2006/10/10

朝霧JAM(2006.10.7〜8)

Dscn0287 今年も懲りずに「朝霧JAM」に行ってきました。2002年の第2回から連続参加なので、今回で5回目ということになりますか……実は当初、俺は今年の朝霧には行かないと決意していたんです。理由は……多分そのうちにちゃんとしたコラムを書くかと思いますが、俺自身今年のフジロックやその他のフェスで「世代交代」を強く感じて、ちょっと気持ち的に萎えてたんですよ。まぁそんなの俺自身の問題であって、皆さんにはまったく関係のないことなんですが。とにかくね、何となくあの場で過去に味わった特別な気持ちを「共有」したくなかったの。だから最初からチケットも取らなかったし、取る気もまったくなかった。

 でも、ある方々のご好意で、今年も行けることになってしまった。「チケット用意できるけど?」と言われた瞬間、「お願いします!」と即答している自分がいてさ……何やってんだか。そりゃ、フェスの中で一番大好きな、今のフジロックよりも好きな野外フェスだしね。どんなに我慢したって、どこかでボロが出ますよそりゃ。

Dscn0299 さてさて。今年は初めてバスツアーで参加したんですが、いやー楽だわ。運転しなくていいのは。会場に着くまでずーっと寝てられるし、駐車場からシャトルバス待ちをしなくてもいい。新宿から会場内まで直通だもんね。帰りもギリギリまで酒呑んでてもオッケーだし。これはかなり大きいなぁ。来年も行くならバスツアーにしよう。

 で、今年の天気は……いろんなところで述べられているように、2日間晴天に恵まれました。しかも2日目なんて雲ひとつない、本当に素晴らしい天気でしたからね。唯一、10月2週目ということもあってか、日中でもかなり肌寒く、夜なんて凍えそうほど寒かった……風もかなり強かったし。ここまで寒い思いをしたフェスは、2004年の「RISING SUN ROCK FESTIVAL」初参加時以来かな?

 ライブは、まぁ例年どおり酒呑みながらテキトーにしか観てません。とりあえず、簡単なコメントを下記に残しておきます。


▼クラムボン
久しぶりに観たけど、なごむ。やたらとアグレッシヴな雰囲気で、本人たちが一番楽しんでた。ミトくんは以前から会場で見かけたことがあったので本当に好きなんだろうね。嬉しそうだったし。

▼Ron Sexsmith
なんだかんだでほとんどの曲知ってた。前観たときよりも痩せた気が。やっぱり1stの曲をやられると、グッと来るものがあるね。あ、リハーサルでBEATLESの "Nowhere Man" を完コピしてた。本編ではやらなかったけど、これがベストだったかも。

▼INDIVIDUAL ORCHESTRA
ちょっとだけ観た。普段のフミヤと違ってベース弾いたりいろいろ忙しそうなのね。でも好みとはちょっと違うかな。悪くはないけど。

▼元ちとせ
先々週に「SWEET LOVE SHOWER」で観たのより長めのステージ。だけど選曲はほとんど一緒かも。知ってる曲が増えてた(シングル曲ね)。やっぱり"Perfect"(FAIRGROUND ATTRACTION)のこぶし回しはどうかと思う。

▼くるり
テントで聴いた。だって凍えるほど寒いんだもん。リハで "ロックンロール" やったくせに本編でやらず。"ワンダーフォーゲル" や "ハイウェイ"、"街" とかやってた。夏フェスに近いノリかと思ったら、そうでもなかった。最後は "How To Go" で終了。

▼Michael Franti and Spearhead
素通り。すまん、アルバムは好きなんだけど。

▼EROL ALKAN
今年のベストアクト。自分の思う「こういう曲で踊りたい」というのと「こういうDJをやりたい」というのが見事一致した人だなって思った。選曲はかなりベタな部類なんだけど、それがむしろ良かった気がする。タンテ×2とCDJ1000×2を上手く駆使してたのが印象的。つーか途中から遠目に手元しか見てなかった。フロアに降りたり、タンテの載った台の上に立ち上がって客を煽ったり、ミキサーを引っ張って持ち上げていじったりとか、とにかく見せる方もさすが。これ、毎週観にロンドン通いたい。

▼THE POGUES
アルカンでほぼ燃え尽き、POGUESは軽く。去年観てる分、ちょっとは気持ち楽に鑑賞できた。ま、ステージを観たらグッと心が熱くなるわけですが。

▼SOIL & "PIMP"SESSIONS
ほぼフルで観た。カッコいい。デスジャズいいね。デスが付けばなんでもいいよ!

