カテゴリー「Ozzy Osbourne」の22件の記事

2019年3月19日 (火)

OZZY OSBOURNE『DIARY OF A MADMAN』(1981)

オジー・オズボーンが1981年11月に発表した、通算2作目のソロアルバム。BLACK SABBATH脱退を経て起死回生の一撃となったソロデビューアルバム『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)が全英7位、全米21位というヒットにつながり、バンドはそこから間髪入れずにレコーディングに突入。ランディ・ローズ(G)、ボブ・ディズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)という同じ布陣で制作されました。

聴いてもらえばわかるように、疾走感のあるオープニングトラック、ポップでキャッチーなシングル曲、メロディアスなスロー/ミディアムナンバー、ヘヴィなミドルナンバーという序盤の構成は前作『BLIZZARD OF OZZ』をなぞったもの。もちろんまったく同じというわけではないですが、作品の方向性としては何がやりたいかは一聴してすぐに理解できると思います。

ですが、このアルバムを聴き進めていくうちに、『BLIZZARD OF OZZ』を軸にした世界観がより広がりを見せていることにも気づかされます。パーカッシヴなドラミングから始まる「Little Dolls」は前曲「Believer」にも引けを取らないヘヴィでキャッチーな楽曲だし、オジーのビートルズ愛好家ぶりが反映されたメロディアスなバラード、ダイナミックなアレンジがひたすらカッコいいシャッフルナンバー「S.A.T.O.」、そしてクラシカルかつドラマチックな展開を見せる大名曲「Diary Of A Madman」。オジーの才能はもちろんですが、それを見事な形で具体化し、クオリティの高い作品へと昇華させたランディの才能も前作以上の形で開花しています。

もちろん、前作の延長線上と表現したアルバム前半の4曲も、1曲1曲のクオリティは前作以上。ランディのギタープレイも圧巻の一言で、個人的には「Over The Mountain」や「Flying High Again」のギターソロはいつ聴いても心踊るものがあります。「You Can't Kill Rock And Roll」のバラード調に始まりながらもサビで勢いをつけるアレンジも冴えまくっているし、サバス時代とは異なるヘヴィさがにじみ出た「Believer」のギターワークも最高。要するに文句の付けどころがない1枚なのです。

ランディ・ローズは本作発表後数ヶ月後の1982年3月19日に飛行機事故で此の世を去るわけですが、ランディ在籍時の本作収録曲の公式ライブ音源って「Flying High Again」「Believer」くらいしかなかったじゃないですか。そのせいもあってか、10代の頃はこのアルバムに対する印象が薄かったんです。ライブアルバム『TRIBUTE』(1987年)にも上記2曲しか収められていませんでしたしね。

ところが、年をとってからオジーのカタログをひととおり聴いて、何度もリピートしていくうちに『DIARY OF A MADMAN』の完成度の高さに改めて気づかされる。そんな機会が年々増えていったわけです。ぶっちゃけ、『BLIZZARD OF OZZ』と比較するのが愚問かと思えるぐらい、初期2作はそれぞれに素晴らしいアルバムであって、僕の中では甲乙付け難いんです。そう思うリスナー、絶対に多いと思うんですよね。

今年も3月19日がやってきてしまいました。残念ながら2日後に控えた『DOWNLOAD JAPAN 2019』でのオジー来日はキャンセルになってしまいましたが、だからこそ今日はこのアルバムを爆音で楽しめたらと……。



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2018年12月31日 (月)

OZZY OSBOURNE『LIVE & LOUD』(1993)

1993年6月にリリースされた、オジー・オズボーンのライブアルバム(同タイトルのライブ映像作品もあり)。1991年秋から翌年終盤まで行われたアルバム『NO MORE TEARS』(1991年)を携えて行われたワールドツアーの中からのベストテイクをセレクトして、CD2枚に収録。このツアーは当時、オジーの引退ツアーと銘打って行われたものだったこともあり、『NO MORE TEARS』からのヒット曲と中心にしつつも、BLACK SABBATH〜ソロの代表曲満載のグレイテスト・ヒッツ的選曲となりました。

