2005/12/25

曽我部恵一『ラブレター』(2005)

 曽我部恵一の、ソロアルバムとしては通算5作目となるオリジナルアルバム。先頃一般流通されるようになった「sketch of shimokitazawa」も本人にとっては「オリジナルアルバム」という認識だそうなので、今年は2枚の、異なる作風のアルバムがリリースされたことになります。しかも共に素晴らしい内容なもんだから甲乙付け難いんですよね。2005年の10枚を選ぶ時にホント悩みますよ‥‥最後は各人の趣味が大きく影響するかと思いますが。とかいってたら、年末になってこれまた素晴らしいライヴアルバム「LIVE」(しかも「曽我部恵一BAND」名義)をドロップしてくれて‥‥ホント凄いわこの人は。同い年のミュージシャンとして、心の底からリスペクトしてます。

 さて、肝心の「ラブレター」の内容はというと、個人的には昨年リリースされた前々作「STRAWBERRY」の延長線上にありつつも、更に激しく、若々しくロックンロールしまくる1枚に仕上がってます。オープニングの "バタフライ" のサビでの爆裂振りからも伺えるように、とにかく初期衝動的な音がそこら中に詰め込まれていて、それでいて彼らしいポップでメロウな歌にしっかり仕上がっている。自主レーベルに移行したからってわけじゃないでしょうけど、とにかく「今やりたいことを、今この瞬間真空パックにする」かのような音作り/作品作りに見事に直結していて、それが今年の多作振りという結果に表れているんじゃないかと。メジャーじゃここまで軽いフットワークじゃできなかったんでしょうね。

 LED ZEPPELINの "Rock And Roll" を彷彿させるドライブ感を持ち合わせた "ハルコROCK"、最近の若手バンドにも全然負けてないギターポップナンバー "ねむれないあの娘のために" や "きみの愛だけがぼくの♥をこわす"、切ない弾き語り "抱きしめられたい" や "ラブレター" etc...とにかくいろんなタイプの曲が詰め込まれていて、前作・前々作にあったような統一感は感じられないんだけど、この「今やりたいことを〜」という『Do It Yourself精神』を真空パックしたアルバムは、荒々しいんだけど優しく心に響くという意味で、非常に奇跡的な作品なんじゃないか、と思ってます。こんなアルバム、そうお目にかかれるもんじゃないですよ。

 そして、こういうアルバムを聴かされてしまうと、どうしてもライヴが観たくなっちゃうんですよね‥‥実は俺、ここ最近は彼の弾き語りライヴしか観てないんですよ。それはそれでラッキーなんですけど、なんだかもの凄く損をしてる気もしないではないんで、来年はガンガン彼のライヴに参加できたらな、と思っております。

 とにかくね、多くの人にもっと届けたい1枚。



▼曽我部恵一「ラブレター」(amazon

投稿: 2005 12 25 10:51 午後 [2005年の作品, 曽我部恵一] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/11/22

「The Sound of Shimokitazawa〜弾き語りの夕べ〜」@Shibuya O-EAST(11/17)

 今、下北沢で起きている問題があるんですが‥‥これは見方さえ変えれば善とも取れるし悪とも取れる。そして立場・立ち位置によってもまた変わってくる。事実、以前自分が住んでいた町でも、区画整備によって慣れ親しんだ食堂や居酒屋やパチンコ屋がなくなった。朝や夕方の交通渋滞は解消され、駅前には立派な駐輪場が出来て不法駐車がなくなった。そこで生活する一部の人間にとっては非常にありがたい改革だったかもしれないけど、追いやられた店の方々やその「引っかかった場所」で生活していた人間、そして俺らみたいな奴らにとっては死活問題ですらあった(いや、そこに自分らみたいな恩恵を受けているだけの人間を含めるのはお門違いだけど)。この下北沢の問題も、ある意味ではそれに近いものがあるので、理解できなくもない。でも‥‥ここで問題となるのは、その場所が「下北沢」という町だった、ということでしょう。下北という独立した文化を持つこの町に手を加えること‥‥興味を持たない人間にとってはどうでもいい話なんだろうけど、さすがにこればかりは納得がいかない‥‥そう感じた人間は俺だけじゃないはず。ましてやその下北に在住するミュージシャンやアーティスト達、そこでいろんな商売を営む人達、そういった「文化」を愛する人達‥‥全てを敵に回してしまったわけだから。

 でも、この問題はまだまだ認識が低いんじゃないだろうか‥‥実際、都内に住んでいてもこの問題を把握している人間は限られているんじゃないだろうか。何故なら、こういった話は日常茶飯事だから。正直な話、音楽や演劇等下北文化に興味を持たない人間にとっては、「いいんじゃないの?」で済まされてしまう可能性が大きい。それがいいことなのか、悪いことなのかはまた別の話として‥‥

 音楽の力で政治や国を動かすことはできないだろう。それは歴史が証明してきている。でも、個々の人間を動かす「切っ掛け」には成り得る‥‥人を突き動かす原動力になる、それが音楽の力なんじゃないかな。これまでの人生において、いろんな局面でその「切っ掛け」を貰ってきた俺だもの、他の人達にとっても‥‥そう信じたい。

 今回の「The Sound of Shimokitazawa〜弾き語りの夕べ〜」というイベントは、正にそういうイベントだったと思う。このイベントに足を運んだ切っ掛けが銀杏BOYZの峯田くんだった、あるいはLOST IN TIMEの海北くんだった。それでもいいと思う。峯田くんや海北くんがそう言うんだから署名してみよう‥‥切っ掛けはそれでいいんだと思う。後はそれらを「受け取った」個々が、どう考え、どう動くか‥‥本来、市民運動ってそういうところから始まっていくんじゃないかな。小さな雑草がまばらに生えていき、それが気づいたら同じ場所に密集していき、最終的には一面を緑が覆う‥‥今回のイベントが来場したお客さん個々の胸に何かを植え付け、それが花開くことを、そしてその花が辺り一面に咲き誇ることを願って。

※これはもはやライヴレポでもなんでもないですよね。ライヴは素晴らしいものでしたよ。それは俺が改めて書くまでもないでしょう。だから俺は、このイベントがもたらしたものについて、改めて考えてみました。ちょっと堅苦しくて説教臭い内容になっちゃったけど、そこだけは忘れちゃいけない‥‥そう思って「形として残す」ことにしました。とりあえずセットリストだけは載せておきますね。


■無戒秀徳アコースティック&エレクトリック
01. delayed brain
02. CRAZY DAYS CRAZY FEELING
03. 6本の狂ったハガネの振動
04. The Days of NEKOMACHI
05. KIMOCHI
06. 自問自答

■峯田和伸
01. 十七歳(アカペラ)
02. SKOOL KILL
03. BABY BABY
04. さびしがりやの君と面倒くさがりの僕(新曲)
05. 青春時代
06. なんとなく僕たちは大人になるんだ
07. Sound Of Shimokitazawa(新曲)

■海北大輔
01. 旅の途中
02. ライン
03. はじまり(LOST IN TIMEの前身バンドの曲)
04. 羽化
05. 失敗
06. 雨のあと(cover of 高森ゆうき)
07. 手紙

■曽我部恵一
01. 抱きしめられたい
02. 君の愛だけがぼくのハートをこわす
03. ハルコROCK
04. ジュークボックス・ブルース
05. FIRE ENGINE
06. TELEPHONE LOVE(途中弾き語りならぬ叩き語りアリ)
07. 青春狂走曲
08. LOVE-SICK!
09. Mellow Mind

■全員
人間(銀杏BOYZ)

投稿: 2005 11 22 12:30 午前 [2005年のライブ, LOST IN TIME, 曽我部恵一, 銀杏BOYZ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック