2004/12/03

奥田民生『愛のために』(1994)

 ユニコーンを最後に観たのは1993年の武道館だったかな‥‥その年の夏、富士急にて数バンドによるイベントを行い、実質それが最後のライヴになってしまったわけで、その後いきなり「解散しました」の告知があったんだよね‥‥同年秋頃かな。んで年末にベスト盤が出て。それから約1年、奥田民生は隠居しちゃうんだよね。テレビのバラエティー番組にバスフィッシングのために登場したりはしてたけど。

 この "愛のために" という曲がリリースされたのが、1994年秋。正にユニコーン解散から1年経った後のこと。当時スタートしたばかりの音楽番組「HEY! HEY! HEY!」のエンディングテーマに起用されたこともあり、またテレビ出演時のバックメンバーに先にユニコーンを脱退した川西さんの姿があったり等、いろいろと驚かされつつも、曲自体が非常にキャッチーなロックナンバーで、尚かつ「ユニコーンの奥田民生」をいい意味で引き継いでいるイメージもあったからか、いきなり100万枚近くものセールスを記録しちゃって。当然これが民生最大のヒット曲になってしまったわけですが。

 その後の彼の活動経緯は既にご存じの通り。今年でソロデビュー10周年。マニアックで渋い方向にだんだんと流れているようで、時々ポツリと "愛のために" 級のポップなメジャーナンバーを持ってくる("イージュー☆ライダー" とか "さすらい" とかね)憎い奴‥‥それが奥田民生に対する、俺の印象。ま、だからこそ信用でき、そして愛されているんだけどね。このまま変わらず(そして今以上更にマイペースで)20周年まで突っ走ってください。そして‥‥またいつか、「ソロ活動、解散!」とか言ってバンド活動なんかもやってみてください。あなたならやりかねないと思うけどな。



▼奥田民生『29』("愛のために" 収録)(amazon

投稿: 2004 12 03 12:01 午前 [1994年の作品, 「10年前」, 奥田民生] | 固定リンク

2003/08/01

O.P.KING『O.P.KING』(2003)

  YO-KING、奥田民生、Theピーズのはる、the pillowsのシンイチロウによる今夏限定ユニット、O.P.KING。まさかアルバムまで作る程本格的に活動するとは思ってもみなかったよね?

  事の発端は、今年3月に行われたこのイベント。YO-KING主催で、彼の友人や親しいミュージシャンが集ったイベントなわけですが、この時出演したのは他でもない、民生とピーズなわけですよ。で、そのイベントの最後にはこの4人で、いわば「プレO.P.KING」と呼べるようなライヴをやったわけ。その時に演奏されたカバー曲("BAD BOY"、"RIP IT UP ~ Ready Teddy"、"Hippy Hippy Shake")は全て今回のアルバムに収録されているんだけど、そういったカバー曲のみならず、O.P.KING名義での作品2曲、YO-KING、民生、はるによるオリジナル曲がそれぞれ1曲ずつ、計8曲の最高にイカすロックンロールが詰まったミニアルバムがここに完成したわけです。

  いきなりこのメンツでバンド組みましたって言われると、普通は「おおっ、スゲエ! スーパーバンドだよ!!」って興奮するんだろうけど、冷静に考えるとこの組み合わせって、単に初期YO-KINGバンド(倉持・はる・シンイチロウ)に民生がゲスト出演したような形ともいえるんだよね。実際、民生ってYO-KINGのセカンドアルバムにも2曲ゲスト参加してるんでしょ? その片鱗みたいなものはずっと前から見え隠れしたたわけか‥‥

  ハッキリ言っちゃえば、YO-KINGの楽曲はまんまだし、民生の曲もまんま民生、はるの曲もピーズでやっても何ら違和感のない、当たり前の曲。つうかそれが当たり前の話だろってことなんですが。それだけ色や個性が強いミュージシャン/ソングライター/シンガーが3人も揃ってるんだもん、普通は個性のぶつかり合いみたいな、どぎつい世界観をつい想像してしまいがちだけど、ここにあるのはそういった「若さ故の争い」的サウンドはゼロ。目立つ時は思いっきり目立ちまくり、他者を立てる時は日陰の人として地味にする、でもそのスター性がそれでも滲み出てしまう、みたいなそんな内容。要するに「大人が頑張ってやんちゃしちゃいました!」的1枚。30代後半、40代に手が届きそうなオッサン4人による「夏の想い出音日記」なサウンドトラック盤。それがO.P.KINGなんじゃないでしょうか?

  ま、言い出しっぺは間違いなくYO-KINGでしょう。民生が進んでこのメンツを揃えて「バンドやろうぜ!」なんて言うわけないし、はるはピーズで精一杯だと思うし、シンちゃんにしろピーズとpillowsで手一杯だからYO-KINGバンド辞めたわけだし。もうね、王様のワガママから始まったといっていいんじゃないかな? だからって、決してYO-KINGが悪者だと言いたいんじゃなくて、よくぞ実現させてくれた、ありがとう!と心から感謝したいわけよ。だってさ、それぞれがそれぞれのバンドのリーダー格な存在ばかりでしょ?(ま、ソロのYO-KINGと民生は当たり前だけど、ドラマーのシンちゃんはちょっと違うかも)そういった人間がリーダーでもなく、単に「バンドの一員」としてステージに立つ姿、あんま観れないわけじゃない? 特に民生なんてユニコーン解散してから10年近くだよ!? これを面白くない・楽しめないって言ったら嘘になるんでないの?

  そういう偏った楽しみ方もありつつ、肝心の音はもうストレートすぎる程のロックンロール。それぞれのソロ曲は上に書いた通りだけど、それらの音も一本筋が通ってる感じかな。そして問題の「O.P.KING」としての共作曲"O.P.KINGのテーマ"と"通り過ぎる夏"。これってどういう風に作っていったんでしょうね。前者は民生がメインで歌うパートが多く、ブリッジ1でYO-KING、ブリッジ2ではるといった感じで、それぞれが歌うパートのメロはやっぱりそれぞれが書く楽曲のそれに近いのね。更に後者に関しては、はる~YO-KING~民生~シンちゃん(!)という具合に各コーラスを歌っている構成で、コード進行とサビメロは一緒なんだけど、それぞれのメロディが全く違うという‥‥多分さ、それぞれが歌うパートに関してはそれを歌う人がメロディや節回しを作ってると思うのね。特に"通り過ぎる夏"の場合は確実にそれ。もう笑っちゃう位にそれらしいメロディだもん。んん、だとしたらシンちゃんのは‥‥おおっ!

  こういうのはね、レビューでいろいろ解説・分析するもんじゃなくて、爆音でひたすらリピートするのが正しい楽しみ方だと思うのね。この夏必須、特に同年代のオッサン達にこそ聴いて欲しい1枚。



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投稿: 2003 08 01 12:00 午前 [2003年の作品, O.P.KING, pillows, the, YO-KING, ピーズ, The, 奥田民生] | 固定リンク

2003/07/17

奥田民生『E』(2002)

  もう今更「元ユニコーン」なんて前置きが要らない存在となった奥田民生。2002年9月にリリースした通算5枚目のオリジナル・フルアルバム(企画盤やミニアルバム等は除く)「E」。約2年半振りのオリジナルアルバムってことで、普通なら(そう、民生の曲名のように)満を持しての力作って感じで発表されるんだろうけど‥‥ま、いつも通り、肩の力がちゃんと入ってるんだか抜けてるんだかの、絶妙な作風で我々を魅了してくれてます。

  正直な話、民生のアルバムを語る時って‥‥「いつも通り、良い。」で済んじゃうんだよね。けどそれで終わっちゃうとここで取り上げた意味がないので‥‥もうちょっとだけ努力して語ってみますか。

