カテゴリー「Bullet for My Valentine」の11件の記事

2021年11月13日 (土)

BULLET FOR MY VALENTINE『VENOM』(2015)

2015年8月14日にリリースされたBULLET FOR MY VALENTINEの5thアルバム。日本盤は同年8月19日発売。

3作目『FEVER』(2010年)で手に入れたモダンメタル路線でしたが、続く前作『TEMPER TEMPER』(2013年)ではヘヴィさ/アグレッシヴさが若干復調したことで中途半端な内容となってしまった。そこでバンドは、このアグレッションを再び初期〜2ndアルバム『SCREAM AIM FIRE』(2008年)頃までのそれに引き戻すことにトライします。

プロデューサーには初期作を手がけたコリン・リチャードソン(CARCASSFUNERAL FOR A FRIENDMACHINE HEADなど)と、以降バンドと長きにわたりタッグを組むことになるカール・ボウン(WHILE SHE SLEEPS、FIGHTSTAR、BUSTEDなど)を迎えた本作は、モダンメタル的な側面よりも『SCREAM AIM FIRE』やその前の1stアルバム『THE POISON』(2006年)で繰り広げられた攻撃的なスタイルへと回帰。オープニングを飾る「No Way Out」や「Army Of Noise」のようなスピードチューンはまさにその2作を彷彿とさせるものがあり、前2作ななんだったんだ?と言いたくなるくらいの開き直りが感じられます。

とはいえ、『FEVER』以降に手に入れたスタジアムロック路線も完全に捨てたのではなく、「You Want A Battle? (Here's A War)」や「Venom」あたりにその片鱗を残している。とはいえ、本作では統一感を出すために初期スタイルの味付けが施されており、結果として『SCREAM AIM FIRE』をより広く伝わるような形に進化させたスタイルのようにも受け取れる。全体的な舵切りも前2作がスタジアムロック寄りだとしたら、今作はエッジの効いたヘヴィメタル路線。ただ、単なる焼き直しというわけではなく、過去2作での経験が活きた原点回帰なので、退行というわけでもなく進化した姿を見せている。ある意味で、このバンドにおける(2015年当時の)集大成といえる1枚ではないでしょうか。

本作の海外デラックス盤および日本盤にはボーナストラックとして、アルバムから漏れた新曲群のほか、今作への布石となった2013年のシングル「Raising Hell」などを追加収録。海外盤と日本盤とでは収録内容が若干異なり、日本盤には「4 Words (To Choke Upon)」などのライブ音源、海外盤にはMOTÖRHEAD「Ace Of Spades」のカバーがそれぞれ収められています。前作がAC/DCで今作がMOTÖRHEADというのも、なんだか象徴的ですよね。

数字的には全米8位/全英3位という好記録を残しますが、今作のレコーディング終了後にバンドの要であったジェイソン・ジェイ・ジェイムズ(B, Vo)が脱退。本作を携えたツアー終了後にはマイケル・ムース・トーマス(Dr)も脱退と、本作がデビュー時からの黄金期メンバーが参加した最後のアルバムとなってしまいました。

 


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BULLET FOR MY VALENTINE『TEMPER TEMPER』(2013)

2013年2月8日にリリースされたBULLET FOR MY VALENTINEの4thアルバム。日本盤は同年2月6日に先行発売。

全米3位/全英5位というキャリア最高順位を獲得した前作『FEVER』(2010年)から約3年ぶりの新作。その成功を引き継ぐかのように、プロデューサーには前作を手がけたドン・ギルモア(LINKIN PARKKORNアヴリル・ラヴィーンなど)、ミキシングエンジニアには名手クリス・ロード-アルジを再度迎えて完成させました。

本作の前にマット・タック(Vo, G)はCANCER BATSやGLAMOUR OF THE KILL、RISE TO REMAIN、PITCHSHIFTERのメンバーとともにスーパープロジェクト・AXEWOUNDを結成し、アルバム『VULTURES』(2012年)を制作。ここでアグレッシヴ指向を取り戻したのは、この『TEMPER TEMPER』というアルバムでは『FEVER』でのスタジアムロック路線に初期のアグレッションを加えた、バランス感の良い作品作りに取り掛かります。タイトルトラックの「Tempter Tempter」やリード曲「Riot」、「Leech」あたりはまさにその流れを汲むアップチューンではないでしょうか。

もちろん、前作で得たミドルテンポのメロディアス路線も好調で、キャッチーな「P.O.W.」やバラード調の「Dead To The World」といった楽曲群はまさに前作での経験が見事に活かされている。さらに、1stアルバム『THE POISON』(2005年)収録のメタルバラード「Tears Don't Fall (Part 2)」のように初期のスタイルを現代的に昇華させた楽曲も用意されています。この曲あたりは、METALLICAにおける「The Unforgiven」シリーズを狙ったのかしら。ただ、続編がオリジナルを超えることはまずなく、BFMVのこの「Tears Don't Fall (Part 2)」も原曲は超えられず。

そのほか、大半を占めるグルーヴィな楽曲群は『FEVER』を通過したからこそ生まれたと言えるものばかり。個人的には前作以上に好みの仕上がりなのですが、世の中的にはそうではなかったようで。全米13位/全英11位と前作や前々作『SCREAM AIM FIRE』(2008年)を超える数字を残すことはできませんでした。まあ、ヘヴィ路線なのかグルーヴ/キャッチー路線なのか、どっちつかずなところも見受けられますしね。

なお、本作のデラックス盤および日本盤にはボーナストラックとしてAC/DC「Whole Lotta Rosie」と、名曲「Scream Aim Fire」のBBC Radio 1でのスタジオライブ音源などを追加収録。このタイミングに「Whole Lotta Rosie」を選ぶあたり、バンドがこの時期どこを目指していたのかがなんとなく伺えます。

 


▼BULLET FOR MY VALENTINE『TEMPER TEMPER』
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2021年11月12日 (金)

BULLET FOR MY VALENTINE『BULLET FOR MY VALENTINE』(2021)

2021年11月5日にリリースされたBULLET FOR MY VALENTINEの7thアルバム。

Universal傘下のSpinefarm Records移籍第1弾となった前作『GRAVITY』(2018年)から3年4ヶ月ぶりの新作。本来は10月22日発売予定でしたが、新型コロナウイルスの影響による製造の遅れで発売を2週間延ばしたとのことです。

先鋭的なヘヴィメタルから後退し、モダンなメタルコアや日本でいうところのラウドロック的なアプローチを採ったことで賛否を呼んだ前作『GRAVITY』でしたが、続く今作のプロデューサーも前作や前々作『VENOM』(2015年)を手がけたカール・ボウン(WHILE SHE SLEEPS、FIGHTSTAR、BUSTEDなど)が続投。それもあってか、音(サウンドメイキングやミックス)の質感的には過去2作との共通点も見つけられます。

一方、楽曲自体は再びアグレッシヴなメタル度が復調。冒頭を飾る「Parasite」の攻撃性は初期を思わせるものであると同時に、以降繰り返してきた変化があったからこそのモダンな質感もしっかり備わっており、それは続く「Knives」も同様。スクリームを多めに用いているものの、サビではしっかりメロウに歌い上げる曲作りはこれまでの流れにある。若干落ち着いたというかまとまりが良くなった作風は3作目『FEVER』(2010年)以降の彼らそのものであり、やはり代表作となった2作目『SCREAM AIM FIRE』(2008年)までとは違うものだと再認識させられます。

とはいえ、これはこれで非常に収まりの良い仕上がりで、“BFMVらしさ”がしっかり伝わる内容にまとめられている。マット・タック(Vo, G)は本作を指して「これはBullet 2.0の始まりだ」と述べていますが、コロナ禍で思うように身動きが取れなかった時期にしっかりと曲作りと向き合ったことで、前作での経験をしっかり消化した“次”を見定めることができたんだろうなと感じました。これがツアーに次ぐツアーを経て作られた作品だったら、同じアグレッシヴさでもまた違った形になったでしょうし。

