ミドリ『清水』(2007)
実は今年一番ライブを観ているのは、このバンドなんじゃないだろうか、とつい最近気付きました。最初は周りの友人から「とにかく一度観てみ」と言われ……ちょうどインディーズからの2枚目「セカンド」が出るか出ないかというタイミングだったかなぁ。とにかく圧倒的なパフォーマンスで、1秒たりとも目が離せない、そんなステージでした。アルバムはサンプルをいただいていたので何度か聴いていたけど、音源以上……いや、比較しちゃいけないな。まずこれから聴いてみようと思ってる人は、先入観なしにライブから観ることをオススメします。
そんな彼女たちが、ついにというか、いよいよメジャーデビュー。いや、その噂は以前から耳にしていたのですが、いざ改めて考えてみると感慨深いものがありますね。春先から今日まで、ものすごい勢いで突き進んでますからね、ミドリ。本作「清水」を含めてもまだミニアルバム3枚しか出してないんだよね。ものすごくディープなナンバーが並ぶものの、ミニアルバムという短編集なんですよ。これがもし、フルアルバムとして発表されたら……いや、なんかこのバンドの場合、フルアルバムという形態は似合わない気がしないでもないなぁ。作り手側のスタンスとしても、そして聴き手側の体力的な問題としても。
メジャー第1弾となる「清水」は、イントロダクションを除くと計5曲。しかも全部ライブで耳にしたことがあるものばかりなので、新鮮味は皆無。「ファースト」に収録されている楽曲の新録バージョンも含まれているので、ある意味では新規客への名刺的な役割なのかもしれません。もっとも、この作品の肝となるのは同梱のDVDパートなんじゃないでしょうか。
実はここに収められている映像、僕はリアルで観てるんですよ。会場は間違いなくShibuya O-WESTですよね。だとすると、今年9月のGO!GO!7188との対バンライブだと思うんですが(細かいところも結構覚えていて、それと重なるんですよね)、あえてアウェーでの映像を収めるところが彼女たちらしいというか。たった2曲ですが、これ見たさで購入するのもありなんじゃないかと思います。
初めてミドリのライブを観たとき、自分の中で「初めてナンバーガールを観たとき」と印象が似てたんです。決してサウンドやスタイルが同じというわけではないけど、なんともいえない気持ちになって、その気持ちをどう表現していいかわからなかった……実はいまだにミドリはどこがスゴイのか、言葉で表現するのは難しいんですよ。スゴイんだけど、明確な言葉・表現が思いつかない。ある意味ではそういうくだらない評価や批評すら拒絶するくらいの勢いがあるのかもしれない……ていうか、本当は音楽なんて、もっと個々の感性で聴けばいいものななずなのに、こういうブログみたいなものが一般に普及するようになったら一億総音楽評論家化してしまったわけで(それも善し悪しなんですよね)。何となく、ミドリの音楽と接するということは体で、感覚で音を楽しめと言われているような気がします。もしかしたらナンバーガールのときもそうだったのかもしれませんね。彼らもものすごい勢いで成長/変化を繰り返していたから、自分がその考えに到達する前に彼らのほうが終焉を迎えちゃってたんですけど。
好き嫌いがハッキリするタイプのバンドだと思うけど、ぜひ一度ライブを観てほしいバンドだと思います。このタイミングで観ておかないと、多分この先後悔すると思うから。
▼ミドリ「清水」(amazon:日本盤)