カテゴリー「「ゾ」」の10件の記事

2019年5月 4日 (土)

ドント・ブリーズ(2016)

あらすじ
ティーンネイジャーのロッキーは生活能力が全くない両親のもとから幼い妹を連れて逃げるための逃走資金を必要としていた。そんな時、恋人のマニーから、地下室に大金を隠しているとの噂される盲目の老人宅へ友人のアレックスと3人で強盗に入る計画を持ちかけられる。真夜中にそこへ忍び込み、孤独な盲目の老人から大金を手に入れるのはいとも簡単なはずだったが…。
そこにいたのは目は見えないが、どんな“音”も聞き逃さない超人的な聴覚を持つ老人…。そして想像を絶する<異常者>だった。寝室、キッチン、屋根裏、クローゼット、バスルーム…どこに逃げようが、ヤツは“音”を聞きつけものすごいスピードでやってくる。家中の明かりを消され、逆にハンディキャップを与えられ、逃げ道を失った彼らだったが、なんとか老人に見つからず地下室までたどりつく。
そこで目にしたものはあまりにも衝撃的な光景。ロッキーの悲鳴が鳴り響く…。彼らはここから無傷で出られるのか…。

制作:サム・ライミ、監督:フェデ・アルバレスというリメイク版『死霊のはらわた』(2013年)コンビによるスリラー系ホラー映画。死人が生き返ったり死霊が襲いかかったり、死体がバラバラになったりなどのスプラッター表現ゼロ。しかも、登場人物はすべて悪人で誰ひとり共感できないという、なんともな作品。

盲目で聴覚・嗅覚が健常者よりも敏感な退役軍人の爺 vs ロクでもない不良3人(うち1人女性)と、ホラー映画としてはちょっと登場人物が“弱い”ものの、それでも約90分最後まで集中して観られたので、作品としてはかなり面白いほうじゃないかと。

まあとにかく、見どころはいかに老人に気づかれずに、犯人(1人は瞬殺されたので男女2人)がゲットした大金を持って家から脱出するか。最初こそ明かりがついていたのに、途中で消されてしまい健常者の犯人側にも老人と同じハンディキャップが与えられる。暗視カメラを使った映像は生々しいものがあり、ここはかなりドキドキしながら楽しみました。

にしても、老人の隠された性癖(性癖なんですかね?)が明かされてからの展開が、ちょっとだけ興ざめといいますか……全然入り込めなかった。そもそもその◯◯、ちゃんと機能するのかね?という疑問もありましたし(苦笑)。あと、老人はある意味では被害者なのですが(強盗に入られる以前に、事故で娘を失っている)、そこを差し引いても◯◯を監禁していたりするのでプラマイゼロ、いやマイナスじゃん!と思うわけですどね。

と、中盤にテンションが落ちたものの、終盤にかけて老人&犬からの脱出劇はとてもスリリングで、ラストに追われる不安を残したまま、まだまだ恐怖は終わらない……というエンディングは素晴らしかったと思います。

ただ、最初に書いたように、登場する主要人物4人が誰ひとり善人ではないこと、観る側として感情移入できないこともあって、ホラーとしては良作ながらも映画としてはあまり“残らない”1本かなと。単純に「面白かった!」で済ませられたらよかったんだけど。

たぶんホラー映画って基本、主人公が不条理な状況下で異常者(ゾンビなり死霊なり)に追われ、「いきなり訪れる恐怖」と立ち向かう姿に自分を重ねてドキドキしながら楽しむことが多いと思うんです。だから、主人公は一般的に気が弱かったり人より劣るところがあるのに、最後は知恵を振り絞ったり火事場の馬鹿力を発揮したりして相手に打ち勝つ、その姿に共感したり(共感?)自分を重ねたりするんでしょうけど……まあこの作品のような主人公というのも、現代アメリカ的なのかな。そういった意味では、日本人の我々にはちょっと共感しにくいものがあるのかも。

(*70点)

 


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2019年4月23日 (火)

死霊のえじき:Bloodline(2018)

あらすじ
街にはロッターと呼ばれるゾンビが蔓延していた。大学の医療センターで医学生ゾーイはロッターの研究を行っている。ある日、ゾーイは一方的に好意を寄せられている患者のマックスに強姦されそうになるが、マックスがゾンビに襲われ、ゾーイは助かる。
5年後─ゾーイたちは生き残り軍事施設にいたが、さらに世界中にはゾンビが増殖していた。その施設内で抗生剤の効かない謎の伝染病が発生し、ゾーイは施設外へ薬を取得しに行くことになる。途中、5年前に死亡したはずのマックスがゾーイを追って施設内に忍び込んで来る。ゾーイはマックスにはウィルスへの抗体があることに気づき、ミゲル大尉たちの反対を押し切りマックスの血清から特効薬を作ろうとしていたが、マックスは鎖を引きちぎり脱走してしまう…。

 

ジョージ・A・ロメロの名作『死霊のえじき』は当時、中学生ながらも映画館で観て衝撃を受けたことをよーく覚えています。個人的にもゾンビものでは3本指に入るほど好きな作品ですが、2008年のリメイク版『デイ・オブ・ザ・デッド』はサバイバルアクションものにリブートされており、それはそれで悪くはなかったけど好きとは言い切れず。

