2007/11/27

エレファントカシマシ『俺たちの明日』(2007)

「うわっ、エレカシがまた売れちゃうよ。」

今回の移籍第1弾シングル「俺たちの明日」を初めて聴いたとき、素直にこう思いました。いや、売れちゃ困るわけじゃないんだけど、そのお膳立てが整っちゃったなぁと。そう感じたわけです。

タイトル曲は昨年末の「COUNTDOWN JAPAN 06/07」で初披露され、以後ライブやイベントでかならずといっていいほど披露されていた、90年代後半の彼らに通ずる「歌力」を持ったキャッチーなナンバー。昨年春に発表されたアルバム「町を見下ろす丘」にあった、どこか燻った感じはここには一切なく、ただただ前のみを見据えている宮本浩次の姿が目に浮かぶような力強い1曲に仕上がっています。初めてライブで聴いたとき以上に「歌」をフィーチャーしてる印象が強くて、こんなエレカシを聴くのは下手したら「明日に向かって走れ-月夜の歌-」以来かもしれないね。

カップリングの「さよならパーティー」も最高にカッコイイし、ボーナストラックとして最後に収録されている「俺たちの明日(Acoustic ver.)」もバンドバージョンとは違った味わいが感じられ、今のエレカシのさまざまな顔を楽しむことができるんじゃないかと思います。

で、この後に控えている次のシングル「笑顔の未来へ」が、これまた素晴らしい出来なもんだから、ホントに嬉しくなっちゃう(この曲、ライブで「悲しみのテロリスト」というタイトルで披露されていたナンバーですね。正直以前のタイトルだったら、突き抜ける前のエレカシのままだったように思います)。きっと今のエレカシには、よいスタッフ、よいブレインが付いてるのかもしれない。別に売る気満々というわけじゃないのに、すべてが良い方向に作用してるように感じられます。いやぁ、こりゃ来年1月末に発売されるアルバムも楽しみになっちゃうね。

ホント、エレカシがまたこういうスタイルで前向きに突き進んでくれることを、心から嬉しく思います。



▼エレファントカシマシ「俺たちの明日」(amazon:日本盤w/DVD日本盤

投稿: 2007 11 27 12:05 午前 [2007年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/06/27

エレファントカシマシ@SHIBUYA-AX(2006年6月26日)

こんなにバランスの良いエレカシを観たのは、ずいぶん久しぶりな気がした。新作「町を見下ろす丘」は今年の10枚に入るであろう傑作だと思っているので、このアルバムを中心に前半から聴かせるモードでいくんだろうなぁって思ってたら、冒頭から飛ばす飛ばす。トミは病気が嘘だったみたいにハードに叩きまくる。もう1曲目でオッケー。

なのに続けて懐かしい「so many people」が! 思わず「おおっ!」って声に出しちゃったよ、仕事で行ったのに。その後、畳み掛けるように名曲の数々が。つーか久しぶりに生で「男は行く」聴いた。本当にテンション高すぎ。

身体があったまったところで、新作モードに。間に「おまえはどこだ」とか「遁生」(!)とか挟んで(でもちゃんと歌詞歌えてないのが残念!)、今日のハイライトのひとつ「人生の午後に」へ。演奏であそこまでひっぱるエレカシも久しぶりな気が。今日は緩急バランス良く、バンド自体も非常によい状態だった気が。ここ数年、彼らにはセットリストというものが存在しないのはファンなら知ってるかと思いますが、この日も宮本の指示で次の曲がどんどん決まっていく形。フェスやイベントで観ると時間が限られているせいか、どうしても中途半端に終わることが多いんだけど、この日はワンマン。全然気にせず好き放題やってた印象。けど、それが良い方向に作用してた。客も前半の盛り上がりから、「遁生」や「人生の午後に」では息を飲んで見守るようにシーンとしてる。そして「今をかき鳴らせ」や「ガストロンジャー」で一気に爆発。本編最後は久しぶりの(しかもアコギじゃなくてエレキで弾く)「今宵の月のように」で気持ちよく終了。

アンコールもたっぷり聴かせてくれた。いきなり「てって」で唸って、「化ケモノ青年」で盛り上がり、「やさしさ」で息を飲み、最後の「ファイティングマン」で大暴れ、みたいな。2時間があっという間だったよ。

俺は今日、2階席でじっくり観てたんだけど(セットリストがないのもわかってたので、メモ取りながら)、ホント、こんなに充実したエレカシワンマンは数年ぶりだわ。いや、エレカシのワンマンに足を運んだの自体が数年ぶりなんだけど。それにしても、ホント久しぶりにスッキリするライブ観た気がした。明日もAXでライブあるんで、気になる人はぜひ行っておいた方がいいよ。当日券も出てるようだし。

そういえば今日は、本編のMCで解散宣言があったんだった。客の「辞めないでー」が、なんか他人事とは思えず、笑えた。もちろん、すぐに再結成宣言しましたけど。「食っていけませんから」とか言って(笑)。


[SET LIST]
01. 地元のダンナ
02. so many poeple
03. 悲しみの果て
04. デーデ
05. 男は行く
06. 理想の朝
07. 甘き絶望
08. すまねえ魂
09. おまえはどこだ
10. 遁生
11. シグナル
12. 人生の午後に
13. 今をかき鳴らせ
14. ガストロンジャー
15. 今宵の月のように
--encore--
16. てって
17. 化ケモノ青年
18. I don't know たゆまずに
19. やさしさ
20. ファイティングマン

投稿: 2006 06 27 12:00 午前 [2006年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2006/04/29

エレファントカシマシ『町を見下ろす丘』(2006)

 エレファントカシマシ通算17作目のオリジナルアルバム「町を見下ろす丘」は、ここ最近のエレカシとは若干作風が異なるんだけど、これは傑作です。言い切ります。つーか言い切らせろや。

ここ数作‥‥恐らく2002年リリースの「DEAD OR ALIVE」以降からなんだけど、とにかくハイペースで新曲ができて、それを思うがままにレコーディングしていって、作品として提供する。いや、時には真っ先にライヴで披露してファンを驚かす。ここ数年のエレカシにはそういうイメージがあったんだけど、今度のアルバムって前作「風」から丁度1年半ぶりなんだよね。そう、思ったよりも間が空いてたんだ。ライヴは頻繁にやっていた方だから、全然そんな気はしなかったんだけど。

 今度のアルバムでは、8年ぶりに佐久間正英をプロデューサーに迎えているんだけど、これが良い方向に作用してると思う。良い意味で抑制され、そして整然としている。これまでのヤケクソ気味にどう処理していいか判らないパワーは、ここには存在しない。その代わり、余裕というか開き直りみたいなものが感じられるのね。うん‥‥「諦め」? そうかもしれない。でも‥‥違うか。うん、違う。「悟り」の方が近いかもしれない。言葉遣いにしろ、音の感触にしろ、そういったキメ細やかさが感じられる。なんていうか、サウンドだけ聴いてると安心できるんだけど、歌詞に耳をやると相変わらず刺さるというか。今回のタッグは双方の良い面が上手く生かせ、良い結果が出せたんじゃないかと。

 アルバムタイトルにしろ曲名にしろ、とにかく生活観・生活感が強いものが多い。もちろんエレカシにとって「生活」というのは根底にあるテーマなんだけど、それがここ数作の中で一番色濃く出てるのかな、と。しかも、それが非常に聴き手の側に密着したというか‥‥宮本の生活感なんだけど、聴き手側の生活感でもある。共感しやすいとかいう問題じゃなくて、当たり前のものとしてそこにある、みたいな。だからスーッと入ってくるし、そしてグサリと突き刺さる。久しぶりだなぁ、宮本の歌詞でここまでグッサリやれれたのは。

 攻撃的なエレカシを求めていた人にはちょっと肩透かしなのかなぁ。いやそんなことないでしょ? なんていうか、むしろこのアルバムは俺と同年代で、エピック時代の彼らしか認めないといって離れていった「元ファン」にこそ聴いてほしいアルバムかな。宮本に近い年齢だからこそ感じるもの、あるはずだからさ。

 いやぁ、エレカシも今年でデビュー18年。現在のメンバーになってから丁度20年とかですよね‥‥全然守りに入らなねーのな。ホント、異端なバンドだよな。



▼エレファントカシマシ「町を見下ろす丘」(amazon:日本盤

投稿: 2006 04 29 12:10 午前 [2006年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/01/07

COUNTDOWN JAPAN '05-'06@幕張メッセ(12/31)

 さ、いよいよ3日目、最終回です。大晦日のカウントダウンライヴなんて、'91年末のMETALLICA@東京ドーム以来、か‥‥約15年振りですよ。ワハハ。その後カウントダウンといえばサザンかX JAPANかジャニーズか、って感じになっちゃいましたからね。ここまでカウントダウンライヴが定着したのって、まぁ先の先駆者の功績も大きいでしょうけど、ここ数年ならやはりCDJの影響は大きいんじゃないですかね。いや判らないですけど。

 そんな感じで、ラストまでガッツリ楽しんできました(途中寝てたけどな)。その雰囲気が上手く伝わればいいんですが‥‥

●THE DAY 3 [2005.12.31.]


■真心ブラザーズ 4人バンドVersion [EARTH STAGE]
・真心4人Versionはエゾと全く同じ構成、同じ選曲だったと思う。
・3日前に観たばかりだから新鮮みはないけど、やっぱ良い。
・酔ってたせいもあるけど "素晴らしきこの世界" で泣いた。
・この1年を振り返って、ちょっとシリアスモードに入って反省。


▼真心ブラザーズ「PEACE AND LOUD〜MB′s Live Recordings Collection〜」(amazon


■エレファントカシマシ [EARTH STAGE]
・この後、少年ナイフで暴れようとか思ってたけど、そんな気分になれなくなって、何故かエレカシ観る羽目に。
・そのエレカシ。去年のCDJ以来1年振りってことで我ながら驚いた。
・セットリストは相変わらず、宮本がその場で決めてるのな。
・つまり1曲目だけ打ち合わせ済みで、曲が終る度に宮本が曲名をドラムに告げて次の曲のカウントが始まるという。
・"悲しみの果て"、"風に吹かれて" の哀愁2連発でグッときた。
・古めの曲は "やさしさ" と "デーデ" くらいか。定番曲。
・が、最後の最後にやった "ガストロンジャー" が素晴らし過ぎ。
・DATのシーケンステイクを使った音源バージョンも良いけど、それらを一切排除した今回みたいなバンドオンリーのバージョンも更にカッコ良い。いつぞやのRIJFでシーケンスの音が出なくなって急遽やったのが始まりだったんだっけ。偶然あの場に居合わせたけど、衝撃的にカッコ良かったんだよな。ふとあの時のことを思い出しました。


▼エレファントカシマシ「日本 夏(Amazon.co.jp 独占限定盤)」(amazon


■PUFFY [GALAXY STAGE]
・PUFFYは選曲的には夏のサマソニに近い感じ。1曲目が "Hi Hi" に変わってたのと、新シングル曲を削ってブルハ "人にやさしく" カバーを加えたくらいの違いか。
・"人にやさしく" は3年くらい前のサマソニでもやってたなぁ。
・サマソニと違ってGREEN DAY "Basket Case" カバーは思ったよりも盛り上がらなかった。この瞬間、このイベントの客層が見えた気がした。サマソニとエラい違いだったもん。
・あ、夏やってなかったJELLYFISH "Joining A Fanclub" やってたな。これも全然ウケてなかった。つーか元ネタ知らないだろうしな、ジャパンの客層じゃ。
・やっぱパワーポップですわ。

--SETLIST--
01. Hi Hi
02. 渚にまつわるエトセトラ
03. Joining A Fan Club [JELLYFISH]
04. これが私の生きる道
05. 人にやさしく [THE BLUE HEARTS]
06. Basket Case [GREEN DAY]
07. ブギウギ No.5
08. サーキットの娘
09. アジアの純真


▼PUFFY「THE VERY BEST OF PUFFY/amiyumi JET FEVER」(amazon


■bonobos [MOON STAGE]
・bonobosはなっちゃんかわいいに尽きる。
・いや、それだけじゃないて。バンドとしてのグルーヴ感が夏観た時よりも更に強靭になってた。
・やっぱ曲良い、演奏良い、気持ちいい。文句なし。
・裏がくるりと10-FEETってこともあって(「ってこともあって」?)集客に苦労してたけど、こっち選んで大正解だった。
・新年1発目の演奏にして最後の曲が "THANK YOU FOR THE MUSIC"。当然大合唱なわけですよ。鳥肌立った。


▼bonobos「electlyric」(amazon


■忌野清志郎 & NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS [EARTH STAGE]
・清志郎、人が少ないのをいいことに前の方へ。
・内容的にはいつも通りなんだろうけど、明らかに予定時間を超過してまで演奏してた。1時間くらいやってたかな?
・そのくらいやらなくちゃな、ロックだし。
・やっぱ "スローバラード" で目頭熱くなった。
・その後の "雨上がり〜" や "気持ちE" で汗だくに踊りまくって、最後に "JUMP" で終了。やっぱ最高だわオッサン。


▼RC SUCCESSION「ラプソディー ネイキッド」(amazon


■LOST IN TIME [GALAXY STAGE]
・ロストはどこに行ってもロストのまま。気負わず驕らず、普段通り。
・"ヒカリ" からスタートした時は、ちょっとだけ鳥肌。
・新作からの曲中心、逆にそれが今の彼等にとっての等身大なんだよな。
・会場全体が幸せムードに浸ってるような、そんな空気。
・海北くんも気持ちよさそうに歌ってたなぁ。
・そして俺も呑んだくれてたわけだが。
・サポートメンバーも何の仕掛けもない、ホントにシンプルなセットだったけど、だからこそいつも以上に歌がダイレクトに響きました。
・最後 "羽化" でちょっとだけ‥‥キた。


▼LOST IN TIME「時計」(amazon


■レミオロメン [EARTH STAGE]
・レミオロメンは正直ユアソンかドーパンかで悩んだけど、後者2組は今後イベントで観る機会多そうだし、こういうイベントだからこそ彼等みたいな「今が(バンドとしても、セールス的にも)旬なバンド」を観るってのもアリだな、と。
・実際、メジャーデビュー直前に観て以来のレミオロメンは、2年半を経て相当たくましくなってました。
・つーかやった曲の大半が大ヒット曲という現実にちょっと驚かされた。
・そうか、もう武道館満員にできるバンドだもんな。そこにきてこの "粉雪" の大ヒットだから、ラストでもあれだけの人が入るわけだ。
・ホントにスケールのデカいバンドに成長しててビックリした。
・まだまだ未熟な面も多々あったけど、それでも少年から大人に変わる過程を見た気がした。
・"粉雪" の時、既にアースステージ入り口の泡雪が終了してたのは完全にジャパン側の失敗だと思う。あそこの、あの瞬間にやらなきゃ!
・曲終わりと共に会場を後に。外は雪こそ振ってなかったものの、今年一番じゃないかってくらいに冷え込んでた。


▼レミオロメン「粉雪」(amazon

投稿: 2006 01 07 01:24 午前 [2005年のライブ, bonobos, LOST IN TIME, PUFFY, 「フェス」, エレファントカシマシ, レミオロメン, 忌野清志郎, 真心ブラザーズ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/01/03

「COUNTDOWN JAPAN」に行って来た。

 「rockin'on」主催の屋内冬フェス、「COUNTDOWN JAPAN」に行って来ました。昨年から開催されているこのフェス、今年で2度目ですが、俺自身は初の参加。しかも当初の予定では2日間(12/30~31)行く予定だったのが、都合で30日のみの参加になってしまいましたが、まぁそれでも十分元は取れたと思いますよ。

 この手の屋内系フェス‥‥まぁサマソニも敢えてこの中に含めてしまいましょう‥‥は結局のところ、出演者次第なんですよね。フジやエゾみたいに「野外ならではのプラスアルファ」がない分、どうしてもそこに注目せざるを得ない。けどそれさえしっかりしてれば、誰も文句言わない。「まぁ(野外の)夏フェスじゃないしな」という言葉で妙に納得してしまう。特に俺の場合は、サマソニとかロキノン系フェスは特にそういった要素がしっかりしてないと、全然行く気にならないので‥‥そういう意味では今回、各日共かなり魅力的なメンツを集めたフェスだったんじゃないか、と思います。

 そんな感じで‥‥自分が観たアクトの、簡単な感想とセットリストを載せておきますね。

■Theピーズ

 気づけば何時以来!?なピーズですが‥‥げっ、もしかして2003年の6月以来!?(汗)何だかんだでその年の秋以降、チケット持ってても全部行けなかったからな‥‥2004年にしても、本当ならピーズ@チッタでライヴ始めする予定だったのに!
 さて、久し振りのピーズは相変わらずカッコイイままでした。アビさんのスーツ姿もダンディズム全開だし(喋ると相変わらず)、しんちゃんの髪が凄く伸びててびくりしたり、はるの変わらなさっぷりに苦笑したり。プレイに関しては文句なし。というか、更にまとまりが良くなってない? 
 選曲は2003年の復活作「Theピーズ」からを中心にしたもの。妥当な線かな。個人的には "バカになったのに" が聴けて、思わず大絶叫。俺がリアルタイムでピーズを好きになる切っ掛けを作った1曲だからね。
 MCでは相変わらずのマイペース振りを発揮。もはや単独だろうがイベント/フェスだろうが一切関係なし。このまま突き進んで欲しい。そろそろ次のアルバムの準備に取りかかるのかもしれないけど‥‥新曲がどんなことになってるのかも気になるよな。2005年もマイペースでの活動、期待してます。

 1. 生きのばし
 2. サイナラ
 3. 喰えそーもねー
 4. yeah
 5. バカになったのに
 6. ミサイル畑で雇われて
 7. ゴーラン
 8. とどめをハデにくれ
 9. 脱線


■HUSKING BEE

 EARTH STAGE(一番デカいステージ)に移動したら、恐らく最後の曲であろう "新利の風" をやってて、これだけ聴いて満足。一番好きな曲なもんで。最後に磯部が深々とお辞儀してたのが印象的だった。


■ZAZEN BOYS

 実はなにげに「初ZAZENライヴ」なんだけど、この日がアヒト・イナザワ在籍時のラストだったんだよね。勿論ナンバーガール時代は何度も観てるし、茨城の水戸まで追っかけて単独公演観る程好きだったわけですが‥‥改めて書くけど、向井とアヒトのコンビネーションは相変わらず凄いね。観てるこっちの心臓がドキドキしてくる程の緊迫感を持った、生々しいビートをぶつけてくる。んで、他の2人のメンバーの力量も半端じゃない。ベース、ART-SCHOOLの時に観てるはずなんだけど‥‥あんなにアグレッシヴで上手いベーシストだったっけ? ま、それだけ俺があのバンドに注目してなかったってことなのか‥‥とにかく、既に「この4人でしか生み出せない」サウンドが成立しちゃってる。なのに‥‥
 悲壮感皆無、ざらついててヒリヒリするサウンドの塊を聴き手に無表情でぶつけるのみ。圧巻の一言。
 あのさ‥‥ZAZENに思い入れが殆どない人達までもが言ってることなんで、内容被りまくりだけど‥‥ホント、勿体ないし、アヒトの後釜探し及び後任者は大変だろうな、と思うわけですよ。初めてZAZENを観た/聴いた人までがそう言う程、既に完成されちゃってるバンドじゃないですか。勿論、このメンバーでもう1枚アルバム作れば、更に飛躍してくれるはずだろうけど‥‥逆に言えば、こんな独特で素晴らしい世界観を持ったドラマーを活かせるようなバンドが、この世にどれだけ存在するんだろうか‥‥そういう点に関しても疑問が残るわけで。バンドとしてはここでこのスタイル/音楽性は一旦完結するんだろうけど‥‥ホント勿体ない。

