「Camp in 朝霧 Jam It's a beautiful day」DAY 1@静岡・朝霧アリーナ(2002年9月28日)
朝4時半起床。マジで遠足前夜の小学生の如く寝付きが悪い。結局「タモリ倶楽部」を最後まで観てしまい、そのまま勢いで「美少女教育2」最終回も観る。結局、3時間ちょっとの睡眠時間。目覚まし時計を止めたまま、10分程寝てしまうも、すぐに気付き飛び起きる。顔洗って、チケットと荷物の確認を今一度行い、5時に車へ荷物を運び、そのまま出発。
やはり今日の天気は雨。強く降ったり小雨になったり、時々止んだり。日本列島全体に雨雲が被った状態らしく、こんな日本列島の端っこでさえ強く降ったりしてるんだから、富士山の周りなんて、もう‥‥朝から鬱気味。
とりあえず、千葉市内の某駅で同行者のともえさんを拾う為、一般道で向かおうと思ったものの、出足が少し遅れたのと雨天のお陰で、だいぶ時間を食う。結局、途中から高速を使い、無事約束の7時前には到着。逢ったのは初めてだったものの、お互いに一発で判っちゃった。そりゃそうでしょう、こんな時期にキャンプに行きそうな格好した奴ら、そうはいないだろうし。
初対面の挨拶もそこそこに、とりあえずそのまま東京駅まで向かう。もうひとりの同行者、くみこさんを拾うために。ここからはずっと京葉道路を使う。車中で今年のフジロックが互いに不完全燃焼だった話、テクノはいいよねって話、キャンプ経験豊かなともえさんの話(弟さんがボーイスカウトだったこともあり、いろいろ詳しかったりする)、WIREに行けなかった俺の為に今年の会場内はこんな感じだったという話題等を、UNDERWORLDの新譜をバックに小1時間程語り明かす。途中、事故渋滞に巻き込まれ、結局錦糸町で高速を下り、そこから一般道で東京駅へ向かう。ま、約束の待ち合わせ時間が8時半だったので、それでもかなり早く着く計算なんだけど。結局、都内も雨のせいかそこそこ混雑してたので、何だかんだで8時20分頃に駅前到着。フジロックの時同様、みずほ銀行前(旧・富士銀行前。フジロックだけに富士銀行前集合だったというのはここだけの話)に一時停車し、連絡を取る。10分後、無事くみこさん到着。挨拶もそこそこに、荷物を車に積み込み、カーナビを朝霧高原にセット。さぁ、いざ出発。
永福辺りまで一般道で進み、そこへ向かうまでに皇居周辺や国会議事堂、最高裁判所などを通過。ちょっとした都内観光気分。くみこさんも元々千葉の人で、ふたりは中学~高校の同級生なのだそう。歳は俺の5~6歳程下。3人共通の話題といえば、ソウルフラワー。去年のフジロック、3人共ステージ真ん前の最前列で観てた事が発覚。そこでニアミスしていたとは。
首都高から中央道へ入り、雨は本降りに。朝早かったこともあって、皆ちゃんとした食事をしてなかったので、途中のパーキングで一旦休憩。しかもよりによって「石川」PA。雨だろうが、さすがに観光バスは多い。行楽地へ向かう親子もかなり見受けられる。朝霧ジャムへ向かうであろうロッカー達はここでは判断不可能。とりあえず軽食を取り、30分後に出発。ここでカーステのCDをUNDERWORLDからソウルフラワー「SCREWBALL COMEDY」に変える。3人大盛り上がりで大合唱。去年のフジの帰り道、このCDを聴きながら首都高で朝焼けを見て泣きそうになったっけ、なんて話をしつつ。
河口湖ICに近づくにつれ、雨足が強まり、若干霧も出てくる。しかしICを下りた途端に雨は上がる。この時点でまだ11時前後。折角のキャンプなので、バーベキューなり何なり、ちょっとした料理を現地でしようということになり、IC付近にあったスーパー「セイフー」で買い物をすることに。車を降り、空を見上げると雲の隙間から晴れ間が‥‥これはもしかしたら‥‥気持ちがかなり盛り上がる。
