ANGEL WITCH『AS ABOVE, SO BELOW』(2012)
ANGEL WITCHが2012年3月に発表した通算4作目のオリジナルアルバム。
ANGEL WITCHは70年代末にケヴィン・ヘイボーン(Vo, G)を中心に結成された、NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal)シーンにおける代表的存在のひとつ。1980年にアルバム『ANGEL WITCH』をリリース後、80年代半ばまでに計3枚のオリジナルアルバムを発表しています。が、その後は活動が停滞。デモ音源を含むコンピ盤やライブアルバムのリリースこそあったものの、オリジナル作品の発表は20年以上途絶えていました。
今回紹介する『AS ABOVE, SO BELOW』はオリジナルアルバムとしては、1986年の『FRONTAL ASSAULT』以来26年ぶりの新作。一部メディアでは『RESURRECTION』(2000年)以来12年ぶりと報じられていましたが、同作は未発表のデモ音源を寄せ集めたものなので、純粋な新作としては26年ぶりが正しいのでしょう。
本作リリース時のメンバーはケヴィン、ウィル・パーマー(B)、アンディ・プレスティッジ(Dr)にビル・スティアー(G)という4人。ビルはご存知、CARCASSやFIREBIRD、GENTLEMANS PISTOLSでおなじみの方。ただ、のちの明らかになるのですが、ビルはレコーディングには不参加でライブのみの参加だということです(ただ、明らかにビルらしいギターフレーズも確認できるそうなので、実際のところどこまでが本当かは不明)。
楽曲そのものは、これぞANGEL WITCH!と言えるダークなHR/HMが中心で、オープニングの「Dead Sea Scrolls」こそ“枯れた”ハードロックで若干の不安を覚えますが、2曲目「Into The Dark」以降のアップダウンを繰り返す展開にホッと胸をなでおろすオールドファンは少なくないはず。とにかく「あのANGEL WITCH」そのものですよ、これは。
現代的なプロダクションで制作されたことで、デビューアルバム『ANGEL WITCH』にあったチープさが払拭され、間違いなく2000年代の音/バンドとしてここに存在する。僕自身、2作目も3作目も聴いておらず、完全に『ANGEL WITCH』との比較になってしまうのですが、そこから32年という長い時間を一気に飛び越してここに存在するこの音、間違いなく『ANGEL WITCH』からの“続き”なんですよ。そう確信できるほど、王道中の王道。もはや職人技と言いたくなるくらいの変わらなさと(制作面での技術的)進化を楽しめる1枚。聴かない理由はありません。
ちょうど同作を携え行われた来日公演(2012年6月)にも足を運び、さらにはANGEL WITCHの一員として来日したビル・スティアーへのインタビューまで実現してしまった(掟ポルシェさんがインタビュアーを務め、僕が原稿をまとめるという形で)。このアルバムを聴くと、7年前のあの頃のことを鮮明に思い出すことができる……そんな個人的な思い出が詰まった1枚です。
▼ANGEL WITCH『AS ABOVE, SO BELOW』
(amazon:日本盤CD / 海外盤CD / MP3)