2017/10/05

JOSH TODD & THE CONFLICT『YEAR OF THE TIGER』(2017)

BUCKCHERRYが2015年夏に発表した7thアルバム『ROCK 'N' ROLL』はそれまでの生々しいまでにパンキッシュなロックンロールとは異なる、文字通りの“ロックンロール”に立ち返った作品集で、個人的には好みだったものの、世間的には不評だったようです。それもあってなのか、今春にはオリジナルメンバーにしてジョシュ・トッド(Vo)とバンドを維持し続けてきたキース・ネルソン(G)、そして復活後にドラマーとして加入したイグザビエル・ムリエルがBUCKCHERRYを脱退。サポートメンバーを迎えて夏のツアーを乗り切ったようですが、どう考えても存続は難しいのではないでしょうか。

そんなタイミングに、ジョシュとスティーヴィー・D(G)がバンドと並行してレコーディングを続けてきたプロジェクトが、この9月にデビューアルバムをリリース。最終的にはJOSH TODD & THE CONFLICTというバンドとして、しばらくはこちらの活動に専念するようです。

ご存知のとおり、ジョシュはBUCKCHERRYが一度解散した際、ソロ名義で『YOU MADE ME』(2003年)というアルバムを1枚だけ発表しています。同作はBUCKCHERRYのイメージを引き継ぎつつも(そりゃそうだ、彼の声こそがバンドの持ち味のひとつだったんだから)、ニューメタル以降のヘヴィ&ラウドなサウンドを取り入れたモダンな仕上がり。正直、BUCKCHERRYよ再び……と思っていたファンには厳しい内容だったと思います。

そこを踏まえつつ、今回の新バンドのデビューアルバムと向き合ったのですが、思った以上に“俺たちのBUCKCHERRY”な仕上がりだったので肩透かしを食らったというか。いや、嬉しかったんですけどね。

ヘヴィな要素は要所要所から感じられつつも、本作で展開されているのはハードドライヴィングでパンキッシュなロックンロール。『ROCK 'N' ROLL』でBUCKCHERRに少し足りなかったものがここで解消されている気がしました。もしかしたらその“足りなかったもの”は、レーベル的にはアウトなものであり、そこに嫌気がさしてキースは脱退したんじゃ……なんて邪推したくなるくらい、“これをBUCKCHERRYでやれよ!”と思ってしまう内容なのです。

攻めもあれば、「Rain」みたいにヘヴィなバラードもあれば、「Good Enough」のようにダークなアコースティックナンバーもある。ダンスミュージックとハードコアをミックスしたような「The Conflict」、ファンキーなヘヴィロック「Atomic」、さらにプリンスの「Erotic City」のカバーまであるんだから(過去にBUCKCHERRYがプリンスの「Cream」をカバーしてたのはジョシュの趣味だったのかしら)、ファンが聴きたかったBUCKCHERRYをジョシュとスティーヴィーの2人が具現化してくれたと言っても過言ではないでしょう。

きっとJOSH TODD & THE CONFLICTのライブではBUCKCHERRYの楽曲も披露されることでしょう。シングルギターバンドなので完全な再現は難しいし、演奏できる曲も限られるかもしれませんが、ひとまずジョシュがまだまだ前のめりでロックし続けたいという意思が強く感じられるこのバンドの成功を陰ながら祈りたいと思います。



▼JOSH TODD & THE CONFLICT『YEAR OF THE TIGER』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 10 05 12:00 午前 [2017年の作品, Buckcherry, Josh Todd, Josh Todd & The Conflict] | 固定リンク

2017/01/08

個人的に気になるメタル系職業作家15選

先日KIX『BLOW MY FUSE』を紹介した際、知人が文中に登場したテイラー・ローズやボブ・ハリガンJr.といった職業作家に興味を持ったらしく、「デズモンド・チャイルドやホリー・ナイトあたりは調べたことあるんですが、メタル職業作家の存在すごく気になります」というコメントをいただきました。

実際、80年代後半以降、特にBON JOVIやAEROSMITHの大ヒット以降こういった職業作家の存在はメタル系アーティストにとっても欠かせない存在になっています。90年代に入ると、SCORPIONSやオジー・オズボーンといった大御所ですら採用し始めるわけですからね。それまでバンドの力だけですべてをまかなおうとしていたところ、「もっといい曲を!」というバンド自身の姿勢から積極的に、もしくはレコード会社からの圧力からイヤイヤこういったアクションに行動を移すようになったのかもしれません。

また、職業作家の楽曲をアーティストが取り上げるケースには幾つかのパターンがあり、


①作家が以前発表した楽曲をカバー。
②作家とアーティストが共作(アーティストが書いた楽曲をテコ入れする、あるいは逆のケース)。
③プロデューサーとして制作に加わり、楽曲制作にも携わる。
④作家が書いた新曲をそのまま取り上げる。


の4つが考えられるかと。現在のメタルシーンでは多くの場合②が主流だと思いますが、まれに③で大ヒットを飛ばすケースも見受けられます(AEROSMITHの「I Don't Want To Miss A Thing」など)。

そこで今回は、CDのブックレットでよく目にする作家さんをピックアップしつつ、その中から個人的にピンとくる方々をここで紹介。作家の特性を上記の①〜④で分類し、代表曲な楽曲を紹介していきたいと思います。


<70年代〜>

●ラス・バラード(特性:①②)
この人の場合は楽曲提供というよりも、彼が自身のバンドや他のアーティストに提供した曲をメタル系アーティストがカバーしたことにより、その名が知られるようになったと言ったほうがいいかもしれません。きっかけはグラハム・ボネット期のRAINBOWがカバーした「Since You Been Gone」ですよね。RAINBOWは続くジョー・リン・ターナー期にも「I Surrender」をカバーしてますし。そのRAINBOWの数年前に、当時KISSのエース・フレーリーもラス・バラッド作「New York Groove」をカバーして全米トップ20入りのヒットを記録。KISS自身も90年代に「God Gave Rock And Roll To You」を「God Gave Rock And Roll To You II」と改題してカバーしてますしね。それと今回いろいろ調べて初めて気づいたのですが、NIGHT RANGERが最初の解散前に発表したアルバム『MAN IN MOTION』からのリード曲「I Did It For Love」もラス・バラッド作。加えて、これも全然気にしてなかったんですが、BAD ENGLISHのラストアルバム『BACKLASH』収録曲「So This Is Eden」はジョン・ウェイト(Vo)、ジョナサン・ケイン(Key)との共作曲。時代的に90年代に入ってからの作品なので、世の中的に職業作家との共作が当たり前になった時期にそれまでのカバーとは違った形でのコラボレーションが実現したわけです。

代表作品:ACE FREHLEY「New York Groove」「Into the Night」、BAD ENGLISH「So This Is Eden」、GRAHAM BONNET「Liar」「S.O.S.」、KING KOBRA「Dream On」、KISS「God Gave Rock And Roll To You」、NIGHT RANGER「I Did It For Love」、PETER CRISS「Let Me Rock You」「Some Kinda Hurricane」、RAINBOW「Since You Been Gone」「I Surrender」


●リチャード(リッチー)・スパ(特性:①②④)
AEROSMITH「Chip Away The Stone」の作者として知られる彼は、もともとソングライター兼ギタリストとして活動していたアーティスト。ソロアーティストとして70年代にアルバムも発表しており、この中からジョニー・ウィンターが「Stone County Wanted Man」をカバーしています。また、エアロにはその後も楽曲提供を幾つかしているだけでなく、ジョー・ペリーが脱退した際にはレコーディングにも参加(1979年のアルバム『NIGHT IN THE RUTS』収録の「No Surprize」「Mia」)。それ以外に目立った共演は、元BON JOVIのリッチー・サンボラの2ndソロアルバム『UNDISCOVERD SOUL』での共作ぐらい。メタル系以外では、P!NKやMIKAといったアーティストにも楽曲提供しています。

代表作品:AEROSMITH「Chip Away The Stone」「Lightning Strikes」「Amazing」「Pink」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、RICHIE SAMBRA「Hard Times Come Easy」


<80年代〜>

●ジム・ヴァランス(特性:②)
この人はブライアン・アダムスとの共作者としての印象が強いですが、そのブライアンと一緒に書いた2曲がKISS『CREATURES OF THE NIGHT』に収録されたのが、メタル系との最初の接触でしょうか。その後、80年代半ばにはHEART「What About Love」の全米ヒットを皮切りに、AEROSMITH「Rag Doll」を機にエアロとの仕事が増えていきます。ちょうど80年代後半になると、ブライアンとジムの関係も一時的に疎遠になり、メタルのみならず幅広いジャンルのアーティストと共作を重ねていきます。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」「Eat The Rich」、ALICE COOPER「Die For You」「Lullaby」、HEART「What About Love」、KISS「War Machine」、OZZY OSBOURNE「I Just Want You」、SCORPIONS「Tease Me Please Me」


●デズモンド・チャイルド(特性:②③④)
BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」でのイメージが強い彼ですが、実は70年代末にKISS「I Was Made For Lovin' You」をポール・スタンレー、ヴィニ・ポンシア(KISS作品でのコラボレーションが有名なソングライター)と共作しています。なので、上の世代の方々はBON JOVIがヒットした際に「KISSのラヴィン・ユー・ベイビーの人」と思ったかもしれません。BON JOVIでの大成功後、AEROSMITH、アリス・クーパーから引っ張りだこ。そのすべての楽曲がヒットにつながっています。興味深いところではRATTの5thアルバム『DETONATOR』のプロデュースおよび楽曲制作、DREAM THEATERへの楽曲提供といったものもあります。また、HR/HM以外にもジョーン・ジェット「I Hate Myself for Loving You」、リッキー・マーティン「Livin' la Vida Loca」、ZEDD「Beautiful Now」、WEEZER「Trainwrecks」といったところでも名前をみかけます。

代表作品:AEROSMITH「Dude (Looks Like A Lady)」「Angel」「Crazy」、ALICE COOPER「Poison」、BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」「Bad Medecine」、DREAM THEATER「You Not Me」、KISS「I Was Made For Lovin' You」「Heaven's On Fire」、MEAT LOAF「The Monster Is Loose」、RATT「Shame Shame Shame」「Lovin' You's A Dirty Job」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ダイアン・ウォーレン(特性:②④)
カナダ出身の女性ソングライターで、80年代前半から作家としての活動を開始。最初にヒット曲はローラ・ブラニガン「Solitaire」でした。メタル系では80年代後半、HEART「Who Will You Run To」、BON JOVI「Wild Is The Wind」あたりで最初に名前を目にするようになったと記憶しています。が、メタルシーン彼女の名が本当の意味で知られるようになるのは、その10数年後に発表された映画『アルマゲドン』のテーマソングであるAEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」でのこと。このインパクトは強かったと思います。しかし、非メタルシーンではホイットニー・ヒューストン、ビヨンセ、マライア・キャリーといったアーティストへの楽曲提供ですでにキャリアを積んでおり、中でも「Because You Loved Me」をはじめとするセリーヌ・ディオンとのヒットは「I Don't Want To Miss A Thing」と同じくらい大きなものでした。

代表作品:AEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」「We All Fall Down」、ALICE COOPER「Bed Of Nails」、BON JOVI「Wild Is The Wind」「Thank You For Loving Me」、CHEAP TRICK「Ghost Town」「Wherever Would I Be」、HEART「Who Will You Run To」「I Didn't Want To Need You」、KISS「Turn On The Night」、MEAT LOAF「I'd Lie For You (And That's The Truth)」「Not A Dry Eye In The House」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ホーリー・ナイト(特性:②④)
ダイアン・ウォーレンと同時期に名前を目にする機会が増えた、同じく女性ソングライター。そして、自身もシンガーとしての活動をしています。ティナ・ターナーやパット・ベネターといったポップ/ロック系を経て、HR/HM系ではHEART「Never」が最初だったのかな。そこからAEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」でメンバーや他の職業作家と共作を繰り広げます。CHEAP TRICKやKISS、オジー、MEAT LOAFといった面々から想像される、ポップで親しみやすい楽曲作りがメイン。とはいえ、OTEPといったモダンラウド系へも楽曲提供しているから、なかなかあなどれません。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」、CHEAP TRICK「Space」、HEART「Never」「There's The Girl」、KISS「Hide Your Heart」「I Pledge Allegiance To The State Of Rock & Roll」「Raise Your Glasses」、LITA FORD「Stiletto」、LOU GRAMM「Just Between You and Me」、MEAT LOAF「Monstro」「Alive」、OTEP「Perfectly Flawed」「UR A WMN NOW」、OZZY OSBOURNE「Slow Burn」、PAUL STANLEY「It's Not Me」


●ロバート・ジョン・マット・ラング(特性:②③④)
ソングライターというよりもプロデューサーのイメージが強い存在ですよね。古くはAC/DCやFOREIGNER、そしてDEF LEPPARD、90年代にはブライアン・アダムス、2000年代はNICKELBACKやMUSE、さらにはLADY GAGAあたりも手掛けております。主にDEF LEPPARDのメガヒット作『HYSTERIA』において、全曲にクレジットされているところから、曲作りの面においてもある程度コントロールしながらプロデュースしていくタイプなんでしょうね。他にはHEART、LOVERBOYの楽曲制作にも携わっているようです。

代表作品:DEF LEPPARD『HYSTERIA』全曲、「Promises」「It's Only Love」、HEART「All I Wanna Do Is Make Love To You」「Will You Be There (In The Morning)」、LOVERBOY「Lovin' Every Minute Of It」


●ジャック・ポンティ(特性:②③④)
BON JOVIのデビュー作に収録された「Shot Through The Heart」でその名を目にして以降は、BONFIRE、DORO、KEELとB級バンドとの仕事が多いイメージ。90年代に入るとNELSON、アリス・クーパーへの楽曲提供で再びその名を目にするようになります。彼自身はプロデューサー業も行っており、BATON ROUGEやDOROといった正統派からKITTIE、OTEPなどのモダン系まで幅広く手掛けています。

代表作品:ALICE COOPER「Hey Stoopid」「Love's A Loaded Gun」、BABYLON A.D.「The Kid Goes Wild」、BATON ROUGE「The Price Of Love」、BONFIRE「Sweet Obsession」「Hard On Me」、BON JOVI「Shot Through The Heart」、DORO「Eye On You」「Ceremony」、KEEL「Somebody's Waiting」、NELSON「We Always Want What We Can't Get」


●ボブ・ハリガン・Jr.(特性:②④)
自身もシンガーとして活動するソングライター。メタル系アーティストへの楽曲提供がメインで、JUDAS PRIESTのアルバム『SCREAMING FOR VENGEANCE』に収録された「(Take These) Chains」で始めてその名を目にした人がほとんどでは? プリーストには次作でも「Some Heads Are Gonna Roll」を提供したほか、ロブ・ハルフォードのHALFORDにも「Twist」を提供しています。また、80年代末にKIX「Don't Close Your Eyes」のヒットによって、さらに知名度を高めることに成功。90年代には自身のソロアルバムも2枚制作しているようです。

代表作品:BLUE OYSTER CULT「Beat 'Em Up」「Make Rock Not War」、BONFIRE「Bang Down The Door」、HALFORD「Twist」、HELIX「Rock You」、ICON「Danger Calling」、「Raise The Hammer」、JUDAS PRIEST「(Take These) Chains」「Some Heads Are Gonna Roll」、KISS「Rise to It」「Read My Body」、KIX「Midnite Dynamite」「Don't Close Your Eyes」


<90年代〜>

●テイラー・ローズ(特性:②④)
88年発売のKIX「Cold Blood」でその名を目にしたのが最初で、本格的に活躍し始めたのは90年代に入ってから、AEROSMITHとのコラボレーションが活発化して以降のこと。「Cryin’」というヒットシングルがひとつのきかっけになったことは間違いありません。

代表作品:AEROSMITH「Cryin'」「Blind Man」「Full Circle」、CHEAP TRICK「Back 'n Blue」、JOURNEY「All The Way」、KIX「Cold Blood」「Hot Wire」、LOVERBOY「Love Will Rise Again」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、TORA TORA「Amnesia」「Faith Healer」、Y&T「Contagious」


●マーク・ハドソン(特性:②③)
シンガーソングライター、TVパーソナリティなどを経て、プロデューサーや職業作家としての道を進み始めます。AEROSMITH「Livin' On The Edge」でその名を広く知らしめ、グラミー賞も受賞しました。エアロとの仕事はアルバム『JUST PUSH PLAY』でスティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、次に触れるマーティ・フレデリクセンとのチームで「Boneyard Boys」と名乗り、プロデュースやソングライティングを行いました。他にはアリス・クーパー、オジー・オズボーン、BON JOVI、SCORPIONSと大御所ばかりと共作。他にはリンゴ・スターとのコラボレーションも有名どころです。

代表作品:AEROSMITH「Livin' On The Edge」「Gotta Love It」「The Farm」、ALICE COOPER「Cleansed by Fire」、BON JOVI「Two Story Town」、OZZY OSBOURNE「Ghost Behind My Eyes」「Denial」、SCORPIONS「No Pain No Gain」


●マーティ・フレデリクセン(特性:②③)
AEROSMITHのアルバム『NINE LIVES』で頭角を表して以降、同バンドとのコラボレーションを重ねていきます。上のマーク・ハドソンでも触れたように、スティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、マーク・ハドソンとの4人で「Boneyard Boys」というチームで、続くアルバム『JUST PUSH PLAY』のプロデュースやソングライティングも手掛けました。以降はBUCKCHERRY、MOTLEY CRUE、DAUGHTRYなどへの楽曲提供、DEF LEPPARD『X』のミキシングといったHR/HM系仕事のほか、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルとの共作でも知られています。

代表作品:AEROSMITH「Nine Lives」「Jaded」「Fly Away from Here」「Sunshine」、BUCKCHERRY「Next 2 You」「Sorry」、THE CULT「Breathe」、DAUGHTRY「Crawling Back To You」「Outta My Head」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」「Love Me Bad」、MOTLEY CRUE「Saints of Los Angeles」「Mutherfucker Of The Year」、OZZY OSBOURNE「Dreamer」「That I Never Had」、RICHIE SAMBRA「Who I Am」、SCORPIONS「10 Light Years Away」「We Were Born To Fly」、STEVEN TYLER「(It) Feels So Good」


●グレン・バラッド(特性:②③)
この人は90年代中盤、アラニス・モリセット『JAGGED LITTLE PILL』のプロデュース&楽曲制作で一気に名を馳せることになりますが、それ以前にもソングライターやミュージシャン、プロデューサーとしてマイケル・ジャクソン、ポーラ・アブドゥル、WILSON PHILLIPSなどの代表作に参加して経験を積んできました。アラニスの成功により、AEROSMITHが1997年のアルバム『NINE LIVES』のプロデューサー兼コラボレーターとして白羽の矢を立てるのですが、その内容に納得できずに制作途中でコラボを解消。結果的には一部の楽曲をケヴィン・シャーリーのプロデュースで再録音したり新たに楽曲を書き足したりして、現在の形にまとまるという、エアロファンには忘れられない事件を引き起こします。以降、HR/HM系アーティストとの共作はほとんどなく、エアロ以前にVAN HALENにデイヴ・リー・ロスが一時復帰した際の新曲に携わった程度でしょうか。本来ならここで取り上げるまでもない存在なのですが、トピック的に面白かったので残してみました。

代表作品:AEROSMITH「Falling in Love (Is Hard on the Knees)」「Taste of India」「Pink」、VAN HALEN「Me Wise Magic」「Can't Get This Stuff No More」


<2000年代〜>

●アンドレアス・カールソン(特性:②)
スウェーデン出身のプロデューサー、ソングライター。現在40代前半と、上記の作家陣と比べると若手の部類に入ります。ということで、彼が活躍し始めたのも2000年前後から。一番の出世作はBACKSTREET BOYS「I Want It That Way」でしょうか。彼はブリトニー・スピアーズやWESTLIFE、NSYNCと当時のアイドルを手がけることが多かったのも特徴です。そういったポップフィールドでの活躍が評価されて、2002年にBON JOVIがアルバム『BOUNCE』で「Everyday」「Misunderstood」など、DEF LEPPARDがアルバム『X』で「Unbelievable」を共作します。同じタイミングにこの2バンドが彼を採用したことで、僕も印象に残っていました。HR/HM系では他にもポール・スタンレーのソロアルバム『LIVE TO WIN』、EUROPEの異色作『LAST LOOK AT EDEN』にも参加しています。

代表作品:BON JOVI「Everyday」「Misunderstood」「All About Lovin' You」、DEF LEPPARD「Unbelievable」、EUROPE「Last Look At Eden」「New Love in Town」、PAUL STANLEY「Live To Win」「Wake Up Screaming」「Bulletproof」


●ジェイムズ・マイケル(特性:②③)
プロデューサーやソングライターとしてより、現在はニッキー・シックス(元MOTLEY CRUE)とのバンド、SIXX: A.M.のフロントマンとして有名かな。さまざまなバンドを経て、2000年にソロデビュー。ちょうどこのころにニッキー・シックスと出会い、MOTLEY CRUEのトミー・リー不在アルバム『NEW TATTOO』にソングライターとして参加します。以降は同じくニッキーが参加したBRIDES OF DESTRUCTION、そしてSIXX: A.M.へと続いていくわけです。他にはPAPA ROACH、HALESTORM、ジェイムズ・ダービンといったモダンなアーティストのほか、SCORPIONS、MEAT LOAFなどの大御所との共演も実現しています。またプロデューサー/エンジニアとしてはHAMMERFALLのアルバムも手掛けています。

代表作品:BRIDES OF DESTRUCTION「Brace Yourself」「Natural Born Killers」、HALESTORM「Private Parts」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」、MEAT LOAF「Couldn't Have Said It Better」「Did I Say That?」、MOTLEY CRUE「New Tattoo」「Sick Love Song」「Saints of Los Angeles」、PAPA ROACH「I Almost Told You That I Loved You」、SCORPIONS「Hour I」、SIXX: A.M.「Life Is Beautiful」「Lies of the Beautiful People」「Gotta Get It Right」


以上、15名を独断と偏見で挙げてみました。やはり80年代中盤、アメリカでHR/HMが大ヒットしたことがメタル系職業作家の繁栄につながったと言って間違いなさそうですね。正直2000年代以降はどういった人たちが主流なのかいまいち調べきれず、こういう形になってしまいました。

改めて思ったのは、BON JOVIやAEROSMITHといった先駆者たち、そしてオジーやSCORPIONSなどの大御所アーティストが新作を出すたびにクレジットに注目しておくのが、一番手っ取り早いなと思いました。

そういう意味でも、この(↓)アルバムは歴史を変えた重要な1枚かもしれませんね。



▼BON JOVI『SLIPPERY WHEN WET』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 08 12:00 午後 [Aerosmith, Alice Cooper, Bon Jovi, Buckcherry, Def Leppard, Europe, Heart, Kix, Night Ranger, Ozzy Osbourne, Richie Sambora, Scorpions, Sixx:A.M., Van Halen, 「分析ネタ」] | 固定リンク

2005/11/21

MOTLEY CRUE@さいたまスーパーアリーナ(11/20)

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 以前どこかで書いたと思うけど、自分の中学生時代('80年代半ば頃か)のヒーローはマイケル・モンロー(HANOI ROCKS)とニッキー・シックス(MOTLEY CRUE)だった、というようなことをずーっと公言してまして。その思いは20年経った2005年においても全く変わらず、まさか30も半ばに差し掛かろうとする今、その2バンドを今年1年の間に観ることができるようになるなんて、あの頃は考えてもみなかったなぁ‥‥ハノイは解散しちゃってたし、モトリーだってメンバーが刑務所行ったり死にかかったりクビになったり出戻りしたり別の奴が抜けちゃったり途中から入ったメンバーが死んじゃったり‥‥ホント、20年でいろいろありすぎだよオマエら。確かに一時彼等のファンであることから距離を置いていた時期もあったけどさ、やっぱり「あの4人」で再び、いや三度か、ステージに立つというのなら、そりゃ観ないわけにはいかないよな。しかも当初、今回の復活ツアーは『Farewell Tour』なんて言われてたしね(後にニッキーが否定、来年もツアーしオリジナルアルバム製作にも意欲を見せている)。

 アメリカやヨーロッパでのツアーでは、日本じゃ考えられない規模のステージセットと火薬の量で度肝を抜くような内容だったけど、ここ日本じゃやれ消防法だ、代々木や横アリじゃそれは無理なんじゃないの?とかなり懐疑的だったんだけど‥‥実際そのステージを観たら、可能な限り海外でのセットに近い、これまでの来日公演で最も海外のそれと「ほぼ同等」な内容だったんじゃないかと思いましたね。いやいや、ここまでやられたら大満足ですよ。

 そんなわけで行ってきました、ジャパンツアー2日目となる、さいたまスーパーアリーナ公演。既に前日の初日が非常に盛り上がり最高だった、と伝え聞いていただけに、過剰な期待を寄せて会場に乗り込んだのでした‥‥

 ここから完全なネタバレ・レポになるので、ワンクッション置きますね。これからライヴを観る人でライヴの内容やセットリストを知りたくない人は、この先読まないように。ツアーが終わってからじっくり読んでね。



 ‥‥さ、準備は良いかしら? というわけで、前座のBUCKCHERRYからいろいろコメントしていきますね。


■BUCKCHERRY
 8月の「SUMMER SONIC」以来、約3ヶ月ぶりに観るわけですが、かなり違って見えましたね。それは観る側の心構えも大きいのかなぁという気もするし、あと新作を通過した後だから曲を把握してるってのも大きいのかもしれません。前回観た時は新作「15」がリリース前だったし、俺に関して言えば2nd「TIME BOMB」すら聴いてない状況でしたからね。そういう意味じゃ、今回演奏された8曲は全部どれがどの曲というのを把握できてたし、更にバンド側も8月の時点よりも「よりバンドに」成長していた‥‥上手く機能してるように感じられました。

 新作に関しては絶賛してた俺ですが、実はライヴ観る数日前に2ndをようやく聴いて‥‥ってこれ、1stよりも良いじゃんか。何で当時聴かなかったんだろう‥‥ラジオやPV等で数曲耳にしてたはずなのに、何故か当時はピンとこなかったんだよね、不思議と。って2ndの感想をここに書いても仕方ないので、ライヴの感想を。

 モトリーの巨大なセットの前方、ステージにかかった幕の前にところ狭しとドラムセットやアンプを置いて、演奏中も各メンバーの行き来が大変そうな中でのライヴだったにも関わらず、客の反応もまずまずだったし、ひとまず大成功だったんじゃないでしょうか。そりゃモトリー観に来た年寄り(30代以上)にはあまり認知されてないかもしれないけど、少なくともこの手のロックに興味を示す10代〜20代の子達にはしっかりアピールしてたと思います。ジョシュも相変わらずハデだし。

 あと、改めて思ったのは‥‥サマソニの時は全く感じなかったのに‥‥曲の出来が良いんだよね(あの時は「曲の判別がつかない、どれも似たり寄ったり」とか書いてたのにな)。サウンドは最高とは言い難かったけど、サマソニの時よりは格段に向上してました。それもあってか、とにかく気持ちよかった。なんつーか‥‥スタジアムやアリーナで観るバンドじゃないのかな、と。もっと小規模な、クラブクラスが非常に似合ったサウンドなんだろうね。同じスタイルのAC/DCはどっちも似合ってるのにさ。この辺はもう、経験とかそういったものなんだろうか‥‥いや判んないけどさ。

 とにかく。初日よりも2曲減っていたとはいえ、8曲でも大満足でしたよ。そして‥‥単独公演観たいと思った。ツアー終わっちゃったけど。また来ないかなぁ。あ、そうか。もう1回モトリーのライヴ観に行けばいいのか!

   [BUCKCHERRY SETLIST]
   01. So Far
   02. Broken Glass
   03. Porno Star
   04. Crazy Bitch
   05. Next 2 You
   06. For The Movies
   07. Ridin'
   08. Lit Up


▼BUCKCHERRY「15」(amazon


■MOTLEY CRUE
 20分のインターバルの後に、ほぼ定刻通りに会場暗転。ステージ天井から大きなプロジェクターが降りてきて、オープニングのチープな映像が流れ始めました。メンバーが主役となった、パペットショーなんですが(声は全てメンバー自身が担当)‥‥字幕一切なしなので、英語厳しい人にはキツかったかも。でも、観てて大まかな内容は理解できたんじゃないかな? とにかくのっけから笑かしてくれます、このオヤジ4人。

 映像がひと通り終わった後、スクリーンがまた天井に戻っていき、幕の前にクラウン(ピエロ)やエロい格好したお姉さま方が出てきて、なんかいかがわしいポーズとかで客を煽った後に後方から音が聞こえてきて‥‥オープニングは "Shout At The Devil" の'97年バージョン。ドラムが入った辺りで幕が上がるんだよね。ステージ上ではエロな踊りをするサーカスのお姉さま方に目を奪われつつも、そこはやはりモトリーファンの俺。まずはニッキーを観て‥‥おお、こないだ出た「BURRN!」の表紙と同じ格好・メイクだ。ミック・マーズは以前と比べればかなりガリガリに痩せてるけど、とりあえず元気そうだ。トミー・リーは‥‥後方なのでよく見えないけど、あのドラミングは健在(あ、言うの忘れたけど、俺の席はアリーナ席のDブロック。真ん中よりかなり前の方で、肉眼でステージ上のメンバーの顔を拝めるポジションでした。ラッキー!)。そして、肝心の‥‥おっ、デブの野郎(=ヴィンス・ニール)、ちょっと痩せた‥‥ように見えるだけ!? とにかく、フロントマンとしてはまぁ合格かな。思ってた以上ではなかったので、ひと安心というか‥‥ってそれ、滅茶苦茶ハードル低いんですが‥‥

 まぁそんなこんなでいろいろ思うことはありつつも、ヴィンスの声(特に高音)も想像してた以上にちゃんと出てるし(ま、歌詞を端折るのは今に始まったことじゃないので、もう諦めてます)、演奏も7年前にお台場で観た時よりもゴリゴリした印象を受けたなぁ。とにかくね、このバンドは‥‥改めて実感したけど、ミック・マーズありきなんだな、と。確かにニッキーのカリスマ性も、トミーの派手でグルーヴィーなドラミングも、ヴィンスの声も、全てモトリーにはなくてはならない要素なんだけど、でもそのギタープレイを観て聴いて、モトリー・サウンドの核はミックのギターだ、と強く実感させられましたね。決してトリッキーでもないし、派手さもないんだけど‥‥やっぱり他のギタリストじゃ考えられないんだよね、モトリーの曲をステージで聴く際に。弾き過ぎず、それでいて地味にもなり過ぎず。痒いところに手が届くプレイやフレーズが満載。この曲にはこのソロが合ってる、このリフとバッキングしかあり得ない‥‥曲にピッタリ合ったプレイを的確に繰り出すという意味で、やはりこの人は過小評価されすぎだろ、と。確かにオーラの強い3人と比べりゃ、ひとり年齢の高いミックは‥‥でも、もっと評価すべきだよ! 俺ですら、何度もライヴ観てるはずなのに、そんな単純なことに今更気づかされるなんて‥‥それだけこの7年間の(俺にとっての)不在は大きかったんだなぁ、と。

 ちょっと話題が逸れちゃったけど、再びライヴの感想に。ライヴ自体は2部構成となっていて、前半に初期(1st〜3rd)の曲中心、後半が「GIRLS, GIRLS, GIRLS」や「DR.FEELGOOD」といった'80年代後半以降の曲メインとなってるのね。何でそういう風に分けたのかは諸説あるけど、まぁこれだけ長いショー(2時間半以上!)だし、前半のメタリックなノリと後半のロックンロールなノリとを区切る意味では、これもアリかなぁと。

 とにかく第一部は初めてライヴで聴くような曲が多くて、涙モノでしたよ。まさかライヴで "On With The Show" を聴ける日が来ようとは。"Too Fast For Love" は7年前のお台場で『デビュー以来久し振りに演奏する』と言って久し振りに演奏してくれたんだけど、あの時はボロボロだったんだよね。ツアー自体はあの時は始まったばかりの時期だったし。そういう意味じゃ今回は2月からアメリカやヨーロッパをずーっと回ってきてるので、演奏面は問題なかったよね。安定感もあったし。心配されたミックもオジーみたいにノソノソと歩き回りながらギター弾いてたし。

 一部ラストは歓喜の "Live Wire"。やっぱりライヴで聴くと盛り上がるね。泣きそうになったもん、首振りながら。

 エンディングと共にまた幕が降りてきて、スクリーンには先のパペットショーの続きが。そして10分間のインターミッション(休憩)が告げられるのでした。スクリーンには10分をカウントダウンしてて、ホントに時間通りに二部がスタートしたもんだから、トイレ休憩してたお客は慌てて席に戻ったんじゃないかな。

 第二部はバイクのエンジン音と共に "Girls, Girls, Girls" でスタート。この頃になると、さすがのヴィンスも声が出なくなってきてて‥‥ま、この日は基本的にどの曲もサビを客に歌わせてましたよ、いつものことですが。

 ちょっと感動的だったのが、"Don't Go Away Mad (Just Go Away)" でお客がちゃんと一緒に歌ってくれたことと、やはり "Home Sweet Home" での大合唱でしょうか。頭のワンコーラスを客に全部歌わせて、その後に再度ヴィンスがトミーのピアノに合わせてもう一度同じフレーズを歌い、バンドが入る‥‥勿論サビは一緒に大合唱。過去、何度かこの曲をライヴで聴いてきたけど(といっても'94年のジョン・コラビの時はトミーのピアノがないアコースティックバージョンだったし、'97年の時は確かやってないんだよね)、ここまでお客が大合唱したのは今回が初めてじゃないかな‥‥何となくそんな気が。

 その後ニッキーがキーボードやテルミンを使ったソロを初めて、自身が火花を被るアトラクションあり、"Dr.Feelgood" で盛り上がった後にお約束のトミーのドラムソロがあり。今回は空中にふたつのドラムセット(ていうかパーカッションだね)を用意し、ワイヤーで吊られてピーターパンの如く宙を舞い、左右のドラムセットを行ったり来たりしながらソロを叩き、最後は火花と爆発で終了という非常に手の込んだソロでした。'87年の回転ドラムソロを超えるのはなかなか難しいけど、これはこれで楽しませてもらいましたよ。やっぱりこんんなバカバカしいことを真剣にやれるのは、もうモトリーだけだもんね(KISSはちょっと方向性違うし、SLIPKNOTはバカ度が足りないんだよね)。

 そうそう。この後にトミーがハンディーカム持ってアリーナ前方にいる女性客に向かって「乳見せろー」といって服を脱がす、既に恒例となってる(らしい)『Tommy's Tits Cam』のコーナーがあったんですが‥‥前日には誰一人脱がなかった(当たり前だ、ここは日本だよ)のに、この日は‥‥仕込みなのか、ホントにノリが良かったのか、5〜6人脱いでるんだよね! しかも最後の子なんてアリーナの真ん中辺から前方までやってきて、自らアピールして胸見せてたからね! 嗚呼、いつから日本はこんな素敵な国になったんでしょうか!!!(感涙)これ見たさに俺、もう1公演行きたいくらいだもん!(えーっ)

 という、お客自体も非常にアメリカナイズされたこの日のライヴ、ミックの渋いギターソロの後にお約束 "Kickstart My Heart" で本編終了。長めの休憩の後にアンコールでSEX PISTOLSの "Anarchy In The U.K."。サーカス一同全員がステージ上に登場し、後方には悪魔の顔したクラウンのバルーン人形が登場、ここぞとばかりに全部やり尽くしてライヴ終了。18時にスタートして、全部終わったのが20時45分過ぎてた‥‥いつからモトリーはこんなに長いライヴをやるようになったんだよ!?とちょっとだけ感慨深かったですね。だって、'87年の時なんて、その半分くらいの時間しか演奏しなかったのに‥‥

 いやーっ、とにかく圧巻のステージでした。曲によってストリッパーばりの女性ダンサーが空中で踊ってたり、ナースの格好したエロいお姉さま方がヴィンスと絡んだり(ってそっちばかりかよ)。火柱や花火・火花もToo Muchなくらいに使いまくってたし。っていうか、あそこまでやって消防法に引っかからないの!?ってくらいに爆発してたなぁ。多分、KISSと同等なんじゃないの、火薬量。でも本場でのライヴにはほど遠いんでしょ、あれで‥‥一体何やってるんだよ、向こうじゃ!?

 もうね、ここまでやってくれたら、他は文句言えないよ。そりゃ、ヴィンスの歌のこととか、選曲とか(せめて "Smokin' In The Boys Room" はやって欲しかった)いろいろ言いたいこともないことはないんだけど‥‥究極のエンターテイメントを目の当たりにした今、もうそれだけで満足ですよ。あーそうそう、俺はガキの頃、"Home Sweet Home" のPV観て、こういう世界観に憧れたんだよなーって。非常に基本的なことを思い出させてくれた、非常に素晴らしい『ショー』でしたね。あれはもはやライヴを超えてる。『ショー』ですよ、ひとつの。

 なんだろ‥‥普段下北辺りの狭いライヴハウスでしかライヴ観てないような子達にも、このToo Muchな世界観を是非体験して欲しい。好き嫌いはあるにせよ、とにかく‥‥ロックってこういうバカバカしいものじゃん本来は。これもひとつの『初期衝動』の表現の形だよね。何もストイックに、ミニマムに突き進むことだけが正しいロックの在り方じゃないと思うよ。中坊の頃に頭に思い描いたクソ下らない、ハデでバカバカしい世界観。それを40半ばを過ぎ50代に近づこうとしてるオッサン達がやってる‥‥まだまだ30代の俺らも負けてられねぇよな、と。凄く勇気づけられたよなぁ‥‥

 なんつーか、もうこれで解散しますと言われても仕方ないくらいのステージを見せてもらって、俺自身は大満足だし、今はお腹いっぱいですよ。ま、余裕さえあれば今週末のパシフィコ横浜公演にも行こうかと思ってますけどね!

   [MOTLEY CRUE SETLIST]
   --- INTRO ---
   01. Shout At The Devil '97
   02. Too Fast For Love
   03. Ten Seconds To Love
   04. Red Hot
   05. On With The Show
   06. Looks That Kill
   07. Louder Than Hell
   08. Live Wire
   --- INTERMISSION (10min)---
   09. Girls, Girls, Girls
   10. Wild Side
   11. Don't Go Away Mad (Just Go Away)
   12. Primal Scream
   13. Glitter 〜 Without You
   14. Home Sweet Home
     〜Nikki Sixx Solo
   15. Dr. Feelgood
   16. Tommy Lee Drum Solo
   17. Same Ol' Situation (S.O.S)
   18. Sick Love Song
   19. Mick Mars Guitar Solo
   20. Kickstart My Heart
   --- ENCORE ---
   21. Anarchy In The U.K.


