2003/11/11

Buffalo Daughter JAPAN TOUR '03@新宿リキッドルーム(2003年11月8日)

  Buffalo Daughterの単独ライヴに行ってきました。新作「Pshychic」に伴うジャパンツアーで、名古屋~東京~大阪を週末に3夜連続で回る、ある意味過酷なツアーとなっております。俺が観たのはその2日目、東京公演。この日のみ、シュガーがDMBQのドラム・吉村由加とふたりでやってるユニット、METALCHICKSがオープニングアクトとして出演することになってて、そっちは全然どんな音を出すのか知らないので当日まですっげー楽しみにしてたのね。ま、BDは当然ですけどね、新作が素晴らしかったし。

  ライヴは19時、定刻通りにスタート。ほぼ開始直前に入場したんだけど、客の入りは7割程度といったところでしょうか。当日券も結構な数余ってたという噂だしね‥‥まだオープニングアクトということで、客も前に集中することなく、結構まばらに散ってる感じ。俺はステージに向かって右側の階段周辺で眺めることに。

  まずこの日のオープニングアクト、METALCHICKSが登場。中央にシュガー、左側にセッティングされたドラムに吉村が構える。シュガーはDBで使うストラトとは違った、如何にもファクトリーメイドなギター(ESPとかあの辺のイメージ)を構え、吉村は曲によってヘッドフォンを付けてシーケンサー等の同期に合わせて叩く。大まかな印象としては‥‥ヘヴィロックなインストとでもいいましょうか。細々したシーケンスリズムに大味なドラムが絡む辺りは多少ドラムンベースっぽいし、シュガーのリフ刻みもBDでは聴けないようなヘヴィメタリックなもの。けど、どこか物足りない。全編インストで3曲程度、約30分くらい演奏したような。特に印象に残るような曲もなく、まぁシュガーのギターが新鮮で面白かったくらいでしょうか。確かに踊れるし、もっとリズムがガチッと決まったら気持ちいいんだろうけど、ちょっとリハ不足かなぁ‥‥という噛み合ってなさを多少感じました。悪くはないけど最高でもない。現時点ではそういう感想ですね。

  この後シンセ等のサウンドチェックを30分程挟んで、20時前後からBDのステージがスタート。メンバー構成はこれまで同様、中央にシュガー、向かって右にムーグ、向かって左が大野最後方にドラムのアツシという4人編成。この日は新作中心ということもあってか、大野はベースギターを抱えるよりもTB-303の前に立っていることの方が多かったですね(多分、ベースギターを弾いたのは古い曲の時だけだったはず)。1曲目は "Pshychic A-Go-Go"。アルバム以上にヘヴィで、アルバム以上に混沌としてる。とにかくドラムの生々しさが気持ちいいし、そこに乗っかる大野のシンセ類、ムーグのターンテーブル、シュガーのザクザクしたギター、そして大野&シュガーのツインボーカル。全てがアルバム以上に生々しくて、そして気持ちいい。過去2回、フェスやイベントで彼等のライヴを体験してきたけど、今日の気持ちよさは半端じゃなかった。それはリキッドルームという狭い空間で観ていることも影響してるだろうけど、まず何より新曲がカッコイイこと。これに尽きると思う。

  その後も新旧交互にいろいろやってくれたんだけど、どういうわけか今回はセカンドアルバム「New Rock」からの曲が一切なし。それ以前のロックな曲はやってくれたのに。何故? 期待してただけに残念。

  この日はステージ後方に白い幕が張られていて、VJとは違ったビジュアルイメージがリアルタイムで作られていました‥‥多分、水面に色水を垂らしていって、それをかき回す‥‥それを光の加減によってスクリーンに映す‥‥そういう効果だったと思うんだけど、これがまた曲に合ったサイケさを醸し出していて、確かに安っぽさの点では過去最高なんだろうけど、これはこれで良かったように思いましたね。

  中盤、唯一のMCコーナーとして、ムーグが喋り倒す。これがまた面白いのなんの。これまではイベントだったから喋る機会が殆どなかったんだろうけど、さすが単独ライヴは違うわ。クセになりそう。

  後半、個人的な山場は大好きなサードアルバム「"I"」の中でも最も気に入っている "Discotheque Du Paradis" 以降の流れでしょう。この曲、大野がソロで歌うラテンテイストが強いファンキーなダンスチューンなんだけど、まず何より俺、大野の声が非常に好みなんですね。で、シュガーと大野のハモリも勿論気持ちいいんだけど、こういったソロで歌う曲となるともうメロメロになっちゃうわけですよ。なんつーか‥‥「心が濡れる」ってやつ?(いや違うからそれ)そんな風に気持ちよくなっちゃうんだよね‥‥で、気づくと最高に気持ちよく踊ってる。そのままの流れで本編最後に新作トップの "Cyclic" が満を持して登場。大歓声。これもアルバム以上に重量感があって、それでいて軽やかみたいな、そんな相反する要素を併せ持った素晴らしい演奏でした。アルバムでは10分強あるこの曲、多分ライヴじゃもっと長かったんじゃないかな‥‥ここまで、多分7曲前後しかやってないはずなんだけど、既に1時間経過してるからね。

  本編が終了すると、すぐにアンコールに登場した4人。一旦ギターを抱えたシュガーなんだけど‥‥アンコールに用意されたのは、初期の代表曲のひとつであり新作にもライヴテイクが収録された "303"‥‥後半にならないとギターパートが登場しないので、シンセ類を弄るまえにギターを降ろし、大野とシュガーはシンセを、ムーグはターンテーブルをひたすら弄りまくる。新作でのテイク以上に混沌としてて、けど気持ちいいんだよね‥‥途中からギターが加わってアップテンポになっていって、最後はまた混沌とした空気を作り出し終了。やっぱり20分以上はやってましたね。

  約90分。ここで本当に終了したと思ってフロアを後にする客多数だったんですね。フロアも明るくなってたし。けど、ローディーがギターのチューニングをしてるわけですよ‥‥直感で「まだやる!」と思い、ちょっと後ろの方に下がって待っていると、やはり4人が戻ってきました。しかもムーグのポジションにシュガーが、そしてステージ中央のスタンドマイクの前にはムーグが‥‥すっげーキメた感じで立ってるのよ、ロケンローラー的佇まいで。で、最後の最後に「完全未発表の、このライヴの為に作った新曲」をやってくれたんですよ‥‥! これがね‥‥全員「当て振り」! ムーグは口パク、シュガーと大野、そして何故かアツシまでエアギターをかましまくる!(楽器持ってないのに弾いてる振りをするやつね)途中大野とシュガーによる変なコーラスが入ったりする、80'sニューウェーブ・テクノポップ調の、非常に可愛らしいアッパーチューンで、絶対にこれシングルにすべきだよ!といった感じの遊び心満載の1曲。途中、各メンバーのソロパートがあったりしてね(当然エアギターで)。時間にして2分ちょっとの短い曲だったんだけど、これ絶対に笑えるし、それまでのクールなイメージを最後の最後にぶち壊してくれる素晴らしい曲なので、絶対にリリースしてくださいね。

  というわけで、最後の最後に素晴らしいボーナストラックまで味わえて、ライヴは無事終了。いやー気持ちよく踊れたし、最後はマッタリとした感じで終われて、本当に気持ちよかったよ。20分以上もある曲を緊張感持続させつつ演奏する彼等も、そしてMCや最後のアンコールで見せたユルユルでコミカルな彼等も、全部含めてBuffalo Daughterなんだな、と再認識。改めて、このバンドの良さが判ったような気がしました。

  きっと来年の夏もいろんなフェスに出演するだろうし、タイミングさえ合えばまた単独ライヴやってくれるだろうから、その時は必ず足を運びたいと思います。いやー良かった良かった。


[SETLIST]
01. Pshychic A-Go-Go
02. STANDING IN LINE
03. CHIHUAHUA PUNK
04. Dr.MOOOOOOG
05. BRUSH YOUR TEETH
06. I
07. A.C.I.D.
08. S.O.I.D.
09. Discoteque du Paradis
10. Cyclic
---encore--
11. 303LIVE
---encore---
12. VIVA LA NOW WAVE

投稿: 2003 11 11 12:00 午前 [2003年のライブ, Buffalo Daughter] | 固定リンク

2003/11/04

Buffalo Daughter『Pshychic』(2003)

  Buffalo Daughter2年振り、通算4作目(でいいんだっけ?)のアルバム、「Pshychic」。これまでは「Grand Royal」からのリリースだったのですがレーベル自体が閉鎖してしまった為、今回から「V2 Records」からのリリースとなっております。しかもこのアルバム(日本盤ね)、通常のCD(CD-DA)とスーパーオーディオCD(SACD)とのハイブリッド盤となっていて、これまで同様普通のCDプレイヤーでも楽しめるし、更にSACDプレイヤーを持っていればもっと高音質のサウンドを体感することができるという代物でして。最近この手のディスクが増えていて面白いなぁとは思うんですが、いかんせんSACDプレイヤー自体を持ってないものでして、そのサウンドの凄さは未だに体感したことはありません。そもそもSACD自体(ハイブリッド盤含む)買うのが今回初めてでして。まぁ結局俺は普通のCDプレイヤーでしか聴けない環境なので、その辺に関しては「音がどう凄い!」等のコメントは出来ないわけでして‥‥

  前作「I」がポストロック色を強めながらもどこか「歌モノ」的雰囲気が強かったこともあり、個人的にはかなり気に入っていた1枚なんですが、この新作ではそういった「歌モノ」的要素はかなり後退、ひとつのフレーズ/リフを延々リピートするという意味では非常にテクノ/トランス的ではあるんですが、そこまで機械的でもなく、リズムの躍動感なんかは完全に「血の通った」リズムといった印象を受けるし‥‥ま、確かに「ポストロック」と呼んでしまえばそれまでなんですが、でも前作とは違ったものを強く感じるし。どっちかっていうと前々作「New Rock」に近いかな、なんて気もするし。多分ストレートなロック色が復活してる分、余計にそう感じるんでしょうね。

  歌にしても「聴かせる」というよりも、楽曲の中のひとつの「フレーズ」といったような使われ方をしてるのが新作の特徴のひとつなんじゃないですかね。そういった使い方は前作にもあったのですが、このアルバムの場合は全てにおいてそういう方向に進んでいるっていう点において、非常に興味深いものを感じますね。曲自体も5曲で51分、殆どの曲が10分近いものだし。そんな長尺な楽曲の中において歌の占める割合は1~2割といった程度。元々このバンド自体がそういった指向性(歌を聴かせる)が強いバンドではなかったわけだから、それはそれで納得いくんですが、それにしてもこの割り切りは正直凄いなと思います。声にしても大野由美子による高音とシュガー吉永による低音のユニゾンが相変わらず気持ちいいしね。

  圧巻なのはやはり、最後に収録された代表曲のひとつ、"303" のライヴテイクでしょうか。これ、20分以上もあるもの凄いテイクでして‥‥実験音楽とか前衛音楽とかいろいろ呼び方はあると思うんですが、素直にすげぇ!と言わざるを得ない1曲ですね。冒頭部での音のやり取りを聴いて引いてしまう人もいるかと思いますが、そのまま聴き続けていると段々リズムが入っていって、楽器がひとつひとつと増えていって、独特なグルーヴが生み出され‥‥いろいろ呼び方/呼び名はあると思うんだけど、ただひたすら凄くて圧倒的。なんていうか‥‥音の広がりも凄く気持ちいいし開放的だし、去年のフジロックで彼等を観たことを思い出す‥‥そんな気持ちいい音。それはライヴテイクのみならず、全体に言えることなんだけどね。

  聴くところによると、ここに収録された殆どの楽曲が一発録りだったとのこと。コンセプトとか決め事等を一切決めずにスタジオで音を出したものを、そのまま収めたのがこのアルバムらしい‥‥ってこれがホントに一発録り!? 楽器やってる人なら判ると思いますが‥‥有り得ねぇ‥‥やっぱ凄いとしか言いようがないわ。世界に出しても恥ずかしくない日本のバンドって沢山いるとは思うんですが、Buffalo Daughterは間違いなくその先頭に立つべき、誇るべき日本のバンドですよ。来年1月にはこのアルバム、海外でもリリースが決定しているそうなので(勿論「V2 Records」からね)、来年は海外での活動が増えることでしょう‥‥そして夏にはフェスで更にひと回りもふた回りも大きくなったBuffalo Daughterを期待したいところです。



▼Buffalo Daughter『Pshychic』
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投稿: 2003 11 04 12:36 午前 [2003年の作品, Buffalo Daughter] | 固定リンク