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カテゴリー「Carcass」の8件の記事

2021年12月31日 (金)

2021年総括:HR/HM、ラウド編

2017年から2020年まで、「リアルサウンド」にて掲載してきたメタル/ラウド系年間ベストアルバム企画。2021年は同サイトにて同企画を実施されないので、場所をこちらに移して行うことにしました。ただ、無理な順位付けはせず、印象的なアルバム/EP 20枚をアルファベット順に紹介していくことにします。

 

ARCHITECTS『FOR THOSE THAT WISH TO EXIST』(Apple Music)(レビュー

 

THE ARMED『ULTRAPOP』(Apple Music)(レビュー

 

CARCASS『TORN ARTERIES』(Apple Music)(レビュー

 

CONVERGE『BLOODMOON: I』(Apple Music)(レビュー

 

DEAFHEAVEN『INFINITE GRANITE』(Apple Music)(レビュー

 

DREAM THEATER『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』(Apple Music)(レビュー

 

EVERY TIME I DIE『RADICAL』(Apple Music)(レビュー

 

EXODUS『PERSONA NON GRATA』(Apple Music)(レビュー

 

GATECREEPER『AN UNEXPECTED REALITY』(Apple Music)(レビュー

 

GOJIRA『FORTITUDE』(Apple Music)(レビュー

 

JINJER『WALLFLOWERS』(Apple Music)(レビュー

 

KHEMMIS『DECEIVER』(Apple Music)(レビュー

 

LEPROUS『APHELION』(Apple Music)(レビュー

 

MASTODON『HUSHED AND GRIM』(Apple Music)(レビュー

 

NEMOPHILA『REVIVE』(Apple Music)(レビュー

 

SeeYouSpaceCowboy『THE ROMANCE OF AFFLICTION』(Apple Music)(レビュー

 

SPIRITBOX『ETERNAL BLUE』(Apple Music)(レビュー

 

TO KILL ACHILLES『SOMETHING TO REMEMBER ME BY』(Apple Music)(レビュー

 

TRIVIUM『IN THE COURT OF THE DRAGON』(Apple Music)(レビュー

 

TURNSTILE『GLOW ON』(Apple Music)(レビュー

 

年明け発売の某雑誌には、この20枚の中から10枚をセレクトして順位を付けて掲載予定です。

2020年初頭から流行拡大しだした新型コロナウイルスは、2021年も引き続き大きな影響を及ぼし続け、ロックダウンによるフィジカル(CD、アナログなど)製造遅延およびそれに伴うリリース順延、さらにはツアーやフェスの翌年以降への順延などが重なります。当然、ここ日本への海外メタル/ラウド勢の来日公演も2年近く実現しておらず(一部、小規模のライブハウス公演は行われたようですが、大規模なジャパンツアーやメジャーアーティストの来日公演に関しては皆無)。この年末にKING CRIMSONのジャパンツアーが行われたのは、奇跡に近いものがありました。

しかし、コロナが及ぼした影響は決して悪いことだけではありません。インターネットを使ったリモート作業が以前よりもやりやすい環境になったこともあり、バンドメンバーがバラバラな場所に住んでいても制作自体は行えるようになり、結果として思いがけずに新作が届けられるなんていうサプライズも多々ありました。今回挙げた20枚の中にも、TRIVIUMのように前作から2年経たずしてニューアルバムが到着するというケースも少なくありません。

日本では夏頃と比べて、若干の落ち着きを見せている昨今ですが、海外ではまだまだ予断を許さない状況。イギリスなどの様子に恐怖を覚える一方で、アメリカでは大規模なライブ/ツアーも再開されている。国によって対策や対応は異なるものの、2020年から続くこの生活はもう少し続くことになりそうです。おそらく2022年も国内での大規模野外フェス開催(特に海外アーティストを多数招聘して実施するケース)は現実的ではないのかもしれません。

僕自身、すべてが元通りに戻るとは思っておらず、むしろ少しずつ元の生活に近づけつつ、新たなスタンダードを確立・浸透させなければ、この文化はどんどん先細りしていくんじゃないかと感じています。送り手も受け手も、この新たなスタンダードを前向きに受け取りつつ、過去の日常生活と並列させていくことでこの文化を維持し、さらに成長・進化させていくはず……僕自身はそう信じています。

