カテゴリー「B'z」の3件の記事

2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


▼SLASH『SLASH』
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2004年6月23日 (水)

TMG『TMG I』(2004)

  B'zのギタリスト/コンポーザーである松本孝弘のソロ・プロジェクト、「TMG(TAK MATSUMOTO GROUP)」のファーストアルバム。参加メンバーはギター/作曲が松本、ボーカルに元MR.BIGのエリック・マーティン、ベース&ボーカルにNIGHT RANGERのジャック・ブレイズ、ドラムにザック・ワイルドやスラッシュとの共演等セッション活動がメインとなるブライアン・ティッシーという、一部の属性の方々にとっては非常に豪華な面々(一部の曲で、レニー・クラヴッツのツアーメンバーとしても有名な女性ドラマー、シンディ・ブラックマンも参加)。特にエリックとジャックという「'80年代のMTVハードロック世代」にとっては懐かしいメンツの参加は、ある意味親しみやすいんじゃないかな。

  基本的には'80年代~'90年代前半によく聴けた「アメリカン・ハードロック」。そこに松本らしいアイディア(B'z的なリズムやリフを導入等)を散りばめつつ、普通に「洋楽ハードロック」として楽しめるクオリティを保っています。これは松本云々というよりも、エリックが歌っているからってのが大きいように思います。

  けど、これをMR.BIGやNIGHT RANGERといったバンドと比べた場合、やはり若干見劣り(聴き劣り)するのは否めないかな、という気も。またメロディに関していえば、本家であるB'zよりも‥‥って書いたらファンに怒られるんでしょうか? 正直なところ、そこが一番気になりましたね。シングルとなった "OH JAPAN ~OUR TIME IS NOW~" は聴き慣れたこともあって結構キャッチーに感じられるんですが、他のアルバム曲は‥‥正直、似たり寄ったりなイメージが強いですね。曲調やテンポ的なもの、そしてキーなんかが似通った楽曲が並んでいる、しかも14曲という曲数もそれに影響してるのかな、と。10曲くらいでもっとメリハリある選曲/曲順だったら、ファーストインパクトももっと強烈なものだったんじゃないかな‥‥って気がするんですが。そういうわけで、1~2回聴いた感じでは非常に散漫な印象を受けました。

  勿論、聴き込んでいくうちに「らしさ」が見えてきて、ドンドン気に入っていくんだろうとは思うけど‥‥そこまで熱心なファンでもないしなぁ、俺。

  ただ、演奏に関してはさすがと言わざるを得ないかな、と。意外と過小評価されているジャックのベースプレイも、一時期のNIGHT RANGER以上に活かされているし。松本のプレイもソロ・プロジェクトの割にB'zの時みたいな派手な弾きまくり感があまり感じられず、どちらかというとバランスを重視したプレイになってるような気がしますね。最近のB'zのアルバムとか聴いたことがないから比較のしようがないですが‥‥最近は隙間を埋めるようなプレイよりも、ワザと隙を作るようなプレイに目覚めたんですか、松本は? いや、よく判らないけど‥‥少なくともこのアルバムでの彼のプレイからは、そういう雰囲気を感じました。

  個人的に気に入っているのは5曲目辺りから‥‥"I wish you were here" みたいな王道アメリカンロック路線、そして如何にもB'zチックなアレンジを持つ "THE GREATEST SHOW ON EARTH" が特に気に入ったかな。後者のアレンジなんて、普通の欧米ハードロックでは考えられない味付け(アレンジ)ですからね。日本人的というか、フュージョン的というか、ホント独特ですよね。こういう曲を聴いちゃうと‥‥どうせなら、B'zの代表曲を英語詞でセルフカバーしたアルバムでも作ればいいのに、とか思っちゃうんですが。それは稲葉の手前できないのかな、なんて。実はB'zの楽曲をセルフカバーした方がよりポピュラーなハードロックアルバムになったんじゃないかな‥‥って思うんですが。如何でしょう?

  思ってた程派でではなく、どちらかといえば地味な部類のアルバムですよね。MR.BIGでいったら4作目の「HEY MAN」、NIGHT RANGERでいったら同じく4作目の「BIG LIFE」とか(って両方共ファンからは駄作扱いされることの多い1枚じゃないか! いや、俺は気に入ってるんですけどね)。あ、そうか。その分ツアーでは派手な曲‥‥NIGHT RANGERの "(You Can Still) Rock In America" とかMR.BIGの曲をカバーすればいいのか!(って実際やるみたいな発言をエリックはインビューでしてますよね。さて、どうなることやら‥‥)

  最後に‥‥このアルバムをここ日本でのみリリースすることによって、一番「得」をする人って誰なんでしょうね? いや、金銭面での話じゃないですよ。松本がこのアルバムをリリースすることで、B'zを小馬鹿にするようなハードロック・ファンから受け入れられるとも思えないし、逆にB'zしか眼中にないようなファンにエリックやジャックがどう受け入れられるのか‥‥結局その答えって、2作目を作って初めて見えてくるものなのかも。というわけで、何年先になるか判らないけど、セカンドアルバムを熱望します。勿論、今回のメンバーでね!



