2005/04/21

ウルフルズ『9』(2005)

 ウルフルズ、「ええねん」から約1年2ヶ月振り、そのタイトル通り通算9作目のオリジナルアルバムとなる「9」。前作ではベースにジョン・B・チョッパーが復帰したこともあり、何か特別な空気で包まれた中での発表となり、また受け手側である我々の方も、気持ちの面でこれまでとは違う受け入れ方をしちゃったんじゃないかな‥‥と思ったり思わなかったり。本来は深く考えずに楽しめるはずのウルフルズ・サウンドを、一歩突っ込んだ感じで、あるいはそれまでとは違った角度から覗いてみたりして、ちょっとだけ難しく考えちゃってた節があるかな、と。ま、俺に限ってのことかもしれませんが‥‥だからなのか、非常に良い作品であるにも関わらず、ちょっと聴く頻度が今までの作品と比べても低かったかな、と最近思うようになって。ま、結局はアルバム1曲目 "ええねん" に全てが集約されてるわけなんですが‥‥

 今回はあれから時間も経ってるし、バシバシ活動を続けてくれたこともあってバンド側もだいぶ肩の力が抜け、いつも通りの「らしい」1枚に仕上がってるのね。まんまウルフルズな "バカサバイバー" といい、ソウルフルな "ゼンシン・イン・ザ・ストリート"("Dancin' In The Street" の捩りだよね)といい、力強い "歌" といい‥‥ってもう、この頭3曲の流れでオールオッケー。

 先行リリースされたシングル2枚に収められた4曲が全てアルバムに収録されてしまってることから、シングルをちゃんと買ってるファンには不評だったようだけど(でも "暴れだす" は一応「full version」)、俺みたいな余程のことがない限りシングルまでは追わない微妙な立ち位置の人間にはまぁ有り難いんですけどね。あーCMで耳にしたあの曲も、有線でよく耳にしたあの曲も、全部入ってるのね、ってさ。

 力強さも、バカっぽい緩さも、訴えかける言葉も、耳に馴染むメロディも、心躍るファンキーなリズムも、ここには全部ある。確かに「ウルフルズ史上最高傑作」かと問われれば、それはどうかな‥‥とは思うけど、十分に平均点は超えてるし、むしろこのレベルのアルバムをコンスタントに出し続けてくれるなら、俺には文句は全くありませんよ。むしろこういうバンドには目先の物珍しさとか最先端の流行を追っかけるんではなく、いつ聴いても「そうそう、これこれ!」って安心できる「らしさ」を求めちゃうんだよね。それって俺が年を取ったからなのかな?

 でも‥‥それでもいいや。この11曲で40分にも満たないアルバムには、普遍的な魅力が沢山詰まってるから。



▼ウルフルズ「9」(amazon

投稿: 2005 04 21 12:04 午前 [2005年の作品, ウルフルズ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/12/22

ウルフルズ『ええねん』(2003)

  ジョン・B・チョッパー復帰後初となる、通算8枚目のオリジナルアルバム「ええねん」。ここ数作も悪くはなかったものの、どこかスッキリしなかったのがホントのところで‥‥ところがこのアルバムはどうだろう。久々の改心の一撃(一曲)となったシングル "ええねん" からスタートするんだけど‥‥まぁこの曲に関しては今更書くまでもないでしょう。全肯定ソングと呼ばれているこの曲、一聴すれば力強さ、ポジティヴさが十分に伝わってくるし、本当にここまで「歌」に励まされたのって、そしてそれが十分に機能したのって何時以来だろう!?って考えてしまう程に凄いわけで。彼等がカバーした "明日があるさ" という曲も、正にそういった類の楽曲だったものの、あれはあくまでカバーであり企画モノ。ここにあるのはウルフルズとしての、正真正銘の所信表明なわけですよ。

  そんな所信表明からスタートするこのアルバム。実はそのタイトルナンバーがアルバムの肝なのではなくて、それ以降‥‥ "たった今!" からスタートする2曲目以降こそが、このアルバムの、そして「ウルフルズ」本来の肝なんですよ。意外とここを見落としがちな人が多くて、個人的にはビックリしてるんですけどね(見方を変えれば、それだけ "ええねん" という楽曲から彼等に入っていった音楽ファンが多いってことか?)。ウルフルズの、そしてトータス松本の本質的な面を考えた場合、どう見ても "ええねん" ではなく、それ以降の14曲のスタイルの方がウルフルズらしく、そしてトータスらしいと思うんですけどね。彼等、そして彼の根本にあるソウルやブルーズといったブラック・ミュージックをルーツとしたオールド・スタイルのロックンロール‥‥多分、ここまで素直に原点回帰的シンプルなスタイルへとたどり着いたのは、今年初頭にリリースされたトータスのソロアルバム、そこで奏でられたロックやソウルのクラシックナンバーを通過し、灰汁抜きし‥‥そしてジョン・B復帰という特別な要素が加わったからこその、複合要素による結果なんでしょうね。良くも悪くもその後の彼等に影響した "ガッツだぜ!" やアルバム「バンザイ」の大ヒット、更には "明日があるさ" の予想外の大ヒット‥‥こういった事実が全て「過去のもの」として捉えることが出来たからこそ、"ええねん" やこのアルバムに辿り着けたのではないかな、と。このアルバムをヘヴィローテーションしながら、勝手にそう想像しています。

  ポップソング・クリエイターとしてのウルフルズはここには居ません。いや、そんなの最初っから居なかったんです‥‥勿論、トータスの生み出す楽曲やメロディにはポップな要素が豊富に含まれています。しかし彼は宇多田ヒカルでもなければ桜井和寿でも草野マサムネでも奥田民生でもない。トータス松本なんですよ。それを力強く証明し、自らを力強く肯定したのがこのアルバムなのですよ。他の誰かには決してなれないし、なる必要もない。自らのルーツを再確認し、結局それを再現しようとした時に偶然オリジナルメンバー4人が揃った。たったそれだけのことなんだけど、最終的にはそういった要素がこのアルバムにとって必要不可欠な要素となった。全てが偶然の産物なんだろうけど、やっぱりこれは必然だったんでしょうね。回り道したけど、ウルフルズはまた「ウルフルズ」になった。再デビュー盤なんて言い方はしたくないけど‥‥やっぱりまたここから何かが始まる予感はしますよね(って俺だけか?)

  とにかく、大音量で聴きたいアルバム。全てがライヴを想定して作られたであろう、必要最低限のサウンドで構築された非常にシンプル且つ判りやすいロック&ソウル・ナンバー。ある意味で山崎まさよしと同じような孤高さを感じるんですが、今後はそういった「真似できそうで誰にも真似できない高み/深み」を追求した、唯一無二の存在になってもらいたいもんです。

  そうそう、ディスク2(「A John B CD」)についてもコメントしておきますか‥‥まぁ早い話がジョン・B復帰を祝った2曲入りディスクなんですが‥‥1曲目 "Sleep John B" はかのBEACH BOYSの "Sloop John B" の替え歌で、実際にジョン・B自身が歌ってるんですね。上に書いたポップ要素をここで補ってるって言い方もできるんですが‥‥まぁあくまでこれはボーナスですからね。コーラスとして参加してるゲスト陣が兎に角豪華で‥‥って俺が書くまでもないか。長くなるので割愛。もう1曲は "風に吹かれている場合じゃない" はMC SQUAREDがヒューマン・ビートボックスで参加、メンバー全員がコーラスを取り、その上でジョン・Bが自身の詩の朗読をするという異色作。ちょっとヒップホップ色が強い、如何にも今風の1曲なんだけど‥‥結局これら2曲は番外編ですからね。本編(15曲入りのディスク1)とは別ディスク収録という事実を見るまでもなく、ね。ただ、こういう余裕があるってんも、今のバンドの状態を物語ってるようで、何だか嬉しくなるんですけどね。

  兎に角今、ウルフルズのライヴが観たいんです。このアルバムの曲を生で聴きたいんです。そしてアルバム聴いてライヴ観た後に、初めてこの作品が完結するんじゃないかな‥‥そう思うんですよね。



▼ウルフルズ『ええねん』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 12 22 04:21 午後 [2003年の作品, ウルフルズ] | 固定リンク