  例えばこのアルバム、曲数が非常に多い。インタールード的な小作品が数曲入ってるから余計にそう感じるんだけど、それを抜きにしても実際に入ってる歌モノが15曲。アルバム以前にリリースされていたシングル曲も幾つか入ってるんで、実際には10曲程度が完全なる新曲ってことになるんだけど‥‥そんな話、どうでもいいよね? とにかく名曲揃い。シングル曲だけ取り上げても"まんをじして"や"ヘヘヘイ"といったヘヴィでグルーヴィーなロックンロール(特に"ヘヘヘイ"は『民生版 "悪魔を哀れむ歌"(ROLLING STONESの名曲)』といったタイプ)だし、彼の全ての楽曲の中でも名曲中の名曲の部類に入るであろう"The STANDARD"や"花になる"が入ってる時点で、もう反則。とにかくズルいぜ、民生。

  勿論他にもそういったシングル曲にも負けず劣らずの楽曲が沢山入ってるわけですよ。オープニングをグイグイ引っ張る感じで盛り上げるブルージーなロックンロール"俺は知ってるぜ"、民生らしい言葉遊びが素晴らしい地味で味わい深い"E"、メチャメチャ地味なんだけど一番印象深いソウルナンバー"モナムール"、キース・リチャーズがソロ活動を行う時にバックを務めるTHE X-PENSIVE WINOSのメンバーも参加する、正にそれっぽいアーシーなロックンロール"鼻とフラワー"、PUFFYで試しそうなディスコファンク調"御免ライダー"、どうしてもこういう力強い「うた」を彼に求めたくなっちゃうんだよね‥‥ってな"ドースル?"等々‥‥とにかく全部名曲。ちょっと言い過ぎ!?って思うだろうけど、アルバムを1曲目から曲順通りに聴いていくと、自然と素直にそう思えちゃうんだから、あら不思議。ま、民生に関してはいつもそうなんだけどね。

  ‥‥ああ、もう書くことがない(苦笑)。じゃあちょっとだけ脱線してみますか‥‥上でこのアルバムのことを「いつも通り、肩の力がちゃんと入ってるんだか抜けてるんだかの、絶妙な作風」って書いたんだけど‥‥今年の3月に久々彼のライヴでこのアルバムの楽曲を聴いて再確認したんだけど‥‥ちょっと「攻め」モードに入りつつあるよね、民生。いや、そんな全面的に攻めの姿勢を見せるタイプじゃないから判りにくいんだけど、無理してない攻めの姿勢というか、背伸びをしてない「等身大の攻め」というか‥‥って何言ってるのかちょっと訳判んなくなってきたけど、要するに「力みを感じさせない力強さ」という矛盾する姿勢を見事に表現してるのが、このアルバムでの、そして今の奥田民生なんじゃないかな、という気がするのです。だから、本来なら今年はツアーが終わってひと休みってことになるはずなのに、YO-KINGに誘われるがままにO.P.KINGという期間限定バンドを結成してしまったし。ま、民生は殆ど「まぁいいんじゃない?」って簡単に参加しちゃったと思うんだけど‥‥ここで聴ける民生が作った楽曲も、また「E」同様の「力みを感じさせない力強さ」を感じさせる楽曲になってるのね。それには勿論、YO-KINGとTheピーズのはるとthe pillowsのシンイチロウという錚々たるメンツによる相乗効果もあるんだけど、それだけじゃない気もするのね。3月に観た「プレO.P.KING」はまだ民生のやる気みたいなのが感じられなかったんだけど、やっぱりオリジナル曲も作りライヴもやるとなると、それ相応の気合いが入ってるんじゃないですかね?

  と、結局ピーズ絡みの話題で脱線してしまったわけですが、このサイトの住人の多くが待ち望んでいるであろうO.P.KINGのミニアルバムを前に今一度、この民生の『名盤』に触れてみては如何でしょうか?



▼奥田民生『E』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 07 17 12:00 午前 [2002年の作品, 奥田民生] | 固定リンク