Roselia『Wahl』(2020)
2020年7月15日にリリースされたRoseliaの2ndアルバム。
2018年5月発売の1stアルバム『Anfang』から2年2ヶ月ぶり、中島由貴さん(B/今井リサ役)、志崎樺音さん(Key/白金燐子役)が加入してから初のフルアルバム。6thシングル「R」(2018年7月)から10thシングル「約束」(2020年1月発売)までのシングル表題曲5曲とカップリング曲「"UNIONS" Road」、アプリゲームで先行披露されていた楽曲を含むCD初収録の3曲に加え、『Anfang』にも含まれていた「Determination Symphony」「Re:birth day」「Neo-Aspect」も再収録されています。
実はこの3曲、一聴すると同じテイクのように感じられるかもしれませんが、ボーカルパートを現メンバーで再録したもの。現在のライブに近い形で再収録されているわけです。ライブでもお馴染みの楽曲も含まれているので、現編成での最初の集大成という見方もできますが、できることなら未聴の新曲がもう1つ2つ欲しかったかな(あくまで個人の感想です)。
本作の強みはなんといっても、様式美スピードメタル「FIRE BIRD」や流麗なメロディのミディアムバラード「Safe and Sound」のシングル2作が含まれていること。クセが強くて圧倒的な前者と、しなやかさと繊細さを見事に表現した後者が並んで収録されていることもそうですが、この対比が非常に気持ちよく、バンドとしての可能性をさらに一段高いところへと導いてくれます。
そこから、プログレメタル要素を含む「Avan-garde HISTORY」へと続く構成も素晴らしい。とにかくこの高い演奏技術を要する楽曲が増えたことは、バンドの力量を伸ばすという点においても非常に大きな意味があるのではないでしょうか。
終盤の「約束」から「"UNIONS" Road」への流れ、そして「Song I am.」でラストを飾る。「R」で始まり「Song I am.」という構成含め、完璧なんじゃないかなと。前作での「熱色スターマイン」〜「軌跡」という綺麗な流れも素晴らしかったですが、唯一無為の「誰にも負けない自我の強さ」を提示する今回のオープニング&エンディングも今のRoseliaらしくて最高だと思いました。
本作をガールズメタルの範疇に含めるのかどうかは聴き手の判断に委ねますが、僕は「J-ROCKのスタイルに沿ったモダンなガールズメタル」アルバムと捉えています。なお、本作はメンバー5人が実際に演奏するライブ映像(しかも2019年8月の富士急公演!)を収めたBlu-rayが2枚も付属しているので、ベスト盤感覚としても楽しめるんじゃないかな。少々値は張りますが「これさえあれば、現在のRoseliaを網羅」と言える内容じゃないかと思います。
▼Roselia『Wahl』
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