2007/11/27

エレファントカシマシ『俺たちの明日』(2007)

「うわっ、エレカシがまた売れちゃうよ。」

今回の移籍第1弾シングル「俺たちの明日」を初めて聴いたとき、素直にこう思いました。いや、売れちゃ困るわけじゃないんだけど、そのお膳立てが整っちゃったなぁと。そう感じたわけです。

タイトル曲は昨年末の「COUNTDOWN JAPAN 06/07」で初披露され、以後ライブやイベントでかならずといっていいほど披露されていた、90年代後半の彼らに通ずる「歌力」を持ったキャッチーなナンバー。昨年春に発表されたアルバム「町を見下ろす丘」にあった、どこか燻った感じはここには一切なく、ただただ前のみを見据えている宮本浩次の姿が目に浮かぶような力強い1曲に仕上がっています。初めてライブで聴いたとき以上に「歌」をフィーチャーしてる印象が強くて、こんなエレカシを聴くのは下手したら「明日に向かって走れ-月夜の歌-」以来かもしれないね。

カップリングの「さよならパーティー」も最高にカッコイイし、ボーナストラックとして最後に収録されている「俺たちの明日(Acoustic ver.)」もバンドバージョンとは違った味わいが感じられ、今のエレカシのさまざまな顔を楽しむことができるんじゃないかと思います。

で、この後に控えている次のシングル「笑顔の未来へ」が、これまた素晴らしい出来なもんだから、ホントに嬉しくなっちゃう(この曲、ライブで「悲しみのテロリスト」というタイトルで披露されていたナンバーですね。正直以前のタイトルだったら、突き抜ける前のエレカシのままだったように思います)。きっと今のエレカシには、よいスタッフ、よいブレインが付いてるのかもしれない。別に売る気満々というわけじゃないのに、すべてが良い方向に作用してるように感じられます。いやぁ、こりゃ来年1月末に発売されるアルバムも楽しみになっちゃうね。

ホント、エレカシがまたこういうスタイルで前向きに突き進んでくれることを、心から嬉しく思います。



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投稿: 2007 11 27 12:05 午前 [2007年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/04/29

エレファントカシマシ『町を見下ろす丘』(2006)

 エレファントカシマシ通算17作目のオリジナルアルバム「町を見下ろす丘」は、ここ最近のエレカシとは若干作風が異なるんだけど、これは傑作です。言い切ります。つーか言い切らせろや。

ここ数作‥‥恐らく2002年リリースの「DEAD OR ALIVE」以降からなんだけど、とにかくハイペースで新曲ができて、それを思うがままにレコーディングしていって、作品として提供する。いや、時には真っ先にライヴで披露してファンを驚かす。ここ数年のエレカシにはそういうイメージがあったんだけど、今度のアルバムって前作「風」から丁度1年半ぶりなんだよね。そう、思ったよりも間が空いてたんだ。ライヴは頻繁にやっていた方だから、全然そんな気はしなかったんだけど。

 今度のアルバムでは、8年ぶりに佐久間正英をプロデューサーに迎えているんだけど、これが良い方向に作用してると思う。良い意味で抑制され、そして整然としている。これまでのヤケクソ気味にどう処理していいか判らないパワーは、ここには存在しない。その代わり、余裕というか開き直りみたいなものが感じられるのね。うん‥‥「諦め」? そうかもしれない。でも‥‥違うか。うん、違う。「悟り」の方が近いかもしれない。言葉遣いにしろ、音の感触にしろ、そういったキメ細やかさが感じられる。なんていうか、サウンドだけ聴いてると安心できるんだけど、歌詞に耳をやると相変わらず刺さるというか。今回のタッグは双方の良い面が上手く生かせ、良い結果が出せたんじゃないかと。

 アルバムタイトルにしろ曲名にしろ、とにかく生活観・生活感が強いものが多い。もちろんエレカシにとって「生活」というのは根底にあるテーマなんだけど、それがここ数作の中で一番色濃く出てるのかな、と。しかも、それが非常に聴き手の側に密着したというか‥‥宮本の生活感なんだけど、聴き手側の生活感でもある。共感しやすいとかいう問題じゃなくて、当たり前のものとしてそこにある、みたいな。だからスーッと入ってくるし、そしてグサリと突き刺さる。久しぶりだなぁ、宮本の歌詞でここまでグッサリやれれたのは。

 攻撃的なエレカシを求めていた人にはちょっと肩透かしなのかなぁ。いやそんなことないでしょ? なんていうか、むしろこのアルバムは俺と同年代で、エピック時代の彼らしか認めないといって離れていった「元ファン」にこそ聴いてほしいアルバムかな。宮本に近い年齢だからこそ感じるもの、あるはずだからさ。

 いやぁ、エレカシも今年でデビュー18年。現在のメンバーになってから丁度20年とかですよね‥‥全然守りに入らなねーのな。ホント、異端なバンドだよな。



▼エレファントカシマシ「町を見下ろす丘」(amazon:日本盤

投稿: 2006 04 29 12:10 午前 [2006年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/20

エレファントカシマシ『友達がいるのさ』(2004)

 あれっ、エレカシの新作「風」って最初CCCDって出てなかったっけ? だからテンション下がって、シングルも買わなかったんだよな今回。何だよ、何時CD-DAに変わったんだよ!?って最初から?? → 調べてみると、俺が最初にみたamazonは未だに「CCCD」って表記されてるけど、方やHMVタワレコではCCCDの表記がないので、東芝のサイトをそのまま信じてもいいのかしら?

 とにかく。新曲「友達がいるのさ」は最初有線で聴いた時からかなり気に入ってるし、CD-DAとなれば当然アルバムは買うわけですが。となると改めてシングルの方は‥‥カップリング含めてアルバムにそのまま入ってるんだよね。ってことはDVD欲しさに買うかどうかの問題だよね。こないだの野音の "東京の空" 1曲だけだっけ? う〜ん、どうしよう‥‥野音完全版DVDとか出ないのかしら?

 そういえば、エレカシも去年のひたちなかを最後に観てないなぁ‥‥去年の「BATTLE ON FRIDAY」で観た時の、全曲新曲っていう試みは面白かったし、実際曲も凄くいい!と思ったんだけど‥‥結局CCCDってことで聴けなくて。周りの論調が大絶賛モードであればある程、逆にこっちのテンションはどんどん下り坂で。ひたちなかの時も、素直に楽しめなかったし(特に新曲になるとね)。

 エレカシに罪はないよ。悪いのはCCCDであって、レコード会社なんだから。

 そう頭で判っていてもね。凄く許し難いものがあって。自分の中で。

 けどさ。そういうのも、こないだ観たTHE MAD CAPSULE MARKETS単独ライヴで全部吹っ飛んだよ。やっぱり純粋にカッコいいものはカッコいい。それでいいじゃん、って。そりゃCCCDで聴けないのは辛いけどさ。ライヴはそれとは関係なく凄いわけだし。曲の良さも十分伝わったし。

 でもマッドの場合は心のどこかで「‥‥いずれ海外盤がリリースされるだろうから、そこまでの我慢だよな‥‥」って気持ちがあったのも確かで。エレカシはそういうわけにいかないもんなさすがに。

 世の中的には「DEAD OR ALIVE」「俺の道」といった初期ハードコア的サウンド回帰、歌詞の深化を大絶賛してるようだけど、やはり俺はそれに続いた前作「扉」を評価したいんだよね。そこよりも更に数歩上に行ってるよね間違いなく。

 そしてその「扉」から更に余計なものを排除し、より研ぎ澄まされた作品集に昇華させたのが、今度の「風」なんじゃないか、と勝手に思ってます。現時点ではまだリリースされてないし、アルバム中の6曲を、しかも内4曲は30秒程度を視聴しただけの感想でしかないけど‥‥集大成とかそんな簡単な言葉では済まされない、何だかもの凄いアルバムが出来上がったんじゃないか‥‥そんな予感がするのね。

 もしかしたら今のエレカシって、再び「東京の空」くらいの高みに達しようとしてるんじゃないですかね? そりゃもう「生活」みたいなアルバムは無理かもしれないけど。いろんな意味でもう一度、バンドとしてもの凄い高みに達しようとしてる気がします。ま、音源聴いただけでもの言ってるだけですが。

 年末の「COUNT DOWN JAPAN」、エレカシ出るんだっけ? 時間調整して行こうかしら。勿論他の出演者にもよるけどね。



▼エレファントカシマシ『友達がいるのさ』
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投稿: 2004 09 20 01:30 午前 [2004年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/06/05

エレファントカシマシ『エレファントカシマシ』(1988)

エレファントカシマシが1988年3月にリリースした、記念すべきファーストアルバムにして、日本のロック史のその後の流れを変えた(と個人的に勝手に思い込んでいる)名盤。そう、ファーストにして既にエレカシは完成されちゃってたのよ。だからその後の数枚‥‥勿論素晴らしい作品なんだけど‥‥においてはこのファーストでのインパクトや完成度が常にちらついてたんだよね、聴き手にとっても、そして宮本浩次にとっても。

当時の日本のロックシーンは、所謂バンドブームまっただ中。'86年頃からボウイ、レベッカといったバンドがヒットチャート上でも大成功を収め、'87年にはブルーハーツがオーバーグラウンドへ、と同時にプリンセス・プリンセスやユニコーン、JUN SKY WALKER(S)、筋肉少女帯、ZIGGY等といったいろんなタイプのバンドが登場し、それぞれチャート上でも成功を収めるようになっていき、「第二の○○」、「ポスト○○」を求めてレコード会社はインディーシーンにまで手を伸ばすわけですよ。そして更にいろんなタイプのバンドがメジャーデビューしていき、'89年に入ると「イカ天」がスタート、いよいよその勢いに拍車がかかるわけです。

エレカシは正にそんな中デビューしたバンド。残念ながらデビュー後10年近くは大きなヒットに恵まれることはありませんでしたが、そのデビューアルバムはメディアやリスナーに大きな衝撃を与えたわけです。

ハードロックを通過したかのようなゴリゴリなロックサウンド。宮本による詩的且つ文学的、それでいて「なんじゃそりゃ?」と突っ込みを入れたくなるような、およそ時代の流行に逆行した歌詞、それを割れんばかりの声でシャウトする宮本。だけどしっかり歌詞は伝わってくる、隙間の多いアレンジ‥‥決して洋楽の何かに似ているとか、誰々のフォロワーといったカテゴライズが出来ないバンドスタイル/サウンド。これは確かに特異な存在ですよ。考えてもみてくださいよ。時代はビートロックやらパンクポップ的なものがもてはやされている頃ですよ。愛だ恋だを歌ったシュガーコーティングされたラブソング、躁的にひたすら「頑張れ」と歌う応援ソングが世に蔓延る中、「世の中まるく治めるなら 頭脳はいらないさ 少しばかりの悪知恵と 金があればいい」("デーデ")や「ニタリ ニタリと策士ども 転ばぬ先の杖のよう わけのわからぬ優しさと 生きる屍こんにちは」("花男")なんていう時代錯誤な歌詞をもってデビューですよ!? それがシャウトで歌われ、そのバックにはLED ZEPPELINばりにヘヴィでゴリゴリのハードロックサウンド。アルバムをスタートさせた瞬間、ロックファンなら "ファイティングマン" イントロのギターリフで一発ノックアウトでしょう。

