BON-BON BLANCO『BON VOYAGE!』(2004)
BON-BON BLANCOの7ヶ月振り、6枚目のシングルとなる「BON VOYAGE!」は、ブレイクへの起爆剤となる記念すべき1枚となるでしょうね。ご存知の通り、このシングルのタイトル曲 "BON VOYAGE!" は既に昨年10月からテレビアニメ「ワンピース」のオープニングテーマとして大量オンエア中。子供から大人にまで人気のあるアニメの主題歌に大抜擢ですからね、これまで以上に多くの人の耳に留まるわけですよ。過去、ボンブラは "涙のハリケーン" が同様にテレビアニメ「ゲットバッカーズ」のエンディングテーマとして起用されたことがありましたが、原作程アニメ版の人気がなかったこともあり、思った程の成功を収めることができませんでした。が、今回ばかりは話は別。最初から成功が約束されたようなものなのです。現にリリース後のオリコン・デイリーチャートを追ってみると、「6位→4位→11位→10位→6位→9位」というかなりの好成績を収めていて、実際ウィークリーチャートの方でもトップ10入りは確実かと思われます。後はこれをどれだけ持続するかですよね。過去、同番組のオープニングテーマは1年近くに渡って同じ曲をプッシュするので、多分この曲も暫くは耳にする機会が続くことになるわけです。少しでもセールスが伸びてくれるといいですね。
とまぁ、チャートの話はこれくらいにして‥‥タイトル曲 "BON VOYAGE!" は前作 "バカンスの恋" とは一転して、メジャー感強いポップなアッパーチューン。これまでのボンブラ‥‥アルバム「BEAT GOES ON」までの流れにある楽曲なので、前作での大人っぽいアーシーな路線が苦手という人にも受け入れられやすいんじゃないでしょうか。もっとも、初期の "愛 WANT YOU!!" や "だって、女の子なんだもん!"、"愛のナースカーニバル"辺りの路線が好きだった人にとっては、それ以降の流れは結局どれもダメなんでしょうけど‥‥
そうはいっても、この曲のメジャー感、ポップさ、溌剌さは過去のシングル曲の中でもピカイチだと思うし、これがアニメ主題歌に選ばれたというのも頷ける話なんですよね。楽曲自体はこれまで同様大島こうすけの手によるものなんですが‥‥ひとつあか抜けたかな、という印象が強いですね。ただ、バックトラック的にはこれまでの中では一番弱い気がしますけど‥‥この辺のバランス感は正直難しいですね。何とも言えないです、曲がいいだけに‥‥ま、いいだけにもっと凝ったアレンジを施してもよかったような気もしますけど(今日日アニメ主題歌でもかなり手の込んだ作品、沢山ありますしね。普通にJ-POPものがそのまま起用される時代ですから)。
方やカップリングの "ありがとう I Love you,yet..." はもっと大人っぽい、所謂前作での新境地的路線を継承したものといえるでしょう。イントロでのパーカッションの使い方がかなり雰囲気出てて、思わず「おおっ!?」を身を乗り出してしまう程。かなりいいメロディとアレンジを持ったいい曲だと思いますが、やはりシングルのタイトル曲に持ってくるにはちょっと地味かな?という印象が強いですね。特に "BON VOYAGE!" を聴いてしまった後となると‥‥そう考えると、如何に前作 "バカンスの恋" が実験的なシングルだったか‥‥成功こそ収めなかったものの、いい意味でアクセントにはなりましたしね。
さて、ここまでくると次の作品‥‥セカンドアルバムに期待してしまいたくなるんですが‥‥どうやら次のアルバムは「シングル・コレクション」アルバムになるようです(3/24に「CD+DVD限定盤」「CD単体」「DVD単体」の3種類同時リリース)。まだシングル6枚でベスト盤‥‥というのはちょっと疑問なんですが、ま、今回のブレイクを無駄にしたくないという事務所やレコード会社の損得勘定が働いたのでしょうか、それともここでひと区切りつけたいと首脳陣が考えたのか‥‥まだアルバムの内容が判らないだけに(シングル6曲は間違いなく入るでしょうけど、それ以外の楽曲がシングルオンリーのC/W曲なのか、それとも未発表の新曲なのか不明)これ以上のコメントは控えますが、あれだけ完成度の高い(そう、嫌味なくらいに高品質だった)「BEAT GOES ON」に続くオリジナルアルバムを作ろうとなると、そう簡単にはいかないですものね。
ま、とにかく今はボンブラがこの先どこまで成長していくか、お手並み拝見といったところですかね。「いい曲」と「いい環境」を与えられた者は、強いですよ‥‥。
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