2003/09/17

『ロッカーズ』オリジナルサウンドトラック盤(2003)

  陣内孝則初監督作品、「ロッカーズ」の公開が迫ってますが、それに先駆けて映画のサウンドトラック盤が今月発売になりました。先日、本家TH eROCKERSを取り上げたばかりですが、今回はそのサントラ盤を紹介してみたいと思います。これがね、ただのサントラと思って見過ごすとホント勿体ない1枚なんですよ‥‥

  映画の方はご存じの通り、最近人気の若手俳優5人(中村俊介、玉木宏、岡田義徳、佐藤隆太、塚本高史)がバンド「ロッカーズ」役を演じるわけですが、他にも玉山鉄二等が出演してるんですね。はい、ここまで聞いて「おお!」と唸った人、テレビの観過ぎです。過剰に反応し過ぎ。「ウォーターボーイズ」に「木更津キャッツアイ」に「百獣戦隊ガオレンジャー」かぁ‥‥とか言わないそこ。

  で、そういった若手俳優が実際に映画の中では楽器を弾いているわけですが(とりあえず玉木以外はそれぞれの楽器、経験者ですしね)、実際にサントラの方で彼等のパートを演奏しているのは、かのROCK'N'ROLL GYPSIES‥‥つまり、ロッカーズとはライバルといっていいだろうTHE ROOSTERZの面々なわけですよ。ルースターズのメンバーがロッカーズの曲をプレイする、これだけでも一大事なのに、更にサントラ盤の方ではそのロッカーズの代表曲("どうしようもない恋の歌"や"恋をしようよ")まで新録で収録されている、しかもそれを歌うのが花田裕之ではなくて、映画で陣内役を務める中村俊介なんだから‥‥この辺は賛否両論あるだろうけど、個人的には「映画のサントラ」という特殊なシチュエーションなわけだから、全然許せるんだよね。一種お祭りみたいなもんだしね。

  実はこのサントラのプロデュースを手掛けるのが、かのスマイリー原島。フジロックに行ったことがある人ならご存じかもしれませんね、あのグリーンステージで司会をやってる人です。この人、'80年代の「めんたいロック」シーンでも切っても切り離せない存在なんですね。そんな彼にプロデュースを託した陣内‥‥やるな、と。もうこれだけで個人的には安心なんですけどね。

  勿論ロッカーズの曲も多数収録されてますよ。ROCK'N'ROLL GYPSIESをバックにPOTSHOTのRYOJIが歌う"ロックンロールレコード"(コーラスにはそのスマイリー原島や、元SOUL FLOWER UNIONのうつみようこ等が参加)や、中村が歌う"キスユー"~"ジャッキー"のメドレー、テレビでも披露済み"可愛いアノ娘"、"ショック・ゲーム"といった代表曲の数々。演奏は文句なしにカッコイイ。歌は‥‥この程度なら別に気にする程でもないかな、と。そりゃもっとカッコ良くて上手いシンガーはいるけど、意外と陣内の歌い方や癖を真似してるんだよね、中村の歌。曲名を叫ぶところとかカウントする声とか、ちょっとした節回しとか特に。その辺は非常に好感持てるかな、と。やっぱり役者だね。

  それ意外には最近知名度を上げつつあるバンド‥‥勝手にしやがれやゴーグルエースといった若手、POTSHOTやザ・スリルといったベテラン勢も参加して華を添えてます。そのザ・スリルが玉山をシンガーに迎えてカバーする"ソーダポップ"。これ、「めんたいロック」の裏番長的存在として君臨する、知る人ぞ知るといった存在、モダンドールズのカバー。このバンドについては後日レビューで取り上げますので、知らない人はその時までお待ち下さい。とにかく、このバンドの曲を入れるということに個人的には感慨深いものを感じますね(とかいって、俺もにわかファンなんですが)。あと、GYPSIESバックに中村が歌う"メリージェーン"のカバー。これも笑った。ワンコーラス目は普通にバラード調なんだけど、途中から‥‥まぁ後は聴いてのお楽しみってことで。パンクにありがちな、あの展開ですよ、ええ。それをGYPSIESがやるんだから、もうね。

  そういえばここに参加してるThe TRAVELLERSってバンド。メンバーに武田真治の名前があるんだけど、ギター&ボーカルの人の名前も武田圭治っていうんだわ‥‥兄弟? って兄弟なのは間違いないみたいだけど、あの武田くんとは同姓同名の別人でした(→オフィシャルサイト)。ああ、このバンドも福岡のバンドなのか。成る程ね。そういう「新しい繋がり」も取り入れつつ(恐らくスマイリー原島のアイデアだろうね)、過去と未来を繋ぐサントラ盤‥‥ただの「過去の振り返り」系とか同窓会で終わってないところがさすが。

