THE MAN『ULTIMATE FORMATION』(2019)
ANTHEMの柴田直人(B)を中心に結成されたHR/HMトリビュートバンド、THE MANが2019年7月に発表したライブアルバム。
THE MANという名前はANTHEMのアナグラムで、参加メンバーも現ANTHEMの森川之雄(Vo)、清水明男(G)、田丸勇(Dr)という「ANTHEMの楽曲を演奏しないANTHEM」であるわけですが、このほかにさまざまなゲストが参加することによって、クラシックロックの数々をANTHEMでは出せない色で表現しています。
このライブ音源は今年2月、新宿LOFTで収録されたもので、曲によってゲストミュージシャンとして小野正利(Vo/GALNERYUS)、YUHKI(Key/GALNERYUS)、島紀史(G/Concerto Moon)が参加しています。
演奏されている楽曲もJUDAS PRIEST、ゲイリー・ムーア、DIO、RAINBOW、THIN LIZZY、MICHAEL SCHENKER GROUP、UFO、DEEP PURPLE、MOTÖRHEAD など、まさにクラシックロックの名にふさわしいアーティストのものばかり。誰もが一度は聴いたことがある名曲を、カバーするアーティストごとに編成を変えて演奏しているわけです。
例えば冒頭の3曲、JUDAS PRIESTの楽曲ではANTHEMの4人に島が加わったツインギター編成でプレイ。これは納得ですね。かと思えば、DIOやRAINBOWの楽曲では柴田&田丸のANTHEMリズム隊に小野、島、YUHKIという変則的な編成でライブに臨んでいます。小野さんの歌うDIOやRAINBOWナンバー、納得です。
個人的にすごくグッときたのが、URIAH HEEPの「July Morning」。あれ、清水さんのギターってこんなに官能的だったっけ?とクレジットを確認したほどです。YUHKIさんのオルガンもめっちゃいい味だしているし、何よりも森川さんのボーカルが……男泣きしそうなほどの哀愁味が漂っていて、最高以外のなにものでもない。
かと思えば、MOTÖRHEAD「Iron Fist」ではレミー顔負けのディストーションボイスで聴く者を完全にノックアウト。ホント、すごいシンガーですね。
そして、小野さんのロニー・ジェイムズ・ディオ……過去にも彼のソロアルバムなどで披露されてきましたが、やっぱり良いですね。僕はこの人がう歌うディオとクラウス・マイネ(SCORPIONS)が大好きです。
こういうカバーってやっぱりそれなりに実力が発揮される場でもあると思うので、こういう国内一流どころのHR/HMアーティストたちが一堂に会して楽しむ姿がパッケージされるのは、非常に良い企画だと思いました。しかも、それが映像ではなく音源のみというのが、また最高じゃないですか。
▼THE MAN『ULTIMATE FORMATION』
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