2005/04/12

岡村靖幸『ビジネス』(2005)

 タイトルとリリース時期からして、単なる『年度末のお仕事』と見なしてスルーしてしまうと一生の後悔モンですよ、これ。

 レコード会社の所謂『煽り文』によると、「岡村靖幸史上初の「リアレンジ」「リミックス」ノンストップアルバムの登場! ツアーのために制作された至高のLIVE用音源をもとに、岡村靖幸本人が「リアレンジ」「リミックス」し、ノンストップで再レコーディング。LIVE、サウンドプロデュース、DJ、とさまざまなポジションにおいて発揮される岡村ちゃんの才能が一度に堪能できる、過去に例を見ない特別なアルバム」‥‥ってことらしいです。

 ま、言い過ぎかな‥‥って気がしないでもないけどさ。でもね、ホントにこれが予想してた以上に良かったんだわ。DVDと同日発売ってこともあって、まぁ半分惰性で買ったようなとこもあったんだけどさ‥‥

 ライヴ用にリアレンジされた過去の楽曲("聖書(バイブル)" や "Check out love")、「岡村と卓球」名義でリリースされた曲のリアレンジ("come baby" と "adventure")、そして昨年リリースされた楽曲のライヴ用リアレンジ("ア・チ・チ・チ")、と‥‥そう、昨年のツアー「Me-imi TOUR 2004」用に岡村本人がリアレンジしたバックトラックをそのまま使用、そこに今の岡村が新たに歌を乗せたという、正しく「準・新作」と呼べるような1枚に仕上がってるんですわ。で、そのアレンジも‥‥彼の復活後のライヴを観たことある人ならわかると思うけど‥‥かなり現代的に、しかもハイパーアクティヴなテイクにビルドアップされてるわけ。それを(ほぼ)ノンストップに近い形で、曲間も殆どないような形で並べられてるんだもん、興奮しないわけがない。しかも「岡村ちゃん大百科」みたいな過去の大決算みたいなボックスが出て、昨年のツアーDVDが出て、って感じに‥‥これでもか!?って位に「岡村ちゃんの新曲」飢餓状態に陥らせる状況を作って、そこにこの新録作品‥‥で、これがたった5曲しか収録されてないもんだから‥‥火に油を注ぐだけだという。おいおい、ふざけないでくださいよ!

 昨年リリースされた "ア・チ・チ・チ" は置いといて、他の4曲‥‥例えば初期の代表曲であるところの "聖書(バイブル)" や "Check out love" を完全に2005年のサウンドに再構築したのは非常に興味深いですね。これ、岡村ちゃんに疎い人が聴いても受け入れられるような作風になってますよね(ま、確かに "聖書(バイブル)" がちゃんと「歌えてない」のは今のライヴ同様なわけですが)。特に "Check out love" がクールでね。後半の盛り上がりとか凄いよね。

 あと、個人的には「最高!」とは言い難かった「岡村と卓球」名義での "come baby" と "adventure" が完全に「生き返ってる」のがいいよね。前者は一昨年のライヴで聴かせたバージョンよりも更にバージョンアップしてカッコ良くなってるし(良い意味での「下世話さ」が売りだった原曲から、それを取っ払って硬質な感じに蘇らせたイメージ)、原曲以上に『岡村ちゃんらしさ』が濃くなった後者のポップさといったら‥‥あー、こんなに良い曲だったんだね、と再確認。うん、ホント良いねこれ。

 いろんなところで言われてるように‥‥5曲じゃ物足りなさ過ぎですよ! 何度も言うけど、寸止めにさえ程遠い状態。もっとやれたんじゃないか、これだけでフルアルバムが作れたんじゃないか、って気もするけど‥‥そうなると、またコンセプトも変わってきちゃうかな。ま、5曲って辺りにアルバムタイトルとの連動性を感じずにはいられないかな‥‥なんて思ったりして。

 とにかく、非常に良く出来た1枚ですよ。新作「Me-imi」で初めて岡村ちゃんに触れた人、次にどのアルバムを聴こうかと悩んでる人、そしてまだ岡村ちゃんを聴いたことがないって人。いや、岡村ちゃんに興味がない人もある人も、全員必聴盤ですよ! そして‥‥物足りなさに地団駄踏んで、最終的には「岡村ちゃん大百科」を手にしてる‥‥みたいな、ね。