  サントラにありがちなインストナンバーも数曲入ってるんですが、それを担当するのが朝本浩文であったりキハラ龍太郎(元オリジナル・ラヴのキーボードの人ですよね?)や鈴木俊介(ハロプロ界ではお馴染み)等といった、その筋では有名な方々ばかり。特にキハラと鈴木による"アメイジング・グレイス"はなかなかの出来かと。鈴木のギターがかなりいい感じですね。

  最後に総括。企画モノとしては非常によく出来たアルバムだと思います。勿論リアルタイム通過組は「こんなので満足してるなんて、ありえねー!」とか怒ってるかもしれませんが、これって結局「今の若い子達」に向けて発してるんじゃないの? 映画にしてもさ、だからああいった若手人気俳優陣を起用したんだと思うし。そういう意味では俺、この企画は大成功だと思いますよ。勿論、映画の方はまだ観てないんでオールOKとは言い難いですが‥‥

  けどね‥‥やっぱり一番最後に入ってる本家ロッカーズの"涙のモーターウェイ"(多分「LIP SERVICE」バージョン)になると、急に胸がキューンとなっちゃうんだよね‥‥これって結局、俺が年寄りだってこと?



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投稿: 2003 09 17 12:00 午前 [2003年の作品, Compilation Album, ロッカーズ] | 固定リンク

2003/09/11

TH eROCKERS『LIP SERVICE』(1991)

  陣内孝則の初監督作品として制作された映画「ROCKERS」が早くも福岡では今月の20日から公開されます。それに先駆けサントラ盤が先日リリースされ、遂には出演者による映画版「TH eROCKERS」がテレビの歌番組に出演する等、かなり力の入ったプロモーションが行われています。個人的にもこの秋、最も楽しみにしている映画のひとつなので是非観に行こうと思ってるんですが、ここで改めて実在した「本当のTH eROCKERS」について取り上げてみたいと思います。

  ロッカーズについては上記の映画告知サイトでも簡単に紹介されていますが、簡単に説明すれば'80年にデビュー後、たった2年の間に4枚のアルバムを矢継ぎ早にリリースし、メンバー脱退~解散という短命に終わったグループ。後にボーカルの陣内が役者としてブレイクしたことは皆さんご存じでしょう。そんな彼もデビュー時にはグラムメイクでバリバリにキメて格好良かったんですよ。あと、以前取り上げた映画「爆裂都市」サントラ盤にも役者・シンガーとして参加していました。

  そんな彼等、解散から10年近く経った'91年。ギターの谷信雄らと共に、ライヴ数回の為に再結成をするんですよ。そしてその模様を収めたのが、今回紹介するライヴアルバム「LIP SERVICE」。正直な話、俺のロッカーズ初体験はこのアルバムからなんですね。所謂「めんたいロック」シーンの中から登場した彼等ですが、他のTHE MODSやTHE ROOSTERZ、A.R.B.といったバンドは中学~高校の頃から聴いていたにも関わらず、何故か手が伸びなかったんですよ、ロッカーズに関しては。多分、既に「役者・陣内孝則」を知ってしまった後だっただけに、どうしても進んで聴こうって気にならなかったんでしょうね、ガキんちょだった俺は。

  で、このライヴアルバム‥‥オリジナルアルバムを聴いてしまった後となっては、あの「初期衝動の塊」的サウンドよりも劣ると言わざるを得ないわけですが‥‥けどね、このアルバムが切っ掛けだったのは確かだわ、彼等に興味を持つのにね。

  このバンドの魅力って、例えばRAMONESみたいに1曲1曲が短い疾走チューンがメインという点もそうだけど、それ以上にエンターテイメント性が高いところじゃないですかね。'80年代のライヴ映像を観たことがあるんですが、凄くスタイリッシュなのにも関わらず、どこかファニーみたいな。クールに気取ってるんだけど、どこかに愛嬌を感じてしまう。観る側が既に「陣内孝則」という人のキャラクターを認識しているからかもしれませんが、それにしても‥‥カッコイイのよ、要するに。

  曲のカッコ良さについては改めて書くまでもないよな。このライヴ盤でもそうなんだけど、とにかく間髪無く矢継ぎ早に曲が連発される様はホント圧巻。正にRAMONESだよね。ライヴ開始後、頭3曲で勝負がついちゃうみないな、そんな強烈なインパクトを与えてくれる"パッパ・ドゥ"~"プライベート タイム"~"ロックンロール レコード"の流れはホント圧巻。同時に後半‥‥中盤の聴かせるスローナンバーを経て、再び"キャデラック"~"フェナー先生"~"ジャッキー"~名曲中の名曲"可愛いアノ娘"~"ショック・ゲーム"という怒濤の攻めは息つく暇もない程のテンション。これで盛り上がれないなんて、絶対に嘘。役者がロックやってるんじゃなくて、ロッカーが役者やったら成功しただけ。天性のエンターティナーだったんだよ。