 1. CRAZY DAY CRAZY FEELING
 2. 安眠棒
 3. MABOROSHI IN MY BLOOD
 4. IKASAMA LOVE
 5. COLD BEAT
 6. 開戦前夜
 7. 自問自答
 8. 半透明少女関係


■Polaris

 夏以来のPolaris。今回も編成は夏観た時と一緒かな(サポートメンバーが1人で、ギターやドラムを叩いてた)。最初にツインドラムソロがあって、そこから曲に入っていくという構成。とにかく聴き入ってしまいました。ホント、独自の世界観を持った、素晴らしいバンドですな。
 この日観て改めて感じたんだけど‥‥このバンドも、ZAZEN BOYSも、音楽性は全く違うけど共通する何かがあるな、と。それは、ポストロックとかポストパンクとか、そういった野暮ったい呼び名じゃなくて、ズバリ「プログレ」‥‥プログレッシヴ・ロックだな、と。ZAZENがYESとかを若干意識してるのは伺えるし(ベースがYESのTシャツとか着てたしな)、Polarisには一時期のPINK FLOYD的な匂いがするし。そういう風に考えると、両者とも非常におれ好みな音を出すバンドなんだな、と再認識。
 んで、この日は特に良いライヴだったんじゃないか、と感じてたんだけど、何度も観てるファンの人達も口々に「良かった」と言ってたことから、やはり本当に良かったみたいです。今度はもっと長い時間、単独公演を観てみたいな。

 1. 瞬間
 2. 深呼吸
 3. 檸檬
 4. 流星
 5. 光と影


■エレファントカシマシ

 うわーっ、エレカシも2003年の夏以来か! つーかこの日のフェスに行く切っ掛けは、エレカシが2004年にリリースした2枚のアルバム(「扉」と「風」)が非常に素晴らしいアルバムだったから(そして、久し振りにCCCDではなくて普通のCDとしてリリースされたから、ちゃんと聴けたという)ライヴを観てみたいな、ってことだったんだよな‥‥
 にも関わらず、飯食って酒飲み出したせいでどうでもよくなって(オイオイ)、重い腰を上げて会場に足を運んだ時には、既に終盤に差し掛かってました。丁度 "友達がいるのさ" 辺りから。"達者であれよ" といい、とにかく最近のエレカシは以前にも増して『独自のビート』を追求してるような。そう感じさせる程、もの凄いイビツで重いビートを刻んでましたよ。既に結成して20年近く経つバンドだというのに、何なんだ、この若々しさ、貫禄の無さは!
 最近のツアーでは "パワー・イン・ザ・ワールド" がラスト曲だと知ってたから、あーもう終わりか、最初から観ておけばよかった、と後悔してたら宮本‥‥「もうどれくらい演奏しました? 何分やりました? 40分? もう1曲できますかね?」とステージ袖に確認。そしてその後、驚愕の事実が判明‥‥この日のステージ、セットリストというものが存在しないらしい。かなりフレキシブルな進行、というかチャレンジャー過ぎ。セットリストを決めないでステージなんて、君らはガンズですか?
 そんな無鉄砲な彼等が最後に演奏した2曲が‥‥"この世は最高!" と "花男" だったという‥‥!! 特に前者は俺、久し振りにずっとずっと聴きたいと思ってたので、数年来の夢が実現して大興奮。宮本が曲名を口にした瞬間、大絶叫。勿論一緒にフルコーラス歌いましたよ!
 帰宅してからこのセットリストを見て、更に驚愕。何だよ‥‥頭の方で "男は行く" とかやったのかよ! く、くそぉ‥‥

 01. 化ケモノ青年
 02. 男は行く
 03. デーデ
 04. 平成理想主義
 05. 生きている証
 06. 友達がいるのさ
 07. 達者であれよ
 08. パワー・イン・ザ・ワールド
 09. この世は最高!
 10. 花男


■麗蘭

 ホントはこの時間、「100s」を観るつもりだったんだけど、ピーズ観た時に思った以上に人がいなかったので、「これじゃ麗蘭の時はどうなるんだよ‥‥」ってずっと心配でさ。客層がかなり若くて、それこそ10代の子達が大半なんじゃないか?って思えた程で。そんな子達が清志郎ならまだしも、チャボや蘭丸を、わざわざ「100s」を蹴ってまで観るんだろうか‥‥否、観ないよな。だったら俺が観るしかないじゃん!ってことで、断腸の思いで「100s」を蹴ったわけです。どうせ単独公演とか行くだろうし。麗蘭はここで観ないと、多分この先ずっと観ないんじゃないか、と思ってね。
 で、実際。本当に人が少なくて泣きそうになったよ。終盤、次のYO-KING待ちの子達も入ってきて、それなりだったみたいだけど‥‥あまりに少なくて、最前列まで行っちゃったもん。アルバムなんて、それこそ13年前に出た1stしか聴いたことないのにね。
 チャボさんは10年振りくらいに観たんだけど‥‥清志郎にしろこの人にしろ、年を取ることを忘れちゃったんじゃないかってくらいの変わなさっぷり。やっぱりカッコイイ以外の言葉が浮かばないよ。そして蘭丸。「土屋公平」としては何度か観てるけど、「蘭丸」としてはそれこそ'80年代に観たSTREET SLIDERS以来だよ。んで最近は本名での活動が多い彼だけど、この日ステージにいたのは間違いなく「蘭丸」でした。やっぱりあの低い姿勢でSGとか弾いてもらわないと。
 この日は2004年にリリースされた13年振り(!)の2ndアルバムの曲がメインで、全然知らない曲ばかりだったんだけど、全然飽きさせない、素晴らしい「歌」がストレートに伝わる、本当に良いステージでした。シンプルなバンド編成(2人の他にはリズム隊のみ。曲によってシーケンスを同期させてる)だったのと、音が程良い大きさだったこともあって、歌詞がちゃんと聞き取れて、言葉がストレートに、ビンビン伝わってくるんだよね。そしてそれを一言一句、噛みしめる俺。チャボの渋くしゃがれた声が、これまた曲・歌詞・演奏に合ってるのよ。このスタイル、この編成以外では絶対に成り立たないようになってるのよ。
 中盤、2人がアコギに持ち替えて歌った "悲惨な争い" という曲が、とにかく胸を締め付けられるような思いで聴いてた。本気で涙が溢れそうになった。歌詞だけ読んだら‥‥多分、青臭いと思っちゃうのかもしれないけど‥‥これをあの人達が歌って演奏する。そしてそういう歌を20年前、ガキンチョの頃から聴いて育ったからこそ、余計に響く。もうこれだけで俺的には大満足だったんですよ。
 演奏もなかなかのもんで、"あこがれのSouthern Man" って曲では、それこそサザンロックを彷彿とさせるギター×2+ベースによるユニゾンプレイや、チャボによるスライドプレイがとにかく圧巻。
 最後の曲、"R&R Tonight" とか聴くと、あーやっぱりチャボって「RCサクセションのチャボ」なんだな、と改めて実感させられるわけですよ。いや、当たり前の話なんだけど。何言ってんだって話ですけど、ホントにそう感じるんですよ。"トランジスタラジオ" とか "スローバラード" の、あのRCのチャボなんだな、って。清志郎だけじゃねぇんだぞ、ってこの日麗蘭のステージを観なかったガキどもに胸ぐら掴んで教えてやりたいね! もうね、間違いなくこの日のベストアクト。胸張って言いますよ、こっち選んで大正解だったって!!

 1. I Feel Beat
 2. SOSが鳴ってる
 3. あこがれのSouthern Man
 4. 悲惨な争い
 5. Get Back
 6. R&R Tonight


■YO-KING

 この日だけサンボマスターがバックを務める、スペシャルセッションだったわけで、だからこそ「くるり」を蹴ってこっちを選んだわけで。いや、別にそれがなくてもYO-KING観てたな。確実にこっちの方が好きだし。
 サウンドチェック時に、ステージ上にギターアンプが1台しかなかったんですよ。マイクも左右に1本ずつ。これってトリオ編成のセッティングじゃん‥‥あれっ、サンボ参加の話ってなくなったの?って思ってステージに注目すると、サンボマスター本人達がサウンドチェックやってた。ってことは‥‥あ、真ん中にスタンドマイクを置いた。どうやらこの日は倉持、ギターを弾かずに歌に専念するようです。そりゃまぁ、サンボにバック任せておけば安心だしな。
 倉持は2003年の春、サンボは2004年の夏にちらっと観たっきり。そんな両者の組み合わせはYO-KINGのシングル "審美銃" で実現し、それが切っ掛けとなってるわけですが、相性が悪いわけがない。しかも演奏された曲の大半が真心ブラザーズ時代の名曲ばかりですよ。その他も最新作やKinKi Kidsに提供した例の曲等、倉持ソロをよく知らなくても十分楽しめる選曲。こりゃ悪いわけがない。
 サンボはとにかく暑苦しい! けどそれが全然嫌みじゃない。いや、苦手な人もいるだろうけど、間違いなく俺的には「ツボ」。そして演奏が無茶苦茶上手い。若いのにな。以下、ライヴを観ての一言感想の数々。

 ・王、跳躍力凄すぎ
 ・1曲目で俺、昇天しそうになる
 ・1曲目の1コーラス目でサンボ山口、寝転がって弾き倒す
 ・そんな山口に王「(寝転がるの)早過ぎ!」と注意
 ・基本的に王と山口による、天然系掛け合い漫才
 ・是非来年はふたりでM-1にでも出てください
 ・王の嫁の話が何度か登場
 ・王「今年はサンボイヤーだと言っても過言ではない」
 ・嫁「いや過言でしょ」
 ・YUKIタソ、素敵すぎ
 ・相変わらずいい歌うたってるよ、王は
 ・俺も終始踊りまくり、歌いまくり
 ・王「くるりは明日観ろーっ!」
 ・来年も共演するって言ってた
 ・けど次はグレート&アイプチで観たい
 ・アンコール時、山口「キングは一度引っ込んでください」
 ・山口「あんた、なんでそんな天才なんだ!」
 ・王「生まれつき」
 ・山口「あちゃーっ!」
 ・今時そんな驚き方、マンガでもしないから!
 ・けど素敵。大好き、両者共

 01. 人間はもう終わりだ!
 02. 審美銃
 03. ブタと三日月
 04. カラカラ
 05. マイ・バック・ページ
 06. バトンが泣いている
 07. 素晴らしきこの世界
 08. 遠い星と近くの君
 09. Hey!みんな元気かい?
 10. 空にまいあがれ
 EN:Dream Is Over


 こんな感じで昼12時に入場、13時開演、22時終了という長丁場のイベント終了。けど全然長く感じさせない、全く飽きさせない内容だったと思います。途中2時間くらい時間が空いて「暇ーっ!」とか騒いでたけど、会場にいらしてたお友達や初めて逢う方々のお陰で、終始楽しく過ごすこともできました。

 来年も行くか、と問われると‥‥やはりジャパンフェスやサマソニ同様、「メンツ次第」だ、と。こればっかりはね。どうしようもないですよ。まぁ間違いなく来年もメンツ的には問題なさそうですけどね‥‥



▼麗蘭「SOSが鳴ってる」(amazon

投稿: 2005 01 03 12:00 午前 [2004年のライブ, HUSKING BEE, Polaris, YO-KING, 「フェス」, エレファントカシマシ, サンボマスター, ピーズ, The] | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック

2004/09/20

エレファントカシマシ『友達がいるのさ』(2004)

 あれっ、エレカシの新作「風」って最初CCCDって出てなかったっけ? だからテンション下がって、シングルも買わなかったんだよな今回。何だよ、何時CD-DAに変わったんだよ!?って最初から?? → 調べてみると、俺が最初にみたamazonは未だに「CCCD」って表記されてるけど、方やHMVタワレコではCCCDの表記がないので、東芝のサイトをそのまま信じてもいいのかしら?

 とにかく。新曲「友達がいるのさ」は最初有線で聴いた時からかなり気に入ってるし、CD-DAとなれば当然アルバムは買うわけですが。となると改めてシングルの方は‥‥カップリング含めてアルバムにそのまま入ってるんだよね。ってことはDVD欲しさに買うかどうかの問題だよね。こないだの野音の "東京の空" 1曲だけだっけ? う〜ん、どうしよう‥‥野音完全版DVDとか出ないのかしら?

 そういえば、エレカシも去年のひたちなかを最後に観てないなぁ‥‥去年の「BATTLE ON FRIDAY」で観た時の、全曲新曲っていう試みは面白かったし、実際曲も凄くいい!と思ったんだけど‥‥結局CCCDってことで聴けなくて。周りの論調が大絶賛モードであればある程、逆にこっちのテンションはどんどん下り坂で。ひたちなかの時も、素直に楽しめなかったし(特に新曲になるとね)。

 エレカシに罪はないよ。悪いのはCCCDであって、レコード会社なんだから。

 そう頭で判っていてもね。凄く許し難いものがあって。自分の中で。

 けどさ。そういうのも、こないだ観たTHE MAD CAPSULE MARKETS単独ライヴで全部吹っ飛んだよ。やっぱり純粋にカッコいいものはカッコいい。それでいいじゃん、って。そりゃCCCDで聴けないのは辛いけどさ。ライヴはそれとは関係なく凄いわけだし。曲の良さも十分伝わったし。

 でもマッドの場合は心のどこかで「‥‥いずれ海外盤がリリースされるだろうから、そこまでの我慢だよな‥‥」って気持ちがあったのも確かで。エレカシはそういうわけにいかないもんなさすがに。

 世の中的には「DEAD OR ALIVE」「俺の道」といった初期ハードコア的サウンド回帰、歌詞の深化を大絶賛してるようだけど、やはり俺はそれに続いた前作「扉」を評価したいんだよね。そこよりも更に数歩上に行ってるよね間違いなく。

 そしてその「扉」から更に余計なものを排除し、より研ぎ澄まされた作品集に昇華させたのが、今度の「風」なんじゃないか、と勝手に思ってます。現時点ではまだリリースされてないし、アルバム中の6曲を、しかも内4曲は30秒程度を視聴しただけの感想でしかないけど‥‥集大成とかそんな簡単な言葉では済まされない、何だかもの凄いアルバムが出来上がったんじゃないか‥‥そんな予感がするのね。

 もしかしたら今のエレカシって、再び「東京の空」くらいの高みに達しようとしてるんじゃないですかね? そりゃもう「生活」みたいなアルバムは無理かもしれないけど。いろんな意味でもう一度、バンドとしてもの凄い高みに達しようとしてる気がします。ま、音源聴いただけでもの言ってるだけですが。

 年末の「COUNT DOWN JAPAN」、エレカシ出るんだっけ? 時間調整して行こうかしら。勿論他の出演者にもよるけどね。



▼エレファントカシマシ『友達がいるのさ』
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投稿: 2004 09 20 01:30 午前 [2004年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/06/05

エレファントカシマシ『エレファントカシマシ』(1988)

エレファントカシマシが1988年3月にリリースした、記念すべきファーストアルバムにして、日本のロック史のその後の流れを変えた(と個人的に勝手に思い込んでいる)名盤。そう、ファーストにして既にエレカシは完成されちゃってたのよ。だからその後の数枚‥‥勿論素晴らしい作品なんだけど‥‥においてはこのファーストでのインパクトや完成度が常にちらついてたんだよね、聴き手にとっても、そして宮本浩次にとっても。

当時の日本のロックシーンは、所謂バンドブームまっただ中。'86年頃からボウイ、レベッカといったバンドがヒットチャート上でも大成功を収め、'87年にはブルーハーツがオーバーグラウンドへ、と同時にプリンセス・プリンセスやユニコーン、JUN SKY WALKER(S)、筋肉少女帯、ZIGGY等といったいろんなタイプのバンドが登場し、それぞれチャート上でも成功を収めるようになっていき、「第二の○○」、「ポスト○○」を求めてレコード会社はインディーシーンにまで手を伸ばすわけですよ。そして更にいろんなタイプのバンドがメジャーデビューしていき、'89年に入ると「イカ天」がスタート、いよいよその勢いに拍車がかかるわけです。

エレカシは正にそんな中デビューしたバンド。残念ながらデビュー後10年近くは大きなヒットに恵まれることはありませんでしたが、そのデビューアルバムはメディアやリスナーに大きな衝撃を与えたわけです。

ハードロックを通過したかのようなゴリゴリなロックサウンド。宮本による詩的且つ文学的、それでいて「なんじゃそりゃ?」と突っ込みを入れたくなるような、およそ時代の流行に逆行した歌詞、それを割れんばかりの声でシャウトする宮本。だけどしっかり歌詞は伝わってくる、隙間の多いアレンジ‥‥決して洋楽の何かに似ているとか、誰々のフォロワーといったカテゴライズが出来ないバンドスタイル/サウンド。これは確かに特異な存在ですよ。考えてもみてくださいよ。時代はビートロックやらパンクポップ的なものがもてはやされている頃ですよ。愛だ恋だを歌ったシュガーコーティングされたラブソング、躁的にひたすら「頑張れ」と歌う応援ソングが世に蔓延る中、「世の中まるく治めるなら 頭脳はいらないさ 少しばかりの悪知恵と 金があればいい」("デーデ")や「ニタリ ニタリと策士ども 転ばぬ先の杖のよう わけのわからぬ優しさと 生きる屍こんにちは」("花男")なんていう時代錯誤な歌詞をもってデビューですよ!? それがシャウトで歌われ、そのバックにはLED ZEPPELINばりにヘヴィでゴリゴリのハードロックサウンド。アルバムをスタートさせた瞬間、ロックファンなら "ファイティングマン" イントロのギターリフで一発ノックアウトでしょう。

勿論そういった「押し」だけじゃない。その後のソフトサイドにも通ずるブルージーなバラード "やさしさ" なんて今聴いても鳥肌モノだし、小気味良い "浮き草" や "てって" みたいなポップ路線もしっかり収録している。で、そういうソフト面で安心すると、"習わぬ経を読む男" ~ "BLUE DAYS" ~"ゴクロウサン" という歌詞の面でもサウンド面でもゴリゴリにヘヴィな曲が続くんだから、ホント侮れない。というか、このアルバムの中に入ってしまうと、そういったポップな楽曲すら非常にハードに聞こえてくるもんだから不思議だよ。