▼岡村靖幸「ビジネス」(amazon

投稿: 2005 04 12 11:00 午後 [2005年の作品, 岡村靖幸] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/12/03

ボーナスシーズンにボックスセット

 年末時期になると、日本でも海外でもそうなんですが、まぁ‥‥あれですよ、ベスト盤とかが多くリリースされるんですよね。特に海外の場合は「クリスマス・シーズン向け」ということもあり、パーティーでかけるもよし、プレゼントにあげるもよし、といった感じでリリースされることが多いみたい。実際、何かの記事で読んだんだけど、DEF LEPPARDのアルバム「HYSTERIA」が毎年年末になると数万枚売れるそうなんですよ。リリースから5年以上経ってからのお話ですよ。これ、厳密にはオリジナルアルバムですが、シングルヒットが全12曲中7曲も入ってるってことで、まだベスト盤が出る前は重宝されてたんでしょうね。

 というわけで、洋楽に限らず日本でも年末年始にベスト盤をリリースするというアーティストは意外と多いようで。

 ところが。ここ最近はベスト盤だけでは飽き足らず、ボックスセットをリリースするアーティストが増えてるんですよね。数年前にKISSが5枚組ボックスを出したかと思うと、昨年はSLAYERがDVD付き5枚組ボックスとか出したし、今年はBON JOVIやNIRVANAといった目玉商品が人気を呼んでるし。

 というわけで、幾つか気になるボックスセットを紹介。



▼NIRVANA「WITH THE LIGHTS OUT」[3CD+DVD](amazon

 その殆どが未発表テイクという貴重音源満載のボックス。ブートとかで流出した曲もあれば、代表曲のデモテイク、'80年代のライヴ音源まであるので‥‥正直クオリティが心配ではあるんですが、まぁ‥‥コアなファンには嬉しい1品かな、と。当然買いますが。



▼BON JOVI「100,000,000 BON JOVI FANS CAN'T BE WRONG」[5CD+DVD](amazon

 こちらも代表曲は殆ど入っておらず、あっても一部のヒット曲のデモテイクのみ。後は完全未発表のスタジオアウトテイクや映画のサントラにのみ収録された曲、去年出たアコースティック盤に収録される予定だった新曲2曲等、とにかく初聴きの音源てんこ盛り。更に日本盤はB面曲10曲入りのボーナスディスク付き。これも選曲かなり良いので、絶対に日本盤で買い!


▼岡村靖幸「岡村ちゃん大百科」[8CD+2DVD](amazon

 リリース自体は来年2月だけど、これから岡村ちゃんのアルバム揃えようって奴らは、正直これを買いなさい! エピック時代のオリジナルアルバム&未収録曲全部揃うし、DVDもレアなやつ満載だし。当然俺も予約済み!


▼モーニング娘。「モーニング娘。EARLY SINGLE BOX」[9CD](amazon

 8cmシングル時代("モーニングコーヒー" 〜 "恋のダンスサイト")までの8枚を12cm化、それぞれに貴重な未発表音源&テイクを収録。更に人気曲&アルバム曲のカラオケディスク付き。これもマニア向けですけど、"ふるさと" や "真夏の光線" のボーカル違いとか初期テイクとかって聞くと、それだけでもうヨダレものなんですが‥‥

 とりあえず、上の4つは全部予約済みのもの。アホだな相変わらず‥‥


投稿: 2004 12 03 12:40 午前 [2004年の作品, Bon Jovi, Nirvana, モーニング娘。, 岡村靖幸] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/06/24

岡村靖幸『モン・シロ』(2004)