▼1945 a.k.a. KURANAKA
寝ながら数曲。ボブ・マーリィを四つ打ちにしたり、まぁ気持ちよさげなレゲエ&四つ打ちDJでした。まぁこの後、酔って石に躓いて壮絶な転び方(躓いてから倒れるまで3メートル)をしたんで、あまりいい思い出はないですが!!

▼mojave 3
想像してた以上でも以下でもなく。勿論大好きですよ。後半、昔取った杵柄というか、シューゲーザーっぽくなったのが微笑ましかった。

▼V∞REDOMS
こちらも基本はいつも通り良かった。セヴンナーって結局弦楽器というよりは打楽器といった方が近いかも。


Dscn0307……果たしてこれが本当に役に立つのかどうかわかりませんが、ひとまずこんな2日間でしたよ、と。

 でね。いろいろ考えたんだけど、やっぱり俺は来年も朝霧に行くよ。ここ1〜2年のフェス事情は本当に悩ましいものがあるし、自分の身の回りのみんなともちょっと距離を取りたいと思うことも多い。でも、朝霧だけは別だ。やっぱり俺の音楽生活の中で、いや日常の生活の一部として欠かせない要素だわ。音楽は勿論必要だと思うけど、それ以上にキャンプして自然の中でウマい酒呑んで美味い飯食って気の許せる仲間と一緒に過ごすのは止められないもの。フジロックも大好きだけど、もしかしたら近年中に行かなくなる日がくるかもしれない。それでも朝霧だけは変わらずに通いたいと思います。はい。



▼EROL ALKAN「A BUGGED OUT MIX」(amazon:UK盤

投稿: 2006 10 10 09:37 午後 [2006年のライブ, 「フェス」, くるり, クラムボン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/01/27

MANIC STREET PREACHERS GREATEST HITS TOUR@東京ベイN.K.ホール(2003年1月26日)

  フジロック'01から早1年半、単独来日だとまる4年振り(!)となる今回の来日公演。ツアータイトル通り、昨年末にリリースされたベスト盤に伴う内容になるのは何となく想像つくんだけど‥‥でも前回のフジロックの時点で既にグレイテストヒッツ的内容のライヴやってたから、個人的には「今回はどうなの!?」と、ちょっと消極的気味だったんですが‥‥ただ、東京公演はフジロックを除けば、単独公演としては最もキャパの大きいNKホール。既にヨーロッパではアリーナ、スタジアムを満杯にするクラスにまで成長したマニックスを、ここ日本でも同じようなシチュエーションで楽しむことが出来るって点においては、かなり期待してたんだよね。フジロックの時以上にコアなファン、そしてベストを聴いて興味を持った新規ファン、更に前座のくるり目当てでたまたま来てしまった人達‥‥そういった5,000人前後の人間をどう盛り上げるのか。そう考えたら無性にワクワクしてきてさ(ってかなり意地悪だよな、俺)。

  実は当日、ちょっとした手違いで自分のチケットが確保出来ていないことが、なんと現地に着いてから発覚。この時点で既に1階スタンディングフロアはソールドアウト。ダフ屋から安価で購入しようか迷ったものの、奴らの懐に金が転がり込むのもシャクなので、当日券売り場で2階スタンド席を購入。前売りより500円割り増しの7,000円なり。ま、スタンディングだったら荷物をクロークに預けるだけで500円取られるから、同じようなものか。それに全体を見渡したいっていうのもあったし(既に'93年、'99年にほぼ最前で観るという経験をしてるので、今更‥‥ってのもあるんだけど、折角の大きい会場だし、それすら楽しもうという考えがあったので)。Jブロックの5列目、ステージ真正面からちょっと右寄りの位置。確かにステージからは距離があるんだけど、そんなに観にくい位置でもなく。ま、NKホール自体が他のアリーナと比べれば半分くらいのスケールってのもあるし。


