2003/04/27

THE ELEPHANT KASHIMASHI PRESENTS VERSUS EVENT LIVE "BATTLE ON FRIDAY" エレファントカシマシ vs BRAHMAN@赤坂BLITZ(2003年4月25日)

  エレファントカシマシが今年に入って行っているイベント、それがこの「BATTLE ON FRIDAY」という名前のライヴハウス対バンイベントなんですが、この日観たのはその終盤戦といえるステージで、対バン相手には正しく「異種格闘技戦」に相応しいバンド、BRAHMAN。一体どんなステージになるか‥‥

  ところで、まずこれについてちゃんと書いておかないと‥‥知らないエレカシ・ファンもいるかもしれないので。俺は昨年末にリリースされたエレカシのミニアルバム「DEAD OR ALIVE」は未だに買ってもいませんし、視聴すらしてないし、恐らく今後も「今の形態」では買いません。勿論CCCDだというのが一番の理由なんですが‥‥それ以上に、何故この時期にエレカシは、そして宮本はあんなに「怒り」を表現しなくてなならなかったのか、そしてそういう音に向かわねばならなかったのか、ちょっと理解できなかったからというのも大きいのですよ。昨年春にリリースされた「LIFE」というアルバム、ファンの間でも賛否が激しいと思いますが俺、大好きなんですよね。昨年の10枚にこそ選ばなかったものの、これってもしかして「GOOD MORNING」よりも内容的に充実したアルバムなんじゃないか‥‥と今でも思ってます。『30代の宮本にとっての「生活」('90年の4作目)』、そういう風に俺は捉えてるんですよ。だからこそ‥‥その路線で突き進まないのは判っていたけども‥‥あんなあからさまに攻撃的な路線に逆戻りするバンドに対して、ほんの少しだけ居心地の悪さを感じていたんです。

  そういう気分のところに、突如決まった「BATTLE ON FRIDAY」というイベント。金曜にライヴハウス(数百程度からブリッツクラスまで)で、最近メキメキと実力をつけつつある若手バンド、既にエレカシ以上に若い子には知名度のあるバンドまで、とにかくそういった「10代に人気のある」バンドとのタイマン勝負をするという事自体は決して異論はないんですよ。ただ‥‥言い方が悪いけど‥‥最近の、固定ファンしか聴いてないんじゃないか!?というような現状を打破するために、10代に人気のあるバンド達と共演することでもっと若いファン層を広げようとしてるかのようにも映るんですよね‥‥言いたくなかったけど。確かにエレカシなら余程のことがない限り、そういった若手に(いろんな意味で)負けることはないだろうけど‥‥何か俺、ちょっと自虐的過ぎるかな? とにかくね、最初に思ったのは「‥‥大丈夫か!?」って。エレカシが(というか、エレカシファンが)会場で他のバンドやそのファンに負けることを考えちゃったんですよ。「戦う前から負けること考えてる奴がいるかよ!」と猪木さんにビンタされそうですが、ホントそんな感じで当日挑んだんですね。

  ところが‥‥ちょっと事情がありまして、19時スタートの公演、俺が会場入りしたのが20時だったんですよ。ま、BRAHMANを先に観てしまったら、余計にエレカシに対してネガな気持ちで接することになりそうだったし、更に‥‥掲示板の方で教えてもらってたんですが、4月からのエレカシ、本編全曲完全未発表の新曲披露という大胆な行動に出てるらしいんですよ。もうね、「DEAD OR ALIVE」の曲すらちゃんと知らないのに、その上全曲全然知らない曲って‥‥やっぱり冷静に判断する為にはBRAHMANを蹴るしかなかったんです。

  20時に会場入りすると‥‥既にBRAHMANのライヴは終了していて、ロビーには汗だくになった10代のブラフファン達がそこらじゅうに座り込み&倒れこんでる、正に「野戦病院」状態。しかも当日外は雨ってのもあって湿度が高いのに、会場内は更に汗かいた身体から立ち上がる湯気で不快指数が200%以上。そんな若い子達を後目に、フロア前方に移動。フロア内はエレカシファン以上に依然ブラフファンの方が多い感じでした。服装や年齢で大体判るしね、どっちのファンかって。ま、俺はBRAHMANも嫌いじゃないし、むしろ好きなバンドなんで(じゃあ最初っから観ろって話ですが)。

  入場してすぐ会場暗転。何のアナウンスもなくメンバーがステージ上に登場。この日の宮本は全身黒。ギターは一切持たず、これといった煽りもなく神妙な顔。そして始まる新曲‥‥どの曲もタイトルすら判らず、しかも10曲全部初めて聴く曲だったので「これがこうだった」という明言は避けますが‥‥個人的にはかなりいい感じだと思いましたよ。全体的にミディアムヘヴィなハードロックという印象で、かなりアレンジに凝った構成になってましたね。石くんは常にストラトを弾き、しかも結構コーラスまで取ってるし。成ちゃんのベースが一番凝ってて、ピックによるライン弾きは抑えめに、かなり複雑なフレーズ(和音やアルペジオ的なもの)を多用、ギター以上に目立ってました。そしてトミのドラム。もうね、激しいの何のって。一音一音がこれまで以上にハードヒット。ミディアムヘヴィな曲が多いせいか、本当に一音の重みが凄くて、実際固定されていたバスドラが途中で動き出す程(スタッフが慌てて固定し直してたけど)。そして宮本。一切ギターを持たず、歌うというよりは叫ぶといった歌い方で、また曲調が初期に近いイメージだったこともあって、本当に「あのエレカシが帰ってきた!」といった錯覚を何度もしてしまったよ。声の状態は良好とはいえなかったけど、なかなか良かったんじゃないでしょうか。

  ただね。新曲の話に戻りますが‥‥曲のバリエーション的には狭まったかな、という気も。ミディアムヘヴィなハードロックという全体的な印象は、2~3曲を除けば大体そんな感じで、ホント殆どの曲が似たようなテンポで、しかもメロウというよりは煽り系ボーカルだったことも大きく影響して、更にそう感じました。しかも、それに喜んでたのはエレカシファンが殆どといった感じで、若いブラフファンの子達はどう反応すればいいのか判らない様子。そのまま棒立ちで、反応に困ってる様子。そりゃそうだろう。メロディアスでテンポも速い楽曲がメインのBRAHMANで大暴れした後に、こういったオールドスタイルのハードロック、しかもボーカルが異常にテンション高過ぎて何歌ってるか判らない‥‥そんなバンドを見せられたら、普通に退くかもね。1曲終わると若い子がフロアから出ていき、もう1曲終わるとまた出ていき‥‥そんなことの繰り返しで、結局ソールドアウトした公演だったにも関わらず、最後の方はかなり余裕を持って観られる環境になってしまった程。音楽で人の心を動かすとか、そういう以前の問題。既に満足し切ってしまった10代の子達にとっては「エレカシ? テレビで観たことある、あの変なボーカルのバンドか。ま、ちょっと観てみよっかな、折角だし」程度の気分で見始めたんだろうけど、そりゃねぇ‥‥俺が10代でブラフファンだったとしてもあれはキツかったかも。

  中にはパンキッシュでアップテンポの曲もあったし、ちょっと聴かせるような歌もあったんだけど、やっぱりリフが重くてアンサンブルが凝ったハードロック。けど初期のような破天荒なイメージはなく、そこはちゃんと「大人の色気」を感じさせるのはさすが。変に凝った録音をせずに、このままの形で真空パックしてアルバムにしてしまえばいいのに‥‥そんな気さえする程、個人的にはこの日のステージで披露された10曲が気に入りました。しかも聞くところによると、数週間前に下北沢でやった時と曲が3曲入れ替わってたというんだから‥‥既に10数曲も新曲があるってことですよね? 更に細かいアレンジまで変わってたというし、正にライヴしながら楽曲が成長してくという、ある意味「ココロに花を」や「GOOD MORNING」の頃みたな感じで、ホントにあの2枚に肉迫する凄いアルバムになるんじゃないか‥‥ちょっと疑問が強まってただけに、これは本当に嬉しかった。ああ、やっぱりBRAHMAN観ないでよかったと思いましたね。

  でもね‥‥ちょっとショッキングな曲もあったんですよ。7曲目くらいだったかな、歌詞の中にいきなり「37歳で俺の青春は終わったけど~」というような一節が出てきて、すっげードキリとさせられました。俺の中では宮本=人生・青春・生活というイメージが強かっただけに、これからもこのみっつのキーワードを歌っていってくれるんだろうな、と信じ切ってたんだけど‥‥ま、その他の細かい歌詞が聞き取れないのもあったので全体的な内容は把握できませんでしたが、とにかくこの一節のインパクトが大きくて、俺の中で。その曲の中で等かそのフレーズが登場するんだけど、その度に心が痛みましたね。これはちょっと俺の中で(エレカシに対する)重要な曲になりそうな予感。とにかく「普通のCDで」リリースされることを切に願います。

  MCも殆どなく(それにしても宮本の「今日はこんなに素敵なイベントに呼んでくれてありがとう」ってのはどうなのよ? 一応「エレカシPRESENTS」名義なんですが‥‥)、淡々とした状態で10曲終了、いつも通りステージを去る4人。当然アンコールを求める拍手が沸くわけですが‥‥求めてるの、明らかにエレカシファンだけ。しかも前の方だけね。すっげー弱々しいアンコールを求める声援。そしてフロアを後にする大勢の客。ローディーがベースやアコギ(恐らくアンコールで宮本が弾くのだろう)のチューニングをしてる中、急に客電が点き、明らかに終わりモード。時計に目をやると20時50分。アンコールもなく終了したこの日のエレカシ。もともとやるつもりで準備してたら「アンコールなし」をメンバーから告げられたのか、それとも最初からその予定がなかったのか‥‥聞くところでは、このイベントに関しては数える程しかアンコールはやってないようですが‥‥ま、予定調和なアンコールを何曲をやられるよりも全然いいんですけどね‥‥けどさ、こういう環境の中で「アンコールありがとう!」って再登場されても、それはそれで更に「寒さ」を増長するだけだったから、空気を読んでアンコール取り止めたんだと受け取りたいですね。

  どっちが勝ったとか負けたとか、あんまりそういうのは言いたくないんですが‥‥更にBRAHMANを観てない俺が言うのもアレですが‥‥全体の空気的に明らかに後攻めのエレカシのが分が悪かったですよね。そして、結局その流れを変えられないまま終わったといった印象。恐らく"ガストロンジャー"や"コールアンドレスポンス"、"悲しみの果て"のような代表曲を連発するステージをやったなら、もっと盛り上がるステージになったんでしょうけど、この日はフェスではなくて「VERSUS EVENT LIVE」と銘打たれ、単発イベントではなく数本あるわけですから毎回それをやるわけにもいかないしね。「今のエレカシ」を見事に表現したという意味では評価すべきでしょうけど、ファン以外にはアピールが弱かったのもまた事実。う~ん、難しいですね評価が。

  俺自身、エレカシを生で観るのがほぼ1年振りだったんですが、観る前の不安な気持ちはものの見事に一掃され、逆に「あーこんなスゲー曲が沢山入ったアルバム、どうしても聴きたいからCD-DAで出せよな?」とアンケートに書いてしまった程ですよ(アンケートなんて書いたことない俺がね!)。ここ最近のエレカシに対して俺と同じような疑問を持ってるファン、そして前作にガッカリして「DEAD OR ALIVE」にガッツポーズを取ったファン。大丈夫、次のアルバムは間違いなく期待に応える内容になりますよ。下手にプロデューサー立てたり時代性を取り入れようとせずに、このままの形でレコーディングされればね!

投稿: 2003 04 27 12:00 午前 [2003年のライブ, BRAHMAN, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2003/04/19

BRAHMAN『A FORLORN HOPE』(2001)

  BRAHMANが'01年6月にリリースしたセカンドアルバム。ファーストアルバム「A MAN OF THE WORLD」が'98年秋のリリースだから、まる3年振りのアルバムってことになるんだよね。しかもその間の3年間にリリースされた音源といえば、このアルバムにも再録音され収録されたシングル「DEEP / ARRIVAL TIME」1枚のみ。しかもそれがリリースされたのが'99年秋‥‥如何にこのバンドの創作ペースがゆっくりかが伺えると思います。実際、このアルバムリリースから約2年経った今現在も、新しい音源がリリースされる情報が入ってこない程ですから。だからといって何もしていないわけではなく、地道にツアーにツアーを重ねてるんですよね。自分達がメインのツアーだけでなく、いろんなイベント‥‥それこそフジロックのようなバカでかいステージから、数百人しか入らないクラブクラスまで‥‥に出演したり、海外にも足を伸ばしたり。活動の規模は更に大きくなってるんですよ。一時は「メロコア系の新星」だの「AIR JAM系」だのといった括りで語られることの多かった彼等。Hi-STANDARD等の周辺バンドといったイメージがあった彼等も、今では以前のレビューで書いたように、本当に「日本を代表する」バンドになってしまったなぁ‥‥という気が。もはや「AIR JAM系」なんて括りすら必要ない存在の彼等、毎年少なくとも1回はライヴ観る機会があるんですが、意外とムラのあるステージングなんですよね。最高に素晴らしい時と、惜しいなぁ‥‥と感じる時と‥‥これだけ年間何十本、何百本とやってれば、そりゃ調子悪い時もあるかなぁと。ただ‥‥これは俺が彼等に慣れてきたのも関係あるのかもしれないけど、観る回数を重ねる毎に‥‥観てるこっちが地団駄踏みたくなるような内容だったりするんですよね、どういうわけか。ま、その辺は最後にもう一回述べるとして‥‥