▼TMG『TMG I』
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2003年1月16日 (木)

B'z『The 7th Blues』(1994)

  これまた意表を突いたアルバムを選んだと思って、更にビックリするんでしょうね? 「ラルクの次はB'zかよ!? とみ宮ももう終わりだな」とかいった感じで‥‥って言ってるそこのキミ。実は「ロック聴き始めた切っ掛けはB'zでした」っての、隠してるだろ? えっ、そうなんだろ?? なっ、悪いことは言わないから、全部素直に吐き出しちまいなよ‥‥誰も責めないからさ‥‥って誰に向かって俺は説得してるんですか?

  つうわけでB'zです。多分いつもうちのサイトをご覧になってくれてる人の半数以上が「‥‥何故?」とか「‥‥けっ!」と思ってるであろうB'z。恐らく殆どの人が「ギャグでしょ?」と焦ってるであろうB'z。「とみぃはB'z好きだったのか‥‥ガクガクブルブル」と既にブラウザのブックマークを消去しようとしてるそこのあなた、ちょっと待って。ここはひとつ、最後まで読んでから消すかどうか判断してください。

  まず‥‥アルバムレビューに入る前に‥‥ちょっと以下の楽曲名に目を通しておいてください。


・AEROTHMITH / Cryin'
・LED ZEPPELIN / Nobody's Fault But Mine
・COVERDALE・PAGE / Shake My Tree
・LENNY KRAVITZ / It Ain't Over 'Til It's Over
・DAMN YANKEES / Don't Tread On Me
・JIMI HENDRIX / Little Wing
・VAN HALEN / Right Now
・THE BEATLES / Hey Jude
・GARY MOORE / The Loner
・CREAM / White Room


‥‥全部知ってますか? ま、知らない曲も数曲含まれてるでしょうね(特にDAMN YANKEESとかCOVERDALE・PAGEはHM/HRファンじゃなきゃ知らないかも)。判る人なら判るでしょうけど、上に挙げたこれらの楽曲、今回取り上げるB'zの「The 7th Blues」収録曲の元ネタ‥‥言い方は悪いですが、パクリ元となった楽曲だと言われています。もっとも、ホントのところはメンバーのふたりにしか判りませんが、聴いた感じでは確かにリフや曲の構成等、かなり近い印象を受けます。ま、過去にもB'zはZEPの "Trampled Under Foot" やMOTLEY CRUE "Time Is Change"、AEROSMITH "What It Takes" 等からいろんなものを「拝借」してる前科があるので、やっぱり‥‥ねっ?

  ってそういう事が言いたいのではなくて‥‥多くの人が抱くB'zの印象ってそういう「洋楽ロックのオイシイとこ取り」ってイメージの他に、「ピコピコした打ち込みサウンド」ってのがあると思うんですよ。ヒットした切っ掛けとなった "Bad Communication" がそういう曲だったし、元々ギターの松本がTM NETWORKでサポートメンバーとしてギターを弾いてた経緯があるからね、何となく流れが見えるわけよ。

  個人的な話になりますが‥‥以前東京で仕事してた頃、仕事先の上司が稲葉と同じ大学出身で、同級生、しかもサークルまで一緒だったそうなのね。軽音サークルでバンドやってたみたいで、丁度周りがAORとかで盛り上がりつつあった頃だったそうなんだけど、稲葉はというと‥‥もう、普通のハードロック少年だったそうで。「時代遅れなDEEP PURPLEとかやってたよ」とその人は言っておりました。既にその話を聞いた頃のB'zは今回のアルバムのようなハードロック路線に片足突っ込んでた頃だったので、妙に納得した記憶があります。元々松本ってギタリストもハードロック畑の人だしね。

  というわけで、今回紹介するアルバムを通して俺が何を訴えたいのかというと‥‥「洋楽ロックへの入り口」としてB'zを入門編として聴いてきた人達に向けて、そしてそういったB'zを毛嫌いしてきた人達への問題提議というか‥‥B'zって、そんなに貶す程酷い音楽やってるか?っていうね、うん。ま、ハードロックとか日本語でやるハードロックが嫌いな人には今回のレビュー、何も訴えかけるものがないと思いますが、面白そうだと思った人は興味深く読んでやってください。

  俺らが10代の頃、丁度'80年代中盤から'90年代に突入するまで、所謂「ハードロック/ヘヴィメタル」がチャート上で成功する時代があったわけですよ。BON JOVIやGUNS N'ROSES、METALLICAといったバンドがブレイクして、アルバムのみならずシングルまでチャート上位に食い込んだり、そういったバンドが東京ドームや武道館クラスを2日も3日も満杯にする時代だったわけですよ。で、ここ日本にも'80年代初頭から「日本のバンドによるメタル・ムーブメント」、略して「ジャパメタ」っつうものがあったわけですね。現在再結成して活躍しているLOUDNESS、ANTHEM、EARTHSHAKER、44MAGNUMといったところが有名所ですね。他にもBOW WOW(後のVOW WOW)、FLATBACKER(後のE.Z.O.)、PRESENCE(後にJUDY & MARYを結成する恩田快人が参加していた)、BLIZZARD、RAJAS、ACTION、REACTION、浜田麻里、等々‥‥中にはアメリカでそこそこ結果を出したLOUDNESS、イギリスで成功しレディングフェスに出演した経歴も持つVOW WOW、KISSのジーン・シモンズがプロデュースしたE.Z.O.なんていうワールドワイドな活動をしていたバンドもいた程です(そして今、そういった日本のバンドに影響を受けた海外のアーティストも多く活躍しています。元MR.BIGのポール・ギルバートや元MEGADETHのマーティ・フリードマンなんかがその代表ですね)。そしてこのジャパメタは、後にX(後のX JAPAN)という怪物を生み出すわけです。そして、それと引き替えにジャパメタは死語となり、次第に「ビジュアル系」なんていう微妙な呼び名で呼ばれることになるわけです‥‥その黎明期に活躍したDEAD ENDやGASTANKなんてのもいましたが。

  おっと‥‥ちょっと話が脱線しましたね。で、'90年代以降、ハードロックやヘヴィメタルは下火になります。METALLICAやPANTERAといったコア系のバンドの活躍はありましたが、グランジの台頭によってグラマラスでゴージャスなサウンドを持ったバンド達は一掃されるわけです。けど、日本は特別でまだMR.BIGやBON JOVIといったバンドに効力がありました。と同時に、X JAPANが大ブレイクし、いわば国民的バンドになってしまったりしました。誰ももう彼等のことを「ジャパメタ」とか「ヘビメタ」なんて呼ばなくなりました。

  でね‥‥俺らがガキの頃は、洋楽への入り口としての口当たりの良い、聴きやすい音を持った、それでいてサウンド的にハードでカッコイイバンドってのが結構いたわけですよ。それがBON JOVIだったりVAN HALENだったり、あるいはJOURNEYやNIGHT RANGERといった‥‥ライトメタルとか産業メタルなんて言葉で貶されたりもしますが、そういった良質のバンドが沢山いたわけです。だってそういうバンドがヒットチャート上にウジャウジャいたわけですから。マイケル・ジャクソンやマドンナを聴くのと同じ感覚でBON JOVIやMOTLEY CRUEを聴いてたわけですよ、俺にしろ周りの友人にしろ。「カイリー・ミノーグとWHITESNAKEのアルバム、いいよね?」とか、そういった会話が普通だったわけです(自分の周りだけかもしれませんが)。

  ところが、'90年代以降、そういった「チャート上でも成功していて万人に愛され聴きやすい」教科書的入門編バンドが少なくなってしまったんですね。MR.BIGとかは頑張ったけど、それ以外だと‥‥NIRVANAやRADIOHEADやOASISで洋楽に入った人も多いんでしょうけど‥‥なんか味気ないかなぁ、と俺は思ったりするわけです。では'90年代に入ってそういう「ロック入門編」の役割を果たしたバンドって?‥‥となると、これがX JAPANだったりB'zだったりすることが多いわけですよ。'80年代はまだロックはアングラなイメージがあり、特に日本ではボウイやレベッカといったバンドがチャート上でも大成功を収めるまで、そこまでロックが大々的に一般の世界にアピールすることは少なかったと思うんですよ。それが'80年代末からのバンドブーム、'90年代に入ってからのビジュアル系ブームによって、お茶の間に長髪/髪の赤い化粧した男達が普通に登場したりする時代になるわけですから‥‥20年前だったら考えられないですよね?

  そういう風に、ここ日本でも普通にロックが一般化した状況になり、特に洋楽からロックに目覚める必要もなくなる‥‥そうなると、一番身近で手頃なロックからスタートするわけですが‥‥そこでチャートでも大成功を収めていたB'zが登場するわけです(いや~ここまでの前振り、長かった‥‥)

  この「The 7th Blues」という2枚組アルバムがリリースされたのが'94年春。デビューから既に6年近く経ってからのこと。その前から既にハードロック色を要所要所に散りばめてきた彼等が、本格的にそういうサウンド一辺倒で臨んだのがこのアルバムなわけです。ここにはあの「ピコピコした打ち込みサウンド」は皆無。全部が固定バンドメンバーによるバンドサウンドで、そこに曲によってブラスが加わったりストリングスが入ったりするわけです。歌詞は判りやすい日本語(20曲中、英語詞も2曲有り)、リフやメロディは最初に挙げたような洋楽ハードロックからの影響が強く、しかも適度にハードで適度にソフト。そして周りが言う程酷くない。むしろ完成度はかなり高い方だと思います。実際、サウンドにしてもレコーディングをLAで、ミックスをChris Lord-Algeというグラミー賞も受賞したことのあるエンジニアが担当してるわけですから、その辺の洋楽ハードロックバンドと比べても特に違和感はないわけです(歌詞を除けば)。個人的にはこのアルバム、ディスク2の方が好みで、エアロばりのロッカバラード"Don't Leave Me"(スカパラホーンズが大活躍)からまんまZEPな"Sweet Lil'Devil"への流れ、過去のB'zナンバーを英語詞&ブルージーにリアレンジした"Slave To The Night"、"Lady Navigation"、大陸的な大らかさを持ったアメリカンハードロック"Jap The Ripper"、B'zらしいメロがハードロックに乗った佳曲"春"等、ホント捨て曲なしだと思うんですよ。"もうかりまっか"みたいな遊び曲もあるんだけど、決して捨て曲ってわけでもないし。ま、稲葉のシャウトがまんまスティーヴン・タイラーだ、という指摘はこの際無視しますけどね。

  実はこのアルバム、B'zファンからは当時酷評されたらしいんですね。「B'zらしくない」「ヘヴィすぎる」等といった理由で。確かに暴走し過ぎな気もしますね。実際、このアルバムに伴うツアー終了後、再び彼等は打ち込みを多用したサウンドも復活させて、音楽的には非常にバランスのいい「LOOSE」というアルバムをリリースしてますしね。かつてハードロック少年だった稲葉と松本が、ある程度地位を得たことで初めて「好き放題やった」いや「やり尽くした」作品。それがこのアルバムだったのかもしれませんね。だからこその2枚組だった、と。

  このアルバムからロックに入ったっていう人、結構いるみたいですね。確かに過去のB'zのイメージに囚われずにこのアルバムを聴くと、普通にカッコイイと思うし、更にあなたがまだ洋楽にノータッチだったとしたら、ここに収められているパク‥‥いや、影響を与えた原曲も聴いてみたいと思うかもしれませんね? そういう意味で、このアルバム及びB'zは'90年代、日本の多くの少年少女達にとっての「扉」となったわけです。

  もし‥‥B'zが二人組というユニットではなくて「○人組のバンド」として存在していたら‥‥そしてそのデビューがあと5年早かったら‥‥間違いなく彼等はハードロックバンドとして、そしてジャパメタバンドのひとつとして認識されていたでしょう。今頃「BURRN!」の表紙を飾っているかもしれませんね。先にTM NETWORKフォロワーとして登場してしまったが為にそのチャンスは逃してしまいましたが(そして多くのロックファンにとって忌むべき存在にもなってしまった)、この際ちゃんと彼等の功績を評価してもいい時期にきてるんじゃないでしょうか。リリースから9年経っても古さを感じさせないこのアルバムを今聴くと、尚更そう思えてくるわけです。

  最新のツアーではとうとう海外で知名度のあるメンバー(特に元MR.BIGのビリー・シーン参加には誰もが驚いたことでしょう)をリズム隊に迎え、海外からもお呼びがかかったという噂のB'zですが、もうハードロック一辺倒な作品を作ることはないんでしょうね。近作だと「BROTHERHOOD」というアルバムが比較的そういう作風だった、と人伝に聞いています。確かにシングル曲 "ギリギリCHOP" なんてまんまVAN HALEN風ハードブギーですしね(で、アルバムバージョンではMR.BIGのリズム隊がプレイしてるわけですし)。意外とあのまま彼等がハードロック路線を続けていたら‥‥セールス的には落ちていたでしょうけど、間違いなく「B'zを聴いてロックに目覚めた」という中学生が増えていたでしょうね。そう考えると、ちょっと勿体ないかなぁ‥‥という気も。

  ワールドカップ関連でエアロと共演したり、クリスマス限定パッケージでバラードベストを出したり、確かにそのひとつひとつの行動は我々ロックファンからすれば「???」なのかもしれませんが、それとやってる音楽、そしてその音楽の出来は別物です。売れてるから駄目、なんて理由で無視するのも結構ですが、今一度ヒットチャートを賑わしているアーティスト達にも目を向けてみてはどうでしょうか?



▼B'z『The 7th Blues』
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