AFTER THE BURIAL『EVERGREEN』(2019)
アメリカ・ミネソタ州ミネアポリス出身のデスコアバンド、AFTER THE BURIALが2019年4月にリリースした6thアルバム。
もともとはツインギターの5人組バンドでしたが、創設メンバーのジャスティン・ロウ(G)が2015年に死去してからは4人編成で活動。今作は『DIG DEEP』(2016年)に続く、同編成での2作目にあたります。
Sumerian Recordsを代表するバンドのひとつと認識しておりますが、過去に聴いたことのある作品はその5人編成でのラスト作となる『WOLVES WITHIN』(2013年)のみ。同作はギターがヘヴィなわりにリズム(特にドラム)が軽いな……という印象を持っていたのですが、それもそのはず、ミックスをかのテリー・デイト(PANTERA、SOUNDGARDEN、DEFTONESなど)が担当していたんですね。この音のバランス感、90年代的なのかもな……と新作を聴いて比較してみて、改めてそう思いました。
さて、肝心の新作について。オープニングを飾る「Behold The Crown」の不穏なアルペジオが往年のスラッシュメタルを彷彿とさせますが、いざリズムインしてからの展開がとにかくクール。特にギターのピッキングハーモニクスを多用したフレージングはダイムバッグ・ダレル(PANTERA)へのリスペクトも感じられ、ミドルヘヴィパートから突如疾走パートへと以降してからの展開含め問答無用のカッコよさなのです。
その後も前のめりな「Exit, Exist」や、ツインリード的なギターハーモニーも飛び出す(かつ、非常にテクニカルな細かなプレイも多用)「11/26」のエモーショナルさにやられっぱなし。「In Flux」のオープニングで聴けるバスドラとギターリフの一体感が半端ないプレイや、「Quicksand」でのメロディアスなフレージングなど、とにかく変態的なのにグッとくるギタープレイやバンドアンサンブルが満載なのですよ。中でも「To Challenge Existence」で聴けるフレージングやプレイなんて、MESHUGGAH的でもありますからね。
PANTERAというよりはLAMB OF GOD以降というべきなのかしら、そういったUSモダンヘヴィネスを軸に、ジェントにも通ずる機械的なユニゾンプレイやメタルコア以降のモダンなアレンジ。それらを駆使しつつ、プログレッシヴな展開が激化したのがこの『EVERGREEN』というアルバムなのかなと。というか、そういった作品に『EVERGREEN』というタイトルを付ける(そしてこのアルバムジャケットを用いた)センスが、個人的に好きです。できるだけ大きな音で、無心で楽しみたい1枚。