時は前年2001年5月に9枚目のアルバム『THE WORLD NEEDS A HERO』を発表したばかりで、このライブアルバムの音源も同作を携えて行われた2001年11月のアリゾナ州フェニックスでの公演を収めた内容となっています。また、同じタイミングには同公演の映像を収めた同名ライブDVDも発売されています。

当時のメンバーはデイヴ・ムステイン(Vo, G)、デイヴ・エルフソン(B)、アル・ピトレリ(G)、ジミー・デグラッソ(Dr)という布陣。ファン的にはそこまで強い思い入れのない編成かと思います。ニック・メンザ(Dr)が抜け、マーティ・フリードマン(G)が抜けた1999年の時点でMEGADETHに対する人気は(ここ日本以外では)少しずつ落ち始めていた時期であり、2000年には初のベストアルバム『CAPITOL PUNISHMENT: THE MEGADETH YEARS』が発表されたり(同作をもってメジャーのCapitolとの契約終了)、起死回生を狙った『THE WORLD NEEDS A HERO』のあとにこの『RUDE AWAKENING』という2枚組ライブアルバムを発表したのも、バンドの意思云々ではなく各レーベルの「儲けられるうちに儲けておけ」という気持ちの現れだったのかもしれません。

なんてネガティヴなことを書きましたが、それは内容の良し悪しとは関係のないこと。『THE WORLD NEEDS A HERO』発表後のツアーを収めたものではありますが、そのセットリストは“The Greatest Hits of MEGADETH”と呼ぶにふさわしいもの。CD2枚分、全24曲も収録されているので、あの頃までのライブの定番曲、人気曲、MVが制作されたおなじみの曲はほぼ収録されていると思います。唯一、SEX PISTOLSのカバー「Anarchy In The U.K.」が含まれていないことくらいかな、難点をつけるなら。あ、あと『RISK』(1999年)の楽曲も完全スルーか。「Crush 'Em」とまでは言わないものの、せめて「Prince Of Darkness」ぐらいは入れてほしかったかも。でも、それらがないとしても特に不満はない、らしい仕上がりだと思います。

演奏に関しても、アル&ジミーのプレイはそつなくこなす職人肌だけに、原曲にできるだけ忠実に再現しようとする意識が感じられます。が、それじゃダメなんですよね、このバンドの場合。結局、なぜクリス・ポーランドが、マーティ・フリードマンが、グレン・ドローヴァーが、そしてキコ・ルーレイロがすごかったのか……そこに行き着くわけです。MEGADETHには職人はいらないんです。

結局、このアルバムをリリースした翌月の2002年4月、ムステインが腕の橈骨神経麻痺を理由に音楽活動を休止することを発表。そのままバンドも解散することになるわけです。いろんな偶然が重なったとはいえ、この結末には当時本当にガッカリしたというか……ダメになるときはとことんダメになるんだなと悲しくなりました。

まあ、そんな悲しみもそこから2年ちょっとで吹き飛ばされるわけですけどね(笑)。

ちなみに、この印象的なアートワークを手がけたのは有名なアート集団「HIPGNOSIS(ヒプノシス)」の一員だった、ストーム・トーガソン。ラトルヘッド(MEGADETHのマスコットキャラ)が出てこない時点で“ぽくない”ですが、これはこれで良いジャケだと思います。まったくライブ盤ぽくないですけど。



▼MEGADETH『RUDE AWAKENING』
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2016年12月21日 (水)

MEGADETH『DYSTOPIA』(2016)

2015年秋の『LOUD PARK』に出演する際、過去のスタジオアルバムに関して全レビューを行ったMEGADETHですが、結局その後このニューアルバムについて触れてなかったので、年をまたぐ前に紹介しておこうと思います。

2015年秋に公開された新曲「Fatal Illusion」について、僕は「現時点ではアルバム3曲目に収録される「Fatal Illusion」の音源のみ公開中。これ1曲では判断が難しいが、やはりメロディの雰囲気が前作に多少近いかなと。しかし演奏やアレンジ的には合格ライン。そういえば今回も本編ラストをカバー(Fearの「Foreign Policy」)で締めくくるらしい。さらに2曲のボーナストラック付きバージョンもあり(今回は本編終盤に振り分けられるようだが)。前作からの課題であるムステインが以前ほど歌えなくなってきてる問題 or メロディセンスが落ちてきてる問題をどうフォローするのか、そしてカッコよく聴かせるかがポイントになってくるのかなと。ハードルは高くしつつ、心配しながらリリースを待つことにしよう……。」と不安であることを記していましたが、そこから数ヶ月後に発売されたアルバムは「良くも悪くも、僕らが知ってるMEGADETHのまま」で一応は安心しました。

