BLUR『LEISURE』(1991)
1991年8月26日にリリースされたBLURの1stアルバム。日本盤は同年9月20日発売。
1990年10月にシングル「She's So High」(全英48位)でデビューを果たしたBLUR。続く1991年4月発売の2ndシングル「There's No Other Way」(同8位)、7月発売の3rdシングル「Bang」(同24位)とスマッシュヒットを連発し、アルバム自体も最高7位という新人としては上出来な成績を残しています。
以降も長きにわたりタッグを組むスティーヴン・ストリート(THE SMITHS、モリッシー、THE CRAMBERRIESなど)が全体像をまとめる役割を果たした本作は、次作『MODERN LIFE IS RUBBISH』(1993年)以降に色濃く表れる王道ブリティッシュロック色&ストレンジなポップ感こそ完全開花してはいないものの、それでも独自性が随所に見受けられる良質な1枚。今聴くとBLURの王道からは若干逸れるかもしれませんが、これはこれとして楽しめる内容ではないでしょうか。
サイケデリックさと浮遊感が同居する「She's So High」や「Bad Day」、ダンサブルなビートが心地よい「Bang」や「There's No Other Way」あたりからは、当時ブレイクしていたTHE STONE ROSES以降の流れを汲むスタイルで、その後の彼らとは多少色が異なるかな。また「Slow Down」を筆頭に、MY BLOODY VALENTINEなどシューゲイザー影響下にあるオルタナ感も1991年という時代ならではか。こういった曲を聴くと、まだまだ彼ららしい個性が掴みきれていなかったんだなと再認識させられます。
その一方で、のちのブリットポップ路線にも通ずる「Fool」や、どこか捻くれた感が伝わる「Repetition」あたりに、その後のBLURの片鱗を感じ取ることができる。そのもっともたる1曲が、のちに映画『トレインスポッティング』を通じて再評価される「Sing」ではないでしょうか。先に記した“らしくない”要素と、その後の“らしさ”が集約されたクロスロードのような1曲でもあるのですが、1991年というブリットポップ“勃発前”にすでにブリットポップ“以降”を彷彿とさせる曲を完成させていた事実に、やはり恐るべしバンドだなと実感させられます。
我々がよく知るBLURは本作リリース直後に発表されたシングル「Popscene」(全英32位/アルバム未収録)からスタートするわけですが、その前夜感がひしひしと伝わる、まさに処女作と呼ぶにふさわしい1枚。デーモン・アルバーン(Vo)やグレアム・コクソン(G)の類い稀なる才能のかけらを、ぜひ感じ取っていただきたいです。
▼BLUR『LEISURE』
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