決してパンクというわけではないけど、このアルバムは間違いなく「日本のロック」という枠の中において、「ハードコア」のひとつの進むべき道を開拓したといっていいでしょう。直接的なサウンド面でのハードコアパンクと違い、精神面に響いて重くヘヴィでゴリゴリなハードコア。それが『エレファントカシマシ』というバンドの登場によって開拓された。彼らをリスペクトするバンドは多いものの、真の意味でのフォロワーは未だに現れていないように思います。そう、デビューから既に16年も経っているのにね。それだけこのバンドのスタイルや存在が特異で唯一無二なものだということがご理解いただけるかと思います。

ファーストにしてここまで凄まじいアルバムを作ってしまうと、その後が心配になるわけですが‥‥アルバムを重ねていく内に、また彼らは更に進化(というか傍若無人な程に深化)していくわけです。それと引き換えに、どんどんとアンダーグラウンド方面へと傾いていこうともね。



▼エレファントカシマシ『エレファントカシマシ』
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投稿: 2004 06 05 03:39 午前 [1988年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2003/08/04

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL '03」DAY 3@茨城・国営ひたち海浜公園(2003年8月3日)

  さあ、丁度2週間遅れで順調に(苦笑)アップされていく「ひたちなか」フェスレポートも、いよいよ最終  昨年は直前に行こうと思ったらチケットのソールドアウト等で泣く泣く諦めた「ROCK IN JAPAN FES.」ですが、今年は岡村靖幸の出演が決まった時点でチケットを取り、無事3日目だけ行くことができました。同じ日にエレファントカシマシ、Theピーズ、SOUL FLOWER UNIONといった、自分が大好きなバンドも出演すれば、普段ライヴを観る機会がない毛色の違う平井堅やスガシカオ、観たくてもチケット取れないBUMP OF CHICKEN、活きのいい新人レミオロメン等が出演‥‥ってことになれば、そりゃもう楽しみだわな。

  けどね‥‥直前になって、「やっぱり岡村ちゃんだけ観れればいいや‥‥本当に出てくれるならね」って気持ちになって、正直そんなに他のアーティストでは盛り上がってなかったんだよね。本当に岡村オンリーというか。ま、その辺は以下のライヴレポを読んでもらえば何となく伝わるかと思いますが‥‥


◎レミオロメン(LAKE STAGE・11:00~)

  いよいよ今月末にメジャー移籍第1弾となるシングルがリリースされるレミオロメン。まず最初に感じたのは、演奏しっかりしてるなってこと。個々のメンバーの力量が平均以上、特にベースがいいフレーズ弾いてるのね。この手のバンドにしては珍しくチョッパーとか使ったりしてるし。またボーカル&ギターも、CD同様にエフェクター使いまくってて、とにかく聴いてて飽きない。ま、曲も聴きやすいし、こりゃ人気が出るなと思いますね。

  何よりも、新人なのに既にキラーチューンと呼べる1曲("雨上がり")を持ってるってのは大きいですね。これがピークでしたし。

  トップバッターにしては十分過ぎる程の内容だったんじゃないでしょうか。とにかくいいバンドがいい曲作っていい演奏でいいライヴやるという、至極当たり前のことを平気でやってのけてる。それで十分だと思いますね。


◎エレファントカシマシ(GRASS STAGE・12:20~)

  う~ん‥‥正直に書いちゃっていいですか? 俺、もしかしたらエレカシに対して興味が薄らいでるのかなぁ‥‥先日出たアルバム「俺の道」が昨年末のミニアルバム同様、見事にCCCDだったことも影響してか、彼等のことをちょっと違った見方をしてしまってるような気がするのね、俺。勿論、そんなのはライヴの評価には関係ないんだけど‥‥やっぱり音源が聴けないで、いきなりライヴで新曲ってのはキツいよ、しかも全10曲中、9曲がCCCD音源の曲だもんなぁ。

  けど、4月にライヴを観てたこともあって、いざ演奏が始まると「あ、この曲知ってる」「これは前回聴いた」という風に、意外と記憶に残ってるのね。要するにそれだけインパクトの強い楽曲だったってことだけど。やっぱりいいのよ、曲と演奏は。本当に良かった。特に1~2曲目(4月のブリッツでもこの2曲でスタートしたんだっけ)や、唯一の旧曲"悲しみの果て"以降の流れが本当によかった。ああ、これで音源さえちゃんと聴ける環境にあれば‥‥やっぱ残念だなぁ。

  個人的にはギターの石くんが髪切って角刈りになってたこと、そして宮本に髪を掴まれなくなった(掴めなくなった)かと思ったら、今度は頬にビンタですよ(汗)‥‥頑張れ石くん!


01. 俺の道
02. ハロー人生!!
03. クレッシェンド・デミネント
04. 何度でも立ち上がれ
05. 新曲?
06. 悲しみの果て
07. 俺の中の宇宙
08. ロック屋(五月雨東京)
09. どこへ?
10. 生命讃歌


◎スガシカオ(GRASS STAGE・13:40~)

  特に好きというわけでもなく、アルバムはファーストのみ持ってて、それ意外の曲は友人や後輩が聴かせてくれたり、また有線でかかったのを耳にするといった程度。だけどね、これはいいわ。とにかくステージが上手い。歌や演奏だけでなく、客の持ってき方が。ロックのそれとはちょっと違うのかもしれないけど、総合的な意味での「エンターテイメント」性が非常に強くて、観てて楽しいし、飽きさせない。後半ちょっとしか観てないんだけど、それだけでも十分に惹き付けられたよ。演奏がカッコ良かったってのもあるんだけど、兎に角踊りやすそうだった。ま、座って観てたんであれですが。自分でお金払ってまで観に行くタイプのアーティストではないけど、また機会があったら観てみたいかな‥‥と思わせてくれたということは、彼の出演は十分意味があったってことなんでしょうね。ロックフェスにも関わらず。


◎BUMP OF CHICKEN(GRASS STAGE・15:00~)

  思ったより演奏が上手かった、というのが正直な感想。曲自体は知ってる曲ばかりで、シングル曲がメインといった感じ。頭は先日のシングル"sailing day"~"ロストマン"という流れでスタート、客の心を掴むに十分な選曲だったんじゃないですかね?

  この日最大のピークはやはり"ダイヤモンド"~"天体観測"の2連発でしょうか。少なくともあの場にいた人間の大半が知ってるであろう曲を、あのデカいステージで鳴らすわけだから、そりゃ否が応でも反応しちゃうよね。うん、良かったと思いますよ。もっとヘロヘロなのかと思ってたから、意外にカッチリ演奏してて驚かされました。

  「野外フェスでどうしても演奏したかった。俺達のワガママを聞いてください」とかいうMCに続いて歌われたのが、昨年末のシングル"スノースマイル"‥‥って真冬の歌やんか! ま、歌詞さえ気にしなければ結構感動的な歌なんで、それはそれでアリなのかな?

  終始思ったことは‥‥家でCD聴いてる分には別にいいけど、ライヴ会場に足を運んでまで‥‥ましてや野外フェスの炎天下の中でまで観たいかと問われると‥‥非常に返答に困るバンドだなぁ、と。気分的なものもあるんだろうけど(どうしてもこの日は岡村待ちだったからね)、なんつーか‥‥俺が応援しなくても、沢山の人達が支えているだろうから大丈夫か、といった感じ。悪いとは全然思わないんだけど、1回ライヴ観て満足しちゃったというか。


◎平井堅(GRASS STAGE・16:20~)

  ロックフェスなのに、何故!?ってな人、その2。なんですが、これが思いの外良かったのよ。パーカッション、アコギ、ピアノという少人数のアコースティック編成で、終始平井堅も座って歌っておられました。つうか座ってあれだけの声量なんだから、大したもんだ。

  歌われた曲は、全部誰もが一度は耳にしたことがあるような曲ばかり。ほぼ全曲シングルナンバーだったんじゃないかな? "楽園"とか"even if"とか"Strawberry Sex"とか。全部知ってる曲じゃん。平井の歌を中心に、それを邪魔せず盛り上げるアコースティック楽器のアレンジが本当に心地いい。丁度陽が沈み始めてちょっと涼しくなり出した頃だったので、雰囲気はバッチシでしたね。

  後半、アッパーな新曲"Style"と某ドラマの主題歌だった"KISS OF LIFE"で盛り上がり、いよいよ次でラスト‥‥ということは、いよいよあの「誰もが知ってる超有名童謡」の出番か!? ひたちなかの3万人で大合唱なのか!?とワクワクしていたら‥‥あれっ、こないだまでやってた某ドラマの主題歌だった"Life is……"じゃんか‥‥何だよ、結局やらないのかよ!! あれが楽しみだったのに!! ま、最後までいい歌、いい曲がじっくり聴けたんで、これで良しとしますか。平井堅も絶対に自分で金払って観に行くタイプじゃないしね。


◎岡村靖幸(GRASS STAGE・17:40~)

  この日をどれだけ待ったことか‥‥何度かライヴの予定が発表されたりしたのに、直前になって中止になったり、今年に入って出る予定だった音源が何故か無期発売延期になったり‥‥本当に音楽やる気があるのか!?と半ば疑問に感じてた俺ですが、いざフェスで人前に!!となると、どうしてもね‥‥甘くなっちゃうんですよ。「ホント、困った子だなぁ~」くらいの優しく広い心で岡村ちゃんを迎え入れたい、と前夜から考えてたんですよね。

  モッシュエリアで観てたんですが、とにかくもの凄くギューギュー詰め。続くRIP SLYME目当ての女子中高生が、その殺気立った雰囲気と興奮したファンの動きに圧死させられそうになってたのが印象的でした。

  定刻を5分程過ぎた頃、キーボード&マニピュレーターの男性がステージ上に現れ、SEで「お母さん」という声が延々流れてるのね。時に感情を込め、時に平坦に叫ばれる「お母さん」の一言。多分、岡村の声なんだろうけど‥‥一体何が言いたいのかね君は!?

  そしてSEが盛り上がり最高潮になったところで、他のバンドメンバーも参加。演奏が始まると同時に、ステージ左側から黒いスーツを着た体格のいい長髪男性が‥‥あ゛っ、岡村ちゃんだ‥‥そう、間違いなくこの太めの男性が岡村ちゃんなのです。以前観た時よりも確実に顔はシャープになり、体格もひとまわり小さくなったような気が‥‥黒着てるからそう見えるだけ!?

  でもね‥‥ステージ上のその人は、間違いなく我々が知ってる「岡村靖幸」その人でした。あの歌声、あのアクション、あの激しいダンス、あの曲間の煽り、そしてあの表情。全てが「岡村靖幸」。正しく「100%岡村ちゃん」といった感じ。この日披露された今日は比較的新しめの曲が多くて、しかもそれら全てがメドレー形式に、曲間の隙間など一切なく、そして岡村ちゃんのダンスも休む間もないまま、ひたすら濃厚な時間が進んでいくのです。1曲目が終わった時点で、既に岡村ちゃんは瀧のような汗をかいていて、観てるこっちが辛くなりそうですよ。

  5曲を歌い終えると、何故か他のバンドのメンバーが全てステージ上からいなくなり、残ったのは先のマニピュレーターと岡村ちゃんのふたり。しかも岡村ちゃん、ステージに背を向けてハァハァいってるし。代わりにマニピュレーターの人がMCする始末。途中、岡村ちゃんも何か喋ろうとしてマイクを掴んだんだけど、どうにも返りが悪かったようで、殆ど聞き取れず。結局、最後にはそのマニピュレーターの人も袖に引っ込み、ステージ右側に用意されたエレピの前に座り、適当に弾き始める。何やるんだろう、ピアノバラードかなぁ?なんて思ってたら、平井堅に対するアンサーソングなのか、何故か「か~らぁ~すぅ~、何故鳴くのぉ~、からすはや~ま~にぃ~♪」という、あの曲をソウルフルに歌い出す‥‥何がやりたいの、岡村ちゃん? 怒らないから言ってごらん?? 笑いたい気持ちもあったんだけど、とにかく素晴らし過ぎて、思わず聴き入っちゃったじゃないか。そのまま新曲‥‥というよりも、絶対にあの場で適当に作った即興ソングを。人生には勝ち組とか負け組とかあるそうだけど、いい携帯を持ってたって、喋る人・喋る内容がダメだったら意味がないんだよ、そんな俺は負け組でいい、ただ傍にあなたさえいてくれれば‥‥といった感じの歌詞で、最初の内はみんなやはり笑ってるんだけど、最後にはみんな大きな拍手。とにかく感動的なのよ。いや、俺らにとっては「あなた(岡村ちゃん」さえいてくれれば‥‥」って思いでいっぱいなわけだけど。

  そしてピアノコーナーを終えた岡村ちゃん‥‥んん、岡村ちゃん‥‥ええっ、お、岡村‥‥ちゃん‥‥ステージ袖にひっこんでっちゃったよ! 何か失礼なことでもあったのか‥‥とにかく時間にして2~30分程度。いよいよこれから本格的に盛り上がるぞ~って時に、急にストップ。元々この程度の時間だったんだろうけど、それにしても‥‥みんな物足りなさ過ぎ。これはやはり、9月の単独ライヴに来い!ってことなのか。

  とにかく、終始岡村ちゃんに左右された1日でした。この夏、俺らは歴史の変わる瞬間に立ち会えたんだよ! これはもう奇跡でしょう!! うわ~っ、もっと観たかったよぉ‥‥


1. come baby
2. パンチ
3. ステップアップ
4. マシュマロハネムーン
5. セックス(以上、ここまでメドレー形式でほぼノンストップ)
6. 七つの子
7. 即興バラード?(以上、岡村のピアノ弾き語り)

投稿: 2003 08 04 04:09 午前 [2003年のライブ, BUMP OF CHICKEN, ROCK IN JAPAN FESTIVAL, エレファントカシマシ, スガ シカオ, レミオロメン, 岡村靖幸, 平井堅] | 固定リンク

2003/04/27

THE ELEPHANT KASHIMASHI PRESENTS VERSUS EVENT LIVE "BATTLE ON FRIDAY" エレファントカシマシ vs BRAHMAN@赤坂BLITZ(2003年4月25日)

  エレファントカシマシが今年に入って行っているイベント、それがこの「BATTLE ON FRIDAY」という名前のライヴハウス対バンイベントなんですが、この日観たのはその終盤戦といえるステージで、対バン相手には正しく「異種格闘技戦」に相応しいバンド、BRAHMAN。一体どんなステージになるか‥‥

  ところで、まずこれについてちゃんと書いておかないと‥‥知らないエレカシ・ファンもいるかもしれないので。俺は昨年末にリリースされたエレカシのミニアルバム「DEAD OR ALIVE」は未だに買ってもいませんし、視聴すらしてないし、恐らく今後も「今の形態」では買いません。勿論CCCDだというのが一番の理由なんですが‥‥それ以上に、何故この時期にエレカシは、そして宮本はあんなに「怒り」を表現しなくてなならなかったのか、そしてそういう音に向かわねばならなかったのか、ちょっと理解できなかったからというのも大きいのですよ。昨年春にリリースされた「LIFE」というアルバム、ファンの間でも賛否が激しいと思いますが俺、大好きなんですよね。昨年の10枚にこそ選ばなかったものの、これってもしかして「GOOD MORNING」よりも内容的に充実したアルバムなんじゃないか‥‥と今でも思ってます。『30代の宮本にとっての「生活」('90年の4作目)』、そういう風に俺は捉えてるんですよ。だからこそ‥‥その路線で突き進まないのは判っていたけども‥‥あんなあからさまに攻撃的な路線に逆戻りするバンドに対して、ほんの少しだけ居心地の悪さを感じていたんです。

  そういう気分のところに、突如決まった「BATTLE ON FRIDAY」というイベント。金曜にライヴハウス(数百程度からブリッツクラスまで)で、最近メキメキと実力をつけつつある若手バンド、既にエレカシ以上に若い子には知名度のあるバンドまで、とにかくそういった「10代に人気のある」バンドとのタイマン勝負をするという事自体は決して異論はないんですよ。ただ‥‥言い方が悪いけど‥‥最近の、固定ファンしか聴いてないんじゃないか!?というような現状を打破するために、10代に人気のあるバンド達と共演することでもっと若いファン層を広げようとしてるかのようにも映るんですよね‥‥言いたくなかったけど。確かにエレカシなら余程のことがない限り、そういった若手に(いろんな意味で)負けることはないだろうけど‥‥何か俺、ちょっと自虐的過ぎるかな? とにかくね、最初に思ったのは「‥‥大丈夫か!?」って。エレカシが(というか、エレカシファンが)会場で他のバンドやそのファンに負けることを考えちゃったんですよ。「戦う前から負けること考えてる奴がいるかよ!」と猪木さんにビンタされそうですが、ホントそんな感じで当日挑んだんですね。

  ところが‥‥ちょっと事情がありまして、19時スタートの公演、俺が会場入りしたのが20時だったんですよ。ま、BRAHMANを先に観てしまったら、余計にエレカシに対してネガな気持ちで接することになりそうだったし、更に‥‥掲示板の方で教えてもらってたんですが、4月からのエレカシ、本編全曲完全未発表の新曲披露という大胆な行動に出てるらしいんですよ。もうね、「DEAD OR ALIVE」の曲すらちゃんと知らないのに、その上全曲全然知らない曲って‥‥やっぱり冷静に判断する為にはBRAHMANを蹴るしかなかったんです。

  20時に会場入りすると‥‥既にBRAHMANのライヴは終了していて、ロビーには汗だくになった10代のブラフファン達がそこらじゅうに座り込み&倒れこんでる、正に「野戦病院」状態。しかも当日外は雨ってのもあって湿度が高いのに、会場内は更に汗かいた身体から立ち上がる湯気で不快指数が200%以上。そんな若い子達を後目に、フロア前方に移動。フロア内はエレカシファン以上に依然ブラフファンの方が多い感じでした。服装や年齢で大体判るしね、どっちのファンかって。ま、俺はBRAHMANも嫌いじゃないし、むしろ好きなバンドなんで(じゃあ最初っから観ろって話ですが)。

  入場してすぐ会場暗転。何のアナウンスもなくメンバーがステージ上に登場。この日の宮本は全身黒。ギターは一切持たず、これといった煽りもなく神妙な顔。そして始まる新曲‥‥どの曲もタイトルすら判らず、しかも10曲全部初めて聴く曲だったので「これがこうだった」という明言は避けますが‥‥個人的にはかなりいい感じだと思いましたよ。全体的にミディアムヘヴィなハードロックという印象で、かなりアレンジに凝った構成になってましたね。石くんは常にストラトを弾き、しかも結構コーラスまで取ってるし。成ちゃんのベースが一番凝ってて、ピックによるライン弾きは抑えめに、かなり複雑なフレーズ(和音やアルペジオ的なもの)を多用、ギター以上に目立ってました。そしてトミのドラム。もうね、激しいの何のって。一音一音がこれまで以上にハードヒット。ミディアムヘヴィな曲が多いせいか、本当に一音の重みが凄くて、実際固定されていたバスドラが途中で動き出す程(スタッフが慌てて固定し直してたけど)。そして宮本。一切ギターを持たず、歌うというよりは叫ぶといった歌い方で、また曲調が初期に近いイメージだったこともあって、本当に「あのエレカシが帰ってきた!」といった錯覚を何度もしてしまったよ。声の状態は良好とはいえなかったけど、なかなか良かったんじゃないでしょうか。