◎くるり

  オープニングアクトとしてくるりの参加が決まった後から、それまで伸び悩んでいたチケットの売上げが急激に伸び、最終的にはスタンディングフロアは前売り段階でソールドアウトになるという快挙。ホントにこれがくるり効果なのかは判らないけど‥‥勿論、くるり効果だと考えてみると、確かにそれらしい理由はあるんだよね。ドラムに今回、元ナンバーガールのアヒト・イナザワが参加するという点。これが世の若いロックファンにかなり大きなインパクトを与えたんじゃないでしょうか? 個人的にはくるりよりもナンバガ好きなので、この組み合わせがどういう化学反応を起こすのか‥‥その一点のみがずっと気になってました。

  ってよくよく考えてみると、ちゃんとくるりのライヴを観るの、これが初めてだったりして。2001年のフジロックでは "ばらの花" 1曲しか観てないしね。それに、世間の評価が異常に高いアルバム「THE WORLD IS MINE」の世界観をどう生で表現するのか?って点も気になってたし。

  で、内容ですが。基本的には前半にその「THE WORLD IS MINE」の曲を中心に進め、新曲も織り交ぜ、アルバム以上にヘヴィでダウナーな世界観を表現してました。そしてそこに加わるアヒトのダビーなドラムサウンド。一聴しただけでアヒトのそれと判るタムタムのリバーブ具合。思わずニヤリ。

  けど‥‥俺はくるりとアヒトって、基本的には合わないと思った。というのも、くるりが目指す世界観の持つビートと、アヒトが持ち合わせるビート感が噛み合ってないのね。今のくるりに必要なのは、的確なプレイをするドラマーなんじゃないかな? 別にそれは機械的という意味ではなくてね(そういう同期モノを多用した曲もあるにはあるけど、だからといって機械通り正確に叩くドラマーが必要ってわけじゃないよ)。それに対してアヒトのドラムってのは、バンドをグイグイ引っ張ってく、ホントの意味での「その場のノリ重視」なロックンロールドラマー。速い曲になるとグイグイ前に出て、前のめりで走り気味なリズムになるし、スローで重い曲になると、これでもか!?って位に一音一音をタメる。勿論、やろうと思えばくるり的なサウンドでもやれるんだろうけど、そうなるとアヒトの持ち味を殺しかねない。この日のライヴの最中、岸田が何度か後ろに振り返って、アヒトに何か指示する姿が見られたけど(しかもそれが怒鳴っているようにも見えたし)、多分パーマネントでこの組み合わせが続くことはないと思う‥‥確かにダブ要素を取り入れたくるりってのも非常に魅力的ではあったんだけどね。

  個人的には最後の"街"と"東京"の2曲がググッときました。しかも、しっかり"東京"でも自己主張を忘れないアヒト。ある意味雰囲気ぶち壊し気味だったけど。


[SETLIST]
01. GULTY
02. ARMY
03. (新曲)
04. GO BACK TO CHINA
05. リボルバー
06. 街
07. 東京


◎MANIC STREET PREACHERS

  約45分に渡るくるりのステージが終わり、30分の休憩&セットチェンジを経て、再び会場が暗転。デヴィッド・ボウイの "Sound & Vision" が鳴り響く中、ステージ上にひとり、またひとりとメンバーが現れ、それぞれの持ち場へ移動。最後に白のレスポールを抱えたジェームズが登場。「Hello~」と簡単な挨拶の後、1曲目の曲名をコール。いきなりファーストからの名曲"Motorcycle Emptiness"からスタート。お客大興奮。上から見てるとよく判るんだけど、フロアのお客の跳ねる様や一緒に合唱する様等、全てが想像してた以上のリアクションだったので、ちょっと驚き。みんなもっと醒めてるのかと思ってたよ。マイクを向けられれば、ちゃんと大合唱するし。俺がいた2階席の周りでも、みんな結構一緒に歌ったり踊ったりしてたし。嗚呼、ちゃんとファンで埋まったんだな、と一安心。確かに俺の隣の席にいた女性はくるりが終わった後に帰ってしまったけど、それでもまだこんなに沢山の人達がいるし、くるり観たついでにマニックスも観てくかって人達も腕組みして観察しながらも、しっかり身体でリズム取ってるし。

