カテゴリー「Bring Me the Horizon」の10件の記事

2019年12月31日 (火)

2019年総括:①洋楽アルバム編

2019年もあと半日で終わり。いわゆる「テン年代」が終わるわけですね。さて、毎年恒例となった1年の総括を今年もじっくり書いていこうと思います。

今年からちょっと趣向を変えてみました。まず、①洋楽アルバム編(ジャンルレスでその年リリースのお気に入りアルバム10枚+次点10枚)、②邦楽アルバム編(同アルバム10枚+次点10枚)までは一緒、ここ数年続けてきた「その年の気になったアイドルソング10曲(+次点5曲)」をやめ、昨年から番外編として公開した③HR/HM、ラウドロック編(その年リリースのお気に入りアルバム10枚+次点10枚)と、④楽曲編(洋楽邦楽/ジャンル/リリース年関係なく、その年よく聴いた楽曲20曲)を新たに公開することにしました。

①、②および④に関してはアルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けて、③には意図的に順位をつけております(③は別媒体で準備を発表しているので、それを転載します)。特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは①洋楽アルバム編です。

 

■洋楽10枚(アルファベット順)

上位10枚を紹介する前に、次点となった10枚をご紹介。

<次点>
・CHELSEA WOLFE『BIRTH OF VIOLENCE』(レビュー
・THE CHEMICAL BROTHERS『NO GEOGRAPHY』
・CIRCA WAVES『WHAT'S IT LIKE OVER THERE?』
・FAYE WEBSTER『ATLANTA MILLIONAIRES CLUB』
・RIDE『THIS IS NOT A SAFE PLACE』(レビュー
・RUSSIAN CIRCLES『BLOOD YEAR』(レビュー
・SHARON VAN ETTEN『REMIND ME TOMORROW』
・TEMPLES『HOT MOTION』
・TORO Y MOI『OUTER PEACE』
・TWO DOOR CHINEMA CLUB『FALSE ALARM』

昨年の年間企画にも書きましたが、自宅で音楽を聴くときってメタル/ラウド系以外はほぼ女性ボーカルのまったりした音楽が中心だったんですね。単に老いただけかもしれませんが(笑)、そういった類の音楽に心地よさ、気持ち良さを求めるようになったのは事実です。が、単にアコースティックでまったりしたものよりは、どこか尖っているほうが惹きつけられるし、何度も聴きたくなるのもまた事実。ここに挙げた次点10枚にはそういった作品が多く含まれている気がしてなりません。

さて、ここからが本編。僕が選んだ2019年洋楽アルバムTOP10です。

 

・BILLIE EILISH『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』(Spotify

・BON IVER『i,i』(Spotify

・BRING ME THE HORIZON『amo』(Spotify)(レビュー

●BRING ME THE HORIZON『Music to listen to-dance to-blaze to-pray to-feed to-sleep to-talk to-grind to-trip to-breathe to-help to-hurt to-scroll to-roll to-love to-hate to-learn Too-plot to-play to-be to-feel to-breed to-sweat to-dream to-hide to-live to-die to-GO TO』(Spotify)(レビュー

・EX: RE『EX: RE』(Spotify)(レビュー

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2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編

一昨年秋から『リアルサウンド』でスタートした、HR/HMやラウドロックなどエクストリーム・ミュージックの新譜キュレーション記事を連載しているのですが、2019年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2019年ラウドロック年間ベスト10 BMTH、Russian Circles、Slipknotなど意欲作が気になる1年に」が12月26日に公開されております。

年明け発売の雑誌『ヘドバン』最新号でも同様の企画にアルバム10選をお送りしているのですが、こちらでは『リアルサウンド』の記事で紹介した10枚に加えて、次点となった10枚とあわせて紹介できたらと思います。

まずは、すでに公開済みの上位10作品について。こちらはあえて記事執筆時と同じままで進めたいと思います。

01. BRING ME THE HORIZON『amo』(レビュー
02. TOOL『FEAR INOCULUM』(レビュー
03. RUSSIAN CIRCLES『BLOOD YEAR』(レビュー
04. LEPROUS『PITFALLS』(レビュー
05. KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT』(レビュー
06. SLIPKNOT『WE ARE NOT YOUR KIND』(レビュー
07. BARONESS『GOLD & GREY』(レビュー
08. GATECREEPER『DESERTED』(レビュー
09. MAMIFFER『THE BRILLIANT TABERNACLE』(レビュー
10. ALCEST『SPIRITUAL INSTINCT』(レビュー

