2016/07/27

スピッツ『醒めない』(2016)

今年に入ってから3年ぶりのシングル「みなと」および同作を携えた久しぶりのMステ出演(口笛で大反響を呼んだスカート澤部渡含め)が話題となり、注目度が高まる中で発表される3年ぶりのオリジナルアルバム。

オープニング「醒めない」での飛ばしっぷりから最高すぎて、思わずガッツポーズを取ってしまうファンは多いはず。90年代のヒットシングルの系譜にありながらも、より純度の高い美メロを乗せた直近のミディアムナンバーは文句なしの完成度です。アルバムではそこに大人の余裕すら感じさせる王道アップチューンが交互に登場することで、問答無用の存在感を提示してくれるのですから、さすがとしか言いようがない。

こんな“刺激的だけど安心感もある”アルバムを、デビュー25周年を迎えた、結成時から不動のアラフィフ4人組が作り上げたこと。そしてアルバム冒頭で「まだまだ醒めない アタマん中で ロック大陸の物語が」と歌い上げてしまうことは、もしかしたら現在の日本の音楽シーンにおいて奇跡なのかもしれない。そんなことすら考えてしまうほど、当たり前のようで当たり前ではない本作の魅力に当てられ続けています。ホント最高。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



▼スピッツ『醒めない』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 国内盤CD+Blu-ray

投稿: 2016 07 27 12:00 午後 [2016年の作品, スピッツ] | 固定リンク

2004/01/21

スピッツ『スターゲイザー』(2004)

  スピッツ通算28枚目のシングル、「スターゲイザー」は昨年秋からテレビ番組のテーマソングとして流れていたタイトル曲 "スターゲイザー" と、同年のツアーで既に披露されていたらしい "三日月ロック その3" の2曲を収録した、'02年9月のアルバム「三日月ロック」以来16ヶ月振りに発表される音源。'03年はツアーに明け暮れたこともあり、同年後半になると新しいマテリアルを求める声が少しずつ高まっていった中での "スターゲイザー" タイアップ、しかも王道中の王道スピッツ・ソングということもあって、多くの人が握り拳でガッツポーズを取ったんじゃないでしょうか。

  タイトル曲 "スターゲイザー" は確かにこれまでの王道路線にある1曲。良くいえば「絶対に誰の耳にも引っかかるであろう、大衆に消費されることを想定したポップソング」であり、同時に「‥‥って結局いつもと同じじゃねぇか?」という悪い言い方もできる、取り方によって諸刃の剣になり得るもの。確かにこれはヒットしますよ‥‥特にここ数作のシングルでは、大ヒットした "空も飛べるはず" や "チェリー" といった楽曲とは音楽的にも歌詞の内容的にもちょっと違った、非常にひねっているという印象を持っていたので、まさかここまで素直に「ヒット狙いました!」的なものを出してくるとは思わなかったのね。いくら彼らが「番組とのタイアップが決まり、番組から影響を受けて書いた」といっても、ここまで判りやすいものをこの時期に持ってくるとはねぇ‥‥既にミリオンヒットとかそういった類の世界から完全に離れたところにいる人達だと思ってただけに、ちょっとしたショックを受けましたね(勿論いい意味で)。決して今の彼らが売れてないとかそういった意味じゃないですよ? ただ今のスピッツにはそういったマスゲーム的なものが似合わないと、勝手に思い込んでいただけですから‥‥

  カップリングの "三日月ロック その3" は、まぁこれも従来の彼ららしいストレートなロックチューン。決してシングルのタイトルチューンになることはないけど、アルバムやc/w曲としていい味だして、ライヴでは盛り上げる為に一役買う、といったタイプの楽曲でしょうか。アルバム通して聴いた時にいいアクセントになるだろうけど、こうやって抜き出して1曲のみ聴かされても‥‥個人的には「ああ、いい曲だよね!」で終わってしまうタイプの曲かな、と。

  このシングル、過去に同番組に起用された曲を挙げるまでもなく、大ヒットを記録するでしょうね。それもミリオンに近いくらいの、あるいは久し振りのミリオンを記録するくらいの大ヒットに。それが今のスピッツに必要なのか否かは俺には判りません。これがアルバムへの起爆剤になるとは正直思えないんですよね。というのも‥‥この2曲が非常に優等生的なイメージが強くて、ここ2作くらいにあった「ひねくれ具合」だったり「ねじれ具合」があまり感じられなくて、全然先が読めないし、ここから次のアルバムが想像できないんですね。ま、幸いこの曲は次のオリジナルアルバムには収録されないようだし(代わりに3月に'99年以降にリリースされたアルバム未収録のシングル曲やc/w曲を集めた編集盤に収録されるそうです)。「次の一手」を占うという意味では、これに続くシングル曲の時まで待つことにしましょう。

  まぁそうはいっても、これは本当に良く出来た楽曲ですし、これまでスピッツに興味がなかった人達にも彼らの良さ/魅力を知らしめるに相応しい題材になると思いますよ。と同時に、離れて行くファンも少なからずいるような気も‥‥特に「隼」辺りの作風に惹かれて遅咲きのファンになったような人にとってはね。



▼スピッツ『スターゲイザー』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2004 01 21 12:00 午前 [2004年の作品, スピッツ] | 固定リンク