さて、明日はジャンル分け隔てなく総括した1年のまとめ記事を公開する予定です。この記事と併せてお楽しみいただけると幸いです。

 

2021年12月26日 (日)

CARCASS『NECROTICISM - DESCANTING THE INSALUBRIOUS』(1991)

1991年10月30日にリリースされたCARCASSの3rdアルバム。日本盤は『屍体愛好癖』というクセの強い邦題で、1992年4月21日発売。

ジェフ・ウォーカー(Vo, B)、ビル・スティアー(G, Vo)、ケン・ウォーエン(Dr)というデビュー時からのトリオ編成に、現ARCH ENEMYのマイケル・アモット(G)が加入(1990年)し、ツインギター編成になったCARCASS最初のアルバム。このアルバムで彼らのことを知ったというリスナーも少なくないかもしれません(筆者も本作の日本盤リリースを機に、初めてCARCASSに触れたクチです)。

サウンド的には初期のグラインドコア〜ゴアグラインドから、次作『HEARTWORK』(1993年)で本格的開花するメロディックデスメタル路線への過渡期にある内容。その独特の雰囲気・曲構成は最初こそ好き嫌いが分かれそうですが、一度ハマってしまうとクセになる不思議な魅力が備わっています。

1曲の中で何度も繰り返される強引なテンポチェンジには、やや唐突さを感じずにはいられませんが、実はその突拍子のなさこそがこの時期のCARCASSの魅力。ある意味ではプログレッシヴとも受け取ることができ、このへんの複雑なアレンジはNWOBHM期のUKメタルバンドと共通するテイストを感じずにはいられません。

しかも、バンドの土台となるケン・ウォーエンのドラミングのクセが強すぎて、リズムの独特な“揺れ”や“スウィング感”が唯一無二のグルーヴを作り上げている。もちろんこれは前向きに捉えた表現ですが、ネガティブな表現をすれば……いや、やめておきましょう(苦笑)。結果として、ケンのドラミングを見事に生かしたからこそ、こうした独自性の強いアンサンブルが生まれたわけで、それこそが90年代前半のCARCASSにとって大きな武器になったわけですから。

この時期はまだビルも要所要所でボーカルを披露していましたが、次作以降はギタリストに専念。音楽性のみならず、バンドスタイルとしても本作は過渡期にある1枚でした。だけど、マイケルが加入したことで迎えた転換期は、のちの彼らにとって非常に大きなチャンスになるわけですから。世の中何が起こるかわかりません。

「Corporal Jigsore Quandary」や「Incarnated Solvent Abuse」など現在まで演奏され続けている名曲を多く含む本作ですが、曲間にナレーションを挟むことで若干テンションが落ちるという声もあります。確かに、あのSEなしで曲が次々に続いていく構成のほうが緊張感が途切れることなく楽しめるかもしれません。だけど、個人的にはあのSEあってこそ、彼らならではの不穏な空気を終始纏うことができているのではないか、とポジティブに解釈しています。特に、本作の収録曲はそれまでの彼らから考えると1曲の尺が非常に長くなっており、6〜7分台の楽曲が過半数を占めます。そういった楽曲を飽きさせずにリスナーを惹きつけるという点でも、あのナレーション/SEは必要だったと信じています。

聴きやすさ/入門編としては次作『HEARTWORK』が最適だと思いますが、CARCASSの真髄を知るという点においてはまず今作を聴くべきではないでしょうか。そこから『HEARTWORK』以降の作品に進むもよし、逆に勇気を持って初期のグロ路線に一歩踏み出してみるもよし(笑)。

 


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2021年9月17日 (金)

CARCASS『TORN ARTERIES』(2021)

2021年9月17日にリリースされたCARCASSの7thアルバム。

2007年にジェフ・ウォーカー(B, Vo)、ビル・スティアー(G)の初期メンバーに90年代前半に在籍したマイケル・アモット(G)とマイケルの盟友ダニエル・アーランドソン(Dr)というARCH ENEMY組の4人で再結成&ライブ活動を再開させたCARCASS。当初は過去の楽曲を演奏するだけにとどまりましたが、ジェフ&ビルは新ドラマーにダニエル・ワイルディング(Dr)を迎えて新作制作に突入。2013年に17年ぶりの新作『SURGICAL STEEL』を発表し、真の意味での復活を遂げます。同作リリースと同時に2ndギタリストとしてベン・アッシュが加入。2013&2015年秋に『LOUD PARK』出演、2014年春には1994年以来となる単独来日(初の本格的ジャパンツアー)と、3年連続来日を果たしました。

2018年にはベンが脱退し、ジェフ/ビル/ダニエルのトリオ編成でレコーディングに突入。2019年には再結成後2作目となるアルバムを完成させ、2020年夏のリリースを目指して活動していました。が、ご存知のとおり、コロナ禍の影響によるロックダウンで海外のプレス工場が閉鎖されたこともあり、リリースは1年延期に。こうして、前作から8年ぶりとなるニューアルバムが手元に届けられたわけです。

CARCASSに関しては、もはやこんな駄文を読むよりも『ヘドバン』での掟ポルシェ氏のテキストを参考にしていただくのが一番。もっとも信頼できる圧倒的な解説が展開されているので、まずはそちらを読んでいただいて……こちらは暇つぶし程度に。

『SURGICAL STEEL』がCARCASSの知名度を高める結果となった3rdアルバム『NECROTICISM – DESCANTING THE INSALUBRIOUS』(1991年)と4thアルバム『HEARTWORK』(1993年)でのサウンド……のちにメロディックデスメタルと呼ばれるようになるスタイルの原型となる楽曲/演奏を軸にしつつ、今のCARCASSらしく(良い意味で)整頓された、ガッチリしたメタル/エクストリームミュージックを楽しむことができました。しかし、これまでに1枚たりとも同じスタイルの作品を作ってこなかったCARCASS、続く本作では前作とまったく異なるスタイルにチャレンジしています。

サウンドや演奏のベースになるものは前作『SURGICAL STEEL』の延長線上にありつつも、楽曲の質感や音楽性はもっと別のもの……ぶっちゃけ、エクストリームミュージックとは一線を画するものが採用されているように感じました。ジェフのインタビューでは“Dad Rock”という例えが出てきましたが、70年代のハードロックなどHR/HMのルーツになるような音楽からの影響が、各曲の随所から感じ取ることができます。なのに、アルバムを通して聴いたときにしっかり感じられるエクストリーム感。本当に不思議です。

さらに、本作からはビルにとっての大切なルーツであるNWOBHM期のバンドたちからの影響もしっかり汲み取ることができる。例えば、「Eleanor Rigor Mortis」でのアレンジは80年代初頭のスラッシュメタルとそのルーツとなっているNWOBHM期のバンド、10分近くにおよぶ「Flesh Ripping Sonic Torment Limited」はDIAMOND HEADIRON MAIDENをはじめとするバンドからの影響も見つけることができるのが、これまでの作品との大きな違いかなと。

今作を語る上でもうひとつ重要になってくるのが、実はリリース時に酷評された5thアルバム『SWANSONG』(1996年)の存在。同作は『HEARTWORK』で試みたスタイルをよりシンプルかつピュアな形に昇華させたもので、ビルのNWOBHM趣味が前作以上に色濃く表れています。リリースから25年経った今聴くと同作は非常に聴きやすい、よく作り込まれたハードロックアルバムとして十分通用する1枚ですが、今回の『TORN ARTERIES』はその『SWANSONG』で試みたことをより純化させつつ、しっかりエクストリームミュージックとして機能するアルバムへと昇華させた。共通項はたくさんあるものの、似て非なる“オリジナル”な1枚だと思うんです。

初期のアグレッシヴさとは別ベクトルの攻撃性と、『SWANSONG』級の聴きやすさ/親しみやすさを伴った異色作。いや、CARCASSのアルバムは毎回、常に異色なんです。今回も我々の期待を遥かに上回る、予想の斜め上をいく傑作です。8年待った甲斐があった。本当にありがとうございます。

 


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2020年11月 1日 (日)

CARCASS『DESPICABLE』(2020)

2020年10月30日にリリースされたCARCASSの最新EP。日本盤は『鬼メスの刃 EP』という、最高のタイミングに最高の邦題で発売中です(笑)。

まとまった音源集としては『SURGICAL REMISSION / SURPLUS STEEL』(2014年)以来6年ぶり、新曲音源としては昨年12月に発表された「Under The Scalpel Blade」以来10ヶ月ぶりのリリース。本来なら今年8月に『SURGICAL STEEL』(2013年)以来7年ぶりのニューアルバムが発売予定でしたが、コロナ禍によるロックダウンでCDやアナログのプレス工場が稼働できないことで2021年以降に発売延期に。しかし、若干状況が落ち着いてきたことを受け、アルバムまでのつなぎに4曲入りEPを発売することになったのでした。