  前作の延長線上にある内容。ただ、いい意味で「硬質感」が増して、ストロングスタイルの楽曲はより力強く、歌を聴かせる楽曲ではより歌を引き立てるような演奏をしてたりと、ファーストアルバムのリリース後3年間の成長を改めて感じさせる出来となってます。ただ、正直に書くと‥‥初めてこのアルバムを聴いた2年前は、ファーストよりもいいとは思わなかったのね。なんつうか、期待が大きかったんでしょうね。ファーストアルバムのレビューを改めて読んでみて、当時の自分がどれくらいBRAHMANに期待してたか再確認できた程だからさ。けど、その後に観たフジロックのステージの出来が酷かったから、彼等に対する興味が急速下降してっちゃって。翌年のフジロックの時も正直、彼等を観るつもりなかった程で。けど、去年のステージは悪くなかったと思います。期待してなかった分、良く思えたのかもしれないけど。

  こうやって今改めてこのアルバムを聴いてみると、当時の彼等が「AIR JAM系」に括られていたことに対して俺が感じていた「違和感」の意味が何となく判った気がしました。やっぱりね‥‥当時もよく例えとして言ったかもしれないけど‥‥パンクというよりも、ヘヴィメタルのメロなんだよね。メロコアってのは、要するに「メロディック・ハードコア」の略でしょ。メロディアスなハードコアパンク‥‥昨今、'80年代の洋楽ポップスをメロコア風にカバーするバンドが多いですが、そういう安っぽさはBRAHMANには感じられないのね。もっとさ‥‥'80年代、そのパンクの対極にあったようなIRON MAIDENみたいなヘヴィメタル・バンドみたいな硬質サウンド、そしてメロウさを強く感じるんだよね。表現方法自体は昨今のパンク的なものなのかもしれないけど、その根底にあるのは間違いなくそういったメタル的。メロの判り易さ、親しみ易さは日本人が最も親しみ易い‥‥語弊があるかもしれないけど‥‥歌謡曲的なものに近く、そういう点からもメタル的といえるかも(要するに「泣き」の要素としての例えですね)。その辺が所謂「メロコア」との大きな違いではないか、と。

  初めて"DEEP"を聴いた時、その流れるようなメロディに惹かれたのと同時に、ギターソロの様式美性に強く感心したのを今でもよく覚えています。そしてその要素を更に強調~拡散していった先が、この「A FORLORN HOPE」だったのではないか、と今思うわけです。ファーストではその要素がいい意味で中途半端だったお陰で、何か新しいバンドが登場した、メロディアスでパンキッシュだから「メロコア」でいいや、ってことになったんでしょうけど、完全にこのセカンドアルバムで個性を確立したといっていいでしょう。

  となると、今度はこの確立してしまった個性をどういう方向に進めていくか、ですよね。このスタイルに固執して、時代時代に合った装飾を被せていくのか‥‥いや、それはこのバンドに最も似合わない手段だな。つうことは、やはり‥‥更なる「進化」あるいは「深化」のどちらかでしょうね。更にディープになっていくのか、それともここから新しい地平へと向かっていくのか‥‥個人的には「深化」よりも「進化」して欲しい気がします。昨年のフジロックで披露された唯一の新曲は、メジャーキーを多用した、確かにこれまでのBRAHMANとはちょっと違う毛色の楽曲でした。勿論、聴けばそれがBRAHMANの曲だとは判る1曲なんですが‥‥まだまだ未完成といった感もありつつ、手探りで新しい地点を見つけている最中なんでしょうね。恐らく、最近俺が彼等に対して地団駄踏みたくなる程感じていたのは、そういう変化に対する物足りなさだったのかもしれませんね。

  所謂「AIR JAM系」がもてはやされたのは、既に数年も前の話。今の中高生はメロコアよりもヒップホップ的なものに肩入れしだし、しかもそれすらも今や風化しつつあり、更に新しい「何か」を探しているように感じられます。そしてそんな「AIR JAM系」と括られたバンド群の中で、今でも大きな成功を収めているのはこのBRAHMANとHUSKING BEEくらいじゃないでしょうか。共に新しいスタイルを模索しつつ、新しいファンを開拓していった「オリジナル」な存在。この2組はある意味「勝ち組」なのかもしれないけど、BRAHMANの場合の本当の勝負は、間違いなく近い将来リリースされるであろう新曲‥‥ニューアルバムでしょうね。未だに彼等を毛嫌いするロックファンは多いと思うんですが、そういったファンをも振り向かせるようなアルバムを期待してます。そう、俺がこれまで全く興味がなかったのに、新作「the steady-state theory」で完全にハマってしまったHUSKING BEEのように‥‥



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投稿: 2003 04 19 12:00 午前 [2001年の作品, BRAHMAN] | 固定リンク

2001/06/04

BRAHMAN『A MAN OF THE WORLD』(1998)

  日本が誇るバンド、BRAHMANが1998年9月にリリースした初のフル・アルバム。インディーズからのリリースながら長い間売れ続け、確かオリコンの「インディーズ・チャート」で1年以上1位だったのでは、と記憶している。このアルバムを契機に彼らは大躍進し、翌年秋にはメジャー配給のマキシシングル「Deep / Arrival Time」を発表し、これはオリコン・シングルチャートのトップ10入りを果たす。彼らのブレイクを決定づけたのが、まさしくこのアルバムなのだ。

  勿論、ブレイクにはその他にも様々な要因がある。地道に行われたライヴだったり、大きなイベントやAIR JAM、フジロック等野外フェスティバルへの出演。こういう人目に出る機会が増えた結果、人伝いに噂は広がり、'99年最も注目されるバンドとなったわけだ。

  では、彼らは何故ここまで注目され、そして人気を得たのだろうか?

  彼らの魅力のひとつに、「親しみやすい、純日本風メロディー」がある。これは俺自身、過去のライヴレポートの中にも書いているが、初期のシングルからも伺うことができたその要素が、このアルバムでいよいよ完成型に近付いているのである。まだ荒削りながらも、やろうとしていることの輪郭は既にハッキリしている。後に出た「Deep / Arrival Time」は、この延長上にある楽曲であり、サウンドプロダクションが更に良質なものになり(これはメジャー経由のため、お金をかけることができたのだろう)、より判りやすくなった。

  「純日本風~」とはいうものの、それは演歌や歌謡曲のような下世話なものではなく、もっと古くから存在する日本古来の音楽‥‥民謡的なメロディーといえるのではないだろうか? 特に沖縄からの影響を強く感じさせる"Tongfarr"がその代表といえるだろう。

  当然、その他の曲も親しみやすいメロディーを兼ね備えていて、頭からお尻までの11曲、アッという間に聴き終えてしまう。1曲1曲が短く、そして聴きやすいからアッという間に終わり、そして何度も聴き返してしまう。ただうるさいだけじゃなく、しっかり聴かせる要素を兼ね備えている。この手の音を「暴れ系」と大きく括ることもできるだろうけど、それだけじゃ終わらない、独特な「色」と「味」を持っている、それがこのバンドの特徴であり、魅力なんだと思う。じゃなきゃ、既にリリースから3年近く経ってるのに、まだ売れ続けているっていう事実をどう説明すればいい?

  カヴァー曲も同じ日本のゴダイゴの曲("Cherries Were Made For Eating")を取り上げている点に共感が持てるし、英語曲に拘らず、美しい古来の日本語を用いた曲("Answer For...", "Toki No Kane")もいいスパイスとなっている。これからもこういう曲を削ることなく、バランスの取れた作品を作り続けてもらいたいものだ。

  近くこのアルバムに続く作品がやっと発表されるが(「A FORLORN HOPE」というタイトルで、6月下旬リリース。勿論メジャー配給なので、サウンド的にも期待できるはずだ)‥‥この人達、曲作りが遅いのか、それともツアーの方が好きなのか‥‥1枚のアルバムで3年も引っ張るのは、ここ日本ではかなりリスクを強いられると思うのだが‥‥まぁ見方を変えれば、それだけこのアルバムが徐々にブレイクしていき、そして彼らを求める声がそれだけ長い間続いたということなのだろう。果たして次のアルバムはこの名盤を越えることができるのか、それとも全く違った側面を見せつけるのか、非常に興味深い。また今年も彼らから目が離せなさそうだ。



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投稿: 2001 06 04 12:00 午前 [1998年の作品, BRAHMAN] | 固定リンク