BLESSING A CURSE『WASTE』(2019)
アメリカ・フロリダ州オーランド出身の5人組モダンメタルバンド、BLESSING A CURSEが2019年3月にリリースした2ndアルバム。
ラップメタルや2000年代以降のメタルコア、そしてポップロックから多大な影響を受けたという彼らは、SLIPKNOT以降のゴリゴリしたモダンヘヴィネス的サウンドの中にも90年代のポップパンク、LINKIN PARK以降を思わせるキャッチーなメロディが含まれているなど、妙にクセになる楽曲が多いのが魅力。
前作『SATISFACTION FOR THE VENGEFUL』(2016年)ではアンドリュー・ウェイド(WAGE WAR、A DAY TO REMENBER、HER HAME IN BLOODなど)をプロデューサー&ソングライターに迎えていましたが、今作ではステファン・ホークス(ATTILA、CHELSEA GRIN、ICARUS THE OWLなど)とタッグを組んで制作しています。
テンポ感やアレンジの組み立て方からは確実に2000年代以降の“それ”を感じますし、曲によってはブレイクダウンが用いられていたりするので、HR/HMというよりは昨今のラウドロックと呼ばれるジャンルに括られるバンドなのでしょう。しかし、時折飛び込んでくるメロディの切なさや繊細さからは、先に挙げたSLIPKNOTやLINKIN PARKはもちろんのこと、もっと言えば90年代のグランジバンドからの影響も感じられます。
しかも、こういったメロウなパートが歌い上げる系ではなくて、ちょっと線が細いんですよね。ここがちょっと日本人的にグッとくるものがあるといいますか、ぶっちゃけ日本のバンド的じゃんと思っていますわけです。この変に悪ぶりきれない感じに、個人的には非常に好感が持てるのですよ。
ミドルテンポ中心の作風とザクザクしたギターリフの刻みはもちろんモダンメタルのそれなので、要所要所でグルーヴィーさを醸し出しているんだけど、突如として現れる「Vanish」のような曲にはアッパーさも味付けとして導入されている。スクリーム&グロウル中心のところに繊細な歌メロやハーモニーが飛び込んでくる点含め、この変幻自在なアレンジは個人的にはかなりツボ。いや、普段国内のラウドロックを聴いているリスナーにもかなりツボなんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう?
かつ、曲によってはかなりメロディアスに聴かせるギターソロも用意されているし、実は意外とHR/HMリスナーにも引っかかるポイントが少なくないんじゃないか。そんな予感すらさせる、なかなかの力作です。