レコーディング参加メンバーはジェフ・ウォーカー(Vo, B)、ビル・スティアー(G, Vo)、ダン・ウィルディング(Dr)という前作からのメンツに加え、2018年に新加入したトム・ドレイパー(G)という4人。前任のベン・アッシュは前作のレコーディングには参加してない、あくまでツアーメンバーという立ち位置でしたが、今回レコーディングに参加することなくバンドを去りました。

さてさて。詳細な制作背景や楽曲の細かな解説は、本作日本盤封入の掟ポルシェさんによるライナーノーツに詳しく書かれているので、ぜひとも日本盤を購入してこちらをお読みください(そもそも本作、日本ではストリーミングで聴くことができませんし、デジタルでは今のところBandcampぐらいでしか購入できないので。安価で入手できる日本盤がオススメです)。ここでは僕目線で、簡単な感想を残しておきたいと思います。

収録された4曲中、M-3「Under The Scalpel Blade」のみ既発曲であり、唯一次のアルバムにも収録される予定とのこと。つまり、初出となるほかの3曲はここでしか聴くことができないわけです。じゃあアルバムからのアウトていくなの?と思いきや、オープニングを飾る「The Living Dead At The Manchester Morgue」からして王道のCARCASS節(いわゆるデスメタル的スタイルへと移行してからの彼ら)に初期のグラインドコア的要素を散りばめた、「そうそう、こういうのを待ってた!」という感動・感激の仕上がり。約6分の中にいろんな要素が詰め込まれた、非常に情報量の多い1曲と言えるでしょう。

かと思えば、ビートルズの名曲パロディのような曲名の「The Long And Winding Bier Road」は、メロディックデスメタル的ツインリードのフレーズを交えつつもミドルテンポで突き進むスタイルと、これまでにあまりなかったコード進行が新鮮な1曲。「Under The Scalpel Blade」は昨年末から散々聴きまくってきた1曲が、ついにCDとして一般流通。これを聴いただけで、続くアルバムに対する期待が一気に高まったことをよく覚えています。

最後の「Slaughtered In Soho」は怪しい雰囲気と曲調が癖になる1曲で、これも従来のらしさと“次”が同時に楽しめる仕上がりです。こんな曲を本編に入れないなんて、次のアルバムはどんな完成度なんだ……と期待だけが高まるばかりです。

というわけで、4曲ってやっぱり物足りない(笑)。無駄に期待だけがどんどん高くなる一方で、さらにまとまった新曲を楽しめるまでにあと何ヶ月待たなきゃいけないんだ……と逆に悲しくなってきました。まあ、いろいろ仕方ないですわな。今はこの4曲を擦りするほどリピートして(デジタルの場合、すり減る代わりにデータ消失したら困るけど)、来たるX-DAYを待ちたいと思います。

 


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2019年10月17日 (木)

ANGEL WITCH『AS ABOVE, SO BELOW』(2012)

ANGEL WITCHが2012年3月に発表した通算4作目のオリジナルアルバム。

ANGEL WITCHは70年代末にケヴィン・ヘイボーン(Vo, G)を中心に結成された、NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal)シーンにおける代表的存在のひとつ。1980年にアルバム『ANGEL WITCH』をリリース後、80年代半ばまでに計3枚のオリジナルアルバムを発表しています。が、その後は活動が停滞。デモ音源を含むコンピ盤やライブアルバムのリリースこそあったものの、オリジナル作品の発表は20年以上途絶えていました。

今回紹介する『AS ABOVE, SO BELOW』はオリジナルアルバムとしては、1986年の『FRONTAL ASSAULT』以来26年ぶりの新作。一部メディアでは『RESURRECTION』(2000年)以来12年ぶりと報じられていましたが、同作は未発表のデモ音源を寄せ集めたものなので、純粋な新作としては26年ぶりが正しいのでしょう。