オジーはこれまで4枚のフルアルバム(1982年の『SPEAK OF THE DEVIL』、1987年の『TRIBUTE』、2002年の『LIVE AT BUDOKAN』、そして本作)といくつかのライブEP、アルバム復刻版付属アルバムといった形でライブアルバムを発表しています。『SPEAK OF THE DEVIL』はBLACK SABBATH時代の楽曲オンリー、『TRIBUTE』は初期のソロ2作品とサバス曲のみ、また『LIVE AT BUDOKAN』はCD1枚ものということもあり、いわゆるフルスケールのライブがまるまる収められた形は、天時点ではこの『LIVE & LOUD』のみとなるわけです。

しかも本作、アルバム終盤の「Black Sabbath」でオジー、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)、ビル・ワード(Dr)の4人が集結。当時ありえないと言われていたオリジナル・サバスが復活した様子が、音源として収められているわけです。まあ、ここから10年も経たないうちにオジー・サバスは本格的に復活して、ニューアルバムやら来日やらが実現するわけですが(そこまでに復活から10数年を要しましたが)。

さて、アルバムの内容について。この当時のバンドメンバーはザック・ワイルド(G)、マイク・アイネズ(B)、ランディ・カスティロ(Dr)という編成。マイクはこのツアー終了後、ALICE IN CHAINSに加入してさらに知名度を上げることになります。

ザック在籍時のライブ作品はEP『JUST SAY OZZY』(1990年)や『LIVE AT BUDOKAN』がありますが、前者はギーザー在籍時とはいえ6曲のみだし、後者はチューニングを1音下げたバリバリにダーク&ヘヴィサウンドにシフトした時期。半音下げとはいえ、初期の楽曲をオリジナルに忠実に、かつザックらしいプレイも織り交ぜた若々しいギターを存分に楽しめるという意味でも、本作はたまらない内容と言えるでしょう。

オジーのボーカルに関しては、スタジオでオーバーダブしているので省略。ライブの生々しさは演奏面で味わいつつ、ボーカルは“いつもどおり”のものを楽しめる。“作品”という観点では文句のつけようがない1枚だと思います。

年明け3月には『DOWNLOAD JAPAN 2019』で正真正銘の“最後の”来日を果たすオジー。ありがたいことにザックも帯同しているので、全音下げのバリヘヴィなチューニングながらもオールタイムベストを堪能できることでしょう。そういった期待も込めつつ、年の瀬にこのアルバムを聴いて待望の来日に思いを馳せてみてはいかがでしょう。



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2018年12月21日 (金)

LITA FORD『LITA』(1988)

元THE RUNAWAYSのギタリスト、リタ・フォードが1998年初頭にリリースした通算3作目のソロアルバム。「Kiss Me Deadly」(全米12位)、「Close My Eyes Forever」(同8位)とヒットシングルが続出したこともあり、アルバムは最高29位まで上昇。アメリカのみで100万枚を超えるセールスを記録しました。

バンド時代のイメージを払拭するように、ソロではHR/HMスタイルへと移行した彼女。このアルバムにもそういった印象の強い楽曲を多数用意しており、なおかつメタル界から強力なバックアップを受けたこともあり、当時の流行に見事乗ることができたのかもしれません。

プロデューサーこそマイク・チャップマン(BLONDIE、THE KNACK、スージー・クアトロなど)というHR/HMの印象から程遠い人選ですが、ソングライター陣に目を向けるとM-2「Can't Catch Me」にはレミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、M-5「Falling In And Out Of Love」ではニッキー・シックス(MOTLEY CRUE)、M-9「Close My Eyes Forever」にはオジー・オズボーンの名前をクレジットで見つけることができます。

また、アルバムラストを飾る「Close My Eyes Forever」ではソングライティグのみならず、オジー本人がデュエットで参加。これがまた、彼らしい歌声&フレーズでたまんないんですよね。考えてみたら、オジー絡みの全米トップ10ヒットシングルって、これが最初だったのではないでしょうか。

アルバムのオープニング「Back To The Cave」こそサンタナ風のラテン調ロックですが、それ以降はLAメタル風味のゴリゴリ&キラキラしたハードロックチューンが満載。外部ライターによる楽曲ですが、シングルヒットした「Kiss Me Deadly」なんてど真ん中のポップメタルで、これでラジオヒットを狙ったんだろうなという魂胆が見え見えです。

かと思えば、「Can't Catch Me」はパワフルな疾走メタルだし、「Falling In And Out Of Love」もミドルテンポのメロディアスハードロックだし。だけど、アルバム後半になるとHEARTあたりのおこぼれを貰おうと思ったのか、ミドル〜スローナンバーが目白押し。「Under The Gun」「Broken Dreams」はまさにそういった路線の楽曲ですし、きわめつけはオジー御大を投入した泣きのバラード「Close My Eyes Forever」ですから。「売ってやろう!」っていう強い意思をここまで前面に打ち出せば、本当に売れるんですね(もちろん、大前提として楽曲の良さがあるわけですが)。

そりゃ、ここまで色気のある女性ですもの。オジーだってレミーだってニッキーだって放っておきませんよね。わかる、わかるよ。



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2018年3月19日 (月)

OZZY OSBOURNE『BLIZZARD OF OZZ』(1980)

先ごろツアーからの引退を発表し、次が最後のワールドツアーになるとアナウンスしているオジー・オズボーン。40代以上のメタルファンなら、オジーのこういった発言はこれが初めてじゃないことぐらいご存知でしょう。1991年、これが最後のツアーだと言われて無理して観に行った日本武道館公演。『NO MORE TEARS』(1991年)発売直後、確かワールドツアーのスタートがここ日本だったと記憶しています。2階席の一番後ろで観たザック・ワイルドは、やっぱり最高でした(そっちかよ)。

で、ご承知のとおり、オジーはその後何度もワールドツアーを行っておりますし、ここ日本にも何度も訪れております。しかも(ごく個人的な話になりますが)、その一環でオジー本人にインタビューする機会まで得ることになるとは……1991年の武道館を半泣き状態で観ていた自分に伝えてやりたいくらいです。

とはいえ、すでにオジーも69歳。長期にわたり世界中を旅して、毎日90分以上ものショーを行うには厳しい年齢です。フェアウェルツアーといいながら、おそらく2年は続くでしょうから、終わる頃には70歳を超えているわけですし、ここが引き際なのは間違いないでしょう。

そんなオジーのソロ活動における原点となるのが、今回紹介する『BLIZZARD OF OZZ』。今さら説明は不要でしょう。名盤中の名盤にして、伝説のギタリストであるランディ・ローズがオーバーグラウンドに羽ばたいた記念すべき1枚なのですから。

実は僕、これらのアルバムに収録されている楽曲を最初に聴いたのは、1987年発売のライブアルバム『TRIBUTE』から。なので、ライブバージョンでのラフな演奏のイメージが強くて。そのすぐあとに本作や、続く『DIARY OF A MADMAN』(1981年)のスタジオテイクを聴いたら、やたらと軽くてポップに聴こえちゃって。しばらくは受け入れがたかったんですよ。

けど、曲の良さはまったく変わらないわけで。もちろん、今は大好きですよ、このスタジオアルバムのほうも。

にしても、70年代にリアルタイムでBLACK SABBATHと接していたリスナーからしたら、このアルバムって当時どう映ったんでしょうね。確かにオジー時代の後期サバスには本作にもあるようなポップさも混在しているんですが、どちらかというと野暮ったさが強い。けど、この『BLIZZARD OF OZZ』は全体的に洗練されている。ギターリフの構成もソロの組み立て方も、メロディラインもすべて。そこが聴きやすさ=ポップさに直結しているんでしょうね。これをライブではワイルドに表現するわけですから、完璧ですよ。

「Crazy Train」も「Mr. Crowley」もよくコピーしたなあ。いまだにこの2曲はソロ含めてがっつり弾きたくなります。奥が深いんですよね、ギターソロが。

2000年代に入るとリマスターされたり、権利関係でリズム隊がロバート・トゥルージロ(B)&マイク・ボーディン(Dr)のプレイに差し替えられたりといろいろありましたが、現在はボーナストラック3曲を追加した形で、オリジナルテイクに戻されています。そんな曰く付きなのもあって、結局はシンプルな『TRIBUTE』に戻ってしまったり(笑)。なんつって。



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2018年2月 8日 (木)

OZZY OSBOURNE『BLACK RAIN』(2007)

2007年5月にリリースされた、オジー・オズボーン通算10枚目のスタジオアルバム(2005年のカバーアルバム『UNDER COVER』を除けば、オリジナル作品としては9枚目)。2001年の『DOWN TO EARTH』では制作後期に盟友ザック・ワイルド(G)が参加し、曲作りやベーシックトラックでのギタープレイは叶わずソロのみを加えるにとどまりましたが、今作では全10曲中8曲にソングライターとして名を連ね、ギターも全編にわたりザックらしいプレイを聴かせてくれます。

正直『DOWN TO EARTH』が自分的に厳しい内容だったので、発売当時は『OZZMOSIS』(1995年)以来12年ぶりの新作くらいの勢いで聴きまくりました。とはいえ、何度も聴いていると……オジーのアルバムを楽しんでいるというよりも、BLACK LABEL SOCIETYの新作を聴いているような錯覚に陥る瞬間が多々あるのですが。

チューニングもザックらしいダウンチューニングで、音の太さも(プロデューサーのケヴィン・チャーコによるものがあるとはいえ)いかにもザックっぽい。そういった全編ヘヴィな雰囲気の中にも、オジー&ザックらしいポップでキャッチーなメロディがしっかり備わっている。だからこそ「I Don't Wanna Stop」のような楽曲もしっかりポップに響くわけです。

かと思えば、「Lay Your World On Me」みたいに異色のサイケチューンがあったり、若干ヒップホップ的な色合いも見られる「The Almighty Dollar」もある。攻撃的なアップチューン「11 Silver」やグルーヴィーな「Civilize The Universe」、美しいピアノバラード「Here For You」、ダークだけどどこか80年代のオジーを彷彿とさせる「Trap Door」など、意外と多彩な楽曲群が揃っている。新しさを取り入れつつも、しっかりこれまでのオジーの作風を踏まえて制作されているわけです。

オジー本人は本作を「大ヒット作『NO MORE TEARS』(1991年)に続く作品」と捉えてるようですが、それはちょっと違うかな、と。確かにバラエティ豊かな点においては『NO MORE TEARS』と共通する点もあるのですが、あっちが原色豊富なカラフルさだとすれば、この『BLACK RAIN』はモノトーンとセピアが入り混じったような印象。ビビッドさは『NO MORE TEARS』のほうが上かなと思います。が、それも制作された時期や時代が反映されてこそなので、“2007年版『NO MORE TEARS』”と考えればあながち間違ってはいないのかもしれません。

現時点では、これがオジー&ザックのコンビによるラスト作ですが、もう1枚くらいこのコンビの作品を聴いてみたいなぁ。きっと今のザックなら、さらにバランス感の取れた作品を作ってくれるでしょうから。




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2017年11月24日 (金)

APPICE『SINISTER』(2017)

ロック/メタル界隈では知らない者はいない名ドラマー、カーマイン&ヴィニーのアピス兄弟がAPPICE名義でタッグを組んだ初のスタジオアルバム。ハードロックをベースに、2人の個性的なドラミング(曲によっては左右にパンされている!)を存分に味わえます。

もちろん楽曲自体の出来もなかなかのもので、楽曲ごとにクレイグ・ゴールディ(元DIO)、トニー・フランクリン(元BLUE MURDER)、ロビン・マッコーリー(元McAULEY SCHENKER GROUP)、ポール・ショーティノ(ROUGH CUTT、元QUIET RIOT)、ジョエル・ホークストラ(WHITESNAKE)、ロン・サール(SONS OF APOLLO)、ミック・スウェダ(BULLETBOYS)、フィル・スーザン(元OZZY OSBOURNE)、エリク・ノーランダ(LANA LANE)など名だたるシンガー/プレイヤーがゲスト参加した豪華な内容。

