2005/01/10

「第1回菊地成孔楽曲大賞2004」とみぃの場合

 「エスロピII」のピロスエさんが、『第3回ハロプロ楽曲大賞2004』に続き、今度は(恐らく生涯のライフワークのひとつであろう)菊地成孔関連のアンケート企画『第1回菊地成孔楽曲大賞2004』をスタートさせました。で、ずっと参加しようとしてこのエントリを書きかけていたのですが、本日10日が〆切ということで、焦って完成させることにしました。

 詳しい募集要項についてはリンク先をご覧になってください。とにかくミュージシャンとして、そして楽曲提供/アレンジャー/プレイヤーとして、そして文筆家として等、いろんな顔を持つ菊地さんですから、募集項目も様々ですし、ハロプロの時と違って自分にとって聴いてる音源/読んでる文章が限られてしまうので、全部は答えられないかな‥‥と思ったんですが、やはり同郷出身の菊地さんですから、気合い入れて可能な限り選んでみました!(ま、菊地さんがこれ読んでるとは思わないけどねっ!)

 <楽曲部門a>

 「DCPRG、SPKS、KQLD等メインで活動しているユニットの楽曲」から5曲、持ち点10点で振り分ける、ということで。ここはハロプロ楽曲大賞と同じですね。対象は2003年12月1日〜2004年11月30日リリースのもの。ということで、スパンクスも含まれるわけですね。てなわけで、俺が選んだ5曲は以下の通り。ちなみに点数は各2点で。

1位:ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ
2位:エレガントの怪物
‥‥SPANK HAPPYのアルバム「Vendôme, la sick KAISEKI」より。単純に好きなのを選んだら、この2曲になりました。というか、5曲共このアルバムから選びそうだったのですが、涙を飲んでこの2曲に絞りました。

3位:フロイドと夜桜
‥‥「菊地成孔 feat.岩澤瞳」名義のシングル「普通の恋」より。"普通の恋" も良かったけど、単純にこっちのが好みだった、と。ただそれだけですよ。アルバムでのスパンクスとは違う魅力を見せてくれた1曲でしたね。

4位:マネー・ジャングルのジャンヌ・ダルク
5位:色彩のサンバ
‥‥菊地成孔「CHANSONS EXTRAITES DE DEGUSTATION A JAZZ」より。前者はUA、後者はカヒミ・カリイが参加したボーカル曲。共にそれぞれの魅力を最大限に引き出しつつ、菊地さんらしさが全面にしっかり出てる辺りがね。なんつーか強烈というか。

 以上、ボーカル曲を中心に選んでみました。


<楽曲部門b>

 「楽曲部門a」以外の曲‥‥つまり菊地さんがメイン参加してない、楽曲提供だったりミュージシャンとしての参加だったりする楽曲部門ですね。これに関してはUAのアルバムしか聴いてないので、そこからだけになってしまいました。これも各曲2点で。

1位:忘我
‥‥UAのアルバム「SUN」より。菊地さんがソプラノサックスで参加、しかもホーンアレンジまで手掛けた1曲。やはり最初に聴いた時のインパクトが一番大きかったので。

2位:雲がちぎれる時
3位:情熱
‥‥2曲共UAのライヴ盤「la」より。過去の代表曲を、新たなアレンジで表現してるわけですが、最初ライヴで聴いた時、鳥肌立ったもんで。特に前者な。微動だに出来ない程のインパクトでしたよ。


<テクスト部門a>

 「小説、コラム等本人執筆の原稿」ってことで、個人的に一番大好きな「CDは株券ではない」から3本選んでみました(でも一番面白かった回は、「ハロプロ楽曲大賞」@ロフトプラスワンでの回です!w)。これも各2点で。

