2017/11/28

BUTCHER BABIES『LILITH』(2017)

前作『TAKE IT LIKE A MAN』から2年ぶりとなる、BUTCHER BABIESの3rdアルバム。デビュー作『GOLIATH』(2013年)でジョシュ・ウィルバー(LAMB OF GOD、TRIVIUM、VAMPSなど)、前作でローガン・メイダー(CAVALERA CONSPIRACY、SOULFLY、FEAR FACTORYなど)を迎え、それぞれに“濃い”ヘヴィロックアルバムを制作してきた彼女たちですが、本作ではTHE DELLINGER ESCAPE PLANやSUICIDE SILENCEなどで知られるスティーヴ・エヴェッツがプロデュースを担当しています。

前2作の路線を踏襲しつつも、ただ突っ走ったり激しくのたうち回ったりというだけではなく、よりエモーショナルさやセンチメンタルさが増した作風。もちろん従来の残虐さはところどころに残されているのですが、そこも非常に計算されたヘヴィさ、ラウドさといった印象を受けます。昨年秋、『KNOTFEST JAPAN』での初来日公演でみせた、エロでエネルギッシュでバカバカしいまでのラウドさを求めるリスナーには、もしかしたら本作は多少物足りなさを感じる内容かもしれません。

が、本作のタイトルが『LILITH』(ユダヤの伝承において男児を害すると信じられていた女性の悪霊のことであり、一方で“女性解放運動”の象徴としても知られるワード)であることからもわかるように、本作は過去2作以上に“女性性”が強められた結果がこの作風なのではないでしょうか。「そんなもの、このバンドに求めてないよ!」っていう声、聞こえてきそうですが……本当に? みんな、ライブであのオッパイに注目してなかったわけ? 嘘でしょ?

まあ冗談はさておき、バンドが今後さらなる飛躍を遂げるためという点においては、この変化/進化はすごく正しいのではないかと思います。だって残虐さゼロではないし、その残虐さとセンチメンタルさの比率が若干変わっただけで、両サイド自体はより研ぎ澄まされているわけですから。

それにドラマー交代が影響してかエンジニアのカラーが反映されているのか、リズムの1音1音が太くなった印象も受けますし。だからこそ、残虐さもセンチメンタルさもより際立ったものになったし、その両極端な“Too muchさ”がこのバンドらしいとも言えるわけで。そこにスペーシーかつドラマチックさが増したメロディ&アレンジが加わったことで、今後の新たな可能性も強く感じられる1枚に仕上がったのではないかと思います。エロというよりも、セクシーになったと言えばいいんでしょうかね。そんな1枚だと思います。

ちなみに、日本盤のみ2014年に発表されたEP『UNCOVERED』収録のカバー曲5曲(ZZ TOP、NAPOLEAN XIV、SUICIDAL TENDENCIES、THE OSMONDS、S.O.D.)をボーナストラックとして収録。お安い輸入盤はストリーミングで聴けないので、ぜひこの機会に日本盤の購入をオススメします。そして、本作を聴きまくって来年1月末に決定した初の単独来日公演に思いを馳せてみてはどうでしょう。



▼BUTCHER BABIES『LILITH』
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投稿: 2017 11 28 12:00 午前 [2017年の作品, Butcher Babies] | 固定リンク