2002年4月、衝撃的だったEE JUMPの活動停止~解散劇。そこから約4ヶ月の空白を経て発表されたのが、ソニンのソロシングル第一弾「カレーライスの女」。過去にもEE JUMP時代に「featuringソニン」名義でのソロ活動はあったものの、既にグループが存在しない今、これこそが本来の意味では「ソロ一発目」と呼べるでしょう。
それにしても‥‥その音楽以上にジャケット等のビジュアルイメージが先行してしまって‥‥いや、仕方ないか、「裸エプロン」だもんなぁ‥‥「売れる為なら何でもやるのか!?」「ソニン必至だな?」とかいろいろ否の意見も多く聞かれたわけですが‥‥ここではいつものように「音楽」についてをメインに語っていきたいと思います(そういうサイドストーリー的な面は余所のファンサイトに詳しく載ってるんで、そちらを参考に)。
ヒップホップ的要素(ユウキのラップ)を強調したダンサブルなポップソング、それがEE JUMPの持ち味であって、そこで初めてソニンの歌声も映えるんだなと思ってた俺のような人間には、ここで聴くことができるようなロック系サウンドは正直衝撃でしたよ。メロディ自体は如何にもつんく♂らしい楽曲なんですが‥‥こういう色ってEE JUMP時代にはなかった面だし、何もソロになったからっていきなり路線変更をしなくても‥‥って最初は思ったものです。
タイトルトラック"カレーライスの女"のアレンジはEE JUMP時代も結構な楽曲を手掛けてきた、ハロプロ系でもお馴染みの鈴木Daichi秀行。聴けば何となく彼らしいなぁと思うわけですが‥‥俺、彼が手掛けたアレンジワークの中で、5本指に入る程好きですよこれ。演歌調のマイナーメロディを劇的に盛り上げる、それでいて余計な装飾が少ないアレンジは評価に値すると思いますが、如何でしょうか? 意外と「Daichiがアレンジだし‥‥」ってだけで毛嫌いする人も多いようだし、尚かつ「最近つんくダメだよねー」って最初から無視してる人も多いので、あの裸エプロンだけでこの曲を評価した気になってるみたいで‥‥けどね、これは正直もっと評価されてもいい楽曲だと思いますよ。
歌詞の「上京して暫く経った、孤独な女の子」という設定を見事に盛り上げるBメロ以降の流れ、そしてギターソロ‥‥何か、BON JOVI辺りのメロディアスHRを聴いてるような錯覚に陥るわけですが‥‥ってもっとポップ色が強いですけどね。いや、この辺のさじ加減が絶妙だと思うんですが。決して後ろ向きじゃないんですよね、歌詞。「なんもない なんもない」の連呼の後、「だけど少し今も 夢を見てる/だから私明日も 生きていける」と結んでいるわけで。絶望的に暗いわけでもなく、そこから少しでも光を見出そうとする主人公がもうソニンの当時の状況と重なるわけで。そういった点も個人的には高く評価してるんですけどね。ただ、この手法はそう何度も使えるものではないので、正直これっきりにして欲しかったんですが‥‥
そしてカップリング曲"愛はもっとそうじゃなくて"は、今や幻となったEE JUMPのファーストアルバム「EE JUMPコレクション1」に収録予定だった、ソニンのソロナンバー。アレンジには河野伸が当たっているんですが‥‥先に挙げたようなEE JUMP時代の特徴を踏まえた上で、更に次のステップに進もうという意気込みが感じられる非常に優れたR&B歌謡。いや、歌謡は余計か‥‥正直、今その辺に流れてるR&B的なポップソングと並べても何ら聴き劣りしない、素晴らしい楽曲だと思います。何より、メロディの潤いが素晴らしい。最近のつんく♂作と比べると、もうその違いに愕然とするわけですが(ま、"カレーライスの女"をこれを比べるのはちょっと可哀想な気も‥‥大体楽曲のタイプが全然違うしね)‥‥途中に入るソニンの韓国語のセリフもいい雰囲気出してるし‥‥曲調といいセリフといい、ちょっとT&Cボンバー(太陽とシスコムーンね)を思い出す楽曲ですよね。ホント、こういう曲がカップリングってのが勿体ないよな。シングルを敬遠した人には聴く機会さえないわけだからさ。
これを聴いちゃうと、お蔵入りとなった「EE JUMPコレクション1」が如何に優れた作品集だったか、ということが伺い知れますよね。シングル曲は名曲ばかりだし‥‥ホント、あのクソガキのお陰で(ry
もうね、この"愛はもっとそうじゃなくて"だけのために買ってもいいシングルだと思います。いや、個人的にはタイトルトラック"カレーライスの女"も好きなんで、そっちを目当てで買ったらオマケ(カップリング曲)も更に豪華で、一粒で二度おいしかったという、そういうシングルですね。近々リリースされるファーストソロアルバムにはこの"愛はもっとそうじゃなくて"等のシングルでのカップリング曲は一切入りませんので、これを聴くためだけに買ってもいい程です。
ホント、裸エプロンとか負のイメージとか、そういった要素ばかりが一人歩きしてるソニンですが、楽曲自体はホントに優れたものばかりなので、こういったポップスに興味がある人、そしてEE JUMPは好きだけど‥‥って躊躇してる元ファン、絶対に聴いてみてください。いや、ホントいい曲なんだってば2曲共。

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