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カテゴリー「Bon Jovi」の38件の記事

2021年1月 3日 (日)

祝ご成人(2000年4月〜2001年3月発売の洋楽アルバム20選)

少し気が早いですが、新成人の皆さんおめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で7回目を迎えます。いつもは成人の日前後に掲載しているのですが、今年は書けるうちに……と思い、3が日に企画記事を固めてみました。

この企画は「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に貴重な機会でもあり、同時に「どれを20枚に含めるか?」というセレクトにおいても非常に頭を悩ます良いタイミングとなっています。

改めて趣旨説明を。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2000年4月〜2001年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちら、2019年度の新成人編はこちらです)

 

AEROSMITH『JUST PUSH PLAY』(2001年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

AT THE DRIVE-IN『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE AVALANCHES『SINCE I LEFT YOU』(2000年11月発売)

 

BJÖRK『SELMASONGS』(2000年9月発売)(Spotify

 

BON JOVI『CRUSH』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

COLDPLAY『PARASCHUTES』(2000年7月発売)(Spotify

 

DAFT PUNK『DISCOVERY』(2001年2月発売)(Spotify

 

DEFTONES『WHITE PONY』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

EMINEM『THE MARSHALL MATHERS LP』(2000年5月発売)(Spotify)(レビュー

 

ERYKAH BADU『MAMA'S GUN』(2000年11月発売)(Spotify

 

GORILLAZ『GORILLAZ』(2001年3月発売)(Spotify

 

GREEN DAY『WARNING』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE HIVES『VENI VIDI VICIOUS』(2000年9月発売)(Spotify

 

LIMP BIZKIT『CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『HYBRID THEORY』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

MADONNA『MUSIC』(2000年9月発売)(Spotify

 

PAPA ROACH『INFEST』(2000年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

QUEENS OF THE STONE AGE『RATED R』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

RADIOHEAD『KID A』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

U2『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

残念ながらセレクトから漏れた作品も多く。以下に主だった作品をピックアップしておきました。

A PERFECT CIRCLE『MER DE NOMS』(レビュー
AMERICAN HI-FI『AMERICAN HI-FI』(レビュー
BACKSTREET BOYS『BLACK & BLUE』
BLACK LABEL SOCIETY『STRONGER THAN DEATH』(レビュー
BRITNEY SPEARS『OOPS!... I DID IT AGAIN』
FATBOY SLIM『HALFWAY BETWEEN THE GUTTER AND THE STARS』
DECKARD『STEREODREAMSCENE』(レビュー
GODSMACK『AWAKE』
HALFORD『RESURRECTION』(レビュー
THE HELLACOPTERS『HIGHT VISIBILLITY』(レビュー
IN FLAMES『CLAYMAN』(レビュー
IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』(レビュー
JACK JOHNSON『BRUSHFIRE FAIRYTALES』(レビュー
KYLIE MINOGUE『LIGHT YEARS』
MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』(レビュー
MARILYN MANSON『HOLY WOOD (IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』(レビュー
MARVELOUS 3『READY SEX GO』(レビュー
MOTÖRHEAD『WE ARE MOTÖRHEAD』(レビュー
RAGE AGAINST THE MACHIE『RENEGADES』(レビュー
SiLVER GiNGER 5『BLACK LEATHER MOJO』(レビュー
UNDERWORLD『LIVE: EVERYTHING, EVERYTHING』(レビュー
ZEBRAHEAD『PLAYMATE OF THE YEAR』
V.A.『M:I-2 SOUNDTRACK』

2000年って振り返ると、サマソニが富士急ハイランドで初開催された年なんですよね。個人的にはあそこで観たMUSEとAT THE DRIVE-INの印象が(良くも悪くも)強く。あと、RAGE AGAINST THE MACHINEがその年の6月に単独来日を果たしているのですが、家庭の事情で参加できず。で、その年の11月に突如解散してしまった……なんてことも記憶に残っています。ちょうどこのサイトの前身(『とみぃの宮殿』)を始めて2年目から3年目というタイミングで、実は2000〜2001年頃に一度休止した記憶も。プライベートでも先の家庭の事情(家族の死)などもあって、バタバタしたタイミングで、実は音楽をそこまで真剣に聴いていたかと問われると……な時期でもあったことが思い出されます。

ということもあって、印象に残っているアルバム/20枚に残しておきたいアルバムのHR/HM比重が低くなっているのも印象的な1年かもしれません。そういえばこの時期、そんなに真剣に新興勢力(LINKIN PARKやPAPA ROACHなど)をリアルタイムでは聴いていなかったもんなあ。

まあ、個人的事情はさておき。国内に目を向けてもBLANKEY JET CITYの解散やLUNA SEAの終幕などありましたが、フジロックでそのブランキーやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがトリを務めたり、エレカシが「ガストロンジャー」以降のファイティングスタイル集大成としてアルバム『GOOD MORNING』を完成させたり、Mr.Childrenが大傑作『Q』を発表したりと、いろいろ記憶に残る1年だったことも付け加えておきます。あと、2001年3月には宇多田ヒカル『DISTANCE』VS 浜崎あゆみ『A BEST』メガセールス対決っていうのもありましたね。

これら20枚からプレイリストも作ってみたので、よろしければ連休中の暇つぶしとして、あるいは成人式の合間の時間つぶしとしてお楽しみください。

 

2020年10月 4日 (日)

BON JOVI『2020』(2020)

2020年10月2日にリリースされた、BON JOVIの15thアルバム。

本作は当初今年の5月15日に、『BON JOVI 2020』というタイトルで発表予定でした。しかし、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大、およびそれが影響した音楽産業の動きの鈍化(プレス工場の閉鎖やプロモーションの遅れなど)などが影響し約5ヶ月後に延期されることに。これに加えて、BON JOVIの場合はメンバーのデヴィッド・ブライアン(Key)が3月、実際にコロナに感染するという事件もありました。その後、サポートメンバーのエヴェレット・ブラッドリー(Per)や、ジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)の息子も感染し、バンドに大きな影を落とします。

当初、『BON JOVI 2020』という作品は以下の10曲が収録される予定でした。

01. Beautiful Drug
02. Unbroken
03. Limitless
04. Luv Can
05. Brothers In Arms
06. Story Of Love
07. Lower The Flag
08. Let It Rain
09. Shine
10. Blood In The Water

ここから昨年末に「Unbroken」が、今年2月に「Limitless」がシングルカットされています。

しかし、ジョンはこの世界的に深刻な状況に対して、そのときに感じた言葉を綴り新曲を2曲制作します。それが7月に公開された「American Reckoning」と「Do What You Can」でした。アルバムはこの2曲と「Luv Can」「Shine」を差し替え、新たな曲順でアルバムを再構築(同時に別4曲の歌詞を一部加筆)。こうして我々の手元に届けられたのが『2020』とシンプルなタイトルに改題された本作になります(日本盤のみ、カットされた「Luv Can」「Shine」がボーナストラックとして追加収録)。

日本盤をもとに、当初の『BON JOVI 2020』の曲順で聴いてみると、前作『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』(2016年)の作風をさらに一歩推し進めつつ、かなりダークでシリアスなトーンに統一された地味なアルバムという印象を受けます。過去作でいうと『THE CIRCLE』(2009年)『BOUNCE』(2002年)に近いのでしょうか。ただ、前者ほどロック然としていないし、後者ほど派手さやハードロック感はありません。『THE CIRCLE』で片足突っ込んでいた、U2的スタイルにより近づいたのかな、という感じです。

ところが、新曲2曲を加え、曲順を変えた『2020』はもうちょっと希望を感じさせる前向きなアルバムという変化を受けます。アップテンポの「Limitless」がオープニングに置かれたことで聴く側の気持ちも上がるし、そこに朗らかなカントリーロック「Do What You Can」が続くことで、2000年代後半のレイドバックし始めたBON JOVIとイメージが重なる。冒頭2曲の効果は非常に大きいと思います。

そこからシリアスで穏やかだけど力強さもしっかり伝わる「American Reckoning」、前作の延長線上にあるハードテイストの「Beautiful Drug」、優しいアコースティックバラード「Story Of Love」という前半の流れはデビューから40年近く経ち良い意味で老成したBON JOVIの深みを感じさせます。

後半がポジティブなロックチューン「Let It Rain」から始まるのも、本作をポジティブなものへと昇華させるうえで重要ではないでしょうか。ただ、そこから「Lower The Flag」「Blood In The Water」と内省的なスローナンバーが続くのですが(苦笑)。さらに「Brothers In Arms」というロックチューンで再びアゲていき、ラストは本作の始点である「Unbroken」で締めくくる。オープニング、中盤、エンディングとすべてにおいて今回の曲順のほうが聴き手をポジティブにさせる効果が強と思います。

で、何度か聴いて気づきました。本作は名盤『THESE DAYS』(1995) の後日譚なのではないかと……同作の主人公が大人になり、家庭を持ち、子供を持ち、社会の不条理に翻弄される。だけど、そんな苦難に負けじと何度でも立ち上がって前に進もうとする。『THESE DAYS』では世の中の不平等、不条理に嘆くことしかできなかった“私(=I)”が、ここでは“私たち(=We)”になったんじゃないか、と。歌詞から伝わる今のアメリカ&世界情勢を通じて浮かび上がる我々の日常という意味でも、2作は(25年という時間の流れはあるものの)兄弟作のような気がします。

80年代のBON JOVIから完全に脱却した『THESE DAYS』と、リッチー・サンボラ(G, Vo)が抜けたBON JOVIを新しい形にまとめあげた『2020』。本作は間違いなくBON JOVIにとって新たなターニングポイントになるはずです。もはやハードロックとは一切関係ない音だし、なんなら地味すぎて聴き手を選びそうな内容ですが、芯がしっかりしていてコンパクトにまとめられた本作を僕は支持したいと思います。

 


▼BON JOVI『2020』
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2020年5月 5日 (火)

BON JOVI『100,000,000 BON JOVI FANS CAN'T BE WRONG』(2004)

2004年11月にリリースされた、未発表中心で構成されたBON JOVI初のBOXセット。海外盤はCD4枚+インタビューで構成されたDVDの5枚組仕様ですが、日本盤のみBOX未収録のシングルC/W曲を10曲集めたボーナスディスクCDを追加した5CD+DVDの6枚組となっています。

本作は1984年にデビューしたBON JOVIの20周年と、トータルセールス1億枚突破を記念して制作されたもの。これまで正式リリースされていなかった未発表曲のデモ音源、アルバム曲として発表済みの楽曲のデモバージョン、シングルのカップリングや映画のサウンドトラック盤などでリリースしてきたアルバム未収録曲を集めたもので、CD4枚に50曲(日本盤はCD5枚に60曲)というボリューミーな内容となっています。

80年代のデモや未発表曲は比較的少なく、『NEW JERSEY』(1988年)用に多数制作された楽曲群は皆無(日本盤のみ、既発の「Let's Make It Baby」をDISC 5に収録)。これは、のちに『NEW JERSEY』のデラックス盤(2014年発売)でまとめてリリースされていることを考えると、『NEW JERSEY』完全版(というか『SONS OF BEACHES』)をのちにちゃんと形として残したいという考えがあったのでしょうね。

ということで、デモの大半は『KEEP THE FAITH』(1992年)以降のもので構成されており、中にはリッチー・サンボラ(G, Vo)が初ソロアルバム『STRANGER IN THIS TOWN』(1991年)のために用意したデモや、デヴィッド・ブライアン(Key)が映画『メンフィス』に提供したボーカル曲、ティコ・トーレス(Dr)がリードボーカルを務める未発表曲まで含まれており、バンドとしての蔵出し感が非常に強い内容となっています。

そんな中に、ほんの少しですが80年代のデモ音源も含まれておりまして、1986年の「Someday Just Might Be Tonight」は時期的に『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)のために制作されたものなのでしょう。曲の質感的には次の『NEW JERSEY』か、あるいは『KEEP THE FAITH』あたりにも通ずるものがあり、この“枯れた”感はジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)が若くして持ち合わせていたものなのだと気づかされます。そのほか、1985年の「We Rule The Night」はモロにハードロック色濃厚で微笑ましいですし、1986年の「Out Of Bounds」はいかにも『SLIPPERY WHEN WET』からのアウトテイクというノリで嫌いじゃないかな。

個人的に興味深いのは、既発曲のデモバージョン。どのような流れを経て完成に至ったのか、完成版から削られた未公開のメロディなどその過程が垣間見られるという点でも、お得感がかなり強いのではないでしょうか。DISC 4の最後にシークレットトラックとして収められている「Livin' On A Prayer」含め、隅々までその違いを確かめてみてください。

デモやアウトテイクといわれると「ボツ曲ってことは出来が悪いんでしょ?」って思ってしまいがちですが、そこはBON JOVIのこと。これまでもシングルのカップリングなどで発表してきた平均点以上の未発表曲を聴けばおわかりのとおり、基本的にはほかの同系統のバンドよりも優れた良曲ばかり。中には「本当にこれでボツなの?」と思わされるものも多いですし、「Real Life」や「Good Guys Don't Always Wear White」などサントラでしか聴くことができなかった“隠れた名曲”にもこの機会に触れることができる本作。初心者にはオススメしませんが、BON JOVI好きを公言するリスナーには必ず引っかかるポイントがある作品集だと思いますよ。

こんな貴重なボックスセットがストリーミングサービスで手軽に楽しめるようになるなんて。なんて便利な世の中になったんでしょうね。

 


▼BON JOVI『100,000,000 BON JOVI FANS CAN'T BE WRONG』
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BON JOVI『GREATEST HITS』(2010)

2010年10月下旬に発表されたBON JOVIのコンピレーションアルバム。

文字通り、BON JOVIのヒットシングルを凝縮したグレイテスト・ヒッツ的内容で、新曲2曲を加えたディスク1枚で構成された通常盤と、さらに新曲2曲(計4曲)を加えた2枚組の“THE ULTIMATE COLLECTION”の2仕様が用意されました。全世界で大ヒットを記録した『CROSS ROAD』(1994年)から16年ぶりのベスト盤とあって、チャート的には前作の8位を上回る全米5位を記録しています。

実は本作、『CROSS ROAD』のとき同様に北米とそれ以外の国(主にヨーロッパ)、そして日本とで収録内容および曲順が一部異なります。2枚組の“THE ULTIMATE COLLECTION”ですと北米盤が計28曲(DISC 1:16曲、DISC 2:12曲)、インターナショナル盤が計30曲(DISC 1:16曲、DISC 2:14曲)、日本盤が計31曲(DISC 1:17曲、DISC 2:14曲)と日本盤が最多となっているので、ここでは日本盤の2枚組仕様について話を進めていきたいと思います。

DISC 1は通常盤と同じ内容で、『CROSS ROAD』との被りが10曲と非常に既視感の強い選曲。前回オミットされた「Born To Be My Baby」が入っていたり、「Lay Your Hands On Me」がフェードアウトするシングルエディットで物足りないなど良い面悪い面それぞれありますが、日本盤のみの追加トラックがもはや(ありがたくない)お約束となった「Tokyo Road」というのは……(以下、割愛)。「It's My Life」「Have A Nice Day」「Who Says You Can't Go Home」といった2000年代のヒットシングルもしっかり収められているので、2010年までのBON JOVIを手軽に振り返るという意味では、このシングルディスクでも十分事足りるかと思います。

気になる新曲2曲は、直近の新作『THE CIRCLE』(2009年)の路線というよりは、それ以前の“BON JOVIらしさ”が復活した温かみの強い佳曲。「What Do You Got?」はミディアムテンポのソウルバラードで、『LOST HIGHWAY』(2007年)あたりに入っていても違和感のない仕上がり。もうひとつの「No Apologies」はサビメロから始まる王道スタイルで、シンプルな作風ながらも強いビートとわかりやすい歌メロが好印象な良曲です。おまけとしては十分なクオリティで、過去の代表曲にも十分馴染んでいるかなと思います。

DISC 2は大きなヒット曲は少ないものの、BON JOVIファンなら誰もが知るような人気曲、ライブの定番曲などを多数収録。「In These Arms」「I'll Sleep When I'm Dead」「Keep The Faith」「Bed Of Roses」などの『KEEP THE FAITH』(1992年)収録曲、「This Ain't A Love Song」「These Days」といった『THESE DAYS』(1995年)からのシングル曲はすべてこちらに追いやられており(苦笑)、90年代は黒歴史かと言わんばかりの扱いなのは気になりますが、近年のシングル曲「Lost Highway」「When We Were Beautiful」「(You Want To) Make A Memory」や唯一の非シングル曲ながらもライブ必須の代表曲「Blood On Blood」が選ばれているのは興味深いかな。

だけど「In And Out Of Love」よ、お前は本当に必要だったのか? 1stアルバム『BON JOVI』(1984年)から選ぶなら「Runaway」は納得だけど、2ndアルバム『7800° FAHRENHEIT』(1985年)から毎回この曲なのは如何なものかと。だからといって「Tokyo Road」ではないんだけどね。この、一見全オリジナルアルバムから最低1曲ずつ選ばれているような錯覚に陥る選曲ですが、実は8thアルバム『BOUNCE』(2002年)からは1曲も選出されていないという事実に気づいたのは、聴き終えてしばらく経ってからでした。それくらい影の薄いアルバムというのも……切ない。

で、さらなる新曲2曲についても。「This Is Love This Is Life」は、リッチー・サンボラ(G, Vo)のマウス・ワウをフィーチャーした、“2000年以降のBON JOVIらしい”王道マイナーロック。メロディや曲構成などのシンプルさは近代的ですが、リッチーのソロが最高にカッコいい1曲です。もうひとつの「The More Things Change」も近年の彼ららしいカントリー経由のアメリカンロック。DISC 1収録の2曲と比べたら、ちょっとインパクトに欠けるかな。けど、DISC 2の流れで聴くと全然アリと思えるから不思議です。

実はBON JOVIのオフィシャルサイトで本作を予約した人や、インターナショナル盤のiTunes購入特典として、さらなる新曲「This Is Our House」を手に入れることもできました。こちらはのちにデジタルシングルとして配信リリースされており、現在各種ストリーミングサービスでも聴くことができるので、あわせてチェックしてみてください。スケール感の大きなシャッフルビートのスタジアムロックで、正直なぜこれをアルバム本編に入れなかった?と思うはうですから(笑)。

 


▼BON JOVI『GREATEST HITS』
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2020年5月 4日 (月)

BON JOVI『BURNING BRIDGES』(2015)

2015年8月下旬に発売されたBON JOVIの通算13作目のスタジオアルバム。

リッチー・サンボラ(G, Vo)の脱退、デビューから30年以上にわたり在籍してきたMercury Recordsとの契約終了などネティブな話題が続いたBON JOVI。2014年のメジャーデビュー30周年を経て届けられた本作は、ファンへの感謝の気持ちを伝える“ファン・アルバム”という名目のもと発表された古巣レーベルからの最終作。正式なオリジナルアルバムという形とは異なり、内容は過去に書き下ろしながらも録音してこなかった未発表曲に新曲を加えた異色の内容となっています。

本作制作の時点ですでに次作『THE HOUSE IS NOT FOR SALE』(2016年)に取り掛かっていることから、今作は前作『WHAT ABOUT NOW』(2013年)と次作をつなぐ橋渡し的な内容とも言えます。実際、多くの楽曲はその2作に収録されていたとしても不思議ではない雰囲気/テイストのものばかりで、それもそのはず、全10曲(ボーナストラック除く)中9曲がジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)の単独作もしくは外部ライターとの共作という『WHAT ABOUT NOW』の流れを汲むものがあるからです。

リードトラック「Saturday Night Gave Me Sunday Morning」のみジョン&リッチー(とプロデューサーのジョン・シャンクス)共作で、確かに2000年代以降のBON JOVIらしさに満ちたテイストなんですけど、リッチーのギターやコーラスが入っていないせいか、ジョンがソロでロックバンド的なことをやったらこうなる……みたいな仕上がり。それ以外の楽曲もすべてそんな感じで、「ギターロック」アルバムというよりは「ボーカル」アルバムというイメージ濃厚かな。それが悪いという意味ではないんですけど、どうにも物足りなさを感じてしまうのも確か。

「リッチーは抜けたけど、バンドは続いていくよ。応援ありがとう」という感謝の気持ちと、「レーベルが思うようにサポートしてくれないから、今作ってる新作は新しく契約したレーベルから出して、過去の未発表曲と新作に入れない曲を録ったアルバムで残った契約1枚分を消化しよう」という消極的な気持ちが入り混じった、なんとも言えない1枚。それもあって、CDジャケットはペラ1枚で歌詞もクレジットもなし、全10曲で40分という80年代前半以来のコンパクトな構成。でも、曲は平均点以上のものばかりで、ファンならば間違いなく楽しめる内容。うーん、評価に困る作品ですね(苦笑)。

そうやってプロモーションにも消極的だったためか、チャート的にも全米13位と振るわず、セールス的にも現在までに10万枚にも満たないんだとか。でもね、何度も書くけど悪くはないんですよ? ただ、ベストでもない。ジョンのソロアルバムくらいの軽い気持ちで接すれば、バンドのファンもきっとポジティブに楽しむことができるはずです。

『WHAT ABOUT NOW』同様、全タイトル中聴く頻度がもっとも低い作品ではありますが、『THE HOUSE IS NOT FOR SALE』を経て聴き返すと発見も多いですし、やっつけでもこれくらいのクオリティの作品が作ることができるBON JOVIってやっぱりすげえな、と思わされる1枚です。

 


▼BON JOVI『BURNING BRIDGES』
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BON JOVI『WHAT ABOUT NOW』(2013)

2013年3月中旬に発表されたBON JOVIの12thアルバム。

前作『THE CIRCLE』(2009年)から3年4ヶ月ぶり、新曲を含むベストアルバム『GREATEST HITS』(2010年)から数えても2年4ヶ月と、現代においては比較的短いスパンで届けられた本作。10thアルバム『LOST HIGHWAY』(2007年)から続く記録を更新し、連続3作/通算5作全米1位という快挙を成し遂げました。しかし、セールス的には世の中の流れに沿うように下降気味で、アメリカでは初めてゴールドディスク(50万枚以上)獲得ならず、世界的にもトータル150万枚と前作から半減する結果となりました。

リッチー・サンボラ(G, Vo)曰く「ロックンロールに回帰した、至るところに大合唱できるようなコーラスがあって“これぞBON JOVI”って内容」だった前作『THE CIRCLE』は、全体のトーンが暗めで落ち着いた大人のハードロックを展開したBON JOVIでしたが、続く今作では前作のテイストを少し残しつつも9thアルバム『HAVE A NICE DAY』(2005年)や『LOST HIGHWAY』で顕著だった「レイドバックしたカントリーロックテイスト」が復活。全体の空気感もポジティブさに満ちたもので、『LOST HIGHWAY』がお気に入りというリスナー(そう多くないかもしれませんが)には好意的に受け入れられる内容かと思います。

でも、このテイストってBON JOVIというよりもジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)個人のものなんじゃないか?という気もしていまして。実際、ソングライティングのクレジットに目をやると、ジョン単独およびジョンと外部ライターとの共作による楽曲が全12曲中7曲と過半数を占め、海外デラックス盤だと全15曲中10曲がジョン単独制作に近い楽曲(日本盤は全17曲と最多収録曲数なのですが、さらに1曲増えて11曲がジョン単独制作に近い楽曲)になるわけです。これ、現時点での最新作『THE HOUSE IS NOT FOR SALE』(2016年)とほぼ同じ流れなんですよね。そう考えるとこの2作って、いろいろ共通点や似ているポイントも多くないですか?

リッチーとの共作(およびジョン&リッチー+外部ライター)曲が少ないのは、リッチーのアルコール依存症治療も大きく影響しているのでしょうか(2011年の来日時はそのため不参加)。また、本作の完成前後にリッチーが3rdソロアルバム『AFTERMATH OF LOWDOWN』(2012年)に取り掛かったことも大きかったのかな。のちにリッチーはこのアルバムの楽曲に対して「もっと練り込むべきだった。もうひと手間かけるべきだったのでは」と疑問を呈していましたが、バンドのアルバムとして考えるとその声も頷ける気がします(自身がソングライティングに思うように参加できなかったからこその、外側からの貴重な意見ですよね)。

そういう意味でも、本作はジョンのソロ色が強く表出し始めた最初のアルバムであり、結果リッチーはバンドを離れることになってしまうわけです。もちろん、それだけが理由ではないと思いますが。

そんなネガティブな要素を孕む本作。確かにザッと聴く限りでは突出した1曲が少ない、全体像がぼんやりとした印象のアルバムかもしれません。また、特に日本盤は全17曲と無駄に曲数が多いのも災いして、なかなか通して聴く気の起きない1枚でもあるんですよね(苦笑)。

でも、リリースから7年を経た今聴くと、(『THE HOUSE IS NOT FOR SALE』を通過したせいもあってか)意外と楽しめる1枚なんですよね。ボーナストラックを除く12曲入りアルバムとして接すれば、そこまで悪い印象は受けないし、確かにジョンのソロ色は強いけど、しっかりリッチーの個性も感じられるし、バンドとしてのアンサンブルもしっかり“らしさ”を主張している。ここにキラーチューンが1曲含まれていたら、もうちょっと高く評価されていた1枚なのかなと、改めて思いました。

あと、デラックス盤のボーナストラックにバンド以外の楽曲(ジョンやリッチーのソロ名義による楽曲)を入れるのは如何なものかと思いました。この行為も本作に対するネガティブイメージを後押ししているような気がしてなりません。だって、AEROSMITHスティーヴン・タイラージョー・ペリーがソロで制作した楽曲は収録されていないし、ストーンズだってミックキースはバンドとソロの間に一線を引いている。そりゃバンド崩壊するわ……。

リッチーファンのは後味の悪い1枚かもしれませんが、80〜90年代のスタイルにとらわれないBON JOVIのリスナーなら肩の力を抜いて楽しめる良作だと思います。散々ひどいこと書いてきましたが(苦笑)、まずは難しいこと考えずに触れてみてはどうでしょう。

 


▼BON JOVI『WHAT ABOUT NOW』
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2020年1月29日 (水)

DESMOND CHILD『DESMOND CHILD LIVE』(2019)

2019年10月末にリリースされた、デズモンド・チャイルドのライブアルバム。日本盤未発売(2020年1月末時点)。

ご存知のとおり、デズモンド・チャイルドは職業作家としてBON JOVIAEROSMITHKISSアリス・クーパーなどに楽曲提供および共作を続けてきたアーティスト。さらにプロデューサー業のほか、自身もシンガーとして70年代にDESMOND CHILD & ROUGE名義で2枚のアルバム、90年代にはソロアルバム『DISCIPLINE』(1991年)をリリースするなど音楽家としても知られています。

その彼が、『DISCIPLINE』以来28年ぶりにソロ名義でのアルバムを発表しました。本作は2018年3月1〜3日にニューヨークで行われた、40年以上にわたるデズモンドのミュージシャン人生を祝すスペシャルライブの模様を収めたもの。当日は彼が過去に手がけた楽曲のほか、DESMOND CHILD & ROUGEの楽曲、さらにはローラ・ニーロ「The Man Who Sends Me Home」、ジョージ・マイケル「Fast Love」といったフェバリット・ナンバーのカバーも披露sれています。

アルバムにはこのうち、デズモンドの作家人生を総括するようなヒットナンバー、隠れた名曲などをピックアップ。彼自身が歌うナンバーもあれば、ハウスバンドのギタリストや女性コーラスが歌うものも含まれており、原曲の良さをできる限りベストな状態で伝えようとする意思が伝わってきます。

内訳的にもBON JOVIから「Livin' On A Prayer」「You Give Love A Bad Name」「(You Want To) Make A Memory」、AEROSMITH「Dude (Looks Like A Lady)」「Angel」、KISS「I Was Made For Lovin' You」、JOAN JETT & THE BLACKHEARTS「I Hate Myself For Loving You」、HANSON「Weird」、マイケル・ボルトン「How Can We Be Lovers?」、シェール「We All Sleep Alone」、リッキー・マーティン「The Cup Of Life」「Livin' La Vida Loca」「Shake Your Bon-Bon」「She Bangs」(以上、4曲メドレー)、そしてDESMOND CHILD & ROUGEの「Love On Rooftop」(のちにシェールもカバー)、ブロードウェイ・ミュージカル『CUBA LIBRE』から「Where Do I Go From You」と実に幅広い選曲。ここにエアロ「What It Takes」「Crazy」やアリス・クーパー「Poison」、BON JOVI「Keep The Faith」あたりも入っていたら最高だったんですけどね(笑)。

まあ、バンドメンバーがハードロック畑の人ではなくAOR流れの人たちなんでしょうか。演奏はエッジが効いた感じではなく心地よさを重視した、悪く言ってしまえば「毒にも薬にもならない」安パイなもの。まあ曲の良さを伝えるという点においては、この形がベストなんでしょうね。それに、デズモンドもすでにいい年齢(この時点で64歳)ですから、これくらいのヌルさがちょうどいいのかもしれませんし。

にしても、本当にいい曲を書くソングライターだなと改めて実感。もちろん、どの曲も彼ひとりで書いたものではなく、それぞれのアーティストとの化学反応あってこそですが、仮に楽曲の骨格をアーティスト自身が作ったものであったとしても、そこにデズモンドが一手間加えることでスペシャルなものになるわけですからね。そのセンス、才能は飛び抜けたものがあるってことなんでしょう。じゃなかったら、ここまで知ってる曲連発のライブアルバムなんて作れないわけですから。

あと、BON JOVIの中でも比較的地味なヒット曲に含まれる「(You Want To) Make A Memory」をアルバムラストに選ぶあたりに、彼のこだわりやセンスが感じられるかも。この曲、派手さは皆無だしジワジワ盛り上がっていく構成といい本当に地味なんですけど、変な中毒性があるんですよね。

以前、こんな職業作家の記事を書きましたが、今回の記事とあわせて読んでいただくことで、デズモンドを含む職業作家の面白さに気づいてもらえたら幸いです。

 


▼DESMOND CHILD『DESMOND CHILD LIVE』
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続きを読む "DESMOND CHILD『DESMOND CHILD LIVE』(2019)" »

2019年4月 9日 (火)

BON JOVI『THIS LEFT FEELS RIGHT』(2003)

2003年11月(日本では同年10月末)にリリースされた、BON JOVIの再録アルバム。80〜90年代に発表されたヒットシングルの数々をアコースティックベースでリアレンジした全12曲で構成されています。当初は「Last Man Standing」「Thief Of Hearts」といった新曲も収録予定とアナウンスされましたが、最終的に外されることに。これらのアイデアが元になり、2005年のオリジナルアルバム『HAVE A NICE DAY』とつながっていくことになります。

アコースティックベースとはいえ、完全なる“アンプラグド”アルバムではなく、しっかりエレクトリックギターやベースなども使用されております。だって、オープニングの「Wanted Dead Or Alive」からしてモダンなLED ZEPPELIN風アレンジですから。このダイナミズム、嫌いじゃない。個人的にはこの1曲だけで“アリ”なアルバムになる予定でした。

「予定でした」というのは、以降の楽曲を聴いてもらえばわかるように、レイドバックというか無駄に枯れてしまった感の強い、肩の力抜けすぎなリアレンジが続くからに他ありません。「Livin' On A Prayer」は元からあるアコースティックバージョンをベースに、リッチー・サンボラ(G, Vo)の代わりにオリヴィア・ダボが歌ったものに。これはこれで悪くないんだけど、続く「Bad Medicine」の“高いキーが出なくなったからメロを変えまくったらつまらない曲になりました”的アレンジや「It's My Life」の“それ、ただの演歌やんか”的アレンジ、などなど……“これじゃない”感連続の内容となっています(苦笑)。

ぶっちゃけ、リリース当時は数回聴いたっきりで放っておいたのですが、あれから15年以上経ち、久しぶりに聴いてみたら……印象まったく変わってなかった(笑)。「Wanted Dead Or Alive」は相変わらず“アリ”だけど、他の曲は……悪くはないけど良くもない。なにもBON JOVIの名前でやることではなかったな、と。山場のまったくない「I'll Be There For You」とか聴いた日にゃあ……これ、ジョン・ボン・ジョヴィがソロでやればよかったのにね。

そもそも、選曲が良くなかったんじゃないかな。無理にシングル曲にこだわったばかりに、中途半端な中身になってしまったわけで、例えば「Love For Sale」や「Someday I'll Be Saturday Night」といったもともとアコースティック調の楽曲ならアイデアひとつで別の表現ができたはずなのに(それだと、あまり変わり映えしなかったのかな)。そういった意味では、初回限定盤付属DVDに収められたAOLセッションズのほうが見応え/聴き応えがある気がします。

全米14位と大きなヒットにつながらず、ファンの間でもスルーされることの多い1枚ですが、『HAVE A NICE DAY』へとつながるという点においては大きな役割を果たした作品なのかな。そう考えると、こういう失敗も悪くないのかも。

にしても……あと10年経ったら、この良さが理解できるんだろうか。そうなりたいような、なりたくないような(苦笑)。

 


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2018年11月27日 (火)

BON JOVI『NEW JERSEY: DELUXE EDITION』(2014)

BON JOVIの4thアルバム『NEW JERSEY』(1988年)に、同作制作時に録音したアウトテイクなどを加えたCD2枚組(もしくはCD2枚組+DVD)作品。バンドのデビュー30周年を記念して、海外で2014年6月、日本で7月にリリースされました。

当初、メガヒットを記録した『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)に続くニューアルバムのために、ジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)とリッチー・サンボラ(G)はアルバム2枚分以上もの新曲を用意しました。文字どおり、彼らはあの天文学的セールスを打ち立てた3rdアルバム続く4thアルバムを2枚組アルバムにしようと計画していたのです。

しかし、レーベル側からは「2枚組だと単価が高くなり、売り上げに影響する」と難色を示されます。また、用意された楽曲の大半が『SLIPPERY WHEN WET』で示したキャッチーさとは少々距離のある、ヘヴィさを打ち出した作風だったこともあり、レーベルは「1枚でのリリース」「キャッチーな楽曲を追加で書き下ろす」ことを指示。そうして完成したのが、我々の知る『NEW JERSEY』というアルバムでした。

つまり、このデラックス・エディションは当初バンドが想定していた2枚組の、『SONS OF BEACHES』と題された幻の4thアルバムに近い形なのです。

とはいえ、収録曲順などは本来考えていたものとは大幅に異なるはずです。まず、ディスク1が現行の『NEW JERSEY』12曲に、トリビュートアルバムに提供したTHIN LIZZYのカバー「The Boys Are Back In Town」、シングルのカップリングで発表済みのデモ音源「Love Is War」、ヒットシングル「Born To Be My Baby」のアコースティックバージョンを加えた全15曲。すべて既発曲で構成された、まあわかりやすい1枚です。新たにリマスタリングも施されているので、以前のバージョンよりもクリアで迫力のある音を楽しめるのではないでしょうか。

こうやって並べて聴くと、「Love Is War」は「You Give Love A Bad Name」や「Livin' On A Prayer」路線を狙って書いた1曲なんでしょうけど、そのレベルには達していない、だからアルバムから外されたんだってことがよくわかるかと思います。ある意味残酷ですね。

で、問題はディスク2。13曲のデモ音源が収録されており、そのうち「Homebound Train」「Wild Is The Wind」「Stick To Your Guns」は『NEW JERSEY』本編にも収録。「Diamond Ring」はのちに6thアルバム『THESE DAYS』(1995年)で正式にレコーディングされることになります。また、「House Of Fire」はアリス・クーパーの大ヒットアルバム『TRASH』(1989年)に収録、「Does Anybody Really Fall In Love Anymore?」はのちにシェールやケイン・ロバーツに提供することになります。つまり、ボツにはなったものの、意外と耳にしたことのある曲が多く含まれているってことです。

ここで初めて耳にするレア曲やボックスセット『100,000,000 BON JOVI FANS CAN'T BE WRONG』(2004年)に含まれていた曲、90年代に海賊盤で流出したデモ音源集ですでに聴いていた楽曲も含まれており、コアなファンにはそこまで新鮮な驚きはないかもしれません。第一、『NEW JERSEY』という非常に完成されたアルバムの楽曲群と比較すれば、デモ音源とはいえディスク2で聴けるレア曲たちは……やっぱり“劣る”んですよね。そりゃあアルバムから漏れるわ、っていうのも納得してしまうというか。これを全部正式にレコーディングして、2枚組でリリースしていたら、もっと印象の薄い作品集になっていたんだろうなあ。で、リリースから30年経った今もこうして楽しめていたのかなぁ……そういう意味では、バンドもレーベルも正しい判断を下したのではないでしょうか。

あ、個人的に気になったのは、のちにリッチーが自身のソロアルバム『STRANGER IN THIS TOWN』(1991年)に収録した「Rosie」のデモが収録されていないこと。海賊盤では何度も耳にしていたこの曲のデモを、クリアな音質で楽しめると思ったのに。そう考えると、ここに収められたのが『SONS OF BEACHES』デモのすべてではないってことなんですよね。勿体ぶりやがって。

というわけで、現在5年ぶりの来日ツアーを実施中のBON JOVI。今宵はこの名盤+“名盤前夜”の2枚組を聴きながら、改めてこのバンドの魅力に浸ってみてはいかがでしょう。

 


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2018年7月24日 (火)

BON JOVI『THE CIRCLE』(2009)

2009年11月にリリースされた、BON JOVI通算11作目のスタジオアルバム。

前作『LOST HIGHWAY』(2007年)ではカントリー色を強調した作風で19年ぶりの全米1位を獲得しましたが、続く本作もアメリカで初登場1位を記録。セールス的にはそれまでずっと保ってきたミリオンを初めて割り、50万枚程度(全世界で300万枚)にとどまっています。また、大きなヒットシングルも生まれず、リードトラック「We Weren't Born To Follow」が最高68位に達したのみでした。

では、このアルバムは前作までと比べて駄作なのかというと、まったくそういうこともなく。むしろ、『LOST HIGHWAY』で離れてしまったハードロックファンを少しでも引き戻す魅力が詰め込まれているのではないか、と思っています。

当時のインタビューで、リッチー・サンボラ(G)はこのアルバムについて「ロックンロールに回帰したアルバム。至るところに大合唱できるようなコーラスがあって、“これぞBON JOVI”って内容なんだ。でも、単なる焼き直しじゃなくて、しっかりフレッシュなものだよ」と述べています。ホント、この言葉がすべてなんですよ、このアルバム。

全体のトーンとしては若干暗めで、そこは過去の作品でいうと『BOUNCE』(2002年)に近いかもしれません。が、本作がそこで終わらないのは、闇を抜け出そうとする光が見つけられるところ。ダークな世相を反映しつつも、そこから立ち上がろうとする力が『BOUNCE』以上に強く、トーンは落ち着いているもののポジティヴなイメージを受ける。そこが本作最大に魅力ではないでしょうか。

正直、“いかにもBON JOVI”と言えるような80〜90年代の彼らに近い楽曲は少ないです(ゼロではない)。というよりも、むしろ“これからのBON JOVI”をアピールするような作風と言えるでしょう。実際、今となっては最新作『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』(2016年)ってこの『THE CIRCLE』に比較的近い印象を受けますし。そう考えると、本作から“BON JOVIのジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)ソロ作品化”が始まっていたのかな、と。『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』とトーンが近いという点も、そこを踏まえると納得できるんじゃないかな。

また、今作はバラードが全12曲中1曲しかないのもポイント。さらに、近作では当たり前となったボーナストラックも皆無で、トータル52、3分で聴きやすさに拍車をかけてくれます。

コーラスの被せ方やギターフレーズがどことなくU2を彷彿とさせる部分も多々あり、シリアスなテイストもU2っぽいといえば確かにそれっぽい。思えば『KEEP THE FAITH』(1992年)の時点でU2との酷似が取り沙汰されましたが、そんな次元じゃないですね(笑)。これぞ戦うロック。前作が区切りの10作目だとしたら、コテコテのハードロックとも枯れたパワーポップとも大人なカントリーロックとも違う、新しいBON JOVIをここからまた始めたということなんでしょう。リリース当時は印象が薄かったけど、今となっては何度も聴き返す1枚です。

 


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