▼MOTLEY CRUE「RED, WHITE & CRUE」(amazon:日本盤US盤

投稿: 2005 11 21 10:30 午後 [2005年のライブ, Buckcherry, Motley Crue] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/10/27

BUCKCHERRY『15』(2005)

 BUCKCHERRY再結成については過去にこのエントリーに情報を書いてるので、その辺を参照してもらうとして‥‥まさかこんなに早く新作が出ると思ってなくて。せいぜい来年の頭頃だろうな、と高を括ってましたよ。ところが‥‥噂通り、今年の頭から楽曲の準備を始めていて、このメンバーが揃ってからいざレコーディングを開始したら‥‥たったの15日で完成してしまったという。それでタイトルが「15」ってことらしいよ‥‥てっきり15曲入ってるからだと思った(実際には13曲しか入ってません)。

 2nd「TIME BOMB」から数えて4年とか5年? まぁそれくらい間が空いちゃうアーティストも結構いるし、別に解散してなかったとしても「久し振りの新作!」ってことでそれなりに話題にはなっただろうね。正直言えば、去年の夏にジョシュ・トッドがソロアルバムをリリースしてるので、全然間が空いた印象がないんだよね。あと‥‥もっと言えば、ジョシュのソロが結構好きだっただけに、BUCKCHERRYに戻る理由が見えてこなかった。てっきりソロバンドは上手くいってるもんだと思ってたから。けど‥‥昔の名前云々よりも、パートナーとしてのキース・ネルソンの存在が大きかったのかなぁ‥‥このアルバムを聴いて、そんな気がしました。

 既にこの夏、サマソニでここに収録されている新曲の幾つかは耳にしてたんだけど‥‥過去のレポートにも書いたように、全然印象に残らなかったのね。まぁあのスタジアムの環境もよくなかったし、なによりもこっちも聴くぞ!っていう心構えがあまりできてなかったし。

 ところが、今回アルバムを聴いてみて‥‥あ、この曲やってた!とか、お、これ聞き覚えがある!っていう曲が幾つかあって。ってことは、ちゃんと記憶に残ってたんだね。ビックリした。

 楽曲自体は過去2作の延長線上にある作風なんだけど‥‥正直、今までで一番良い出来だと思う。楽曲のバラエティー豊かさは過去1番だし、ジョシュのソロみたいにヘヴィ一辺倒ってわけでもなく、中盤にミドルテンポのアコースティック曲やストリングスを導入したパワーバラード的な楽曲もある。如何にもなAC/DC的ハードロックもあるし、疾走パンクチューンもある。要するに、我々がイメージする「BUCKCHERRY像」を忠実に再現しながらも、更にその数歩先を行ってる感じかな。ここまで出来が良いと思ってなかっただけに、これは嬉しい驚きでした。

 楽曲クレジットを見ると、ジョシュやキースのみならず、ベースのジミーやギターのスティーヴ・D、更には外部ライターとしてマーティ・フレデリクセンの名前もある。かなりソングライティングに時間をかけ、丁寧に作られたんだろうなぁというのがこのクレジットからも伝わってくるんだけど、実際に聴くとそういった要素がどうでもよくなるくらいに、次々と登場する楽曲達に耳を奪われる。いや、まさか2005年にここまでBUCKCHERRYに感激するとは思ってもみなかった。嬉しい驚きだね。うん、まだ3枚しか出してないとはいえ、これは彼等の今後のキャリアにおいて非常に重要な、決定打的1枚になるはず。だからこそ、早く本国でのリリースが決まって欲しいんだけどね‥‥勿体ないよ。

 来月、早くも彼等はこのアルバムを引っ提げてジャパンツアーを決行します。ツアー終了後には、同じ事務所の大先輩であるMOTLEY CRUEのジャパンツアーに同行し、前座として出演することも決まってます。BUCKCHERRYをスルーしてるMOTLEYファンの目に、今の彼等はどう映るのか。それも興味深いけど、やはりこのアルバムの曲がどうライヴでは響くのか‥‥改めて視点を変えて楽しんで来ようと思います。



▼BUCKCHERRY『15』
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投稿: 2005 10 27 10:00 午前 [2005年の作品, Buckcherry] | 固定リンク | トラックバック

2005/07/26

BUCKCHERRY再結成、そして来日へ(雑感)

 既に発表になってるけど、サマソニで復活するBUCKCHERRYのメンバー。今回はこんな感じになるらしいです。

  ■Josh Todd (vo)
  ■Keith Nelson (g)
  ■Stevie Dacanay (g)
  ■Jimmy Ashhurst (b)
  ■Xavier Muriel (dr)

 オリジナルメンバーはジョシュとキースの2人。元々この2人からスタートしたバンドだから、アリなんでしょうね。

 問題は他メンバー。

 ベースの「Jimmy Ashhurst」は、イジー・ストラドリン(元GUNS N'ROSES)のバンド、JU JU HOUNDSにいた人(→ネタ元)。

 そしてギターの「Stevie Dacanay」はジョシュ・トッド・バンドに昨年8月に加入してますね。昨年7月末のウドーストック後にJesse Loganの代わりに入ったのか(→ネタ元)。

 んで、ドラマーについても調べましたが、情報なし。どうやらテキサス辺りのローカルバンド経験者みたいですね(名前の検索で引っかかるのがその辺)。

 BUCKCHERRY再結成については、今年1月から一部で騒がれてたようで、既にジョシュとキースはスタジオに入って年内リリース予定の「BUCKCHERRYの3rdアルバム」を制作している模様。このメンバーで作ってたのかどうかは知らない。

 あとバンド再結成自体は、昨年の夏‥‥ウドーストック辺りからスタッフ間で話に上がっていた模様。その流れで先のJesse Loganは半ばクビ状態で解雇されたそうな。いきなりのクビ宣告だったようで、本人も地元のローカル紙で「寝耳に水だった」と心境を告白してたそうですよ。

 ジョシュ・トッド名義のアルバムも嫌いじゃなかったけど、やはり俺はBUCKCHERRYの1stとか未だに好きだし、再結成自体それはそれで嬉しい。変に凝った方向やヘヴィ路線に進まずに、グラマラスなビジュアルとAC/DC直系のサウンドを追求して欲しいなぁ。今、世の中的にMOTLEY CRUEの復活でいい感じの流れがメジャーシーンに見えてるじゃないですか。それに乗ろうとする'80年代のメタル組も多いようですが、彼等には『マジック』が感じられないんですよね‥‥勿論、この再結成BUCKCHERRYにそのマジックがあるのかどうかは判りません。実際にライヴを観て、単なる懐メロバンドに落ちぶれてる可能性も大きいですよね。

 ジョシュ・トッド自身はソロでアルバムもリリースして、まだまだ現役感覚は衰えてないはず。そんなに間が空いてないだけに、良いものが期待できると思うんですが‥‥サマソニに期待ですな。



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投稿: 2005 07 26 01:00 午前 [Buckcherry, SUMMER SONIC, 「フェス」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/07/04

JOSH TODD『YOU MADE ME』(2004)

元BUCKCHERRYのシンガー、ジョシュア・トッドによる新バンド(ソロではなく、あくまでバンドらしい)・JOSH TODDの記念すべきファーストアルバム。一瞬「んん、日本だけのリリースor日本超先行リリース??」って勘違いしてたけど(ほら、最近多いじゃない、いち時代を築いたメタル系アーティストの最新作や新バンドのデビュー作が日本限定リリースとか、日本盤半年先行リリース!とか)、日米ほぼ同時期のリリース、しかもアメリカ盤の方が先に出てたんですね。いやー、勘違いしてゴメンよ!

BUCKCHERRYに関しては、そのデビュー時にはかなり期待してたし、肩入れしてたんですよね。ライヴこそ一度も観れなかったけど、彼らがアメリカのメジャーレーベルから出現したという事実が俺には嬉しくてね。当時はGUNS N'ROSESもMOTLEY CRUEもほぼ隠居に近い状態だったし、かろうじてAEROSMITHが最前線で頑張ってるのみといった、ハードドライヴィングなロックンロールを愛するファンにとってはかなり厳しい状況。そりゃ日本ではやれTHE WiLDHEARTSだ、BACKYARD BABIESだ、THE HELLACOPTERSだと矢継ぎ早に来日して盛り上がってた時期ではありましたが、それはホントに局地的な盛り上がりで。アメリカではラップメタル/ニューメタルが主流の時代、前時代的なグラマラス・ロケンローは既に「死んだ」状況だったわけ。そこに登場した如何にも「前時代的な」風貌とサウンドを持つBUCKCHERRY。1stはアメリカでもそこそこのヒットを記録し、超期待の中リリースされた「TIME BOMB」で本格的ブレイクか‥‥といった中での空中分裂。正直、俺はこのアルバム、あまり気に入ってなかったのね。買ってないもん、未だに。数曲ラジオで耳にして、CDショップで試聴して。それで終わり。あー、結局そっちに行っちゃうか、みたいな。別にヘヴィロックやラップメタルをやってたわけじゃないんだけどさ‥‥もっとバカでもいいじゃないのよ、何でそんなに小賢くなろうとするかなぁ‥‥と、当時は感じたわけですよ(そろそろちゃんと聴いてみてもいいかな、とは思ってるけどね)。

当初、ジョシュのこの新バンドでのデビュー盤にもそういった「小賢さ」みたいなものを感じたのね。サウンド的には「何を今更」な路線も含まれているし。1曲目のハードドライヴィンな "Mind Infection" でおおっ!と唸ったものの、続く "Broken" での例のニューメタル的なヘヴィサウンド‥‥彼がこれをやる意味が本当にあるの? これが彼が本当にやりたかったこと??みたいな疑問が沸々とわき上がってきてね‥‥そりゃ確かに曲はよく出来てるのよ。4曲目 "Flowers & Cages" なんてそういったヘヴィな側面を持ちつつも、彼らしい(らしいのか?)メロウな面もしっかり残ってるし、PVにもなった "Shine" は歌モノとしても十分通用するし。けどさ‥‥彼の資質ってもっとラフでルーズなサウンドで更に栄えるもんだと勝手に思い込んでたもんだからさ‥‥すっげー違和感が終始あったわけ。アルバムリリースから4ヶ月近く経ったけど、ずっと感じてたもん。

けどさ‥‥ハードロック・アルバムとしてのクオリティの高さは認めざるを得ないよな、と。そりゃさ、嫌いじゃないよ、この手のサウンドは。けどね‥‥もっと彼が特異とする手段があるはずなんだよね。頭から否定するような発言ばかり書いてるけど‥‥期待してるだけに、このアレンジ(もっと言ってしまえば、バックを支える若手メンバーの力量)にはね‥‥安直過ぎるというか。6曲目 "Afraid" にしろ、アレンジ次第ではもっとカッコ良くなってるはずなのにさ(いや、これでも十分にカッコいいじゃん!っていう人はいると思うけどさ。メロディの良さを本当に生かし切れてるのかな?と疑問を感じるわけですよ)。言い方悪いけど‥‥「イエスマン」だけじゃバンドは成り立たないわけですよ。もっと(いい意味で)衝突出来るようなメンバー、あるいはパートナーとバンドを組むべきなんじゃないかな‥‥何となくだけど、今のバンドメンバーってジョシュがオーディションで選んだ、「ジョシュの理想像をそのまま具現化してくれる」サイドマンばかりな気がするんだよね‥‥「ソロアルバムじゃなくて、『JOSH TODD』という新しいバンドの1stアルバム」だと言い切るならば、余計にね‥‥ま、その辺は次作に期待すればいいのかな?

う~ん、悪くないアルバム‥‥いや、むしろこの手のジャンルとしてはかなりクオリティが高い方なだけに、余計歯痒く感じるんだよね‥‥ライヴ観れば印象も変わるのかしら‥‥あ、そうか。BUCKCHERRYの曲とかもやるんだよな、間違いなく‥‥嗚呼、余計に歯痒さを感じるんだろうな、それ。



▼JOSH TODD『YOU MADE ME』
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投稿: 2004 07 04 03:23 午前 [2004年の作品, Buckcherry, Josh Todd] | 固定リンク

1999/05/11

BUCKCHERRY『BUCKCHERRY』(1999)

さてさて、今回はさんざん盛り上げておいて「お前の感想はまだかよ!?」ってなツッコミをもらう前に、僕なりの感想をきっちり形にしとこうと思いまして‥‥BUCKCHERRYっすよ、BUCKCHERRY!!(爆)‥‥完全に失語症以下の表現だな、これじゃ。

まず、何故ここまで彼等が話題になっているのか? そりゃBUCKCHERRYがアメリカはロス出身のバンドだからでしょう♪ 考えてみて下さい。僕ら日本人は幸運にも日本にいて、アメリカやイギリスのみならず、ヨーロッパ諸国からブラジル、東南アジアにロシア……とにかく、世界中の音楽を日本にいながらして聴く事が、手に入れる事ができるのです。その幸せさを忘れてしまって……よ~く思い浮かべて下さい。僕らが普段耳にする、BUCKCHERRYのようなワイルドなロックンロールバンドはどこの国出身ですか? WiLDHEARTS? イギリス。BACKYARD BABIES? スウェーデン。HELLACOPTERS? スウェーデン……みんなアメリカ以外の国の出身。まぁこれらのバンドはBUCKCHERRYとも色が違うし、これらのバンド自体にも「ワイルドなロックンロールバンド」っていう共通項しかなく、音楽性は皆それぞれに違うし。そしてこれが決定的‥‥皆、インディーバンドだということ。確かにWiLDHEARTSは過去、メジャーレーベルに所属していたけど。日本にいるとあまり感じない事かもしれないが、現在アメリカにこの手のバンドがどれくらいメジャーに残っているだろう? AEROSMITH? まぁいい。これは特例。GUNS N'ROSES? つうか、本当に存続してるの? さて、他に誰がいる? 確かにグランジあがりのシアトルバンドなどはいるが、80年代を席巻したようなバンドは今、見当たらない。いても弱小インディーズ・レーベルに所属して、日本ではメジャーでリリースされてるごく一部のバンドのみ。そう、大袈裟かもしれないが、GUNS N'ROSES以来の10年間、この手のメジャーバンドの不在。インディーロックの席巻、シアトル勢、ヘヴィロック、メジャーバンドのレーベルからのドロップ‥‥10年は長すぎた。そして、僕らは待った。何時の日か、再びメジャーレーベルから、何かを変えてくれるバンドが現れるのを。

BUCKCHERRYが所属するレコード会社は、新興レーベルの「DREAMWORKS RECORDS」。ディズニーとスピルバーグとゲフィン(アメリカの大手レコード会社。音楽活動復帰後のジョン・レノン、復活後のAEROSMITH、GUNS N'ROSESやNIRVANAが所属)の共同出資会社。この会社が送る、今世紀最後の大物新人として鳴り物入りで登場したのが、彼等BUCKCHERRYなのです。このライヴハウス上がりのバンドがまず手始めにしたことといえば、大物バンドのオープニングアクト。KISSとKORNという、ある意味対極にいるバンドの。けど、この2つのバンドにもちゃんとした共通点がある。それは「エンターテイメント性を重視した、アリーナショウ」を繰り広げるアーティストだということ。かたや全盛期のメークを施し、昨年リリースした復活オリジナルアルバムは全米第3位を記録した、「アリーナロックの親玉」KISS。かたや「90年代のアメリカ」そのものともいえる、全米ナンバー1バンド、KORN。両方ともアリーナを満員にし、あくまで(その方法論は全く違うものであっても)お客を楽しませる事に徹底してるという意味では、この2つのバンドは共通したことをやってるのです。

新人にしていきなりアメリカの頂点にいるバンドのオープニングアクト。しかもKISSとはヨーロッパ諸国、KORNとはアメリカを回るわけなのです。こんなに恵まれた状況。そして最も驚いた事のひとつに、今年の6月第1週のビルボード誌で約10年振りに「HR/HM特集」を組む事が決定したという事があります。何故これがBUCKCHERRYと関係あるのかというと、理由その1;10年前もビッグだったMETALLICAやMOTLEY CRUEが未だに現役で、しかも音楽的に飽くなき挑戦をしている事、理由その2;KORN, MARILYN MANSONなどといった新勢力(新しい形態のHR/HMを体現している)の活躍、そして理由その3;BUCKCHERRYという10年にひとつの逸材のデビュー。いや、本気で。既にここまで影響を与えてしまっているわけですよ、アメリカでも。こんなこと、本当に10年振りなのですよ。

アメリカはもとより、ここ日本でも既に盛り上がりが過熱していて、デビュー前から「BURRN!」誌や伊藤政則氏のラジオなどで取り上げられ、国内盤発売当初は品切れが続出する地方もあった程だそうです。デビュー後には「rockin'on」誌などの総合音楽誌にもインタビューが取り上げられています。アルバムレビューも好意的でしたし。

もうひとつ、デビューアルバムの扱い。プロデューサーがテリー・デイトとスティーヴ・ジョーンズ。スティーヴはかの有名なSEX PISTOLSのギタリスト。テリーはPANTERAやSOUNDGARDENのプロデューサーとして有名ですね? スティーヴはまだしも、テリーは意外な人選のような気がします。どちらかというとヘヴィロック系を多く手掛ける人物だけに、こういうストレートな音楽はどうなのかなぁ‥‥って、よくよく考えてみたらこの人、昔にWiLDHEARTSの『DON'T BE HAPPY...JUST WORRY』のリミックスを手掛けているのですよね? そうか、ロックンロール系、初めてじゃないんだ。しかし、こんな有名どころをいきなり使うか? いかにレコード会社が金かけてるかがよ~く判るわ。

さて、事前の情報はこんなもんで如何でしょうか? これで何故彼等がここまで話題になっているかが判ってもらえたでしょうか? それを踏まえた上で、以下の僕の感想を読んで下さい。それだけこのバンドに入れ込んでいる。いえ、賭けているのですから。

まず最初に言ってしまえば……BUCKCHERRYのやっている音楽は決して新しいタイプの音楽ではないです。80年代末期にこういうバンドはロスに腐る程いましたから。ブレイクこそしなかったものの、ゲフィン・レコードは「第2のGUNS N'ROSES」と称して88年にLITTLE CITY ANGELSを、90年にはLITTLE CEASERをデビューさせました。共にGN'Rというよりは……BUCKCHERRYに近いタイプのバンドでした。つまり、ゲフィンでさえも判っていたのです。「第2のGN'R」と唱いながら、同じではダメだと。だからこそ、GN'Rに足りなかった部分(ブラックテイスト、ブルーズフィーリング、マッチョ的な男臭さ)を持ったバンドを求めたのでしょう。が、結局このふたつのバンドは成功を収める事なく消えていったのでした‥‥ちなみにLITTLE CEASERはプロデュースにあのボブ・ロックを迎え、デビュー曲はかのアレサ・フランクリンの名曲「Chain Of Fool」でした。同じ頃、BLACK CROWESがデビューし、オーティス・レディングの「Hard To Handle」でブレイクしたのは、今となっては皮肉でしかありません。

BUCKCHERRYとGN'Rとをその登場の仕方で比較してしまいましたが、音楽性に関しては全く別、と思ってもらっていいと思います。何故なら、彼等は先の2つの消えていったバンドの音楽性に近いからです。けどそれだけで終わってないのは、GN'R同様、パンクの洗礼を受けているという点でしょうか? そしてあくまでタテノリ‥‥イギリスのバンドと違うのはこの点なのかも。このタテノリにリフ中心‥‥思わずAC/DCを思い浮かべますね? 実際、ボーカルのジョシュア・トッドは最も影響を受けたバンドとしてAC/DCの名前を挙げていますが。

以上の事から、僕は最初にこのバンドを紹介した時、GUNS N'ROSES + BLACK CROWES + AC/DCのような書き方をしたと記憶してます。そして、ルックスの面(全身に入ったタトゥー)からMOTLEY CRUEの名前も挙げたような記憶があります。あの時、僕が言いたかった事、理解していただけたでしょうか?

楽曲に関してですが、最初に「WiLDHEARTS的」と言っていたような‥‥これは完全に僕の勘違いです。ラジオで "Dead Again" 1曲を聴いた感想でこのように言ってしまいました。けど、アルバムをちゃんと聴くと、おもいっきりアメリカのバンドですよね? 正直、最初に挙げたヨーロッパ勢にはこれは出来ないでしょう。こんなアメリカンロック、何年振りに聴いたかなぁ? 試しにこのアルバム聴いた後にBLACK CROWESの『BY YOUR SIDE』を聴いてみたのですが‥‥決定的に違う「何か」を持ってますよね、BUCKCHERRYは。(言っとくけど、『BY YOUR SIDE』はお気に入りのアルバムだよ!)決して否定的な意味ではないのでBLACK CROWESファンに怒って欲しくないのだけど、いい意味でBLACK CROWESは「止まって」るバンドですよね? それに対し、BUCKCHERRYの方は古いながらも「同時代性」を持ったバンドだと思うのです。例えばBUCKCHERRYの「For The Movies」という曲。ブルージーなバラードですが、BLACK CROWESがやったらもっと泥臭くなると思うのです。が、BUCKCHERRYの方はというと、ちょっと都会的……MICHAEL MONROEあたりがやりそうなアレンジ、しかもギターソロはツインリード……そして同じ疾走系の楽曲でも、かたや「Go Faster」のようなROLLING STONES, FACESあたりがやりそうなタイプ、かたや「Dead Again」のようなただのパンクソング。この辺の違いも大きいですよね? 両者のボーカリストは共に渋い声をしてますが、唄い上げるクリス・ロビンソンに対し、吐き捨てるジョシュア・トッド。何だか、比べるだけ無駄のような気がしてきた。結局、両者は全く別のバンドだ、と。ただ、「rockin'on」誌がインタビューで「BLACK CROWESの事をどう思うか?」なんて聞いてたもんだから、つい‥‥きっとこの先も、この手の質問はされ続けるんだろうなぁ、REEFと一緒で。

と、ここまで書いてみて改めて思った事。この手のロックって、結局は肌に合うか、合わないか、なんですよね? 意味ないじゃん! これじゃ「お薦め文」というよりは「釈明文(みんなの誤解を解く為の解説)」だな、これ。まぁそれもいいか。とにかく、僕は好きで好きで仕方ないのだから。(これを「開き直り」ともいう;爆)ただね、巷でここまで騒がれていると必ず出てくると思うんですよ。「売れてるバンドは聴かん!」とか「話題だけのバンドは好かん!」っていう『自称:ロックファン』が。この文は、そういう人達が心を改める切っ掛けになってくれればなぁ、誤解を解いてくれればなぁ‥‥そういう起爆剤になってくれれば、こちらとしては万々歳です。千の言葉よりも、たったひとつの音‥‥この方が説得力があるのだから、ちょっとでも気にかかったら買ってみて下さい。いえ、持ってる友人に借りてでも聴いて下さい! そうなってくれれば、こっちの作戦、大成功なのですから。

最後に。このバンドの魅力のひとつはライヴだと確信してます。実際に生でまだ見た事はないのですが、TVにてそのライヴ映像(KISSのオープニング時のもの)を見ました‥‥ちょっとキますよ、これは! アクセル・ローズやペリー・ファレル以来かもしれない、あんな変なボーカリストは。だって常に動きっぱなし、踊りっぱなし、飛び跳ねっぱなし! 1曲中ピョンピョン飛び跳ねながら「Lit Up」を唄うジョシュア。これは衝撃でした。彼等は小さいハコでなく、是非アリーナクラス、それも野外で見たいです。東京だったら日比谷野音とか。フジロックで呼んじゃえばいいのに。

ヨーロッパでは4月上旬、日本では下旬にデビューしたBUCKCHERRY。いよいよアメリカでは今月末にそのデビューアルバムがリリースされるようです。そしてKORNと一緒にアメリカ中をサーキットする……売れるか、否か。結局、彼等には「売れて当たり前」みたいな義務感が大前提としてあるのです。さて、一体どうなることやら……今のアメリカの音楽シーンを変える事ができるか、非常に楽しみでなりません。



▼BUCKCHERRY『BUCKCHERRY』
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投稿: 1999 05 11 11:05 午前 [1999年の作品, Buckcherry] | 固定リンク