1位:第14回「織田裕二、CHEMISTRY、鬼束ちひろ」
‥‥これはもう、織田裕二のゲイ話と、鬼束の「僕はこの人がデビューしたときから、裸にしか興味がなかったから(体が異常に良く思えたからだ)、とにかく一日も早くおかしくなるか落ちるかして脱いで欲しいとばかり願っていた。」が全てでございます。

2位:第13回「RIP SLYME、後浦なつみ、SAYAKA」
‥‥やはり後浦なつみの「人生の罰ゲームがあるとして「これからモーヲタになる(ならなければいけない)」というのは、かなりの強度でしょう。」かなぁ。そしてそれ以下の解説も非常に納得いくもので面白かったです。

3位:第10回「奥田民生、EXILE、星井七瀬」
‥‥ジャズ・ベーシスト、菊地雅晃がゲストの回。とにかく星井七瀬の評価が面白かったので。


<テクスト部門b>
<テクスト部門c>
<映像部門>

 ごめんなさい。これに関してはパスで。スミマセン‥‥


<ライヴ部門a>

 菊地さんがメイン参加しておられるユニットのライヴですね。'03年12月〜'04年11月は菊地サン関連、2本しか観てないので、残念ながらそれを選ばざるを得ません。これも2点でお願いします(1項目足りないので選外、だとしたらゴメンなさい)。

1位:2004年10月2日:朝霧JAM@静岡県富士宮市朝霧アリーナ
‥‥DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENでのライヴ。単純に、やっぱり素晴らしかったです。朝霧でDCPRGを‥‥と、初めて朝霧に行った年からずっと思ってたので、念願敵ったりといったところでしょうか。

2位:2003年12月19日:タワーレコード新宿店
‥‥SPANK HAPPYのインストア・イベント。結果的にこれが俺にとって最初で最後の第2期スパンクスになってしまいましたが‥‥瞳ちゃん‥‥嗚呼。


<ライヴ部門b>

 メイン参加以外の、いちプレイヤーとして参加したライヴですね。これに関しては残念ながら1本ということで。これも2点を(1本しか選んでないので、選外になるかも)。

1位:2004年7月31日:FUJI ROCK FESTIVAL '04@苗場スキー場
‥‥UAのフジロックでのライヴ。衝撃でした。いろんな意味で。UAの調子は最高潮とはいえなかったものの、それを補って余りある演奏が素晴らしかった。


<トーク/レクチャー部門>

 これも1本も参加してないので、パスで。


‥‥以上、こんな感じになりました。決して俺、菊地さんのハードコアなファンってわけでもなく、単純にDCPRGから入ってハマッて、続いて聴いたスパンクスもまた好みだった、というだけでね。その他の作品も追ってはいますけど、そこまで熱心なファンというわけではないのであしからず。

 2005年はですね‥‥もっと観たいですね、DCPRGを。そしてその他のユニットも。積極的に観に行きたいです。つーか誰か誘ってください!(それ全然積極的じゃないから自分)



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投稿: 2005 01 10 09:50 午後 [2004年の作品, 「1年のまとめ」, 菊地成孔] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/09/24

DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN『MUSICAL FROM CHAOS』(2003)

  菊地成孔率いる大所帯のファンク/ジャズ/ダンス・バンド、DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN。間もなく第二期メンバー編成によるスタジオ新作が発表されますが、これはそれに先駆けてリリースされた「第一期メンバー編成による集大成」と呼べる2枚組ライヴアルバム。しかもこれがただのライヴアルバムじゃないのね‥‥ディスク1には同じ曲("CATCH22")のいろんなライヴ会場でのテイク5種類が、ディスク2には「IRON MOUNTAIN MENU」と題された「アイアンマウンテン報告」のショートバージョンといえる6曲が収められています。

