2016/12/16

BRYAN ADAMS『WAKING UP THE NEIGHBOURS』(1991)

1987年春に発表した5thアルバム『INTO THE FIRE』がその前のメガヒット作『RECKLESS』には遠く及ばない小ヒット作で終わってしまい、一部ファンの間では「終わった」なんて囁かれていたブライアン・アダムス。しかし、ここ日本では1988年1月に武道館5DAYSを含む大々的なジャパンツアーを成功させ、1989年末にも東京ドームでのカウントダウンイベントで再来日して好調ぶりをアピールしたのでした。

そんなブライアンの運命を変える1曲が、1991年夏にリリース。それが映画『ロビン・フッド』の主題歌に起用された王道バラード「(Everything I Do) I Do It For You」でした。この曲は全米7週連続1位、全英では16週1位というギネス記録を樹立しました。そんなメガヒット曲に続いて発表されたのが、4年ぶりのオリジナルアルバム『WAKING UP THE NEIGHBOURS』です。

「(Everything I Do) I Do It For You」を含む本作のプロデュースを手がけたのは、古くはDEF LEPPARD『PYROMANIA』『HYSTERIA』のプロデューサーとして知られるジョン・マット・ラング。あの印象的なビッグサウンド&コーラスが全面的に導入され、楽曲自体もどこかDEF LEPPARDをイメージするミディアムテンポが中心。泣きのバラード「Do I Have To Say The Words?」なんて「Love Bites」のアレンジをそのまま流用したんじゃないかってくらい激似ですし。確かに前作での渋さや暗さは皆無で非常に明るさに満ちていますが、初期の溌剌とした疾走感が減退したことで昔からのファンからは異論を唱える声もあったほどです。

しかし、数字の上では全米6位、全英1位という好成績を残しています。売り上げも『RECKLESS』に匹敵する記録で、シングルも先の「(Everything I Do) I Do It For You」以降「Can't Stop This Thing We Started」(全米2位)、「There Will Never Be Another Tonight」(同31位)、「Though I'd Died And Gone To Heaven」(同13位)、「Do I Have To Say The Words?」(同11位)とヒット曲を連発。ここ日本では1992年2〜3月に大掛かりなアリーナツアーを開催したほか、翌1994年2月には一夜限りの武道館公演のために再来日も果たしました。

40オーバーの方々にとっては「ブライアン・アダムスといえば『RECKLESS』」かもしれませんが、それよりちょっと下の世代から「ブライアン・アダムスといえば『WAKING UP THE NEIGHBOURS』」という声が聞こえてきたとしても不思議ではないほど、『RECKLESS』以降の彼を代表する1枚と言えるでしょう。ただ、1曲1曲の完成度が異常に高いものの、全15曲74分という収録内容はちょっとやりすぎかなと。あと3曲削って60分以内にまとめてくれたら、もっと親しみやすいアルバムになったんじゃないかな。さらに、ロックアルバムという点にこだわったとしたら、全10曲でもいいくらい。という意味では、ブライアン・アダムスが本気でポップスと向き合った最初の1枚だったのかもしれませんね。



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【BRYAN ADAMS ディスクレビュー一覧】
『Into The Fire』(1987)
『WAKING UP THE NEIGHBOURS』(1991)

投稿: 2016 12 16 02:00 午前 [1991年の作品, Bryan Adams] | 固定リンク

2016/08/29

Bryan Adams『Into The Fire』(1987)

ブライアン・アダムス、5年ぶりの来日公演が2017年1月に決定しました。今回は1月23日に大阪・大阪市中央体育館、24日に東京・日本武道館という計2公演。オリジナルアルバムとしては2008年3月発売の『11』以来7年半となる新作『Get Up』を昨年10月にリリースしているので、同作を携えての来日公演となるわけですが……そうか、そんなに空いてたんですね。その合間にもライブアルバム『Bare Bones』(2010年)やライブDVD『Live At Sydney Opera House』(2013年)、カバーアルバム『Tracks Of my Years』(2014年)、そして1984年の名盤『Reckless』の30周年記念盤(2014年)もリリースされたりと、ことアイテムには事欠かなかったので、7年半というのは改めて意外な気がしました。

そして来日に関しても、定期的に日本公演をやってくれてる印象があったのですが、それって結局90年代のイメージなんだなと、ここで改めて気づかされました。前回の来日は2012年2月。この際には東名阪で計4公演、その前になると2005年4月ということで、7年も空いている。さらにその前は2000年6月だから、5年のブランク。90年代は1992年、1993年、1994年、1997年と定期的に来てくれてるから、この印象が強かったわけですね。なるほど、納得。

では自分がブライアン・アダムスを最後に観たのはいつだろう?と振り返ってみると……21世紀に入ってからは、確実に観ていない。となると……おそらく彼のキャリア初の最大規模ジャパンツアーとなった1992年2〜3月のツアー時はイギリスに留学中だったので観てないし、翌1993年は武道館1回だけなので行ってないはず。たぶんですが……1994年か1997年、どちらかの武道館公演を観てるはずなんです。ただ、どっちだったかの記憶が曖昧で。ベスト選曲だった記憶は確かにある、でも1996年発売の『18 Til I Die』の楽曲を聴いたかどうか……聴いたような気もするし、聴いてない気もするし。もしかしたら両方行ってるかもしれないけど、それすら記憶があやふや。困ったもんです。ただ、これを機に来年の来日公演には足を運んでみたいなと思ったのも事実。20年近く観てないのなら、あれから彼がどう成長・成熟したのか生で確認したいし(「あれから」時の記憶があやふやなくせに)。

閑話休題。ブライアン・アダムスで一番好きなアルバムを尋ねられたとき、多くの人は大ヒット作の『Reckless』か、同じくらい大ヒットを記録した1991年作の『Waking Up The Neighbours』を挙げることでしょう。しかし、個人的にはその『Reckless』と『Waking Up The Neighbours』の間に挟まれた、地味で小ヒットしか記録できなかった1987年作の『Into The Fire』をピックアップしたいのです。『Cuts Like A Knife』(1983年)も『18 Til I Die』もいい作品だし、アメリカでは大コケした1998年作の『On A Day Like Today』も個人的には捨てがたい(いや、僕個人で言ったら『On A Day Like Today』は『Into The Fire』の次に好きかも)。でも、あえて『Into The Fire』は名盤だと、声を大にして言いたいのです。

アメリカだけで500万枚ものセールスを記録し、初の全米No.1シングル「Heaven」をはじめ6枚ものヒット曲を生み出した『Reckless』に続く、通算5作目のオリジナルアルバムが『Into The Fire』。時期的に言うと、ちょうどU2が『The Joshua Tree』をリリースしたのと同タイミングで、この2枚は当時聴きまくった記憶があります。僕自身、高校に上がるタイミングで、入学祝いでいただいた音楽ギフトカードでこの2枚を同時購入したんじゃなかったかな。

ブライアン・アダムスというと元気ハツラツ、健康的なロッカーというイメージが『Cuts Like A Knife』と『Reckless』で植え付けられたと思うのですが、続く『Into The Fire』ではそういったイメージを払拭するような、シリアスで若干ダークなサウンド……要するに、「いつまでも子供じゃいられない」というブライアンの意地みたいなものが前面に打ち出されています。まぁその結果、大きなヒットには結びつかず、次作『Waking Up The Neighbours』まで4年もの歳月を要することになるのですが(もちろん理由はそれだけじゃないと思いますが)。

たぶん自分も高校生になり、それまで聴いてきたロックよりも幾分大人なものに憧れがあったのでしょう。そんなタイミングに発表された『Into The Fire』は当時の自分の心境を重ねやすい1枚だったんだと思います。でもね、今聴き返すと……地味といえば地味だけど、決して駄作ではない。1曲1曲の完成度は高いし、のちの作品にもこういったテイストの楽曲は含まれているわけでして。ただ、全編こういったテイストだったことが問題で、多くのリスナーが求める「ブライアン・アダムス像」と異なった。それがヒットに結びつかなかったわけです。

元気ハツラツ路線の延長線上にあるけどちょっと大人テイストの「Hearts On Fire」もあれば、アッパーなロックンロール「Another Day」「Only The Strong Survive」もある。でも軸になるのはリードシングルの「Heat Of The Night」やタイトルトラック「Into The Fire」、どこかゴスペルチックな大人のバラード「Victim Of Love」など。この頭3曲の印象なんですよね。このほかにも「Native Son」「Rebel」「Home Again」など地味目だけど聴き応えのあるミディアムナンバー多数。気楽に聴ける作品ではないかもしれないけど、一度ハマれば抜け出せなくなるほどの深みがある、そんな1枚ではないでしょうか。

リリースから間もなく30年経つけど、改めて聴いてみて思ったのは、そんなに古さを感じさせない作品だなと。『Reckless』や『Waking Up The Neighbours』はサウンドやミックス的にクセが強いから人によっては時代を感じてしまうかもしれないけど、この『Into The Fire』はいい塩梅のバランス感で成り立ってると思いました。果たしてリリース30周年のタイミングで現代的にリマスタリングされることがあるのか、そうなったときにどんな音になるのか、いろいろ気になりますが、しばらくはこのアルバムを何度も聴き返して、そのディープな世界観に浸ってみたいと思います。