本作リリース時のメンバーはケヴィン、ウィル・パーマー(B)、アンディ・プレスティッジ(Dr)にビル・スティアー(G)という4人。ビルはご存知、CARCASSやFIREBIRD、GENTLEMANS PISTOLSでおなじみの方。ただ、のちの明らかになるのですが、ビルはレコーディングには不参加でライブのみの参加だということです(ただ、明らかにビルらしいギターフレーズも確認できるそうなので、実際のところどこまでが本当かは不明)。

楽曲そのものは、これぞANGEL WITCH!と言えるダークなHR/HMが中心で、オープニングの「Dead Sea Scrolls」こそ“枯れた”ハードロックで若干の不安を覚えますが、2曲目「Into The Dark」以降のアップダウンを繰り返す展開にホッと胸をなでおろすオールドファンは少なくないはず。とにかく「あのANGEL WITCH」そのものですよ、これは。

現代的なプロダクションで制作されたことで、デビューアルバム『ANGEL WITCH』にあったチープさが払拭され、間違いなく2000年代の音/バンドとしてここに存在する。僕自身、2作目も3作目も聴いておらず、完全に『ANGEL WITCH』との比較になってしまうのですが、そこから32年という長い時間を一気に飛び越してここに存在するこの音、間違いなく『ANGEL WITCH』からの“続き”なんですよ。そう確信できるほど、王道中の王道。もはや職人技と言いたくなるくらいの変わらなさと(制作面での技術的)進化を楽しめる1枚。聴かない理由はありません。

ちょうど同作を携え行われた来日公演(2012年6月)にも足を運び、さらにはANGEL WITCHの一員として来日したビル・スティアーへのインタビューまで実現してしまった(掟ポルシェさんがインタビュアーを務め、僕が原稿をまとめるという形で)。このアルバムを聴くと、7年前のあの頃のことを鮮明に思い出すことができる……そんな個人的な思い出が詰まった1枚です。

 


▼ANGEL WITCH『AS ABOVE, SO BELOW』
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2019年3月 3日 (日)

ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』(2019)

2019年1月に発表された、ARCH ENEMYのカバーアルバム。バンド初期からシングルのカップリングやアルバムのボーナストラックとして収録されてきた歴代のカバー曲を1枚にパッケージした作品で、その内訳も初期3作のヨハン・リーヴァ時代、ブレイクのきかっけを作ったアンジェラ・ゴソウ時代、現在のアリッサ・ホワイト=グラズ時代と3世代にわたる、ある種のオールタイム“裏”ベストアルバムとなっています。

取り上げられているカバーはIRON MAIDENJUDAS PRIESTEUROPEMEGADETH、MANOWAR、QUEENSRYCHEPRETTY MAIDSSCORPIONSKISSなど彼らのルーツにあるHR/HMバンドからG.B.H.、DISCHARGEといったハードコアバンド、SKITSLICKERS、ANTI-CIMEX、MODERAT LIKVIDATIONという地元スウェーデンのハードコア/クラストコアバンド、マイケル・アモット(G)がかつて在籍したCARCASS、そしてTEARS FOR FEARSやマイク・オールドフィールドといったポップ寄りまで、バラエティに富んだもの。JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、EUROPE、SKITSLICKERSはボーカリスト違いで複数選ばれているものもあります。

全24曲中、M-1「Shout」からM-11「City Baby Attacked By Rats」までがアリッサ時代、M-12「Warning」からM-20「Symphony Of Destruction」までがアンジェラ時代、ラスト4曲がヨハン時代としっかりブロック分けされているので、そこまで違和感を感じることはないかと。特にアリッサ時代はM-5「Nitrad」から「City Baby Attacked By Rats」までのパンク/ハードコアのカバーが続く流れで統一感を作るなど、構成も考えられていますしね。

ARCH ENEMYの活動を追っているリスナーには、すべて既出で所持している音源ばかりでしょう。しかし、こういった“ファン”アルバムは出すことに意味があるので、そこに文句をつけるのは野暮というもの。そんな中、M-1「Shout」は昨年発売されたアナログボックスセット『1996-2017』やアナログ7インチ盤「Reason To Believe」に収録されていたものですが、CD化はこれが初めて。原曲をよりヘヴィにしたアレンジはどことなくツェッペリン「Immigrant Song」に似ていて、DISTURBEDのカバーバージョンとは違った味わい深さがあります。

