FROST*『DAY AND AGE』(2021)
2021年5月14日にリリースされたFROST*の4thアルバム。日本盤は同年5月26日発売予定。
前作『FALLING SATELLITES』(2016年)から丸5年ぶりの新作アルバム。その間には5曲入りEP『OTHERS』(2020年)の発表もあり、またストリーミングサービス中心に過去作のリマスターバージョンやレアトラック集『THIS AND THAT』(2020年)の配信もあったので、意外と時間が経っていないように感じていたのですが、そうか、そんなに空いていたんですね。
バンドに約10年在籍した前任ドラマーのクレイグ・ブランデルが、スティーヴ・ハケットのバンドに加入するため2019年に脱退。これを受けて、今作ではパーマネントのドラマーを擁することなく、カズ・ロドリゲス 、ダービー・トッド(OUT OF THIS WORLD、MARCELLOなど)、パット・マステロット(KING CRIMSON、ex. MR. MISTERなど)の3人をゲストプレイヤーとして迎えてレコーディングしています。ロンドンを中心に活動するセッションドラマーのカズ、プログメタル寄りHR/HMプレイヤーのダービー、そして過去20数年のプログシーンで重要な役割を果たしたパットという3人の参加は、リズムという点において本作に多彩さを与えているのではないでしょうか。
作風的には各プレイヤーの技量を活かしたテクニカルなプログメタル的志向よりも、全体でプログロックのムードを作り上げていく楽曲志向が強まった印象を受けます。オープニングを飾る約12分もの大作「Day And Age」こそ従来のプログロック的なイメージを引き継ぐ作風ですが、「Waiting For The Lie」や「The Boy Who Stood Still」「Island Life」といった楽曲群およびこの並びは、80年代前半のJAPANやTHE POLICEなどにも通ずるものが感じられ、個人的には新しさよりも懐かしさを強く感じました。もちろん、それは良い意味での例えで、終始安心して楽しめるということを示しています。
テイストは異なるものの、LEPROUSの近作……特に最新作『PITFALLS』(2019年)にも通ずるポップさ、同じ方向性を見出したのは僕だけでしょうか。同じInsideOut Music所属ということも多少は影響しているのでしょうか、僕自身『PITFALLS』という作品が大好物だっただけに、この『DAY AND AGE』という力作も大変好みの1枚であります。
全8曲中半数が6分超え、かつ2曲が10分前後の大作とあって、ビギナーにはとっつきにくい1枚かもしれませんが、最初の難関である「Day And Age」を一度乗り越えてしまえば、あとはたまらなく魅力的な濃厚世界が待っているのみ。なお、海外盤CDおよびデジタル版(ストリーミング含む)はアルバム本編のインストバージョンと「Day And Age」の5分エディットバージョンを収録したボーナスディスク付き。実はこのインスト版のほうがよりプログロック的に感じられたのが、個人的には大きな収穫でした。やっぱり歌メロが強いアルバムだなと。
▼FROST*『DAY AND AGE』
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