ゲスの極み乙女。『達磨林檎』(2017)
本来なら昨年11月に先行配信、12月にパッケージが発売されていたはずの本作が、約半年の延期を経てついにリリース。昨年の時点でMVが公開されていた2曲以外は、ようやく正式な形で聴くことができるようになったわけですが、そのきらびやかさと多幸感に満ち溢れたサウンドに驚かされるリスナーも多いのではないでしょうか。
どこかひねくれたイメージのある彼らですが、その資質は残しつつも、それ以上にパーっとまばゆい光が広がるようなポップさは過去随一。前作『両成敗』が全体を覆うロック度の高さでグイグイ引っ張る作風だとしたら、今作は時に訪れる穏やかさと、ところどころに散りばめられた毒の量のバランス比が絶妙です。
特に後者が少し控えめなことで穿った見方をされてしまいそうですが、それは本作を純粋に「音楽」として受け取ってほしい、楽しんでほしいという思いの表れではないかと推測。こんな状況だからこそ、歌詞やサウンドの偏った解釈はいくらでもできる。でも、そんなネガティブさもを凌駕する“突き抜け感”は今こそ正当に評価されるべきだと力説したい1枚です。
※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。
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