そのほかのカバーに関しては原曲まんまのものから凝ったアレンジのものまでさまざまですが、基本的には原曲に対する愛情が強いものが多い印象です。個人的にはPRETTY MAIDS「Back To Back」、EUROPE「Wings Of Tomorrow」、CARCASS「Incarnated Solvent Abuse」、IRON MAIDEN「Aces High」がお気に入りです。

ちなみに、CDブックレットにはマイケル・アモットによる各曲の解説入り。残念ながら日本盤はおろか、配信&ストリーミングもなしの本作ですが、特にストリーミングに関しては過去作もゼロなので、これを機に動いてほしいものです。



▼ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』
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2017年10月21日 (土)

CARCASS『HEARTWORK』(1993)

CARCASSが1993年秋に発表した、通算4枚目のスタジオアルバム。当時の編成はジェフ・ウォーカー(Vo, B)、ビル・スティアー(G, Vo)、ケン・オーウェン(Dr)に現ARCH ENEMYのマイケル・アモット(G)。もともとはアモットを除く3人編成でグラインドコア/ゴアグラインドバンドとして活躍していたものの、前作『NECROTICISM - DESCANTING THE INSALUBRIOUS』(1991年/邦題は『屍体愛好癖』)からアモットが加わったことでツインギター編成になり、ギターリフで巧みに構築されたメタリックなバンドサウンドと、ギターソロをフィーチャーしたヘヴィメタル的方向性にシフトチェンジ。前作でも聴けたそのメロウな要素がより強化されたのが、本作『HEARTWORK』なわけです。

今となってはメロディックデスメタルというカテゴリーは、メタルファンの間で当たり前のように定着していますが、当時は“メロデス”なんて呼び名はまだ存在しておらず、単にCARCASSがデスメタル寄りのグラインドコアだったことから“メロディアスな要素が強いデスメタル”と認識されてしまったわけです。

確かに表題曲(名曲!)や「This Mortal Coil」あたりで聴けるツインリードは完全にヘヴィメタルのそれだし、メロディアスなギターソロも完全にあっち側。時折ブラストビートなんかも飛び込んでくるものの、ボーカルさえ歌メロをしっかり歌っていたらIRON MAIDENあたりにも通ずるものがあるんじゃないでしょうか。

『NECROTICISM - DESCANTING THE INSALUBRIOUS』が大好きだった自分からすると、この変化には正直最初こそ拒否反応を示しましたが、聴き込めば聴き込むほどにハマッていく自分がいたのも確か。「Heartwork」のリードなんて完全にコピーしてたもんなぁ。

グラインドコアから出発したバンドが、プログレッシヴなエクストリームメタル路線へと移行し、そこからさらに正統派HR/HM(例えばTHIN LIZZYIRON MAIDENなど)側のカラーを強めていった。本作はアルバムごとに変化と進化を繰り返してきたCARCASSがアモットという個性を手にしたことで(それに呼応するかのごとく、ビルのプレイもHR/HM化したことで)到達した、ひとつの到達点だったのかもしれません。

結局アモットは本作発表後にバンドを脱退。翌1994年には念願の初来日が実現するのでした。アモット自身は自身のハードロック志向を追求するバンドSPIRITUAL BEGGARSを結成し、1996年には『HEARTWORK』でのメロデス路線をさらに極めるためのプロジェクト(のちのバンド)ARCH ENEMYを立ち上げることになります。

一方のCARCASSは3年後に5thアルバム『SWANSONG』を発表するのですが、それについてはまた別の機会に。

あ、ちなみに僕、ビル・スティアー派です。好きなギタリストを3人挙げろと言われたら、そのうちの1人に間違いなくビルをピックアップします。

 


▼CARCASS『HEARTWORK』
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2017年10月17日 (火)

ARCH ENEMY『BLACK EARTH』(1996)

今やスウェーデンが誇る人気メロディックデスメタルバンドに成長したARCH ENEMYが、1996年に発表したデビューアルバム。当初このバンドは1枚こっきりのプロジェクトとして誕生したのですが、本作に対する評価が日本で高かったこと、また翌1997年に実現した初来日公演(CATHEDRALジャパンツアーへの帯同)での高評価が後押しし、本格的なバンドとして継続。以降、フロントマン(からフロントウーマンへ)の交代などありましたが、現在に至るまで日本をはじめヨーロッパなどで人気を博しています。