勿論そういった「押し」だけじゃない。その後のソフトサイドにも通ずるブルージーなバラード "やさしさ" なんて今聴いても鳥肌モノだし、小気味良い "浮き草" や "てって" みたいなポップ路線もしっかり収録している。で、そういうソフト面で安心すると、"習わぬ経を読む男" ~ "BLUE DAYS" ~"ゴクロウサン" という歌詞の面でもサウンド面でもゴリゴリにヘヴィな曲が続くんだから、ホント侮れない。というか、このアルバムの中に入ってしまうと、そういったポップな楽曲すら非常にハードに聞こえてくるもんだから不思議だよ。

決してパンクというわけではないけど、このアルバムは間違いなく「日本のロック」という枠の中において、「ハードコア」のひとつの進むべき道を開拓したといっていいでしょう。直接的なサウンド面でのハードコアパンクと違い、精神面に響いて重くヘヴィでゴリゴリなハードコア。それが『エレファントカシマシ』というバンドの登場によって開拓された。彼らをリスペクトするバンドは多いものの、真の意味でのフォロワーは未だに現れていないように思います。そう、デビューから既に16年も経っているのにね。それだけこのバンドのスタイルや存在が特異で唯一無二なものだということがご理解いただけるかと思います。

ファーストにしてここまで凄まじいアルバムを作ってしまうと、その後が心配になるわけですが‥‥アルバムを重ねていく内に、また彼らは更に進化(というか傍若無人な程に深化)していくわけです。それと引き換えに、どんどんとアンダーグラウンド方面へと傾いていこうともね。



▼エレファントカシマシ『エレファントカシマシ』
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投稿: 2004 06 05 03:39 午前 [1988年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2003/04/27

THE ELEPHANT KASHIMASHI PRESENTS VERSUS EVENT LIVE "BATTLE ON FRIDAY" エレファントカシマシ vs BRAHMAN@赤坂BLITZ(2003年4月25日)

  エレファントカシマシが今年に入って行っているイベント、それがこの「BATTLE ON FRIDAY」という名前のライヴハウス対バンイベントなんですが、この日観たのはその終盤戦といえるステージで、対バン相手には正しく「異種格闘技戦」に相応しいバンド、BRAHMAN。一体どんなステージになるか‥‥

  ところで、まずこれについてちゃんと書いておかないと‥‥知らないエレカシ・ファンもいるかもしれないので。俺は昨年末にリリースされたエレカシのミニアルバム「DEAD OR ALIVE」は未だに買ってもいませんし、視聴すらしてないし、恐らく今後も「今の形態」では買いません。勿論CCCDだというのが一番の理由なんですが‥‥それ以上に、何故この時期にエレカシは、そして宮本はあんなに「怒り」を表現しなくてなならなかったのか、そしてそういう音に向かわねばならなかったのか、ちょっと理解できなかったからというのも大きいのですよ。昨年春にリリースされた「LIFE」というアルバム、ファンの間でも賛否が激しいと思いますが俺、大好きなんですよね。昨年の10枚にこそ選ばなかったものの、これってもしかして「GOOD MORNING」よりも内容的に充実したアルバムなんじゃないか‥‥と今でも思ってます。『30代の宮本にとっての「生活」('90年の4作目)』、そういう風に俺は捉えてるんですよ。だからこそ‥‥その路線で突き進まないのは判っていたけども‥‥あんなあからさまに攻撃的な路線に逆戻りするバンドに対して、ほんの少しだけ居心地の悪さを感じていたんです。

  そういう気分のところに、突如決まった「BATTLE ON FRIDAY」というイベント。金曜にライヴハウス(数百程度からブリッツクラスまで)で、最近メキメキと実力をつけつつある若手バンド、既にエレカシ以上に若い子には知名度のあるバンドまで、とにかくそういった「10代に人気のある」バンドとのタイマン勝負をするという事自体は決して異論はないんですよ。ただ‥‥言い方が悪いけど‥‥最近の、固定ファンしか聴いてないんじゃないか!?というような現状を打破するために、10代に人気のあるバンド達と共演することでもっと若いファン層を広げようとしてるかのようにも映るんですよね‥‥言いたくなかったけど。確かにエレカシなら余程のことがない限り、そういった若手に(いろんな意味で)負けることはないだろうけど‥‥何か俺、ちょっと自虐的過ぎるかな? とにかくね、最初に思ったのは「‥‥大丈夫か!?」って。エレカシが(というか、エレカシファンが)会場で他のバンドやそのファンに負けることを考えちゃったんですよ。「戦う前から負けること考えてる奴がいるかよ!」と猪木さんにビンタされそうですが、ホントそんな感じで当日挑んだんですね。

  ところが‥‥ちょっと事情がありまして、19時スタートの公演、俺が会場入りしたのが20時だったんですよ。ま、BRAHMANを先に観てしまったら、余計にエレカシに対してネガな気持ちで接することになりそうだったし、更に‥‥掲示板の方で教えてもらってたんですが、4月からのエレカシ、本編全曲完全未発表の新曲披露という大胆な行動に出てるらしいんですよ。もうね、「DEAD OR ALIVE」の曲すらちゃんと知らないのに、その上全曲全然知らない曲って‥‥やっぱり冷静に判断する為にはBRAHMANを蹴るしかなかったんです。

  20時に会場入りすると‥‥既にBRAHMANのライヴは終了していて、ロビーには汗だくになった10代のブラフファン達がそこらじゅうに座り込み&倒れこんでる、正に「野戦病院」状態。しかも当日外は雨ってのもあって湿度が高いのに、会場内は更に汗かいた身体から立ち上がる湯気で不快指数が200%以上。そんな若い子達を後目に、フロア前方に移動。フロア内はエレカシファン以上に依然ブラフファンの方が多い感じでした。服装や年齢で大体判るしね、どっちのファンかって。ま、俺はBRAHMANも嫌いじゃないし、むしろ好きなバンドなんで(じゃあ最初っから観ろって話ですが)。

  入場してすぐ会場暗転。何のアナウンスもなくメンバーがステージ上に登場。この日の宮本は全身黒。ギターは一切持たず、これといった煽りもなく神妙な顔。そして始まる新曲‥‥どの曲もタイトルすら判らず、しかも10曲全部初めて聴く曲だったので「これがこうだった」という明言は避けますが‥‥個人的にはかなりいい感じだと思いましたよ。全体的にミディアムヘヴィなハードロックという印象で、かなりアレンジに凝った構成になってましたね。石くんは常にストラトを弾き、しかも結構コーラスまで取ってるし。成ちゃんのベースが一番凝ってて、ピックによるライン弾きは抑えめに、かなり複雑なフレーズ(和音やアルペジオ的なもの)を多用、ギター以上に目立ってました。そしてトミのドラム。もうね、激しいの何のって。一音一音がこれまで以上にハードヒット。ミディアムヘヴィな曲が多いせいか、本当に一音の重みが凄くて、実際固定されていたバスドラが途中で動き出す程(スタッフが慌てて固定し直してたけど)。そして宮本。一切ギターを持たず、歌うというよりは叫ぶといった歌い方で、また曲調が初期に近いイメージだったこともあって、本当に「あのエレカシが帰ってきた!」といった錯覚を何度もしてしまったよ。声の状態は良好とはいえなかったけど、なかなか良かったんじゃないでしょうか。

  ただね。新曲の話に戻りますが‥‥曲のバリエーション的には狭まったかな、という気も。ミディアムヘヴィなハードロックという全体的な印象は、2~3曲を除けば大体そんな感じで、ホント殆どの曲が似たようなテンポで、しかもメロウというよりは煽り系ボーカルだったことも大きく影響して、更にそう感じました。しかも、それに喜んでたのはエレカシファンが殆どといった感じで、若いブラフファンの子達はどう反応すればいいのか判らない様子。そのまま棒立ちで、反応に困ってる様子。そりゃそうだろう。メロディアスでテンポも速い楽曲がメインのBRAHMANで大暴れした後に、こういったオールドスタイルのハードロック、しかもボーカルが異常にテンション高過ぎて何歌ってるか判らない‥‥そんなバンドを見せられたら、普通に退くかもね。1曲終わると若い子がフロアから出ていき、もう1曲終わるとまた出ていき‥‥そんなことの繰り返しで、結局ソールドアウトした公演だったにも関わらず、最後の方はかなり余裕を持って観られる環境になってしまった程。音楽で人の心を動かすとか、そういう以前の問題。既に満足し切ってしまった10代の子達にとっては「エレカシ? テレビで観たことある、あの変なボーカルのバンドか。ま、ちょっと観てみよっかな、折角だし」程度の気分で見始めたんだろうけど、そりゃねぇ‥‥俺が10代でブラフファンだったとしてもあれはキツかったかも。

  中にはパンキッシュでアップテンポの曲もあったし、ちょっと聴かせるような歌もあったんだけど、やっぱりリフが重くてアンサンブルが凝ったハードロック。けど初期のような破天荒なイメージはなく、そこはちゃんと「大人の色気」を感じさせるのはさすが。変に凝った録音をせずに、このままの形で真空パックしてアルバムにしてしまえばいいのに‥‥そんな気さえする程、個人的にはこの日のステージで披露された10曲が気に入りました。しかも聞くところによると、数週間前に下北沢でやった時と曲が3曲入れ替わってたというんだから‥‥既に10数曲も新曲があるってことですよね? 更に細かいアレンジまで変わってたというし、正にライヴしながら楽曲が成長してくという、ある意味「ココロに花を」や「GOOD MORNING」の頃みたな感じで、ホントにあの2枚に肉迫する凄いアルバムになるんじゃないか‥‥ちょっと疑問が強まってただけに、これは本当に嬉しかった。ああ、やっぱりBRAHMAN観ないでよかったと思いましたね。

  でもね‥‥ちょっとショッキングな曲もあったんですよ。7曲目くらいだったかな、歌詞の中にいきなり「37歳で俺の青春は終わったけど~」というような一節が出てきて、すっげードキリとさせられました。俺の中では宮本=人生・青春・生活というイメージが強かっただけに、これからもこのみっつのキーワードを歌っていってくれるんだろうな、と信じ切ってたんだけど‥‥ま、その他の細かい歌詞が聞き取れないのもあったので全体的な内容は把握できませんでしたが、とにかくこの一節のインパクトが大きくて、俺の中で。その曲の中で等かそのフレーズが登場するんだけど、その度に心が痛みましたね。これはちょっと俺の中で(エレカシに対する)重要な曲になりそうな予感。とにかく「普通のCDで」リリースされることを切に願います。