  ジェームズはといえば、いつも通り、いや、いつも以上にクルクル回りながらギター弾きまくり、ニッキーも最初っから飛ばし気味で、ずっとジャンプしまくり。ベース弾いてるよりもジャンプしてる時間の方が長いんじゃないか?ってくらい。ショーンのドラムも、昔を知る者からすれば信じられない程の成長振り。確かにフィル入れる度にリズムがもたったり走ったりはするんだけど、それがまたマニックスらしさを醸し出してるように思えるんだねこれが。

  続いて"You Stole The Sun From My Heart"。2曲目にこれっていうパターン、結構多くない? '99年のツアーも、前回のフジロックも2曲目だったような‥‥ま、静かに始まってサビで爆発するという、グランジにありがちな「強弱法」を用いたタイプのポップロックなんだけど、とにかくマニックスらしくていい曲。最近はアルバムで聴くと「もういいよ‥‥」と感じる瞬間も時々あるんだけど、こうやってライヴだとまた違った印象を受けるので、全然気にならない。サビ前の「イチ、ニー、サン、シー!」っていうジェームズの掛け声、いつ聴いてもニヤッとしちゃう。

  ジェームズによる歌唱指導の下、スタートするパンクソング"The Masses Against The Classes"で、フロアではやっとダイブする奴がちらほらと見られるようになり、いよいよ本格的に盛り上がってきななぁ‥‥って思ってたら、新境地といえる新曲"There By The Grace Of God"をここでプレイ。DEPECHE MODEばりのシンセサウンドやギターのエフェクト音が雰囲気出しまくり。そしてアルバム以上にブリブリのベースサウンドを聴かせるニッキーや、あくまで生ドラムに拘ったショーンのプレイもなかなかのものだったよ。アルバムはヒンヤリとした機械的なイメージだったけど、ライヴでは少しだけ温かみを感じさせるアレンジになってて好印象。
  そうそう、忘れてたけど、今回のマニックスはツアーメンバーがひとり増えての5人編成。「EVERYTHING MUST GO」ツアーから参加してるニック・ネイスミスと、パーカッション担当の男性プレイヤーが、3人の演奏に華を添えていました。

  「Revolution, Revolution.....」というループする声。それに合わせて適当にリフを弾くジェームズ。いつしかそれがデヴィッド・ボウイの "Rebel Rebel" になり、そこからあのリフへ‥‥スタジオバージョンと同じSEからスタートする"Motown Junk"にちょっとビックリ。しかし、いざ演奏が始まっちゃえばあとはいつも通りの疾走ドパンク。後半のドラムソロパートではフロントのふたり、ジャンプしまくり。「この曲をやらなくなった時こそ、バンドの死を意味する」みたいな発言をしてたけど、ホント10年経とうが20年経とうが延々プレイし続けて欲しい曲だわ。

  「俺達の最初のトップ10入りヒットシングル」という説明に続いて披露されたのが、俺自身ライヴでは初めて聴く"Suicide Is Painless"。やっぱり個人的にはこの頃の曲の方が思い入れ、強いわ。ブートビデオでは演奏する姿を確認してたけど、まさかこうやって日本で聴く日がこようとは‥‥それにしてもこういうタイプの曲って、本当にアリーナクラスの会場にピッタリだわ。完全に無敵のアリーナロックバンドっていうイメージ。後半のテンポアップするパートでは、前曲に引き続いてダイバー続出。

  この日2度目のテレキャスターを持ち出し、あの印象的なカッティングを‥‥"Kevin Carter"だ。初日では演奏してなかったみたいだけど、再び復活。やっぱりこれやらなきゃねぇ。アルバムでは軽い印象のこの曲だけど、ライヴではかなりタフな演奏に。いつ聴いてもいい曲。

  「初来日した時、クラブチッタとかで演奏したっけ‥‥」っていうようなこと言った後に(‥‥言ってたよね?)、「Very old, old, old,old song」な"Slash n'Burn"が! まさかまたこういった曲をライヴで聴ける日がこようとは。しかも、リズムのモタり具合は'92年当時とあんまり変わってないという‥‥(苦笑)すげぇぞ、マニックス! もうね、古いファンとしては‥‥ずっと鳥肌立ちっぱなし。嗚呼‥‥だんだんライヴレポートらしいこと書けなくなりそうだわ‥‥