  ただね。新曲の話に戻りますが‥‥曲のバリエーション的には狭まったかな、という気も。ミディアムヘヴィなハードロックという全体的な印象は、2~3曲を除けば大体そんな感じで、ホント殆どの曲が似たようなテンポで、しかもメロウというよりは煽り系ボーカルだったことも大きく影響して、更にそう感じました。しかも、それに喜んでたのはエレカシファンが殆どといった感じで、若いブラフファンの子達はどう反応すればいいのか判らない様子。そのまま棒立ちで、反応に困ってる様子。そりゃそうだろう。メロディアスでテンポも速い楽曲がメインのBRAHMANで大暴れした後に、こういったオールドスタイルのハードロック、しかもボーカルが異常にテンション高過ぎて何歌ってるか判らない‥‥そんなバンドを見せられたら、普通に退くかもね。1曲終わると若い子がフロアから出ていき、もう1曲終わるとまた出ていき‥‥そんなことの繰り返しで、結局ソールドアウトした公演だったにも関わらず、最後の方はかなり余裕を持って観られる環境になってしまった程。音楽で人の心を動かすとか、そういう以前の問題。既に満足し切ってしまった10代の子達にとっては「エレカシ? テレビで観たことある、あの変なボーカルのバンドか。ま、ちょっと観てみよっかな、折角だし」程度の気分で見始めたんだろうけど、そりゃねぇ‥‥俺が10代でブラフファンだったとしてもあれはキツかったかも。

  中にはパンキッシュでアップテンポの曲もあったし、ちょっと聴かせるような歌もあったんだけど、やっぱりリフが重くてアンサンブルが凝ったハードロック。けど初期のような破天荒なイメージはなく、そこはちゃんと「大人の色気」を感じさせるのはさすが。変に凝った録音をせずに、このままの形で真空パックしてアルバムにしてしまえばいいのに‥‥そんな気さえする程、個人的にはこの日のステージで披露された10曲が気に入りました。しかも聞くところによると、数週間前に下北沢でやった時と曲が3曲入れ替わってたというんだから‥‥既に10数曲も新曲があるってことですよね? 更に細かいアレンジまで変わってたというし、正にライヴしながら楽曲が成長してくという、ある意味「ココロに花を」や「GOOD MORNING」の頃みたな感じで、ホントにあの2枚に肉迫する凄いアルバムになるんじゃないか‥‥ちょっと疑問が強まってただけに、これは本当に嬉しかった。ああ、やっぱりBRAHMAN観ないでよかったと思いましたね。

  でもね‥‥ちょっとショッキングな曲もあったんですよ。7曲目くらいだったかな、歌詞の中にいきなり「37歳で俺の青春は終わったけど~」というような一節が出てきて、すっげードキリとさせられました。俺の中では宮本=人生・青春・生活というイメージが強かっただけに、これからもこのみっつのキーワードを歌っていってくれるんだろうな、と信じ切ってたんだけど‥‥ま、その他の細かい歌詞が聞き取れないのもあったので全体的な内容は把握できませんでしたが、とにかくこの一節のインパクトが大きくて、俺の中で。その曲の中で等かそのフレーズが登場するんだけど、その度に心が痛みましたね。これはちょっと俺の中で(エレカシに対する)重要な曲になりそうな予感。とにかく「普通のCDで」リリースされることを切に願います。

  MCも殆どなく(それにしても宮本の「今日はこんなに素敵なイベントに呼んでくれてありがとう」ってのはどうなのよ? 一応「エレカシPRESENTS」名義なんですが‥‥)、淡々とした状態で10曲終了、いつも通りステージを去る4人。当然アンコールを求める拍手が沸くわけですが‥‥求めてるの、明らかにエレカシファンだけ。しかも前の方だけね。すっげー弱々しいアンコールを求める声援。そしてフロアを後にする大勢の客。ローディーがベースやアコギ(恐らくアンコールで宮本が弾くのだろう)のチューニングをしてる中、急に客電が点き、明らかに終わりモード。時計に目をやると20時50分。アンコールもなく終了したこの日のエレカシ。もともとやるつもりで準備してたら「アンコールなし」をメンバーから告げられたのか、それとも最初からその予定がなかったのか‥‥聞くところでは、このイベントに関しては数える程しかアンコールはやってないようですが‥‥ま、予定調和なアンコールを何曲をやられるよりも全然いいんですけどね‥‥けどさ、こういう環境の中で「アンコールありがとう!」って再登場されても、それはそれで更に「寒さ」を増長するだけだったから、空気を読んでアンコール取り止めたんだと受け取りたいですね。

  どっちが勝ったとか負けたとか、あんまりそういうのは言いたくないんですが‥‥更にBRAHMANを観てない俺が言うのもアレですが‥‥全体の空気的に明らかに後攻めのエレカシのが分が悪かったですよね。そして、結局その流れを変えられないまま終わったといった印象。恐らく"ガストロンジャー"や"コールアンドレスポンス"、"悲しみの果て"のような代表曲を連発するステージをやったなら、もっと盛り上がるステージになったんでしょうけど、この日はフェスではなくて「VERSUS EVENT LIVE」と銘打たれ、単発イベントではなく数本あるわけですから毎回それをやるわけにもいかないしね。「今のエレカシ」を見事に表現したという意味では評価すべきでしょうけど、ファン以外にはアピールが弱かったのもまた事実。う~ん、難しいですね評価が。

  俺自身、エレカシを生で観るのがほぼ1年振りだったんですが、観る前の不安な気持ちはものの見事に一掃され、逆に「あーこんなスゲー曲が沢山入ったアルバム、どうしても聴きたいからCD-DAで出せよな?」とアンケートに書いてしまった程ですよ(アンケートなんて書いたことない俺がね!)。ここ最近のエレカシに対して俺と同じような疑問を持ってるファン、そして前作にガッカリして「DEAD OR ALIVE」にガッツポーズを取ったファン。大丈夫、次のアルバムは間違いなく期待に応える内容になりますよ。下手にプロデューサー立てたり時代性を取り入れようとせずに、このままの形でレコーディングされればね!

投稿: 2003 04 27 12:00 午前 [2003年のライブ, BRAHMAN, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2002/06/29

エレファントカシマシ@渋谷公会堂(2002年5月30日)

  ここ1年程のエレカシは、特にクラブツアーが中心だったこともあって、こういう中規模ホールでのツアーは随分久し振りのような気がする。けど、実際には1年半振りくらいなんだよね(「SWEET MEMORY」でのツアー以来)。ま、新作「LIFE」がああいう穏やかな構成だったこともあるから、合ってるといえば合ってるけど。

  このツアーの前哨戦ともいえる5/3の「FACTORY」出演時の構成から、今回のツアーの大まかな流れを感じることが出来たが、やっぱり"ガストロンジャー"や"コールアンドレスポンス"はやらないんだろうなぁ‥‥ライヴを観る前からそう確信していた。だって合わないもの、こういう攻め一方の曲は今回のアルバムの曲には(その割には"奴隷天国"とかやってたよな)。何か、このサイト初めてから観始めたエレカシは、ずっとこの2曲をやり続けてるだけに、どうも「ガストロやコレスポをやらないエレカシ」ってのが想像出来ないんだよね‥‥で、いざ新作を聴いてみれば「ああ‥‥」っていう内容だったし。

  そういう意味で今回のツアー、あんまり期待してなかったんだけど‥‥これがいざ終わってみると、かなり楽しめたんだわ。いや、エピック時代の曲が多かったからではなく、単純に新作の曲がアルバムで聴く以上に良く思えたんだわ。決してライヴ向きってわけではないけど、こういう風にじっくり聴かせる曲を、ちゃんとじっくり聴かせようとする姿勢だったり、会場の雰囲気だったり(ま、客の雰囲気は決してベストとは言えなかったけど)。

  ライヴの流れを簡単に、感想書いてみます。

  ステージ上には向かって右側に一段高い位置にマイクや椅子が設置、向かって左側にもキーボードやらマイクが設置。恐らく今回のツアー、ブラス隊が付くんだろうな‥‥とは思ってたけど、実際に付いたのはこの日だけだとか。そういう意味では非常にラッキーだったかも。

  ライヴはまず楽器隊の3人がステージに現れ、ドラムのトミが聞き覚えのある8ビートを叩き始める。「FACTORY」と同じく、"奴隷天国"からスタート。そのまま"おはよう こんにちは"、"デーデ"という流れは、「FACTORY」の時と全く同じ。ツアーラスト前ということもあってか、多少声が荒々しい気がしなくもないが、それでもかなりの気合いを感じる。この後にお馴染み"武蔵野"を演奏。ああ、ちゃんと「GOOD MORNING」の曲もやってくれたよ。

  それ以降は、新譜タイム。"女神になって"の時には予想通り、ブラス隊3名が加わる。あ、今回のツアーには、新曲に関してのみキーボードが加わっております。アルバムにも参加しているメンバーらしく(かの有名な山本拓夫氏も参加)、「FACTORY」で聴いた時よりも更に格好良くなってました。音に厚みが加わったのは勿論、無骨なリズム隊に分厚いホーンの音が融合したこの曲は新作の中でもかなりカッコイイ。「GOOD MORNING」では打ち込み+宮本という印象があったけど、新作はバンド+生音というイメージがあるので、こういう完全再現は大歓迎。「ステージ上に4人以外の人間が参加する事に嫌悪感がある」って人はまずいないと思うので、今日を選んで大正解だった(って単に今日しか観れなかったんだけど、休みの関係で)。

  その後、静かめの曲が続く。"秋 -さらば遠い夢よ-"ではハプニングが。ワンコーラス唄い終わるか終わらないかで、宮本が歌をストップ。どうやらお客の仕草(動き?)が気になったらしい(笑)。気を取り直して、再び最初から唄い始め、今度は完奏。やれやれ。

  そして"マボロシ"の時には四重奏のストリングス隊が右側に登場。ブラスだけでなく、弦楽器まで用意するか‥‥すんげぇ豪華だな、今日は!? アルバムラストを飾るこの曲はやはり一種異様な凄みを感じた。激しい曲でもなく、穏やか過ぎるわけでもなく‥‥なのに宮本の歌だけはドライアイスのような刺激を我々に与える。メチャメチャ熱いんだけど、その熱さが聴き手の心に突き刺さる時には、熱さを通り越して冷たささえも感じさせる。そういう刺激。とにかく、新作の曲は宮本の歌がグ グッと心に突き刺さる。「GOOD MORNING」での突き刺さり方とはまた違うんだよね。勿論、こっちの札も宮本はずっと持っていたんだけど、ここまで徹底的にやったのは‥‥恐らく小林武史の影響なんだろうね。で、その小林のやり方と宮本との間に葛藤みたいなもんがあったはず。ここで形にされているものが必ずしも宮本が望んだ形100%とは言い難いけど‥‥けど伝わってきたよ。

  キーボードが加わったことで、ちょっとテンションダウンを感じずにはいられない"暑中見舞 -憂鬱な午後-"、アルバム後半のハイライトといえる"真夏の革命"(再びブラス隊が加わる)と勢いで押し切り、本編最後はしんみりと"普通の日々"で終わる。当然弦楽器隊が加わった形で。何か違和感あるなぁ‥‥こういう終わり方。だって小林武史っぽいんだもん、この終わり方(苦笑)。まさかセットリストにまで小林絡んでないよな!? そんな疑念さえあったけど、とにかく歌と演奏は素晴らしかった。

  アンコールを「第二部」と宮本が言った通り、本編とは流れが違うような感じだったアンコールは、ちょっと古いファンにはたまらなかったんじゃないかな? いきなり"金でもないかと"だもんなぁ‥‥一瞬、「あれ、これ何だっけ!?」って思ったもん、俺(苦笑)。その後、これまた懐かしい"浮雲男"(みんなもっと煙草を吸おう!とか言ってたっけ、宮本)、そして生ストリングスを加えた"昔の侍"を挟んで"優しい川"って‥‥一体何のツアーですか!?って感じ。ま、個人的には初めて生で聴くエピック時代の曲が多かったので嬉しいけど。

  その後、アコギを持って椅子に座った宮本。急に"今宵の月のように"を弾き語り。ワンコーラス唄ったところでエンディング。そのまま久し振りの"珍奇男"へとなだれ込む。歌の合間のコードストロークがカッティングがアルバムとは違ってて、一瞬ドキッとさせられる。この曲はバンドが加わってからの破天荒振りがとにかく凄い。初めてアルバムで聴いた時にも思ったけど、初めてライヴで聴いた時には更にそう感じて震えた‥‥こういう曲を演奏するエレカシって、本当にLED ZEPPELINみたいだなぁと。いや、本物のZEPをリアルタイムで観たわけじゃないので完全なる比較は出来ないけど‥‥こういうスタイルで、こういう演奏で、こういう歌を唄うバンドって他に思い付かないよなぁ。圧巻の一言。

  二度目のアンコールでは、そういえば今日やってなかったね?という印象さえ持った(逆に、それだけここまでの流れが圧巻だったと考えることもできる)"悲しみの果て"、そしてアルバム未収録の"ハロー New York!"でグルーヴィーなロケンローを聴かせ、最後の最後に名曲"あなたのやさしさをオレは何に例えよう"が登場。当然ブラスもストリングスも全部加わった超豪華バージョンで。総勢12人って‥‥昔のミスチルじゃないんだから(汗)。ま、この曲をこういった完全バージョンで聴くことも今後そうなないだろうから、かなり貴重だし、実際その凄さはハンパじゃなかった。楽曲の良さ、ノリの良さもあって、更に楽器隊の表現力や歌の凄みもある。何かさ‥‥ガストロだ、コレスポだって、そういうのに拘るのが馬鹿馬鹿しいと思える程に格好良かった。つうか、この日のライヴで新作「LIFE」全曲を生演奏で(しかも完全再現版で)聴いて、改めてこのアルバムの良さが見えてきた。うぁ俺、何で今までそれに気づかなかったんだろうね。きっと俺もガストロやコレスポに惑わされてたひとりなんだろうね。それと、小林武史っていう外部の人間が関わる事への危機感も。特に俺はミスチルファンでもあるから、小林ってプロデューサーがどういう仕事の関わり方をする人か、ある程度判ってるだけに余計心配だったのよ‥‥けど、そういう心配は‥‥少なくとも今日のライヴを観る限りでは無用のようだわ。つい最近までの「不良中年」的な初期衝動エレカシも勿論好きだけど、こういう「大人の男」をとことん感じさせるエレカシも好きだわ。きっと、以前の「愛と夢」の頃もこういう事がやりたかったんじゃないかなぁ‥‥ただあの頃は打ち込みに奔り出したり何やらで、結局それが空回りした感があるし。きっとこの路線をずっと続けることはないだろうけど、これはこれで俺、認められるよ。

  真性のファンの方々はどう思ってるか知らないし、知りたいとも思わないけど、俺はこれもエレカシの進むべき道のひとつだと思う。だってこういう面はずっと持っていたわけだし。ただ、それが歳を取ることによってなのか、それともプロデューサーによってなのかは判らないけど、そういう面が更に強調され、クドいくらいに前面に押し出された。それに嫌悪感を感じるのかもしれないね。まぁ楽曲そのものが嫌いっていうなら仕方ないけど、単に「こういうエレカシは嫌い」だからといってエレカシ自体を全否定することはないと思う。たった1枚のアルバムで(聴き手その人にとっては)失敗したからといってそれまでを全否定することはないんじゃないかな、と。これはエレカシだけに留まらずどのアーティストにも言えることなんだけど‥‥ ま、そういう人は次の曲やアルバムが異常に素晴らしいもの(というか、その人の感性にフィットするもの)だったりしたら、前回をなかったことにしてでも「○×サイコー!」とか言ってるんだろうけど。

  何も全てを肯定しろとは言ってない。けど、ひとつの躓きから全否定することもないんじゃないかな、と。今回のアルバム~ツアーで特にそう感じたな。さてさて、多くの「否定的なファン」の皆さんは今後どうなさるんでしょうか? エレカシの今後よりもそっちの方が気になる俺だったりして(笑)。


[SETLIST]
01. 奴隷天国
02. おはよう こんにちは
03. デーデ
04. 武蔵野
05. 女神になって
06. 部屋
07. 面影(おもかげ)
08. 秋 -さらば遠い夢よ-
 (途中で中断。アドリブの後、仕切直しで歌い直す)
09. かくれんぼ
10. マボロシ
11. 暑中見舞 -憂鬱な午後-
12. 真夏の革命
13. 普通の日々
--アンコール--
14. 金でもないかと
15. 浮雲男
16. 昔の侍
17. 優しい川
18. 今宵の月のように(宮本弾き語り)
19. 珍奇男
--アンコール--
20. 悲しみの果て
21. ハロー New York!
22. あなたのやさしさをオレは何に例えよう



▼エレファントカシマシ『ライフ』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2002 06 29 12:00 午前 [2002年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2002/05/04

FACTORY(エレファントカシマシ、インビシブルマンズデスベッド、downy、ナンバーガール)@フジテレビ(2002年5月3日)

  フジテレビで以前は月イチ程度で土曜深夜に放送されていた「FACTORY」という音楽番組をご存じだろうか? 勿論この番組は今現在も続いていて(関東地方ではこの4月から火曜深夜に30分番組として毎週放送)、今回俺が参加したのも、その番組の収録だった。

  収録とはいうものの‥‥噂には聞いていたが、普通のライヴイベントそのものだった。会場自体はお台場にあるフジテレビ局内の大きいスタジオにそのままあのセットを組み込んで、ステージ上には手際の良いスタッフが沢山いて(セットチェンジにどのバンドも15分程度だったことに驚く。フェス慣れしてるので、30分とか1時間とか当たり前だと思ってるし。まぁあれは野外とか大会場だからってのもあるんだろうけど)、非常に飽きさせない構成だった‥‥唯一、受付の午後3時から、ライヴ終了の午後10時まで、ずっと立ちっぱなしだった事を除いては‥‥あれはキツいって。フェスでもそりゃ疲れるけど、まだ途中で休んだり(座ったり寝転がったり)出来るし、何よりも同じ立ちっぱなしでもフェスは移動する為に歩いたり動いたりするから、同じ位置に立ちっぱなしの今回とは全く違うんですよ、疲れ具合が。正直、後半倒れそうだったもんなぁ‥‥

  まぁ冗談はこの辺にして(いや本気なんだけど)‥‥今回観た各アーティストの感想を簡単に書いて行きたいと思う。


◎スペシャル・オープニング・アクト

  前回の収録(4/19。ROSSOやLOSALIOSが出演。これも平日じゃなきゃ行きたかった‥‥)の際、当日会場でいきなりオープニング・アクトが付くことが発表され、しかもそれがモーニング娘。の安倍なつみだったという二重のハプニングがあったのだが、少なからず「また今回も娘。から誰かが‥‥」と期待していた人は多いようで、実は俺もそのひとりだったりした。

  会場に入った時、ステージ上にアコースティックセット(グランドピアノや譜面台に椅子、パーカッション等)を見つけ、今回も誰かやるんだ‥‥と期待に胸躍らせていた。圭ちゃんか、かおりんか‥‥なんて具合に。
  が、実際に登場したのは、FOLDER5のアキナだった。最初、ステージ後方のスクリーンにその名前が表示されても「AKINAって誰!?」って人が多かったようだ。名前が出る前に、その顔観て「アキナたん萌え~」とか言ってた俺って‥‥

  バックを務めたのは、ピアノが武部さん、パーカッション及びスタンディングドラムにスティーヴ衛藤、エレキベースに吉田健、アコギに蘭丸こと土屋公平、コーラスに愛しの加藤いづみさん。演奏された曲は、やはり今回も「古き良き時代の日本のロック」というコンセプトから、RCサクセションの"ドカドカうるさいR&Rバンド"と"いい事ばかりはありゃしない"の2曲。アキナの、子供の割にハスキーな歌声にこの選曲は合ってたように思う。かなり堂々としてたし、非常に好感が持てた。1曲目が終わった後にトラブルがあって、一生懸命MCで繋ごうと努力する姿が健気だったなぁ(可哀想だよな、スタッフのトラブルなのに)。

  しかし、個人的に一番嬉しかったのは、7年振りに間近で生加藤いづみさんを拝めたことでしょうか。相変わらず麗しゅうございましたが。


◎エレファントカシマシ

  15分程のセットチェンジを挟んで、今回のMCであるナンバガの向井が登場。相変わらず笑わせるMCで会場大賑わい。向井ってエレカシの「生活」が大好きなんだね。その話を聞いた時、妙に納得した。「男・宮本浩次35才~」ってMC、やたら多過ぎ。面白かったからいいけど。

  ちなみに、当日の向井の前説は以下の通り(「FACTORY」サイトより転載)。


  最初に登場するバンドは、男=宮本浩次=35歳が、この浮き世に向けてブッチかまします。宮本浩次の生活からにじみ出た、生まれ出た数々の名曲たち。思えば12年前、己の生活の心情の吐露を作品化した、すばらしい傑作アルバム『生活』というものがありましたが、この度、男=宮本浩次=35歳の現在の生活をありのままに、そしてやさしく、激しく唄った傑作アルバム『ライフ』を発表しました。

  宮本浩次が唄います! 吼えます! がなります! エレファントカシマシの登場だ、馬鹿野郎!