で、あれから10年の歳月を経て再びリブート版の登場です。今回はオリジナルの邦題に「Bloodline」というサブタイトルが付けられています。女性が主人公という点、知能のあるゾンビが登場するという点は過去2作と共通するのですが、例によって現代的な味付けが施されております。

まず、知能のあるゾンビが人間から転化したものであるという点は『デイ・オブ・ザ・デッド』と同じ。ただ、『デイ・オブ・ザ・デッド』は主人公の部下が転化したことでの信頼関係みたいなものが存在していたのに対し、本作は“サイコ野郎”……主人公のストーカーが転化してしまうという内容。つまり、主人公の女性に対しての執着から、その知性を使って追いかけ回すという非常に厄介な野郎なのです。

さらに厄介なのが、本作のゾンビが“走る”タイプだということ。もうね、否が応でもアクションものにならざるを得ないわけ。『ドーン・オブ・ザ・デッド』などで慣れているとはいえ、やっぱり情緒が足りない。物語の展開もスピーディーにならざるを得ないし。

知性=半転化に気づいた主人公は、そこからワクチンを作り出すという活路を見出すあたりは、『28週後...』あたりにも似た展開ですね。感染したら殲滅、というありがちな構成から脱している点はモダンなゾンビものの系譜にあるのかもしれません。

まあとにかく、本作の主人公のわがままでいきなり仲間が死んだり、半転化のサイコ野郎を生かすことになるし、そういったホラー映画にありがちな「登場人物のありえないわがままさが不幸を呼ぶ」という要素はしっかり死守されており、観ているとイライラさせられるのですが(笑)、最終的にはハッピーエンド? という、この手の作品にしては無難な作り。このへんもホラーというよりはアクションの色が強いからこそと言えなくもないかな。

序盤の薬の調達あたりですでに脱落しそうになったし、なおかつその場面での主人公の身勝手さにイラっとして一回再生を止めましたが(笑)、そこを乗り切ればまあまあ楽しめるかな。かといって、平均点を超えているかと言われたら「いやいやいや……」と即答しますが。

(*55点)

 


▼死霊のえじき:Bloodline
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2005年1月 4日 (火)

デス・サイト(2003)

あらすじ
警察官・アンナのもとに突然送られてきた謎のE-MAIL。そこに添付されていた奇妙なオンラインポーカーゲームサイトにアクセスすると、そこには猟奇殺人をほのめかす言葉が現れ…。現代社会の象徴とも言えるインターネットを巧みに利用した猟奇殺人者を描いたサイコホラー作品。

 

サスペンス・ホラーの第一人者、ダリオ・アルジェント監督の最新作『デス・サイト』(原題は「THE CARD PLAYER」)。パッケージに「ダリオ・アルジェント最高傑作」とデカデカと銘打たれていたので、かなり期待して観たんですが……。

何だろ、普通にサスペンス映画でしたよね。ホラーまでは行かないので、スプラッターとか苦手な人はまだ大丈夫かな。けど途中、グロいシーンもあるにはあるので、やっぱり苦手な人は観ない方がいいのかも……。けど、ホラーを期待して観た人には、ちょっと肩すかしかもしれないけど。

ローマの街並み等の映像は綺麗だし、ヨーロッパ映画独特の「冷たさ」みたいなものが十分に感じられ、その辺は過去のアルジェント作品にも通ずるものがあるんだけど、個人的には不完全燃焼だったかな。駄作とまでは言わないけど、なんとなく消化不良気味。

インターネットを使った愉快犯的な猟奇殺人、ストーカーチックな犯人、ポーカーを主軸に置いたストーリー展開等、それぞれに目新しさは感じられるものの、そのどれもが「だからといって別に今さら……」感が強いのも、また事実。年老いたアルジェントが頑張ってみたものの、奇抜さでは新鋭作家には敵わないかな、と思わされたり。

ただ、ストーリーの運び方には彼らしさがまだまだ残っているし、所々に存在するドロドロした「人間の狂気」みたいなものは未だ健在かな。だからといって、これが「彼にしか描けない描写」かと問われると、ちょっと俺も答えに困るんだけど……。

ジョージ・A・ロメロにおける『ゾンビ』のように、一般的にはいまだに『サスペリア』や『フェノミナ』で語られることの多い彼だけど(実際、それだけの傑作だったしな)、ここらでもう1本、本当に優れたサスペンス・ホラーを期待したいんだけどね‥‥難しいかな。

それでも、悪い作品とかつまらない作品というわけではないですよ。観る人が観れば十分に怖くて響く作品でしょうし。ただ、あのエンディングに少々あっけにとられる人もいるんじゃないかな? あれこそハリウッド映画にはない“味”のひとつだと、個人的には思うんですが……。

(*60点)

 


▼『デス・サイト』
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2004年12月31日 (金)

28日後...(2002)

あらすじ
たった1滴の血液で感染し、人間の精神を数秒で破壊する新種のウィルスが発生した。感染者の血管は純粋な激しい怒りで溢れ、人間の声を聞いただけで相手を殺そうと襲いかかる……。28日後、ジムは病院の集中治療室で昏睡状態から目覚める。世界から何もかも消滅してしまったような静寂の中、ジムは生き残った4人の非感染者たちと共に1台のタクシーで旅立つ。未来を救えるわずかな可能性を信じて。しかし、死のウィルスより恐ろしい存在に彼らはまだ気づいていなかった……。

 

『トレインスポッティング』でお馴染み、ダニー・ボイル監督による映画『28日後...』。劇場で観ようと思ってたら、結局忘れて行けなかったんだよね。先日、まとまった休みが取れた時に改めてDVDを借りてきて観ました。

観る前から既に周りで「(映画版の)『バイオハザード』みたい」とか「エンディングがイマイチ」なんて囁かれていて、あーそうなんだ、と鵜呑みにしつつ、そんなに期待しないで観たんですよ。

ところがね。これが非常に面白かった。いや、面白いからといって万人にはオススメしませんけどね。これはね、ゾンビ映画とかそんな類の映画じゃないですよ。むしろ第一級のホラー映画ですよ! スプラッター映画でもないし、ゾンビ映画でもない、もっと人間の内面にある狂気を描いたホラー。タイプは違うけど、過去に紹介した『シャイニング』や『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』にも通ずる狂気を描いた良作ですね。

「細菌に感染→凶暴化、人間に噛みつく」等の設定から、ゾンビものと捉えられがちですが、それは全くの誤解ですよ。ここでその認識のまま鑑賞を進めてしまうと、最後に肩すかしを食らうと思います。実際、俺も最初はそんな考えで映画を観てたんですよ。「あー、ゾンビもどきとはいえ、走っちゃだめでしょ!」とか「強すぎるよ!」とか。結構うんざり気味だったんですよね。「猿が病原菌を保菌」→『アウトブレイク』、そして上記のように『バイオハザード』といった映画がちらついたりしてね。

ところが。ストーリーが進むにつれ、映画に引き込まれていって……ハンナの父親・フランクが感染して射殺、以降のストーリー展開に引き込まれていき……そう、ここを境に主人公・ジムの“狂気”が一気に開花して(それ以前の、給油所でのシーンでその片鱗は伺わせていたし、実際あれがひとつの鍵になってるのも事実)、後は……実際に観てもらって判断してもらいましょう。とにかくこの映画の中では、人類にとって一番の敵は感染者ではなく、非感染者なんじゃないか……それはジムに限らず、あの軍隊の奴ら含めてね。生き残る為に躊躇わず感染者を“排除”していったヒロイン・セリーナにも言えること。人間は生きていく為に、常に残酷な面も持ち合わせている。それを端的に表現したヒューマン・ドラマと捉えることもできるかな。

とはいいながらも、結構至るところにジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』を彷彿させるシーンがちりばめられていて、製作側が如何にあの映画をリスペクトしているかというのが伺えますよね。ま、勝手に俺がそう思いこんでるだけかもしれないけど。

あと、やはりこの映画も『トレインスポッティング』同様、イギリス映画だなぁ、と。勿論良い意味でね。

うん、好きな映画ですよ。期待してなかっただけに収穫も多かったし、複数あるエンディングというのも個人的には面白かったな。まぁ白黒つけなきゃ気が済まない人にとっては駄作なのかもしれないけど。

(*82点)

 


▼『28日後...』
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2004年12月29日 (水)

ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999)

あらすじ
1994年10月、モンゴメリー大学映画学科に通う三人の学生、女性監督のヘザー、録音担当のジョシュ、カメラ担当のマイクは、その土地に今なお残る伝説の魔女「ブレア・ウィッチ」を題材としたドキュメンタリー映画を撮影するために、メリーランド州バーキッツビルのブラック・ヒルズの森に向かう。
だが、森の中で撮影を続ける三人は、不可解な現象にまきこまれ、想像を絶する恐怖を体験し、そのまま消息を絶った。手掛かりが発見されないまま、やがて捜索は打ち切られる。しかし事件から1年後、彼らが撮影したものと思われるフィルムとビデオが、森の中で発見されたのだ。
本作品は、彼らの残したフィルムを再構成し、映画化したものである…。

 

2000年正月公開の映画で1番だか2番の興行収益をあげたのが、この『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』だったんだそうな。何でこの映画がこんなにヒットしたのかな? 確かにその時期、例年に比べていい映画がなかったのも理由のひとつと言えるけど、それ以上にこの映画の場合は、雑誌やTV、そしてインターネット等のメディア上で話題になったのが大きな理由なんじゃないかな? メディアミックスっていうの?(いや多分それは違うと思う)

そもそも日本人にはみんな、少なからずオタク要素があるんだよね。あと「謎」だとか「不思議」系が大好きじゃない? だから『ツイン・ピークス』や『Xファイル』、最近じゃ『24』みたいな映画/ドラマが大ヒットし、日本でも「エヴァ現象」なる言葉を生み出した『新世紀エヴァンゲリオン』が記録的ヒットするわけ。謎が謎を呼ぶ。謎を残したまま終る。残された我々は想像力を働かせて、その謎に挑む。答えを求めるためにというよりは、その過程を楽しむために。結局、答えを与えられるよりも、みんなでああだこうだと言ってる時が一番盛り上がるもんなのよ。

俺自身がこの中でハマったものといえば‥‥実は『エヴァ』だけだったりするのね。今が旬の『24」には完全に乗り遅れた感じ。別にアニメの方が好きってわけでもないんだけど。たまたま映画1作目公開直前、深夜にまとめて再放送してたのを観たのが切っ掛け。6話か7話から観たので、話を繋ぐためにレンタルビデオ店へ行くも、常にビデオはレンタル中。おいおい、そんなに人気あったのか?と驚く、と。

結局、春エヴァ2回、夏エヴァ2回観て、その後のリバイバル上映も観てるくらい、ハマった。ビデオはテレビ放送を録画したしたものを持ってるので買いはしなかったけど、去年出たDVDボックスは予約してまで買っちゃったし。そりゃ穴が開く程、またまた何度も観返してますよ。

何故この作品がこんなに俺を惹き付けたか? 結局、完結しつつも謎を多く残したまま終る等のストーリー、ここに尽きるんだよね。テレビシリーズも不完全に終り、それがネット上で話題を呼び、映画を作るも1本目には収まりきらず(公開に間に合わず)もう1本作ることに。にも関わらず、その映画完結編でも謎を残したまま終る。続きなんてないのに……ちゃんと観たことはないから何とも言えないけど、きっと『ツイン・ピークス』も『Xファイル』もこういう事なんだろうね。しかも『Xファイル』に関しては、まだ続編があるし。こりゃハマるわな?(ってもう完結したんだっけ? それくらい疎いのよ、あっち方面)

で、話題を『ブレア〜』に戻しましょう。この映画も同じパターンなんだけど、これらと違う点……観ているうちに、これはドキュメントなのか、フィクションなのか、だんだん判らなくなる程リアルに感じられるのね。無名の役者、無名の制作スタッフ、低予算で作られた映画。そこからくるチープさは全く感じられない。いや、むしろチープ過ぎてそれが逆にリアルに感じるのかもしれない。現実なんてこんなもんかもな?って。

俺はこの映画、映画館で2回観て、後でDVDも買った程。その間には「ブレア〜完全調書」なる攻略本も読んだし。実際に起きた事件と見せて、ヘザー、ジョシュ、マイクの3人失踪後の捜索から1年後フィルムが見つかり、それに対するやらせ疑惑等……映画に登場しない人間達がメインとなって本は進んでいくんだけど、最後に映画では謎を呼んでいた箇所に対するヒント(俺にはある意味、答えとも受け取れたけど)が山程出てくる。これを読んでから改めて映画を観ると、また違った風に見えてくるんだよね、映画が。最初観た時は、スクリーンで目にする事を受け入れるだけで精一杯で、終った後は「居心地の悪さ」ばかりが残って。すごく後味の悪い、無気味な映画。「これ、本当に作り物なの?」って疑いたくなるくらいに……いやいや、フィクションであってほしいんだけどね。こんなのマジであったら、たまらんって……。

実は最初観た時は、それ程凄い映画だと思わなかったのね。終わり方も中途半端だし(そもそも、ドキュメント映画として残された映像をただ繋いだだけ、という設定なのだけど)粗筋らしい粗筋も語られない。実際に最後に何が起きたのかも判らないし。にも関わらず、終った後に俺は一緒に観た人間と「あそこは、こういう事なんじゃない?」とか「あれって誰がやったのかな?」なんて話し込む。終始話題が尽きない‥‥つまり俺達は術中にハマったわけ。この映画の凄味は観終ってから、ジワジワとやってくる。そして気付いた時には中毒患者となっているわけ。

この映画については「どの場面がよかった」「どこが恐かった」とか、下手に言わない方がいいだろね。完全に雰囲気を楽しむ映画だと思うし、何より観終わった後、自分がどう動くかで個人の感想が変わってくると思うから。

(*75点)

 


▼『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(amazon:Blu-ray / DVD

2004年12月28日 (火)

テキサス・チェーンソー(2003)

あらすじ
1973年の暑い夏。テキサスの田舎道を走っていた5人の男女が、放心状態の娘を轢きそうになる。「あそこに引き返さないで!」と錯乱し懇願する彼女は、股間から取り出した銃で自殺してしまう。5人は怪しい田舎町に足を踏み入れ、そこで血も凍る恐怖を体験するのであった…。

 

ここ数年、70年代の名作ホラーがハリウッドにてリメイクされる機会が増えてますよね。『ゾンビ』もそうだし、来年以降には『悪魔の棲む家』もリメイクされるようだし。当時の映画が現代の技術でどこまで再現、あるいは真新しい映画として蘇るのかが非常に気になるところですが‥‥その大半はオリジナルとはかけ離れたものになってしまったり、あるいは酷い駄作だったりすることが多いのもまた事実。『ドーン・オブ・ザ・デッド』のように、違った魅力を放つ映画もあるにはありますけどね。やはり設定を現代に置き換える時点で、本来の魅力が半減してしまうような気がするんですよね……。

ところが。この『悪魔のいけにえ』をハリウッド・リメイクした『テキサス・チェーンソー』は、設定自体はオリジナル同様1973年のままなんですよね。うん、そこは頑張ったな、と。むしろこの映画を現代に置き換えても、絶対にあの怪しさは演出できないだろうしね。監督や脚本家、頭いいなーって思ったよ、素直に。

でもなー。それ以外の設定がさ。スタートして暫くすると始まる陰鬱な自殺シーン……あそこから全てが狂い始めるんだよね。その前までは、確かに70年代らしさに溢れた雰囲気が残ってたんだけどね。それ以降は……頑張ってはいるものの、やはり現代劇的な雰囲気だよね。残念ながら。

登場人物のキャラクターのイヤらしさはオリジナル以上。いや、キャラが増えた分、ちょっと混乱しそうだけどさ。何だろ……途中で“変な前衛的芸術作品”でも観てるんじゃないかっていう錯覚に襲われる程、妙な映画だよね。殺戮場面も……ハリウッドというよりも、何か別もののような気が。って感じたのは俺だけ?

う〜ん。好き/嫌いで言えば、明らかに好きの部類に入るはずなんだけど……素直に「好き」と言い切れない自分がいるのも、また事実でして。オリジナル版が死ぬ程好きな映画で、何度もレンタルで借りて観返した程なんですよ。DVD買おうと思ったら、『ゾンビ』同様知らない間に廃盤になってて、気づいたらプレミアが付いてて。『ゾンビ』はこの夏にようやくDVD再発されたからよかったものの、『悪魔のいけにえ』は……頑張っていただきたいよなぁ、販売元に。

……ああ、そうか。冒頭&エンディングの、あのドキュメント映画風なのが、アレなのか。ホラーやるにしても、ハリウッドらしい“単純な娯楽映画”として編集されてれば、もっと違った感想もあったんだろうけどね。勿体ないよなぁ……あの手法は既に他の映画(『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や、それこそこの事件の元ネタとなった『エド・ゲイン』映画版等)で散々手垢が付けられてるじゃないの……勿体ないよ。

(*63点)

 


▼『テキサス・チェーンソー』(amazon:DVD

2004年12月25日 (土)

バイオハザード(2002)

あらすじ
巨大企業アンブレラ社が地中深くに作り上げた秘密研究所ハイブ。 ここで開発中のウィルスが何者かの手によって空気中に漏洩した。 メインコンピューターは汚染が地上に拡大するのを防ぐために研究所を封鎖。 これによってすべての所員の生命が失われた。 アンブレラ社は特殊部隊を派遣するが、ハイブに進入した彼らを待っていたのは、 ウィルスがもたらした戦慄すべき光景だった・・・!

 

映画『バイオハザード』をようやく観ました。へっ、遅いって!? だってさー、周りの評判悪いじゃない? 大体が、日本のゲームをハリウッドでそのまま映像化/映画化した作品って大概駄作扱いじゃない? 『スーパーマリオ・ブラザーズ』然り、『ストリート・ファイター』然り、『ファイナル・ファンタジー』然り。後は何があったっけ? 「ぷよぷよ」?(いやないから)

とにかく。そういうこともあってか、敬遠してたんだよね。それにさ‥‥ゾンビもの好きとしてはね‥‥あれを「ゾンビ映画」として認めたくないっていう気持ちもあったし。ゲーム版の方はプレステ版及びセガサターン版で相当遊び込んだし、そっちに対する思い入れってのもあったしね。

ところが。これがね、急に許せるようになってさ。まぁそれもリメイク版『ゾンビ』であるところの『ドーン・オブ・ザ・デッド』を観た事によるんだけど。そう、完全な後追いですよ。なのでバイオの方もまだパート2すら観てません。今更第一作目ですからね!

で、観た感想ですが……単純に、面白い映画だと思いましたよ。いや、ゲームを元にした映画としてはかなり出来が良い方じゃないですか? ゲーム版の「1」と「2」のストーリーや設定を上手いこと取り込んで、ハリウッドらしい作風に仕上がってるし。その辺のメジャー感の強さが影響してか、ホラー映画というよりはアクション映画としての完成度が上回ってるような。

そう……これ、もはや「ゾンビ映画」じゃないですよね? 確かに登場する「敵」の殆どがゾンビなわけですが。行動パターンが基本に忠実なゾンビなので少々面食らいましたが、それ以外の要素……例えばゲームにも登場するリッカーやケベロス(犬)等はスピーディーな動きで、そりゃもう完全にアクション映画してるわけですよ。ホラーの要素は薄いですよね。ゾンビ映画にありがちなスプラッターの要素も弱いし。ま、だからこそこの映画は日本でも大ヒットしたんでしょうけどね。それについては特に言うことないです。アクション映画だと割り切ってしまえば、変な拘りもなくなるし、余計な雑念が入らないお陰で純粋に映画を楽しむことが出来たし。

こうなると、俄然気になるのがパート2ですね。DVDは1月末にリリースされるようなので、レンタルされたら真っ先に観たいと思います。どうやらパート3を示唆する終り方らしいので(パート1のエンディングも、絶対に続編があるなって終り方だしね)、そっちも楽しみにしつつ……。

(*68点)

 


▼『バイオハザード』
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2004年12月23日 (木)

アイズ ワイド シャット(1999)

あらすじ
スタンリー・キューブリックが最後に挑んだテーマ、それは性的な精神世界への旅立ちと緊迫のサスペンスの融合。そしてこの作品はトム・クルーズとニコール・キッドマンという二人のスターのキャリアにおける試金石となった。クルーズの演じる医師は、彼の妻(キッドマン)から性の欲望を告白されたことが引き金となり ― それが恐るべき殺人事件に発展していくとも知らずに ― 自らの結婚生活を脅かすほどエロティックな衝動に埋没していく。疑惑と恐怖から脱皮し、自己発見と調和へと続く道が、キューブリックの振るタクトによって、花開いていくかのようだ。優雅な撮影、卓越した色彩、息をのむ映像。時代を代表するフィルム・メーカーとしての名声をほしいままにしたキューブリックが見せる勇壮華麗な演出は、全ての人の目を大きく見開かせ続けるだろう。