  ここでちょっとだけクールダウン。「ニッキーが日本語を喋るよ」というジェームズの振りに対し、ニッキーが喋った言葉がそのまま次の曲のタイトルに‥‥って"Tsunami"ですが。悪い曲じゃないけど‥‥この辺の曲はホント、ちょっともういいかなぁ‥‥という気がしないでも。ここ3回の来日公演でも必ずやってるし、同系統でもっといい曲、沢山あるのにね。まぁ今回はグレイテストヒッツ・ツアーってことで、あくまでシングル曲に拘ってるようなので、良しとしますか。

  続いて「次は『THE HOLY BIBLE』アルバムから」という紹介の後にコールされた曲名に、ちょっと驚く。"She Is Suffering"だよ‥‥確かにこれもシングル曲だけどさぁ‥‥すっげー意外で驚いた。名古屋では "Revol" をやったっていう話だったから、ちょっと期待してたんだけど。ま、どっちをやっても個人的には大満足でしたけどね。ただ‥‥これが‥‥アレンジのせいでちょっと違った印象を受けたのね。アルバムでは渇いた、ガリガリした音という印象だったのが、今回は奥行きのあるシンセサウンドが前面に出過ぎてて、非常に柔らかい、今のマニックス・サウンドに。それが悪いっていうわけじゃないけど、ちょっと違和感を感じました。ま、何度か聴けば慣れると思うんだけどね。そして更に意外だったのが、続く"Life Becoming A Landslide"。これもベスト盤には入らなかったセカンドからのシングル曲なんだけど‥‥今回の日本ツアーでは唯一東京で演奏されたのみ。いやぁ~もうね、鳥肌立ちまくり。ホントゾクゾクした。それにしても‥‥ファースト~セカンドの曲、特に"Suicide Is Painless"以降の曲って本当にアリーナ向けのビッグサウンドだったなぁ、と再確認。こうやって大会場でやって初めてその良さが完全に伝わるアレンジなんじゃないかな? ジェームズもニッキーも気持ちよさげに歌い演奏してたのが印象的でした。

  ジェームズが再びテレキャスターをぶら下げ、ある男をステージ袖から呼び込み‥‥マニックスのオフィシャル・カメラマンであるミッチー池田氏の登場です。ってことは‥‥お判りでしょう。生「目、とっても美しいですね。とても美しい目をしてます」からスタートする"Ocean Spray"です。タイプとしては"Kevin Carter"と同系統なんだけど、こうやって聴くとそれぞれに別々の良さが感じられるんだよね。ライヴ前は「"Kevin Carter"だけ聴ければいいや」とか言ってたんだけど、いざ両方プレイされると、その違いを改めて思い知らされたという、ね。

  おもむろに聴き覚えのあるリフの塊。"Stay Beautiful"だ‥‥やっぱりこの辺の曲に対する反応は、最近の曲に対してよりも大きかったような。新規のファンにとっても、初期のパンキッシュな曲は魅力的に映ってるのかな? サビの「Why don't you just...FUCK OFF!」のコーラスも思ってた以上に声が出てたようなので、ひと安心(逆に何故歌詞カードがああなっているのか、ここで初めて知った人も多かったのでは?)。

  一旦袖に戻ったジェームズがギターをチェンジ。アコースティックギターを抱えて戻ってきた‥‥ってことは恒例のアコースティックコーナー‥‥のはずなんだけど、他のメンバー誰も引っ込まない(これまでは、ジェームズひとりによる弾き語りがメインだった)。どうやら今回のアコースティックコーナーではバンド形態で演奏するようだ。懐かしいアルペジオに導かれて登場したのが、これまた久しく演奏されていなかった"Little Baby Nothing"。初期はこの曲の時、客席から女の子をステージに上げて、トレイシー・ローズのパートを歌わせてたんだけど、さすがに今回はなし。トレイシーのパートも全部ジェームズが歌ってました(ま、もともとそんなに高いキーじゃないので全然違和感ないけど)。エレキなしの"Little Baby Nothing"もまた味わい深くて良いです。

  その形態のまま、「This song is dedicated to Richy James.」というコメントと共にスタートしたのが"Faster"のアコースティックアレンジ。ギターがアコースティックになった他、キーボードの味付けも若干変わり、ちょっとラウンジ風かな?っていう印象。シンセが前面に出てるので、かなり最近のマニックスっぽくなってました。これはこれで面白いかも。ま、いくら抑えて歌ったり演奏しても、最後になるとどうしてもガナり叫んでしまうジェームズが何とも微笑ましかったりして。

  2曲のアコースティックコーナーが終わり、再びレスポールを抱えたジェームズが歌いだしたのは、セカンドから"From Despaire To Where"。これも随分久し振り‥‥っていうか、10年振りに生で聴くわ。何となくいつも「演奏してくれないかなぁ」と思ってた1曲なんだけど、海外で時々やってたみたいだけど、どうしても俺が観に行く日にはやってくれなかったという。そしてそのまま、これも多分10年振りに聴く"Roses In The Hospital"。セカンドからのシングル攻勢は、今日のこのシチュエーションにピッタリ。「We don't want your FUCKING LOVE」のコーラスがちょっと声小さかったような‥‥みんなもっと頑張ろうよ!

  そろそろ終盤に差し掛かってきたかな、といった時間帯になり、残すはお約束の3曲で終わりか‥‥と思ってたら、まだまだやる気だよ、マニックス。バンドアレンジではなにげに初めて聴く"The Everlasting"では、歌ってて本気で泣きそうになるし。ベスト盤のショートバージョンに憤慨した俺だけど、やっぱりこの曲はフルコーラスに限る、そう実感した瞬間でした。ホント名曲。更にそのまま"Everything Must Go"へ。この位置にこの曲を持ってくるのは反則! 知らず知らずのうちに顔がニヤけてるし。さっきまで泣きそうだったくせしてね。それにしても、この曲でダイブする奴が現れたのは、ちと意外でした。

  そろそろ本当に終わりそうな予感‥‥ということで、お約束の3曲の時間のようです。まずはマニックス初のナンバー1ヒット"If You Tolerate This Your Children Will Be Next"。さすがにイントロのエフェクト音が会場に響いた瞬間の歓声は大きかったね。別にチャート至上主義ってわけじゃないだろうけど、それでも代表曲として認識されてるんだね。ちょっと意外かも(日本だとこの手の曲よりも、初期のパンクナンバーの方が人気あるのかな、と思ってたもので)。そういやぁ"Faster"の時、思ってたよりも歓声小さかったしな‥‥

  そして名曲中の名曲"A Design For Life"へ。さすがにこの辺になると会場中から大合唱が。ちょっと感動的。中盤のインストパートでジェームズがマイクスタンドを、本来リッチーがいるべき場所へ移動し、そこに向かってギターを一心不乱に弾きまくり‥‥ここで俺、絶対にマジ泣きしてたと思う‥‥ああ、やっぱり今日もリッチーは来てたんだ、それが判っただけでも俺としては十分だったし、やっぱりマニックスというバンドはジェームズ、ニッキー、ショーン、そしてリッチーによる4人組なんだな、今でもベスト盤のジャケット通りなんだな、と再確認。あと数日で「あの日」から8年経つけど、今でもリッチーは「そこ」‥‥ステージ向かって左側の、あの空間にいるんだ‥‥畜生、なんて惨めで無様な生き方しようがカッコいいバンドなんだろう、マニックスってのは。