初期の彼らとはまったく異なるアグレッションではありますが、『FEVER』で確立させた“モダンメタルバンドとしてのBFMV”を追求しつつ、しっかり時代に則したメタル感を反映させ続ける。と同時に、スタジアムバンドとしての矜持が伝わる楽曲(「Bastards」など)も用意し、ストリートからスタジアムまで通用する緩急に富んだ楽曲を並べる。そういうアーティストとしての進化と流行との対峙、そしてこれまでのスタイルを維持することなどのバランスが今作はもっとも優れているように映ります。2021年を生きる現在進行形のバンドとしてはこれが正解なんだと実感させられる、問答無用の1枚。間違いなく、彼らが目指すべく方向性においては本作が最高傑作だと思います。セルフタイトルを用いるくらいですから、彼らの覚悟も伝わってきますしね。

あとは、BFMVのファンが今の彼らに何を求めるのか。バンドの姿勢とそこが乖離していないことを願うばかりです(しっかり受け入れられるといいな)。

 


▼BULLET FOR MY VALENTINE『BULLET FOR MY VALENTINE』
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2020年5月 6日 (水)

BULLET FOR MY VALENTINE『FEVER』(2010)

2010年4月に発売されたBULLET FOR MY VALENTINEの3rdアルバム。

1stアルバム『THE POISON』(2005年)の時点で世界的に成功していたBFMVですが、続く2作目『SCREAM AIM FIRE』(2008年)ではメタルコア的なスタイルから王道ヘヴィメタル路線へと進化を遂げ、全英5位/全米4位というさらなる大成功を収めることに。アメリカでの成功に気を良くした彼らは、ここで舵を完全にアメリカ側に切ることを決断し、過去2作を手がけたコリン・リチャードソン(CARCASSFUNERAL FOR A FRIENDMACHINE HEADなど)からプロデューサーをドン・ギルモア(LINKIN PARK、GOOD CHARLOTTE、アヴリル・ラヴィーンなど)へと変更。一気にメジャー感の強いメタルサウンドへとシフトすることになります。

過去2作でスピード感の強い幕開けを遂げた彼らでしたが、本作ではオープニングを飾るミドルナンバー「Your Betrayal」にいきなり面食らうのではないでしょうか。インパクトという点においては過去2作の比にならないほど弱いものですが、アルバム全体としては『SCREAM AIM FIRE』のスタイルを残しながらも「コンパクトさ」「キャッチーさ/わかりやすさ」に比重を置くことでライト層にもアピールできる曲作りを目指した、スルッと聴き進めることができる良質のメタルアルバムに仕上げられています。

2曲目以降は「Fever」「The Last Fight」と前作の延長線上にあるキャッチーな歌メロのスピードナンバーが続きますし、彼ららしいパワーバラード「A Place Where You Belong」「Bittersweet Memories」もしっかり用意されている。マシュー・タック(Vo, G)のスクリームも健在で、実は思った以上に尖った部分も要所要所に散りばめられていることは、ちゃんと聴けば気づくはずです。

それでも、本作が「日和った」だとか「売れ線に走った」と揶揄されてしまうのは悲しいものですね。とはいえ、僕自身も初めて本作を聴いたときはオープニングの印象が(悪い意味で)強かったためか同様の印象を残しており、それほど聴きこまなかった1枚なんですよね。ですが、その後の彼らのキャリアを考えると彼らがしっかりメタルシーンで戦っていこうという意思表示として本作を完成させたことは一目瞭然。初期の過激さは加齢とともに影を潜めてしまったものの、リリースから10年経っても楽しめるような完成度の高いアルバム作りを意識していたことは、しっかり書き残しておきたいところです。

