クリープハイプ『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』(2014)
「激動の2014年をこの1枚に込める。」
資料にあったこのキャッチコピーを見て、「ああ、いろいろあったけど、あれ全部今年の出来事か……」とすっかり忘れてたことに気付くくらい、この春からのクリープハイプの快進撃は印象的だった。
その2014年を締めくくる傑作の誕生……と言いたいところですが、ここはひとつ「来たるテン年代後半へのロックスタンダード作品のひな形」と言い切ってしまいたい、そんな1枚です。
一般的な高速4つ打ちビートとは異なる、オーソドックスなバンドサウンド。しかしどこか引っかかりのあるメロディとフレーズの数々。そして歌詞にはさまざまな視点でつづられた日常。中にはバンド自体を自虐的に歌ったものさえある。攻撃的だけど、誰かを傷つけるための言葉ではない。80年代、90年代、そしてゼロ年代を経てたどり着いた(と言ってもメンバーにはそんな感覚は皆無だろうけど)このサウンドとこの言葉が、向こう5年を牽引していくことになるんじゃないか。そう断言したくなる、強力な1枚の誕生です。
※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。