  さて‥‥昨年夏の奇跡的復活から少しずつですが精力的になりつつある、我らが岡村靖幸大先生の音楽活動。昨年秋にはホントに久し振りとなる単独ツアーが(無事中止にならずに)決行され、更には同年頭にリリース予定だったもののリリース中止となっていた岡村と卓球としてのアルバムも無事年末にリリースされたり、ニューウェーブ・トリビュートや尾崎豊やシーナ&ロケッツのトリビュート盤に参加し、カバーながらもソロ音源を精力的に発表してきた岡村ちゃんが、満を持してのオリジナル新曲をリリース! 「岡村と卓球」名義の "come baby" から数えても1年半、完全なる岡村靖幸名義のシングルとなると2001年春の "マシュマロ ハネムーン" 以来だから‥‥まるまる3年振りってことになるのかしら‥‥おお!(感涙)

  昨年のツアーでは新曲が一切披露されず、あくまで「リハビリ中」なんだという事実を我々に叩き付けた岡村ちゃん。今年は本気で音楽やる気になってます。この5月にリリースされた新曲 "モン・シロ" に続き、7月にもシングル、更に9/1には約9年振りとなるオリジナルアルバムがドロップされる予定なのですよ!! どうするよ、えっ!?

  というわけで、今月から4ヶ月連続で最近の岡村ちゃん関連のリリース作品(ライヴDVDや「岡村と卓球」作品含む)を不定期的に紹介していきたいと思います。まずはこの "モン・シロ" というシングルについて‥‥何せ待望の新曲ですからね!

  シングルには3曲収録されていて、表題曲となる "モン・シロ" の他に、ピアノでの弾き語り風 "未完成"、昨年10月のZepp Tokyo公演からセッション部分のライヴ音源 "セッション(@Zepp Tokyo)"(多分これ、俺が観に行った10月14日の公演のものかと思われます)という、非常にバラエティに富んだ内容になってます。

  如何にも岡村らしい極太ビートを持つ "モン・シロ" は、全盛期の岡村ちゃんを思わせるような素敵な歌詞がのったゴキゲンな1曲に仕上がってます。バンドものではなく、あくまで宅録的「密室系ファンク」に拘る岡村‥‥プリンスがいろんな意味で外へと開けているのに対し、引き蘢り~リハビリという約10年を過ごした岡村。非常に興味深い対比となってます。ホントにさ‥‥メロディもビートも歌詞も、全部「岡村靖幸」のままなんだもん、当たり前だけど。嬉しくてたまんないわけよ!

  繊細な弾き語り "未完成" にしても、岡村節は全開ですよ。ある意味アレンジや楽曲自体が「未完成」だからこのタイトル?と思えなくもないけど‥‥歌詞からですよね、当たり前だけど。でも‥‥俺からすれば、このシングルの時点での岡村がまだ「未完成」なのかな‥‥なんて思えてね。というのも‥‥聴いてもらえば判る通り、岡村ちゃん、まだ声が完全復活してません。「岡村と卓球」の時点で既に気づいてはいたんですが‥‥明らかに歌い込みが足りない感じですよね。普通、太ると声が太くなったり出やすくなったりするもんだと思うけど‥‥単に歌ってなかったのかな?という気が。ライヴでは辛い部分があるにはあったけど、基本的には夏の復活劇と比べれば10月の単独公演は随分出てたし、もうこの辺はレコーディングやライヴを重ねてコンディションを元通りに(ならなくても、それに近いくらいには)して欲しいよね、と。期待してるよ!

  で、最後はZepp Tokyoでのライヴセッション。これ、当初のセットリストには入ってなかったもので、当日機嫌が良かった岡村が「もっとやりたいんだけど、持ち曲(演奏できる曲)がないので」と急遽始めたセッション。歌われている内容や歌詞がまんま10/14のものと同じなので、絶対に自分が行った日に演奏されたものだと思います。これ聴けば、如何にライヴでの岡村が、そしてミュージシャンとしての岡村靖幸が天才的かがお判りいただけると思います。

  ファンだからさ、甘い点数を付けてしまうのは仕方ないのかもしれないけど‥‥それにしてもこれらの楽曲の完成度には目を見張るものがありますよね。さすが、引き蘢ってただけあるぜ!(えーっ!?)さっ、次のシングル、そしてアルバムに期待だせ!!