スラッシーなオープニングトラック「The Threat Is Real」から、マーティ・フリードマン加入後の作品に多く見られる泣きメロ疾走メタルチューン「Dystopia」への流れは完璧。キコ・ルーレイロのギターソロも抜群にカッコいいし、リズムを支えるクリス・アドラー(LAMB OF GOD)のドラミングもMEGADETHに合わせたプレイで好印象。この2曲からの流れで聴くと、「Fatal Illusion」の印象も不思議と悪くない。その後も“いかにも”なミドルヘヴィナンバーや、キコのエキゾチックなアコギプレイをフィーチャーした「Bullet To The Brain」「Poisonous Shadows」「Conquer Or Die!」なども飛び出し、終始飽きさせない構成で進行していきます。そしてラストはFEARのカバー「Foreign Policy」で激しく締めくくり。全11曲(日本盤はその後にボーナストラック1曲、iTunesでは日本盤ボートラとも異なる新曲2曲が本編中に追加収録)、思っていた以上にスルッと聴くことができました。そういう意味では、2000年代のMEGADETH(『UNITED ABOMINATIONS』以降の流れ)を踏襲した作風で、前作『SUPER COLLIDER』で感じた疑問を完全に払拭してくれたと思います。

で、「悪い意味」では……やっぱり歌メロですね。80年代から90年代半ば、いわゆるMEGADETHの全盛期と言われた時代の楽曲にあった「デイヴ・ムステインのヒステリックな高音ボイス」がなくなり、中低音域メインの歌メロとなっています。以前も書いたかもしれませんが、このへんは若い頃に散々楽しんだドラッグのツケが回ってきたのかな、と思っているのですが……とはいえ、ムステインもこの9月で55歳。年齢的なものもあるのかな。歌える声域が狭まったため、どうしても高音が出なかったりメロのバリエーションが少なかったりという点での不満は拭いきれません。そこだけは嘘でも「良かった」なんて言えない。だから、本当にもったいないアルバムだなと思うんです。

チャート的には1992年の最大のヒット作『COUNTDOWN TO EXTINCTION』(全米2位)に次ぐ、初登場3位という好記録を残しており、そこだけはホッとしております。ゲストドラマーだったクリス・アドラーも離れ、ダーク・ヴェルビューレン(SOILWORK)が正式加入したとのことで、過去最強の多国籍編成になった今のMEGADETHを(アルバムリリース後の来日がいまだ実現していないだけに)早く生で観たいものです。



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2016年8月26日 (金)

「一番好きなHR/HMギターソロ」について考える(80年代〜90年代前半編)

仕事の合間だけど、現実逃避ついでに「一番好きなギターソロ」について考えてみた。あくまで主観だが、HR/HMにおけるギターソロはライブで一緒に「口ギターソロ」ができる、つまり口ずさめるものがベストだと思ってる。

最初に思いつくのはやっぱりオジー・オズボーン「Mr.Crowley」だろうか。適度に速弾きしていて、かつ口ずさめるメロディ。これ以上速くても、音数が多くてもダメ。だって弾けないもん。俺が。

そういう意味じゃEUROPE「The Final Countdown」もベスト候補。いや、こっちはシンセのメインリフのほうが印象的か。シンセのフレーズは口ずさんでも、ギターソロを口ずさむことは少な……いや、そんなことはなかった。口ずさむ。好き。

主メロ自体がリフ?なゲイリー・ムーア「Wild Frontier」も、個人的には「Mr.Crowley」と同じくらい好きな楽曲&ソロ。結局、こういうマイナーコードで泣きのメロを持つ楽曲が好きんなんだろうな。ザ・日本人。

泣きメロかつ「誰もが知ってるフレーズの引用」というドーピング感満載のACCEPT「Metal Heart」は反則。これこそ全力で日本人泣かしにかかってるだろと。

「Mr.Crowley」と同じくらい重要かつベストだと思ってるのが、KISS「Detroit Rock City」。あのクソシンプルなのに最強なツインリードは、この先何百年も語り継がれるべきだと思う。結局「コピーできそうだけどちょっと難しい」くらいの、あの絶妙なレベル感が自分の求めるギターソロなのかもしれない。あと、長すぎてもダメ。2分とか続いちゃうようなのはね、覚えられない。

……ってよくよく考えたら70年代じゃん、「Detroit Rock City」。却下却下。代わりにKISSのコピーバンド始めた頃にやってた「Crazy Crazy Nights」を挙げとく。このコンパクトだけど印象に残り、口ずさめて適度なテクニックが凝縮されてるというのは非常に重要。そういう意味じゃBON JOVIのこの時代の楽曲はほとんどこれに当てはまる。選ばないけど。

もうちょっとヘヴィな方面についても。

METALLICA「One」は随所にソロが登場するけど、後半の畳み掛けるようなソロパートは難しいながらも覚えやすいメロディがちゃんと備わっているし、この手のバンドのものとしてはベストクラスなんじゃないかなと。

逆にMEGADETH「Tornado Of Souls」までいくと、ちょっとやりすぎ感が。もちろんこれは個人的なさじ加減の問題だけど。リスニング的にはMEGADETHのほうだけど、「コピーしたくなる」という点においてはMETALLICAかなと。なかなか共感しづらいだろうけど。

PANTERAのギターソロも実はすごくメロウなものが多くて、個人的にはリフ以上に推していきたいと思ってる要素。スローな曲はもちろんなんだけど、「Mouth For War」はあのリフとグルーヴにこのソロが乗るから最強なんだと。

最後に国内のバンドからも。

80年代半ばに青春時代を過ごした人なら、きっと誰もがコピーをしたんじゃないだろうかっていうLOUDNESSから選ぶならば、やっぱり「Crazy Doctor」だろうか。「In The Mirror」も捨て難いけど。って、どっちも弾けないんだけど。

で、結局最後はEARTHSHAKER「More」に行き着くと。この呪縛から逃れられないんだな、あの時代に10代を過ごしてしまった者は。でもイントロのアルペジオのほうが印象深い? かもしれない。

以上10曲。KISS以外は結局泣きメロなんだな。わかりやすいぞ自分。

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2015年10月 7日 (水)

MD.45『THE CRAVING』(1996/2004)

6thアルバム『YOUTHANASIA』(1994年)と7thアルバム『CRYPTIC WRITINGS』(1997年)の間に、ムステインのガス抜きとして結成されたサイドプロジェクト唯一のアルバム。ムステインはギタリスト&プロデューサーに徹し、ボーカルにハードコアバンドFEARのリー・ヴィング、ベースには後にGOLDFINGERに参加するケリー・ルミュー、ドラムにはこの数年後にMEGADETHに加入することになるジミー・デグラッソ(SUICIDAL TENDENCIES、Y&Tなど)を迎え、メタルとパンクの中間と呼べるような肩の力を抜いた音楽を作り上げている。

ファストチューン皆無だった『YOUTHANASIA』を考えれば、ムステインが外でこういう方向性の音楽を鳴らしていたのも多少納得がいく。が、だったらMEGADETHでやれよと思うのだが……。ムステインがプロデュースしたリー・ヴィングのソロアルバムと考えれば楽しめる1枚。

ところでこのアルバム、2004年にMEGADETHのCapitol Records時代の諸作品と共にリミックス&リマスタリングが施され再発されているのだが、こちらではボーカルをムステインの歌ったものに差し替えられている。これがもう……MEGADETHそのもの(当たり前か)。まあMEGADETHにしてはパンキッシュで軽い曲もあるので、まんまMEGADETHというわけにはいかないのだけど。ロックンロール版 or パンクメタル版MEGADETHというか、番外編として接すればそれなりに味わい深い1枚。

ちなみにボーナストラックとしてMEGADETH版「The Creed」(本編5曲目収録)のデモトラックも追加されており(もちろんムステイン、エルフソン、マーティ、ニックの黄金期布陣によるテイク)、こちらも「Sweating Bullets」に通ずるものがあり興味深い仕上がり。なぜこれを『YOUTHANASIA』に入れなかった?



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MEGADETH『SUPER COLLIDER』(2013)

ムステイン、エルフソン、クリス・ブロデック、ショーン・ドローヴァー編成では2作目にして最後のアルバム。再結成後はアルバムごとに編成が変わっていたけど、ここでようやく安定したかに見えたものの、後にクリスとショーンが脱退(後にAct Of Defianceを結成)。レーベルもUniversalに移籍して心機一転、かと思いきや……個人的には久しぶりの問題作という印象の1枚。

彼らの新作を聴くときは毎回それなりに高いハードルを設けるという非常に意地悪な聴き方をしているのだが、その中でも本作を初めて聴いたときにやるせなさといったら。ムステインのボーカルキーが(徐々に落ちつつあったが)全体的に低くなり、これまでだったらもっとカッコよくなっていたはずの1曲目「Kingmaker」も尻切れトンボ感強し。

続くタイトルトラックのポップソング感……ゴメンなさい、これにはさすがに拒否反応示した。その他の曲も演奏はそれなりに良いもののボーカルが低いキーでがなってるだけ。カントリー&スワンプの要素を取り入れた「The Blackest Crow」、ブルーステイストのイントロを持つ「Don't Turn Your Back...」みたいな遊び要素のみが悪目立ちしてしまい、本編最後をカバー曲(Thin Lizzyの「Cold Sweat」)で締めくくるという始末。

さらにボーナストラックと称して2曲水増し。この2曲のおかげで、さらにアルバムの印象が薄まるという……本作後にクリス&ショーンが脱退してWデイヴが残り、新たにキコ・ルーレイロ(G / Angra)、クリス・アドラー(ゲストDr / Lamb Of God)とアルバムを制作。本作が単なる“二度目の過渡期”であり、続く15thアルバム『Dystopia』で再び完全復活することを願いたい。



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