OZZY OSBOURNE『UNDER COVER』(2005)
2005年11月1日にリリースされた、オジー・オズボーン初のカバーアルバム。日本盤も海外から2週間遅れで発売されています。
本作はもともと2005年3月に発表されたCD4枚組ボックスセット『PRINCE OF DARKNESS』のDISC 4に収録されていた新録9曲を含む10曲入りカバー集『UNDER COVER』を拡張させたリパッケージ盤で、オリジナル版に「ROCKY MOUNTAIN WAY」(オリジナル:ジョー・ウォルシュ)、「Sunshine Of Your Love」(オリジナル:CREAM)、「Woman」(オリジナル:ジョン・レノン)、「Go Now」(オリジナル:ベッシー・バンクス。同曲は THE MOODY BLUESのカバーでおなじみ)を加えた全14曲入り。楽曲追加により、曲順にも手が加えられております。
内訳的にはビートルズやストーンズ、THE ANIMALS、BUFFALO SPRINGFIELDといったルーツ的存在から、MOUNTAINやMOTT THE HOOPLE、KING CRIMSONなどBLACK SABBATHと同時代を生きたバンドたちの代表曲もピックアップ。そこに唯一の既発曲「Changes」(BLACK SABBATHの楽曲を娘のケリー・オズボーンとデュエットしたもの)が加えられた、選曲的にはまったく目新しさが感じられない、だけどオジーらしさがにじみ出た、非常に肩の力が抜けた企画盤となっております。
興味深いのが、本作のレコーディングメンバー。ハウスバンドとして当時のツアーメンバーだったマイク・ボーディン(Dr / 当時ex. FAITH NO MORE)のほか、ジェリー・カントレル(G / ALICE IN CHAINS)、クリス・ワイズ(B / HOLLYWOOD VAMPIRES、ex. THE CULTなど)といったオルタナ方面のメンツなんです。ゲストプレイヤーとしてイアン・ハンター(Vo)、レズリー・ウエスト(G)といった名前も見つけられますが、この人たちは自身の楽曲にゲスト参加したのみ。このほか、ロバート・ランドルフがペダルスチールで「Sympathy For The Devil」&ギターソロで「21st Century Schizoid Man」に参加したくらい。アディショナル・ミュージシャンとしてグレック・ビソネットやジョー・ボナマッサ、マイケル・ランドゥらの名前もクレジットされています。
なんとなく、クセの強いメタルのスタープレイヤー(例:ザック・ワイルド)を排除して、個性的なんだけどそつない演奏をしてくれるプレイヤーを選んだ印象も無きにしも非ず。考えすぎですかね? なので、演奏面/アレンジ面では特筆すべきポイントは少ないかな。原曲に忠実なんだけど、たまに「え〜、そこを省く?」みたいなアレンジもあってギョッとしますが、それが2005年当時の感覚ってことなのですかね。わかりませんが。
「21st Century Schizoid Man」みたいな曲はオジーにぴったりなんだろうなと思っていたけどアレンジのせいもあってか普通だったり、逆にビートルズやジョンのミディアム/バラードナンバーはどハマりしていたりと、一長一短といったところ。まあ、この手の作品は完全にお遊びというかオナニー、あるいはファンサービスですからね。気持ちよく乗っかることにしましょうよ。それに、ここから1年半で次のオリジナルアルバム『BLACK RAIN』(2007年)を届けてくれたわけですから。
選曲的にはどうしても古臭さが否めませんが、これをもしケリーやジャックといったオジーの実子が選曲していたら……かなりモダンで面白いカバー集になったんじゃないかな。そっちバージョンも聴いてみたかったですよね……なんてことを、ポスト・マローンの最新作『HOLLYWOOD'S BLEEDING』(2019年)を聴きながら考えてみたり。
▼OZZY OSBOURNE『UNDER COVER』
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