  MCも殆どなく(それにしても宮本の「今日はこんなに素敵なイベントに呼んでくれてありがとう」ってのはどうなのよ? 一応「エレカシPRESENTS」名義なんですが‥‥)、淡々とした状態で10曲終了、いつも通りステージを去る4人。当然アンコールを求める拍手が沸くわけですが‥‥求めてるの、明らかにエレカシファンだけ。しかも前の方だけね。すっげー弱々しいアンコールを求める声援。そしてフロアを後にする大勢の客。ローディーがベースやアコギ(恐らくアンコールで宮本が弾くのだろう)のチューニングをしてる中、急に客電が点き、明らかに終わりモード。時計に目をやると20時50分。アンコールもなく終了したこの日のエレカシ。もともとやるつもりで準備してたら「アンコールなし」をメンバーから告げられたのか、それとも最初からその予定がなかったのか‥‥聞くところでは、このイベントに関しては数える程しかアンコールはやってないようですが‥‥ま、予定調和なアンコールを何曲をやられるよりも全然いいんですけどね‥‥けどさ、こういう環境の中で「アンコールありがとう!」って再登場されても、それはそれで更に「寒さ」を増長するだけだったから、空気を読んでアンコール取り止めたんだと受け取りたいですね。

  どっちが勝ったとか負けたとか、あんまりそういうのは言いたくないんですが‥‥更にBRAHMANを観てない俺が言うのもアレですが‥‥全体の空気的に明らかに後攻めのエレカシのが分が悪かったですよね。そして、結局その流れを変えられないまま終わったといった印象。恐らく"ガストロンジャー"や"コールアンドレスポンス"、"悲しみの果て"のような代表曲を連発するステージをやったなら、もっと盛り上がるステージになったんでしょうけど、この日はフェスではなくて「VERSUS EVENT LIVE」と銘打たれ、単発イベントではなく数本あるわけですから毎回それをやるわけにもいかないしね。「今のエレカシ」を見事に表現したという意味では評価すべきでしょうけど、ファン以外にはアピールが弱かったのもまた事実。う~ん、難しいですね評価が。

  俺自身、エレカシを生で観るのがほぼ1年振りだったんですが、観る前の不安な気持ちはものの見事に一掃され、逆に「あーこんなスゲー曲が沢山入ったアルバム、どうしても聴きたいからCD-DAで出せよな?」とアンケートに書いてしまった程ですよ(アンケートなんて書いたことない俺がね!)。ここ最近のエレカシに対して俺と同じような疑問を持ってるファン、そして前作にガッカリして「DEAD OR ALIVE」にガッツポーズを取ったファン。大丈夫、次のアルバムは間違いなく期待に応える内容になりますよ。下手にプロデューサー立てたり時代性を取り入れようとせずに、このままの形でレコーディングされればね!

投稿: 2003 04 27 12:00 午前 [2003年のライブ, BRAHMAN, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2002/06/29

エレファントカシマシ@渋谷公会堂(2002年5月30日)

  ここ1年程のエレカシは、特にクラブツアーが中心だったこともあって、こういう中規模ホールでのツアーは随分久し振りのような気がする。けど、実際には1年半振りくらいなんだよね(「SWEET MEMORY」でのツアー以来)。ま、新作「LIFE」がああいう穏やかな構成だったこともあるから、合ってるといえば合ってるけど。

  このツアーの前哨戦ともいえる5/3の「FACTORY」出演時の構成から、今回のツアーの大まかな流れを感じることが出来たが、やっぱり"ガストロンジャー"や"コールアンドレスポンス"はやらないんだろうなぁ‥‥ライヴを観る前からそう確信していた。だって合わないもの、こういう攻め一方の曲は今回のアルバムの曲には(その割には"奴隷天国"とかやってたよな)。何か、このサイト初めてから観始めたエレカシは、ずっとこの2曲をやり続けてるだけに、どうも「ガストロやコレスポをやらないエレカシ」ってのが想像出来ないんだよね‥‥で、いざ新作を聴いてみれば「ああ‥‥」っていう内容だったし。

  そういう意味で今回のツアー、あんまり期待してなかったんだけど‥‥これがいざ終わってみると、かなり楽しめたんだわ。いや、エピック時代の曲が多かったからではなく、単純に新作の曲がアルバムで聴く以上に良く思えたんだわ。決してライヴ向きってわけではないけど、こういう風にじっくり聴かせる曲を、ちゃんとじっくり聴かせようとする姿勢だったり、会場の雰囲気だったり(ま、客の雰囲気は決してベストとは言えなかったけど)。

  ライヴの流れを簡単に、感想書いてみます。

  ステージ上には向かって右側に一段高い位置にマイクや椅子が設置、向かって左側にもキーボードやらマイクが設置。恐らく今回のツアー、ブラス隊が付くんだろうな‥‥とは思ってたけど、実際に付いたのはこの日だけだとか。そういう意味では非常にラッキーだったかも。

  ライヴはまず楽器隊の3人がステージに現れ、ドラムのトミが聞き覚えのある8ビートを叩き始める。「FACTORY」と同じく、"奴隷天国"からスタート。そのまま"おはよう こんにちは"、"デーデ"という流れは、「FACTORY」の時と全く同じ。ツアーラスト前ということもあってか、多少声が荒々しい気がしなくもないが、それでもかなりの気合いを感じる。この後にお馴染み"武蔵野"を演奏。ああ、ちゃんと「GOOD MORNING」の曲もやってくれたよ。

  それ以降は、新譜タイム。"女神になって"の時には予想通り、ブラス隊3名が加わる。あ、今回のツアーには、新曲に関してのみキーボードが加わっております。アルバムにも参加しているメンバーらしく(かの有名な山本拓夫氏も参加)、「FACTORY」で聴いた時よりも更に格好良くなってました。音に厚みが加わったのは勿論、無骨なリズム隊に分厚いホーンの音が融合したこの曲は新作の中でもかなりカッコイイ。「GOOD MORNING」では打ち込み+宮本という印象があったけど、新作はバンド+生音というイメージがあるので、こういう完全再現は大歓迎。「ステージ上に4人以外の人間が参加する事に嫌悪感がある」って人はまずいないと思うので、今日を選んで大正解だった(って単に今日しか観れなかったんだけど、休みの関係で)。

  その後、静かめの曲が続く。"秋 -さらば遠い夢よ-"ではハプニングが。ワンコーラス唄い終わるか終わらないかで、宮本が歌をストップ。どうやらお客の仕草(動き?)が気になったらしい(笑)。気を取り直して、再び最初から唄い始め、今度は完奏。やれやれ。

  そして"マボロシ"の時には四重奏のストリングス隊が右側に登場。ブラスだけでなく、弦楽器まで用意するか‥‥すんげぇ豪華だな、今日は!? アルバムラストを飾るこの曲はやはり一種異様な凄みを感じた。激しい曲でもなく、穏やか過ぎるわけでもなく‥‥なのに宮本の歌だけはドライアイスのような刺激を我々に与える。メチャメチャ熱いんだけど、その熱さが聴き手の心に突き刺さる時には、熱さを通り越して冷たささえも感じさせる。そういう刺激。とにかく、新作の曲は宮本の歌がグ グッと心に突き刺さる。「GOOD MORNING」での突き刺さり方とはまた違うんだよね。勿論、こっちの札も宮本はずっと持っていたんだけど、ここまで徹底的にやったのは‥‥恐らく小林武史の影響なんだろうね。で、その小林のやり方と宮本との間に葛藤みたいなもんがあったはず。ここで形にされているものが必ずしも宮本が望んだ形100%とは言い難いけど‥‥けど伝わってきたよ。

  キーボードが加わったことで、ちょっとテンションダウンを感じずにはいられない"暑中見舞 -憂鬱な午後-"、アルバム後半のハイライトといえる"真夏の革命"(再びブラス隊が加わる)と勢いで押し切り、本編最後はしんみりと"普通の日々"で終わる。当然弦楽器隊が加わった形で。何か違和感あるなぁ‥‥こういう終わり方。だって小林武史っぽいんだもん、この終わり方(苦笑)。まさかセットリストにまで小林絡んでないよな!? そんな疑念さえあったけど、とにかく歌と演奏は素晴らしかった。

  アンコールを「第二部」と宮本が言った通り、本編とは流れが違うような感じだったアンコールは、ちょっと古いファンにはたまらなかったんじゃないかな? いきなり"金でもないかと"だもんなぁ‥‥一瞬、「あれ、これ何だっけ!?」って思ったもん、俺(苦笑)。その後、これまた懐かしい"浮雲男"(みんなもっと煙草を吸おう!とか言ってたっけ、宮本)、そして生ストリングスを加えた"昔の侍"を挟んで"優しい川"って‥‥一体何のツアーですか!?って感じ。ま、個人的には初めて生で聴くエピック時代の曲が多かったので嬉しいけど。

  その後、アコギを持って椅子に座った宮本。急に"今宵の月のように"を弾き語り。ワンコーラス唄ったところでエンディング。そのまま久し振りの"珍奇男"へとなだれ込む。歌の合間のコードストロークがカッティングがアルバムとは違ってて、一瞬ドキッとさせられる。この曲はバンドが加わってからの破天荒振りがとにかく凄い。初めてアルバムで聴いた時にも思ったけど、初めてライヴで聴いた時には更にそう感じて震えた‥‥こういう曲を演奏するエレカシって、本当にLED ZEPPELINみたいだなぁと。いや、本物のZEPをリアルタイムで観たわけじゃないので完全なる比較は出来ないけど‥‥こういうスタイルで、こういう演奏で、こういう歌を唄うバンドって他に思い付かないよなぁ。圧巻の一言。

  二度目のアンコールでは、そういえば今日やってなかったね?という印象さえ持った(逆に、それだけここまでの流れが圧巻だったと考えることもできる)"悲しみの果て"、そしてアルバム未収録の"ハロー New York!"でグルーヴィーなロケンローを聴かせ、最後の最後に名曲"あなたのやさしさをオレは何に例えよう"が登場。当然ブラスもストリングスも全部加わった超豪華バージョンで。総勢12人って‥‥昔のミスチルじゃないんだから(汗)。ま、この曲をこういった完全バージョンで聴くことも今後そうなないだろうから、かなり貴重だし、実際その凄さはハンパじゃなかった。楽曲の良さ、ノリの良さもあって、更に楽器隊の表現力や歌の凄みもある。何かさ‥‥ガストロだ、コレスポだって、そういうのに拘るのが馬鹿馬鹿しいと思える程に格好良かった。つうか、この日のライヴで新作「LIFE」全曲を生演奏で(しかも完全再現版で)聴いて、改めてこのアルバムの良さが見えてきた。うぁ俺、何で今までそれに気づかなかったんだろうね。きっと俺もガストロやコレスポに惑わされてたひとりなんだろうね。それと、小林武史っていう外部の人間が関わる事への危機感も。特に俺はミスチルファンでもあるから、小林ってプロデューサーがどういう仕事の関わり方をする人か、ある程度判ってるだけに余計心配だったのよ‥‥けど、そういう心配は‥‥少なくとも今日のライヴを観る限りでは無用のようだわ。つい最近までの「不良中年」的な初期衝動エレカシも勿論好きだけど、こういう「大人の男」をとことん感じさせるエレカシも好きだわ。きっと、以前の「愛と夢」の頃もこういう事がやりたかったんじゃないかなぁ‥‥ただあの頃は打ち込みに奔り出したり何やらで、結局それが空回りした感があるし。きっとこの路線をずっと続けることはないだろうけど、これはこれで俺、認められるよ。

  真性のファンの方々はどう思ってるか知らないし、知りたいとも思わないけど、俺はこれもエレカシの進むべき道のひとつだと思う。だってこういう面はずっと持っていたわけだし。ただ、それが歳を取ることによってなのか、それともプロデューサーによってなのかは判らないけど、そういう面が更に強調され、クドいくらいに前面に押し出された。それに嫌悪感を感じるのかもしれないね。まぁ楽曲そのものが嫌いっていうなら仕方ないけど、単に「こういうエレカシは嫌い」だからといってエレカシ自体を全否定することはないと思う。たった1枚のアルバムで(聴き手その人にとっては)失敗したからといってそれまでを全否定することはないんじゃないかな、と。これはエレカシだけに留まらずどのアーティストにも言えることなんだけど‥‥ ま、そういう人は次の曲やアルバムが異常に素晴らしいもの(というか、その人の感性にフィットするもの)だったりしたら、前回をなかったことにしてでも「○×サイコー!」とか言ってるんだろうけど。

  何も全てを肯定しろとは言ってない。けど、ひとつの躓きから全否定することもないんじゃないかな、と。今回のアルバム~ツアーで特にそう感じたな。さてさて、多くの「否定的なファン」の皆さんは今後どうなさるんでしょうか? エレカシの今後よりもそっちの方が気になる俺だったりして(笑)。


[SETLIST]
01. 奴隷天国
02. おはよう こんにちは
03. デーデ
04. 武蔵野
05. 女神になって
06. 部屋
07. 面影(おもかげ)
08. 秋 -さらば遠い夢よ-
 (途中で中断。アドリブの後、仕切直しで歌い直す)
09. かくれんぼ
10. マボロシ
11. 暑中見舞 -憂鬱な午後-
12. 真夏の革命
13. 普通の日々
--アンコール--
14. 金でもないかと
15. 浮雲男
16. 昔の侍
17. 優しい川
18. 今宵の月のように(宮本弾き語り)
19. 珍奇男
--アンコール--
20. 悲しみの果て
21. ハロー New York!
22. あなたのやさしさをオレは何に例えよう



▼エレファントカシマシ『ライフ』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2002 06 29 12:00 午前 [2002年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2002/05/04

FACTORY(エレファントカシマシ、インビシブルマンズデスベッド、downy、ナンバーガール)@フジテレビ(2002年5月3日)

  フジテレビで以前は月イチ程度で土曜深夜に放送されていた「FACTORY」という音楽番組をご存じだろうか? 勿論この番組は今現在も続いていて(関東地方ではこの4月から火曜深夜に30分番組として毎週放送)、今回俺が参加したのも、その番組の収録だった。

  収録とはいうものの‥‥噂には聞いていたが、普通のライヴイベントそのものだった。会場自体はお台場にあるフジテレビ局内の大きいスタジオにそのままあのセットを組み込んで、ステージ上には手際の良いスタッフが沢山いて(セットチェンジにどのバンドも15分程度だったことに驚く。フェス慣れしてるので、30分とか1時間とか当たり前だと思ってるし。まぁあれは野外とか大会場だからってのもあるんだろうけど)、非常に飽きさせない構成だった‥‥唯一、受付の午後3時から、ライヴ終了の午後10時まで、ずっと立ちっぱなしだった事を除いては‥‥あれはキツいって。フェスでもそりゃ疲れるけど、まだ途中で休んだり(座ったり寝転がったり)出来るし、何よりも同じ立ちっぱなしでもフェスは移動する為に歩いたり動いたりするから、同じ位置に立ちっぱなしの今回とは全く違うんですよ、疲れ具合が。正直、後半倒れそうだったもんなぁ‥‥

  まぁ冗談はこの辺にして(いや本気なんだけど)‥‥今回観た各アーティストの感想を簡単に書いて行きたいと思う。


◎スペシャル・オープニング・アクト

  前回の収録(4/19。ROSSOやLOSALIOSが出演。これも平日じゃなきゃ行きたかった‥‥)の際、当日会場でいきなりオープニング・アクトが付くことが発表され、しかもそれがモーニング娘。の安倍なつみだったという二重のハプニングがあったのだが、少なからず「また今回も娘。から誰かが‥‥」と期待していた人は多いようで、実は俺もそのひとりだったりした。

  会場に入った時、ステージ上にアコースティックセット(グランドピアノや譜面台に椅子、パーカッション等)を見つけ、今回も誰かやるんだ‥‥と期待に胸躍らせていた。圭ちゃんか、かおりんか‥‥なんて具合に。
  が、実際に登場したのは、FOLDER5のアキナだった。最初、ステージ後方のスクリーンにその名前が表示されても「AKINAって誰!?」って人が多かったようだ。名前が出る前に、その顔観て「アキナたん萌え~」とか言ってた俺って‥‥

  バックを務めたのは、ピアノが武部さん、パーカッション及びスタンディングドラムにスティーヴ衛藤、エレキベースに吉田健、アコギに蘭丸こと土屋公平、コーラスに愛しの加藤いづみさん。演奏された曲は、やはり今回も「古き良き時代の日本のロック」というコンセプトから、RCサクセションの"ドカドカうるさいR&Rバンド"と"いい事ばかりはありゃしない"の2曲。アキナの、子供の割にハスキーな歌声にこの選曲は合ってたように思う。かなり堂々としてたし、非常に好感が持てた。1曲目が終わった後にトラブルがあって、一生懸命MCで繋ごうと努力する姿が健気だったなぁ(可哀想だよな、スタッフのトラブルなのに)。

  しかし、個人的に一番嬉しかったのは、7年振りに間近で生加藤いづみさんを拝めたことでしょうか。相変わらず麗しゅうございましたが。


◎エレファントカシマシ

  15分程のセットチェンジを挟んで、今回のMCであるナンバガの向井が登場。相変わらず笑わせるMCで会場大賑わい。向井ってエレカシの「生活」が大好きなんだね。その話を聞いた時、妙に納得した。「男・宮本浩次35才~」ってMC、やたら多過ぎ。面白かったからいいけど。

  ちなみに、当日の向井の前説は以下の通り(「FACTORY」サイトより転載)。


  最初に登場するバンドは、男=宮本浩次=35歳が、この浮き世に向けてブッチかまします。宮本浩次の生活からにじみ出た、生まれ出た数々の名曲たち。思えば12年前、己の生活の心情の吐露を作品化した、すばらしい傑作アルバム『生活』というものがありましたが、この度、男=宮本浩次=35歳の現在の生活をありのままに、そしてやさしく、激しく唄った傑作アルバム『ライフ』を発表しました。

  宮本浩次が唄います! 吼えます! がなります! エレファントカシマシの登場だ、馬鹿野郎!


  とまぁ、とにかくエレカシである。てっきりトリだと思ってたら、いきなりトップバッターかよ‥‥こころの準備が出来てねぇってぇの‥‥と思ったら、聴き覚えのあるリズムをトミが叩き出す‥‥うげっ、いきなり"奴隷天国"かよっ!? なにげに初・生「奴隷天国」だわ‥‥超感激なんですけど‥‥けど、心の準備が出来てなかった分、ノるにノれなくて、ただ立ち尽くすのみな俺。いや、衝撃的だったんだけど。

  そのまま、これまたセカンドから"おはよう こんにちは"という反則技。やっぱりエピック時代の曲は否が応でも盛り上がる。そういうハードコアな作りだし。そして最近のライヴではお馴染みのデビュー曲"デーデ"へ‥‥そうか、これって3月に出た「SINGLES」からの選曲ってことなのか‥‥な? とにかく、来てよかったと思わされた瞬間だった。

  その後は、前日にリリースされたばかりの新作「ライフ」からの選曲。まだ1回しか聴いてなかったにも関わらず、耳に残った印象的な曲ばかりが演奏されたので、ちょっと安心。宮本曰く、今日は5/6からスタートするツアーの前哨戦らしいので、もしかしたら今回の選曲はツアー本編のショートバージョンといった感じなのかもしれない。

  興味深いのは、今回はステージ上にサポートメンバーがいること(キーボード)。最近ではA-DATを駆使していたが、新作の曲にはシンセやらブラスのパートが多いので、機械を多用するのではなくて、あくまで生身の人間を向かい入れた‥‥という点に非常に好意を持った。機械を多用すると、ライヴでのアドリブが効かなくなるので、これはこれでいいのでは?

  ラストは小林武史プロデュースシングル3部作。思ってた以上に"あなたのやさしさをオレは何に例えよう"がいい感じだったな。これが本ツアーでも本編ラストになるのかな。

  まぁイベントで45分のステージってこともあるし、新譜出た後なので古い曲が少なくなるのは判ってたけど、やっぱりガストロやコレスポのどっちかは聴きたかったなぁ‥‥


[SETLIST]
01. 奴隷天国
02. おはよう こんにちは
03. デーデ
04. 女神になって
05. 部屋
06. 秋 -さらば遠い夢よ-
07. 普通の日々
08. 暑中見舞 -憂鬱な午後-
09. あなたのやさしさをオレは何に例えよう


◎インビシブルマンズデスベッド

  このバンドに関しては全く知識もなく、名前を聞くのも初めてという状態。一応知らない人の為にオフィシャルサイトを紹介しておきましょう(→こちら)。

  ‥‥はい、ヴィジュアルを目に焼き付けましたでしょうか‥‥そういうバンドです。ただ、音は見た目以上に激しく、グラムというよりもエモがかったSONIC YOUTH的な轟音・爆音で、演奏もしっかりしてる、ただヴォーカルの彼が見た目以上に面白いキャラでして‥‥更に悪趣味の岡村ちゃんというか(いや、これは最高の誉め言葉なんだけど)。マイク股間に当ててしごいたり、ギタースタンドにマイクくっつけたり、スピーカーの上によじ登ったり、最後には布団持ってきて客席に投げ込んだり(爆)‥‥正しく布団がふっとんだといったところだろうか‥‥んなわきゃないし。

  個人的には進んで聴くタイプのバンドじゃないが、こういう機会でしか出会えない音だと思うので、それなりに堪能しておいた。好きな人は思いっきりハマるタイプじゃないだろうか?


[SETLIST]
01. 玉砕
02. 接触
03. 踊るオンナ
04. 限りないギター
05. 摩擦
06. 交わる吐息
07. デリー


◎downy

  名前だけは聞いたことあったが、このバンドもこの日初めて音に触れた。始まる前にステージ後方の壁に白い布を被せ、楽器のセッティングもステージ四隅にそれぞれドラムセットやアンプを置くといった感じで、始まる前からかなり風変わりな印象を受けた。

  で、実際に始まってみて、その印象は間違いではなかった。この日のライヴは常に明るい状態で進行していたのだが(あくまでテレビ収録がメインなので、通常のライヴより明るいのだろう)、downyの時だけ真っ暗に。ステージ上には4人(ボーカル&ギター、ギター、ベース、ドラム)しか目に入らないが、実際には5人組だそうで、残りのひとりはVJだそうだ。成る程、ステージ後方の白い布に音とシンクロするように映像が映される。まるでテクノ系のイベントにでも来たかのように。

  サウンド的には‥‥判りやすく言えば、RADIOHEAD以降のバンドということになるのだろう。ギター2本が複雑に絡み合い、ディレイだとかコーラスを多用し、それでいて轟音爆音だという。何となく「THE BENDS」辺りのレディヘみたなサウンドプロダクションだった。リズムもドラムとベースが複雑に絡み合ったり変拍子だったりと、どことなく「OK COMPUTER」以降のレディヘを思い浮かべる。ボーカルの線の細い歌声もまた、トム・ヨークのそれを彷彿させたし。

  ただ、まるっきりレディヘというわけでは勿論ない。曲調は独特な印象を受けるし、轟音に飲み込まれそうなボーカルも一聴して英語詞のようだが、実は日本語だったりするし(今日CDを買ってきて、初めてその事実に気付いたのだが)、かなり独特なバンドだと思う。

  面白かったのは、1曲1曲が終わった後、どこで拍手をしていいのか判らない観客。それだけヒンヤリとした緊張感が常に漂っていたということだろう。エレカシやナンバガで暴れようと思ってた若い子達にはこういうバンド、どう写ったんだろうか?(当然ながら、俺的にはストライクゾーンだったが)

  UKロック好き、レディヘファン、KING CRIMSON辺りのプログレ好き、そしてアブストラクト系テクノが好きでギターロックも行ける口の人に是非オススメ。


[SETLIST]
01. 酩酊フリーク
02. 葵
03. 野ばなし
04. 象牙の塔
05. 黒い雨
06. 無空
07. 左の種


◎ナンバーガール

  バンド史上最高傑作といえる「NUM-HEAVYMETALLIC」リリース後、最初のステージがこの「FACTORY」だった。勿論、レコーディング終了後にも幾つかのイベントをこなしているが、我々がその全貌に触れてからという意味では、まさに初お披露目と言えるだろう。個人的には、今年聴いた中でブッちぎりのトップ、いや、早くも今世紀を代表するロックアルバムだと思っている。それくらい凄い内容なのだ、このアルバムは。

  司会アシスタントのキタキマユが登場し、向井の代わりにMCを務める。そして登場したナンバガ‥‥ドラムセットがやけにステージ手前にあるのだが‥‥実は、そのくらいしかまともに覚えてなかったりする。というのも、演奏が始まった途端に俺、頭が真っ白になるくらいの轟音にやられ、そして気持ちよく踊っていたからだ。曲、なにやったっけなぁ‥‥"TATTOOあり"とかはやってたなぁ‥‥新作からは"CIBICCOさん"、"MANGASICK"、"delayed brain"とかかなぁ‥‥あ、当然名曲"NUM-AMI-DABUTZ"も。後はそのシングルのカップリングとかかな?(買ってないので判らない)

  最後は"OMOIDE IN MY HEAD"(実際にはラスト前だったみたい。熱くなっててもう1曲やったの忘れてた/汗)、そしてアンコールに"鉄風 鋭くなって"。これはよく覚えてる(だって一緒に唄って踊ってたから)。全然ライヴレポートらしいこと書けてないが、そのくらい久し振りに熱くなったライヴだったってこと。普段ライヴ観てても、一瞬素に戻る瞬間ってのが一度はあるんだけど、それがなかったもんなぁ‥‥45分、本当にやったの? 実は20分くらいしかやってないんじゃないの?なんて思った程で。そのくらい内容の濃いライヴだった。
  とにかくね、各メンバーの演奏もいいし(特にひさ子さんは更に凄いことになってたような)、向井のMCも相変わらず素敵だし、音は馬鹿デカいし、曲は抜群にカッコイイし‥‥まさかこのバンドがこんな風に化けるなんて、去年の夏、誰が想像した!?

  ナンバガについては‥‥言葉で表現する以上にアルバム聴け、と。昨年夏のフジロックでのステージより、更に凄いことになっていた。こりゃ単独公演、観なきゃマズイだろう‥‥そう思わせるに十分なライヴだった。

  MCに向井が決まった時点でトリが決まったのか、それともアルバムを聴いたスタッフが決めたのか判らないが‥‥正直に言う。大好きなエレカシが‥‥いくら"奴隷天国"を演奏しようが‥‥完全に霞んでしまった程、今のナンバガの勢いは凄い。悪いことは言わない。絶対に今回のツアー、観ておいた方がいい。仮にもロックファンを自称するあなたなら‥‥


[SETLIST]
01. TATTOOあり
02. CIBICCOさん
03. NUM-AMI-DABUTZ
04. FIGHT FIGHT
05. delayed brain
06. MANGASICK
07. OMOIDE IN MY HEAD
08. I don't know
--アンコール--
09. 鉄風 鋭くなって

投稿: 2002 05 04 05:27 午後 [2002年のライブ, downy, インビシブルマンズデスベッド, エレファントカシマシ, ナンバーガール] | 固定リンク

2001/12/08

エレファントカシマシ@SHIBUYA-AX(2001年11月21日)

  エレカシが、宮本がスランプに陥っていると聞く。どうやらこの秋に発表予定だった新作アルバムも現時点では完成に至らず、毎年恒例の正月武道館公演も来年はないという。アルバムも早くて春とのこと、今回の秋ツアーが終わった後も再びニューヨークに戻り、プロデューサー小林武史氏と共にスタジオ入りするという。久々の傑作と呼ぶに相応しかった「GOOD MORNING」を通過し、何故宮本は混迷の時期へと突入してしまったのだろうか?

  その原因のひとつは、間違いなくプロデューサーの選択ミスだろう。シングル"孤独な太陽"はまだアルバムとか考えていない時期に完成したであろう曲(2000年秋のツアーでは既にライヴで披露されていた)だし、むしろ問題と言えるのはこの春のツアーで初披露された"暑中見舞 -憂鬱な午後-"からだろう。ライヴでは、初期の疾走感と最近のポップ/メロウ感覚を融合させた、今のエレカシにしか作り得ない楽曲だったのに、7月にリリースされた小林プロデュースのシングル‥‥恐らくエレカシ史上最悪のアレンジ/プロデュースなのではないだろうか? これまでのような佐久間正英や根岸孝旨といった「バンドに好き放題やらせ、そこからいいものをピックアップしていく」ようなタイプではなく、「小林サウンド/ブランド」といえる個性を持った人間との融合は、エレカシにとって(これまでのところ)マイナスイメージしか生み出していないように感じる。本当にこれでいいのか、これで合っているのか? そういった苦悩が今の宮本にはあるのかもしれない。

  本来なら今回の秋ツアーも、既にリリースされているはずだった新作アルバム(あるいはシングル)をサポートするツアーとなるはずだった。が、結果はご存じの通り。新曲は1曲も披露されることなく、その演奏曲目からいっても「GOOD MORNING」ツアーと呼んでも差し支えない内容/演奏だった。当然、本日でエレカシ体験5回目(内4回がこの1年以内/驚)の俺にとっては、初めてライヴで聴く初期~中期曲が多かったことは収穫だが、残念ながら今回の内容では今後彼らが進んでいくであろう方向性は全く見えなかった。いや、もしかしたら今回の選曲‥‥敢えて前作「GOOD MORNING」からほぼ全曲を演奏したという事実が、来るべき新作への糸口となっているのかもしれない。まぁあのシングル1曲(「孤独な太陽」の2曲は別として考える)では、今後の方向は見えないしな?

  当日はCS放送で生中継するということもあり、かなり熱の入った演奏/歌を聴かせてくれた。特に宮本の喉の調子がかなり良さそうで、これまで観た中で一番迫力/説得力のある歌だった。MCも昨年千葉で観たあれは何だったのか?と思わせる程に少なく(笑)、少々ガッカリもしたりして。ただ、MCが少ない分演奏曲数が増えに増え、結果約2時間の間に22曲も演奏したのだから、これで満足しなかったら嘘になるだろう。

  "so many people"でいきなりスタートした時には鳥肌ものだったし、そのまま続く中期の隠れた名曲"うれしけりゃとんでゆけよ"、"赤い薔薇"といったライヴで初めて聴く曲に感動しつつ、1年振りの"風に吹かれて"は一緒に唄ってジーンとする俺。そのまま"ゴッドファーザー"~"情熱の揺れるまなざし"という「GOOD MORNING」からの6連発には正直立ち小便モノの緊張感を感じた。

  小休止ともいえるアコースティックコーナーでは、椅子に座った宮本がアコギ抱えて「東京の空」から"涙"を披露し、大拍手。夏の野音でもやったそうだが、初めて生で聴く俺にとっては感涙モノ。風邪気味だったので、涙の代わりに鼻水たらしておいたが(苦笑)。そのまま"孤独な太陽"へと続き、感動の中アコースティックコーナーは終了。

  ゼップ・ツアーでも披露された"かけだす男"からの3曲のアップテンポの並びはやはり最高。"デーデ"は今日で3回目だが、はやりこの曲を聴くと血管の血液が脳まで昇り吹き出しそうな程に興奮する。そして‥‥悲しいかな、やっぱりライヴでは名曲なんだよなぁ、"暑中見舞 -憂鬱な午後-"は‥‥聴く度に演奏やボーカルパフォーマンスに磨きがかかってくし。出来るならば、アルバムでは再録音して「今の」エレカシアレンジで収録して欲しいのだが‥‥まぁ小林だしな?(苦笑)

  そして本編ラスト2曲には、ファーストから"やさしさ"と"花男"という名セレクト。特に"やさしさ"の、強弱を強調した演奏・歌にはCD以上の緊張感と説得力を感じた。そして鳥肌‥‥逆境の中から光を見出そうとしてる彼らの底力みたいなものをそこから感じたのは、俺だけだったのだろうか? そして最後の"花男"の名セリフといえる「生きる屍さようなら」では、宮本もオーディエンスも手を振りかざす。まるで混迷の「今」とおさらばするかのように‥‥

  本編も濃かったが、アンコールも更に濃い。いきなり"ガストロンジャー"からスタートし(しかも過去聴いた中で最も攻撃的で、それでいて歌詞がハッキリと聞き取れた)、ここに持ってきたか?の超名曲"悲しみの果て"へと続き、1回目のアンコールが終わる。当然まだまだ続くだろうと、オーディエンスは拍手でメンバーの帰りを待つ。

  2度目のアンコールも意外な始まり方で、いつも本編ラストかアンコールラストというイメージのある"コール アンド レスポン"を持ってきて、我々を驚かせる。更に攻めの勢いのまま、ファーストアルバムの1曲目"ファイティングマン"へ。正直、今までずっとライヴで聴きたかった曲のひとつだったので、これだけでも大満足。が、ここで終わればいいものを、更にもう1曲"四月の風"でしめやかに終わらせる辺りに、実は今のエレカシの「混迷振り」が滲み出てるように思った‥‥のは俺だけ?(苦笑)あのまま爆発して終わらせれば、申し分のない500点満点のライヴだったんだけどな‥‥

  大興奮のままライヴは終了。が、オーディエンスの興奮は収まらず、更にアンコールを求める大きな拍手・手拍子が‥‥終演を告げるアナウンスの中、上半身裸の宮本が四度登場し、「ごめんなさん、もう演奏する曲がありません」と謝って、何故か吉田拓郎の"人間なんて"を唄いながらステージを後にする。いや、如何にもエレカシらしい、宮本らしい幕切れだった(笑)

  ツアーの度にまだタイトルも決まってない新曲を我々に披露してきたエレカシだが、レコーディングが全く進んでないどころか、新曲すら出来ていないのだろうか?(それとも披露するに到ってないレベルの曲ばかりなのだろうか)何にせよ、そういう点には不安は残ったものの、それとライヴの出来不出来はまた別。とにかくこれまで観たエレカシの中では過去最高の完成度と迫力だった。上で「"ファイティングマン"で爆発したまま終わっていれば申し分のない500点満点のライヴだった」と書いたが、それでも全部終わってみれば、それに限りなく近い点数をつけられる出来だったと思う。とにかく、こんなに晴れ晴れした気持ちでライヴ会場を後にするのは、そうはない事だ。9月のソウルフラワーもそういうライヴだったが、本当にエレカシといいソウルフラワーといい、精神性といい表現の仕方といい、滅茶苦茶素晴らしいライヴをやってくれる。

  さて‥‥この調子だと多分来年の春先まではライヴはお預けなのだろう。とにかく今は新しい音源だ。このまま小林武史と組んで作業を進めるのか、それともここで一旦関係を解消して、サポート的に過去の関係者(佐久間なり根岸なり)を呼んでセルフプロデュースになるのか‥‥全く予想がつかないが、とにかく次ステージに登場するときは、一点の曇りもない、馬鹿笑いと冷や汗を同居させた名曲と共に戻ってきて欲しいと切に願う。だってそれが出来る男だから、宮本浩次という人は。


[SETLIST]
01. so many people
02. うれしけりゃとんでゆけよ
03. 赤い薔薇
04. 風に吹かれて
05. ゴッドファーザー
06. 武蔵野
07. 精神暗黒街
08. 生存者は今日も笑う
09. I am happy
10. 情熱の揺れるまなざし
11. 涙
12. 孤独な太陽
13. かけだす男
14. デーデ
15. 暑中見舞 -憂鬱な午後-
16. やさしさ
17. 花男
--アンコール--
18. ガストロンジャー
19. 悲しみの果て
--アンコール--
20. コール アンド レスポンス
21. ファイティングマン
22. 四月の風
(23. 人間なんて / 吉田拓郎)



▼エレファントカシマシ『暑中見舞~憂鬱な午後~』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 12 08 12:00 午前 [2001年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2001/05/21

エレファントカシマシ@Zepp Tokyo(2001年5月20日)

  というわけで、エレカシである。前回のツアーは昨秋リリースのコンピ盤「SWEET MEMORY ~エレカシ青春コレクション」をプロモートするツアーでもあったわけで、そこでいち早く新曲"孤独な太陽"が披露されていた。今回のツアーは全国にあるゼップ会場を回るクラブツアーになるわけだが、新曲リリース後にニューヨークへ飛んでレコーディングをしていたというそうだから、この場で再び新曲が何曲か耳に出来るのでは‥‥そんな思いを胸に、約2年振りにお台場・ZEPP TOKYOへ向かった。

  会場には開場時間1時間前に到着してしまった。既にグッズの先行発売を行っていたが、会場内からはリハーサルの音が漏れている。"コールアンドレスポンス"のようだ。ツアー開始2日目という事で、感を取り戻す為に念入りなリハーサルを開場直前まで行っているようだった。

  その後、会場周辺をぶらつき、開場時間の17時を過ぎた頃に再びZEPP前へ。既に入場の為の行列が出来ていた。俺はB280番台だったので、暫くその行列を眺めながら今日演奏して欲しい楽曲を勝手に想像していた。果たして秋冬のツアーとどう変えてくるのか‥‥

  ZEPPは独特な柵分けがあって、ダイヴなどがしにくいような気がする。まぁエレカシでダイヴっつうのも‥‥見てみたい気もするが。俺は会場中央よりちょっとだけ前寄りに陣取り、ライヴのスタートを待った。前回同様10分遅れでスタートした。上下黒で統一したメンバー4人が現れる。「Oh,Yeah!」を連呼する宮本。ホールとは違い、独特なノリが感じられた。

  1曲目は先日発売のマキシシングルに収録された"東京ジェラシィ"。ちょっと意外だった。かなり低いキーから唄い出す曲なので、ちょっと聴き取り難かった。キーが高くなって判明したのだが、この日の宮本の声の調子はあまりよくないようだった。何か既にツアー後半戦的コンディションというか‥‥千葉で観た時と同じような状態のような気がした。リハーサルに気合い入れすぎたのか、それとも最近はいつもこんな調子なのか‥‥この状態は最後まで続いたが、前回のように後半更に酷くなるということもなく、この状態を維持したまま、宮本は最後まで唄い叫んだ。

  続く2曲目はお馴染み"明日に向かって走れ"。前回と同じ構成だ。特に目新しいことなし。ただオーディエンスとメンバーとの距離感が短いせいか、「歌」がよりダイレクトに届いた、そんな気がした。メンバーの表情も手に取るように判るし。3曲目は先頃JR東日本のCMにも起用された、懐かしい"孤独な旅人"。出だしのギターのキーを宮本が間違っていた為、一瞬ドキリとしたが、そこはさすがプロ。何事もなかったかのようにオリジナルのキーに戻っていた。

  この後の展開は、やはり前回同様の"悲しみの果て"や、久し振りでは!?の"おまえと突っ走る"といった「ココロに花を」の楽曲を連続3曲披露。ちょっと嬉しかった(好きなアルバムなだけに)。そして一端"今宵の月のように"を披露した後、小休止。アコースティックコーナーへと移る。

  ここでは「愛と夢」から唯一披露された"真夏の夜空は少しブルー"がいい感じだった。前回のツアーでも時々演奏されていたようだが、「愛と夢」再評価が俺の中で盛り上がっている時期だったので、ちょっと嬉しい。本当はもっと他の曲も聴きたかったのだが‥‥そして続けざまに披露されたのが、「東京の空」収録の"誰かのささやき"! これには正直驚いた。タンバリンをサンプリングした打ち込みに合わせて演奏するという昨今のスタイルで演奏されたのだが、この時点までに演奏されていた『ポニーキャニオン~東芝移籍後』の楽曲と全く違和感がなかった。傑作「東京の空」というのは、今思えば初期のストロングスタイルのエレカシと、移籍後の歌を聴かせるスタイルのエレカシとの橋渡し的作品だったのではないだろうか? もっともあの時点での契約終了がなければ、「ココロに花を」は存在しなかっただろうけど。そういう意味では、本当にバランスがとれた作品だと思う、「東京の空」は。

  少し話が脱線したが、ライヴに戻ろう。アコースティックコーナーの締めは、最新シングルの"孤独な太陽"。昨年末のツアーでも既に披露されていた、あの曲だ(但し、当時はまだタイトルがなかった)。前回同様、宮本は椅子に座ってギターを弾く。あれっ、確か昨年のツアーではアコギだったような気が(テレビや今回のライヴではレスポールだった)。アレンジ自体は殆ど変わっていないようだが、リリースされて歌詞に目を通した分、より伝わって(聴き取れて)心に響いた。もっとヒットしてもいいはずなのだが‥‥

  ここで宮本、手ぶらに。「新曲がやっと1曲出来ました。えっと、いつ出るんだっけ? 7月?(と石くんに問いかける)ってこのオヤジに聞いても判るわけないか」と、相変わらずギターの石くんイジメ(笑)。そして披露された新曲は、パワーコード一発!って感じのリフが印象的な、アップテンポのロックナンバー。曲の構成は比較的シンプルで、Aメロとサビの繰り返し。低いキーからスタートし、後半オクターブ上がりするのは、最近の宮本のパターンなのか? 「豊かさの中の流浪の民よ」「俺達の憂鬱を」といったフレーズが耳に残り、「闘争」という言葉も何度か出てきたような記憶が‥‥歌詞だけ取れば、初期エレカシ的スタイルなのかもしれないが、メロディーが「現在進行形」のエレカシを感じさせるもので(特にコード進行に それが顕著に表れている)、まぁヒットは期待できないかもしれないが、次の一手を占う意味では非常に興味深い作品だと断言できる。
  そして何より、この新曲も「あくまでバンド」として演奏していた事が嬉しかった。前作では宮本の独断で打ち込みを取り入れ、それが楽曲に上手く作用していたが、石くんも成ちゃんもトミも、上手く生かし切れていなかったのでは?という疑問も少しだけあった。だからこそ、今年に入ってからの新曲が「あくまでバンド」主体の楽曲‥‥打ち込みに合わせて演奏するのではなく‥‥ばかりだという事に、俺はちょっとドキドキしている。もしかしたら、ハードサイドとソフトサイドが上手く融合した、過去最高のエレカシが生まれる可能性もあるし、逆に転ける可能性もある。恐らく秋にはアルバムが手元に届くはずだから‥‥その時にまた続きを。

  ここから後は、前回のライヴ同様、お馴染みの曲で攻めてエンディングまで持っていく形だ。前作からの"武蔵野"を披露した後に、トミのスネア頭打ち‥‥会場騒然、そう、本編ラストは"コールアンドレスポンス"だ。宮本は途中でギターを下ろし、狭いステージの上を右へ左へと暴れまくる。ここまでは高音がかなりきつそうだったが、それでも前回よりはいい方だ。マイクを床に叩きつけてステージを去り、本編終了。当然、アンコールを求める拍手が延々続く。

  ステージ袖から走って登場する宮本。シャツを黒から白に着替えている。やっぱり宮本といえば白シャツだろう。「もう何曲かやります!」の声に、観客大喜び。さて、ここまでで「エピック時代」の楽曲は1曲のみ。他にも期待できるのか?

  まずは再び「ココロに花を」から"かけだす男"。これも好きな曲だ。ハードだが泣きのメロディーが胸に響き、切なくなる曲だ。後半メロディーや節回しが複雑になるところが特に好き‥‥演奏もタイトだ。

  エンディングを引っ張り、宮本がトミに何か話しかける。相づちを打つトミ。カウベルを叩き始める‥‥ということは‥‥石くんが、あのリフを弾き始めた!!! "デーデ"じゃないかっ!!! ファーストからの曲が聴けるとは、思いもしなかった。1月の武道館ではやったらしいが、まさか今日ここで聴けるとは思ってもみなかった。俺もそうだったが、当然のように他の観客もこの日一番の盛り上がりを見せた。何せダイヴする客まで(!)現れたんだから‥‥そう、本当にエレカシのライヴでダイヴを観る事になろうとは‥‥っ!!! 初めて聴くライヴヴァージョンは、アルバムよりもハードコアなアレンジだった。特にサビに入る前のシンコペーション‥‥ガッガッガッってギター・ベース・ドラムが一丸になるところね‥‥のリズムが速くなるところ! 思わず拳を握りしめてしまった! 再びマイクを床に叩きつけてステージを去る宮本。当然、アンコールを求める拍手その2が延々続くのだった。

  そして2度目のアンコール。またまた「ココロに花を」から"四月の風"を披露。このアルバムの中で一番好きな曲だ(!)。ひとり泣きそうになりながら唄う、唄う‥‥それにしても、今回のツアーは「ココロに花を」の楽曲がここまでで5曲も披露されているが、これには何か意味でもあるのだろうか? たまたま選曲したらそうなったのか、それとも新作への伏線なのか? 非常に気になるところだ(でも、何か宮本の気まぐれのような気もするけど/笑)。

  最後の最後にプレイされたのは、名曲"ガストロンジャー"だ。当然客もステージも大暴れ。宮本は再び石くんに技をかけたりして、演奏の邪魔をする。それでも、何事もなかったかのように笑顔で演奏に戻る石くん‥‥やっぱり君こそ、真のギターヒーローだっ!(笑)

  まぁこんな感じでライヴは終了したのだった。時間にして、正味1時間半といったところか。前回とほぼ同数の演奏だったが、意外とあっという間に終わった感がある。まぁ今日でこのツアー2日目ということもあり、まだ肩慣らし(或いはリハビリ)状態にあるのかもしれない。演奏も危うさを感じる箇所が、途中何度かあったが、トータルで見れば満足のいく、いつも通りのエレカシだった。

  今回はアルバムレコーディング時期のライヴだったのだが、思った程新曲は披露されず、完全な新曲はたった1曲のみだった。ライヴ前は、もっと演奏されると勝手に想像していて、それらの楽曲とこの日のエレカシの状態から新作を占おうなんて思っていたのだが‥‥エレカシはいつも通りのエレカシだった(苦笑)。毎回何か新しいことを要求するのは少々酷かもしれないが、その辺は歴史の長いバンドだ、過去のレパートリーから意外な選曲をすればフォローできるだろう(新しさは皆無だが)。メンバーにとってはレコーディング最中の息抜き的(或いはレコーディング終了後のリハビリ的)ツアーなのかもしれない。まぁそれもいいか‥‥

  という事で、次に俺が彼らを観るのは、8月5日の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」だ。フェスという事で演奏時間は短いだろうが、ファン以外の人間をも巻き込んで盛り上げてくれるような内容になるだろう‥‥ことを勝手に祈っている。


余談:この日は通常よりも1時間早い開場・開演時間だったのだが、当然バンドの入り時間やリハーサルの時間も1時間早まるわけだ。そこで宮本はこの日、10時に目覚ましをセットしたのだが‥‥目が覚めたら昼の1時だったそうな(笑)‥‥まぁギリギリリハーサルには間に合ったらしいが‥‥新曲と言って、即興でそういう歌詞を付けた曲を演奏するエレカシって‥‥お茶目だ(笑)。


[SETLIST]
01. 東京ジェラシィ
02. 明日に向かって走れ
03. 孤独な旅人
04. 悲しみの果て
05. おまえと突っ走る
06. 今宵の月のように
07. 真夏の星空は少しブルー
08. 誰かのささやき
09. 孤独な太陽
10. (新曲)
11. 武蔵野
12. コールアンドレスポンス
--アンコール--
13. かけだす男
14. デーデ
--アンコール--
15. 四月の風
16. ガストロンジャー



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投稿: 2001 05 21 05:09 午後 [2001年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2000/12/31

エレファントカシマシ@千葉県文化会館(2000年12月10日)

  唐突だけど、地元(ここでは広い意味で、千葉県って事で)でライヴを観るってのは、やっぱりいつもと違うね。変な意味での「安心感」みたいなもんがあって。東京に住んでた頃にもちょくちょく県内のホールやライヴハウスに出向いてたけど、安心するんだよね、見慣れた風景や場所が。例えば、俺は学生時代は神田~秋葉原~お茶の水ってのがホームグラウンドで、その後勤めてたのが新日本橋だったので、なんだかんだで5~6年は神田周辺にいたんだよね。だから今でも所用でその辺に出向くと、妙に安心するんだわ。ビジネスホテルを神田周辺に取るのも、それがちょっと関係してるんだけどね。

  っていきなり関係のない話からスタートしたけど(笑)、千葉県文化会館でエレカシを観てきました。エレカシ自体はかなり前、アクト・アゲインスト・エイズ(AAA)@武道館で初体験してまして、その時は確か「東京の空」出した後で、かなりいい感じだったんだけど(実はその時はミスチル目当てで行ったのだけど)、年明けてすぐに契約切られた事を知るという‥‥で、その後の彼らの紆余曲折~快進撃はご存じの通り。何度か観ようかな?とは思ってたものの、なかなか機会がなくて。今回、本当にたまたまなんだよね、千葉県文化会館で、しかも日曜に‥‥こりゃ行くしかないでしょ!(笑)

  でね、俺。実は勘違いをしてた事が発覚して‥‥「JR千葉駅」から歩いてすぐだと思ってた千葉県文化会館。よくよく調べたら「本千葉」という駅から徒歩10分だった‥‥危なかったよ、マジで。(笑)

  さて、ここからはマジでレポートに。開演時間が18時という事だったけど、俺が会場に着いたのはほぼ定刻。でもまだ始まる気配がなく、結局始まったのは10分過ぎてから。ステージにメンバーが続々現れ、最後に宮本が登場。「OH YEAH!」を連発する宮本。白いYシャツに黒いパンツという、お馴染みの出で立ち。ストーンズやストリート・スライダーズを彷彿とさせるラフなロックンロールへと進化していた"good-bye-mama"からライヴはスタート。前日、戸田でライヴを行っていた事も関係して、宮本の喉の調子は完璧とは言えなかったが、それを補い余る程のパワーを感じる。スタジオテイクではドラムは打ち込みだったものの、ここではバンドアンサンブルが冴えている。今後、再びバンドでのレコーディングに挑む事もあるだろう。是非、この勢いを重視した楽曲を用意してもらいたいものだ。

  続いてバンドは"明日に向かって走れ"に突入。やはりスタジオテイクよりもテンポ・勢い共に増していて、聴いてて気持ちいい。ライヴを通して思った事は、古い曲も最近の打ち込みの曲も、今のバンドの音でやれば一貫性があるという事。ガストロもこれらの曲も、特に違和感なく聴けたのが嬉しかった。

  そして最新作のシングルから"Soul rescue"。これなんてかなりテンポアップされてて、攻撃力が300%増しって感じ。スタジオ録音ではダルな感じの引きずるようで、それでいて攻撃的なというイメージだったが、ライヴではとにかく攻撃オンリー。タメもクソもあったもんじゃない。ライヴ音源は「コールアンドレスポンス」のシングルに収められているが、それ以上だ。バンドアンサンブルは想像以上だった。5年前にちょっとだけ体験した時よりも、何十倍も、何百倍も凄い事になっていた。

  その後MCを挟んで、俺が一番聴きたかった"悲しみの果て"を披露。「花を飾ってくれよ/いつもの部屋に」を「ふたりの部屋に」と変えて唄ったとこに、ググッときてしまった。この辺から"昔の侍"まで、声が張り裂けんばかりに唄いっぱなし。もう泣きそうだったよ、俺(苦笑)。

  MCを挟んで、宮本はアコースティックギターに持ち変える。そこで唄われたのが、4枚目のアルバム「生活」に収録されれた"月の夜"だ。アルバムを今聴くと、さすがに最近の彼らとは違和感があるが、こうやってライヴで通して聴かされると、本当に違和感がないんだな、これが。この日、エピック時代の楽曲はこれと後で演奏された"珍奇男"のみなのだが、もっと聴きたかったというのが正直な気持ち。ただ、ブレイク後の彼らを見たことのなかった身分としては、こうやって名曲の数々をバンバンとやられただけでも気持ちよかったのだが。

  今日は1曲のみ、まだ未発表の新曲を演奏した。「一人暮らしについての歌だ」という説明の後に始まったその曲は、アコースティックアレンジが施された、心に残る曲。「ロマンチック」なんて単語がサビに出てきたと思うが、復活後の彼らのいい面を更に押し進めた感じの、本当にいい曲だった。後で宮本は「まだ曲名決めてないんだよね。『ボステンジャー』でいいや♪」と言ってた(笑)。そりゃないだろう。

  その後、「これぞ真の意味でのハードコアソング」である"珍奇男"を熱演。途中でエレキに持ち替えて暴れる。そして"so many people"に突入。この日一番の盛り上がりをみせる。一聴してポップなメロディーを持つこの曲、ここまでハードコアに迫るか!?ってな具合だ、こりゃ。本当にカッコイイ。宮本の声は既に枯れきってしまっていて、正直辛いものだったが、そんなことお構いなしに勢いで押しまくる。

  この曲で本編は終了し。フィードバックした宮本のギターだけがステージに残る。暫くしてメンバーはステージに戻ってきた。アンコール1曲目には「懐かしい曲を」という事で"始まりはいつも"を披露。7枚目のアルバム「東京の空」時にレコーディングされていて、その後も何度かライヴでは披露されてきた曲で、先頃発売された編集盤「sweet memory」にも初回盤のみに収録されていた曲だ。ザクザクしたギターリフが心地よい、最近の彼らにはないタイプの楽曲だ。

  この後からの3曲は、復活後の歌メロを大切にした楽曲群が続く。宮本が大切にしているという、最大のヒット曲"今宵の月のように"、最新作「GOOD MORNING」期の中でも比較的メロウな"武蔵野"、"sweet memory"と熱い演奏を終え、再び袖に戻る。再びアンコールを求める声。

  三度登場した彼ら。宮本は白シャツからツアーTシャツに着替え、ギターを持たずに「神主は知っている」(?)だったか何だか訳の分からない事を言いながら、お待ちかねの"ガストロンジャー"だ。打ち込み+ADAT(コーラス部分。それともテープ?)を駆使したバックに乗せて、宮本は既に出なくなっている声を振り絞る。唄うというよりは宮本得意の独り言(笑)といった感じのこの曲。ライヴでは更にステンポニアスにその場その場で台詞を変えていく。途中何度も言葉に詰まる場面もあったが、この曲はこれでいいだろう。思った以上にギターの石森がカッコイイ。本当にジミー・ペイジみたいだった(佇まいもプレイも)。途中で宮本に上着を脱がされていたが(笑)とにかく彼のバッキング、そしてソロプレイは好みだわ。
  彼らがこの日最後に選んだ曲は、予想通りの"コールアンドレスポンス"。当然といえば当然。"ガストロンジャー"以上に衝撃的だったこの曲。もうこの頃には、俺も真っ白になっていた。宮本は右へ左へと走りまくる。演奏はとにかく最後までタイトで、下手なハードロックバンド以上にハード&ヘヴィだった。リズム隊も最後まで乱れる事なく、気持ちいいくらいに重いプレイを聴かせてくれた。そして石森のギター。文句なし! 2000年度のベストギタリストに決定!

  と、最後は何だか訳の分からないレビューになってしまったが。この興奮が伝われば良しとしよう(笑)。久し振りにここまで興奮した。10月に見たCoccoは、演奏・歌・内容全てが完璧に近い状態だったが、エレカシはそれには程遠かったかもしれない。けど、ロックが持つ初期衝動のようなものは、今年見たライヴの中では一番だった。それだけは胸を張って言える。ロックという音楽が持つ攻撃力、言葉の持つ破壊力、メロディーが持つ癒し・優しさ、フロントマンが持つカリスマ性。それらを全て兼ね備えたのがエレファントカシマシというバンドなのだと、この日改めて知らしめられた。それだけで十分だ。

  最後に。MCについては今回は述べない事にします。既に掲示板にいろいろ書いたし。ここでは彼らが持つ、破壊力についてのみ書かせてもらった。その他の要素もあって彼らのライヴが楽しいのは確かだが、まぁそれは見た人だけが知っているという事で‥‥こうやって活字にしてしまうと、面白味が半減してしまうと思うので(笑)。


[SETLIST]
01. good-bye-mama
02. 明日に向かって走れ
03. Soul rescue
04. 悲しみの果て
05. 風に吹かれて
06. 昔の侍
07. 月の夜
08. (新曲)
09. 珍奇男
10. so many people
—アンコール--
11. 始まりはいつも
12. 今宵の月のように
13. 武蔵野
14. sweet memory
—アンコール--
15. ガストロンジャー
16. コールアンドレスポンス



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投稿: 2000 12 31 05:03 午後 [2000年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2000/09/24

エレファントカシマシ『sweet memory~エレカシ青春セレクション~』(2000)

   悲しみの果てに
   何があるかなんて‥‥
   悲しみの果ては
   素晴らしい日々を
   送っていこうぜ

      ("悲しみの果て")


この歴史的名曲から始まった第2期エレカシ。それ以降に発表されたアルバム「ココロに花を」「明日に向かって走れ」「愛と夢」「GOOD MORNING」の4枚の中から、宮本が『青春』という言葉をキーワードにして選出したのが、このセレクション・アルバム(ベストアルバムに非ず)「SWEET MEMORY ~エレカシ青春セレクション~」である。

エレカシは昨年のシングル"ガストロンジャー"によって、また新しいスタートを切ったといっても過言ではない。そういう意味ではこの曲以降を第3期と言う事も出来る。しかしその第3期の楽曲も2曲選ばれている。何故この時期に宮本はこのアルバムをリリースしようと考えたのだろうか?

噂でだが「GOOD MORNING」が思っていた程売れなかった為の補填だという話を聞いた。あながちない話とも言えない。ただ、本当ならベスト盤なんだろうけど、そこで宮本が踏ん張ったのかもしれない。「だったら"ガストロンジャー"とは別の側面を表現した内容にしたい」、と。

シングル"SO MANY PEOPLE"のカップリングには"SWEET MEMORY"というアルバム未収録曲が入っている。これがまた、「ココロに~」「明日に~」辺りの彼等を彷彿とさせるいい曲だった。しかもバンド録音である。何故これがアルバムに入らなかったかというと、やはり色が合わなかったからだろう。そして宮本は再びこの曲にスポットを当て、このセレクションアルバムのタイトルトラックにも選んだ。『青春』というキーワードと共に。

とにかくね、聴いて欲しいんですよ。初期(エピック時代)の楽曲を集めた「BEST」は出ているものの、最近の楽曲をまとめたアルバムは出ていなかっただけに、"ガストロンジャー"でファンになり「GOOD MORNING」に肩すかしを食らったという人には特に聴いて欲しい作品なんですわ。勿論ここに入っていない曲にも名曲は沢山ある。けど、エレカシのテーマ『生活』『青春』といったキーワードに沿って選ばれた、という意味ではこのアルバムはオリジナル作品と考えてもいいとさえ俺は思ってる。『生活』というテーマに沿って作られたのが「GOOD MORNING」なら、もうひとつのテーマである『青春』に沿ったのがこの作品なのだから。

アルバム未収録曲が数曲入っているのも、このアルバムの「売り」のひとつ。このアルバムのテーマ曲とも言える"さらば青春"や、アルバムとはバージョン違いの名曲"月夜の散歩"、そうそう、"悲しみの果て"もアルバムとはミックスが違うシングルバージョンだ。更にこのアルバムの初回盤にはボーナスディスクが付いていて、そこには'94年1月にレコーディングされていたエピック時代の未発表曲が2曲("石橋たたいて八十年"と"始まりはいつも")入っている。アルバムでいえば「東京の空」の時期だ。これがまたオイシイ曲だ。ファンなら絶対に気に入るであろう佳曲だ。意外と最近の路線に近いかもしれない。

まぁ細かいデータはアルバム内に入ってるブックレットに記載されているので、後は買ってのお楽しみ。そうそう、アルバムには元ロッキンオン・ジャパン編集長(現rockin'on編集長)の山崎洋一郎氏の解説も入っていて、これがまた泣かせる。ある意味エレカシと2人3脚だった再契約に到る辺りの話などもあって、当時を知る人間にとってはこの文章からも『青春』臭さを感じてしまう。

近々、"風に吹かれて"が再びCMソングに起用されるそうだ。そして恒例の冬のツアーも始まる。そろそろ新曲に取りかかる時期かもしれない。1年に2枚、こういう形で自らのテーマを具体化した作品をリリースした今、今後のエレカシ、今後の宮本に更に期待するばかりである。



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投稿: 2000 09 24 03:46 午前 [2000年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2000/06/07

エレファントカシマシ『GOOD MORNING』(2000)

リリースから既に1ヶ月以上経ったが、未だによく聴くアルバムだ。今年の邦楽は豊作である。あまり絶賛されていないようだが、ミッシェル「CASANOVA SNAKE」は名盤だと思うし、椎名林檎やブランキー等目白押しだ。その中でも特に抜きん出ているのがこのエレカシ「GOOD MORNING」だと、個人的には思っている。

そもそも前作「愛と夢」は殆ど聴かなかった。今でも聴く機会は殆どない。決して悪いアルバムではないし、曲も優れていると思う。では何故? 俺の感想だが、結局復活後の『良い歌を届ける』という意味でのエレカシは既に復活第1弾であった「ココロに花を」で完成していたのだ。あのアルバムの楽曲は、レコード会社から契約を切られた後の1~2年の間に、ライヴハウスでの活動の中で生まれ、そして最初にライヴという『第三者を意識した』形で披露されてきた楽曲ばかりである。そういう意味では『第2期エレファントカシマシ』のデビューアルバムとも言える。そう、だからこそ目的意識‥‥如何にエレカシの楽曲をみんなの心に届けるか?というテーマ‥‥を持って書かれた楽曲は、常に大衆を意識していたのだ。そして練りに練られた楽曲達は日の目を見る‥‥その時点で完成されていたし、目的は達成されていたのだが。彼等が“悲しみの果て”をはじき出した瞬間に、勝負は決まっていたのだ。

続く「明日に向かって走れ」はそのダメ押しともいえる内容だった。これまでの活動を後押しする形で“悲しみの果て”がCMソングに起用され、その後のシングルもタイアップを得るという形で彼等の歌はお茶の間に届き、浸透していった。その決定打となったのは、初のドラマ主題歌“今宵の月のように”だろう。多くの人間が今、エレカシといってイメージする1曲ではないだろうか? そう、この時点で目的は完全に達成され、不動の地位を手に入れたはずなのだ。

だからこそ、更にこの路線を突き詰めようとした「愛と夢」という作品に、俺は違和感を感じたのだ。前2作で得た成功から宮本が出した答え‥‥それは何だったのだろう? 果たして楽曲至上主義の中で、『バンド』という運命共同体を無視してまで打ち込みに走る理由があったのだろうか? 以前から宮本は打ち込みに興味を持っていたようだが、何故それをこの時期に、こういう楽曲の中で試そうとしたのだろうか?

エレカシが再びレコード会社を移籍した、と最初に耳にしたのは昨年暮れ近くだった。と同時に久し振りのシングルが出る事も知った。そしてそれが初期のような攻撃的な楽曲だと聞いてワクワクしたのを、今でも覚えている。その楽曲こそが“ガストロンジャー”であった。これには多くの音楽ファンが衝撃を受けたはずだ。LED ZEPPELIN級のヘヴィ路線の楽曲に載るのは、我々のような古くからエレカシを応援し続けたファンが唸るような内容の、攻撃的な歌詞だった。しかも、もはや『歌』としては機能していない、ラップとも違う、宮本にしか出来ないであろう『叫び』。「今エレカシを聴かないとヤバい」そんな空気さえ流れた。「日本のRAGE AGAINST THE MACHINE」なんて賛辞も挙がった程だ。

それに続くシングルは、久し振りのドラマ主題歌である“so many people”だった。路線としては“悲しみの果て”以降の流れなのだけど‥‥ポップだけど、やはり以前とはどこか違う。特にエンディング近くのサビのリフレイン、俺はここで2作連続で鳥肌が立った。

更に追い打ちをかけるかの如く、彼等はアルバムと同時に“コール アンド レスポンス”という名曲を発表する。既にリリース前からTV番組のテーマ曲として耳にしていたが、最初にフルコーラス‥‥特に後半の、宮本のあのセリフ‥‥


えーご承知のこととは思いますけれども ここで神の意志を発表させて頂きます。
えー発表します。全員死刑です。


に三度鳥肌が立つ。そして泣く。嗚呼、とうとう行き着くとこまで行っちまったなぁ‥‥そんな気持ちでいっぱいだった。この3曲だけで、俺はアルバムが過去最高の、素晴らしい作品になる事は予想出来た。そしてその予想は見事に的中したというわけだ。

アルバムのハイライトとなるのは、やはり先に挙げたシングル3曲だろう。オープニングを“ガストロンジャー”が飾り、エンディングを“so many~”“コール~”で閉めるわけだから。勿論、その間に入った残りの楽曲もそれに引けを取らない、素晴らしい楽曲ばかりである。

ある意味、前作は宮本の『迷い』をそのまま形にしてしまった過渡期だったのかもしれない。何が切っ掛けで現在のような心境になったのかは判らない。詳しい事は最近のインタビューでも読めば判るだろう。決して「ココロに花を」以降のエレカシが、それまでの彼等と違っていたわけでもないし、今のエレカシが前作までの彼等と変わってしまったわけでもない。今やっている事をやり遂げられる環境や精神状態を得ただけで、ここまでビルドアップしてしまったのかもしれない。結果、アルバムでは形だけのバンド体制となってしまったが、それは宮本の才能を認めた他のメンバーの理解があったからなのだ。

「(メンバーが)幼馴染みでなかったら、今頃解散していただろう」という言葉通り、宮本という人間を知り尽くしていたからこそ成し得た産物なのだ、このアルバムは。そう考えれば、全ての楽曲を作り出した人間が全ての楽器、アレンジを受け持った事も納得できるかもしれない。他のメンバーは宮本のアイディアを具体化するための助っ人要員‥‥これではちょっと悲しいが(苦笑)、これも理解あっての事だろう。



▼エレファントカシマシ『GOOD MORNING』
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投稿: 2000 06 07 03:43 午前 [2000年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク