カテゴリー「Overkill」の3件の記事

2019年4月16日 (火)

OVERKILL『THE WINGS OF WAR』(2019)

2019年2月に発表された、OVERKILL通算19作目のオリジナルアルバム。前作『THE GRINDING WHEEL』(2017年)から2年ちょうどという現代としては短いスパンで制作された1枚。来年で1stアルバム『FEEL THE FIRE』(1985年)でまる35年、とにかく勤勉なバンドです。

前作は6〜7分の長尺曲が多く、中には王道ヘヴィメタル色の強いミドルナンバーが含まれていたりと活動歴が40周年に近づいても新たな道に挑もうとする姿勢に感服しましたが、今作ではまた前作とは異なる視点で制作が進められたようです。

前作発表後にドラマーがジェイソン・ビットナー(SHADOWS FALL)に交代。また、エンジニアも前作のアンディ・スニープからクリス・“ゼウス”・ハリスに変更したことも功を奏してか、前作の王道さとは異なる前のめりなハードコア感が強まっている印象を受けます。

楽曲にしても、全10曲(ボーナストラック除く)中6分超えは1曲のみ。3〜4分台の楽曲が5曲と、ここ最近の彼らにしては意外とコンパクトにまとまっている印象を受けます。が、そこは我らがOVERKILL。4〜5分の中で複雑な展開を重ねていくアレンジは健在で、アンディの活きのよさもあってかリズム面がより強化されているような気がします。

特に冒頭3曲(「Last Man Standing」「Believe In The Fight」「Head Of A Pin」)の圧迫感はさすがの一言で、そこからスローな展開を含む「Bat Shit Crazy」やどことなくドラマチックさもあるミドルヘヴィ「Distortion」と、前半はかなり気持ち良い構成となっています。

後半もどことなくパンキッシュな「A Mother's Prayer」を筆頭に、ハードコアと王道メタルをミックスした「Welcome To The Garden State」、不穏さが際立つミドルチューン「Where Few Dare To Walk」、やはり突っ走ることを諦めない「Out On The Road-Kill」、とにかくドラミングの激しさが目立つ「Hole In My Soul」と、常に暑苦しさ全開。ある種“金太郎飴”的なアルバムではあるんだけど、同時代に誕生したバンドたちが次々とスタイルを変えていく中、自分たちに何が求められているかをよく理解し、一貫した方向性を保ち続けているその姿勢は尊敬に値するものがあるのではないでしょうか。

スラッシュメタル、パワーメタルの範疇で語れば“正しい”以外の何ものでもない1枚。ただ、先にも書いたように(過去のアルバムと比べて、という意味で)特に今回はあまりにも“金太郎飴”すぎて、キメの1曲や強く印象に残る楽曲が少ない気がします。この時代にこういうアルバムを作ってくれるその心意気には100点を与えたいけど(これを還暦前後のジイさんが歌っているってだけで満点なんだけど)、全キャリア中で繰り返し聴く作品の部類に入るかと言われると、若干微妙な立ち位置かもしれません。まあ、とはいえそれも時間が経ってみないとね。意外と長く楽しめる可能性もゼロではないので。

完成度は高いけど、現時点では彼らにしては平均点+αな1枚かな。

 


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2017年10月18日 (水)

『LOUD PARK 17』DAY 1@さいたまスーパーアリーナ(2017年10月14日)

Loudpark172年ぶりに『LOUD PARK』に行ってきました。2015年は2日目のみの参加でしたが、今回は本当に久しぶりの2日通しでの参加。いつ以来だろうと振り返ってみたら、なんと2009年(JUDAS PRIESTSLAYERがヘッドライナー)以来だったみたいです(笑)。2011年から1日のみ開催が2年続きましたが、それもあってか1日のみ参加というのも結構あったんですよね。

というわけで、せっかくなので久しぶりにメモ程度のレポを残しておこうかと思います。基本はSNS等でつぶやいたコメントが基になっていますので、がっつりしたレポートは各メディアでの本格的なレポートにてご確認ください(笑)。