 

スタンリー・キューブリックの遺作となってしまた『アイズ ワイド シャット』。これは劇場でも観ましたし、DVDも買いました。主演のトム・クルーズとニコール・キッドマンが当時は実生活でも夫婦だったという事もあって、公開前は「リアルな性生活が繰り広げられるのでは!?」なんて憶測の飛び交ったこの映画。いやいや、ニコール・キッドマンの裸云々じゃなしに、あの訳判らない世界を理解しようとして、何度も観返したわけですよ。

結論から言いますとこの映画……結局、何が言いたかったのか!?という疑問のまま終るんですよ。何度観ても‥‥セックス、セックスって‥‥前半はただ単に夫婦間の性生活に飽きた男女がスワッピングでもする映画かと思ってたのだけど……途中でSLIPKNOTばりの仮面をつけた大スワッピング・パーティーになったり、そこに殺しが絡んできたり、途端にストーリーがやたらと難しくなってきて……難しい事件に足を突っ込んでしまったトム・クルーズが、その危険が自分の家族にまで及ぼうとしてる事を察した時に、その自らの好奇心や行動を後悔し、それを妻(ニコール・キッドマン)に一晩中泣きながら告白し、それを切っ掛けに夫婦間の溝が埋まり……最後の最後で、ニコールの一言……。

 

  「今、一番大切なのは‥‥セックス」

 

ときたもんだ。あれ、セリフ合ってるかな? でも確かこんな感じよ。要するに、監督であり脚本家であるキューブリック氏は、美男美女であるトム&ニコール夫婦を使い、誰もが憧れるニコールに「ただ必要なのは、セックス」この一言を言わせたかっただけなのか!?

『シャイニング』の時にもちょっと触れたけど、このキューブリックって監督の映画には常に「過剰な死とセックスの匂い」が漂っています。それは初期の名作である『ロリータ』もそうだし、『時計じかけのオレンジ』もそうだし、この前作に当たる『フルメタル・ジャケット』もそうでした。それは「死とセックス(=生)は常に紙一重」なのだ、と俺は解釈してます。例えば前作の『フルメタル・ジャケット』。決して戦争の悲惨さを伝えたかったわけじゃないと思うし。悲惨さを知りたければそれこそ『プラトーン』でも観ればいいわけだし。やっぱりあそこには“日常と非日常の歪みの中から生じる狂気”があったと思うのね? ベトナム戦争ってのがそれこそ、60年代に青春を過ごしたアメリカ人にとってはごく当たり前の“日常のひとつ”だったわけで、そこに戦場という“非日常”が現れて……まぁとにかく、あの映画観てみて下さいよ?

で、今回の『アイズ ワイド シャット』も、夫婦間の溝(妻の浮気疑惑)という“日常”と、仮面をつけた数十人、数百人の男女が繰り広げるスワッピング・パーティー、そしてその事を他人に口外すると殺されるという“非日常”。どこにでもある事と、常識では考えられない事。この対比……でも実はどっちも「よくある事なんだよ?」と言いた気なキューブリック。いや、そうなのかもしれないけどさ……。

まぁここでスワッピングについて語るつもりはないけど、確かにあるのよ、そういう現実も……ただ、世の中には知らなくてもいい事が山程ある、と。この映画を観終った後の後味の悪さ。それって実はこういう事なのかもしれないな?なんて思ったりして。

それにしても……このキューブリックの頭の中の夢物語(と言うべきなのかな)を映像化した映画……正しく晩年の作品って感じですよね。黒沢監督にもあったよね、そういうのが……ま、それが傑作か駄作かと問われれば……ん、ん〜ん……とりあえず言葉を濁しておきます。

(*70点)

 


▼『アイズ ワイド シャット』
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2004年12月21日 (火)

ドーン・オブ・ザ・デッド(2004)

以前ネットラジオでも話したことがありますが、とにかく俺、三度の飯よりゾンビが好きなんですよ。

……なんて書くと、ただのヤバい奴だと思われかねないな。モーヲタでゾンビ好き……退くよな普通。いや、そういうことじゃなくてね。俺、映画のジャンルの中では特にホラー映画が好きなんですよ。何だろ、恐がりのくせにキャーキャー言ったり、「来るよー、来るからー、ほらほら、後ろから、もう来てるって!」とかビデオ観ながら言うのが好きというか。何だろうねぇ、笑っちゃうんだよね、作り物だと判ってるからなのか、単純に恐怖を通り越して、ただ笑いが込み上げて来るのか。けどまぁ……楽しいですよ、うん。

で、そんなホラー映画の中でも更に細分化されてるじゃないですか、ジャンルが。その中でも特にゾンビものが好き、ということなんですよ。だってさ、俺の生涯観た映画ベスト3のうちの1本がオリジナル版の『ゾンビ』ですから。ストーリーが優れものですよね、あれは。勿論、ゾンビなんて言葉を知ったのもあの映画が最初だったし、そりゃ小学生の頃に初めて観た時は……もの凄いカルチャーショックを受けましたよ。

それでね。そんな『ゾンビ』が今年、ハリウッドでリメイクされたのはご存知の通り。ラジオの中でも「今年楽しみな映画の1本」って言ってましたもんね。ええ、実際に映画館に観に行きましたよ‥‥いろんな意味でショック受けましたけど。そしてその後、二度とラジオやネット上でそのリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』についてコメントすることはなかったですけどね(いや、DVD化が決まって、未公開残酷シーンが数分追加されることを聞いた時は、ちょっとだけ心ときめいたけど。いやときめくな俺)。

週末、改めて『ドーン・オブ・ザ・デッド』を観直したんですよ、DVD借りてきて。さすがに買うまではいきませんでしたけど。んで、映画館で観た時は「ふざけるなーっ!」って怒り心頭だったので、いろいろと見逃してる部分も多かったんですよね。つーか今回は非常に冷静に観れたのね。何でだろ。前回は期待が高過ぎたからかな。今回は既に内容知ってたし、諦めモードで挑んだってのも大きいのかしら。

でね。ストーリー自体は現代に置き換えられてるじゃないですか。オリジナル版はあの時代(70年代末)ならではの雰囲気や空気感ってのが魅力のひとつだったじゃないですか。けどリメイク版は完全なるハリウッド・スタイルなわけ。とにかく全てにおいてスケールデカ過ぎ。デカけりゃいいってもんじゃないでしょ?

オープニングの「既に始まってる感」は見事に引き継がれてると思うのね。あの始まり方は好き/嫌い分かれるだろうけど、俺は意外と好きかな。けど最初の数分だけな。あの子供がゾンビになって襲いかかってくるシーン‥‥あそこで興ざめしちゃったけどさ。ダメでしょ、ゾンビが走ったり飛びついたりしたら。お前等は映画版『バイオハザード』かよ。あるいは『バタリアン』かよっ! ねぇ、そこだけは正直譲れないわけよ。ゾンビはあのノロノロした歩行だからこそ魅力的なわけよ。って何ゾンビの魅力を生き生きと語ってるんだ、俺!?

とにかくまぁ……全てがハリウッド・スタイルに変化してて、動きも速けりゃストーリー展開もスピーディーなのね。開始10数分で早くもショッピングモールが出て来るんだから。しかもオリジナルとは比べ物にならない程の主要メンバー。あれだと各人の個性が完全に生かし切れないでしょ? もうちょっと個々に長時間スポットが当てられるように、人数をオリジナル版同様4人くらいに絞った方がよかったんじゃないかなぁ。しかも途中で更に人数増えるしね、リメイク版は。更に死ぬの早いし。

全てにおいてスケールアップ&グレードアップしてしまって、オリジナル版『ゾンビ』を元ネタとした完全オリジナル作を作り上げました、というのが『ドーン・オブ・ザ・デッド』の印象かな。そう考えると、特に悪い映画とも思えないんだよなぁ。『ゾンビ』のリメイクとして観ちゃうから違和感が残るわけで、これを『バイオハザード』系のハリウッド映画だと思えば、ヒットしたのも納得がいくんだよね。観ててそれなりの爽快感もあるし。

でも。そういう目で観ていても、やはりあのエンディングはなぁ……あ、エンディングって、エンドロールの途中のシーンね。あれじゃあ救いがなさ過ぎ。そこまで徹底的にやらなくてもさ。オリジナル版の持ち味である「曖昧に始まって、曖昧に終る」感覚だけは引き継いで欲しかったかな、あの始まり方を真似てる以上は。そこだけは正直残念だな、うん。

娯楽大作としては納得のいく1本ですよ。けどゾンビ映画としては……やっぱり21世紀のゾンビはやたら動きが機敏だったり、やたらと強かったり(『チルドレン・オブ・ザ・デッド』みたいにな)するのが主流なんですかね? そういう意味じゃ俺、オールドウェーブなのか……いいよいいよ。そんな可愛げのないゾンビなんて、ゾンビと呼ぶもんかっ!(「可愛げ」って‥‥)

(*75点)



▼『ドーン・オブ・ザ・デッド』
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2004年12月20日 (月)

シャイニング(1980)

すでにご存知のとおり、この『シャイニング』の監督、スタンリー・キューブリック氏がお亡くなりになりました(注:これを書いたのは1999年6月です)。別に尊敬しているとか、そういう類いの対象ではないのですが、たまたま俺が好きな映画の中に彼が手掛けた作品が幾つかあった、と。『時計じかけのオレンジ』『フルメタル・ジャケット』『2001年宇宙の旅』、そして今回取り上げる『シャイニング』。

それだけではないです。この『シャイニング』の原作者であるスティーヴン・キング。俺の大好きな作家のひとりなのです。学生の頃、特に十代後半から二十代前半の頃に彼の本はよく読みました。『キャリー』や『クリスティーン』『ペット・セマタリー』といった映画化された作品から入り、当時まだ翻訳されていなかった『IT』や『THE STAND』などはイギリスに短期留学した際にペーパーバックを購入して、辞書片手に読んだもんです。その位彼の書く作品に惹かれたのは事実です。その切っ掛けになったのが、実はこの映画『シャイニング』だった、と。

実はこの映画、最初に観たのは小学校か中学の頃だったと記憶してます。いや、その辺は定かじゃないんだけど……確か、テレビ東京(当時「東京12チャンネル」だった気がする)の木曜枠の洋画劇場だったかなぁ。その後、この映画って民放局で放映されてませんよねぇ? 少なくとも地上波の番組ではお目にかかった事、ないです。(あと『ゾンビ』なんかもね。昔のテレ東って斬新だったのね!?)

俺ね、この映画のクライマックス・シーンのジャック・ニコルソンのあの顔‥‥斧で奥さんや子供がいる部屋のドアをぶち破って、その出来た隙間から覗き込むシーンの、あの目‥‥あの目が忘れられなくて‥‥死ぬ程恐かったんですよ、子供の頃。10年近く経ってから観た時(20歳の頃かな?)も、あの恐さは一緒でした‥‥これを書くにあたって久し振りに観たのですが、いや〜やっぱり恐い、恐い。

“恐さ”という意味では、この映画はもの凄く斬新な映画ではなかったでしょうか? この映画が発表された1980年を期に、その後のホラー映画は何か変わっていったような気がします。それまでのホラー映画って、必ず悪役(例えば『悪魔のいけにえ』のような、悪役が明らかな映画)が最初から登場してますよね? 見た目ですぐに判る映画‥‥単純というか。

でね、この『シャイニング』の恐さって、それまでの日常から特殊な環境に閉じ込められて、人間がどう心理的に追い詰められていくか、どう変わっていくか?っていう「今そこにある恐怖」を表現してるように思うんですよ。これって今となっては当たり前のように溢れてますよね? 「心理面に訴えかける恐怖」……『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』のような「直接的な恐さ」ではなく、最近の『羊たちの沈黙』や『セブン』などの「じわじわと、内面から込み上げる恐怖」を表現した、最初の映画だったと思うのです。

ちょっと話は変わりますが、キューブリック映画というと、あの斬新なカメラワークや独特な映像美を思い浮かべる方もいるかもしれません。って、俺もそんなには詳しくはないんですけどね。特にこの『シャイニング』は所々でハッとさせられる映像が飛び込んできます。まず、オープニングの空撮から「オオっ!!!」と唸らせるし。あれはヘリ?飛行機? 水面が風で揺れてないって事はセスナか何かかな?

が、この映画の映像面での一番の見せ場といえば‥‥あの「血の海」のシーンではないでしょうか? これはある意味、圧巻というか‥‥う〜ん、文章で表現しただけではうまく伝わらんだろう。これを読んでこの映画に興味をもったなら、絶対に観てくれ!! 「恐いのはちょっと……」って方。最近のよりはちょっとユルいですから。しかし、考えてみてよ。実生活で、エレベーター待ちしようとして、エレベーター乗り場に近付いていったら‥‥その周辺からドバ〜ッと血の海が溢れて、洪水のようにこっちに迫ってくる……どうするよ!?

もうひとつ、エンディングの吹雪の中での父子の大追跡?シーン。迷路の中で足跡だけを頼りに息子を追い掛ける父、ジャック・ニコルソン。あのカメラアングルもちょっとドキドキ。ああ、ダニー……追い着かれるなよ、って心配しながら観てたなぁ、ガキの頃。しかし、それにしてもあのエンディング……恐い、というよりは……ちょっと笑ったぞ、今観ると。何となく「あ、これがオチ!?」とも言えなくもない……思えばキューブリック映画って、そういうオチで終るパターン、多くない?

まぁ何ともとっ散らかった文章だこと。自分の好きな事だけを語ってたらこうなるわけさ! こんなのでいいなら、いくらでも書けますよ。おお、乗ってきたぞ! 続けてもう1本いくか!?……ハイ、これが俺の悪い癖ですね?→乗せられやすい

最後にひとつ。この映画って公開当時、原作のスティーヴン・キングに酷評されたんですよね? 「原作が台無しだ!」って。確かにあの原作を読んだ後にもう一度この映画を観ると、全く別の印象を受けるんですよね。原作の方がもっと‥‥ゾクゾクする恐さがあるっていうか。多分それは、文章だからでしょう。映像だと「目に入ったもの/認識できたものが全て」って脳にインプットされちゃうけど、文章だと読んだ人それぞれのイマジネーションによって、いくらでも世界観が広がる気がするし。

キューブリックの映画って常に「狂気」と「暴力」をはらんでるんですよね? 『時計じかけのオレンジ』といい『フルメタル・ジャケット』といい。特殊な環境の中から生まれる狂気、という意味では後の『フルメタル・ジャケット』に通じてますよね、『シャイニング』は。人間、誰しもが必ず持ってる「秘めた暴力性」。これを具体化したのがキューブリック映画だったと。だからこそ、俺はそういうものに惹かれるのかもしれません。

余談ですが、この映画を酷評したキングは、後にこの『シャイニング』を再び映像化しています。テレビ用に作ったものだと思いますが。でも、こっちはもう、ただのホラー映画だったような気が‥‥そういえば、『ペット・セマタリー』(映画版では『ペット・セメタリー』と表記されてます。主題歌がRAMONESってのが良かったっスね?)もただのホラー映画になっちゃってたしね。パート2も上映されたけど、そっちは観てません。キングは絡んでないんでしょ? エドワード・ファーロング(ってどこ行っちゃったんでしょうね?)主演だったんだよね。下らなかったって話だけは覚えてます。結局キングって、文才はあっても映画は‥‥ってやつですか? 素直に本だけ書いとけって!

(*90点)



▼『シャイニング』
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