さすが河口湖近隣ってこともあり、スーパー入り口付近にキャンプ用のガスコンロやバーベキューセット等が売られている。そこで我々は豚汁を現地で作ることに。安いガスコンロ(2,000円弱)と、長ネギ1本、水煮されたゴボウ+ニンジンのパック、豚肉、パックのインスタントみそ汁、更に現地で酒代がかからないようにと紙パックの焼酎&割るためのウーロン茶やカルピスを購入。更に上のフロアの100円ショップで鍋やおたま、紙食器類を購入。俺も買い忘れていたテント内に敷く薄い銀マットを購入。
スーパー内で地元のケーブルネットを使ったインターネット無料体験が行われていて、高校生2人組が何やらやっている。ふとモニターを覗くと、2ちゃんねるの娘。狼板。ここにまで来て2ちゃんて。
さて、気を取り直し、いざ朝霧高原へ。カーステで鳴るソウルフラワーは更に音量が大きくなる。道はどんどん登りになっていき、河口湖周辺を通過。雨は降ったり止んだり。途中から霧がかなり濃くなり、湖が見えるはずの場所も、霧で見通しが最悪で何も見えず。そうした悪天候のためか俺の気の緩みからか、途中で道を間違えたらしく、本来国道139号線を走っていなければならないところを、何故か71号線だったか何か全然違う道を走っていることに気付く。ナビを信じていたがために何の疑いもなかったが、持参した去年の朝霧ジャムのフライヤーに載っている地図とはかなり違うところを走っていることに今更気付いてしまい、途中停車して、ナビを再設定。けど、結局近道を通っていたらしく、そのままでも無事会場に着けたのに設定し直すもんだから、ちょっと遠回りすることに。途中で、既に会場入りしている彼女達の友人から電話が入り、現地は雨が降ったり止んだりで、駐車場に入るのに1時間もかかっているとの情報が。こりゃ最悪の事態にならなきゃいいけど‥‥
12時40分頃、無事会場周辺に到着。が、反対車線がかなり渋滞している。何これ? 看板の表示に沿って進み、本来の駐車場入り口から入場する。牧草地といった風景が目に入るものの、5メートル先から霧で何も見えない状態。あちゃ。駐車出来ると安心したのも束の間、途中でスタッフに「ここでUターンして、さっきと反対車線に向かって走り、スタッフの指示に従ってください」と言われ愕然とする。そうか、あの渋滞はそういう意味だったのか。会場入りして知ったのだけど、この悪天候のせいで、本来使うはずだった駐車場がぬかるんでしまい、車が入れないような状態で使えなくなり、緊急に駐車施設を地元からいろいろ借り回っていたそうな。一番早くに着いた人達なんて、会場からかなり離れた駐車施設まで誘導され、会場までシャトルバスで移動することになったそうだし。で、俺らはまだいい方で、会場裏側の道路にずら~っと一列、路上駐車させられることに。けどさ、これもまた大渋滞で、何だかんだで結局1時間近く駐車待ちすることに。途中、京都から友人と参戦したzipperくんから電話が。既にテントを張った、会場は霧が濃く、ステージが全く見えないとの情報を貰う。その場で3人して「それって天神山でのフジロックみたいじゃん」と退き気味に。ま、あれと違うのは、今回は台風じゃないから、まだマシってこと。1時半過ぎに、ようやく駐車完了。会場まで徒歩5分程の場所だったので、正直助かった。まずはテント道具だけ持って会場入りすることに。彼女達も2人用のテントを持参していたものの、この雨の中さすがにテント二つを張る気力もなく、結局俺のテントに3人で過ごすことに。ま、夜寝るだけだし問題ないでしょう。大体俺だって寝不足&長距離運転の疲れ&踊り疲れて、変な気起こすこともないだろうし。
会場全体をざっと見渡した感じでは、確かに天神山でのフジロックに近い印象。つまり、ステージ後方にそのままテントを張ってもよく、他にもテントを張る場所は沢山ある。ステージの作りや会場内の雰囲気は、苗場以降のフジロック、フィールド・オブ・ヘブンをそのまま持ってきたような印象。お香の匂いが既に充満していて、それだけでウキウキ気味。3人共興奮しながらステージに向かって歩き出す。が‥‥本当に霧が濃い。雨は、まぁ本降りまでいかず、バラバラ降りっぱなし状態。既に会場入りしていた彼女達の友人、名古屋のあいちゃんと対面。彼女達は去年のフジロックで出逢い、その後去年のWIRE、今年のフジやWIREで再会していたそうな。挨拶もそこそこに、初のテント張りに挑戦。いきなり5人用の大型テントをひとりで張るのは無理があるとは判っていながらも、これ買っちゃうし‥‥けど今回は経験者のともえさんにだいぶ助けてもらい、無事20分でテント張り完了。テントを張ってる最中にスマッシュの大将こと、日高社長が登場。既にステージ前には人が集まっている。ステージの上に誰がいるとか、そういうのは霧で確認不可能。唯一、ステージ上の照明が霧と雨の中、幻想的な空間を作ってくれている。大将は「今日は最高の天気」と宣う。本当、最高の天気だよ‥‥思えば、俺はフェスに出向くようになってから、こういう本格的な雨には遭遇したことがなく、ある種過酷といえる環境・状況で初キャンプをすることになったのは、今後のフェス人生に於けるターニングポイントになるかも‥‥と行く前からずっと思っていた。もしここで満足のいく生活が出来れば、来年のフジは間違いなくキャンプすることになるだろう。それを占う意味でも、今回の朝霧ジャムは自分にとって重要になるに違いない。時計は14時を回り、テント張りをしながらライヴはスタートすることになる。
◎PE'Z
ブラスを含んだジャズロックバンド、というイメージを持っていたが、まったくその通りの音だった。残念ながらステージ上でどういったメンツで、どういうライヴが繰り広げられいたかは全く確認出来ず(霧で5メートル先は全く見えなくなってた)。作業をしながら音を聴いてたけど、踊るにはもってこいの音。唯一知ってる曲(最近のシングル)が一番最後に演奏されたが、やっぱりカッコイイ。アルバム買おうと思ったけど、CCCDなのでスルーしたんだよな。確か去年のフジに出て、ヘブンでやったんだよね。うん、こういう雰囲気にピッタリのバンド。もっと余裕がある時に楽しみたかったなぁ。
PE'Zの最中にテント張りが終わり、zipperくんに電話する。すぐに俺に気付き、半年以上振りの再会を果たす。久し振りのライヴ&野外フェスは初体験の彼。やはり雨にちょっと面食らってるような印象を受けるも、この空間・雰囲気はかなり気に入った様子。そりゃそうだろう。俺だって会場に入った瞬間に「苗場フジを越えた!」と実感したもの、まだライヴ観る前に、会場内を探索する前に。既に駐車場入りでの混雑は忘れている。その位、最高のシチュエーション!
ライヴが終わった頃、zipperくんと別れ、俺達は車へリュック等の荷物を取りに戻る。しかし、霧のお陰で道を間違え、何だかんだで20分程歩き回る。周りが似てるような場所ばかりだし、更に霧濃いし。
テントに再び戻り、荷物を置いて雨具を脱ぎ一段落。恐らくこの日の気温、10度前後だったと思う。河口湖IC付近で15度だったから、更に標高の高い&常に雨が降ってる&霧が濃い朝霧高原はもっと低いに違いない。雨の中、濡れながらテントを張ったのでさすがに身体が冷えている。そこで早速お酒で身体を温めることに。いきなりテント内で3人して呑み始める。買った焼酎は25度。それをウーロン茶やらカルピスやらで割るんだけど‥‥明らかに焼酎が紙コップに半分以上入ってる気が‥‥だって焼酎の味しかしないし、ただ色が付いただけだし。けどそんなことお構いなし。盛り上がった気持ちを抑えきれない俺達は乾杯をして、一気に飲み干す。疲れと寝不足から、すぐに酔いが回る。つうかこれ、かなり強いよ。我慢出来ずにみんな横になる。更に寒かったので、早くも寝袋を出して、清志郎まで仮眠することに。