  とまぁ、とにかくエレカシである。てっきりトリだと思ってたら、いきなりトップバッターかよ‥‥こころの準備が出来てねぇってぇの‥‥と思ったら、聴き覚えのあるリズムをトミが叩き出す‥‥うげっ、いきなり"奴隷天国"かよっ!? なにげに初・生「奴隷天国」だわ‥‥超感激なんですけど‥‥けど、心の準備が出来てなかった分、ノるにノれなくて、ただ立ち尽くすのみな俺。いや、衝撃的だったんだけど。

  そのまま、これまたセカンドから"おはよう こんにちは"という反則技。やっぱりエピック時代の曲は否が応でも盛り上がる。そういうハードコアな作りだし。そして最近のライヴではお馴染みのデビュー曲"デーデ"へ‥‥そうか、これって3月に出た「SINGLES」からの選曲ってことなのか‥‥な? とにかく、来てよかったと思わされた瞬間だった。

  その後は、前日にリリースされたばかりの新作「ライフ」からの選曲。まだ1回しか聴いてなかったにも関わらず、耳に残った印象的な曲ばかりが演奏されたので、ちょっと安心。宮本曰く、今日は5/6からスタートするツアーの前哨戦らしいので、もしかしたら今回の選曲はツアー本編のショートバージョンといった感じなのかもしれない。

  興味深いのは、今回はステージ上にサポートメンバーがいること(キーボード)。最近ではA-DATを駆使していたが、新作の曲にはシンセやらブラスのパートが多いので、機械を多用するのではなくて、あくまで生身の人間を向かい入れた‥‥という点に非常に好意を持った。機械を多用すると、ライヴでのアドリブが効かなくなるので、これはこれでいいのでは?

  ラストは小林武史プロデュースシングル3部作。思ってた以上に"あなたのやさしさをオレは何に例えよう"がいい感じだったな。これが本ツアーでも本編ラストになるのかな。

  まぁイベントで45分のステージってこともあるし、新譜出た後なので古い曲が少なくなるのは判ってたけど、やっぱりガストロやコレスポのどっちかは聴きたかったなぁ‥‥


[SETLIST]
01. 奴隷天国
02. おはよう こんにちは
03. デーデ
04. 女神になって
05. 部屋
06. 秋 -さらば遠い夢よ-
07. 普通の日々
08. 暑中見舞 -憂鬱な午後-
09. あなたのやさしさをオレは何に例えよう


◎インビシブルマンズデスベッド

  このバンドに関しては全く知識もなく、名前を聞くのも初めてという状態。一応知らない人の為にオフィシャルサイトを紹介しておきましょう(→こちら)。

  ‥‥はい、ヴィジュアルを目に焼き付けましたでしょうか‥‥そういうバンドです。ただ、音は見た目以上に激しく、グラムというよりもエモがかったSONIC YOUTH的な轟音・爆音で、演奏もしっかりしてる、ただヴォーカルの彼が見た目以上に面白いキャラでして‥‥更に悪趣味の岡村ちゃんというか(いや、これは最高の誉め言葉なんだけど)。マイク股間に当ててしごいたり、ギタースタンドにマイクくっつけたり、スピーカーの上によじ登ったり、最後には布団持ってきて客席に投げ込んだり(爆)‥‥正しく布団がふっとんだといったところだろうか‥‥んなわきゃないし。

  個人的には進んで聴くタイプのバンドじゃないが、こういう機会でしか出会えない音だと思うので、それなりに堪能しておいた。好きな人は思いっきりハマるタイプじゃないだろうか?


[SETLIST]
01. 玉砕
02. 接触
03. 踊るオンナ
04. 限りないギター
05. 摩擦
06. 交わる吐息
07. デリー


◎downy

  名前だけは聞いたことあったが、このバンドもこの日初めて音に触れた。始まる前にステージ後方の壁に白い布を被せ、楽器のセッティングもステージ四隅にそれぞれドラムセットやアンプを置くといった感じで、始まる前からかなり風変わりな印象を受けた。

  で、実際に始まってみて、その印象は間違いではなかった。この日のライヴは常に明るい状態で進行していたのだが(あくまでテレビ収録がメインなので、通常のライヴより明るいのだろう)、downyの時だけ真っ暗に。ステージ上には4人(ボーカル&ギター、ギター、ベース、ドラム)しか目に入らないが、実際には5人組だそうで、残りのひとりはVJだそうだ。成る程、ステージ後方の白い布に音とシンクロするように映像が映される。まるでテクノ系のイベントにでも来たかのように。

  サウンド的には‥‥判りやすく言えば、RADIOHEAD以降のバンドということになるのだろう。ギター2本が複雑に絡み合い、ディレイだとかコーラスを多用し、それでいて轟音爆音だという。何となく「THE BENDS」辺りのレディヘみたなサウンドプロダクションだった。リズムもドラムとベースが複雑に絡み合ったり変拍子だったりと、どことなく「OK COMPUTER」以降のレディヘを思い浮かべる。ボーカルの線の細い歌声もまた、トム・ヨークのそれを彷彿させたし。

  ただ、まるっきりレディヘというわけでは勿論ない。曲調は独特な印象を受けるし、轟音に飲み込まれそうなボーカルも一聴して英語詞のようだが、実は日本語だったりするし(今日CDを買ってきて、初めてその事実に気付いたのだが)、かなり独特なバンドだと思う。

  面白かったのは、1曲1曲が終わった後、どこで拍手をしていいのか判らない観客。それだけヒンヤリとした緊張感が常に漂っていたということだろう。エレカシやナンバガで暴れようと思ってた若い子達にはこういうバンド、どう写ったんだろうか?(当然ながら、俺的にはストライクゾーンだったが)

  UKロック好き、レディヘファン、KING CRIMSON辺りのプログレ好き、そしてアブストラクト系テクノが好きでギターロックも行ける口の人に是非オススメ。


[SETLIST]
01. 酩酊フリーク
02. 葵
03. 野ばなし
04. 象牙の塔
05. 黒い雨
06. 無空
07. 左の種


◎ナンバーガール

  バンド史上最高傑作といえる「NUM-HEAVYMETALLIC」リリース後、最初のステージがこの「FACTORY」だった。勿論、レコーディング終了後にも幾つかのイベントをこなしているが、我々がその全貌に触れてからという意味では、まさに初お披露目と言えるだろう。個人的には、今年聴いた中でブッちぎりのトップ、いや、早くも今世紀を代表するロックアルバムだと思っている。それくらい凄い内容なのだ、このアルバムは。

  司会アシスタントのキタキマユが登場し、向井の代わりにMCを務める。そして登場したナンバガ‥‥ドラムセットがやけにステージ手前にあるのだが‥‥実は、そのくらいしかまともに覚えてなかったりする。というのも、演奏が始まった途端に俺、頭が真っ白になるくらいの轟音にやられ、そして気持ちよく踊っていたからだ。曲、なにやったっけなぁ‥‥"TATTOOあり"とかはやってたなぁ‥‥新作からは"CIBICCOさん"、"MANGASICK"、"delayed brain"とかかなぁ‥‥あ、当然名曲"NUM-AMI-DABUTZ"も。後はそのシングルのカップリングとかかな?(買ってないので判らない)

  最後は"OMOIDE IN MY HEAD"(実際にはラスト前だったみたい。熱くなっててもう1曲やったの忘れてた/汗)、そしてアンコールに"鉄風 鋭くなって"。これはよく覚えてる(だって一緒に唄って踊ってたから)。全然ライヴレポートらしいこと書けてないが、そのくらい久し振りに熱くなったライヴだったってこと。普段ライヴ観てても、一瞬素に戻る瞬間ってのが一度はあるんだけど、それがなかったもんなぁ‥‥45分、本当にやったの? 実は20分くらいしかやってないんじゃないの?なんて思った程で。そのくらい内容の濃いライヴだった。
  とにかくね、各メンバーの演奏もいいし(特にひさ子さんは更に凄いことになってたような)、向井のMCも相変わらず素敵だし、音は馬鹿デカいし、曲は抜群にカッコイイし‥‥まさかこのバンドがこんな風に化けるなんて、去年の夏、誰が想像した!?

  ナンバガについては‥‥言葉で表現する以上にアルバム聴け、と。昨年夏のフジロックでのステージより、更に凄いことになっていた。こりゃ単独公演、観なきゃマズイだろう‥‥そう思わせるに十分なライヴだった。

  MCに向井が決まった時点でトリが決まったのか、それともアルバムを聴いたスタッフが決めたのか判らないが‥‥正直に言う。大好きなエレカシが‥‥いくら"奴隷天国"を演奏しようが‥‥完全に霞んでしまった程、今のナンバガの勢いは凄い。悪いことは言わない。絶対に今回のツアー、観ておいた方がいい。仮にもロックファンを自称するあなたなら‥‥


[SETLIST]
01. TATTOOあり
02. CIBICCOさん
03. NUM-AMI-DABUTZ
04. FIGHT FIGHT
05. delayed brain
06. MANGASICK
07. OMOIDE IN MY HEAD
08. I don't know
--アンコール--
09. 鉄風 鋭くなって

投稿: 2002 05 04 05:27 午後 [2002年のライブ, downy, インビシブルマンズデスベッド, エレファントカシマシ, ナンバーガール] | 固定リンク

2001/12/08

エレファントカシマシ@SHIBUYA-AX(2001年11月21日)

  エレカシが、宮本がスランプに陥っていると聞く。どうやらこの秋に発表予定だった新作アルバムも現時点では完成に至らず、毎年恒例の正月武道館公演も来年はないという。アルバムも早くて春とのこと、今回の秋ツアーが終わった後も再びニューヨークに戻り、プロデューサー小林武史氏と共にスタジオ入りするという。久々の傑作と呼ぶに相応しかった「GOOD MORNING」を通過し、何故宮本は混迷の時期へと突入してしまったのだろうか?

  その原因のひとつは、間違いなくプロデューサーの選択ミスだろう。シングル"孤独な太陽"はまだアルバムとか考えていない時期に完成したであろう曲(2000年秋のツアーでは既にライヴで披露されていた)だし、むしろ問題と言えるのはこの春のツアーで初披露された"暑中見舞 -憂鬱な午後-"からだろう。ライヴでは、初期の疾走感と最近のポップ/メロウ感覚を融合させた、今のエレカシにしか作り得ない楽曲だったのに、7月にリリースされた小林プロデュースのシングル‥‥恐らくエレカシ史上最悪のアレンジ/プロデュースなのではないだろうか? これまでのような佐久間正英や根岸孝旨といった「バンドに好き放題やらせ、そこからいいものをピックアップしていく」ようなタイプではなく、「小林サウンド/ブランド」といえる個性を持った人間との融合は、エレカシにとって(これまでのところ)マイナスイメージしか生み出していないように感じる。本当にこれでいいのか、これで合っているのか? そういった苦悩が今の宮本にはあるのかもしれない。

  本来なら今回の秋ツアーも、既にリリースされているはずだった新作アルバム(あるいはシングル)をサポートするツアーとなるはずだった。が、結果はご存じの通り。新曲は1曲も披露されることなく、その演奏曲目からいっても「GOOD MORNING」ツアーと呼んでも差し支えない内容/演奏だった。当然、本日でエレカシ体験5回目(内4回がこの1年以内/驚)の俺にとっては、初めてライヴで聴く初期~中期曲が多かったことは収穫だが、残念ながら今回の内容では今後彼らが進んでいくであろう方向性は全く見えなかった。いや、もしかしたら今回の選曲‥‥敢えて前作「GOOD MORNING」からほぼ全曲を演奏したという事実が、来るべき新作への糸口となっているのかもしれない。まぁあのシングル1曲(「孤独な太陽」の2曲は別として考える)では、今後の方向は見えないしな?

  当日はCS放送で生中継するということもあり、かなり熱の入った演奏/歌を聴かせてくれた。特に宮本の喉の調子がかなり良さそうで、これまで観た中で一番迫力/説得力のある歌だった。MCも昨年千葉で観たあれは何だったのか?と思わせる程に少なく(笑)、少々ガッカリもしたりして。ただ、MCが少ない分演奏曲数が増えに増え、結果約2時間の間に22曲も演奏したのだから、これで満足しなかったら嘘になるだろう。

  "so many people"でいきなりスタートした時には鳥肌ものだったし、そのまま続く中期の隠れた名曲"うれしけりゃとんでゆけよ"、"赤い薔薇"といったライヴで初めて聴く曲に感動しつつ、1年振りの"風に吹かれて"は一緒に唄ってジーンとする俺。そのまま"ゴッドファーザー"~"情熱の揺れるまなざし"という「GOOD MORNING」からの6連発には正直立ち小便モノの緊張感を感じた。

  小休止ともいえるアコースティックコーナーでは、椅子に座った宮本がアコギ抱えて「東京の空」から"涙"を披露し、大拍手。夏の野音でもやったそうだが、初めて生で聴く俺にとっては感涙モノ。風邪気味だったので、涙の代わりに鼻水たらしておいたが(苦笑)。そのまま"孤独な太陽"へと続き、感動の中アコースティックコーナーは終了。

  ゼップ・ツアーでも披露された"かけだす男"からの3曲のアップテンポの並びはやはり最高。"デーデ"は今日で3回目だが、はやりこの曲を聴くと血管の血液が脳まで昇り吹き出しそうな程に興奮する。そして‥‥悲しいかな、やっぱりライヴでは名曲なんだよなぁ、"暑中見舞 -憂鬱な午後-"は‥‥聴く度に演奏やボーカルパフォーマンスに磨きがかかってくし。出来るならば、アルバムでは再録音して「今の」エレカシアレンジで収録して欲しいのだが‥‥まぁ小林だしな?(苦笑)

  そして本編ラスト2曲には、ファーストから"やさしさ"と"花男"という名セレクト。特に"やさしさ"の、強弱を強調した演奏・歌にはCD以上の緊張感と説得力を感じた。そして鳥肌‥‥逆境の中から光を見出そうとしてる彼らの底力みたいなものをそこから感じたのは、俺だけだったのだろうか? そして最後の"花男"の名セリフといえる「生きる屍さようなら」では、宮本もオーディエンスも手を振りかざす。まるで混迷の「今」とおさらばするかのように‥‥

  本編も濃かったが、アンコールも更に濃い。いきなり"ガストロンジャー"からスタートし(しかも過去聴いた中で最も攻撃的で、それでいて歌詞がハッキリと聞き取れた)、ここに持ってきたか?の超名曲"悲しみの果て"へと続き、1回目のアンコールが終わる。当然まだまだ続くだろうと、オーディエンスは拍手でメンバーの帰りを待つ。

  2度目のアンコールも意外な始まり方で、いつも本編ラストかアンコールラストというイメージのある"コール アンド レスポン"を持ってきて、我々を驚かせる。更に攻めの勢いのまま、ファーストアルバムの1曲目"ファイティングマン"へ。正直、今までずっとライヴで聴きたかった曲のひとつだったので、これだけでも大満足。が、ここで終わればいいものを、更にもう1曲"四月の風"でしめやかに終わらせる辺りに、実は今のエレカシの「混迷振り」が滲み出てるように思った‥‥のは俺だけ?(苦笑)あのまま爆発して終わらせれば、申し分のない500点満点のライヴだったんだけどな‥‥

  大興奮のままライヴは終了。が、オーディエンスの興奮は収まらず、更にアンコールを求める大きな拍手・手拍子が‥‥終演を告げるアナウンスの中、上半身裸の宮本が四度登場し、「ごめんなさん、もう演奏する曲がありません」と謝って、何故か吉田拓郎の"人間なんて"を唄いながらステージを後にする。いや、如何にもエレカシらしい、宮本らしい幕切れだった(笑)

  ツアーの度にまだタイトルも決まってない新曲を我々に披露してきたエレカシだが、レコーディングが全く進んでないどころか、新曲すら出来ていないのだろうか?(それとも披露するに到ってないレベルの曲ばかりなのだろうか)何にせよ、そういう点には不安は残ったものの、それとライヴの出来不出来はまた別。とにかくこれまで観たエレカシの中では過去最高の完成度と迫力だった。上で「"ファイティングマン"で爆発したまま終わっていれば申し分のない500点満点のライヴだった」と書いたが、それでも全部終わってみれば、それに限りなく近い点数をつけられる出来だったと思う。とにかく、こんなに晴れ晴れした気持ちでライヴ会場を後にするのは、そうはない事だ。9月のソウルフラワーもそういうライヴだったが、本当にエレカシといいソウルフラワーといい、精神性といい表現の仕方といい、滅茶苦茶素晴らしいライヴをやってくれる。