  先日テレビで映画版「TH eROCKERS」の役者陣による演奏(歌以外は当て振り)シーンを観たのですが、やっぱりね‥‥イケメン5人も揃ってるんだもん。そりゃカッコイイわな。けどね、このノリ‥‥あの'80年代初頭のノリをリアルタイムで通過した人にしか判らない空気というか‥‥それを完全に再現出来るのは、やっぱりあの時代の人達だけだね、って再認識。残念ながらもうロッカーズが再結成することは有り得ないでしょう。'96年にギターの谷が交通事故でお亡くなりになっているんですね‥‥この時点で完全に「陣内と谷で何かやらかす」ってのはなくなったわけですから‥‥残念だけど、映画「ROCKERS」を観て疑似体験するしかなさそうです。

  映画を観て感銘を受けた人、是非サントラ盤だけでなくロッカーズのファーストやこのライヴ盤を聴いてみては如何ですか?



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投稿: 2003 09 11 12:00 午前 [1991年の作品, ロッカーズ] | 固定リンク

2003/07/20

O.S.T.『爆裂都市 (BURST CITY)』(1982)

  今から20年以上も前に公開された映画「爆裂都市 (BURST CITY)」のサウンドトラック盤としてリリースされたこのアルバム。表題の通り、ただのサントラと侮ると痛い目を見ますぜ。

  まず参加メンバー。映画の中にも登場する架空のバンド、バトルロッカーズのメンバーには陣内孝則(THE ROCKERS)や大江慎也&池畑潤二(THE ROOSTERS)といった、所謂「めんたいロック」シーンの中から登場した当時注目株だったメンツが。当然このバンドの為のオリジナル楽曲もサントラ盤には収められているんですが、これが凄まじいの何のって。バトルロッカーズ名義では7曲(内1曲はバージョン違いなので、実質6曲)のオリジナルソングが収録されていて、それらの楽曲が大江やロッカーズの谷信雄によって書かれているという点もポイントのひとつでしょう。まんまルースターズな曲もあれば、ルースターズとロッカーズが見事に融合したかのような凄まじいロックンロールもある。陣内が歌っているものの、時々陣内の音量よりもコーラス取ってる大江の音量の方が上回ってる時があって、一瞬ドキリとさせられたり。

  とにかく曲のテンションが高いの何のって。当時のルースターズやロッカーズのテンションもハンパじゃなかったけど、それを遙かに上回ってるように感じるのは俺だけじゃないはず。このアルバムにはロッカーズの曲も数曲入ってるんですが、正直それと比べてしまうと‥‥他にも陣内の実質上ソロといえる曲"視界ゼロの女"も入ってたりして、いろいろ興味深いポイントが多いんですよね(ちなみにこの曲、映画にも企画から参加している泉谷しげるが作詞してます)。

  それともうひとつ、大きなポイントといえば、1984というユニットの存在でしょう。花田裕之、井上富雄、池畑潤二の3人からなるユニット‥‥早い話が、大江抜きのルースターズ。完全なるインストバンドなんですが、ここに収録された3曲(池畑作曲の"ソルジャー"、井上作曲の"ソロー"、花田作曲の"キックス")を聴くと、何となくその後‥‥大江が「壊れて」しまった後のルースターズを少しだけ垣間見れるような気がしないでもないかな‥‥と。初期衝動的なロックを表現していた初期ルースターズ、大江の精神世界をそのまま音にしてしまったかのようなセカンド~サード・アルバム以降のルースターズ、そして大江がいなくなった後のルースターズ‥‥どれに一番近いかは、聴いた人が判断すればいいことなんですが、これも「記録」としては非常に興味深い楽曲だと思います。ま、どれも短いインストなんで、あれといえばあれなんですが。

  やはりこのアルバムの格好良さは、何度も書くけどバトルロッカーズに限ると思います。映画の企画とはいえ、こういった「奇跡的な組み合わせ」が一時でも実現したんだから。興味がある人は、この映画のビデオを観ることもオススメします。安く市販されているし、レンタル店にも大手ならあるでしょうし。

  唯一残念なポイントを書くとするならば‥‥映画にもマッド・スターリンとして出演していたTHE STALINの楽曲が収録されていないことでしょうか。権利の関係とかいろいろあったんでしょうけど(もしかしたら、それ以前に歌詞の検閲云々でカットされたのかも)、1曲でいいから‥‥まぁトータルバランスを考えれば、陣内色が強い現行の形がいいのかもしれませんが。



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投稿: 2003 07 20 12:00 午前 [1982年の作品, Compilation Album, ロッカーズ] | 固定リンク