KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD『INFEST THE RATS' NEST』(2019)
オーストラリア出身のサイケデリックロックバンド、KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARDが2019年8月に発表した15thアルバム。4月に発売された『FISHING FOR FISHIES』に続く、今年2枚目のアルバムとなります。
このバンド、名前はなんとなく知っていたという程度で、今年のフジロックで初来日するということで当時の最新作である『FISHING FOR FISHIES』を軽く聴いてからライブに臨んだのですが……。
あれ、イメージと全然違った(笑)。サイケデリックはサイケデリックだったんだけど、どちらかというとガレージロック、いや、ハードロックやストーナーロックの色が強い出音と楽曲で、そのカッコよさに呆然としたこと、今でも忘れられません。間違いなく、今年のフジロックにおけるベストアクトのひとつだったと断言できます。
そもそも、メンバーがMETALLICAの『KILL 'EM ALL』ジャケTシャツを着ている時点で信用できたんだけど(笑)。
彼らの歴史的に本作は突然変異的な1枚のようで、これまで薄っすらと表出していたHR/HMからの影響が大々的に打ち出されています。彼らのサウンドを聴けば間違いなくBLACK SABBATHからの影響は理解できるのですが、今作ではそこにMOTÖRHEADであったり、それこそ『KILL 'EM ALL』時代のMETALLICAやNWOBHM期のブリティッシュハードロックバンドあたりをバックボーンに持つハードなサウンドが加わり、我々のようなメタルリスナーにも優しい内容になっております。
確かにね、ライブを観たときにMOTÖRHEADはよぎったんですよ。ああ、好きなんだなって。そこにきてMETALLICAのTシャツですから。うん、仲間仲間って思ったよね(笑)。
全9曲で34分程度というトータルランニングも潔いし、大半の楽曲が3分台というのもわかりやすい。短いものだと2分半、長いものでも7分近く(しかも1曲のみ)ありますが、特にその長短は気になりません。勢いですべてを帳消しにしてくれますから。
速い曲もあれば、ヘヴィなスローナンバーもある。ギターもハードロック的速弾きをしているけど、ボーカルはあくまでガレージロック的なのでハイトーンなし。録音もガレージロック的な生々しさが前面に打ち出されており、何度でも繰り返せるほどに気持ちよく楽しめる。正直、最高以外の言葉が見つかりません。もっと“こっち側”のリスナーに見つかってほしい傑作です。
▼KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD『INFEST THE RATS' NEST』
(amazon:海外盤CD / MP3)
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