  さて‥‥この調子だと多分来年の春先まではライヴはお預けなのだろう。とにかく今は新しい音源だ。このまま小林武史と組んで作業を進めるのか、それともここで一旦関係を解消して、サポート的に過去の関係者(佐久間なり根岸なり)を呼んでセルフプロデュースになるのか‥‥全く予想がつかないが、とにかく次ステージに登場するときは、一点の曇りもない、馬鹿笑いと冷や汗を同居させた名曲と共に戻ってきて欲しいと切に願う。だってそれが出来る男だから、宮本浩次という人は。


[SETLIST]
01. so many people
02. うれしけりゃとんでゆけよ
03. 赤い薔薇
04. 風に吹かれて
05. ゴッドファーザー
06. 武蔵野
07. 精神暗黒街
08. 生存者は今日も笑う
09. I am happy
10. 情熱の揺れるまなざし
11. 涙
12. 孤独な太陽
13. かけだす男
14. デーデ
15. 暑中見舞 -憂鬱な午後-
16. やさしさ
17. 花男
--アンコール--
18. ガストロンジャー
19. 悲しみの果て
--アンコール--
20. コール アンド レスポンス
21. ファイティングマン
22. 四月の風
(23. 人間なんて / 吉田拓郎)



▼エレファントカシマシ『暑中見舞~憂鬱な午後~』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 12 08 12:00 午前 [2001年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2001/08/19

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL '01」DAY 3@茨城・国営ひたち海浜公園(2001年8月5日)

  さあ、丁度2週間遅れで順調に(苦笑)アップされていく「ひたちなか」フェスレポートも、いよいよ最終回。今年は運良く2つのフェス(フジロックとこれ)に足を運ぶことができ、非常に幸運だったと言えます。これを書いている丁度今も、千葉と大阪では同時にサマソニが行われ、今朝にはエゾロックも無事終了したようです。今年はどのフェスもいろいろと課題点を残したようですが、来年は更に素晴らしい、世界に誇れるフェスを沢山我々に提供して欲しいものです。


◎LOVE PSYCHEDELICO (at GRASS STAGE)

  昨年デビュー、今年1月のファーストアルバムがいきなりミリオンを達成し、「グレイテスト・ホープ」なのか「~ハイプ」なのか‥‥いろんな意味で話題のデリコ。さて、ステージではどういったものを我々に提示してくれるのやら‥‥

  ジョン・レノンの"Give Peace A Chance"という、如何にもなS.E.に乗せメンバーが登場。ボーカルとギター以外は全てサポートメンバー。キーボード&ギターの人は、どうやらニール&イライザの人らしい(後で聞いた話だが)。他にはベースとドラム。意外とシンプルな編成。で、出す音もこれでもか?って位にシンプル。いきなり最新シングル"FREE WORLD"からスタート。みんな手を上に手拍子。ボーカルもアルバムと同様、非常に英語っぽい日本語で唄う。思ったよりも骨太なロックンロールなのね? アルバムからは「胡散臭いレニクラ」っていう印象を受けたが(いや、レニクラも十分胡散臭いのだけど、いい意味で)、ステージは骨太でシンプル、かなりパワフルなイメージで、時々シェリル・クロウなんかを思い浮かべた。その印象を確信に変えたのは、続くカヴァー曲"LIKE A ROLLING STONE"だろう。ディランというよりも、ストーンズがカヴァーしたアレンジに比較的近いかも。その後も帰国子女っぽい!?MCを挟みつつ、アルバムからのチューンやヒットシングルを披露。思ってたよりも好印象だった。

  先のS.E.とイメージがダブる"A DAY FOR YOU"でしっとりとステージは終了。アルバム1枚しか出してないグループにしては上出来と言っていい内容だったと思う。どっちかっていうと野外よりもクラブとかで観た方が好印象かな?と最初思ってたものの、こういった開放的な空間でこそ活きてくるライヴアクトだった。ミリオンアーティストやそれに近い存在(BUMP OF CHICKEN)が各日のオープニングを飾るってのは、かなり豪華だ。こんなフェス、海外を探してもそうはないだろう。また積極的に観たいかと問われれば返答に困ってしまうが、まぁ1回は観ておきたかったバンドなので、これで良しとしよう。


01. FREE WORLD
02. LIKE A ROLLING STONE (cover of BOB DYLAN)
03. I MEAN LOVE ME
04. I MISS YOU
05. YOUR SONG
06. LOW
07. ノスタルジック '69
08. "O"
09. LADY MADONNA
10. LAST SMILE
11. A DAY FOR YOU


◎GRAPEVINE (at GRASS STAGE)

  つうわけで、定刻通りにメンバーがステージに現れる。先日ベーシストでリーダーの西原が腱鞘炎悪化の為、バンドを離脱~一時休業を発表した後の初ツアー。西原を欠いた後に発表した「CIRCULATOR」がこれまた大傑作ということもあって、否が応でも期待してしまう。あのアルバムでの「男気ロック」をこの大舞台でどれだけ表現することができるのか‥‥サポートのベーシストとキーボーディストを含めた5人が揃い、まず最初に新作からの先行シングルのひとつ"discord"からスタート。アルバムよりも柔らかいイメージの演奏。もっとゴツゴツしたもんだと思ってたが、想像とは違いちょっとだけ肩すかし。けど、彼らはこんなもんじゃなかった。

  基本的には先日の新作「CIRCULATOR」を中心に進められ、それ以外の曲はその新作収録のシングルカップリング曲という「全編新曲」オンリーの、挑発的なステージ‥‥びっくりしたことに、ヒットシングル"スロウ"や"羽根"、"光について"といったオイシイ曲は完全に排除された、本気汁100%の「男気ロック」路線だった。田中は何度も曲の合間に「気持ちえぇ~♪ ここ、めっちゃ気持ちえぇ~!」と叫ぶ。相当このシチュエーション、そしてステージを気に入ったらしい。終始笑顔だ。後半ではTシャツも脱いで上半身裸でギターを掻きむしっていた程だ。

  やっぱりライヴで聴いても"風待ち"は名曲以外の何ものでもなかった。ググッときた。この感覚‥‥アルバムを聴いていた時点でも思っていたが、やはりそうだ。このバンド、OCEAN COLOUR SCENEと同じ空気を感じる。特にそう感じさせたのは、圧巻だったヘヴィブルーズ3連発("アルカイック"~"パブロフドッグとハムスター"~"壁の星")だろう。「暑苦しくてゴメンな」と田中が言ってた通り、この選曲は野外、いや、フェス向きとは言い難い。しかし、それでも自信を持って連発するってのは今のバンドの好調振りと揺るぎない自信の表れではないだろうか。2番手でこんな冒険、普通のバンドならしないだろう。実際、この辺から後ろへと戻っていく客も多く見受けられたし、つまらなそうにしてる客も少なくなかった。失敗と取ることもできるが、俺は田中の歌から目を、耳を離すことができなかった。言い過ぎだが、スティーヴ・マリオットを彷彿とさせるソウルフルな歌声に、シビレていた。あの細い身体からこんなに太い声を出すんだから‥‥

  後半は比較的ノリのいい曲を並べて、最後もやはり新作からの"B.D.S."で幕を閉じた。ここまでくると頭が下がる思いだ。「アルバムの方がよかった」という声もちらほら聞こえ賛否両論のようだが、俺は彼らを支持したいと思う。


01. discord
02. きみが嫌い
03. 風待ち
04. アルカイック
05. パブロフドッグとハムスター
06. 壁の星
07. (All the young) Yellow
08. So.
09. HEAD
10. B.D.S.


◎GO!GO!7188 (at LAKE STAGE)

  お堅いロックファンからは小馬鹿にされることの多いGO!GO!7188だが、俺はかなり気に入っていて、アルバムは現在に至るまで愛聴している程だ(ちなみに、ひたちなかに向かう車の中でもエンドレス状態で「蛇足歩行」を回していた)。昨年デビュー組の中では、RIZEと共に大プッシュしていたのだが‥‥

  メンバー3人がステージに登場し、適当に楽器を鳴らしていると、それがそのままインストナンバーへと続いていく。そしてそれはオープニング曲"ロック"へと続く。ユミとアッコのツインボーカルともいえるハーモニーがバシバシ決まる。そういえば‥‥1年前はまだ垢抜けてなかった彼女達も、気づけば二人共金髪やらになっていて‥‥(笑)

  MCや曲紹介はベースのアッコがするようで、間髪入れずにあの曲名が叫ばれる‥‥そう、"ジェットにんぢん"だ(笑)。きっと、この曲で引いちゃう人が多かったんだろうな。俺は逆で、これでバカ笑いしながら絶賛したんだけど。最後のオチ(「ジッタリン・ジン」)もオーディエンスみんなが大合唱(爆)。いや~、馬鹿馬鹿しくてよろしい!

  この日は未発表の新曲も幾つか披露され、その中でも新境地ともいえるナンバー"考え事"がかなりよかった。オープニングとエンディングをアッコが唄い、それに応えるようにユミが唄うといったバラードナンバーで、とっても切ない曲だ。ちょっとホロッときてしまった(苦笑)。

  考えてみれば、この日はファーストからのヒット曲"こいのうた"も、夏にピッタリな"太陽"も演らなかった。勿体ない‥‥とは思うものの、新曲をバンバンやるってことは、既に彼女達は次のフェイズに向かって走り始めているってことなのかもしれない。それは最新シングル"あぁ青春"からも伺えた。思っていた以上にゴツゴツとした音を出すバンドへと成長していて、ある意味この日俺が観たバンドの中では一番硬派な音をしていたかも‥‥また観たい。純粋にそう思った。セカンドアルバム次第でどんどん化けていくバンドだろうな‥‥是非次のアルバムが出たら、単独公演を観たいな♪


01. ロック
02. ジェットにんぢん
03. 行方不明
04. 考え事(新曲)
05. とかげ3号(新曲)
06. あぁ青春
07. 文具
08. パンク


◎In the Soup (at LAKE STAGE)

  選曲等は前回の野音+αといった感じなので、聴き覚えのある曲が並び、前回よりも安心して観ることができた。ファンも大勢前へ駆けつけ、かなりいい感じだった。それにしても、ボーカルの中尾は本当にソウルフルでいい声してるなぁ‥‥

  MCがこの日はバシバシ決まっていて、かなりの笑いを誘っていて好印象。「今日の僕達は3~4車線の高速道路だ。意味は家に帰ってから考えればいい」とか(笑)。で、圧巻だったのはやはり"グリーングリーン"のパンクバージョン。アドリブが続出、それが上手い具合に大ウケ、野音での悪夢が嘘のようだ。コールアンドレスポンスも感動する位に上手くいってたし、中尾も興奮して「何やってもいいよ」とか言ってステージを下りて、スタンディングエリアの後方まで走り回るし(!)。その後、「殺気を覚えたよ」といって戻る。最後はもうじきリリースされる(野音でもエンディングだった)"檸檬~レモン~"で頂点に。いやぁ~、俺。こいつらマジで気に入った! アルバム出たら買うよ。いや、シングルとりあえず買うってば。今度は単独公演ですな。10月の野音、行けるかなぁ‥‥


01. イタイ×イタイ
02. 針の山
03. ホライズン
04. 存在の証明
05. 風の子
06. 東京野球
07. グリーングリーン
08. 檸檬~レモン~


◎POLYSICS (at LAKE STAGE)

  一昨年のフジロック3日目に出演。ホワイトステージ1発目だったこともあって、俺は観れなかったが‥‥ずっと観たかったんだよね♪

  マーチングバンドのよく耳にする曲が流れる中、メンバー4人がでっかい「POLY」のロゴの入った旗を持って行進しながら入場(笑)、この時点で爆笑の渦。ギター&ボーカルのハヤシがホイッスルを吹いて、全体止まれ(笑)。旗をスタッフに預け(しかもスタッフの彼氏、ライヴ終了までその旗を持ったままステージ後方に立たされっぱなし)、ハイテンションに演奏スタート。かなり懐かしい曲(インディーズ盤から)も交え、1曲目が終わった時点で「いくぞ!残り12曲!!」って笑いも欠かさない。途中、ハヤシがMCを取り始めると、全員が同時にMCを始める(爆)。こりゃ狂気の沙汰だ‥‥マジ腹抱えて笑わせてもらった。昔はよくこのネタ、やってたみたいだね? さすがにもう食パンは投げないようだが(苦笑)、演奏や楽曲はポップで親しみやすく、それ以外では笑いが絶えない。こんなにエンターテイメント色が強いバンドだとは‥‥

  後半、シンセのカヨがTHE KNACKの"My Sharona"のカヴァーを唄ったりなど、最後まで全く飽きさせない内容で、本当にこいつら13曲もやったの!?って疑ったくらい、あっという間に終わってしまった。お客も大絶賛&大爆笑だった。ここまでのレイク3連発、大当たり!


01. T RIANGLE
02. URGE ON!!
03. NEW WAVE JACKET
04. GOOD
05. KASUGAI
06. Pike
07. My Sharona
08. Poly-Farm
09. XCT
10. MS 17
11. AT AT
12. go ahead now!
13. Hot Stuff


◎エレファントカシマシ (at GRASS STAGE)

  昨年から引き続き連続出演となるエレカシ。フェスで観るエレカシ、一体どうなるのやら‥‥意外と俺は、フジロックのグリーンステージにも合ってると思うのだけど‥‥

  メンバーはいつも通り、勿体ぶらずに登場。宮本はのっけから「オ~イェ~ッ!」と煽る。そしてカウントが入り、いきなり"ガストロンジャー"だ。彼らを知らない人でも、この曲に惹き付けられたらしく、スタート直後に後方から前へと客が駆け寄る。俺はかなり前の方で観てたのだが、宮本は調子良さそうな感じだった。前日、仙台のフェスにも出演していたそうだけど、その疲れは感じさせない。まだ1曲目だというのに、既に宮本、石くんいじりが始まる(笑)。シャツ脱がされてます、蹴り入れられてます、羽交い締めにされてます‥‥(涙)

  続けざまに、音源としては未発表(?)のライヴ定番曲"夢をみようぜ"に突入。初めて聴くのだが、初期エレカシらしい、ストレートでアップテンポなナンバー。珍しく石くんがコーラスを取っている。「いつも同じことばっかりやってんじゃねぇよ!アドリブがきかねぇんだよ!!」と宮本に叱られる一面も(苦笑)。嗚呼、石くん‥‥

  宮本の「僕ら、もう20年選手なんですけどね‥‥」てなMCに続いて、なぁ~んとサードアルバムから"夢のちまた"が!! よくこんな曲をアルバムのトップに持ってきたもんだ‥‥端から市場のこととか考えてないんじゃないだろうか、この男‥‥(苦笑)それにしても‥‥名曲には違いない。すっげぇ‥‥ため息しか出ない。そこから前のゼップツアーでもやってた"孤独な旅人"~"悲しみの果て"へと続く。

  トミのカウベルでのカウントで、次の曲の想像がついた‥‥今回も聴けるのか、"デーデ"だよ! 前回聴いた時よりも演奏はまとまっていた。やっぱり初期のハードコアな曲はググッとくるね。そしてアルバム通り、間髪入れずに"星の砂"へ‥‥!!! 俺、この時点で衝天してました(笑)。7月の野音ライヴでのセットリストに比較的近い選曲だけど、あれ観てない身分としては、大興奮。石くん、ここでもコーラスやってました(そうえいば、曲終了後に宮本「"星娘"でした」って言ってたけど‥‥それって西郷輝彦の曲じゃ‥‥/苦笑)。

  フェスだろうが何だろうが、宮本マイペース。相変わらずMC長い。けど、やはりフェスってことだろうか、「‥‥ってつまらないですか?」と気を遣う一面も(苦笑)。そして名曲"孤独な太陽"‥‥ここで男泣き(心の中で)。夕焼け空にまたピッタリなんだわ、この曲。

  続いて"昔の侍"‥‥なのだが、トミが入りを間違える。テープに合わせて演奏する曲だけに(オーケストラパートね)、入りが難しそうだ。宮本に「プロとしてあるまじき行為」となじられ、2回目も危うかったが無事終了。ちょっと冷や冷やもんだった。そして宮本「レディ~ス、アァ~ンド、ジェントルメェ~ン‥‥グッドイブニィ~~ング!」と叫び、前作より"ゴッドファーザー"を披露。カッコイイねぇ、「GOOD MORNING」の楽曲は。初期の攻撃性とはまた違った「攻め」の空気感があるんだよね。そして同作より"武蔵野"。更に新曲"暑中見舞 -憂鬱な午後-"。この曲、絶対にライヴバージョンの方が何百倍も素晴らしい。小林武史プロデュースってことで、一体どうなるんだろうと期待したものだが、出来上がったテイクは正直「うそぉ‥‥」っていう代物だった。先にライヴで聴いてた曲だけに、その仕上がりにかなりガッカリしたものだった。この辺は宮本も気づいているようだが‥‥アルバムは一体どうなることやら‥‥11月にツアーがあるってことは、その辺にアルバム、又はまたシングルが出るってことだろうからなぁ‥‥ちょっと怖いです、今度のアルバム。

  最後はお約束ともいえる"コールアンドレスポンス"‥‥なのだが、またテープと演奏が噛み合わない。やり直しを命じる宮本。しかし、テープの頭出しに手間取る。手際悪すぎ、今日のスタッフ。痺れを切らした宮本、トミにテープなしで演奏開始することを命じる。結局、コーラスパートや打ち込みパートの一切ない、生々しいバージョンの"コールアンドレスポンス"を体験することとなる。「時間なんて関係ないよな?」と言ってたものの、やはり宮本も人の子。とりあえず時間超過したものの、なんとか終了。はっきり言って、こりゃトリですわ、事実上の。ここで燃え尽きたって人、多かったんじゃないかな? 実際、中村くんを観ないで帰っていく観客の姿を数多く目にしたし(それともそのままギターウルフ観に行ったのかな?)