では、このエントリーでは初日について書いていきたいと思います。


<DAY 1:10月14日(土)>

当日朝6時まで原稿を書いていたため、オープニングアクトAldiousからの参加は断念。せめてL.A.GUNSは観たい……ということで、頑張って9時台に起床。ギリギリ12時開始のL.A.GUNSには間に合いました。


L.A.GUNS
1曲目が3rdアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』のオープニングトラック「Over The Edge」で面喰らう。勢いよく始めるかと思ったら、このエモいヘヴィロックからかよ、と。ステージをよく見ると、左に昔のトレイシー・ガンズっぽいコスプレしたギタリスト、右に……アメリカ南部のモダンヘヴィネス系バンドにいそうなむさ苦しいギタリスト。あれ、どっちがトレイシーだ?……残念ながら右側でした(笑)。以降は新作『THE MISSING PEACE』から「Speed」やったり1stアルバムから「No Mercy」やったりしましたが、「Killing Machine」みたいな曲もあったりで、特に初期にこだわった感じではなし。あ、2nd『COCKED & LOADED』の曲が多かったです。ラストは「Rip And Tear」。あれ、「Sex Action」は? ということで、個人的には物足りないセトリでした(もともとのセトリには中盤に「Sex Action」、入ってたんですけどね)。

ANTHEM
いきなり「Bound To Break」始まりはズルい! そりゃあ盛り上がりますよ。以降は新し目の曲が続き、中盤「Hunting Time」から怒涛の流れ。ラストは“ANTHEM版「Painkiller」”こと「Onslaught」で締めくくり。短かったけど、久しぶりに堪能できました。

BRUJERIA
あのBRUJERIAが来日!ってだけでも大興奮。そりゃあ開始前から、観客の熱も上がりますよね。メンバーは当然覆面なんですが、ベースの方がどう見てもNAPALM DEATHの……いやなんでもないです(笑)。ゴリゴリ&大音量のグラインドコアと、サークルモッシュで暴れる血気盛んなオーディエンス、それを遠目で眺める自分。ああ、ラウパーに帰ってきたんだなと改めて実感しました。MCは基本スペイン語(という設定)ですが、ところどころに英語が混じっているのに苦笑。“Fuck ドナルド・トランプ”コールで会場の気持ちがひとつになったり、このバンドらしいマリファナコールにニヤニヤしたりと、改めて面白いバンドだなと思いました。

WINGER
たぶん生で観るのは『IN THE HEART OF THE YOUNG』(1990年)のツアー以来だから……いやいや、深く考えるのはやめましょう。メンバーは3枚目『PULL』(1993年)からの編成なので、キーボードは抑えめでギター中心のサウンドメイキング。キップ・ウィンガー(Vo, B)に白髪が混じっていて時の流れを感じさせますが、演奏や歌自体はそこまで衰えを感じさせず。序盤は最近の楽曲〜代表曲〜新曲〜代表曲みたいな流れで、セットリストのバランスはまずまず。中盤に結成30周年に触れてからはデビューアルバム『WINGER』からの楽曲が連発されるのですが、「Heading For A Heartbreak」みたいなシンセ曲ではキップがシンセを弾きながら歌い、ギターのジョン・ロスがベースにシフトするんですね。なるほど納得です。あ、このジョンのギタープレイがレブ・ビーチとはまた違ったタイプのバカテクで好印象。本当に演奏がうまいバンドですね。ただ、BRUJERIAの後という出番はいただけません。最初、音が小さくでビックリしたし(実際BRUJERIAがデカすぎて、WINGERは序盤から音を作っていった感じ。終盤にはその音のバランスの良さに驚きました)。後半の「Heading For A Heartbreak」「Can't Get Enuff」「Madalaine」「Seventeen」の流れ、最高でした。が、スピーカーので音が途中で飛んだり、レブのギターソロでアンプが飛んだりとハプニングも連発。そこだけが勿体なかったです。

OPETH
グラインドコア(BRUJERIA)、AOR的ハードロック(WINGER)からの流れだと、プログレッシヴロック的志向のOPETHはよりソフトに感じられました。長尺の楽曲を演奏で起伏をつけていくのはWINGERにも通ずるものがあるのですが、いかんせんタイプが違う。最近の楽曲は特にソフト志向なので、途中で眠気も……が、ラストの13分超におよぶ「Deliverance」でデス声登場。大好きなアルバムのタイトルトラックに大興奮ですよ。ここで一気に気持ちが持ち返しました。なんにせよ、長丁場のフェスに寝不足で挑むのはよくないですね(苦笑)。

OVERKILL
ここ10年くらい、出すアルバムがことごとく力作でキラーチューンも多い彼ら。実際のライブも往年の代表曲以上に新曲で盛り上がっていたのが印象的でした。にしても、このバンドも35年近いキャリアの持ち主(しかも一度も解散、活動休止なし)なのに、このテンションの高さには驚かされます。初めてライブを観たのはもう30年近く前ですが、基本的に印象はまったく変わらず。逆に観客の彼らに対する盛り上がりは、年々高くなってるように感じました。ラストの「Fuck You」含め、「ああ、そうそうこれ。スラッシュメタルだね!」っていう最高のステージでした。

ALICE COOPER
アリスも2008年以来の来日以来9年ぶり。1990年の初来日以降、毎回観てますが、一番時間が短かったにも関わらず正直今回が一番良かったと思いました。1曲目の「Brutal Planet」には驚いたものの、以降はいつもどおりヒット曲連発。まさか序盤に「Poison」を持ってくるとは思ってもみませんでしたし、「Feed My Frankenstein」ではジャンボマックス(死語)ばりの巨大アリスが登場して爆笑(しかも歌声も身長に合わせてか低くなってる!)。おなじみのギロチンショーもあり、ラストは「I'm Eighteen」「School's Out」で大団円。オールドスクールなロックンロールや60分に凝縮されたショーはラウパーっぽくないのかもしれませんが、それでも最高と言わざるをえない究極のエンタテインメントショーでした。

EMPEROR
二度目の来日となる今回は、2ndアルバム『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』発売20周年を記念した完全再現ライブを披露。緑を基調とした照明はジャケットの世界観そのもので、この日出演したバンドの中でもサウンド的にはかなりオールドスクールなブラックメタルに括られるものの、存在感や説得力はほかにはない特別なものが感じられました。最初こそ「うおー!」と盛り上がっていたものの、気づいたら無言になっており、その世界観にじっくりと浸る自分がいるという。イーサーン(Vo, G)の知的な感じも素敵でしたし、あの佇まいがそのまま音になったかのような、プログレッシヴなブラックメタルサウンドは20年経った今も有効であることも強く実感させられました。アルバムを曲順どおりに再現し終えると、そこからは「Curse You All Men!」「I Am The Black Wizards」「Inno A Satana」と代表曲を連発。「I Am The Black Wizards」まではスタンド席でじっくり観ていたのですが、「Inno A Satana」が始まった瞬間我慢できずにアリーナまで走ったのはここだけの話です(笑)。

SLAYER
2年ぶりのSLAYERですが、前回はラウパーのほうが日程的に観られなかったため、STUDIO COASTでの単独公演を観たのでした。最新作『REPENTLESS』を軸にしたセットリストは前回に似た感じですが、なぜでしょう、今回のほうが良かった気がします。いや、もっと言うと……ここ10数年観た中で一番良かったんじゃないでしょうか。ゲイリー・ホルト(G)が加わって時間が経ち、編成としてもかなり安定したのもありますし、『REPENTLESS』の楽曲が今のバンドに馴染んだというのもあるんでしょうけど、なんていうか……僕らがよく知ってる“あの”SLAYERが戻ってきたといいましょうか……非常に抽象的な表現で申し訳ないですが、そうなんですよ。完全に戻ってるんですよ、今のSLAYER。帝王って言葉がぴったりな、あのSLAYERに。セットリストもよかったなぁ。90分のセットで20曲くらい詰め込まれていて、特に終盤、「Seasons In The Abyss」から「Hell Awaits」「South Of Heaven」「Raining Blood」「Chemical Warfare」「Angel Of Death」という怒涛の流れは文句なしでした。ぶっちゃけ、首がもげましたもん(笑)。



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2017年3月 5日 (日)

OVERKILL『THE GRINDING WHEEL』(2017)

OVERKILLってすごく勤勉なバンドだと思う。1984年の最初のEP『OVERKILL』をリリースして以降、1〜2年に1枚ペースでアルバムを発表していて、21世紀に入ってからもそのペースはほぼ変わることなく、2〜3年に必ず1枚発表しているんだから。その結果、先月リリースされたニューアルバム『THE GRINDING WHEEL』が通算18枚目のオリジナルアルバムになるわけですから。

80〜90年代はそれほど熱心に聴いていたわけではなく、来日すれば観に行く、たまたま海外の滞在先でライブがあったから観に行ってみた、とかそのレベル。いや、それってかなり好きだったんじゃないの?と今気づいたわけですが……(苦笑)。本格的にハマッたのは、実は10年に満たないくらい。アルバムでいうと……15th『IRONBOUND』(2010年)くらいかな。そこから毎回新譜が出たらすぐに買い、気づけば旧譜もライブ盤、コンピ含めすべて揃えていたという。今はそれくらいには好きです。いや大好きです。

そんな彼らの新作。特に今回は長尺の楽曲が多いなと。オープニングの「Mean, Green, Killing Machine」からして7分半ですし、全10曲(ボーナストラックのカバー2曲を除く)中6分を超える楽曲が半数、それ以外もほぼ5分超えで、さらに頭とケツの「The Grinding Wheel」の2曲は7分超えですから。もちろんこれまでの彼らにはそういった作品はなくはなかったので(2012年の16th『THE ELECTRIC AGE』がまさにそんな感じかな。古くは1989年の4th『THE YEARS OF DECAY』なんてのもありましたし)特に問題はないのですが、今作は単にそういった作品の延長線上にあるものとはちょっと違うんですよね。

複雑な展開を持つ、いかにも80年代的スラッシュ「Mean, Green, Killing Machine」で聴き手を圧倒させたかと思えば、「Goddamn Trouble」「Our Finest Hour」でエンジンがフルスロットルに。特に後者の爆走っぷりは、これこそOVERKILLと叫びたくなるようなもの。確かに長尺曲3連発は人によってはキツいかもしれないけど、個人的にはこれで掴みはOK。「ああ俺、OVERKILLの新作聴いてるよ……」と悦に浸れるわけです。

ところが、5曲目「The Long Road」あたりから様相が変わり始めます。シンガロングできそうなイントロのメロディやギターフレーズ、スラッシュというよりは王道HM感の強い曲調&アレンジ、そこから通常運転的スラッシュアレンジへとなだれ込む構成は圧巻の一言。さらにドゥーミーさを持ち合わせたミドルヘヴィなイントロから転調してテンポアップする「Let's All Go To Hades」や「Come Heavy」にはBLACK SABBATHからの影響が感じられるし、ラストの「The Grinding Wheel」はサバスはサバスでもDIOサバス的な匂いのドラマチックさがあるし。そう、全体的に“ヘヴィメタル”が高いんです。

メタルバンドに対して何を言っているんだ?と思われるかもしれませんが、そこがそれ以前の作品と本作の大きな違い。OVERKILLらしい豪快なヤケクソ感は本作でも健在ですが、本作にはそこにレジェンドたちの功績を讃えるようなエッセンスが散りばめられており、それが絶妙な化学反応を起こしているように感じられるのです。それは、アルバム本編に続くボーナストラック2曲……THIN LIZZY「Emerald」と、日本盤のみ収録のIRON MAIDEN「Sanctuary」の両カバーが並ぶことで、より明確になります。さらにアルバムタイトル……これってJUDAS PRIEST『BRITISH STEEL』の自己解釈ってことでよろしいですよね?

スラッシュメタルバンドにありがちな「リフの数を増やして次々に展開していく長尺曲」ではなく、正統派ヘヴィメタルバンドが過去に生み出してきたスタイルをOVERKILL流に解釈した結果。それがこの力作『THE GRINDING WHEEL』なんじゃないでしょうか。ホント、大好きな1枚です。



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