選出した理由は『リアルサウンド』のエントリーにてご確認を。ちなみに、『ヘドバン』のほうではあるアルバムの代わりにOPETH『IN CAUDA VENENUM』を選出しております(順位は若干の変動あり)。

続いて、選に漏れた次点10作品もご紹介。

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2019年総括:④楽曲編&印象的なライブ編

このエントリーで最後。こちらは印象的なライブ編と新設の楽曲編となります。

昨年まではその年気になった/よく聴いたアイドルソング10曲をピックアップする「アイドルソング編」を公開していましたが、自分自身がそこまで熱心に幅広くアイドルソングを聴かなくなったこと、そのぶんアニソンや声優シンガーの楽曲を積極的に聴くようになったことから、そのへんひとまとめに「洋楽邦楽/ジャンル/リリース年関係なく、その年よく聴いた楽曲20曲をプレイリストで公開」することにしました。

 

■楽曲編(アルファベット→五十音順)

各アーティスト1曲のみ選出、グループ内ユニットやソロ名義は別枠としてカウントしました。特にどれがベストの1曲とは記しません。本年発表以外の楽曲に関しては、曲名の後ろにカッコ付けで発表年を追加しておきます。

・Aqours「WATER BLUE NEW WORLD」(2018年)
・LiSA「unlasting」
・Maison book girl「長い夜が明けて」
・PassCode「ATLAS」
・Roselia「FIRE BIRD」
・Saint Snow「Believe Again」
・shami momo(CV:小原好美・鬼頭明里)「町かどタンジェント」
・THE YELLOW MONKEY「DANDAN」
・如月レオン「珈琲ラプソディ」
・クマリデパート「極LOVE浄土」
・欅坂46「黒い羊」
・スタァライト九九組「Star Diamond」
・中須かすみ(CV:相良茉優)「ダイアモンド」(2018年)
・乃木坂46「図書室の君へ」
・日向坂46「JOYFUL LOVE」
・ヒプノシスマイク 山田一郎(CV:木村昴)「Break the Wall」
・平手友梨奈(欅坂46)「角を曲がる」(2018年発表、リリースは2019年)
・フランシュシュ「徒花ネクロマンシー」(2018年)
・水瀬いのり「Wonder Caravan!」
・宮本浩次「Do you remenber?」

 

再生回数でいったら、欅坂46「黒い羊」がダントツでしょうか。そこに追随するのがSaint Snow「Believe Again」、日向坂46「JOYFUL LOVE」、Aqours「WATER BLUE NEW WORLD」、Roselia「FIRE BIRD」の順かな。まあ、プレイリストの再生回数で20曲決めたら、上位は欅坂46(「黒い羊」や「二人セゾン」)とBRING ME THE HORIZON、あとはブクガやイエローモンキーの過去曲、『ラブライブ!』関連の楽曲になってしまいそうなのでやめておきます(笑)。

もちろん、この20曲がすべてではありません。配信されていなかったりストリーミングで聴けなかったりしたため、今回選外にした楽曲も多数あります。例えばハロプロ関連の楽曲。間違いなく数曲こちらに含まれるはずでしたが、今回はプレイリストで公開することが大前提だったので敢えなく選外に。

また、今年もっとも聴いた曲のひとつである『新サクラ大戦』の「檄!帝国華撃団<新章>」もiTunesでの配信はあるもののApple MusicやSpotifyでは聴けないのでアウト。南條愛乃さんが今年発表した楽曲も、SpotifyにはシングルのみあるけどApple Musicには皆無とか、片方だけの中途半端な形になってしまうので選外に。こういうこともあるんですね。

あとは、ギリギリ最後まで悩んだ蒼井翔太さんとか。「Eclipse」にはライブBlu-rayのオープニングでやられたので、本当は入れたかったんですよ(特にライブテイクのほうを)。

 