  1時間ちょっとと、確かにいつもより短いのだけど‥‥それでも内容はかなり濃いもので、これまでに観た3回の中で、一番満足のいくセットリストだった、個人的には。こりゃ、秋のツアーも追っかけるんだろうな、俺‥‥(苦笑)


01. ガストロンジャー
02. 夢を見ようぜ
03. 夢のちまた
04. 孤独な旅人
05. 悲しみの果て
06. デーデ
07. 星の砂
08. 孤独な太陽
09. 昔の侍
10. ゴッドファーザー
11. 武蔵野
12. 暑中見舞-憂鬱な午後-
13. コールアンドレスポンス


◎中村一義 (at GRASS STAGE)

  さぁ、中村くんだ。セットチェンジも30分かからずに、パッパと進められたようだ。すると、千葉県民なら誰でも聴き覚えのある、ある曲が‥‥「ERA」にもシークレットトラックとして収められていた、「千葉テレビ」の放送開始時&終了時に流れる、あの曲がステージに流れ始めた(笑)。おお、始まるな‥‥そう思っていると、バンドメンバーが続々とステージ上に現れる。最後にペットボトルを持った中村一義が登場。少々緊張気味の中村くん、ステージから観客を見渡し、引きつった笑顔で応える。そしてギターを抱えて、あの「4,3,2,1‥‥」というカウントの後に「どぉ~おぉ~、(ドン/バスドラの音)どぉ~おぉ~♪(ドンドン!)」っていう、あの名フレーズが‥‥そう、デビュー曲"犬と猫"からスタートだ! 実は俺と中村くんの間には、ちょっとしたエピソードがあって‥‥って別に知り合いだとかそういうのではない。4年程前、東京の某区に住んでいた頃、よく利用していた近所のCD屋があった。そこの常連が中村くんだったのだ。1度だけ、デビュー前の彼と遭遇したことがある。オーラすら感じさせない、ごく普通の青年だった。「今度デビューするんで、CD買ってあげてね♪」と店長に勧められ、その場で予約購入を約束。その直後にこの"犬と猫"が発表されたのだ。個人的には当時の趣味の範疇ではなかったこともあり、このシングル1枚しか聴いてこなかった‥‥それが昨年、俺の中で一気にブレイクした。そして、今年‥‥まさかこういう形で再会するとは‥‥感慨深いものがある。

  続けざまに新作より"ショートホープ"の「両切りバージョン」(オープニングとエンディングの弾き語りパートをカットした、シングルバージョン)を披露。宅録アーティストと思われがちな彼、こういうライヴ映えするナンバーもいくつも抱えている。勿体ないよな、ライヴやらないなんて‥‥

  ここで、初のMC‥‥「やっと唄えたよぉ~!」思わず吹き出してしまったが、本人や昨年涙を飲んだファンからすれば、感動の一言だっただろう。けど、第一声にそれはないだろう‥‥まぁ中村くんらしくて、微笑ましいが。その後"歌"や、新作からの短いナンバー"グレゴリオ"、そして「4500円」CMでお馴染みの"君ノ声"を間髪入れずに演奏。思ったよりも声が出ていて、最初は確かに緊張を感じさせたが、だんだんリラックスしていったようだ。気持ちよさそうに唄ってたっけ。そりゃそうだろう。生まれてからまだ数本しかライヴをやってない人間が、いきなりこんな大舞台だもの。

  5曲終えた時点で「次の曲で最後です‥‥」‥‥って、おいぃ!(爆)30分で終わりかよ!? セッティングで押したせいだ、エレカシが超過したせいだとか色々言われたが、結局最初っから30分の予定だったらしい。今後、ツアーの予定どころか、全くライヴの予定のない彼。現在既に次のアルバムに向けて作業中ということもあって、ちょっとした息抜きにはなっただろう。最後は現在のニッサン「4500円」CMに使われている未発表の新曲"キャノンボール"(但し仮タイトル)でエンディング。この曲もまだ発売日が決まっておらず、「できたら年内に発表できれば‥‥」ってことらしい。アップテンポの、ポップで親しみやすいメロディーを持った、いかにも中村一義らしいロックナンバーだ。もしかしたら今後、アレンジとか変わるかもしれないが、この時点でもかなりの好印象。早く新しい音源を聴きたいものだ(その前に、俺にはファースト&セカンドアルバムが待っているが)。

  きっと、1年待たされたファンにしてみれば、「1年待たされて、たった30分」という人と「30分でも幸せ♪やっと聴けたわ」という人で意見が分かれるんだろうな。俺は‥‥確かに短いとは思った。トリじゃないだろ、これじゃあ?とも感じた。けど、次に繋ぐ意味では、この物足りなさで丁度いいのかも‥‥なんて思ったりして。とにかく、やっぱり観て正解だった。ますます好きになったかも。


01. 犬と猫
02. ショートホープ(両切りバージョン)
03. 歌
04. グレゴリオ
05. 君ノ声
06. キャノンボール(仮題)


◎総評

  どうしても一番最初にできたフェスということもあり、また俺が唯一何度も経験しているということもあってフジロックと比べてしまうのだが‥‥そりゃ別物だから比較がどれだけ意味があるものかは判らない。けど、学ぶべき箇所は沢山あるはずだ。

  まず、リストバンドの問題。これは昨年よりも弱いことが判明。来年への課題のひとつだろう。更に、出演バンドにアイドル的人気アーティストが多かったことから発生する「場所とり」。1年目のイエモンから既に問題になっているし、特に今年はミスチルが出演した2日目、これが問題になったようだ。大体、場所取りしてるだけで他の音楽には全く興味なし、ってのは出演者やそのファン、更にはスタッフに対しても失礼この上ない。確かにミスチルのようなバンドはそう前で観る機会はないだろう。チケットも取り難いし。けど、フェスにはフェスの常識‥‥「無言の了解」がある。それを守らないと、後々に大きな事故に繋がる恐れだってある。例えば、今年はフェス前に関西で大きな将棋倒しの事故があった。ああいう事故だって十分に考えられる。この辺はファンの意識の問題だから主催者がどれだけ呼びかけようが、どうしようもないのかもしれない。だからといって、そういうファンの多い、人気のあるバンドを呼ばない‥‥なんてのはちょっと違うし。例えば、来年GLAYが出たとしたら‥‥間違いなく、今年と同じようなことやってたら、大きな事故に繋がるだろう。

  それと、外タレ。絶対に呼ばない方がいいって。特にジョンスペは昨年、サマソニでJBが前に演奏することによって、あんな目に合ってるってのに、今年も散々な目にあわされて‥‥これで日本が嫌いになったらどうするの?(苦笑)とてもあの「rockin'on」の仕事とは思えない代物だった。JJ72も可哀想だったよ。

  また、セットチェンジの時間が30分ではやはり短いような気がする。結局後に後にと影響していくんだから‥‥それなら各日出演者数を1つずつ減らして、セッティング時間を40分に延ばし、更に余った時間をそれぞれのアクトに回してやればいい。ファンも納得するだろう。3日間で40アーティスト。確かに多くて魅力的だが、それだけ多ければ、観る側にも負担がかかる。「全部を観ようとするな」とは言われても、やはり観れるだけ観たいと思うのがロックファンの常だろう。そういう心理も判って欲しい。だからこそ、間のインターバルの時間を長めに取って、その分を休憩に回したり、移動の時間に当ててやったらどうだろう。

  勿論、悪い面ばかりではない。トイレの数。まずトイレ前で並ぶなんてことはなかった。それだけ数があったし、フジやサマソニでの混雑が嘘のようだった。しかも、トイレ内が意外と綺麗だったこと。これも声を大にして言っておきたい。スタッフが徹底されているのか、それともファンの意識がフジよりも高いのか‥‥今年のフジはゴミ問題にしろ、例年以上に悪かったようなので、この辺は見習うべきだろう。

  また、ゴミが思ったよりも散らかっていなかったこと。確かに「燃えるゴミ」と「ペットボトル」という風にしか分別されていなかったので面食らったが、それでもタバコのポイ捨てやゴミの散乱は余り見受けられなかった‥‥本当、頻繁に回収されていたようだし。

  サマソニと違って、もの凄く「観る側」の視点で作られているフェスだな、と感じた。この辺はフジやエゾを経験してきた「rockin'on」社員の意見によるものなのだろう。或いは、フジ経験スタッフが多かったのかもしれない。個人的な意見としては、毎年絶対に3日間通して行こうとは思わないが、近場だし、出演者によっては通しで行こうかな?って感じだろうか。けど、間違いなく、日帰りでも必ず1日は行くんだろうな‥‥だって、楽しかったもん。フジとは違う楽しさ‥‥ライヴ以外の娯楽ってのが少ないのだけど、DJブースとか、場合によっては遊園地アトラクションもあるし、カップルで行ったら楽しめるかも‥‥(涙)

  というわけで、来年も行きます。是非このまま、ひたちなかで続けてください。そして、来年はもっと素晴らしいフェスになることを祈って‥‥

投稿: 2001 08 19 04:02 午前 [2001年のライブ, GO!GO!7188, Grapevine, In the Soup, LOVE PSYCHEDELICO, POLYSICS, ROCK IN JAPAN FESTIVAL, エレファントカシマシ, 中村一義] | 固定リンク

2001/05/21

エレファントカシマシ@Zepp Tokyo(2001年5月20日)

  というわけで、エレカシである。前回のツアーは昨秋リリースのコンピ盤「SWEET MEMORY ~エレカシ青春コレクション」をプロモートするツアーでもあったわけで、そこでいち早く新曲"孤独な太陽"が披露されていた。今回のツアーは全国にあるゼップ会場を回るクラブツアーになるわけだが、新曲リリース後にニューヨークへ飛んでレコーディングをしていたというそうだから、この場で再び新曲が何曲か耳に出来るのでは‥‥そんな思いを胸に、約2年振りにお台場・ZEPP TOKYOへ向かった。

  会場には開場時間1時間前に到着してしまった。既にグッズの先行発売を行っていたが、会場内からはリハーサルの音が漏れている。"コールアンドレスポンス"のようだ。ツアー開始2日目という事で、感を取り戻す為に念入りなリハーサルを開場直前まで行っているようだった。

  その後、会場周辺をぶらつき、開場時間の17時を過ぎた頃に再びZEPP前へ。既に入場の為の行列が出来ていた。俺はB280番台だったので、暫くその行列を眺めながら今日演奏して欲しい楽曲を勝手に想像していた。果たして秋冬のツアーとどう変えてくるのか‥‥

  ZEPPは独特な柵分けがあって、ダイヴなどがしにくいような気がする。まぁエレカシでダイヴっつうのも‥‥見てみたい気もするが。俺は会場中央よりちょっとだけ前寄りに陣取り、ライヴのスタートを待った。前回同様10分遅れでスタートした。上下黒で統一したメンバー4人が現れる。「Oh,Yeah!」を連呼する宮本。ホールとは違い、独特なノリが感じられた。

  1曲目は先日発売のマキシシングルに収録された"東京ジェラシィ"。ちょっと意外だった。かなり低いキーから唄い出す曲なので、ちょっと聴き取り難かった。キーが高くなって判明したのだが、この日の宮本の声の調子はあまりよくないようだった。何か既にツアー後半戦的コンディションというか‥‥千葉で観た時と同じような状態のような気がした。リハーサルに気合い入れすぎたのか、それとも最近はいつもこんな調子なのか‥‥この状態は最後まで続いたが、前回のように後半更に酷くなるということもなく、この状態を維持したまま、宮本は最後まで唄い叫んだ。

  続く2曲目はお馴染み"明日に向かって走れ"。前回と同じ構成だ。特に目新しいことなし。ただオーディエンスとメンバーとの距離感が短いせいか、「歌」がよりダイレクトに届いた、そんな気がした。メンバーの表情も手に取るように判るし。3曲目は先頃JR東日本のCMにも起用された、懐かしい"孤独な旅人"。出だしのギターのキーを宮本が間違っていた為、一瞬ドキリとしたが、そこはさすがプロ。何事もなかったかのようにオリジナルのキーに戻っていた。

  この後の展開は、やはり前回同様の"悲しみの果て"や、久し振りでは!?の"おまえと突っ走る"といった「ココロに花を」の楽曲を連続3曲披露。ちょっと嬉しかった(好きなアルバムなだけに)。そして一端"今宵の月のように"を披露した後、小休止。アコースティックコーナーへと移る。

  ここでは「愛と夢」から唯一披露された"真夏の夜空は少しブルー"がいい感じだった。前回のツアーでも時々演奏されていたようだが、「愛と夢」再評価が俺の中で盛り上がっている時期だったので、ちょっと嬉しい。本当はもっと他の曲も聴きたかったのだが‥‥そして続けざまに披露されたのが、「東京の空」収録の"誰かのささやき"! これには正直驚いた。タンバリンをサンプリングした打ち込みに合わせて演奏するという昨今のスタイルで演奏されたのだが、この時点までに演奏されていた『ポニーキャニオン~東芝移籍後』の楽曲と全く違和感がなかった。傑作「東京の空」というのは、今思えば初期のストロングスタイルのエレカシと、移籍後の歌を聴かせるスタイルのエレカシとの橋渡し的作品だったのではないだろうか? もっともあの時点での契約終了がなければ、「ココロに花を」は存在しなかっただろうけど。そういう意味では、本当にバランスがとれた作品だと思う、「東京の空」は。

  少し話が脱線したが、ライヴに戻ろう。アコースティックコーナーの締めは、最新シングルの"孤独な太陽"。昨年末のツアーでも既に披露されていた、あの曲だ(但し、当時はまだタイトルがなかった)。前回同様、宮本は椅子に座ってギターを弾く。あれっ、確か昨年のツアーではアコギだったような気が(テレビや今回のライヴではレスポールだった)。アレンジ自体は殆ど変わっていないようだが、リリースされて歌詞に目を通した分、より伝わって(聴き取れて)心に響いた。もっとヒットしてもいいはずなのだが‥‥

  ここで宮本、手ぶらに。「新曲がやっと1曲出来ました。えっと、いつ出るんだっけ? 7月?(と石くんに問いかける)ってこのオヤジに聞いても判るわけないか」と、相変わらずギターの石くんイジメ(笑)。そして披露された新曲は、パワーコード一発!って感じのリフが印象的な、アップテンポのロックナンバー。曲の構成は比較的シンプルで、Aメロとサビの繰り返し。低いキーからスタートし、後半オクターブ上がりするのは、最近の宮本のパターンなのか? 「豊かさの中の流浪の民よ」「俺達の憂鬱を」といったフレーズが耳に残り、「闘争」という言葉も何度か出てきたような記憶が‥‥歌詞だけ取れば、初期エレカシ的スタイルなのかもしれないが、メロディーが「現在進行形」のエレカシを感じさせるもので(特にコード進行に それが顕著に表れている)、まぁヒットは期待できないかもしれないが、次の一手を占う意味では非常に興味深い作品だと断言できる。
  そして何より、この新曲も「あくまでバンド」として演奏していた事が嬉しかった。前作では宮本の独断で打ち込みを取り入れ、それが楽曲に上手く作用していたが、石くんも成ちゃんもトミも、上手く生かし切れていなかったのでは?という疑問も少しだけあった。だからこそ、今年に入ってからの新曲が「あくまでバンド」主体の楽曲‥‥打ち込みに合わせて演奏するのではなく‥‥ばかりだという事に、俺はちょっとドキドキしている。もしかしたら、ハードサイドとソフトサイドが上手く融合した、過去最高のエレカシが生まれる可能性もあるし、逆に転ける可能性もある。恐らく秋にはアルバムが手元に届くはずだから‥‥その時にまた続きを。

  ここから後は、前回のライヴ同様、お馴染みの曲で攻めてエンディングまで持っていく形だ。前作からの"武蔵野"を披露した後に、トミのスネア頭打ち‥‥会場騒然、そう、本編ラストは"コールアンドレスポンス"だ。宮本は途中でギターを下ろし、狭いステージの上を右へ左へと暴れまくる。ここまでは高音がかなりきつそうだったが、それでも前回よりはいい方だ。マイクを床に叩きつけてステージを去り、本編終了。当然、アンコールを求める拍手が延々続く。

  ステージ袖から走って登場する宮本。シャツを黒から白に着替えている。やっぱり宮本といえば白シャツだろう。「もう何曲かやります!」の声に、観客大喜び。さて、ここまでで「エピック時代」の楽曲は1曲のみ。他にも期待できるのか?

  まずは再び「ココロに花を」から"かけだす男"。これも好きな曲だ。ハードだが泣きのメロディーが胸に響き、切なくなる曲だ。後半メロディーや節回しが複雑になるところが特に好き‥‥演奏もタイトだ。

  エンディングを引っ張り、宮本がトミに何か話しかける。相づちを打つトミ。カウベルを叩き始める‥‥ということは‥‥石くんが、あのリフを弾き始めた!!! "デーデ"じゃないかっ!!! ファーストからの曲が聴けるとは、思いもしなかった。1月の武道館ではやったらしいが、まさか今日ここで聴けるとは思ってもみなかった。俺もそうだったが、当然のように他の観客もこの日一番の盛り上がりを見せた。何せダイヴする客まで(!)現れたんだから‥‥そう、本当にエレカシのライヴでダイヴを観る事になろうとは‥‥っ!!! 初めて聴くライヴヴァージョンは、アルバムよりもハードコアなアレンジだった。特にサビに入る前のシンコペーション‥‥ガッガッガッってギター・ベース・ドラムが一丸になるところね‥‥のリズムが速くなるところ! 思わず拳を握りしめてしまった! 再びマイクを床に叩きつけてステージを去る宮本。当然、アンコールを求める拍手その2が延々続くのだった。

  そして2度目のアンコール。またまた「ココロに花を」から"四月の風"を披露。このアルバムの中で一番好きな曲だ(!)。ひとり泣きそうになりながら唄う、唄う‥‥それにしても、今回のツアーは「ココロに花を」の楽曲がここまでで5曲も披露されているが、これには何か意味でもあるのだろうか? たまたま選曲したらそうなったのか、それとも新作への伏線なのか? 非常に気になるところだ(でも、何か宮本の気まぐれのような気もするけど/笑)。

  最後の最後にプレイされたのは、名曲"ガストロンジャー"だ。当然客もステージも大暴れ。宮本は再び石くんに技をかけたりして、演奏の邪魔をする。それでも、何事もなかったかのように笑顔で演奏に戻る石くん‥‥やっぱり君こそ、真のギターヒーローだっ!(笑)

  まぁこんな感じでライヴは終了したのだった。時間にして、正味1時間半といったところか。前回とほぼ同数の演奏だったが、意外とあっという間に終わった感がある。まぁ今日でこのツアー2日目ということもあり、まだ肩慣らし(或いはリハビリ)状態にあるのかもしれない。演奏も危うさを感じる箇所が、途中何度かあったが、トータルで見れば満足のいく、いつも通りのエレカシだった。

  今回はアルバムレコーディング時期のライヴだったのだが、思った程新曲は披露されず、完全な新曲はたった1曲のみだった。ライヴ前は、もっと演奏されると勝手に想像していて、それらの楽曲とこの日のエレカシの状態から新作を占おうなんて思っていたのだが‥‥エレカシはいつも通りのエレカシだった(苦笑)。毎回何か新しいことを要求するのは少々酷かもしれないが、その辺は歴史の長いバンドだ、過去のレパートリーから意外な選曲をすればフォローできるだろう(新しさは皆無だが)。メンバーにとってはレコーディング最中の息抜き的(或いはレコーディング終了後のリハビリ的)ツアーなのかもしれない。まぁそれもいいか‥‥

  という事で、次に俺が彼らを観るのは、8月5日の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」だ。フェスという事で演奏時間は短いだろうが、ファン以外の人間をも巻き込んで盛り上げてくれるような内容になるだろう‥‥ことを勝手に祈っている。


余談:この日は通常よりも1時間早い開場・開演時間だったのだが、当然バンドの入り時間やリハーサルの時間も1時間早まるわけだ。そこで宮本はこの日、10時に目覚ましをセットしたのだが‥‥目が覚めたら昼の1時だったそうな(笑)‥‥まぁギリギリリハーサルには間に合ったらしいが‥‥新曲と言って、即興でそういう歌詞を付けた曲を演奏するエレカシって‥‥お茶目だ(笑)。