▼岡村靖幸『モン・シロ』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2004 06 24 12:00 午前 [2004年の作品, 岡村靖幸] | 固定リンク

2003/10/04

岡村靖幸『家庭教師』(1990)

  岡村靖幸が'90年秋にリリースした通算4作目のオリジナルアルバム(編集盤「早熟」を除く)。これが今から13年も前のアルバムなのか!?と思える程、今聴いても全然古さを感じさせないし、むしろ2003年に聴くからこそ新鮮に聞こえる岡村サウンドは、リアルタイムを知らない10代の子達にも十分にアピールする1枚なんじゃないでしょうか。

  J-POPと呼ばれるようになった昨今の日本のポップス。特にここ最近のファンク/R&B要素を取り入れたJ-POPの殆どが健康的且つ健全なものばかり。それが決して悪いとは言わないけど、何か物足りないのも事実。逆にモーニング娘。くらい真逆の路線を進んでしまえば何も言うことはないんだけど(いや何も言えないんだけど)‥‥例えばパンクロックにおけるブルーハーツみたいな、そんな感じ? けどブルーハーツが一発当てると、その後その亜流がワンサカ現れシーンを飽和させる。みんな「リアルなパンクロック」が聴きたいのに、登場するバンドはみんな青春とか汗とか愛とか歌ったものばかり。そんなの、ブルーハーツにまかせておけばいいのに‥‥

  俺が最近のソウル系ポップスに感じてるのは正にこういうことで、だからこそ岡村ちゃんみたいな存在が今のシーンには必要だと信じてるんですよ。先日の復活ライヴ@RIJFや9月末のZepp公演が「待望の」と素直に呼べるライヴであり、そしてその例えば決して間違っていなかったことは、当日会場に足を運んだ人なら誰もがお判りでしょう。リアルタイムで彼を愛した者、後追いで彼を知った者、そして単純に物珍しさ、あるいは「いっぺん観てやるか」的見物人‥‥フェス会場にはそういったいろんな人種がいて、それら全ての人達を魅了するだけのステージを繰り広げてくれたのです。そう、物足りなさを存分に残してね。

  個人的には「禁じられた生きがい」と甲乙付けがたい位に好きなのが、このアルバム・「家庭教師」。10代の頃、本当によく聴き込んだアルバム。勿論自分の周りには岡村ちゃんの良さを判ってくれる人なんて皆無。女の子に至っては「‥‥キモチワルイ」と切り捨てられたりもしたもんだ。けどそれでも大好きで、本当にこればっかり聴いてた時期があった程だった、浪人生だった当時の俺。

  シングル曲としても有名な"どぉなっちゃってんだよ"や"カルアミルク"(この曲の影響で、一時期カルアミルクばかり飲んでたっけ。今となっては微笑ましい想い出ですが)、"あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するんだろう"といった代表曲の他、先日のRIJFでも披露された"ステップ UP↑"、セクシーなソウルナンバー"祈りの季節"や切ないバラード"ペンション"、10代の頃聴いたときはちょっと大音量では聴けなかった"家庭教師"等々、ホント捨て曲なしの名盤。いや、岡村作品には捨て作なんて1枚もないんだけどさ。

  いよいよ10日後に、本当に久し振りの単独公演を観に行く予定になってますが、既に9月のZepp公演に行った人の話によると‥‥期待し過ぎても絶対に裏切られないくらいの、本当に感動・感涙モノのライヴらしいので‥‥いやー、どんな曲を歌ってくれるんだろう。まだセットリストとか全然目にしてないんだけど‥‥ホント、今回は一切情報を得ないで、真っ新な状態のままで挑むつもりです。復活Theピーズの単独公演の時と全く同じ心境ですよ、今は。



▼岡村靖幸『家庭教師』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 10 04 12:00 午前 [1990年の作品, 岡村靖幸] | 固定リンク

2003/08/14

岡村靖幸と石野卓球『come baby』(2002)

  結局、幻のユニットとして我々の前から姿を消した「岡村靖幸と石野卓球」。ユニット名のまんま、それぞれがソロとして独特な活動をしてきた個性的なアーティスト(ま、卓球は休止中ながらも電気グルーヴという「帰るべき家」があるわけですが)、そんなアクの強い二人がどういうコラボレーションを果たすのか。結局はこのシングル「come baby」1枚で事実上の活動停止となってしまったわけですが(本来、今年の前半に2枚目のシングルとアルバムがリリースされる予定だったんですが、どういうわけかリリース直前になって全てが白紙に。音源自体は完成しているようなんですが‥‥全て「あのお方」の気まぐれなんでしょうかね?)

