BRING ME THE HORIZON『sTraNgeRs』(2022)
2022年7月6日にデジタルリリースされたBRING ME THE HORIZONの新曲。
バンドの単独新曲としては昨年9月配信の「DiE4u」(2021年)以来、約10ヶ月ぶりの新曲。前作「DiE4u」は『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』(2020年)に続く“POST HUMAN”4部作の第2章の1曲目にあたるナンバーで、今回の「sTraNgeRs」はそれに続く2曲目になるとのことです。
楽曲自体は特段新しさを感じさせるものはなく、『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)以降の流れを汲むメロディアスなミディアムナンバーに仕上がっています。もちろん、そこはBMTHのこと。単なる焼き直しで終わることなく、アンセミックなサビ/シンガロングパートを用意することで楽曲の強さを誇示。さらに、デジタル色よりもバンドサウンドの強みを活かしたアンサンブルも一周回って新鮮に響き、改めてロックバンドとしてひとまわりもふたまわりも大きく成長したことを窺わせます。
楽曲配信にあわせてMVも公開されましたが、「sTraNgeRs」=見知らぬ人、つまり自分とは異なる個性、様相の者/モノにスポットを当てた作風になっており、これはファンから匿名で集められた、それぞれのメンタルヘルスとの向き合い方のストーリーからインスピレーションを受けて作られたものなんだとか。そもそも楽曲のテーマ自体がメンバー自身の経験にも基づき、人が持つそれぞれの孤独感やトラウマを歌う、救いの手を差し伸べるような内容であることから、奇怪な映像ながらもネガティブさだけではない“光”や“救い”が伝わるのも確か。その、聴き手に訴えかけるようなポジティブさが楽曲の持つアンセム感とリンクすることで、より強く響くのではないでしょうか。
映像の中に登場する奇形/奇怪な生物やオリー・サイクス(Vo)の様相が、どこかDIR EN GREYとリンクする……と感じたのは、きっと筆者だけではなかったのでは。特に「DiE4u」以降のBMTHが表現しようとしている映像テーマは、DIRからヒントを得たものが少なくような気がするのですが……ぜひ一度、共演などを通じてそのへんの世界観について話してもらいたいものです。
このリリースペース的には、夏フェスシーズンが終わる頃に第3弾楽曲が配信され、秋以降にEPがリリースされるのでは……と読んでいるのですが、果たしてどうなるのやら。まとまった作品集が届けられるまでには、そこまで時間を要さないはずなので、年内リリースに期待したいと思います。
▼BRING ME THE HORIZON『sTraNgeRs』
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