[SETLIST]
01. 東京ジェラシィ
02. 明日に向かって走れ
03. 孤独な旅人
04. 悲しみの果て
05. おまえと突っ走る
06. 今宵の月のように
07. 真夏の星空は少しブルー
08. 誰かのささやき
09. 孤独な太陽
10. (新曲)
11. 武蔵野
12. コールアンドレスポンス
--アンコール--
13. かけだす男
14. デーデ
--アンコール--
15. 四月の風
16. ガストロンジャー



▼エレファントカシマシ『sweet memory~エレカシ青春セレクション~』
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投稿: 2001 05 21 05:09 午後 [2001年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2000/12/31

エレファントカシマシ@千葉県文化会館(2000年12月10日)

  唐突だけど、地元(ここでは広い意味で、千葉県って事で)でライヴを観るってのは、やっぱりいつもと違うね。変な意味での「安心感」みたいなもんがあって。東京に住んでた頃にもちょくちょく県内のホールやライヴハウスに出向いてたけど、安心するんだよね、見慣れた風景や場所が。例えば、俺は学生時代は神田~秋葉原~お茶の水ってのがホームグラウンドで、その後勤めてたのが新日本橋だったので、なんだかんだで5~6年は神田周辺にいたんだよね。だから今でも所用でその辺に出向くと、妙に安心するんだわ。ビジネスホテルを神田周辺に取るのも、それがちょっと関係してるんだけどね。

  っていきなり関係のない話からスタートしたけど(笑)、千葉県文化会館でエレカシを観てきました。エレカシ自体はかなり前、アクト・アゲインスト・エイズ(AAA)@武道館で初体験してまして、その時は確か「東京の空」出した後で、かなりいい感じだったんだけど(実はその時はミスチル目当てで行ったのだけど)、年明けてすぐに契約切られた事を知るという‥‥で、その後の彼らの紆余曲折~快進撃はご存じの通り。何度か観ようかな?とは思ってたものの、なかなか機会がなくて。今回、本当にたまたまなんだよね、千葉県文化会館で、しかも日曜に‥‥こりゃ行くしかないでしょ!(笑)

  でね、俺。実は勘違いをしてた事が発覚して‥‥「JR千葉駅」から歩いてすぐだと思ってた千葉県文化会館。よくよく調べたら「本千葉」という駅から徒歩10分だった‥‥危なかったよ、マジで。(笑)

  さて、ここからはマジでレポートに。開演時間が18時という事だったけど、俺が会場に着いたのはほぼ定刻。でもまだ始まる気配がなく、結局始まったのは10分過ぎてから。ステージにメンバーが続々現れ、最後に宮本が登場。「OH YEAH!」を連発する宮本。白いYシャツに黒いパンツという、お馴染みの出で立ち。ストーンズやストリート・スライダーズを彷彿とさせるラフなロックンロールへと進化していた"good-bye-mama"からライヴはスタート。前日、戸田でライヴを行っていた事も関係して、宮本の喉の調子は完璧とは言えなかったが、それを補い余る程のパワーを感じる。スタジオテイクではドラムは打ち込みだったものの、ここではバンドアンサンブルが冴えている。今後、再びバンドでのレコーディングに挑む事もあるだろう。是非、この勢いを重視した楽曲を用意してもらいたいものだ。

  続いてバンドは"明日に向かって走れ"に突入。やはりスタジオテイクよりもテンポ・勢い共に増していて、聴いてて気持ちいい。ライヴを通して思った事は、古い曲も最近の打ち込みの曲も、今のバンドの音でやれば一貫性があるという事。ガストロもこれらの曲も、特に違和感なく聴けたのが嬉しかった。

  そして最新作のシングルから"Soul rescue"。これなんてかなりテンポアップされてて、攻撃力が300%増しって感じ。スタジオ録音ではダルな感じの引きずるようで、それでいて攻撃的なというイメージだったが、ライヴではとにかく攻撃オンリー。タメもクソもあったもんじゃない。ライヴ音源は「コールアンドレスポンス」のシングルに収められているが、それ以上だ。バンドアンサンブルは想像以上だった。5年前にちょっとだけ体験した時よりも、何十倍も、何百倍も凄い事になっていた。

  その後MCを挟んで、俺が一番聴きたかった"悲しみの果て"を披露。「花を飾ってくれよ/いつもの部屋に」を「ふたりの部屋に」と変えて唄ったとこに、ググッときてしまった。この辺から"昔の侍"まで、声が張り裂けんばかりに唄いっぱなし。もう泣きそうだったよ、俺(苦笑)。

  MCを挟んで、宮本はアコースティックギターに持ち変える。そこで唄われたのが、4枚目のアルバム「生活」に収録されれた"月の夜"だ。アルバムを今聴くと、さすがに最近の彼らとは違和感があるが、こうやってライヴで通して聴かされると、本当に違和感がないんだな、これが。この日、エピック時代の楽曲はこれと後で演奏された"珍奇男"のみなのだが、もっと聴きたかったというのが正直な気持ち。ただ、ブレイク後の彼らを見たことのなかった身分としては、こうやって名曲の数々をバンバンとやられただけでも気持ちよかったのだが。

  今日は1曲のみ、まだ未発表の新曲を演奏した。「一人暮らしについての歌だ」という説明の後に始まったその曲は、アコースティックアレンジが施された、心に残る曲。「ロマンチック」なんて単語がサビに出てきたと思うが、復活後の彼らのいい面を更に押し進めた感じの、本当にいい曲だった。後で宮本は「まだ曲名決めてないんだよね。『ボステンジャー』でいいや♪」と言ってた(笑)。そりゃないだろう。

  その後、「これぞ真の意味でのハードコアソング」である"珍奇男"を熱演。途中でエレキに持ち替えて暴れる。そして"so many people"に突入。この日一番の盛り上がりをみせる。一聴してポップなメロディーを持つこの曲、ここまでハードコアに迫るか!?ってな具合だ、こりゃ。本当にカッコイイ。宮本の声は既に枯れきってしまっていて、正直辛いものだったが、そんなことお構いなしに勢いで押しまくる。

  この曲で本編は終了し。フィードバックした宮本のギターだけがステージに残る。暫くしてメンバーはステージに戻ってきた。アンコール1曲目には「懐かしい曲を」という事で"始まりはいつも"を披露。7枚目のアルバム「東京の空」時にレコーディングされていて、その後も何度かライヴでは披露されてきた曲で、先頃発売された編集盤「sweet memory」にも初回盤のみに収録されていた曲だ。ザクザクしたギターリフが心地よい、最近の彼らにはないタイプの楽曲だ。

  この後からの3曲は、復活後の歌メロを大切にした楽曲群が続く。宮本が大切にしているという、最大のヒット曲"今宵の月のように"、最新作「GOOD MORNING」期の中でも比較的メロウな"武蔵野"、"sweet memory"と熱い演奏を終え、再び袖に戻る。再びアンコールを求める声。

  三度登場した彼ら。宮本は白シャツからツアーTシャツに着替え、ギターを持たずに「神主は知っている」(?)だったか何だか訳の分からない事を言いながら、お待ちかねの"ガストロンジャー"だ。打ち込み+ADAT(コーラス部分。それともテープ?)を駆使したバックに乗せて、宮本は既に出なくなっている声を振り絞る。唄うというよりは宮本得意の独り言(笑)といった感じのこの曲。ライヴでは更にステンポニアスにその場その場で台詞を変えていく。途中何度も言葉に詰まる場面もあったが、この曲はこれでいいだろう。思った以上にギターの石森がカッコイイ。本当にジミー・ペイジみたいだった(佇まいもプレイも)。途中で宮本に上着を脱がされていたが(笑)とにかく彼のバッキング、そしてソロプレイは好みだわ。
  彼らがこの日最後に選んだ曲は、予想通りの"コールアンドレスポンス"。当然といえば当然。"ガストロンジャー"以上に衝撃的だったこの曲。もうこの頃には、俺も真っ白になっていた。宮本は右へ左へと走りまくる。演奏はとにかく最後までタイトで、下手なハードロックバンド以上にハード&ヘヴィだった。リズム隊も最後まで乱れる事なく、気持ちいいくらいに重いプレイを聴かせてくれた。そして石森のギター。文句なし! 2000年度のベストギタリストに決定!

  と、最後は何だか訳の分からないレビューになってしまったが。この興奮が伝われば良しとしよう(笑)。久し振りにここまで興奮した。10月に見たCoccoは、演奏・歌・内容全てが完璧に近い状態だったが、エレカシはそれには程遠かったかもしれない。けど、ロックが持つ初期衝動のようなものは、今年見たライヴの中では一番だった。それだけは胸を張って言える。ロックという音楽が持つ攻撃力、言葉の持つ破壊力、メロディーが持つ癒し・優しさ、フロントマンが持つカリスマ性。それらを全て兼ね備えたのがエレファントカシマシというバンドなのだと、この日改めて知らしめられた。それだけで十分だ。

  最後に。MCについては今回は述べない事にします。既に掲示板にいろいろ書いたし。ここでは彼らが持つ、破壊力についてのみ書かせてもらった。その他の要素もあって彼らのライヴが楽しいのは確かだが、まぁそれは見た人だけが知っているという事で‥‥こうやって活字にしてしまうと、面白味が半減してしまうと思うので(笑)。


[SETLIST]
01. good-bye-mama
02. 明日に向かって走れ
03. Soul rescue
04. 悲しみの果て
05. 風に吹かれて
06. 昔の侍
07. 月の夜
08. (新曲)
09. 珍奇男
10. so many people
—アンコール--
11. 始まりはいつも
12. 今宵の月のように
13. 武蔵野
14. sweet memory
—アンコール--
15. ガストロンジャー
16. コールアンドレスポンス



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投稿: 2000 12 31 05:03 午後 [2000年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2000/09/24

エレファントカシマシ『sweet memory~エレカシ青春セレクション~』(2000)

   悲しみの果てに
   何があるかなんて‥‥
   悲しみの果ては
   素晴らしい日々を
   送っていこうぜ

      ("悲しみの果て")


この歴史的名曲から始まった第2期エレカシ。それ以降に発表されたアルバム「ココロに花を」「明日に向かって走れ」「愛と夢」「GOOD MORNING」の4枚の中から、宮本が『青春』という言葉をキーワードにして選出したのが、このセレクション・アルバム(ベストアルバムに非ず)「SWEET MEMORY ~エレカシ青春セレクション~」である。

エレカシは昨年のシングル"ガストロンジャー"によって、また新しいスタートを切ったといっても過言ではない。そういう意味ではこの曲以降を第3期と言う事も出来る。しかしその第3期の楽曲も2曲選ばれている。何故この時期に宮本はこのアルバムをリリースしようと考えたのだろうか?

噂でだが「GOOD MORNING」が思っていた程売れなかった為の補填だという話を聞いた。あながちない話とも言えない。ただ、本当ならベスト盤なんだろうけど、そこで宮本が踏ん張ったのかもしれない。「だったら"ガストロンジャー"とは別の側面を表現した内容にしたい」、と。

シングル"SO MANY PEOPLE"のカップリングには"SWEET MEMORY"というアルバム未収録曲が入っている。これがまた、「ココロに~」「明日に~」辺りの彼等を彷彿とさせるいい曲だった。しかもバンド録音である。何故これがアルバムに入らなかったかというと、やはり色が合わなかったからだろう。そして宮本は再びこの曲にスポットを当て、このセレクションアルバムのタイトルトラックにも選んだ。『青春』というキーワードと共に。

とにかくね、聴いて欲しいんですよ。初期(エピック時代)の楽曲を集めた「BEST」は出ているものの、最近の楽曲をまとめたアルバムは出ていなかっただけに、"ガストロンジャー"でファンになり「GOOD MORNING」に肩すかしを食らったという人には特に聴いて欲しい作品なんですわ。勿論ここに入っていない曲にも名曲は沢山ある。けど、エレカシのテーマ『生活』『青春』といったキーワードに沿って選ばれた、という意味ではこのアルバムはオリジナル作品と考えてもいいとさえ俺は思ってる。『生活』というテーマに沿って作られたのが「GOOD MORNING」なら、もうひとつのテーマである『青春』に沿ったのがこの作品なのだから。

アルバム未収録曲が数曲入っているのも、このアルバムの「売り」のひとつ。このアルバムのテーマ曲とも言える"さらば青春"や、アルバムとはバージョン違いの名曲"月夜の散歩"、そうそう、"悲しみの果て"もアルバムとはミックスが違うシングルバージョンだ。更にこのアルバムの初回盤にはボーナスディスクが付いていて、そこには'94年1月にレコーディングされていたエピック時代の未発表曲が2曲("石橋たたいて八十年"と"始まりはいつも")入っている。アルバムでいえば「東京の空」の時期だ。これがまたオイシイ曲だ。ファンなら絶対に気に入るであろう佳曲だ。意外と最近の路線に近いかもしれない。

まぁ細かいデータはアルバム内に入ってるブックレットに記載されているので、後は買ってのお楽しみ。そうそう、アルバムには元ロッキンオン・ジャパン編集長(現rockin'on編集長)の山崎洋一郎氏の解説も入っていて、これがまた泣かせる。ある意味エレカシと2人3脚だった再契約に到る辺りの話などもあって、当時を知る人間にとってはこの文章からも『青春』臭さを感じてしまう。

近々、"風に吹かれて"が再びCMソングに起用されるそうだ。そして恒例の冬のツアーも始まる。そろそろ新曲に取りかかる時期かもしれない。1年に2枚、こういう形で自らのテーマを具体化した作品をリリースした今、今後のエレカシ、今後の宮本に更に期待するばかりである。



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投稿: 2000 09 24 03:46 午前 [2000年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2000/06/07

エレファントカシマシ『GOOD MORNING』(2000)

リリースから既に1ヶ月以上経ったが、未だによく聴くアルバムだ。今年の邦楽は豊作である。あまり絶賛されていないようだが、ミッシェル「CASANOVA SNAKE」は名盤だと思うし、椎名林檎やブランキー等目白押しだ。その中でも特に抜きん出ているのがこのエレカシ「GOOD MORNING」だと、個人的には思っている。

そもそも前作「愛と夢」は殆ど聴かなかった。今でも聴く機会は殆どない。決して悪いアルバムではないし、曲も優れていると思う。では何故? 俺の感想だが、結局復活後の『良い歌を届ける』という意味でのエレカシは既に復活第1弾であった「ココロに花を」で完成していたのだ。あのアルバムの楽曲は、レコード会社から契約を切られた後の1~2年の間に、ライヴハウスでの活動の中で生まれ、そして最初にライヴという『第三者を意識した』形で披露されてきた楽曲ばかりである。そういう意味では『第2期エレファントカシマシ』のデビューアルバムとも言える。そう、だからこそ目的意識‥‥如何にエレカシの楽曲をみんなの心に届けるか?というテーマ‥‥を持って書かれた楽曲は、常に大衆を意識していたのだ。そして練りに練られた楽曲達は日の目を見る‥‥その時点で完成されていたし、目的は達成されていたのだが。彼等が“悲しみの果て”をはじき出した瞬間に、勝負は決まっていたのだ。

続く「明日に向かって走れ」はそのダメ押しともいえる内容だった。これまでの活動を後押しする形で“悲しみの果て”がCMソングに起用され、その後のシングルもタイアップを得るという形で彼等の歌はお茶の間に届き、浸透していった。その決定打となったのは、初のドラマ主題歌“今宵の月のように”だろう。多くの人間が今、エレカシといってイメージする1曲ではないだろうか? そう、この時点で目的は完全に達成され、不動の地位を手に入れたはずなのだ。

だからこそ、更にこの路線を突き詰めようとした「愛と夢」という作品に、俺は違和感を感じたのだ。前2作で得た成功から宮本が出した答え‥‥それは何だったのだろう? 果たして楽曲至上主義の中で、『バンド』という運命共同体を無視してまで打ち込みに走る理由があったのだろうか? 以前から宮本は打ち込みに興味を持っていたようだが、何故それをこの時期に、こういう楽曲の中で試そうとしたのだろうか?

エレカシが再びレコード会社を移籍した、と最初に耳にしたのは昨年暮れ近くだった。と同時に久し振りのシングルが出る事も知った。そしてそれが初期のような攻撃的な楽曲だと聞いてワクワクしたのを、今でも覚えている。その楽曲こそが“ガストロンジャー”であった。これには多くの音楽ファンが衝撃を受けたはずだ。LED ZEPPELIN級のヘヴィ路線の楽曲に載るのは、我々のような古くからエレカシを応援し続けたファンが唸るような内容の、攻撃的な歌詞だった。しかも、もはや『歌』としては機能していない、ラップとも違う、宮本にしか出来ないであろう『叫び』。「今エレカシを聴かないとヤバい」そんな空気さえ流れた。「日本のRAGE AGAINST THE MACHINE」なんて賛辞も挙がった程だ。

それに続くシングルは、久し振りのドラマ主題歌である“so many people”だった。路線としては“悲しみの果て”以降の流れなのだけど‥‥ポップだけど、やはり以前とはどこか違う。特にエンディング近くのサビのリフレイン、俺はここで2作連続で鳥肌が立った。

更に追い打ちをかけるかの如く、彼等はアルバムと同時に“コール アンド レスポンス”という名曲を発表する。既にリリース前からTV番組のテーマ曲として耳にしていたが、最初にフルコーラス‥‥特に後半の、宮本のあのセリフ‥‥


えーご承知のこととは思いますけれども ここで神の意志を発表させて頂きます。
えー発表します。全員死刑です。


に三度鳥肌が立つ。そして泣く。嗚呼、とうとう行き着くとこまで行っちまったなぁ‥‥そんな気持ちでいっぱいだった。この3曲だけで、俺はアルバムが過去最高の、素晴らしい作品になる事は予想出来た。そしてその予想は見事に的中したというわけだ。

アルバムのハイライトとなるのは、やはり先に挙げたシングル3曲だろう。オープニングを“ガストロンジャー”が飾り、エンディングを“so many~”“コール~”で閉めるわけだから。勿論、その間に入った残りの楽曲もそれに引けを取らない、素晴らしい楽曲ばかりである。

ある意味、前作は宮本の『迷い』をそのまま形にしてしまった過渡期だったのかもしれない。何が切っ掛けで現在のような心境になったのかは判らない。詳しい事は最近のインタビューでも読めば判るだろう。決して「ココロに花を」以降のエレカシが、それまでの彼等と違っていたわけでもないし、今のエレカシが前作までの彼等と変わってしまったわけでもない。今やっている事をやり遂げられる環境や精神状態を得ただけで、ここまでビルドアップしてしまったのかもしれない。結果、アルバムでは形だけのバンド体制となってしまったが、それは宮本の才能を認めた他のメンバーの理解があったからなのだ。

「(メンバーが)幼馴染みでなかったら、今頃解散していただろう」という言葉通り、宮本という人間を知り尽くしていたからこそ成し得た産物なのだ、このアルバムは。そう考えれば、全ての楽曲を作り出した人間が全ての楽器、アレンジを受け持った事も納得できるかもしれない。他のメンバーは宮本のアイディアを具体化するための助っ人要員‥‥これではちょっと悲しいが(苦笑)、これも理解あっての事だろう。



▼エレファントカシマシ『GOOD MORNING』
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投稿: 2000 06 07 03:43 午前 [2000年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク