SHARK ISLAND『BLOODLINE』(2019)
SHARK ISLANDが2019年11月11日に、フィジカル(CD)1,111枚限定でオフィシャルサイトでリリースしたニューアルバム(通算3作目かな?)。日本盤化されていませんが、デジタルリリースやストリーミングサービスにて聴くことができます。
1989年にEpic Recordsからアルバム『LAW OF THE ORDER』(通算2作目)でメジャーデビューを果たし、フロントマンのリチャード・ブラック(Vo)がマイケル・シェンカーやトレイシー・ガンズ(L.A. GUNS)、ボビー・ブロッツァー(RATT)ら同じ事務所に所属するメンバーによるスーパーバンド・CONTRABANDに参加(1991年)して話題となったSHARK ISLAND。その後、90年代前半に空中分解していますが、2006年には過去のデモ音源を再録した企画アルバム『GATHERING OF THE FAITHFUL』を発表するなど、不定期ながらも活動は続いていたようです。
今回発表された『BLOODLINE』は、名盤『LAW OF THE ORDER』以来となる純然たるオリジナルアルバム。奇しくも前作から30年ぶりという節目にリリースされました。
GUNS N' ROSESのブレイク以降、数々の“第二のガンズ”がさまざまなレーベルからデビューしましたが、このSHARK ISLANDもある意味ではその流れでデビューしたところがあります。とはいえ、そのサウンドやバンドの方向性はガンズのそれとは異なり、もうちょっと硬質かつダーク&ゴシックな色合いが感じられるものでした。それは、フロントマンであるリチャードのクセの強さ、圧倒的な個性の強さによるものが大きかったと思います(だからこそ、CONTRABANDのようなスーパーバンドのフロントマンにも選出されたわけですしね)。
加齢も影響してか、リチャードの歌声は若干トーンが落ち着いた印象があるものの、中音域を中心としたメロディラインは非常に聴き応えのあるものばかり。オープニングを飾る「Make A Move」こそ80年代の香り漂うアップチューンですが、これって新たにダウンチューニングこそ施されているものの、『LAW OF THE ORDER』日本盤にライブテイクがボーナストラックとして収録されていた楽曲ですよね。まさかこのタイミングに正式レコーディングされるとは、ビックリです(この曲のことを覚えていた自分にもビックリだけど)。
3曲目「Policy Of Truth」……これ、すごくいい曲じゃん。って、なんとなく聴き覚えがあるんだけど、これも再録……かと思ったら、なんてことはない、DEPECHE MODEのカバーでした(笑)。そりゃいい曲なわけだ(過去にはTRAPTもカバーしてましたね)。もともとこの楽曲の路線自体がSHARK ISLAND、いやリチャード・ブラックという表現者に合っていたのもあって、カバーの仕上がりに何の違和感もなし。これは良カバーですわ。
そのほかの楽曲も80年代末に漂っていた排他的な香りを臭わせる、どこか懐かしさを感じさせるものが多い。「Law Of The Order」なんて楽曲も含まれているけど、これも30年前のアウトテイクだったりしてね。
ただ、すべてがすべて『LAW OF THE ORDER』の延長線上にあるとは言い難く、「これこそが今のSHARK ISLAND」という主張が強く伝わってくる楽曲も少なくない。ですが、通して聴くと「あれもこれも、結局はすべてがSHARK ISLAND」と妙に納得させられる魅力が備わっており、新鮮な気持ちで接することができました。だって、久しぶりに『LAW OF THE ORDER』を聴きたくなったもん。
というわけで、こういう再結成は大歓迎。日本で注目される機会はなかなか少ないでしょうけど、ぜひとも地道に頑張っていただきたいものです。
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