あらすじ
1994年10月、モンゴメリー大学映画学科に通う三人の学生、女性監督のヘザー、録音担当のジョシュ、カメラ担当のマイクは、その土地に今なお残る伝説の魔女「ブレア・ウィッチ」を題材としたドキュメンタリー映画を撮影するために、メリーランド州バーキッツビルのブラック・ヒルズの森に向かう。
だが、森の中で撮影を続ける三人は、不可解な現象にまきこまれ、想像を絶する恐怖を体験し、そのまま消息を絶った。手掛かりが発見されないまま、やがて捜索は打ち切られる。しかし事件から1年後、彼らが撮影したものと思われるフィルムとビデオが、森の中で発見されたのだ。
本作品は、彼らの残したフィルムを再構成し、映画化したものである…。
2000年正月公開の映画で1番だか2番の興行収益をあげたのが、この『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』だったんだそうな。何でこの映画がこんなにヒットしたのかな? 確かにその時期、例年に比べていい映画がなかったのも理由のひとつと言えるけど、それ以上にこの映画の場合は、雑誌やTV、そしてインターネット等のメディア上で話題になったのが大きな理由なんじゃないかな? メディアミックスっていうの?(いや多分それは違うと思う)
そもそも日本人にはみんな、少なからずオタク要素があるんだよね。あと「謎」だとか「不思議」系が大好きじゃない? だから『ツイン・ピークス』や『Xファイル』、最近じゃ『24』みたいな映画/ドラマが大ヒットし、日本でも「エヴァ現象」なる言葉を生み出した『新世紀エヴァンゲリオン』が記録的ヒットするわけ。謎が謎を呼ぶ。謎を残したまま終る。残された我々は想像力を働かせて、その謎に挑む。答えを求めるためにというよりは、その過程を楽しむために。結局、答えを与えられるよりも、みんなでああだこうだと言ってる時が一番盛り上がるもんなのよ。
俺自身がこの中でハマったものといえば‥‥実は『エヴァ』だけだったりするのね。今が旬の『24」には完全に乗り遅れた感じ。別にアニメの方が好きってわけでもないんだけど。たまたま映画1作目公開直前、深夜にまとめて再放送してたのを観たのが切っ掛け。6話か7話から観たので、話を繋ぐためにレンタルビデオ店へ行くも、常にビデオはレンタル中。おいおい、そんなに人気あったのか?と驚く、と。
結局、春エヴァ2回、夏エヴァ2回観て、その後のリバイバル上映も観てるくらい、ハマった。ビデオはテレビ放送を録画したしたものを持ってるので買いはしなかったけど、去年出たDVDボックスは予約してまで買っちゃったし。そりゃ穴が開く程、またまた何度も観返してますよ。
何故この作品がこんなに俺を惹き付けたか? 結局、完結しつつも謎を多く残したまま終る等のストーリー、ここに尽きるんだよね。テレビシリーズも不完全に終り、それがネット上で話題を呼び、映画を作るも1本目には収まりきらず(公開に間に合わず)もう1本作ることに。にも関わらず、その映画完結編でも謎を残したまま終る。続きなんてないのに……ちゃんと観たことはないから何とも言えないけど、きっと『ツイン・ピークス』も『Xファイル』もこういう事なんだろうね。しかも『Xファイル』に関しては、まだ続編があるし。こりゃハマるわな?(ってもう完結したんだっけ? それくらい疎いのよ、あっち方面)
で、話題を『ブレア〜』に戻しましょう。この映画も同じパターンなんだけど、これらと違う点……観ているうちに、これはドキュメントなのか、フィクションなのか、だんだん判らなくなる程リアルに感じられるのね。無名の役者、無名の制作スタッフ、低予算で作られた映画。そこからくるチープさは全く感じられない。いや、むしろチープ過ぎてそれが逆にリアルに感じるのかもしれない。現実なんてこんなもんかもな?って。
俺はこの映画、映画館で2回観て、後でDVDも買った程。その間には「ブレア〜完全調書」なる攻略本も読んだし。実際に起きた事件と見せて、ヘザー、ジョシュ、マイクの3人失踪後の捜索から1年後フィルムが見つかり、それに対するやらせ疑惑等……映画に登場しない人間達がメインとなって本は進んでいくんだけど、最後に映画では謎を呼んでいた箇所に対するヒント(俺にはある意味、答えとも受け取れたけど)が山程出てくる。これを読んでから改めて映画を観ると、また違った風に見えてくるんだよね、映画が。最初観た時は、スクリーンで目にする事を受け入れるだけで精一杯で、終った後は「居心地の悪さ」ばかりが残って。すごく後味の悪い、無気味な映画。「これ、本当に作り物なの?」って疑いたくなるくらいに……いやいや、フィクションであってほしいんだけどね。こんなのマジであったら、たまらんって……。
実は最初観た時は、それ程凄い映画だと思わなかったのね。終わり方も中途半端だし(そもそも、ドキュメント映画として残された映像をただ繋いだだけ、という設定なのだけど)粗筋らしい粗筋も語られない。実際に最後に何が起きたのかも判らないし。にも関わらず、終った後に俺は一緒に観た人間と「あそこは、こういう事なんじゃない?」とか「あれって誰がやったのかな?」なんて話し込む。終始話題が尽きない‥‥つまり俺達は術中にハマったわけ。この映画の凄味は観終ってから、ジワジワとやってくる。そして気付いた時には中毒患者となっているわけ。
この映画については「どの場面がよかった」「どこが恐かった」とか、下手に言わない方がいいだろね。完全に雰囲気を楽しむ映画だと思うし、何より観終わった後、自分がどう動くかで個人の感想が変わってくると思うから。
(*75点)
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