2004/07/10

忌野清志郎『KING』(2003)

次々と新しいバンド/ユニットを組んではアルバム出したり、またはライヴだけだったり、はたまたシングル1枚こっきりだったりと、特にここ4~5年の忌野清志郎の活動は精力的過ぎ。その間にはデビュー30周年記念のイベントがあったりしたけど、純粋なソロ名義でのアルバムとなると、'99年の「Ruffy Tuffy」以来なんだね(といっても、結局その後はRuffy Tuffyなるバンドが誕生してしまうわけですが)。その間にいろいろ音源は出てたんで全然そんな気はしないし、むしろ全く有り難みは感じないわけだけど‥‥そう思ってこのアルバムをスルーすると、とんでもない目に遭いますよ。

多分‥‥ここ10年くらい‥‥いや、RCサクセション活動停止後で最も充実した内容を持つ傑作アルバムじゃないですか、これ。清志郎が過去やってきたことの、ある意味集大成と呼べるような『Simple is best』なR&B/ロックンロール・アルバムに仕上がっていて、どれも過去の彼の作品をトレースしたかのような既出感が強いんだけど、だからといって悪いというわけじゃなく、むしろ‥‥だからこそ最高なんじゃないか、と。声を大にして言いたいわけです。

いきなりソウルフルなスローチューン "Baby 何もかも" からスタート。しかもこの曲が後半、テンポアップして盛り上がっていくという構成。その後、ファンキーだったりブルージーだったりソウルフルだったり。小気味いいロックンロールがあれば、ドス黒くてドロドロした濃さを持つR&Bナンバーあり。清志郎らしい言葉遊び満載の歌詞、何故50越えたオッサンにここまでピュアな歌詞が書けるんだ?と、いつも以上に感動してしまうナンバーの数々。そしてそれらを盛り上げるバックメンバーの面々。お馴染みの三宅伸治をパートナーに向かえ、懐かしい面々から新しい仲間まで、とにかく「くんずほぐれず」なセッションの数々。もうどれも最高なわけ。自宅にMac(マッキントッシュ)を導入したことで、そこでデモテープを作っていった‥‥なんていう「子供が新しいオモチャを手に入れた」ことからスタートした、今回のアルバム・セッション。結局完成したのは、如何にも清志郎らしい生音を大切にした温かみのあるロックンロール・アルバム。そこら中にブラスが入ってたり、ガットギターの音がしたり、生々しいエレキギターのサウンドに鳥肌立てたり、そして迫力があり、時に優しい清志郎の『声』があり‥‥つまり、聴き手が彼に望む要素が、ある1点を除いて全て揃ってるわけ。そりゃ悪いわけがない。

で、その残る「ある1点」というのが‥‥要するにみんな、心のどこかで「もうあり得ないよな‥‥」とガッカリしながらも、それでも期待してしまうRCサクセションの影‥‥その復活を期待してしまう、と。チャボとの共演でもいいから、って思ってる人は多いと思うけど‥‥果たしてこのアルバムを聴いた後になっても、その言葉を吐くことが出来るかな? いや、俺には出来ないね。このアルバムがあれば、俺はライヴで "雨上がりの夜空に" や "スローバラード" や "トランジスタラジオ" が聴けなくても、全く文句言えないね。それだけの魅力と迫力がパンパンに詰め込まれているもの。そうじゃない?

俺、今年のフジロックは未だに悩んでるのよ‥‥2日目のグリーンステージ、清志郎。2年前は目の前ほんの数十センチの距離で彼の歌を堪能してしまったから‥‥それを越えることはもうないだろうけど、それでも年に1度は清志郎観ないと納得いかないんだよね。ちなみに去年はフジロックに出なかったから、一度も観れなかったんだよね‥‥あー、そろそろ禁断症状が‥‥



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投稿: 2004 07 10 04:54 午前 [2003年の作品, 忌野清志郎] | 固定リンク

2003/07/03

RCサクセション『Baby a Go Go』(1990)

忌野清志郎や仲井戸麗市が在籍していたことで知られる‥‥なんて書き方は今更な感じですが、要するに'80年代の日本のロックを代表するバンドのひとつ、RCサクセションが'90年秋に発表した、現時点での最新作‥‥というか、事実上のラストアルバムがこの「Baby a Go Go」。バンドはこの後11月に武道館公演を行い、その後それぞれのメンバーのソロ活動が活発になり、自然と無期限活動休止状態に。時々清志郎とチャボがステージ上で共演したこともありましたが、まぁRC復活の噂は上がっては消え、といった感じで現在に至ってます。