あとは、ここに「Scream Aim Fire」や「Waking The Demon」などに匹敵するキラーチューンが1曲でも用意されていたら、間違いなく過去2作に並ぶ名盤になっていたのかな。そう思うと「あと一歩」かもしれませんが、それでも平均点以上の優れたヘヴィメタルアルバムであることには間違いありません。

 


▼BULLET FOR MY VALENTINE『FEVER』
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2018年7月 2日 (月)

BULLET FOR MY VALENTINE『GRAVITY』(2018)

BULLET FOR MY VALENTINE通算6枚目のオリジナルアルバム。前作『VENOM』(2015年)制作中にジェイソン・ジェイ・ジェイムズ(B, Vo)が脱退し、さらに2016年にはマイケル・ムース・トーマス(Dr)も脱退と、ここ数年はバンドにとって大きな転換期を迎えます。特にマシュー・タック(Vo, G)が喉を壊して以降、スクリームはジェイが担当していたため、後任ベーシストのジェイミー・マティアスにもその役目が求められるわけでして……まあ、新曲は積極的にそういった要素を減らしていくんだろうな、というのもなんとなく想像できたわけです。

マシューとマイケル・マッジ・パジェット(G)のオリジナルメンバー2人にジェイミー、そしてジェイソン・ボウルド(Dr)を迎えたBFMVは、これまで在籍したJive / RCA Recordsから離れ、新たにSpinefarm Recordsと契約。2016年11月には手始めとして、新曲「Don’t Need You」が配信リリースされています。この曲は『VENOM』の延長線上にありながらも、よりモダンな要素が際立つ1曲でした。おそらく次のアルバムは、この方向性なんだろうな、これはこれで悪くないけど……そう思ってから1年半、ついにアルバムが届けられたわけです。

プロデュースを手がけたのは、FIGHTSTARやBUSTED、WHILE SHE SLEEPSといったモダンなバンドを多数手がけ、BFMVの前作『VENOM』でも一部ミックスなどで携わっていたカール・ボウン。もともとこれまでも作品ごとに変化を繰り返してきた彼らですが、それは本作も同様で、メタルコア以降のモダンなサウンドメイキングと現代的な壮大さを兼ね備えた楽曲群がズラリと並びます。

特に本作はメタル度という観点で言えば、メタリックではあるものの正直ヘヴィメタルとは言い難い作品かもしれません。実際、タイトルトラック「Gravity」や「Letting You Go」あたりにはONE OK ROCKの最新作『Ambitions』(2017年)あたりにも通ずるテイストがあり、そのへんが苦手な人には敬遠されそうな気もします。が、8月に控えたサマソニ出演を通してこれまで届かなかった層にもアピールできる可能性もゼロではありません。

こう書くと以前とは激変してしまったような印象を受けるかもしれません。確かにデビュー時と比べれば激変したと言っても過言ではないのですが、それでも「聴けばBFMVの楽曲だとすぐに理解できるオリジナリティ」はしっかり確立されているので、彼らのことをここまでポジティブに見守ってきたリスナーには安心できる内容ではないでしょうか。

ぶっちゃけ、このアルバムを通してBFMVがHR/HMの未来を担うことができるのか、僕にはわかりません。好きか嫌いか?で問われれば、僕は好きな部類に入る作品ではあります。なので今は1年後、2年後にこのアルバムが時代に爪痕を残せるのかどうかを静かに見守りたいと思います。



▼BULLET FOR MY VALENTINE『GRAVITY』
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2018年6月15日 (金)

BULLET FOR MY VALENTINE『SCREAM AIM FIRE』(2008)

海外では2008年1月、日本では同年2月にリリースされたBULLET FOR MY VALENTINEの2ndアルバム。前作『THE POISON』(2005年)が全英21位、全米128位という成績を残し、全世界で100万枚を超えるセールスを記録した彼ら。続く本作ではアメリカで最高4位、イギリスでも最高5位という好記録を打ち立てました。

マシュー・タック(Vo, G)は前作に伴うツアーにて喉を痛めたことにより、本作のレコーディングでスクリームやグロウルを多用した歌唱方法からボーカルスタイルを大きく変更。楽曲スタイルもこれにあわせて、いわゆるメタルコア的な楽曲構成もよりストレートなヘヴィメタルに接近していきます。

オープニングを飾る「Scream Aim Fire」は疾走感あふれる王道メタルナンバーで、クリーントーンでストレートに歌い上げる手法にシフトしたことから、かなり正統派メタル色の強い仕上がりに。現代的なメタルコア路線よりも、古き良き時代のHR/HMを踏襲するその路線に、当初こそ困惑したものでしたが、聴けば聴くほどその楽曲のキャッチーさにやられ、気づけば2000年代を代表するメタルアンセムにまで成長していた……そんな1曲だと認識していますが、いかがでしょう。

そのほかにも「Eye Of The Storm」「Waking The Demon」など、スラッシュメタル以降のテイストを取り入れた疾走メタルナンバーがあったり、泣きメロメタルバラード「Say Goodnight」があったりと、前作をより進化させたような楽曲がずらりと並ぶ。かと思えば、メジャーキーの爽やかなアップチューン「Hearts Burst Into Fire」「Forever And Always」といった新境地ナンバーもある。見方によっては“別のバンド”になってしまったような印象も受けますし、最初のEP『BULLET FOR MY VALENTINE』(2005年)や『THE POISON』で彼らに魅了されたリスナーにとって、この『SCREAM AIM FIRE』はすべてを受け入れるには少々時間を要する1枚だったのかな、という気がします。

喉の故障によりマシューがクリーンで歌うことに注力したことにより、スクリームはジェイソン・ジェイムズ(B)が務めたり、さらにライブでは彼がそっち系のボーカルを務める比重が高まっていく。そういった点においても、バンドが一段上に進むために変化を遂げた……ポジティブに考えれば、そう受け取れるのではないでしょうか。

「Forever And Always」のような壮大な楽曲を聴くと、彼らがどこに進んでいきたいのかよく理解できるのではないでしょうか。もちろんこの曲がすべてではないですが、彼らは狭い世界で生きるよりもさらに大きな地平を目指した。思えば本作は、このあと続いていく進化の過程における第一歩に過ぎなかった……リリース当時はそんなこと考えもしませんでしたが、本作は“それ以前”と“それ以降”のバランスが一番絶妙な作品だったように思います。改めて今、しっかり聴いておきたい傑作です。



▼BULLET FOR MY VALENTINE『SCREAM AIM FIRE』
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2008年12月31日 (水)

MY BEST OF 2008

古いMac bookに10数年ぶりに電源を入れて、中に残っていたファイルをサルベージしていたのですが、2006〜2009年の年間ベストアルバムのデータを見つけることができました。たぶん、このへんは当時mixiか何かで公開していたのかもしれませんが(mixi自体ずいぶん前に解約しちゃったしね)、ここで改めてその10枚を公開してみたいと思います。

こちらでは2008年の年間ベストを紹介します。アルバム10枚中、洋楽5枚/邦楽5枚のセレクトとなります。(執筆:2020年5月21日)

 

・BULLET FOR MY VALENTINE『SCREAM AIM FIRE』

・COLDPLAY『VIVA LA VIDA OR DEATH AND ALL HIS FRIENDS』

・GUNS N' ROSES『CHINESE DEMOCRACY』

・METALLICA『DEATH MAGNETIC』

・NICKELBACK『DARK HORSE』

・DIR EN GREY『UROBOROS』

・Mr.Children『SUPERMARKET FANTASY』

・Perfume『GAME』

・エレファントカシマシ『STARTING OVER』

・フラワーカンパニーズ『たましいによろしく』

2008年5月19日 (月)

BULLET FOR MY VALENTINE@Zepp Tokyo(2008年5月18日)

というわけで、BULLET FOR MY VALENTINEのライブに行ってきました。彼らのステージを観るのは、2006年1月の初単独公演以来。前回がクアトロだから、今回のZepp Tokyoはキャパ的に約3倍ということになります。にもかかわらず、会場は満員。開演前から「Bulletコール」が巻き起こるなど、いかにファンが彼らの来日を待ち望んでいたかが伺えました。

考えてみれば、彼らは昨年8月にも来日しています。なのにここまで歓迎されるのは、間違いなくニューアルバム「SCREAM AIM FIRE」の大ヒットが大きいわけです。全米でトップ5入り、日本でも洋楽チャートでNo.1を獲得したこのアルバムは、一部のファンの間では不評みたいですが、個人的には「この路線変更はアリ」と受け入れてたので、セールスやチャートの結果には納得しています。

さて、実際のライブですが、まずオープニングアクトとしてPROTEST THE HEROが登場。ライブは初めてですが、かなりプログレッシヴなアレンジを持つメタルコアといった印象。音が悪くてグッシャリしていたせいで、せっかくのプログレぶりもうまく生かされてなかった気がしました(曲展開があっても、音がつぶれているのでいまいち音を取りづらい)。どことなくTHE MARS VOLTAにも通ずるものを感じましたが、こちらのほうがもっとメタリック。昨年「PUNKSPRING 07」に出演したようですが、そっちよりも「LOUD PARK」だろ!?と言いたくなるサウンドでしたね。もう一度、今度はちゃんとしたコンディションのパフォーマンスを観てみたいです。

30分のインターバルを経て、再び会場が暗転。ステージには転換時に張られた白幕にさまざまなライトが当てられ、途中からフロントメンバー3人の陰が。幻想的なオーケストレーションS.E.が終わると、そのまま勢いあるタムロールとともに、「Scream Aim FIre」がスタート! バックドロップには巨大なアルバムジャケ絵、各アンプ前にはそれに準じた絵が描かれたスクリーンが用意されてました。

マットの喉の調子が気になっていたのですが、思っていたよりも上々かな?と。スクリームやデス声はほぼベースのジェイが担当し(一部の曲でマットもスクリームしてましたが、以前と比べれば相当少なめ)、マットのボーカルパートの負担を減らしてました。特に違和感はなかったように思うけど、確かに過去の曲になるとちょっと弱い気もしました。

新曲は、やっぱりライブで聴くと映えるものが多いかな。頭2曲が新作からで、MCを挟んで名曲「4 Words (To Choke Upon)」。その後も代表曲と新作からのナンバーを、バランス良く並べてました。6曲目でパワーバラード「Say Goodnight」が披露されたけど、これはMETALLICAでいうところの「Fade To Black」「Welcome Home (Sanitarium)」みたいな位置づけと思えばぜんぜんアリだな、と。途中でラウドになるパートもあるし、そのまま続けて「Take It Out On Me」に流れていったのもよかったしね。

「Hand Of Blood」ではファンをステージに上げて、マットの代わりに歌わせるというGREEN DAYみたいな余興もあり、笑わせてもらいました。日本人のキッズと海外からの男性の計2人がステージに立ったんだけど、予想に反して日本のキッズのほうが度胸がよかったというのが、なんだか微笑ましかったなぁ。

本編はその後、「Room 409」で一応終了。ちょっと裏側に引っ込んだメンバーはすぐに戻ってきて、新境地的なメジャーチューン「Hearts Burst Into Fire」、前作からの「Spit You Out」を力一杯にプレイ。マットが「次の曲で最後」と言ったところ、客席からブーイングが巻き起こり、「じゃあ次の曲で最高の盛り上がりを見せてくれたら、もう1曲やろうか」みたいなことを言って、アンコールラストに「Waking The Demon」を披露しました。クラウドサーファーの数もこの日一番のように見えたし、実際ピョンピョンとジャンプするファンの数もすごかったし、ラストにふさわしい盛り上がりだったと思います。

メンバーがステージから去った後も、さらに歓声は鳴りやまず、またまたメンバー再登場。当初予定されていなかった、本当の意味での「アンコール」に演奏されたのは、METALLICAのカバー「Creeping Death」でした。さすがにこの日会場にいたほとんどのメタルファンは知っていたようで(といっても、BFMVの来日記念盤やシングルのカップリングに、この曲のカバー入ってたしね)、最後の力を振り絞って歌うや暴れるやの宴に突入。最後のサビでは、ベースのジェイが歌うなど、ジェイソン時代のMETALLICAを思わせる演奏で思わずニンマリ。約80分にわたるライブは、大きな盛り上がりのうちに幕を閉じました。

思えば一昨年1月のライブは60分足らずで終了し、「ま、こんなもんか」と自分を納得させたわけですが、さすがに今回は大満足。METALLICAのように2〜3時間やれとは言わないけど、まだアルバム2枚しか出してない新人バンドのワンマンライブにしては、大成功だったのではないでしょうか。これならもう1公演観てもいいな、と思ったけど仕事があるので川崎公演は遠慮しておきます。


<SET LIST>
01. Scream Aim Fire
02. Disappear
03. 4 Words (To Choke Upon)
04. Tears Don't Fall
05. Suffocating Under Words Of Sorrow (What Can I Do)
06. Say Goodnight
07. Take It Out On Me
09. Eyes Of The Storm
10. Deliver Us From Evil
11. Hand Of Blood
12. Room 409
--ENCORE--
13. Hearts Burst Into Fire
14. Spit You Out
15. Waking The Demon
--ENCORE--
16. Creeping Death



▼BULLET FOR MY VALENTINE『SCREAM AIM FIRE』
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2006年1月 8日 (日)

BULLET FOR MY VALENTINE『THE POISON』(2005)

 さて、2006年一発目のレビューなんですが、まだまだ2005年を引きずってみようかと思います。というのも、時間がなさ過ぎて紹介し切れなかった2005年リリースの素晴らしいアルバム達が、まだまだ沢山あるわけですよ。2006年は始まってまだ1週間ちょっとってことでリリース数も少ないことですし、そっちはまぁ今月末辺りから徐々に‥‥増えてくんじゃないでしょうか。それまでは昨年リリースされた良作や、昨年末に観たライヴのレポート等を紹介していきたいと思います。

 ま、そういいながらも実は今日紹介するバンド、BULLET FOR MY VALENTINEについて……2006年のライヴ観戦一発目が彼等だったんですよ。こちらについてはネタバレも多いのでまた後日アップということで‥‥今日はそのライヴの感想も踏まえつつ、彼等が昨年10月にリリースした1stフルアルバム『THE POISON』についていろいろ書いてみようかと思います。何せ自身の2005年度ベストアルバム10枚に入れたくらいですからね。本国イギリスでは2004年にリリースされ、日本とアメリカでは2005年夏にリリースされた1stミニアルバム『BULLET FOR MY VALENTINE』で強烈なインパクトを我々に与え、同年夏の「SUMMER SONIC」では先に大阪に登場し、各所に話題になる位素晴らしいステージを披露したものの、翌日の東京ではドラマーが高熱でダウンし出演キャンセルとなってしまったため、再来日が熱望されていたわけですが‥‥その待望の初単独ツアーを昨日、渋谷クラブクアトロで観てきたんですが、とにかく噂通り素晴らしいライヴでした。

 そのライヴでもこの『THE POISON』の曲を中心に披露していたんですが正直な話、最初にこの1stアルバムを聴いた時、EP程のインパクトはなかったものの曲はまぁ良いよなぁ、繰り返し聴いたら更に良さが増すタイプかな?って感じたんですよ。結果としてはベストアルバムに選ぶ位に気に入ったんですが、それでも‥‥なんつーか「型」にはまり過ぎてて、ちょっと面白味に欠けるかな、どの曲も似たり寄ったりなんじゃないかな、なんて思ったりもしてて。まぁ新人だし個性が強まるのは2nd以降かな、なんて偉そうに上から目線で彼等を語ったりとかしてね。

 けど、実際にライヴで披露された彼等の楽曲はどれも非常に個性的で、まぁライヴ自体は短いものだったんですが、決して「同じような曲が続く」タイプのライヴではなく、しっかり各曲が独立した個性を放ってたんですよ。ま、1st EPの曲も同様なんですが、最新型のメタルと呼んでも差し支えないですよね。スクリーモから派生したバンドだとは思うんですが、彼等はウェールズ出身ってことで同郷のFUNERAL FOR A FRIENDやLOSTPROPHETS(彼等は本国ではレーベルも一緒だし)辺りと比較されてるようで。LOSTPROPHETSはともかく、FUNERAL〜との比較は何となく理解できるんですね。彼等もステージでは非常にメタリックな印象が強かったし。でも、BFMVの場合はもっとこう、昨今のメタルコア寄りというか。スクリーモのフォーマットを準えているものの、精神性はメタルなんですよね。だから所々に30代以上のメタル通過組にも判りやすい要素‥‥スラッシュメタルの構築美であったり、IRON MAIDEN辺りのオールドスクール的ツインリードソロが多用されていたりして、非常に「判りやすい」わけ。

 更に歌詞に目をやると、メタル特有の歌詞とも違う恋愛をテーマにしたものが多く見受けられるんですよ。そこが面白いな、とも思うわけ。ステージではメロイックサインを掲げててヘッドバンギングしてるわけですが、実は歌われている歌詞はそっち方面だという。女性客、しかも若い子が非常に多かったのも何となく頷けるかな、と。男性はどちらかというとサウンドに魅せられた人が多く、女性は歌詞やルックス(アイドル性も高いですしね)に惹かれる‥‥というのはちょっと端的かと思うけど、そう言われるとちょっと思い当たる節もあったり。それくらい固定層のみならず、もうちょっと多方面にアピールする要素をもったバンドだな、と。

 かなりアルバムの話題から離れてしまいましたが、要するにメタルファンやスクリーモを愛聴するロックファンだけでなく、もっといろんな人達に手に取って欲しいかな、と思うわけ。メタルと聞いて敬遠する人は多いでしょうけど、恐らく2006年はこのバンドにとって飛躍の年になるはずなので、ここらでひとつチェックしておいて欲しいな、と。アメリカでのリリースも控えてるし、その後はUSツアーもあるでしょう。そして恐らく今年の「SUMMER SONIC」には再登場するでしょうね、東京でのリベンジを含め。その時は間違いなくマリンスタジアムで演奏することになるのかな。今回はクアトロクラスだったけど、間違いなくスタジアムでの演奏も似合うタイプなのでそっちも楽しみだし。

 決して「先物買い」って意味ではなく、本当に素晴らしいバンドだと思うし、素晴らしく完成度の高い作品集だと思ってるので、機会があったら是非聴いてみてください。逆にこれを切っ掛けにメタルの世界に足を踏み入れる可能性も高いかもね。



▼BULLET FOR MY VALENTINE『THE POISON』
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2006年1月 2日 (月)

「MY BEST OF 2005」(1)

 さて、例年なら大晦日に発表していた、とみぃ版「BEST OF 2005」こと、「MY BEST OF 2005」なんですが、2005年末は珍しくカウントダウンライヴ(COUNTDOWN JAPAN '05-'06)に参加したこともあり、全く更新できない状況でした。ていうか‥‥ギリギリまでアルバム10枚が選べなかったのよね。自分で企画しておいてなんだけど‥‥2005年は難しいよな、いろいろと!

 というわけで、今日から何日かに分けて「MY BEST OF 2005」を発表していきたいと思います。まずは主要部門である、「MY ALBUM OF 2005」から‥‥

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