LONERIDER『ATTITUDE』(2019)
BAD COMPANYのサイモン・カーク(Dr)を中心に、FMのスティーヴ・オーヴァーランド(Vo)、HEARTLANDのスティーヴ・モリス(G)、THUNDERのクリス・チャイルズ(B)らで結成されたLONERIDER。その彼らが2019年4月(日本では同年5月)にリリースしたのが、本作『ATTITUDE』です。
スティーヴ・オーヴァーランドとスティーヴ・モリス、クリス・チャイルズはSHADOWMANというバンドでも活動しており(そちらのドラマーはTHUNDERのハリー・ジェイムズ)、なんとなくドラムが変わっただけじゃん……という気がしないでもないですが。
はい、そこのあなた。ある意味正解。むしろ、SHADOWMANでプレイされている楽曲よりもオールドスクールなブリティッシュ・ハードロックが展開されています。もっと言えば、BAD COMPANYテイストの楽曲(70年代のみならず、ポール・ロジャース脱退後の80年代のスタイルも含む)をSHADOWMANの面々が演奏している、そんなふうにも受け取れるのではないでしょうか。
オープニングの「My Imagination」こそ、オープニングのギタープレイに80年代的なフラッシーさを感じますが、楽曲自体はもっとオーソドックスなハードロック。スティーヴ・オーヴァーランドの味わい深い歌声が存分に発揮されており、そこに絡まるコーラスもソウルフルで良い味を出している。で、2曲目の「Lonerider」……地味(笑)。渋すぎますってば。以降もスロウ〜ミディアムの渋いブルースロックが続きます。
中盤以降、THUNDERにぜひカバーしてほしい「Angel Without Wings」や「One In A Million」、FREEが現代に蘇ったかのような「Rhythm Of Life」といったキャッチーなロックナンバーも配置されていますが、どちらかというとじっくり聴かせるタイプの楽曲がメインなのかな。日本盤ボーナストラックの「Have A Little Faith (Acoustic Version)」までの全13曲、約50分とそこそこボリューミーですが決して退屈することはないと思います。それだけ、曲も歌も演奏もしっかりしているので。
サイモン・カークはなぜこれをポール・ロジャースと一緒にやらなかったんだろうという疑問も残りますが、要するに若いプレイヤーたち(若いといっても、サイモンと比べたらという意味ですが)からインスパイアされるものが多かったってことなんでしょうね。結果、こうして水準以上の作品が生まれたのですから、我々リスナー的にはありがたい話ですが。
ただ、各メンバーがそれぞれにメインバンドを持っているだけに、なんとなく長続きしないような気が。そこだけが勿体ないです。