メロディックデスメタル自体、ARCH ENEMYの首謀者であるマイケル・アモット(G)がCARCASS時代の名作『HEARTWORK』(1993年)で提示したスタイルが原型などと言われていますが、このARCH ENEMYでマイケルはひとつの完成形を見せたと言っていいかもしれません。

レコーディングメンバーはマイケルのほか、実弟のクリストファー・アモット(G)、現在もバンドに在籍するダニエル・アーランドソン(Dr)、そしてヨハン・リーヴァ(Vo, B)。ヨハンはベース兼任となっています(クレジットにもこう書いてあります)が、実際にはマイケルが弾いていたようです。

さて。最近のARCH ENEMYSか知らない人には、男性ボーカルが歌っている事実に驚くかもしれませんが、この頃このバンドに出会った人間からすると、のちのアンジェラ・ゴソウ嬢の加入のほうが衝撃だったわけですよ。だって、先に音だけ聴かされて「いいボーカル入ったなぁ」と思ってたら、それが女性だと後日発表されたわけですから。まあ、そのへんの話についてはまた改めて。

で、本作ですが、やっぱり今聴いても良いですね。最近の楽曲ほど洗練されておらず、野暮ったさすら漂う楽曲の数々からはパンキッシュさすら感じられます。それもこれも、ヨハンのボーカルによるものが大きいのではないでしょうか。やれ下手だの言われていましたが、あの当時のデスメタルってこれでも十分に許された雰囲気もありましたよね? あれ、そんなことなかったっけ?

ちなみに、僕は最初にこのアルバムを聴いたときは、オープニングの「Bury Me An Angel」にこそのめり込みましたが、それ以外はちょっと拒絶反応があったかも……ぶっちゃけ、このバンドのことを本気で良いなと思ったのは3枚目の『BURNING BRIDGES』(1999年)からで、それ以降に聴き返したら「あれ、やっぱり良いじゃん」と思えるようになった口なので。

「Bury Me An Angel」は言うに及ばす、続く「Dark Insanity」もカッコ良いし、ヘヴィなミドルチューン「Eureka」も「Idolatress」もMETALLICA以降のHR/HMが持つカッコ良さが独自の解釈でしっかり昇華されている。かと思うと「Demoniality」みたいにドゥーミーなインストがあったり、アコースティックテイストの叙情的なインスト「Time Capsule」からクライマックスの「Fields Of Desolation」(エンディングのツインリードに鳥肌!)へと続いていくエンディングもあって……あれ、これ名盤じゃん(笑)。

ご存知のとおり、ヨハン、マイケル、クリストファー、ダニエル、そして現在もメンバーのシャーリー・ダンジェロ(B)という『BURNING BRIDGES』時のメンバーが昨年、『BLACK EARTH』発売20周年を記念してARCH ENEMY名義ではない“BLACK EARTH”名義で日本公演を敢行。その模様を収めたライブDVD+CDを先日発売し、さらには『LOUD PARK 2017』2日目にシークレットアクトとしてサプライズ出演を果たしたばかり。幸い僕も数曲のみですが、彼らの勇姿を目にすることができました。残念ながら冒頭の「Bury Me An Angel」には間に合わなかったものの、ラストナンバー「Fields Of Desolation」はしっかり堪能できたので、本当に幸せでした……。

ARCH ENEMY自体、最新作『WILL TO POWER』も素晴らしかったですし、こうして初期メンバーで遊んだりもできるという意味では、現在非常に充実した状況なんでしょうね。まあ何はともあれ、このデビューアルバムは彼らの原点であると同時にメロディックデスメタルを語る上では欠かせない重要作なので、最近の彼らしか知らない人はもちろんのこと、90年代のメタルシーンがすっぽり抜けているという人にもぜひ聴いてもらいたい1枚です。

なお、本作は現在までに何度か再発されていますが、2010年代に入ってからリマスタリング&ボーナストラックを多数追加した新エディションも流通しております。ジャケットがオリジナルとは異なりますが、こちらのほうがオリジナル版よりもはるかに音の分離が良いので(特にギターが)、これから購入しようと考えている方はぜひ新エディションの購入をオススメします。



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▼ARCH ENEMY『BLACK EARTH (REMASTERED AND EXPANDED EDITION)』
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