収録曲にはツインドラムによるバトルプレイで構成された「Drum Wars」や、カーマインが過去に在籍したBLUE MURDERの名曲「Riot」のセルフカバー、ヴィニーが在籍経験を持つBLACK SABBATHの名曲メドレー「Sabbath Mash」もあったり、意外と聴き応え満載の1枚です。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



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2017年9月 8日 (金)

OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS』(1991)

1991年秋に発表された、オジー・オズボーン通算6作目のスタジオアルバム。前作『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)から参加したザック・ワイルド(G)の才能が遺憾なく発揮された、オジー史上もっともバラエティに富んだ作品です。セールス的にも全米だけで400万枚を売り上げ、ソロデビュー作『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)に匹敵するヒット作となりました。

前作では従来のオジーらしさや「BLACK SABBATHのオジー・オズボーン」のイメージを踏襲した、ハードエッジなギターを前面に打ち出した攻めの1枚でしたが、本作ではハードさはそのままに、曲によっては非常にポップでキャッチーな作風を打ち出したり、ザックの持ち味であるアメリカ南部テイストと取り入れたバラード、さらにはLED ZEPPELINの香りすらするサイケデリックな大作など、とにかく1曲1曲の個性が際立っており、まるで“おもちゃ箱をひっくり返したかのような”作品集に仕上がっております。

興味深いのは、MOTORHEADのレミーが制作に加わった楽曲が多数含まれて居ること。のちにMOTORHEAD自身もセルフカバーする「Hellraiser」のほか、今やライブの定番曲となった「I Don't Want To Change The World」、シングルヒット(全米28位)も果たしたパワーバラード「Mama, I'm Coming Home」、前作の流れを汲むハードな「Desire」の4曲で、レミーは作詞面で協力したと言われています。

また、アルバム完成後にバンドに加わるマイク・アイネズ(B/のちにALICE IN CHAINSに加入)のアイデアが生かされたアルバムタイトル曲「No More Tears」は、その後のオジーにとって大きな転機となった1曲。もちろんソングライターとしてのザックの才能によるところも大きいのですが、こういった曲を自然にやれるようになったことで、オジーは自身のルーツにあるTHE BEATLESテイストを次作『OZZMOSIS』(1995年)以降もストレートに出していくことになります。

全11曲で57分というCDを意識した大作ですが、1曲1曲の出来が優れているだけにまったく飽きないし、そういう点においてはDEF LEPPARD『HYSTERIA』(1987年)などにも通ずる魅力があるのではないでしょうか。ただ、現行のCDには日本盤初版に収録されていたボーナストラック2曲「Don't Blame Me」「Party With The Animals」が世界共通ボートラとして追加され、計66分とさらに長くなっています。2曲ともあくまで“ボーナストラック”なので、完成度はアルバム本編と比べて若干落ちますので、普段聴くぶんには11曲目「Road To Nowhere」でキレイに締めくくったほうがいいかもしれませんね。

ちなみにオジーは本作発表後、同作を携えたワールドツアー終了を持ってライブから引退することを発表。しばし隠居生活に入りますが、結局1995年にはザックを呼び戻して『OZZMOSIS』で復活宣言。ツアーにはジョー・ホルムスが参加してライブ活動を再開させるのでした。



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2017年9月 3日 (日)

BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』(1970)

DEEP PURPLEが『IN ROCK』でハードロック化計画に突入するちょっと前、1970年2月13日(金)……そう、“13日の金曜日”にリリースされたのが、オジー・オズボーンが在籍するハードロックバンドBLACK SABBATHのデビューアルバム。『黒い安息日』と邦題が付けられた本作でシーンに現れた彼らは、パープルやLED ZEPPELINとともに70年代以降のHR/HMにとって礎的存在としてリスペクトされ続けています。特にサバスの場合、HR/HMシーンのみならず90年代に登場したグランジバンド(NIRVANASOUNDGARDEN、MELVINS、ALICE IN CHAINSなど)からもリスペクトされた、数少ないハードロックバンドのひとつです。

