2003/05/29

勝手にしやがれ『DECADANCE PIERROT』(2003)

  先日「FUJI ROCK FESTIVAL'03」への出演も決定したばかりの勝手にしやがれ。この春にリリースされたサードアルバム「DECADANCE PIERROT」を今回は紹介したいと思います。

  まずはバンド名に惹かれることかと思います。「勝手にしやがれ」‥‥ある人はジャン・リュック・ゴダールの同名映画を思い浮かべ、ある人はSEX PISTOLSを思い浮かべ、またある人は沢田研二を思い浮かべるであろうこの「勝手にしやがれ」というバンド名。ある意味どれも正解であり、どれも間違いではないか‥‥そんな気さえしてくる彼等。しかもこのジャケット写真だもの。一体どんな音を出すバンドなんだ‥‥と、彼等のことを全く知らない人はドキドキしながらこのアルバムに手を伸ばすことになるでしょうね。

  ビッグバンドによるスウィングジャズだったりビバップだったり‥‥そういったジャズ的なことをパンクのフィルターに通したもの。個人的にはそう解釈しています。勿論、感じ方は様々ですし絶対にみんな同じとは限らないので‥‥俺はそう感じたということで。ボーカルの歌声が時々THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケとダブる瞬間があったりで、しかもブラスが前面に出た音楽なこともあり、ちょっと東京スカパラダイスオーケストラを思い出したりなんてこともありますが、別にスカやってないし、似てるのは形態だけですかね(勝手にしやがれは7人組でギターレス)。ピアノやフェンダーローズの音がとにかく気持ちいい。そしてその上に載るブラスセクションもカッコイイし、土台を固めるリズム隊もスイングしまくりで聴いてて気持ちいいし。ジャズを聴いてるというよりは、やはりロックのアルバムを聴いてるっていう感覚の方が強いかな。ま、これも感じ方はそれぞれでしょうね。

  1曲目の"奴隷"が始まった瞬間、時間が凍り付くんですよ‥‥CD屋の視聴機で聴いた瞬間、俺が正にそういう状態に陥って、本当に聴き入ってしまいましたから。かっけー。それ以外に言葉が見つからない程、とにかくかっけー。歌モノとインストがほぼ交互に配置されていて、インストものが苦手な人にも飽きさせない構成になってるし、そのインストものも全然「歌がないマイナスイメージ」を感じさせない、独立した作品になってる。緊張感と開放感が交互にやって来る感じ‥‥アッパーな曲ではそれこそパンク的なイメージを受けるし、如何にもといった感じのジャジーなナンバーではまったりゆったりとした空気で包まれる‥‥この気持ちよさが理解できたら、もうこっちのもの。ジャンル分けなんてどうでもよくなりますよ。

  例えばEGO-WRAPPIN'の世界観に共感出来る人。例えばモダンなジャズに興味がある人。例えばブラスが入った音楽が大好きな人。例えばエレピやフェンダーローズの音さえ載っていればジャンルなんて関係ないという人。例えば全ての「音楽」に対して偏見を持たない人。そういった人達にオススメしたい1枚。全てが一発録り・オーバーダブ皆無の世界。爆音で聴くもよし。蒸し暑い夜、ビール片手に静かに流すもよし。カッコイイものはどんな聴き方したってカッコイイはずなんだから。聴き手が聴きたいように勝手にすればいいんだよね‥‥



▼勝手にしやがれ『DECADANCE PIERROT』
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投稿: 2003 05 29 12:00 午前 [2003年の作品, 勝手にしやがれ] | 固定リンク