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BRING ME THE HORIZON『Music to listen (中略) to-GO TO』(2019)

2019年12月27日という年の瀬に、突如配信リリースされたBRING ME THE HORIZONのニューEP『Music to listen to-dance to-blaze to-pray to-feed to-sleep to-talk to-grind to-trip to-breathe to-help to-hurt to-scroll to-roll to-love to-hate to-learn Too-plot to-play to-be to-feel to-breed to-sweat to-dream to-hide to-live to-die to-GO TO』(タイトル長いので入りきらない。笑)。今のところフィジカル(CD、アナログ盤)での発売予定なし。

今年1月に初の全英1位を獲得した最新アルバム『amo』(2019年)を発表したBMTH。そもそも、その前年2018年夏から同作に含まれる新曲「Mantra」からアクションは始まっていたわけで、『amo』リリース以降もアルバム収録曲のリミックストラックの配信、夏にはSpotify限定でスタジオライブ音源『Spotify Singles』があったり、11月にはPS4用ゲーム『DEATH STRANDING』絡みでトラップ調の新曲「Ludens」を突如公開したりと、とにかく1年以上にわたり常に“動いている”印象を残し続けています。

また、「Ludens」公開に伴うインタビューではオリヴァー・サイクス(Vo)が「今後アルバムを作る予定はない。来年はEPとしていくつか新作を作っていく」という趣旨の発言も残しており、2020年も新曲が聴けるんだとワクワクしていたところ、年末も年末というタイミングに不意を突かれました。

全8トラックでトータル75分超と確実にアルバムなんですけど、NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(2018年)を発表した際にトレント・レズナーがこの「全6曲、トータル30分」というEP形式の作品を“アルバム”と呼んだのとは逆の形なのかなと。オリヴァーの意思を無視する形になりますが、個人的には今作はアルバムと捉えたいと思います。

直近の新曲「Ludens」はゲームとの関連性や「『amo』の“次”」という重要な役目を果たしていましたが、実は『amo』と今回の新作の間に「Ludens」を挟むことは非常に大切なトピックなのではないかと、新作を聴いたあと改めて実感しました。それくらい、今回の新曲8曲は“「Ludens」以降のDTMスタイル”をさらに突き進めたものになっているからです。

「ワールドツアーで忙しい中、いつ新曲録ったんだよ!」と不思議に思われるかもしれませんが、メタルコア/ラウドロック的なバンドサウンドから現在のミニマムなDTMスタイルへと移行したことで「PCと歌を録音する環境さえあれば、どこでも新曲制作が可能」になった。と同時に、音楽提供方法もデジタル/ストリーミング主体の現在だからこそ「事前プロモーションなしで、作って即出し」が可能となった。しかも、それを日本にいても時差なく受け取ることができる。2019年の最後の最後に、この強烈な新作によって改めてそのすごさを実感させられたわけです。

全8トラック中、4〜5分台の楽曲は2曲のみ。7分前後の楽曲が3曲に10分台2曲、さらには24分という過去最長の楽曲も用意されています。どれもヒップホップ以降のモダンなトラックをベースに、ギターは聴こえたとしても味付け程度。本来なら曲の軸になるであろう歌も、あくまで「部品のひとつ」としてフィーチャーされるにとどまっています。そういった意味では、本作は非常に実験色濃厚な内容で、『amo』でBMTHに興味を持ったリスナーには若干(いや、かなり)敷居の高い作品かもしれません。

と同時に、ここで展開されているサウンドや楽曲は「2019年だからこそ」の音でもある。これは2020年に入ってからではなく、2019年のうちに出すべきだと思ったのでしょうね。それも納得のいく“旬”な内容となっています。

曲が長くなればなるほど、いわゆる“ボーカルパート”は希薄になっていく。24分におよぶ「Underground Big {HEADFULOFHYENA}」なんて、後半はもはやコラージュでしかないですから。けど、それでもドキドキしながら最後まで聴いてしまう。ダウナーなヒップホップチューン「Steal Something.」からぶった切り的エンディングにキョトンとしてしまうラストナンバー「±ªþ³§」までの75分、ものすごい集中力で楽しむことができました。

さらに、本作には豪華なフィーチャリングアーティストが多数参加。これも、データのやり取りが世界中どこにいても手軽にできるようになった今だからこそなトピックですよね。そのゲスト陣もホールジーやベクシー、LOTUS EASTER、HAPPYALONE.、TORIEL、YONAKAと多ジャンルにわたる面々ばかり。LOTUS EASTERってHopeless Records所属のあのバンドかしら。HAPPYALONE.といいYONAKAといい、ナイスな組み合わせですけど、彼らをフィーチャーしつつもしっかり我を通すあたりが今のBMTHらしくて微笑ましい。ホント最高。

賛否あるかと思いますが、個人的にはもう彼らはHR/HMやラウドの枠で括らなくてもいいと思うし、ジャンルレスの面白バンドってことでいいんじゃないかな。そういう意味では“メタルコアバンドのBMTH”は『amo』で完全に息絶えたってことでいいと思います。

とはいいながらも、本作には過去作のオマージュもしっかり残されている。序盤、インタールードを挟みながら進むシームレスな構成は、どこか3rdアルバム『THERE IS A HELL BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN LET'S KEEP IT A SECRET.』(2010年)を彷彿とさせるし。実はバンドとしての軸足はブレていないんじゃないか……そう思わずにはいられません。

……興奮してかなり長くなっちゃいましたが、ここ数日それくらい熱を持って接してきた新作。問答無用で2019年度ベストアルバムです。

 


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2019年9月25日 (水)

BRING ME THE HORIZON『THERE IS A HELL BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN LET'S KEEP IT A SECRET.』(2010)

2010年10月にリリースされた、BRING ME THE HORIZONの3rdアルバム。日本デビュー作となった前作『SUICIDE SEASON』(2008年)から2年ぶりの新作で、本国イギリスでは最高13位、アメリカでも最高17位という好記録を残し、ブレイクのきっかけを作った1枚となりました。

前作にて初期のデスコア路線が薄れ、その軸にあるメタルコア色が濃厚に表出し始めた彼らでしたが、名プロデューサーのフレドリック・ノルドストロームが引き続き手がけた本作ではその軸足はそのままに、よりプログレッシヴな展開と楽曲のバラエティ豊かさで勝負を挑むことになります。

まず、楽曲自体のエモーショナルさが格段と増し、残虐性や無機質さが際立った初期2作とは新たに違う高みへと到達しつつあることが伺えます。このへんは続く『SEMPITERNAL』(2013年)、そして『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)で本格的に開花することになるのですが、そういった意味では本作は初期のアグレッシヴさとその後のエモ路線とをつなぐ橋渡し的重要作と言えるでしょう(そう、過渡期的作品ではなく、ね)。

オープニングを飾る「Crucify Me」や続く「Anthem」など、1曲1曲の中に複数曲のアイデアが詰め込まれたアレンジ/展開はどこか昨今のJ-ROCK的でもあり、非常に興味深いものがあります。しかも、曲間が短いシームレスな構成なこともあり、すべての楽曲がつながっているようにも受け取れ、このへんがプログレッシヴな展開に拍車をかけています。

オリヴァー・サイクス(Vo)もただスクリームする/グロウルするのではなく、エモく響くスクリームを心がけているし、なんならメロディが浮き上がってくるような“歌”も聴こえてくる。叫び一辺倒のようで、実は緩急に富んだアレンジが施されていることで、以前よりも取っ付きにくさがなくなり、これだけ複雑怪奇なことをやっているにも関わらずとても聴きやすい。徹底して作り込まれた完成度の高さが成せる技なのでしょうか。

また、本作にはカナダの女性シンガー・ライツ(「Crucify Me」「Don't Go」)、YOU ME AT SIXのジョシュ・フランチェスキー(Vo)(「Fuck」)、THE CHARIOT(当時)のジョシュ・スコジン(Vo)、スクリレックス(「Visions」のトラックメイク&ボーカル)などバンドの盟友たちが多数ゲスト参加しているのも特徴。さらに、ピアノやストリングスなどの装飾が加わることで、たんなるメタルコアでは終わらない彩り豊かさが楽しめます。こういった要素も本作の聴きやすさにつながっているのかもしれませんね。

ここ数作のサウンドに慣れてしまっていると、本作ですら激しすぎて聴こえてくるのですから、慣れって恐ろしいものです。捨て作なしの彼らですが、初期ほどエグくなく、最新作『AMO』(2019年)ほどポップでもない、程よいバランス感は全キャリア中最高峰ですので、入門編として手に取るのもありかもしれません。

 


▼BRING ME THE HORIZON『THERE IS A HELL BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN LET'S KEEP IT A SECRET.』
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2019年7月 1日 (月)

2019年上半期総括(ベストアルバム10)

恒例となった上半期ベスト。ひとまず7月1日現在の10枚を紹介したいと思います。バランスとしては洋楽5枚、邦楽5枚というセレクトで順位など関係なし。ミニアルバムやEPは外し、フルアルバムのみをピックアップしました。

 

BRING ME THE HORIZON『AMO』(amazon)(レビュー

THE CHEMICAL BROTHERS『NO GEOGRAPHY』(amazon

FEVER 333『STRENGTH IN NUMB333RS』 (amazon)(レビュー

WEEZER『WEEZER (BLACK ALBUM)』(amazon)(レビュー

THE WiLDHEARTS『RENAISSANCE MEN』(amazon)(レビュー

AAAMYYY『BODY』(amazon

Eve『おとぎ』(amazon

THE NOVEMBERS『ANGELS』(amazon

THE YELLOW MONKEY『9999』(amazon

ドレスコーズ『ジャズ』(amazon

洋楽は候補が多くて最初こそ迷いましたが、「よく聴いた5枚」という当初のこの枠のコンセプトに基づいて選んだら、すんなり決まりました。逆に邦楽は最後までドレスコーズとサカナクションとMORRIEさんの新作を入れるか入れないか迷い、結果としてこういう5枚に。MORRIEさんの新作、HMV限定販売ですし配信もないんですよね。そのへんも考慮してということではないですが、やっぱりドレスコーズ『ジャズ』はいろんな意味で衝撃だったので、初志貫徹で。

2019年1月27日 (日)

BRING ME THE HORIZON『amo』(2019)

BRING ME THE HORIZON通算6枚目のオリジナルアルバム。その音楽的指向の変化に対して賛否両論を巻き起こしながらも全米・全英で2位を記録した前作『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)から約3年半という、彼らとしては非常に長いスパンを経て届けられました。

2016年初頭にキャンセルとなり、以後実現していない“『THAT'S THE SPIRIT』以降”の日本での生パフォーマンス。正直、あの時期のステージを体験できなかったことは、ここ日本のファンおよびメタル/ラウド系リスナーにとっては不幸以外のなにものでもありません。それもあって、続くこのアルバムで遂げられる進化がしっかり受け止められるのか、そこだけがずっと不安でした。

昨年8月、突如届けられた新曲「Mantra」。個人的にはこの1曲だけで次作に対する期待は一気に高まりました。『THAT’S THE SPIRIT』での路線を一歩推し進めたスタイルでしたが、おそらく第一歩としては前作に比較的近いものを選んだのでしょう。事実、当時のインタビューでオリヴァー・サイクス(Vo)は次作について「今までやってきたようなサウンドではない」と発言していましたから。

そして、2ヶ月後の10月には第2弾シングル「Wonderful Life」を発表。CRADLE OF FILTHのフロントマン、ダニ・フィルス(Vo)をフィーチャーしたこの楽曲は「Mantra」の延長線上ではあるものの、ブラスセクションを導入した“無駄にハッピー”な色合いも感じられ、少しずつ「今までやってきたようなサウンドではない」発言の真意が見え始めます。

今年に入ってすぐに、第3弾シングル「Medicine」を発表。前作にもあったスロウでメロディアスな楽曲と同系統ではあるものの、エレクトロ色を強めたモダンなポップソング調のこの曲は“振り切った”感が思い切り伝わるものでした。さらにリリース直前には「Mother Tongue」「Nihilist Blues」の2曲が公開。前者は「Medicine」と同系統のポップチューンで、メロディアスさが際立つ1曲。後者はカナダの女性アーティスト、グライムスをフィーチャーしたエレクトロチューンで、トランシーなトラックだけを聴いたらこれがBMTHの新曲だとは気づかないのではないでしょうか。