  つうかディスク1‥‥ジャズなんかにはこういう「同じ楽曲のテイク違い」を集めた作品ってよくあるんですか? いや、俺はジャズに疎いんでアレなんですけど。クラブ系‥‥ダンスミュージックだったら、こういったバージョン違いを集めたEPなんてのはよく見かけますよね。リミックス違いみたいなのを集めたやつ。けどさ、リミックスって曲によって編集する人が違ったりするじゃない。DCPRGの場合は同じメンツで同じ曲を演奏してるんだけど、その日その日で導入部が全然違ってたり、メインとなるリフだけが一緒で後は全てその場でのアドリブだったり。ま、これは指揮する菊地氏によって全て構成等が変わってくるんでしょうけどね。

  これだけ同じ曲を5回も、しかも70分強も聴き続けて飽きないか?と思われるでしょうが、実際聴いてみると「オープニングで脳がグラグラして悪酔いしそうになる」けど(変拍子とツインドラムによるポリリズムが原因でね)、5曲どれもが同じ曲には聞こえないんですよね。多分知らないで聴いたら全部別の曲だと認識しちゃうんじゃないでしょうか。各楽器のソロパートにしろ決して同じ場所に同じ楽器がソロを取るわけじゃないし、例えばブラスがユニゾンになるパートなんてのも何度か登場するんだけど、それすら時々お決まりのフレーズが登場するくらいで、後は完全にその場でのアドリブといった印象が強いですしね。菊地氏のCD-Jを使ったサンプリング・ネタも毎回違ってますし。

  毎回決まったセットリスト・同じソロ・同じ決めフレーズ。そういったライヴもエンターテイメント面からすれば楽しいですよね。実際、そういったアーティストのライヴに求められるのって、そういう「ある種マンネリともいえるお約束」かもしれないし。でも、それとは対極にいるDCPRGのようなバンドも俺は素晴らしいと思うし、楽しいと感じるんです。いわば「器だけ一緒で、中身は毎回何が入ってるか判らない」びっくり箱的ライヴ。全編新曲を演奏する実験的なライヴと読んでもいいかもしれませんね。これを先のようなエンターテイメント性豊かなバンドがやったとしたら‥‥どうなるんでしょうね? ま、結局は個人個人の楽しみ方であったり価値観であったり、そういった要素が関係してくるでしょうから一概にどうとか決められませんけどね。DCPRGだって、そういうバンドだっていう認識が観る/聴く側にあるから楽しめるのかもしれませんしね(それを求めて楽しみに行ってるわけだし)。苦手な人はとことん苦手でしょうけど。

  ディスク2の方の話題も少し。DCPRGは単独ライヴ以外、イベント等に出演する時はよく「アイアンマウンテン定食」と呼ばれる「アイアンマウンテン報告」アルバムのソートバージョン的内容のライヴをします。このディスク2に収められたライヴは曲によって収録場所が異なりますし、ワンマンライヴで録音されたものが殆どなのですが、こういう形で編集されると正しく「アイアンマウンテン定食」といった流れになってますよね。まぁライヴ盤というと昨年暮れに「DCPRG3/GRPCD2」というリミックスアルバムの初回盤に、6曲入りライヴアルバムがボーナスディスクとして付いてましたが、若干曲目は被るものの、あっちと合わせて聴くと‥‥本来の単独ライヴみたいな流れが掴めるんじゃないでしょうか。ま、本当はもっと1曲1曲のアドリブが長かったり、菊地氏の饒舌振りが味わえたりするんでしょうけどね。

  そうそう、このアルバムにはもうひとつ売りがあって、それは菊地氏が所属するもうひとつのユニット、SPANK HAPPYで発表された曲、"ホー・チ・ミン市のミラーボール"のDCPRGバージョンが収録されていることでしょう。本来はDCPRGのセカンドアルバム用の曲として用意されたこの曲、結局当時(2001年後半~2002年)起こったいろんな出来事が原因でレコーディングは中止され、この曲はSPANK HAPPY用にリアレンジされて発表されることになるのでした。恐らく菊地氏のファンなら両方聴いてるでしょうから、その違い・各ユニットの持ち味を活かしたアレンジにニンマリすることでしょうね。俺ですか? どっちが好きとか比べられないって。エレポップ・ユニットとファンク・ジャズ・ダンス・ビッグバンドだよ!? 全くの別物として楽しむことにしてます。

  というわけで、約2年に及んだ第一期編成による「アイアンマウンテン報告」に伴う一連のリリースは、リミックス盤「DCPRG3/GRPCD2」(現在は「DCPRG3/GRPCD1」というタイトルで、1枚モノとして流通してます)とこの「MUSICAL FROM CHAOS」の発表をもって一応の完結となります。さぁ、第二幕はもう今週末スタートですよ!



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投稿: 2003 09 24 12:00 午前 [2003年の作品, DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN, 菊地成孔] | 固定リンク

2003/09/12

TOKYO ZAWINUL BACH『VOGUE AFRICA』(2003)

  DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENでも活動を共にする菊地成孔と坪口昌恭のふたりによる「人工ファンク・ジャズ」ユニット、TOKYO ZAWINUL BACH。その彼等の4枚目のアルバムとなるのがこの「VOGUE AFRICA」。サブタイトル(b/w Horacio "El Negro" Hernandez)にもあるように、このアルバムは通常のふたりによる音源集ではなく、オラシオ・エルナンデスをドラムに迎えたセッションを元に、いつも通り再構築していった「いかにも」なファンク・ジャズ・アルバムになっています。

  この時のセッションは約2時間程度の即興演奏だったそうで、そのセッションをいつも通り坪口がスタジオで「リミックス」したものが、この40分程度の作品集になっているわけですが‥‥俺、ジャズとか詳しいわけでもないし、まぁ有名な作品なんかはたまに手に取ったりすることもあるんですが、基本的にはロックやテクノ、ポップスといった周辺の音楽をメインに聴いてるわけですよ。ところが、先の菊地氏との出会い‥‥同郷で実家が近所というのもありますが‥‥これが以後の俺の趣味の幅を更に広げてくれたことは今更書くまでもないでしょう。DCPRGとの出会いがあったからこのユニットにもたどり着き、前作「Cool Cluster」を愛聴するようになった。これが切っ掛けでジャズに片足を突っ込んだなんて言う気は全然ないですよ。けど、少なくともこのユニットがやっていることには興味があったし、普通に楽しめた、と。

  で、今回のアルバム。ライヴ感を重視しつつも「如何にも」な編集・リミックス的側面がバンバン出てくる辺りは非常にクラブミュージック的でもあるし、菊地氏のサックスプレイや坪口氏のキーボードなんかを聴いてると普通にジャズっぽくてカッコイイって感じるし、一本筋の通ったようなノリは正しくファンク‥‥ダンスミュージックのそれだし。そういう意味ではDCPRGにも通ずる要素は十分に感じられる。ま、言い方はちょっと違うかもしれませんが、「DCPRGのミニマル版」がTZBなのかなぁ、と。「通ずる要素」が多々感じられるだけで、DCPRGと同系統と言ってるわけではありませんよ。基本的な姿勢や編成がまず全然違うわけですから。同じプレイヤー/ミュージシャンが両方に参加してるから共通要素が感じられるのかも‥‥ってその程度の感覚ですから。

  アルバムは最初、ダンスとはかけ離れた‥‥ジャズっぽいと言えば確かにそれっぽい、非常に難解なノリからスタートするんですが、この辺は「人力エレクトロニカ」とか表現しようと思えば出来るわけで。効果的に挿入されるエフェクト(CDJとか使ってるのね、DCPRG同様)が更にそういう雰囲気を増長させてるわけで。で、曲が進むにつれてノリはドンドン激しくなっていき、非常にプリミティヴなリズムを堪能できたり、またテクニカルでハッと息を呑むプレイが続出したり‥‥緩いようでいて実は終始緊張感でいっぱいいっぱいな雰囲気。ジャズとしてリスニングするも良し、クラブでプレイして踊りまくるも良し。そういう意味ではDCPRG同様、クラブミュージック的側面が強いのかなぁ。普段クラブに行き慣れてる、また普段そういったクラブミュージックばかり聴いてる人からすると、菊地氏が関わるユニットの数々ってどう評価されてるんでしょうね。ちょっと気になるところです。

  個人的には普段クラブミュージックとか聴く機会が全くなく(あるいは興味がなく)、ジャズに興味があるって人に聴いて欲しいかな。こういうサウンド、巷には結構溢れてますよね? これを切っ掛けに「ジャズのもうひとつのあるべき姿」にも目を向けて欲しいなぁ‥‥なんてね。勿論うちを常に観てくれている「ジャズにはあんまり興味ないよ」って人にもオススメ。クラブものが好きなら結構イケると思うよ。入門編にしてはちょっと変化球過ぎるけど、間違いなくいいアルバムなんで。ここからDCPRGに進むも良し、また逆も良し。ジャンルの垣根なんて飛び越えて、もっと広い世界に目を向けてみましょうよ、ねっ?



▼TOKYO ZAWINUL BACH『VOGUE AFRICA』
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投稿: 2003 09 12 12:00 午前 [2003年の作品, TOKYO ZAWINUL BACH, 菊地成孔] | 固定リンク

2002/12/30

DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN『DCPRG3/GRPCD2』(2002)

  「次世代ダンスミュージック」と絶賛されることの多いDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN(通称「デトコペ」)ですが、今回リリースされたのは、そのジャズとも人力テクノとも人力エレクトロニカともいえるようなサウンドを国内の有名DJ/サウンドクリエイターによってリミックス/再構築したディスク1に、初回限定盤にのみ付いてくる2002年4月のライヴを収めたディスク2からなる2枚組作品集。リミックスという「人工的」な音源と、殆ど手を加えていないであろう「生」のライヴ音源という対照的な2枚からなるアルバムですが、これが全く違和感なく楽しめる作品集なんですね。

  とみ宮、あるいはエスロピIIを通して菊地成孔ワークスに興味を持った人、又はデトコペというバンドの出すサウンドに興味がある人なら言うまでもありませんが、この11人による風変わりなバンドが出すサウンドはそれこそジャズとも呼べるし人力テクノとも呼べるしエレクトロニカともソウルミュージックとも、もっと言ってしまえばロックと呼ぶこともできるわけですよ。けど、そうはいいながらも実際にはそのどこにも属さないのがデトコペという集合体の出すサウンドなんですね。そういった点が特徴ともいえるわけですが、そんなデトコペの音をTatsuya Oe(Captain Funk)、bayaka、DJ Quietstorm、大友良英、dj me dj you、永田一直、レイハラカミといった人達がぶっ壊して、それを自分の音として組み立て直すわけですよ。ただでさえ弄り難そうな音をしてるのに、いざ出来上がった音源は元の楽曲にも引けを取らない‥‥完全に別物になってしまっているものもあれば、原曲の空気を残しつつもDJ/サウンドクリエイター自身の特徴もちゃんと取り入れたサウンドになっている。これはやっぱりスゲェなぁとマジで思うわけですよ。

  完全にエレクトロニカと化してしまってるTatsuya Oeによる"CATCH 44.1 OE Reconstraction"みたいなのもあれば、DJ Quietstormによる"Play Mate at Hanoi -Inu ni kirawareta-"なんてソウルミュージック風になってるし、そのDJ Quietstormと同じ原曲なのに完全に別物となってる大友良英(デトコペのギタリスト。2002年12月をもって脱退)による"Play Mate at Hanoi -OLATUNJI MIX-"はもっとガチャガチャしたイメージになってるし。ホント、やる人が変わるとこうも違うもんなのかねぇと溜息混じりに感心してしまいますよね。