サバスというと「Paranoid」や「Iron Man」などキャッチーな曲がパブリックイメージとしてあったり、「Paranoid」「War Pigs」など名曲目白押しの2ndアルバム『PARANOID』(1970年)を名盤として挙げがちですが、この1stアルバムだってそれに負けないくらい強力な魅力が詰め込まれているわけです。まあ言ってしまえば、サバスは1stから3rdアルバム『MASTER OF REALITY』(1971年)までは本当にハズレなしなので、どれが一番かはその人の好みによって変わってくると思います。

で、このアルバム。オープニングの「Black Sabbath」のダウナーさ加減にまずは驚かされるわけですが、今やドゥームメタルやストーナーロックなどさらにダークでヘヴィでスローなメタルが多い時代なのでちょっとやそっとでは驚きません。ただ、この曲を初めて高校時代に聴いたときは、さすがに衝撃が走ったことを今でもよく覚えています。80年代育ちの僕らの世代にとって、オジーといえばあのキャラクターありきで、しかも曲調はもっとソフトでメロディアスなハードロックという印象。ライブでは「Paranoid」や「Iron Man」はやるけど、さすがにこういったダウナーな曲は当時やってませんでしたしね(サバス曲を掘り始めるのはザック・ワイルド加入以降のことですから)。

かと思えばブルースハープをフィーチャーしたブルージーな「The Wizard」、独特のグルーヴ感を持つ「Behind The Wall Of Sleep」、キャッチーなメロディの「N.I.B.」と、アナログでいうA面だけですでにおなかいっぱい状態。カバー曲の「Evil Woman」はさておき、不穏でもの哀しげな序盤からハードに展開する「Sleeping Village」、10分超の大作「Warning」、ジャズからの影響すら感じられるスリリングな「Wicked World」と、とにかく聴きどころの多い1枚となっています。

すでに1stアルバムの時点でこのバンドのスタイルが完璧に出来上がっているのが恐ろしいというか。あとはその個性をどうソリッドに研ぎ澄ますか。それが次作、次々作で完璧なまでに表現されてしまうのですから、ドラックの力ってすごいですね(たぶん間違ってると思う)。



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2017年5月 9日 (火)

OZZY OSBOURNE『THE ULTIMATE SIN』(1986)

1986年初頭にリリースされた、オジー・オズボーン通算4作目のソロアルバム。参加メンバーはオジー、ジェイク・E・リー(G)、フィル・スーザン(B)、ランディ・カスティロ(Dr)。プロデュースは当時SURVIVOR『VITAL SIGNS』(1984年)、HEART『HEART』(1985年)を手がけてヒットさせたロン・ネヴィソンが担当しており、過去3作の仰々しいブリティッシュヘヴィメタルサウンドがここで一気にアメリカナイズ&産業ロック化されてしまいます。

もちろん、これは当時オジー(やマネージャーであり妻のシャロン)がこれらの作品を気に入ったことで起用したわけですが、当時はファンから酷評された記憶があります。

が、しかし。僕自身初めて聴いたオジーのアルバムが本作。そんな酷評なんて知らなかったもんだから、純粋にMTVから流れてくる「Shot In The Dark」や「The Ultimate Sin」に心奪われ、アルバムに手を出したわけです。

確かに曲によってはやりすぎってくらいにシンセを重ねているし、どこか軽薄さの感じられるメロディも存在する。でも、アルバムを通して聴くと「そこまで気にするほどか?」と思ってしまうのも事実。過去との比較で音楽を聴いているわけではないので、これはこれで純粋に楽しめる作品集なんじゃないでしょうか。

ジェイクのギタープレイも前作『BARK AT THE MOON』以上に個性が確立されていますし、ギターをかじったことがある人なら思わずコピーしたくなるリフやフレーズも多いはずです。特に「Secret Loser」はその代表的な1曲だと思いますよ。このギターソロ、本当に難しいんだよね……。