◎LAUREL AITKEN
つうわけで、テントの中で音をちょっと聴いたのみ。70歳の爺様によるレゲエ/スカ。ほろ酔いを越えた泥酔状態の中、ホントに夢見心地で聴くものの‥‥ゴメンナサイ、殆ど記憶にないです。ただ、MCが非常に聞きやすい、簡単な英語だったということくらいしか覚えてません。去年&今年のフジでクロージングバンドのメンバーとして参加してたSANDOKANも来てたらしいけど‥‥
酔うと眠くならないで、むしろ目が冴えてしまう俺。結局ウトウト状態のまま清志郎の時間に。大将がまた喋ってる。それによると、清志郎は自転車で途中まで来たものの、この雨のせいで引き返してしまった、今日は出ません、もう清志郎は友達じゃない、その代わり名古屋(大阪だったかな?)では名が知られた期待の新人が来てます、最後にみんなで「清志郎のバカヤロー!」って叫びましょう、等々。内心「清志郎出ないなら、もう1時間寝られる」そう思って寝袋を頭まで被る。目が覚めていたくみこさんもそう思ったらしく、一旦起きあがったものの、また横になる。
しかし、ステージから聞こえてきた声は、声色を変えているものの、明らかに清志郎その人の声だった‥‥しかももうひとりのメンバーとショートコントしてるし(!)。パシッっていうハリセンで叩く音が聞こえた瞬間、バッと起きあがり、そのまま雨の中ステージ近くへ向かう。寝ていたともえさんを起こし、3人で初めてステージ前方へ向かう
◎忌野清志郎
フジロックには1998年から皆勤賞、しかも今年のフジには4日間連続出場、それだけでは飽きたらず、深夜会場内で即興ライヴを行う等のゲリラライヴまでした清志郎。しかし、俺がフジロックでちゃんと彼のステージを観たのは、1999年の苗場のみ。あの"君が代"騒動直前のことだ(しかもこの日がその「君が代」初披露だったはず)。その後、去年の4月に武道館で行われたイベントや、今年のフジでの即興ライヴ等は観てるんだけど‥‥ステージ上には変な被り物をした男がふたり。ひとりはギターを弾き、ひとりはリズムマシーンを操りながらタンバリンを叩く。ダイドーのCMで唄ったあの曲からステージがスタート。がしかし、一旦我々はそのままステージをスルーして、レストランエリアへ。丁度、清志郎は"イマジン"を唄い始める。一通り見回った後に、たき火をしていたスタッフとそれを手伝うお客の兄ちゃんがいたので、世間話を。雨のせいで薪が湿り、なかなか火がつかないらしい。清志郎の歌をバックに一緒に手伝う。その内、関西弁のカワイイ子(ZONEの真ん中のボーカルの子似)も加わり、四苦八苦。清志郎が"空がまた暗くなる"を唄い始める。一緒に口ずさみながら、みんなで火を点ける。ボランティアで参加してる地元のオバチャンのアドバイスの元、何とか少しだけ火が点く。それを見て安心、「お仕事頑張ってください」とスタッフ達に声をかけ、ステージに戻る。清志郎は"SWEET LOVIN'"を唄っている。アコギなんだけど、ソロパートになるとオーバードライヴかけたりしてソロ弾きまくり。ステージ前は人だかり。足下は芝生なんだけど、人が歩き回るもんだから、既に場所によっては泥沼状態。暗くなった足下を恐る恐る確認しながら、前へ前へと進む。すると清志郎はあのリフを弾き始める‥‥"雨上がりの夜空に"! ホントにこの頃には雨は上がっていた。みんな大合唱、俺もたまらずステージ前まで進み、踊りまくり、唄いまくり。なにげに10年近く振りの「雨上がり」だ。空は雲に覆われ星は見えなかったものの、霧は少しずつ晴れ、後方に張られたテント達やオーディエンスの顔が手に取るように見えた。スゲエ!
一番最後はお約束の"君が代"。オーバードライヴでは飽き足らず、ワウまで使う清志郎。アドリブは去年の武道館の時と一緒で、お客は大盛り上がり大会。「愛してる」という言葉が薄っぺらくなった昨今、この人がステージから放つ「みんな、愛してるぜ」だけは一生信用できると思う。もう俺的には、2日間の元は取ったも同然の2曲だった。
ライヴが終わり、女の子達3人と別行動になり、再びzipperくんと連絡を取り、しばし歓談。フジロックの話や今の清志郎の話など話題は尽きず。ふと空を見上げると、なんとビックリ。月や星が見えるじゃないか! 正しく清志郎マジック。などと感動していた中、気付けばROVOがスタートしていた。
◎ROVO
フジに出演しているものの、いつもスルーしてきた。朝霧直前にライヴ盤が出たものの、買いそびれてしまい、結局俺はデトコペとのスプリット・シングル1枚しか聴いていない。そう、殆ど知らない状態で彼等に接することになったのだけど‥‥これがかなり好みのバンドだった。ツインドラム&ツインキーボード(内ひとりはサンプラー等を駆使するDJ的役割)&ギター&ベース&バイオリンという編成(だったはず。俺の位置から確認出来たのはこのメンバーのみ)。ニューロックというか、アブストラクト的というか、非常に最近のMOGWAIなんかと近い印象を受けた。人力テクノ的ナンバーが多く、ヘッドフォンで聴いても楽しいだろうし、クラブのような薄暗い狭い空間で聴いても楽しいだろうし、こうやって壮大な自然の中で聴いても気持ちいい。単純に自分の好みってのも大きいだろうけど、こういう神秘的な音がこの日の朝霧の空気(真っ暗闇の中、霧の濃い状態)とマッチしてたってのも大きい。山本精一のギターワークも幻想的だったけど、やはりこのバンドの要はツインドラムと、そこに被さる勝井祐二のバイオリンだと思う。ツインドラムによるドラムソロなんて圧巻だったし。タイプは違うけど、デトコペと通ずる「熱」を感じる。デトコペが「陽」ならROVOは「陰」。そんな印象。後でちゃんとアルバムチェックします。
ROVOを聴きながら、この日初めてのちゃんとした食事を取る。ラーメン食べたけど、普通に旨かったッス。ROVOが終わって会場内をブラブラしていると、ともえさんから電話が。いよいよ豚汁を作るので戻って来てとのこと。テント前に戻ると、タープ内には既にガスコンロと材料がセッティングされていた。2チームに別れて、くみこさん&あいさんが下準備、俺とともえさんが野菜洗い&水準備をすることに。しかし、長ネギ持って会場内を彷徨く俺って。
寒さのせいかコンロの火力のせいか、なかなかお湯が沸かず時間がかかる中、TORTOISEがスタートする。
◎TORTOISE
最新作「STANDARD」しか聴いたことがないので、これ1枚で彼等をイメージすると、ちょっと違った印象を受けるステージだった。とにかくカッコイイ。メンバーが曲によって楽器を持ち替えたり、ギターが入らないでグロッケンを二人で弾いてたりとか、ツインドラムになったりとか。曲もフュージョンぽい和み系から、ポリリズム多用の人力アブストラクト的ナンバーまで。ジャズ~スカ~ロック~ポストロックと、この日の出演者は音楽的にバラバラだったけど、ROVOからTORTOISEの流れはとても自然だった。ギターロック YEAH!とか言ってる人には無縁の世界だと思うんだけど、やっぱりこういう環境にはミッシェルもOASISも要らないと思うし、むしろこういう音やジャムバンド的なスタイルの方がマッチしている。フジロックが雑多な音楽性を有するなら、朝霧ジャムはもっと狭い、限定されたスタイルでいいと思う。本来ならTORTOISEのようなバンドってフジのヘブンにピッタリなんだろうけど、今年の状況を考えると、朝霧ジャムで正解だったと思う。ROVOの時も思ったけど、霧で照明が霞みがかった状況がまた、夢の中にいるような幻想的な空間を作り出していて、更にTORTOISEのサウンドがそこに追い打ちをかけるように幻想的。うわっ、来年はここでMOGWAI とか見たいです、マジで。
TORTOISEを観ながら、我々4人は豚汁を食べながら再び焼酎を呑み、身体を十分に温め深夜のダンステントに備える。22時過ぎにメインステージでのライヴが終了。三度大将が出てきて、今日はこれでおしまい、これから22時半にDJステージの方で朝5時半までDJがあるので、体力余ってる奴らはそっちに集合、それ以外の人はテントでゆっくりして、朝まで身体を休めてくれ、明日は10時から地元の和太鼓ステージでスタートするから、とメッセージを残す。