  7名のクリエイター中、6名がアルバム「REPORT FROM IRON MOUNTAIN」からの曲を使ってますが、ただひとりレイハラカミのみROVOとのスプリット音源としてリリースされた「PAN-AMERICAN BEEF STAKE ART FEDERATIONS」(1曲32分もある、所謂サウンドコラージュ的楽曲)を再構築(というよりも、完全に自分のモノにしちまってるような)。ここまでくると、ダンスミュージックというよりは、正にアブストラクトなフリージャズ‥‥というか、人によっては「サウンドコラージュによるジャンクミュージック」なんて呼んでしまうかも。それくらいぶっ飛んでます。

  殆どのリミックスが10分を軽く越える長尺さだけど、これが原曲もそうだったように、全然飽きがこない。むしろ、フロアでこれらがかかったら絶対に気持ちいいはず。現場の人間が再構築したものだもん、現場で鳴らされることを前提でリミックスしただろうしね(だからアナログ盤も出たわけだし)。いや、これはデトコペ本来の味とは別のものかもしれないけど、かなり楽しめる1枚だと思います。クラブミュージック/新しモノ好きにはオススメ。

  一方、今年4月のライヴを収めたボーナスディスクの方は‥‥もう圧巻。スタジオ盤を聴いただけでも「ライヴ凄そうだよね?」と想像がついたものの、やはり実際のライヴは想像以上でしたよ。俺は実際にこの7月にフジロックでのステージを観てるわけですが(「アイアンマウンテン定食」と呼ばれる、所謂アルバムのショートバージョン的内容でした)、あの1時間だけでも相当な濃さだったのに、通常のライヴでは軽く3時間とかやってしまうんですからねぇ‥‥ここに収められたライヴ音源は70分少々‥‥実際の3分の1程度でしかないですが、それでもその凄さは十分に伝わってくると思います。けど、やっぱりこのバンドはライヴを観て欲しいな。視覚が伴うと、やっぱり更に呆気にとられること必至。俺が2002年に観た30数本のライヴの中でも最も記憶に残る1本でしたから。

  ちなみにこのライヴディスクは初回限定盤のみに付いてくるもので、現在店頭に並んでいるものがなくなり次第、リミックス集のみの1枚ものとして流通されるとのことですので、値段的にも普通のアルバムと400円くらいしか変わらないので、俺の「デトコペすげぇ!」って言葉がずっと気になってる人でまだファースト聴いてない人は、まずこの初回盤から聴くことをオススメします。あ、逆にこっちから聴いたら「スタジオ盤のファースト、ライヴ盤よりも迫力が‥‥」とかなったりしないかなぁ‥‥いや、スタジオ盤にはスタジオ盤の凄みが、そしてリミックスにはリミックスの良さが、更にはライヴ盤にはライヴという空間でしか生み出せない特殊なものがあるので、それぞれにそれぞれの良さが必ずあるはず。この手のサウンドに興味がある人、ROVO等のバンドに興味がある人、是非聴いてみてください。



▼DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN『DCPRG3/GRPCD2』
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投稿: 2002 12 30 12:00 午前 [2002年の作品, DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN, 菊地成孔] | 固定リンク

2002/07/07

DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN『REPORT FORM IRON MOUNTAIN(アイアンマウンテン報告)』(2001)

  とみ宮的にはテクノ以外でインストアルバムを取り上げるのは多分初めてのことだと思うし、こういったカテゴライズし難い内容の作品をオススメ盤に選ぶことも初めての試みだ。今年の初めから「とみ宮は今後、ロックに拘らずに、いろんなジャンルの面白い作品を取り上げていく」と発言していたが、ここにきてようやくその第一歩が踏み出せた気がする。

  さて、今回オススメするのは2002年のフジロックにも出演が決まったDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN(DCPRG)が2001年8月にリリースしたファーストアルバム「REPORT FROM IRON MOUNTAIN」(邦題「アイアンマウンテン報告」)だ。メンバー構成は、以下の通り。

  ・菊地成孔(Vox-Jagar, CD-J, Keybord)
  ・大友良英(Guitar)
  ・高井康生(Guitar, Filter)
  ・芳垣安洋(Drums)
  ・藤井信夫(Drums)
  ・栗原正巳(Bass)
  ・津上研太(S.Sax)
  ・後関好宏(T.Sax)
  ・坪口昌恭(Shynthesizers, Electric Piano, Clavinett)
  ・大儀見元(Parcussion)
  ・吉見征樹(Tabla)

基本構成は上記の11人。当然ながら、毎回全員が揃うとは限らない(その為のツインドラム、ツインギターという噂もあるが、それは冗談だろう)し、11人以上の時もあるので、その時々でライヴの構成だったり曲の長さだったり、そういった決まり事がどんどん変わっていく。というよりも、決まり事なんて存在しないのではないだろうか? それくらいに自由度の高い、ある意味「ジャムバンド」だと思う。

  結成は1999年、菊地成孔が中心となって結成。'70年代のマイルス・デイヴィス的アプローチで、ロック、ポップ、ジャズ、ファンク、ソウル、クラブミュージック等を融合させたビッグバンドとして、ライヴを中心に活動。2001年夏にROVOとのスプリットシングル(とはいいながら、両バンド1曲ずつ、各曲が30分を越える、とてもシングルとは言い難い濃い内容となっている)リリース後、発表されたのが今回のアルバム。当時、外資系CDショップでもイチオシされていたので、覚えている人もいることだろう。

  ツインドラム構成ということで、ポリリズム(ふたつ以上の異なるリズムを同時に使うこと。それぞれのリズムは異なる拍子でプレイされることが多い)を駆使した楽曲が多く、何だか難解なイメージを受けるかもしれないが、いざ聴いてみると、これが意外とポップだったりする。それはギターや管楽器、シンセ等のキーボード類が多用されていることが大きな要因として挙げられる。また、パーカッションやタブラといった打楽器類が、複雑に絡み合う2つのリズムの隙間を縫うように自己主張する。こういった個性的な上モノ楽器が主メロディーを奏でたり、またリズムを引き立てたりしている。

  モロにポリリズムを取り入れた"CATCH 22"はまるでダブルトリオ編成時代のKING CRIMSONみたいだし(あそこまでドロドロしてなくて、こっちの方が聴きやすいが)、アフロチックな"PLAY MATE AT HANOI"、フュージョン的心地よさがある"S"、ジミヘンで有名なあの曲を独自の解釈でプレイしたヘヴィナンバー"HEY JOE"等、それぞれの曲が10分を軽く越えるのに、どれも飽きさせないだけの緊張感を持った魅力的なプレイを味わうことができる。

  時に狂おしい程にファンキー、そして時にアブストラクト。メロウなポップさを持ち、ロック的な重さも持ち、ジャズやフュージョンの要素も持ち、アフロチックなファンキーさも持ち、テクノに代表されるような現代クラブミュージック的要素も兼ね備えた、ある意味これこそが「ミクスチャー」といえるだろう。こういったバンドの生演奏を聴きながら気持ちよく踊ることは、この上なき幸せだろう。そして、それをフジロックのような大自然の中で体験することができる。または、武尊山でのレイヴイベントで体験することができる。日本人として生まれたことを誇りに思いたくなる程だ。

  ジャズやフュージョン、インストバンドというイメージに偏見がある人も多いと思うが、先鋭的なクラブミュージックに興味がある人は、聴いて損はしないはず。是非大音量で、身体を揺すりながら(踊りながら)聴いて欲しい1枚だ。



▼DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN『REPORT FORM IRON MOUNTAIN(アイアンマウンテン報告)』
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投稿: 2002 07 07 12:00 午前 [2001年の作品, DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN, 菊地成孔] | 固定リンク