このように、少しずつその本性を現し始めた『amo』(ポルトガル語で愛を意味する)というアルバム。先行トラックで心構えはできていたものの、いざアルバムを通して聴くとさらに驚かされるのですが、と同時に「Mantra」や「Wonderful Life」のようなラウド系ナンバーがまったく浮いていない、必要不可欠な存在であることにも気づかされます。曲順含め、非常に収まりが良いんですよね。しかも、ほかの新機軸ナンバーと同じくらいに作り込みが異常すぎることも見えてくる。なんだ、この徹底さは!?って。

オープニングトラック「I Apologise If You Feel Something」での驚きと、そこから「Mantra」へと流れていく気持ち良さ、ヒップホップ的手法を用いりながらもロックバンドとしての個性を残す「In The Dark」や「Why You Gotta Kick Me When I'm Down?」の新鮮さ、トリッピーな「Fresh Bruises」やシンフォニックな「I Don't Know What To Say」に漂う繊細さと「Sugar Honey Ice & Tea」「Heavy Metal」(後者には元THE ROOTSのMCでヒューマンビートボクサーのラゼール参加)で見せる豪快さ。ここまでバラバラな色を包括しつつも、しっかりとひとつのアルバムの中で散漫になることなく、つながりを見せながら聴かせることができるのは、前作で得た自信によるものが大きいのではないでしょうか。

もはやデスコアだメタルコアだとカテゴライズすることも馬鹿馬鹿しいくらいに“ロック”しているし、こうやってラウドなバンドは進化していくんだってことをちゃんと形として証明し続けている。すごいことだと思いますよ。だって、本当にすごいアルバムだもの。前作以上にスルメ度の高い1枚。今度こそ、これらの楽曲を生で聴きたいな。



▼BRING ME THE HORIZON『AMO』
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2017年12月22日 (金)

BRING ME THE HORIZON『SEMPITERNAL』(2013)

2013年春にリリースされた、BRING ME THE HORIZON(以下、BMTH)の4thアルバム。本作の制作途中でギタリストのジョナ・ウィーンホーフェンが脱退し、それと替わるようにキーボーディストのジョーダン・フィッシュが正式加入。これまでのツインギター編成からシングルギター+キーボードという、メタルコアバンドとしてはちょっと異色のバンド編成となりました。

正直、このメンバーチェンジに不安を覚えたファンは少なくなかったはずです。だって、確実にそのサウンドに変化を及ぼすわけですから。しかし、この変化こそがBMTHをさらに一段上へとステップアップさせるための重要なトピックとなったのでした。

初期こそデスコアなんてジャンルで括られた彼らですが、前作『THERE IS A HELL, BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN, LET'S KEEP IT A SECRET.』(2010年)で若干その片鱗を見せていたプログレッシヴな方向性が続く本作『SEMPITERNAL』でさらに進化し、シンセなどエレクトロの要素が加わったことでモダンな色合いを強めることになります。

そのカラーが顕著に表れたのが、リードトラック「Sleepwalking」や「Go To Hell, For Heaven's Sake」「And The Snakes Start To Sing」あたりではないでしょうか。ヘヴィさを保ちながらもシンセやサンプリングなどの装飾を施すことで、不思議とポップにも感じられるこのアレンジは、メタルコアバンドがモダンな要素を取り入れるとこうなるという見本的な仕上がりに。これらの楽曲および本作の成功が、続く大ヒット作『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)へとつながったことは想像に難しくありません。

もちろん、従来のメタリックで攻撃的でファストな要素も失ったわけではありません。「The House Of Wolves」「Antivist」はアレンジこそ以前よりシンプルですが、間違いなく過去のBMTHの延長線上にありますし、全体を覆うエッジの立った作風は、前作の流れを汲むものだと思います。

そういった楽曲と先の「Sleepwalking」や、ドラマチックなアレンジの「Crooked Young」「Hospital For Souls」が並ぶ本作は、一気に振り切ってポップになった『THAT'S THE SPIRIT』とヘヴィでプログレッシヴな前作(タイトルが長いので省略)の中間に位置する、このバンドの歴史を語る上で非常に重要な1枚と言えます。つまり、過去と現在をつなぐ、非常にバランスの良い内容ではないかと。新作は苦手だけど、このアルバムは受け入れられるという初期からのファンも少なくない気がしますが、いかがでしょう?