酒で完全に酔っ払った我々4人は後片づけもそこそこに、23時頃にDJフィールドの方へ向かう。足下は真っ暗で、完全な山道。途中、何度も転びそうになりながら、約10分程で会場に到着。両方のステージが交互or同時進行ではなく、あくまでライヴステージは22時に終了し、そこから朝まではDJフィールドのみで音を鳴らす。メインステージ周辺は真っ暗になって、寝たい人はこっちで寝ればいいし、たき火も一晩中絶やさずに点いているので、寒さをしのぎたい人や宿のない人はここで暖をとればいい。フジみたいに5時になったら会場を追い出されることもないので、寒ささえ何とかなれば生きていける。ここはそうい場所なのだ(但し、絶対に10度は下るので、野宿組はかなりの覚悟が必要。マジで死にかねないし、そういう過酷な状況だったとだけ付け加えておきます)。
既にDJフィールドには人だかりで、皆踊り狂っていた。会場規模でいったら、メインステージはフジのグリーンをちょっと縮小した広さの中に、ヘブンクラスのステージが設置してあるイメージで、DJフィールドは規模的にはヘブンと同クラスだった。ステージといっても、完全なるDJブースのみ。俺らが到着した時には既にDJ AYASHIGEがスタートしていた。
◎DJ AYASHIGE
WRENCHのボーカルによるDJプレイ。WRENCH自体がポストロック的というか、非常にクラブシーンを意識したサウンドなのは、メンバーのこういう課外活動によるものなのだという事がよくわかった。どちらかというとトランス的な曲が多く(トランスっていってもエイベックス的なパラパラ踊りそうなトランスに非ず)、非常に踊りやすく盛り上がった。既に少しずつ疲れが出てきていたものの、最後まで気持ちよく踊れた。
途中、女の子達が前の方まで突き進んでしまい、気付けばひとりで踊っていた。そうこうするうちに、いよいよこの日のお目当て、APHEX TWINのDJプレイだ。
◎APHEX TWIN
去年のエレグラではマックのパワーブック1台で全てを済ませたこの男、今回はちゃんとDJらしくプレイしてました。が、相変わらず机にしがみつくような低い姿勢で、物思いに耽る難しい顔でのDJプレイ。曲は自分の曲も含め、古めのテクノ/ハウスナンバーをリチャード風に料理していた。全体の構成は去年のエレグラに非常に近い感じ(ゆったり目のリズムで踊りにくいナンバー→高速ビートのハイパーナンバーという流れ)。APHEXが始まる頃にともえさんが俺を捜し出し、ふたりしてステージに一番近い位置まで移動し、リチャードを観察しながら踊り狂う。二人共相当疲れていたにも関わらず、最後まで踊り倒し。俺なんて途中、踊りながら寝てたし。
リチャードのプレイが予定時間よりも10分近く早く終わり、今度は田中フミヤの出番‥‥さすが、ステージ近くはギャル率高し。フミヤ君はいつの間にやらDJ界の王子様になっていた。
◎田中フミヤ
さすがフミヤ。この日のプレイは如何にも「フミアート」といった趣向で、「TRUE LOVE」やらチェッカーズナンバーのメドレーで会場をどよめかせていました‥‥ってそれはフミヤ違い。本当は、いきなり地味にスタートして(しかも踊り難い)、まりんの曲等をプレイしてました。徐々に盛り上げていってるんだけど、こっちは既にガソリン切れ。女の子達はちょっと休んだら、またすぐに踊りに戻ってといった具合。俺は明日の帰りの運転のこととか考えて、2時過ぎにテントに戻ることにした。
既に雨は止み、空には月だけでなく星もちらほら見え始めていた。DJフィールド内のトイレに入ろうとすると、何故かカメラを持って何かを待ちかまえる人が多い。何、俺の小便してるところを隠し撮り?なんて寝惚けていると、目の前のトイレから馬鹿デカイ外人が出てくる‥‥って、リチャード・D・ジェームズさん(APHEX TWINね)じゃないですか! 思わずその場でチビりそうになりました。出てきた瞬間、みんなカシャカシャ写真取りまくり。気付けば同行した女の子達もカシャカシャ。あれはマジでビビッた。
みんなで一旦テントに戻り、女性陣はまた呑み始め、俺は運転疲れもあるので先に休むといってテントに隠る。ウトウトし始めた頃に、DJ EYE(BOREDOMSの山塚アイさんね)のプレイがスタートしていたらしいけど‥‥フミヤとのつなぎ目が全く判らない程に自然だった。で、気付けば3時前には爆睡状態に。