ザック・ワイドル加入以降のオジーしか生で観たことない自分は、本作からライブで耳にしたことあるのは「Shot In The Dark」。その後もほとんど取り上げられることはないんですよね。それもあってか、本作は2000年代に入ってからのリマスター版カタログから、オリジナルアルバムとしては唯一外されているという。これは噂ですが、フィル・スーザンと揉めて彼に印税が行かないようにするためなんだとか(そういえば、1997年のベストアルバム『THE OZZMAN COMETH』も、ある時期から「Shot In The Dark」が「Miracle Man」に差し替えられましたしね)。

オジーのアルバムで唯一ダブルボーカル(同じ歌声を2つ重ねる手法)じゃないとか、そのほかにもいろいろ気になるトピックはありますが、リリースから30年以上経った今聴いても、良いものは良い。それでいいじゃないですか。個人的にはオジーの作品群でかなり好きな部類です。


Ultimatesin
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2017年3月20日 (月)

RED DRAGON CARTEL『RED DRAGON CARTEL』(2013)

HAREM SCAREM、オジー・オズボーンと続いたので(『TRIBUTE』は3月19日に紹介しようとは決めていましたが、その前にHAREM SCAREMを取り上げるというこの流れは意図的ではありませんでした)、今回はその2つが絶妙な形で合体したRED DRAGON CARTELを紹介したいと思います。

RED DRAGON CARTELはオジー・バンドの二代目ギタリスト、ジェイク・E・リーがBADLANDSの2ndアルバム『VOODOO HIGHWAY』(1991年)以来22年ぶりに本格始動させたバンドRED DRAGON CARTELの1stアルバム。日本では2013年12月、海外では2014年1月にリリースされています。アルバムではHAREM SCAREMのドラマー、ダレン・スミスが大半の楽曲でボーカルを務めていますが、4曲でゲストボーカルも採用。「Feeder」にはロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)、「Wasted」にはポール・ディアーノ(元IRON MAIDEN)、「Big Mouth」にはマリア・ブリンク(IN THIS MOMENT)、「Redeem Me」にはサス・ジョーダンと男女/ジャンル問わずさまざまなシンガーがジェイクの楽曲を歌っています。

1曲目「Deceive」の冒頭、オジーの「Bark At The Moon」を彷彿とさせるカミソリギターリフに歓喜したHR/HMリスナーは非常に多いのではないでしょうか。僕も間違いなくそのひとりで、それにつづくダレンのハスキーなボーカル含め非常にカッコよくて「これは期待できる!」とすぐに確信。もちろんその確信に間違いはなく、曲によってはインダストリアル調のアレンジを含むものもありますが、基本的にはジェイクのキャリアを知っている人なら納得できるものばかりでした。しかもBADLANDSで傾倒したブルースロックではなく、オジー・バンド在籍時を思わせる楽曲やプレイも豊富で、「ようやくこっちの畑に戻ってきてくれた!」とアルバムを聴き進めるうちに頰が緩んでいったものです。

「Wasted」でのモダンなアレンジはどことなく最近のオジーにも通ずるものがあるし、「War Machine」なんて完全にBLACK SABBATHリスペクトなアレンジだし。そりゃそうだ、本作のエグゼクティヴ・プロデューサー&ミキサーはオジーの近作を手がけるケヴィン・チャーコなんだから。それにザックはオジーの代表作『BARK AT THE MOON』(1983年)、『THE ULTIMATE SIN』(1986年)のメインソングライターでもあるわけで、“オジーっぽさ”がゼロなわけない。ダレンがライブでもボーカルを務めていることから、この形態がバンドとしては正しいんだろうけど、アルバム制作時はそこまでパーマネントなものとしては考えてなかったから、こういう作品になったのかもしれないですね(そのダレンも一時、バンドを脱退していますし。ますますバンド感が薄いような)。

オジーやサバスが好き、特にジェイク時代が好きという人なら間違いなく気に入る1枚。オジーっぽい曲を女性ボーカルが歌うと……という興味深い試みも楽しめますし。バンドっぽさは本当に希薄だけど、HR/HMファンならジェイク・E・リーというアーティストの実験の場として素直に受け入れられるはずです。



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