本作や『THAT'S THE SPIRIT』が、以降のメタルコアシーンに与えた影響は計り知れないものがあります。もちろん、BMTHだけではなく、同系統のバンドが同じタイミングにいくつかいたからこそ、メタルコア/ラウドロックシーンに新たな扉が開かれたわけですが……そういった史実を抜きにしても、本作は非常に優れた、ラウドロック/メタルファンが聴くべき傑作だと断言します。



▼BRING ME THE HORIZON『SEMPITERNAL』
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2016年12月21日 (水)

BRING ME THE HORIZON『THAT'S THE SPIRIT』(2015)

2015年秋にリリースされた、BRING ME THE HORIZONにとって通算5枚のオリジナルアルバム。全英2位、全米2位という、それまでのキャリアでともに最高位を記録しただけでなく、バンドの新境地を伝える斬新な1枚でもあります。

初期のデスコア路線こそがBMTHだ!という人にとっては、キーボーディストを正式メンバーに迎えて制作された前作『SEMPITERNAL』(2013年)以降の流れには不満かもしれません。事実、僕も最初に『SEMPITERNAL』からのリード曲「Sleepwalking」を聴いたときは正直ショックでしたし、慣れるまでにしばらく時間がかかりました。とはいえ、『SEMPITERNAL』というアルバム自体はそれ以前の作風も含まれており、聴き込めば聴き込むほぼハマっていく不思議な魅力が備わっていたのも事実です。

その流れで発表されたこの『THAT'S THE SPIRIT』では、いわゆるスピードナンバーを完全排除し、ミドルテンポ中心の中でサウンドメイキングで緩急をつけるという挑戦的な内容。ギターのローサウンドとメランコリックなシンセサウンドの融合、そこにオリヴァー・サイクス(Vo)の歌メロを大切にしたボーカルが乗る作風は、それまでのBMTHを考えれば新鮮以外のなにものでもなく、曲によっては「LINKIN PARKかよ!」とツッコミたくなるくらい屈託ない楽曲が並びます。

彼らがこのタイミングでいわゆる売れ線を狙ったとは思えませんし、単に音楽の趣味が拡散した故のこの作風なんだと思いますが、いかがでしょうか。彼らがそれまで軸足を置いていた村からはケチョンケチョンに酷評されたようですが、僕自身はバンドとしての新たな可能性を感じたし、むしろ「この次」こそが真の勝負作なんじゃないかと感じています。過去からの脱却を経て、彼らがどこに進むのか。それがヘヴィロックの未来につながるんじゃないか、そう信じています。

昨年、僕は自身のサイトや各誌で求められた年間ベストアルバムにて、このアルバムを1位に選びました。あれから1年経ちましたが、その考えは今も変わっていません。事実、今年1年も本当に聴きまくったアルバムですし。だからこそ、今年頭に予定されていた久しぶりの単独来日公演が延期(事実上の中止)になってしまったのは残念でなりません。このアルバムのタイミングで彼らを日本で観ることができないなんて……ライブを見せることで、このアルバムに対する評価も少しは変わったかもしれないのに。



▼BRING ME THE HORIZON『THAT'S THE SPIRIT』
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2015年12月31日 (木)

2015年総括(1):洋楽アルバム編

さて、2015年もあとちょっとで終わりということで、今年を総括してみたいと思います。

毎年恒例となりましたが、その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2015年気になったアイドルソング10曲(次点なし)、そして今年印象に残ったライブ3本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品 / 楽曲には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありませんので、あしからず。あといろんなところに貼り付けたりFacebookでシェアされても恥ずかしいだけなので、やめておいてもらえるとありがたいです。本当にごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」ですからね。

あ、今年から動画を貼り付けてるので、各項目ごとにエントリー分けしてあります。まずは洋楽アルバム編です。

■洋楽10枚(アルファベット順)

●Bring Me The Horizon『That's The Spirit』(amazon)(レビュー

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