2004/11/18

森重樹一『ROCK & ROLL SiNGER』(2004)

 バンドのシンガーがバンド在籍中にソロ活動をする時って、幾つかのパターンがあると思うんですね。

(1)バンドが活動休止中で、その合間にソロ活動
(2)バンドとは違った方向の音楽をやってみたくてソロ活動
(3)とにかく違った人間と音を出してみたくてソロ活動

他にもあると思うけど、代表的なのはこの辺かしら。(1)のケースって、例えばその「活動休止」の理由が「○○がソロやりたいっていうからバンド活動休もうか」っていう場合もあれば、「ここ数年バンドとして走り続けたから、ちょっと小休止しようよ」みたいな場合もあるでしょう。前者の場合は‥‥って例を出すとマズいのかしら、各バンドのファンに対して?

 (2)の場合は‥‥まぁ(1)と絡むことも多いですよね。バンドと違ったことがやりたいからソロやりたい、だからバンド休もう‥‥みたいな。逆にバンドが上手くいってるのに「創作意欲が凄くて収まらない。けどこの曲はバンドのイメージとは違うし、かといって他人にあげてしまうのも勿体ない。是非自分で歌ってみたい」って人もいるでしょう。誰とは言わないけど‥‥

 そして(3)。厳密に言えば、全部(1)と絡む場合が多いのか。むしろ「バンドが休みだから、他の奴とやってみるか」的発想で始める場合とか、たまたま遊びで他所のバンドのメンバーと音出ししたら面白かったから、ちょっとやってみました的な。最初のROSSOもこの辺りに入るのかな(あ、具体的な名前出しちゃった‥‥)。

 でさ。多かれ少なかれバンドのシンガーがソロやる場合って、バンドと違った方向で攻める場合が多いじゃない。むしろ「俺はこういう歌も歌えるんだぜ?」的な、これまでのパブリックイメージを覆すような。ハードなバンドで歌ってる奴が、ソロで急にスタンダードナンバー歌ってみたり、ビジュアル系のシンガーがソロで歌謡曲チックなこと始めてみたり。中には上のROSSOでのチバユウスケみたいな人もいますけど、まぁ大体の場合は「バンドとは違った側面を見せる」ためにソロ活動、ってケースですよね。んで、歌の上手さや表現力の豊かさを知らしめるために、バンドよりもソフトな路線を求めたりする、と。まさかバンドよりも更にハードな方向に進む人も少ないでしょう。

 ところがね。ここにいるんですよ、そういうバカが。

 いえね、名前は「森重樹一」っていうんですけどね‥‥そう、ZIGGY(SNAKE HIP SHAKES)のシンガーですね。

 森重は10年近く前からポツポツとソロ活動をやってるんですよ。アルバムももう5枚くらい出てるのかな。ここ数年は暫くやってなかったんですが(ZIGGYって名前が使えなくてSNAKE HIP SHAKESとして悪戦苦闘してた頃だしな)、ZIGGY名義に戻る頃に久し振りに1枚、アコースティック色の強いアルバムを発表して、この春に約2年振りのソロアルバム「ROCK & ROLL SiNGER」という実も蓋もないタイトルの1枚を発表して。今年はZIGGYとしてのアルバムリリースがなかったから、ファンにとっても非常に有り難い1枚なんですけどねぇ‥‥

 これがさ。ZIGGYよりもハードでカッコいいんですよ、真面目な話。ヤバいですよ、これは。

 アルバムの大半は森重の作詞作曲で、2曲だけ別の人が作曲してるのね。それを書いてるのが清春(SADS)と、元ZIGGY・現在はTHE DUST'N'BONEZで森重と活動を共にする戸城憲夫の二人なんですね‥‥そりゃカッコ悪いわけがない。つーか戸城作曲・森重作詞ってことは、まんま'99年以前のZIGGYなわけですからね。

 アルバムのレコーディングメンバーも面白いことになってて、主に2チームのバンドを使ってるわけ。ギターは両方共ここ最近の森重ソロのパートナーである神田和幸、チーム(1)のリズム隊がドラム・菊地哲(CRAZE)、ベース・戸城。チーム(2)のリズム隊がドラム・ポンプ小畑(元「すかんち」)、ベース・津谷正人(ZIGGY)。なんじゃそりゃ!?でしょ。しかもピアノで現在ZIGGYにサポート参加してる三国義貴、コーラスに中山加奈子(元プリプリ、現VooDoo Hawaiians)と清春‥‥カッコ悪いわけがないわな。

 アルバムは頭からハードドライヴィンする "ROCK'N'ROLL SiNGER" でスタートして、そのままの勢いで "JACK IN THE BOX"、そしてアルバム中最もハードコアな "Skull Red Roses" ときて、戸城作曲の(後にシングルカットまでされた)"Rusty Voice"、ハード&グルーヴィーな "SAY FXXK NO!"‥‥と、ここまでの5曲、まったく息をつかせずに聴かせるんですわ。ZIGGYのアルバムでいえば、「HEAVEN AND HELL」辺りに近いんだけど、あそこまでポップな色はないし、むしろハードコアな面が目立つのね。けどそこは森重のこと、曲はちゃんとメロディアスですからご心配なく。

 なんだろ‥‥これ聴いちゃうと、ZIGGYの存在意義を考えちゃうよね。だって森重は現在ZIGGYの他にソロがあって、更にインディーでTHE DUST'N'BONEZっていうバンドをやってるわけでしょ。こっちでは森重は曲書いてないけどさ‥‥そりゃ解散について真剣に考えるわな、と。ここまで素晴らしいアルバムを作ってしまったらさ。

 ZIGGYの方はもっとレイドバックした方向にいくのかもしれないし(今の松尾宗仁の音楽性、そしてボックスセットに収録された新曲やバンドの前作「ROCK AND ROLL FREEDOM!」の作風を見れば、そう考えるのが普通でしょう)、敢えてバッドボーイズタイプの音楽はTHE DUST'N'BONEZで戸城と共に体現する、と。ソロでは毎回違った形でいろんなことに挑戦する‥‥そう割り切ったのかな、森重は。

 にしてもさ‥‥これはちょっとしたショッキングな作品ですよ。ZIGGYのアルバムよりもカッコいいんだからさ‥‥しっかりしてくださいよ、森重樹一さん!



▼森重樹一『ROCK & ROLL SiNGER』(amazon

投稿: 2004 11 18 10:42 午後 [2004年の作品, ZIGGY, 森重樹一] | 固定リンク