  そもそも、2001年の時点で所属していたエピックとの契約も終了したと言われている岡村靖幸が、最後にリリースした "マシュマロ ハネムーン" 以来約1年半振りに公式発表したCD音源(あれっ、その間にも何か他アーティストとのコラボで歌ってたような記憶が。ド忘れしてるだけか?)でもあるわけだし、方や石野卓球の方も2001年秋に電気グルーヴの活動休止を宣言し、さあソロ活動どうなる?って時期に突如発表された音源だったわけですよ。そもそもこの二人って、昔からある程度の付き合いはあったと記憶してるんですが、そんな一緒に活動する程仲良かったんだっけか!?と最初に驚いたものの、けど冷静に考えるとそこまで違和感もないんですよね、岡村ちゃんと卓球って。共に日本の音楽界では異端だろうし、にも関わらず'90年代のメジャーシーンを駆け抜けてきたアーティストでもあり、実際のところ「どんな音出すんだよ!?」とワクワクしてその音を待ったのですが‥‥

  収録されているのは、たったの1曲。表題曲である"come baby"のオリジナル・ミックスと、そのPV用エディット・バージョン、そして卓球によるリミックスという計3バージョン。これ1曲でこのユニットの存在意義を語るのは危険だし、結局その他の音源が発表されることもなかったことから未だに謎の多いユニットだったわけですが‥‥あー俺、これ好きだなぁ。岡村ちゃんが歌う「新曲」という意味でも勿論、卓球が電気や自身のソロ以外で「歌モノ」をやろうとした時に、ああ、こういうことやるんだ!っていう驚きもありつつ、それでいて予想出来うる範疇外でもあるという。多少矛盾したこと書いてますが‥‥要するに卓球、自己流表現で「エレクトロクラッシュ」的なものをやってみたかったのかなぁ、と。

  ま、エレクトロクラッシュと一言でいってもいろんなタイプがあると思うんですが、要するに'80年代のニューロマンティックやエレクトロポップ的なサウンドの、現代版リバイバルといいますか。岡村ちゃんが歌うことで更にその色合いが濃くなってるように感じられるこの曲、サウンド自体は全然古くさくないわけですが、全体的に漂う「あの当時」の懐かしさ、いかがわしさ、雲散臭さ。そういったエレクトロクラッシュ系DJやアーティストとの付き合いもあるでしょうし、実際興味を持ってるのかもしれませんが、見事に「石野卓球meets岡村靖幸」として成立しているという。互いの個性の潰し合いには終わらず、互いが互いの仕事をちゃんとこなしつつ、それでいてしっかり他方に歩み寄ってるように感じられる‥‥だからこそ、この「続き」をもっと聴きたかったんだよなぁ。つうかそもそも、これってまだ「始まり」でも何でもないですよ。「これから何か始めるよ!」みたいな挨拶状というか、要するに試しにやってみた「テスト版」ですよね? これが上手くいったから、アルバム制作に踏み切ったんだろうけど‥‥嗚呼、勿体ない。

  岡村ちゃんの復活ライヴ@RIJFでもライヴの1曲目で歌われていたように、彼にとっては「消し去りたい、忘れたい過去」なんかじゃなくて、しっかり「輝かしき歴史の一片」として我々の前に提示してくれているこの曲。岡村ソロバージョンも良かったけど、やっぱり‥‥岡村&石野でのステージも観てみたかったなぁ‥‥



▼岡村靖幸と石野卓球『come baby』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 08 14 12:00 午前 [2002年の作品, 岡村靖幸, 岡村靖幸と石野卓球] | 固定リンク

2003/08/04

岡村靖幸『OH!ベスト』(2001)

 いやー参った参った。本当に出てくるんだもん、岡村ちゃんったら(ってそれが当たり前の話だろ!?ってツッコミを戴きそうですが、この数年間、何度も人前に出るチャンスを作りながらも全てそれらがポシャッってたんですよ!?「本当に」の意味はあなた方が思ってる以上に重いものなんですよ、我々'80年代から彼を知る者としては)。20分とも30分とも言われるそのライヴですが、スポーツ新聞には「25分」と書かれてましたね。決して長い時間ではないし、7年以上も待った(あるいは10年以上待ってる人もいるんですよ、「禁じられた生きがい」での武道館公演を観てない人にとっては)、あの場に居た俺らと同じ時間・空間を共有した人達の多くにとっては、たったの25分で9,500円だとしても、決して高い値段ではないんですよ。

  そんな岡村靖幸を、今回の騒動で初めて知ったという10代の人達、決して少なくないと思うんですね。だってさ、最後のオリジナルアルバムが数日前にも取り上げた「禁じられた生きがい」で、これだって'95年12月のアルバムだよ‥‥その後もコンスタントにシングルだけはリリースしてたんですよね、人前に出ることはなくても。'96年にはシングル"ハレンチ"を、間が空いて'99年には"セックス"、'00年には"真夜中のサイクリング"、そして'01年には"マシュマロ ハネムーン"をリリースしてるんですね。その間ににも川本真琴のプロデュースとかやってたりするんですが、まぁこの程度しか世に楽曲を発表してないわけですよ。当然アルバムなんて‥‥

  そして、その岡村ちゃんの凄さを理解するには‥‥一番いいのは、ライヴDVDを観てもらうか、オリジナルアルバムを全て聴くことをオススメするんですが、それはさすがに‥‥ってことになると、やはりお手軽なベスト盤ってことになるのでしょう。ということで、今回紹介する2枚組のベストアルバム「OH!ベスト」の登場となるわけです。エピック在籍時にリリースされた全てのシングル、しかも「禁じられた生きがい」以降にリリースされた、上に挙げた4枚のシングルも収められた、正しく『コンプリート・シングル・コレクション』になっています。このベストと同時発売だった"マシュマロ ハネムーン"を1曲目に持ってきて、以降はリリース順に収録されているので、これから聴いてみようって人にはうってつけの1枚(セット)になってます。

  勿論、これが全てだと思わないでくださいね? ここに収められてない曲の中にも、シングル曲を軽く超えるような名曲は沢山あるわけですから。これで自分の肌に合う/合わないを確認後、オリジナルアルバムを聴けばいいと思います。うん、そういう意味では本当にお手軽なアルバムだよね、これ。

  個人的にはファーストアルバム「yellow」の楽曲も素晴らしいと思うけど、やはり"イケナイコトカイ"以降‥‥アルバムでいうとセカンド「DATE」以降の充実振り・爆裂振りが強烈に印象深いんだよね。というのも、その"イケナイコトカイ"を当時の音楽番組(「eZ」か「JUST POP UP」のどちらかだと思う)で初めて聴いて、岡村ちゃんに衝撃を受け、彼にハマッたクチですしね、俺。そして名曲"聖書(バイブル)"で更なる衝撃を受け、超名曲"だいすき"が自分の中での大きな決定打となったわけで。この曲で岡村ちゃんを聴くようになったって人、自分の周りにも多かったしね。

  昨今のファンク歌謡、モーニング娘。やメロン記念日辺りに見られるファンク路線、そういった今のJ-POPシーンにおける「ファンク・ポップ」は全て岡村ちゃんを発端にしてるんじゃなかろうか、なんて思える程、彼は'80年代~'90年代初頭において先駆者だったわけ。今では当たり前過ぎて何も感じないかもしれないけど‥‥やっぱ一度はライヴ観て欲しいなぁ、「デブ」云々は抜きにして(ま、ファン以外が彼のこと「デブ」呼ばわりしたら、笑顔で殴りますけどね、そいつを)。



▼岡村靖幸『OH!ベスト』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 08 04 12:00 午前 [2001年の作品, 岡村靖幸] | 固定リンク

2003/08/03

岡村靖幸『禁じられた生きがい』(1995)

  これを書いている時点からあと16時間後に、岡村靖幸が、本当に6~7年振りに我々の前に姿を現します。正直、本当にその時になってみないと、彼が我々の前に姿を現すのかは判りません。というか、未だに半分以上信じていない自分がいます。けど‥‥その残りの半分以下の思いを信じて、俺は「ROCK IN JAPAN FES.」のチケットを手にしました。準備は万端、あと数時間後にはひたちなかに向かう予定です。

  現時点における最新のオリジナルアルバムが、今回紹介する「禁じられた生きがい」というアルバム。リリースは'95年の12月ですから、早くも8年近くが経とうとしてるわけですね。それから8年近くの間に、4枚のシングル("ハレンチ"、"セックス"、"真夜中のサイクリング"、"マシュマロ ハネムーン")をリリースし、それら全てのシングル曲を収録した2枚組ベスト「OH!ベスト」をリリースしたのみ。後は他アーティストとのコラボレーションシングルが数枚と、他アーティストへの楽曲提供やプロデュースのみ。ライヴは恐らく俺が最後に観た武道館公演以来、それこそ6~7年は行っていないはず。

  そんな、既に8年近くも前の最新アルバムですが(考えてみれば、このアルバムだって当時は『前作「家庭教師」から約5年振り』だったわけで。古くからの岡村ファンって本当に忍耐強いと思うよ。尊敬します!)、これが全然色褪せてないんですよね。基本的に岡村のアルバムって、そういうのが多い気がする。ベストアルバムを聴いてると、ある時期から急に時間が止まるというか、年を取るのを忘れてるような印象を受けるんですよね、岡村の楽曲から。

  んで、もしかしたらそういったことが葛藤となって、なかなか創作活動が上手くいかなかったり、人前に出れなくなっているのかなぁ‥‥と。10代特有に熱く香しい思いを歌にしてきた彼が、30代に突入することで、そしていろんな意味で変わり続けている世間とのズレがドンドン生じていく。そして、そういう世間と自分との間、あるいは移り変わりの速い音楽シーンと自分の生み出す楽曲との間の折り合いがつかなくなってきているんじゃないか‥‥なんて、ファンじゃなくても、ちょっと彼について知っている人なら考えそうなことですよね。まぁ今回はそういった分析は無視します。

  やっぱりね、何度も言うけどここに収められた9曲(歌モノは8曲)は、2003年における現代においても全然古びてないし、むしろメインストリートにある音だと思うんですよ。シングルとして発表された"ターザン・ボーイ"や"パラシュート★ガール"、"Peach X'mas"に"チャーム ポイント"といった楽曲は全然今でもアリだし、むしろこういうタイプの楽曲は今みたいな時代にこそ受け入れられやすいんじゃないでしょうか?

  当然、シングル曲だけでなく、アルバム曲も素晴らしい曲揃い。オープニングを飾るファンキーなインスト"あばれ太鼓"なんて和の心とプリンス的ドス黒ファンクの融合といった感じで、このアルバムでなにげに一番好きかも(って歌ないじゃんか!)。また歌詞が本気で深く、後の某アニメや某事件を彷彿させる"青年14歳"もサウンドはそれまでの彼の流れを組むものの、歌詞にはちょっとこれまでと違った「影」を感じてしまったり。滅茶苦茶ソウルフルで鳥肌立ちまくりの"妻になってよ"もホントに名曲。いやはや、全9曲ってアッという間で(時間にして約43分)、物足りなさも感じたりするんだけど‥‥これくらいが丁度いいのかもね。ヘタに長すぎて印象にあまり残らないアルバムが多い分、これはこれで潔いのかも。

  既に2度目のリピートに入ってるこのアルバム。ああ、やっぱり聴き始めちゃうと、何度も、何度もリピートしちゃうんだよねぇ‥‥このアルバムから、明日は何曲歌われるのか、正直なところ判りませんが‥‥ちゃんと我々の前に姿を現してくれよ、岡村ちゃん!



▼岡村靖幸『禁じられた生きがい』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 08 03 12:00 午前 [1995年の作品, 岡村靖幸] | 固定リンク