BUDDERSIDE『SPIRITUAL VIOLENCE』(2021)
2021年3月26日にリリースされたBUDDERSIDEの2ndアルバム。日本盤未発売。
MOTÖRHEADファミリーのバックアップにより2016年9月にセルフタイトルアルバムでデビューしたBUDDERSIDEは、前作制作時はシングルギターの4人編成でしたが、知らない間にツインギターの5人組バンドに。4年半ぶりの今作も前作同様、Motörhead Music / Silver Lining Musicからのリリースとなります。
プロデューサーにジェイ・バウムガードナー(BUSH、GODSMACK、PAPA ROACHなど)を迎えた本作は、前作の延長線上にある“バッドボーイズロックンロール”満載のハードロックアルバム。味付けの面でサイケデリック度が増したことが影響してか、全体的にミディアムテンポの楽曲が増えた印象もありますが、MUSYCA CHILDREN'S CHOIRをフィーチャーした「Things We Do」のような楽曲含め、メロディおよびアレンジが相当練られているので、最後まで安心して楽しむことができます。
1stアルバムから引き続きフィル・キャンベル(G)がゲスト参加した「Pardon Me」やBUTCHER BABIESのカーラ・ハーヴェイ(Vo)をフィーチャーした「Amber Alert」、日本の“禅”をテーマにした「Zen」など、キャッチーで色とりどりなハードドライヴィンロック満載。ちなみに「Zen」のMVはわざわざ東京まで訪れて撮影したんだとか。歌詞の世界観を映像で表現するには必須だったとのことで、この大変なご時世にここまでこだわって日本まで来てくれて……日本人として感謝の言葉を贈らせてください。
思えば前作リリース時はまだレミーが存命だったんですよね……フロントマンのパトリック・ストーン(Vo)はレミーのローディーだった経験を持ち、前作のプロデュースはレミーの息子ポール・インダー・キルミスターが担当。サウンド的にはLAのバンドらしく派手さを持ち合わせたハードロックでMOTÖRHEADとは程遠いかもしれませんが、その精神性はMOTÖRHEADから引き継がれているはず。そう思わずにはいられない、1本筋の通った豪快なサウンドと妖艶さをにじませたアレンジは2021年という時代において、とても新鮮に響くはずです。
時代錯誤を通り越して、むしろ新ジャンルを確立するんじゃないかとすら思えてくるこのサウンド&楽曲群。パトリックの両生類的ボーカル含め、クセになります。
▼BUDDERSIDE『SPIRITUAL VIOLENCE』
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