BUCKCHERRY『BLACK BUTTERFLY』(2008)
2008年9月16日にリリースされたBUCKCHERRYの4thアルバム。日本盤は同年9月10日発売。
日本先行で2005年10月に発表され、北米では翌2006年4月に発売された前作『15』でしたが、同作から「Crazy Bitch」(全米59位)、「Sorry」(同9位)とヒットシングルが生まれたことで、アルバム自体もロングヒット。最高39位と順位的にはそこまで高くはないものの、売上的には最終的に200万枚を超えるセールスを残しています。
このヒットを受けて、アメリカでは2年5ヶ月ぶりとなる本作(日本ではほぼ3年ぶり)。新たなプロデューサーに、「Sorry」でコライトしたマーティ・フレデリクセン(AEROSMITH、DEF LEPPARD、MOTLEY CRUEなど)を迎えて制作され、前作の流れを汲む“新生BUCKCHERRY”らしい仕上がりとなっています。
マーティは「Tired Of You」や「Talk To Me」など全12曲中4曲で、ジョシュ・トッド(Vo)&キース・ネルソン(G)と共作。「Too Drunk...」(正しいタイトルは「Too Drunck To Fuck」)のような初期の彼ららしいいかがわしいロックンロールを含むものの、基本的には整合感の強い正統派スリージー/ハードロックが中心で、『15』からファンになったリスナーには入っていきやすい作りと言えるでしょう。
アルバム冒頭の「Rescue Me」からして、かなり毒気が抜けていることが伝わりますが、カッコよければ問題なしう。哀愁味を漂わせるミディアムナンバー「Dreams」や「Don't Go Away」、ワイルドさの伝わる「Talk To Me」や「A Child Called "It"」、初期の彼らのイメージを引き継ぎつつモダンにアップデートさせた「Fallout」、アーシーなアコースティックナンバー「All Of Me」、今や彼らのライブには欠かせないアンセムソング「Cream」と、どの曲も完成度は非常に高く、アルバムとしてのバランス感も非常に優れている。ただ、先にも書いたように毒気が薄まっていることで、初期からのファンには物足りなさを残してしまう懸念は否めません。ですから、BUCKCHERRYに何を求めるかで大きく評価が分かれる1枚かもしれませんね。
ただ、本作は配信/ストリーミングで聴くとインパクトが弱い印象を受けます。というのも、「Too Drunk...」がそのタイトルや歌詞の内容を理由にカットされており、代わりにDEEP PURPLEの代表曲「Highway Star」に差し替えられているのです。一応「Too Drunk...」は今作からのリードシングルなんですけど……。
なもんですから、一番パンチの強い曲が削られたことで、初期ファンからはさらに印象の薄い1枚になってしまったのではないでしょうか。僕も久しぶりにストリーミングで聴いて、その違和感に驚いたほどですから。なので、できることならリイシュー前の初盤を中古盤ショップで探してみることをオススメします。
▼BUCKCHERRY『BLACK BUTTERFLY』
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