ROYAL REPUBLIC『CLUB MAJESTY』(2019)
スウェーデンのロックバンド、ROYAL REPUBLICが2019年5月にリリースした4thアルバム。同年9月末には日本デビュー盤として、国内リリースも実現しています。
彼らは2004年にスウェーデンのマルメで結成された4人組バンドで、日本リリースに際して制作されたプレスリリースには「60年代のソウルフルなサウンドと、70'Sのクラシック・ロック、更にはパンク・ロックにも通じるビート、グラム・ロックに通じる華やかさ、ロックに必要な要素を全て備え」ていると記されています。
無理やり括れば、北欧ガレージロック/ガレージパンクシーンから誕生したバンドのひとつと捉えることができるでしょう。メンバー全員が赤いジャケット着用で刈り込まれていたり七三分けで整えられた髪型、口ひげを蓄えたルックスはどこかTHE HIVESを思わせるものがありますが、サウンド的にはあそこまで疾走感に満ち溢れていたり、ガリガリと尖った音を聴かせるわけでもない。むしろゼロ年代半ばに流行したFRANZ FERDINANDあたりのポストパンク/ディスコパンクにも似た、グルーヴィーなリズムとキャッチーな歌メロから成る親しみやすさが備わっているように思います。
とにかくこのアルバム、終始ご機嫌なダンスロックナンバーで構築されており、70年代末のファンク/ディスコブームを思わせる無駄に軽快で軽薄なサウンドがクセになります。そこにグラムロックからの影響が散りばめられていたり、「Like A Lover」みたいなミディアムナンバーではそれこそ70'Sクラシックロック(主にハードロック側)のテイストが感じられたりと、まったく2019年という時代を無視した(笑)悪ノリ感に満ち溢れている。しかも、どの曲も2〜3分程度と非常にコンパクトなので、全11曲で34分というトータルランニングも聴きやすさに拍車をかけている。うん、この手のバンドはこれくらいがちょうどいいよねと、改めて実感させられます。
「Blunt Force Trauma」みたいに時代錯誤な楽曲は本気なのか、それともオフザケなのか。「Can't Fight The Disco」や「Flower Power Madness」というタイトル&楽曲の脱力感は何を意味するのか……考えるだけバカバカしくなるので、このバンドの場合は焦点の合わない目で頭を空っぽにして楽しむくらいがベストなんでしょうね(笑)。
トリックスター感がハンパないですが、これはこれでよくできた1枚。先に挙げたTHE HIVES(メジャー移籍後)やFRANZ FERDINAND、あるいは往年のディスコパンク勢がお気に入りだった世代にこそ触れてほしい異色作かな。もちろん、あの時代を通過していない世代にも新鮮な気持ちで接していただけたらと。僕は好きですよ、こういう雑なやつ。むしろ日本的な気がするし。
▼ROYAL REPUBLIC『CLUB MAJESTY』
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