RC、というか清志郎が苦手という人、少なくないと思うんですよ。ひとつにあのキャラクター、そしてあの歌い方や歌声が苦手という声。これ、よく判るんです‥‥実は俺も中学~高校の頃って苦手だったから、清志郎が。理由はよく覚えてないんですが、とにかくダメで。中学くらいになるとひと通り日本のロック大御所辺りにも手を出し始めるんですが、どうしてもRCだけは苦手意識が抜けなくて。高校の頃、タイマーズとかの課外活動やソロもひと通り聴いてたんですが‥‥ダメで。

このアルバムが出た頃は‥‥あ、俺浪人してたんだ。東京に出てった最初の年で、友達から借りたんだわ、このアルバム。シングルにもなった"I LIKE YOU"とか"あふれる熱い涙"辺りは何となくいいなぁと思えたんだけど、そんなにハマる程には好きになれず、上記の武道館公演にも誘われたものの断ったんだよなぁ。今思えば、なんて罰当たりなことをしたんだろうなぁ‥‥と悔やんでも悔やみ切れません。

多分、俺がRCや清志郎の受け入れられるようになった切っ掛けは、声云々よりも「歌詞」だったように思います。ある程度年齢や人生経験を重ねていく中で再会したRCや清志郎の「歌」‥‥歌詞であり歌声であり、それら全てを全身で表現する清志郎というシンガーの存在であったり‥‥が理解できるようになった、いや、もの凄く感情移入できるようになったのが大きかったように思います。別にガキだから判らなかったとは思いませんが、こういうのってやっぱりタイミングとかもあると思うし。俺の場合それが20歳を過ぎてからだったってだけでね。

で、このアルバム。俺的には"空がまた暗くなる"の存在が大きいんですよね。この曲と再会したのが実は2~3年前のことで、清志郎のライヴで歌われたこの曲を「何てアルバムに入ってる曲?」と友人に質問した程、俺の中には記憶に残ってないアルバムだったんですよ、「Baby a Go Go」って。ところがそのライヴの後、このアルバムを中古で探して手に入れ、約10年振りくらいに聴き返したら‥‥ヤラレちゃったわけですよ、他の曲にも。上記のシングル曲の歌詞も改めて読むと心に染みるし、チャボの歌声が渋くてカッコイイ"うぐいす"といい、"Rock'n Roll Showはもう終わりだ"での「バンドの終焉」を彷彿させる歌詞や(そして今現在にも通ずるシチュエーションを持ってるんですよね、この曲。非常に興味深い)、ただただ切ない"冬の寒い夜"といい‥‥ホントいいんですわ。

RCって最初にどのアルバム(時代)を聴くかで、第一印象が大きく変わるんですよね。「ドカドカうるさいロックンロールバンド」をイメージして誤ってフォーク時代に手を出してしまうと「‥‥何だよ!(怒」ってなっちゃうだろうし、スタジオテイクはライヴ盤(「RHAPSODY」)と比べると意外と弱く感じてガッカリしたり‥‥等々。ホントはRCの場合はライヴを体験するのが一番だと思うんですよ。ってそのライヴを一度も体験できなかった俺が言うのもアレですが。清志郎は何度も観てるんで、その凄さは判ってるつもりですよ。うん、まずはライヴで体験するべきかもね!

でも、それとは別に‥‥曲が本来持つ良さってのはアルバムでも知ることができるわけで。特にこの「Baby a Go Go」はそれ以前の「ロックンロールだぜ、ベイベー!」っていう凄んだイメージが皆無で、非常にリラックスした「大人の魅力」を堪能できる1枚になってます。

‥‥でもやっぱり、清志郎はあれから13年経った今でも、大人になりきれないんだな、いろんな意味で。ま、そこが良いところでもあって、悪いところでもあるわけだけど。そしてそんな中途半端なところが好きなわけだけどね。

それにしても‥‥32歳目前となった今、"空がまた暗くなる"を聴くと‥‥29歳の時に聴いたのとはまた違った聞こえ方してきますね‥‥



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投稿: 2003 07 03 04:52 午前 [1990年の作品, RCサクセション, 忌野清志郎] | 固定リンク