  ジェームズ「Good night.」客「え~っ!?」ジェームズ「"You Love Us"!」‥‥という絶妙なやり取りからスタートしたラストナンバー。珍しくインディーズからの「Heavenly」バージョン‥‥頭のSEからスタートして、そのままいつも通り突っ走りまくり。ジェームズは右へ左へ動きまくり、シャウトしまくり、ニッキーは相変わらず訳の判らないコーラス入れまくり(笑)、ソロパートでは‥‥なんとジェームズがフロアへ降りてきてしまった! 急遽マイクスタンドをフロアに下ろして客と同じ目線で歌うジェームズ。何故このバンドが本国やヨーロッパであんなにも支持されるのか、それがよ~く判った瞬間だったんじゃないでしょうか? そしてフロントマンが不在のステージ上に目をやると‥‥いつの間にかニッキーがベースアンプの上に登ってるし(笑)、そして頭上に掲げたベースを床に叩きつける! アンプ上から飛び降りると、ベースは見事ネックが折れて真っ二つ。それを持ってニヤニヤするニッキー。更にマイクスタンドを持ってそれを客の方に向けたり、動き回ったり‥‥何か俺が観る時っていつも、かならずニッキーは最後までベース弾かないんだよなぁ(笑)。ニッキーに気を取られていると、いつの間にかステージ上に復帰したジェームズの姿が。ギターを床に置き、演奏は混沌とした状態のままエンディングへ。ショーンはそのまま姿をくらまし、残ったジェームズとニッキーがお客とコミュニケーションを取ったり、終いにはジェームズがニッキーを肩車したり(爆)と、これまでのマニックスからは考えられない程の上機嫌振りだったんじゃないでしょうか? あの気難しい英国人達が、ライヴの最中何度も「Fantastic」を連発するんだもん。本当にバンドにとってもいいライヴだったんだろうな‥‥ってのが伝わってくるライヴだったと思いますよ。客殿が点いて時計に目をやると、既に1時間50分経過‥‥過去の彼等のライヴと比べれば、明らかに長いライヴだったし、曲数や内容にしても文句なしだし、しかも全曲シングルナンバーだったという贅沢振り。そりゃ、もっとあれが聴きたい、っていう思いはみんなあると思うけど、それでもこれで満足出来ない人はいないでしょ?ってくらいに充実した、最高のグレイテストヒッツ・ライヴでした。

  ここまで集大成的内容でやられてしまうと、気になるのは今後の動向なんですよね‥‥ホントにこのまま活動停止とかしないだろうな?とか心配になってくるしさ。ま、もしこのまま活動停止してしまっても、誰も文句は言えないと思うよ。マニックスからすれば'93年以降の活動全てが「おまけ」みたいなもんだったんだから。

  でも‥‥ベスト盤収録の新曲(特に"There By The Grace Of God")や先日、日本でのみリリースされたミニアルバム「FOREVER DELAYED EP」収録の新曲群を聴く限りでは、今後のマニックスの方向性に期待してみたくもなっちゃうんだよね。従来の曲調やメロディに、いろんな味付けを施して、これまでとは違った側面を垣間見ることができたし。まだ未完成という印象も受けただけに、その完成型を聴いてみたいし、更にそれをどうライヴで料理するのか、そして過去の楽曲とどう整合性を取るのか‥‥まだまだこのバンドにやれることっていろいろあるんだよね、うん。

  そしてそこには‥‥目には見えないけど、常に4人の姿が‥‥

  今回で最後になるにしろならないにしろ、この日のライヴを見逃した方々。後悔しまくってください。年明け早々、いきなり2003年を代表するようなベストアクトをみすみす見逃すとは‥‥恥を知りなさい!


[SETLIST]
01. MOTORCYCLE EMPTINESS
02. YOU STOLE THE SUN FROM MY HEART
03. THE MASSES AGAINST THE CLASSES
04. THERE BY THE GRACE OF GOD
05. MOTOWN JUNK
06. THEME FROM M*A*S*H (SUICIDE IS PAINLESS)
07. KEVIN CARTER
08. SLASH N' BURN
09. TSUNAMI
10. SHE IS SUFFERING
11. LIFE BECOMING A LANDSLIDE
12. OCEAN SPRAY
13. STAY BEAUTIFUL
14. LITTLE BABY NOTHING [Acoustic]
15. FASTER [Acoustic]
16. FROM DESPAIRE TO WHERE
17. ROSES IN THE HOSPITAL
18. THE EVERLASTING
19. EVERYTHING MUST GO
20. IF YOU TOLERATE THIS YOUR CHILDREN WILL BE NEXT
21. A DESIGN FOR LIFE
22. YOU LOVE US (Heavenly)



▼MANIC STREET PREACHERS『FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2003 01 27 01:42 午後 [2003年のライブ, Manic Street Preachers, くるり] | 固定リンク