SWERVEDRIVER『FUTURE RUINS』(2019)
9月上旬に来日公演を控えたSWERVEDRIVERが、2019年1月にリリースした6thアルバム。
再結成後、初の新作となった前作『I WASN'T BORN TO LOSE YOU』(2015年)から4年ぶりに発表された本作では、彼らのパブリックイメージどおりの「ノイジーでドリーミーなシューゲイズサウンド」が展開されており、多くのリスナーを満足させてくれるはずです。
正直な話、90年代の諸作品はリアルタイムで聴いていたものの、再結成後のアルバムは聴いたか聴いていないか記憶にない……ぐらい、個人的に触手が伸びなかった印象でした。今聴くと決して悪くないし、どこからどう聴いても「ああ、SWERVEDRIVERだ」という内容なのですが、当時の自分にはそこまで必要のない音だったのかもしれません(生活面でも環境が一変し、慌ただしかったのも大きいとは思いますが)。
ところが、本作を初めて聴いたとき……オープニングの「Mary Winter」のキラキラ感を散りばめたシューゲイズ/ドリームポップナンバーや、独特の浮遊感漂うタイトルトラック「Future Ruins」、穏やかなと豪快さが共存する「Theeascending」、気怠さとキラキラした眩しさが交互に訪れる「Everybody's Going Somewhere & No-One's Going Anywhere」など……どれを聴いても惹きつけられる自分がいることに気づきました。
ああ。自分、SWERVEDRIVERのことを思っていた以上に好きなんじゃないか、とそこで初めて気づくわけです。
もともとシューゲイザーは好きなジャンルだし、WEB上の解説や店頭のポップなどにその文字が含まれているだけで触手が伸びるような人間ですもの。嫌いになれるわけがない。
真新しさは皆無かもしれません。しかし、だからこそのディープさや説得力が感じられるのもまた事実。RIDEもそうですけど、解散を経て10数年ぶりに戻ってきたこの手のバンドはルーツを大切にしてくれる(もちろん、すべてがそうとは言いませんが)。RIDEは最新作『THIS IF NOT A SAFE PLACE』で今と向き合いながら生き長らえることを選び、SWERVEDRIVERは自分の出生の意味を大切にしながら成長していくことを選んだ。同じ年にリリースされた2枚を聴くと、同じジャンルをベースにしながらも途中から違う方向へと枝分かれし、気づいたときにはまたそれらの枝が交わり始める……そんなイメージを受けるのです。
まあとにかく。今もこうやって彼らの新作を楽しめる幸せ、そして再び日本の地を訪れてくれる幸せを嚙みしめようではありませんか。
▼SWERVEDRIVER『FUTURE RUINS』
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