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投稿: 2016 08 29 02:18 午後 [1987年の作品, Bryan Adams] | 固定リンク

2005/03/08

時代錯誤も甚だしいけど‥‥

気分は80'S!デフ・レパード&B.アダムス、全米ツアー発表(CDJournal.com)

 共に'80年代は『産業ロック』だの『産業メタル』だのと言われつつも、数百万枚あるいは千数百万枚ものアルバムセールスを記録したトップセラーであり、また共に同じプロデューサー(ジョン・マット・ラング)だったことがある2組。'80年代(特に「HYSTERIA」)のDEF LEPPARDと、'90年代以降のブライアン・アダムスのサウンド・曲調が似たり寄ったりなのは、ソングライターとしてもアルバムに関わるマット・ラング(元々この人、AC/DCとかTHE CARSといったアーティストを手掛けてた人)の手腕によるもの。しかもその完成度の高さは一級品といっていいでしょう(好き嫌いはあるだろうけどね)。

 共に21世紀に入ってから‥‥特にLEPSは'90年代後半以降苦戦を強いられていて、ヨーロッパではそこそこ成功している2組も、アメリカでは散々なようです。

 そんな彼等がこの夏、ダブル・ヘッドライナー・ツアーを行うと! スタイル的には全く違いますが、MOTLEY CRUEとSUM41とのツアー並みに豪華なんですが(俺的に)。そりゃね、既にアメリカでは『OUT OF TIME』なのかもしれないけどさ、この春にBON JOVIが新作だしてそれがまたヒットとかしたら、状況がもう少し良くなると思うんだけどなぁ‥‥

 共に昨年末に音源をリリースした2組。ブライアンは約6年振りのオリジナル・アルバム、LEPSは新録カバー1曲のみのベスト盤。きっとお互い、グレイテスト・ヒッツ・ツアーみたいになるんだろうなぁ‥‥これ、このまま日本に来ちゃえばいいのに(ってブライアンは4月に来るからなぁ。厳しいか)。



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投稿: 2005 03 08 10:25 午後 [Bryan Adams, Def Leppard] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/19

とみぃ洋楽100番勝負(31)

 ひとまず「中学生編」は前回で終わり、かな。まだ抜けがあるような気がするけど。

 とりあえず、今回からは高校時代編。30曲くらいを予定してます。まーこの頃から暫くはメタル一辺倒な時代に突入するのかな‥‥


●第31回:「Heat Of The Night」 BRYAN ADAMS ('87)

 最近、6年振りのアルバムをリリースしたブライアン・アダムス。きっと俺等の世代なら「RECKLESS」を名盤に挙げて、"Heaven" や "Straight From The Heart" といったバラードを名曲に挙げるんでしょうね。で'90年代以降に聴き始めた人等にとっては「WAKING UP THE NEIGHBOURS」が名盤であって(誰だよ、「DEF LEPPARDってブライアンのパクリだよね!」とか言ってる奴は!?モノ知らなさ過ぎ!)、"(Everything I Do) I Do It For You" や、スティングとかロッド・スチュアートと共演した "All For Love" が凄い曲だとか言い出すんだろうなぁ‥‥いや、それは否定しませんよ。人それぞれに好みがあるでしょうから。

 けど。俺が一番好きなブライアン・アダムスのアルバムは、間違いなく「INTO THE FIRE」であり、一番好きなバラードは "Victim Of Love" なんだ、と。胸を張って言いたいね。

 曲がつまらない、とか、駄作、とか、全然ポップじゃない、とか。言いたいことはそれだけかよ? 要するにお前等みんな、固定観念に捕らわれて、自分が理解できないものを全部「糞」とか言いたいんだろ?

 バカかと。アホかと。

 高校に入るか入らないかの頃。間違いなく俺はこのアルバムに夢中になってた。これと同時期にリリースされたU2の「THE JOSHUA TREE」と。中学卒業祝いで貰ったCDギフト券(いや、当時はまだレコードギフト券か)で買ったこの2枚にどれだけ救われたことか。根が暗いからさ、能天気なロックには救われないのよ。

 とりあえず進学校みたいな学校に入学して、いろんな違和感を感じながら、きっと俺はこの重苦しいアルバムの中に逃げ場を探してたんじゃないかな‥‥いやよく覚えてないけど。

 とにかく、この重さがたまらないんだよね。特に "Heat Of The Night" は、ブライアンが弾くギターソロがまたね、味わい深くて。渋い。本気で渋い。

 もはやこのアルバムからの曲はライヴで演奏されることもないだろうけど‥‥やっぱり大切なアルバムだな、これは。



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投稿: 2004 09 19 12:00 午前 [1987年の作品, Bryan Adams, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック