BONES UK『BONES UK』(2019)
2019年7月中旬に発表された、BONES UKの1stアルバム。日本盤未発売。
BONES UKはその名のとおり、イギリスはロンドン出身の女性2人(ボーカルとギタリスト)からなるロック/インダストリアル・ロックバンド。本作はモダンメタルやメタルコアなどを中心にリリースするUSレーベルSumerian Recordsから発表されています。
実は彼ら、2016年10月には『Red Bull Live on the Road』のゲストとして早くも初来日を果たしており、僕もそのステージを目にしております(当時のレポートはこちら)。ライブではサポートメンバーとして男性ドラマーを迎えていましたが、すでに現在のスタイルは確立されていたと記憶しています。
このときはMIYAVIのアルバム『Fire Bird』にゲスト参加したことをきっかけに来日が実現したようですが、彼らは同時期にジェフ・ベックのアルバム『LOUD HAILER』(2016年)にもソングライター/プレイヤーとして参加したほか、同作のツアーにも帯同したことで名を上げたそうです。
日本にも同名バンドが現存したり(こちらはThe BONEZ表記ですが)、過去にはアメリカにも同名バンドも存在したことから、X JAPANやTHE LONDON QUIREBOYS、THE LONDON SUEDEのように、拠点をアメリカに移したことからBONES UK名義で活動することになったようですね(2016年の時点ではシンプルにBONESでしたし。ちなみに、先の来日イベントでは日本のThe BONEZとも競演しています)。
ライブでは生ドラムと同期させたサウンドが印象的でしたが、このアルバムで聴ける楽曲/サウンドは打ち込みのデジタルサウンドに切れ味鋭いギターリフを乗せたインダストリアル調のアレンジが中心。決して個性的とは言い難いものの、曲に合った(どこかセクシーな)ボーカル、時にアグレッシヴに、時にブルージーに泣くギターソロ/フレーズは確かにこのバンドならではのものと言えるかもしれません。
初期のNINE INCH NAILSを彷彿とさせるそのスタイルは、この時代においては斬新とは言えませんが、楽曲のセンスに光るものが感じられるのも確か。そんな楽曲の中には、昨今のモダン・ポップスに通ずるカラーも見受けられ、彼らが単に90年代のオルタナロックを通過したバンドでは片付けられない個性を持っていると言えるのではないでしょうか。1回通して聴いたときは「ふ〜ん、こんなもんか」で終わってしまいそうになりましたが、二度三度繰り返し聴き返すと妙に癖になるものがあるんですよね……不思議な存在です。
なお、本作にはデヴィッド・ボウイのカバー「I'm Afraid Of Americans」も収録。原曲に比較的近いアレンジですが、この曲でボウイがトレント・レズナーと共演していたこと、活動拠点をロンドンからアメリカに移した彼らが今歌うことなどを考えると、いろいろ味わい深いものがあります。
それにしても……彼らがなぜジェフ・ベックに気に入られたのか、このアルバムを聴くとなんとなく理解できる気がします。あのジイさん、当時すでに70歳超えてたのに、そういう千里眼だけはものすごいものがあるんだよねえ……。
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