LOUDLION『DIE TOUGH』(2014)
カナダ出身のLo-Fi系アーティストBleuが中心となり結成した80'sロックのオマージュプロジェクト(?)LOUDLION。そのプロジェクトが今のところ唯一残しているのが、この『DIE TOUGH』というアルバムです。
リリースは2014年6月となっていますが、一部では2010年に発売されていたという情報もあります。少なくとも僕がCDを入手したのは2014年だったので、広く流通し始めたのが2014年ということだったのかもしれません。
さて、80'sロックのオマージュなんて最初に書きましたが、このアルバムで展開されているのはクラシックロック……つまり、80年代のハードロック/アリーナロックそのもの。というよりも、もっとピンポイントで……DEF LEPPARDもモチーフにオリジナル曲を作っちゃいました、しかもマット・ラングのプロデュース/サウンドメイキングをお手本にして……という代物なのです。
聴けばすぐにわかる、ドラムのマシーンっぽさ。今のLEPSというよりも『HYSTERIA』(1987年)のサウンドをシミュレートしたんでしょう。ギターサウンドや深くかけられたリバーブ、ゴージャズなコーラス、そして何よりもBleuによるジョー・エリオット真っ青なボーカル……似てる(笑)。
可能な限りシミュレートしてはいるものの、やはりそこは予算の違いなのか、本作は全体的にチープさが否めません。そこがハードロック畑の人の手によるものか、あるいはLo-Fi系/パワーポップ系の人の手によるものかの違いなんですかね。
にしても、楽曲が本当にいろいろ研究されていて興味深い。ベースになっているのは『HYSTERIA』が60%、『PYROMANIA』(1983年)が35%、『HIGH'N'DRY』(1981年)が5%といったところでしょうか。ギターのプレイに関しては確実にフィル・コリンなんですよね。だから『HYSTERIA』や『PYROMANIA』がベースなわけですが。
これ、何も知らずに「DEF LEPPARDが80年代に残した未発表デモ音源」って渡されたら、信じちゃうんじゃないでしょうか。ってくらい声も音も曲もツボを押さえているし、マット・ラングによる完成品の一歩手前的な質感もそれっぽいし。
あと、個人的に興味深いのが「The Hills Have Eyes」「Dawn Of The Dead」といった曲タイトル。前者は『サランドラ』、後者は『ゾンビ』とホラー映画のタイトルから用いられているんですね。ちなみに「The Hills Have Eyes」は、その『サランドラ』のリメイク映画『ヒルズ・ハブ・アイズ』の第2弾『ヒルズ・ハブ・アイズ2』のサウンドトラックに提供した1曲。なんだ、まんまじゃないか(笑)。
Amazonのレビューを見たら「DEF LEPPARDもどきにもなっていない」という声がありましたが、これをパロディやオマージュ作品として楽しめるくらいの広い心は常に持ち合わせていたいなと思う、今日この頃です。いやあ、普通に楽しい1枚ですよ。
▼LOUDLION『DIE TOUGH』
(amazon:海外盤CD / MP3)