カテゴリー「吉井和哉」の2件の記事

2004年1月15日 (木)

YOSHII LOVINSON『SWEET CANDY RAIN』(2004)

  THE YELLOW MONKEYのシンガー、吉井和哉のソロプロジェクトといえる「YOSHII LOVINSON」名義の、2枚目のシングルとなる「SWEET CANDY RAIN」。昨年秋になってようやく、「TALI」という名曲と共に表舞台に戻ってきた吉井。しかしながらこのシングルがCCCDということもあり、うちでは取り上げることができませんでした。有線やラジオでは毎日何度も耳にしたこの曲、如何にも「イエモンの吉井」が戻ってきた!といったようなメロウでセンチな楽曲で、俺も大好きだったわけですが、今回のシングル‥‥これはある意味異色作であり、ここからが「YOSHII LOVINSONの本性」剥き出しといった感じなのかもしれません。

  "TALI" という楽曲が比較的「解りやすく」、従来のファンにも受け入れられやすい作風だったのに対し、今回のタイトルトラック "SWEET CANDY RAIN" はとても地味で、それでいて重くて暗くて深い。これまでの吉井だったら絶対にシングルには持ってこなかったタイプの楽曲なのですが‥‥これもまた吉井らしさ全開の1曲なんですよ。ドラム以外の楽器(ギターとベース)は全て吉井自身が手掛けていることも関係あり、バックトラックの演奏自体は無駄をそぎ落とした、非常にシンプルな構成。悪く言えばスカスカなんですが‥‥そうすることによって余計にこの曲の深みが増すという。その楽曲を作った人間だからこそ判るといいましょうか、全てにおいての責任を吉井が背負い込むことで、イエモン時代とはある意味正反対な表現方法を選んだようです。無駄をそぎ落とすという意味では両者に共通する要素なんですが、方やそれでも「煌びやかで艶やか」に出来上がる4人の個性のぶつかり合い、そしてこちらはそれをひとりで担うという重労働且つ自由度が高い「何でもあり」な空間。確かに各楽曲での作詞作曲の表現方法も以前とは少々異なっているように感じられますが、根本にあるものは変わっていない、いや、変わりようがないわけで。どこからどう聴いても吉井そのものなはずなのに、イエモンとは全く異質な何かを感じる。"SPIRIT'S COMING (GET OUT I LOVE ROLLING STONES)" なんていうシンプルなロックンロールも、イエモンだったらもっと違った表現手段を用いたはずなのに。勿論、他の3人の個性が加わらないから違うのは当たり前なのですが、両者でのソングライターは共に吉井なのに‥‥どこか違う。実験的で如何にも「ソロでやりそう」なイメージが強い "70 GO" にしても同様。

  イエモンでは一足先にヒーセがHEESEY WITH DUDES名義でシングルやアルバムをリリースしていますが、こちらは我々が想像する「イエモンのヒーセ」をそのまま絵に描いたかのようなグラマラスでワイルドなハードロックを展開してくれたのですが‥‥勿論、吉井にしろ「ソロとなるといろいろ考えるんだろうな?」とはファンも考えていたはずなんです。しかし、ここまで濃いものを持ってくるとは‥‥正直、想像してた以上の代物でしたよこれは。

  至極当たり前なことを書きますが‥‥やっぱりTHE YELLOW MONKYEは吉井ひとりでは成り立たない。あの4人だったからこそ成し得た「奇跡」だったんだな、と。だからといってヒーセや吉井のソロがイエモンよりも劣ると言ってるんじゃないですよ。愛着が強い分、これをすんなり受け入れるには、もうちょっと時間が必要かな、と。あと、たった数曲でこういう判断をしてしまうのも、ちょっと気が引けるんですけどね‥‥ひと月後にはいよいよ吉井のファーストアルバムが到着します。今のところCD-DAでのリリースみたいですが‥‥CCCDだったら相当凹みます。最終的な判断はそのアルバムを聴いて下すことにします。なので今回はここまで。

  あー、やっぱり俺ってイエモン大好きだったんだなぁ‥‥そんなことをふと思い出させてくれる、そんなシングル。「吉井和哉というソングライター/シンガー」が好きだったのではなくて「THE YELLOW MONKEYの吉井和哉」が好きだったんだなぁ、と。そう気づかせてくれた今回のソロ活動。改めて失ったものの大きさを実感すると同時に、今後起こる「何か」が全く想像つかないだけに‥‥楽しみであるのと同時に、非常に不安なわけですよ。大成功したバンドから独り立ちしてソロになり、マニアックになりすぎて失速するというパターン、過去何度も見てきてるわけですからね。有無を言わせぬ大傑作を期待しております。



▼YOSHII LOVINSON『SWEET CANDY RAIN』
(amazon:国内盤CD

2001年10月24日 (水)

ジョンレノン音楽祭@さいたまスーパーアリーナ(2001年10月9日)

  今更という感じだが、先月行われた「ジョン・レノン音楽祭」、通称・レノン祭りについて、俺なりの感想、そして「カヴァー」について思うことを綴っていきたいと思う。


◎オープニング<吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)、ゆず、押葉真吾>

  1曲目は何か?という予想を同行したsuzukiくん、れいくさんとしていたが、誰かが予想した通り"Come Together"だった。基本的にはカヴァーというよりも、コピー。いや、ギターなんてまんまだった気が。ドラムには元JUDY AND MARYのコータさん、キーボードにはモーニング娘。のデビュー時のアレンジ等を手掛ける桜井鉄太郎氏等、豪華なメンツ。

  メインはロビンが、時々ゆずの二人と分け合いながら唄う。イエモン休止前よりも声が艶やかな気がするのは会場の音響のせいだろうか? ゆずは相変わらずいい仕事してる。特に目新しいアレンジもなく、淡々と終わる。


◎押葉真吾

  ビートルズのファンクラブ主催コピーバンドコンテストの優勝者だそうだ。要するにアマチュアに毛が生えたセミプロといったところだろうか。特にビートルズに誰に似ている(似せている)といったわけでもなく、まぁよくある「ビートルズを極め続け、気づけば結構な歳になってた」オヤジの典型なような‥‥(もし俺より若いんだったらスマン、謝るよ/笑)

  オープニングでもベース&ボーカルで出ていたが、今日の出演者の中では最も真っ当な「コピー」を聴かせる、悪く言えば最も華がない存在だった。トップバッターってことで、これはこれでよしかな?


◎ゆず

  最初、たった二人でギター抱えて登場し、ドーム公演以降のスタイル(たった二人の弾き語り)で行くのかと思いきや、途中からバンドが加わり、至極真っ当なコピーを聴かせる。ゆずとビートルズというのも何となく繋がらなかったのだが、まぁビートルズに影響を受けてないアーティストなどいない、ってことか? "Don't Let Me Down"はまぁゆずらしいかな?と思ったが、他は特に彼らがやる必要が感じられない選曲だったように感じた。けど、"All You Need Is Love"なんかは彼らがやらなきゃ他にやる人が今日のメンツの中にはいなかったので、これはこれでいいのかも。彼らによる日本語詞が「いかにも」なものだったのが、そしてメドレー形式でそのまま"Happey birthday, dear John!"と続いた辺りが微笑ましかった。


◎白井貴子

  俺世代の中には、中学生の頃に彼女を通過した人がいるのではないだろうか? かくいう俺もそのひとりで、山下久美子や中村あゆみといった「女性ロッカー」の第一人者としての認識がある。勿論、ここ数年はロックというよりもフォークやニューミュージック色が強い音楽性なのも知っていた。だからこそ、その彼女がどういう選曲をしてどういうアレンジを施すのかが気になっていた。

  "Love"を選んだのは少々意外だった。女性がこの歌を唄うと、また違った見方ができることに気づかされた。基本的には長年連れ添ったギタリストとの二人でのステージ。アコースティックメインということもあってか、アメリカンフォークっぽいイメージ‥‥キャロル・キングとかリンダ・ロンシュタットといった人達をイメージさせるアレンジだった。もっとも、バンドが加わると急に真っ当なコピーへと早変わりしてしまうのだが。


◎和田唱(TRICERATOPS)

  ここまではゆったりとした、和やかな空気感で進んできたが、いきなり「Woh~Yeah!」っていう、あの雄叫びが(笑)。和田はバンドを離れようが「トライセラトプスの和田唱」のままだった。選んだ"Instant Karma"もまた彼らしい選曲、そして彼にピッタリだった。"I Am The Walrus"はこの夏に2度‥‥OASISとPEALOUTのカヴァー‥‥聴いているが、和田には悪いがごく普通だった。思った以上に盛り上がらなかったし(フジやひたちなかでは、お約束の如く「フゥ~♪」って息が合ってたのに)。


◎和田唱、奥田民生

  これまで各アーティスト3曲ずつだったので、ここで和田も引っ込むのだろうと思ったら、エレキをアコギに持ち替えて、もうちょっとやりそうな感じ。ファンならご存じの「中学生の頃、買ったばかりのギターの弦が切れて渋谷の楽器屋に買いに行ったら、そこにユニコーン時代の民生がいた」という話。つうわけで、ここで奥田民生登場。大歓声。けど民生、マイペース(笑)。この人はどこでも、どんな舞台でも(フジロックでもひたちなかでも)気負いすることなく、本当にマイペース。そこがカッコイイんだけど。

  ちょっと前に山崎まさよしと民生の1日限定ユニットが話題になったが、さしずめこれは「和田奥田」といったところだろうか? 演奏されたのが、特にふたりで唄う必要も感じられない"You've Got To Hide Your Love Away"だったのは如何かと思うが‥‥


◎奥田民生

  で、その民生。何をやるのかが非常に期待されたところだが、まぁシングルのカップリングでカヴァーしてる"Hey Bulldog"はやるだろうとは思ってたけど、それ以外の2曲も"I'm Only Sleeping"と"She Said She Said"という、3曲全て中期ビートルズという拘り方(って拘ってたのか?)。他のどのアーティストにも言えることだが、ビートルズ初期のロックンロール時代かソロ以降に逃げてるような気がしてならなかった。ジョンが覚醒し出した‥‥「RUBBER SOUL」以降の楽曲を選ぶ人が少なかったように思える。個人的には奇をてらって"Tomorrow Never Knows"や"Lucy In The Sky With The Diamonds"辺りを選ぶ奴がいてもいいと思ったのに(特に桜井辺り)‥‥

  まぁそれはともかくとして、とにかくこの日の民生は頼もしかった。すっげー気持ちよかったし。この人の場合は下手にいじくり回すよりも、真っ当なカヴァーの方が合ってるようだ。


◎ムッシュかまやつ、押葉真吾

  ジョージ・マーティンとリンゴ・スターからのメッセージ・フィルムが上映された後、いよいよ後半戦に突入となった。御大・ムッシュかまやつの登場だ。

  が‥‥悪いけど、失望した。リハ不足が目に見て明らかなのだ。たった2曲、シンプルなロックンロールを選んだにも関わらず、歌詞はうろ覚え(というよりも、ムニャムニャと誤魔化す)‥‥それがロックンロールだというのなら、そんなもん糞食らえだ。ここにいる2万人近くのオーディエンスは、自分目当てではない。ゆずやロビン、桜井のファンであったり、ただ純粋にビートルズやジョンの名曲をいろんな有名アーティストが唄うのを楽しみにしてきた音楽ファンなのだ。この行為は正直、そういったお客を舐めてるとしか思えなかった。「ムッシュクラスはそこにいるだけでいい」っていう庇護の声もあるかもしれない。けど、この日の俺はそういうのを求めていたわけじゃないので。何か押葉バックに合いの手を入れるムッシュが、頼りないキース・リチャーズのように見えた‥‥勿論あそこまでの存在感は皆無だったが。へっ、曲の評価!? そんなの覚えてないよ。ただ気分悪かった‥‥


◎吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)

  口直しには豪華すぎる、ロビンの初ソロステージ。ひとりだと心細いのでベースを連れてきた、と言った途端に大歓声。みんなヒーセだと勘違い。俺もてっきり勘違い。何のことはない、現在活動を共にしているベーシストだった。

  "Be Bop A Lula"のようなシンプルなロックンロールを唄うロビンってのも意外と美味だった。続くジョンのソロ2曲は‥‥特にどうってことのない演奏。ただ、"God"の前のMCが邪魔だった。そしてこの曲を選んでしまった彼のエゴも。それだったらまだ、デヴィッド・ボウイとジョンの共作曲"Fame"をやってくれたほうが、彼らしくてよかったのに。


◎Acid Test(小林武史、桜井和寿、田原健一)

  さて‥‥この日最大の問題となったAcid Test。恐らくこの日限りのユニットなのだろうけど‥‥小林がキーボードとサンプリング、桜井は歌のみ、田原はリバーブのかかりまくったギターをかき鳴らす。それに加え、ストリングスが数名。演奏されたのは"Mother"1曲のみだったが、これが他のアーティストの3曲分くらいの演奏時間だった。環境音楽というか、テクノというか‥‥とにかくユニット名の通り、小林武史の実験室といった感じで、桜井と田原はそれにつき合わされてるといったところか。正直、桜井の「色」はあまり感じられなかったし。ただ、歌は相変わらず凄いと思ったけど。

  この日、殆どのアーティストが完全コピーに近い形だったのに対し、このユニットのみ「解体~再構築」カヴァーを行っていた。桜井は歌メロをかなり崩して唄っていたし、それなりの拘りのようなものは感じ取れた。まぁ(ミスチルがあんなに順調な活動をしてるのを見ると)今後続くとは思わないので、小林くんのお遊びにつき合ってあげました、って事でいいのではないだろうか?


◎オノ・ヨーコ from NY

  直前になってニューヨークに残ることを決めたヨーコ。衛星中継くらいあるだろうと思っていたら、予想通り。歌こそ唄わなかったものの(まぁ最後のオールスターズでの時は口ずさんでたけど)、この時が一番ググッときたな、俺は。このライヴの計画を立てた時、そして我々に発表した時はまさか世界情勢がこんなことになってるとは、夢にも思わなかっただろう。そしてジョンの誕生日の数日前に、アメリカの報復攻撃が始まることも。皮肉っちゃあ皮肉だが‥‥


◎出演者勢揃い

  最後は出演者勢揃いで"Happy X'mas (War Is Over)"を大合唱。ってみんなカンペ見ながらだけど(苦笑)。そのまま"Real Love ~ Give Peace A Chance"というメドレーへ。俺は帰りの都合があり、結局"Give Peace A Chance"に切り替わった辺りで会場を後にした。駅で電車を待っている間に、会場から"Imagine"がうっすらと聞こえてきた。やっぱり最後はこれか‥‥


◎総評

  バンドでの出演者が殆どなく、どのアーティストも固定バックバンドに合わせて唄ったりギターを弾いたりしていた。そのバックバンドも皆、有名なセッションミュージシャンだったこともあってか、オリジナルに忠実に演奏していた。ビートルズの曲はそれらしく、ジョンの曲は雰囲気を損なわずにそれらしく、と。それはそれで素晴らしいことだと思うのだが、やはり俺は先にも書いたようにAcid Testのような「解体~自分なりに再構築」したカヴァーを聴きたかった。まぁこんなもんだろうとは思っていたが‥‥それにしてもLOVE LOVE ALL STARSでも、もっと自分流のアレンジや演奏をしてたんじゃなかろうか? 良心的と捉えることもできるが‥‥やっぱり「コピー」と「カヴァー」は別物だと思うし。端から「完全コピー」を謳い文句にしてるなら文句言えないけど。

  どのアーティストも個々の活動の合間にリハーサルをしたんだろうけど、もしまたやるのなら今度は違った形態の「ジョン・レノン音楽祭」を開いてもらいたいと切に願う。


[SET LIST]
01. Come Together(吉井和哉、ゆず、押葉真吾)
02. Bad Boy
03. Cold Turky
04. Glow Old With Me(以上、押葉真吾)
05. Don't Let Me Down
06. Jelous Guy
07. All You Need Is Love ~ Happy Birthday To You(以上、ゆず)
08. Love
09. Watching Wheels
10. Mind Games(以上、白井貴子)
11. Instant Karma
12. Oh My Love
13. I Am The Walrus(以上、和田唱)
14. You've Got To Hide Your Love Away(和田唱&奥田民生)
15. I'm Only Sleeping
16. Hey Bulldog
17. She Said She Said(以上、奥田民生)
  ---message from George Martin & Ring Starr---
18. Little Child
19. I Should Have Known Better(以上、ムッシュかまやつ&押葉真吾)
20. Be Bop A Lula
21. I'm Losing You
22. God(以上、吉井和哉)
23. Mother(Acid Test)
  ---message from Yoko Ono in NYC---
24. Happy X'mas (War Is Over)
25. Real Love ~ Give Peace A Chance(出演者全員)
  ---encore---
26. Imagine(出演者全員)

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