CANDLEMASS『SWEET EVIL SUN』(2022)
2022年11月16日にリリースされたCANDLEMASSの13thアルバム。
オリジナル作としては前作『THE DOOR TO DOOM』(2019年)から3年9ヶ月ぶり、初代ボーカリストのヨハン・ラングクイスト(Vo)が復帰して2枚目のスタジオアルバム。『THE DOOR TO DOOM』を携えたワールドツアーでは、2016年の『LOUD PARK 16』以来となる初の単独来日公演も東京&大阪で実現し、その圧巻のステージが絶賛されました。
コロナ禍を挟んで届けられた本作は、成功を収めた『THE DOOR TO DOOM』の延長線上にある作風。言ってしまえば、変わりようのなダークでドゥーミーなヘヴィメタル満載の1枚なわけです。どこかロニー・ジェイムズ・ディオをイメージさせるヨハンの歌声は、決して声域が広いわけではありませんが、そのおどろおどろしさと仰々しさを併せ持つ歌唱スタイルはBLACK SABBATH直系のエピカルなドゥームメタルとの相性が抜群なのです。
オジー・オズボーン期のサバスとディオ期のサバス、それぞれの良い面を抜き出して、北欧メタルバンドらしい(良い意味での)アンダーグラウンド感と叙情的な側面を随所に散りばめた楽曲たちは、ヘヴィメタルというジャンルに多少なりとも心を奪われたことがあるリスナーなら絶対にハマるはず。特に「Angel Battle」や「Black Butterfly」のような起伏に富んだアレンジを持つ楽曲は、メタルリスナーなら嫌いになれるわけがないですからね。
スピードよりも重さを追求したミドルチューンの数々は、どれも似たタイプではあるんだけど、ボーカルやギターの多彩さでしっかり差別化ができているし、5〜6分前後と決して短くはない尺の中でもさまざまな変化が付けられている。本作最長(約7分40秒)の「Devil Voodoo」で見せる展開の数々も、このバンドらしいドラマチックさが伝わり好印象。なもんだから、全10曲/約54分を退屈することなく最後まで楽しむことができます。
40年近くにわたり、ひとつのスタイルにこだわり続けたCANDLEMASSの姿勢は、もはや伝統芸能そのもの。“進化”よりも“深化”にこだわり続けた結果、到達することができた本作は至高の1枚と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。
▼CANDLEMASS『SWEET EVIL SUN』
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